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みんなちがってみんないい

日中一次支援事業

日中一次支援事業の特徴は、放課後等デイサービスと比較するとわかりやすいです。放課後等デイサービスは、その役割機能を特定されているのですが、日中一次支援事業は、放課後等デイサービスのような役割機能の制限がつけられていないという特徴があります。放課後等デイサービスが始まる前でも、障害のある児童生徒が活動する場として保護者の就労支援やレスパイトのために、地域のニーズと事業者が提供可能なサービスの折り合いをうまくつけていくサービスとして日中一次支援事業は利用されました。この日中一時支援は今でも利用されますが、児童の場合は、結局放デイの支援量が足りない分を日中一次支援で補完するという目的になってしまいます。

放課後等デイサービスは、基本的には以下のような視点でサービスを提供するよう、ガイドラインが設定されています。
1) 自立支援と日常生活の充実のための活動
2) 創作的活動・作業活動
3) 地域交流の機会の提供
4) 余暇の提供
上記のような役割の中で、提供するサービスや各施設の特徴という視点から分類すると、大きくは次の3つのタイプがあります。どのようなタイプのサービスを提供するかは、サービスを提供する事業者によって異なります。
A) 学童保育にあたるようなサービスを提供するタイプ
B) 専門的な療育サービスを提供するタイプ
C) 習いごとのような感覚で利用できるタイプ
すてっぷは、概ねAとBの混合タイプです。

そもそも、日中一次支援事業は、障害のある方の保護者を中心としたご家族の方が、必要な休息が得られることを目的に、障害のある方の日中の活動の場を一時的に提供するサービスです。この背景としては、家族に必要な休息が得られない場合、家族の過負担によるさまざまな問題が発生する可能性があるからです。例えば成人しても日常サービスが休みの時は仕事のある家族も休息が必要です。そこで休日の日中等、家族の介護を任せてゆっくり休息や余暇が楽しめるように、あわせて障害のある方が休日を有意義に過ごせるように設定されたのがこのサービスやショートステイ事業です。ですから、サービスの内容は一律に定められているわけではなく、地域ごとの実態やニーズに合わせて設計されています。利用される場合にはその点も踏まえて、どのようなサービスが提供されているのかなど、きちんと確認することが重要になると言えるでしょう。そして、各事業者を統括する行政や自立支援協議会は、放デイに一律的な量的規制を加えると、結局はこのサービスに食い込んでしまい、本来のサービス目的による地域ニーズ開拓の障壁になってしまうことを考えてほしいと思います。

子どもからのDV

感情の問題や怒りのコントロールについてこれまで述べてきました。多くの読者の方は、これを自分の行動に当てはめて読まれていたかも知れません。この怒りのメカニズムは子どもの理解に役立て欲しいと思います。例えば、DV(家庭内暴力)です。発達凸凹の家族なら子どもが家で暴れたり、お互いを罵ったりして修羅場と化すことは少なくありません。子どもが暴言や暴力を暴発させた時は、子どもは怒りを暴力で発散したかったのではなく、コントロールできなくなった怒りを親に止めて欲しいのだと理解することが大事です。外でおとなしくて家族にだけ暴力を振るう子どもは暴力が悪いことだとわかっています。だから本当は暴力を振るいたくない。でもやってしまうことによる罪悪感に苦しんでいます。

暴力や破壊をいくら繰り返しても何かモヤモヤした感じが残ってスッキリしないのは、罪悪感から自己嫌悪に陥ってしまうからです。子どもの暴力をやめさせるために親がすべきことは、何をされても我慢して受け止めることではありません。暴力を振るう子どもが自分の感情をコントロールできずに苦しんでいることを理解しながら、コントロールできるようにサポートしていくことなのです。まずは、子どもが暴力行為をしてきたら、親が感じた気持ちを正直に伝えることです。

「痛い」「嫌」「悲しい」「つらい」といった暴力行為を受けることで感じたことを子どもに言うようにします。感情を伝えるのです。暴力を受けることで親が感じる痛みを子どもの心に届かせるイメージで、できる限り詳しく伝えてください。怒りを怒りで返すのは簡単です。怒り以外の表現があることを伝えることが重要なのです。

「暴力を振るう人間は最低だからやめなさい」などの常識論は逆効果になります。大声を出したときに「近所迷惑になるからやめなさい!」、物を壊したときに「もったいない!」といった理屈で説き伏せようとする対応は子どもの感情を逆撫でして余計に怒りを助長します。

子どもが家で暴れることにはそもそもの原因があります。しかし、親も子どももその原因から目を逸らしている状態であるため、親からして子どもがなぜこんなに暴れるのかわからないし、子どもからしても自分がなぜ暴れてしまうほどイライラするのかわからない状態になっています。そして、お互いがよくわからないまま表面化している暴力暴言だけに焦点をあてると解決できません。そこに至るまでの、親に悪気はないですが子どもにしてみれば不適切な接し方があり、子どもはそれに対する不適切な感情の抑圧、我慢があります。

カウンセラーや専門家など他者の力も借りて、少しずつ、目を逸らしてきた本当の問題に気付き、働きかけをしていくことによって解決することは可能です。暴力を周囲から受容されて育った子どもは自分の感情をうまくコントロールできず、人に表現することが難しい人になりやすいです。結果、自己中心的な考えに支配されることでストレスを抱えやすくなるため、依存症や対人恐怖症といった心の悩みを抱えてしまいます。

子どもの暴力がエスカレートしてきたり、怒っても聞かない、逆により暴力が過剰になるかもしれないと思うと恐くて何もいえなくなる気持ちはわかります。「もう無理だ」と投げ出したくなるときもあると思います。感情をコントロールできず苦しんでいると理解すれば冷静に向き合うことは可能です。そして、一人で悩まないで他人の力も借りましょう。他人に相談しても、最後は親子でしか解決できない問題だという腹さえくくれれば、他人への相談は少し楽になるはずです。

自分の気持ちや感情の認知

ASDなどの発達障害の人が、相手の気持ちや感情を理解することができない特徴はよく知られていますが、中には自分の気持ちや感情を認知することが難しい場合もあります。子どもに学校の様子を聞いても「特に」「別に」といった返事しか返してくれなかったりするのは思春期の場合は面倒くさいからですが、ASDの人たちの場合は自分の思った気持ちや感情を理解することができないためかも知れません。自分の気持ちや感情が理解できない場合には、読書感想文などの宿題が出た際にも自分の感想が無いので感想文を書くことができなかったり、書いてもあらすじだけになってしまうということはよくあります。

発達障害の子も感情が全く理解できないわけではなく、なんとなく理解したりぼんやりと感じていることはあるにですが、感情がぼんやりとわかっても、自分が「怒っている」のか、「不安」なのか、「悲しい」のか、「怖い」のか、「悔しい」のかの違いがわからず、ただ単に不快な気持ちとなって溜まってしまうと、いろいろな問題に発展する可能性があります。

自分の感情を自覚するのが難しい状況は、感情は有るがそれがどのような状況なのかを自分で理解することができないのです。ストレスを感じても気がつかなかったり、気づくまでに時間がかかってしまう為、ストレスなどが原因で発生する様々な心身症を発症しやすかったり、心身症になった際にも治るまで時間がかかってしまいます。発達障害の子どもが自分の気持ちや感情を理解するのが難しいのには、自分の行動として「楽しい」「怒る」「悲しい」などは有っても、それぞれ別の感情であったり、意味を持った気持ちだということを認識しておらず、基本的な喜怒哀楽を理解していないということも有ります。感覚が鈍感だと、外部から受けた情報を感じるのが鈍くなってしまうため、結果として感情の理解などにも影響が出るのだと言いう人もいます。

自分の気持ちや感情は、対人関係やコミュニケーションなどの社会経験から学ぶことも多いです。発達障害の子どもはコミュニケーションを初めとした様々な社会経験が少ないため、自分の気持ちや感情を意識する機会が少ないことも考えられます。不安や怒りなどの負の感情をモヤモヤと感じていても、当初は本人も気がつかなかったりあまり気にしないこともあります。しかし、何かのタイミングで自分の感情に気がつくと急に癇癪(かんしゃく)を起こしたように怒り出したり、溜まってしまった気持ちを受け止めきれずにパニックになることもあります。これらの場合は原因となった事が発生した後に自分の感情に気づくため、今現在ではない事に対して怒ったり、場合によってはフラッシュバックを引き起こします。フラッシュバックについては前回(8/23)に書きました。

発達障害の人は相手の気持ちを感じ取ることや、相手の思っている状況を理解することが苦手です。これは相手のとの会話の内容や、表情、仕草などから相手の気持ちを理解することが難しい場合と、自分の感情がわからないため相手の気持ちに共感することができないということが考えられます。悲しい気持ちを共感しなければならない場面でも、自分の悲しい気持ちがわからずに、状況にそぐわない言葉や仕草をしてしまいトラブルにつながってしまう事もあります。自分の感情や気持ちを感じ取ることができないと、相手や状況の共感を得ることが難しく、場にあった会話や表情などの行動をとることができなくなります。自分の気持ちや感想を聞かれた場合にも、『わからない』『特にない』といった答えになってしまい、会話が続かなくなってしまいます。本人は自分の感情が理解できないことから真面目に、『わからない』『特にない』と答えていても、周囲からはふざけているととられてしまう事もあります。

感情を感じることが難しいため、苦しい時や辛い場面でも無表情や笑顔を浮かべていたり、逆に楽しい場面でも真面目な顔やしかめっ面をしてしまうこともあります。気持ちと表情が一致しないと円滑なコミュニケーションをとるのが難しくなったり、本人の調子が悪いときでも周囲の人が気づいてあげることができなくなる場合もあります。自分の気持ちが自覚できないために、不安や苦しみなどの感情が分からず心身が悲鳴を上げていてもキャッチできないことがあります。本来ならば休息すべき部分でも休むことをしないため、結果として疲労などから体を壊してしまうこともあります。また、体を壊すだけでなく、各種心身症(ストレスなどから体に影響が現れる病気)や、二次障害としてうつ病など精神面の病気につながることもあります。なお、感覚鈍磨(感覚の受け取りが極度に鈍い状態)の特徴を持っていると、体の痛みや疲れ、暑さや寒さなどの感覚を正確に受け取ることができないため、より注意が必要です。

自分の気持ちや感情がわからない子には、周囲の人がその子の気持ちを代弁し、一緒に確認して感情認知の機会を作ります。例えば、怒っている時には「~で怒っているんだね」、楽しい時には「~は楽しいね」など話しかけて、子どもに気持ちや感情を意識できるように促します。大人と一緒にそのときの気持ちを確認することで、徐々に自分の気持ちや感情の存在に気づいていきます。ロールプレイで様々な場面を設定し、「こんな場合にどう思うか?」と、子どもと学習する方法もあります。自分の気持ちや感情を意識して表出し、周囲の人も原因の是非はともかく、感情に気づいてもらえるようになれば、ストレスでのイライラやパニックなどを起こす事はとても少なくなります。

始業式と子どもの自殺

不登校や引きこもりなどの情報交換や交流などを目的とした『不登校新聞』の石井志昴編集長は、子どもたちのギリギリの状況を「宿題ができていない、体調不良などは赤信号。1学期に不登校ぎみだったら、最後のSOSだと思ってください」と言います。自殺の原因や理由はさまざまだが18歳以下の自殺者数は年間約300人~400人のあいだでほぼ横ばいです。対策するものの減らないといいます。「いじめはどこの学校でも起きています。早期発見、早期予防が肝心です。しかし、今でも学校は、いじめを認識したがらない。教育現場はいじめがあればしっかり認め、いじめへの感度を高めるための努力をしていく必要があります(文科省担当者)」と教育現場の鈍感さに注文をつけます。

「男子は暴力系、女子はコミュニケーション系のいじめ。しかし大人からそれは見えません。子どもたちは隠します。いじめられている子も、苦しさを見せません」(石井編集長)。生徒たちの状況をいじめと先生が認識していない場合もあります。当該の生徒はいじめられて嫌な思いをしているかもしれませんが、大人はそれに気づけない。ふざけているだけなどと、いじめにカウントしないこともあるのです。新学期を迎えすでに東京で中学生の飛び降りと首吊り自殺事件が報道されました。「学校は命をかけてまで行くところじゃない」という石井編集長の言葉をかみしめたいです。みんな違ってみんないいのですから。

 

自分の内面と向き合えばプラス感情は生成される

ずっと周りへの不満をぼやき続けたり、自分は不幸だとか、ツイてないなという感情を吐き散らしているのは、無駄だなぁと思いつつも、手放せないことが多いです。エイブラハムの感情の22段階を示してみました。上の方の感情でいることが常態になると、瞬間的に嫌な気分があっても戻しやすくなります。マイナス感情を否定したり、蓋をしたりするのではなく、「許せん!」って思ってるなと感じて、この表を想起すると気分を変えやすいのです。マイナス感情を外して、自分が喜ぶことを考え、ワクワクすることに時間を割くモードに入りやすいのです。

言葉も大事です。嫌な言葉を吐いている自分に敏感になって、「ありがとう!」「嬉しい!」を多用します。好きなことに没頭すること、ワクワクに従い、心地よくをいつも選んでいくとトップ感情に近づいていきます。つまり、上に行くほど自分の内側に向きあっていて、下に行くほど、自分の外側に意識があることがわかります。

 

怒りのピークは6秒間

さて今回は怒りの予防策と持続可能性について考えます。怒りのコントロールは、アンガーマネジメントの名前で知られています。その名の通り「怒りと上手に付き合う」方法。自分や他人の怒りに振り回されず、怒りを上手にコントロールすることで快適な生活を手に入れようという方法です。怒らないことを目指す精神修行ではありません。知識と技術を使って「怒り」を取り扱う技術のことです。根拠やデータは不明ですが、人は怒りを上手にコントロールできると、年収が約2倍になり、平均寿命が7年長くなるという話もあるそうです。

怒りと上手に付き合うには、なぜその感情が生まれるのか、その原因を知ることも大切です。
・怒りというのは、何らかの要望を表現するための表現方法の一つであり、それによって何か物事を動かそうとします。ベストセラー「嫌われる勇気」の中では「人は怒りを捏造する」項で、「怒りとは出し入れ可能な道具であり、この母親は怒りを抑えきれずに怒鳴っているのではなく、ただ大声で娘を威圧するため、それによって自分の主張を押し通すために怒りの感情を使っているのです。」とあり、怒りは道具として使われるわけです。
・「怒り」は「二次感情」だと言われています。つまり、最初に「苛立ち」「恐怖」「不安」「恐れ」「寂しさ」といった一次感情が存在し、それが怒りという表現として噴出しているわけです。怒りの裏側には「わかってもらいたい」一次感情が隠れているということです。
・人間は怒りに対して怒りで反応し伝染します。怒りを内面に鬱積させている人と接していて胸がザワザワします。怒りを抱えている人は、周囲の人の潜在的な怒りも目覚めさせてしまいます。また、身近な人に対してはより強くなってしまう性質もあります。

アンガーマネジメントでは、衝動・思考・行動という観点から「怒り」にアプローチします。 第1は、6秒我慢することです。怒りのピークは6秒間だといいます。そのため、この6秒間怒りを抑えることができれば、怒りに任せた衝動的な行動を抑えることができます。前回、怒りの感情は抑えないほうが良いと書きましたが、これは一人になった部屋で感情は抑えなくてよいと説明しています。関連させて言うと、この絶頂期の6秒間を乗り切って一人になる判断をすればいいというわけです。

第2は、不要な『べき』は捨てることです。怒りは、自分が信じている「こうあるべき」という価値観が破られた時に生まれます。自分にはどんな「こうすべき」「こうあるべき」が存在しているかを知っておくとが役に立ちます。自分はどんなポイントに反応しやすいのか、自分はどこまでならOKで、どこからがNGなのか、境界線を理解しておくことも役に立ちます。イライラしてしまう場面があったら、自分の中の境界線を洗い出してみましょう。例えば、約束時間に関して5分前には絶対に来る「べき」か、5分以内の遅刻なら許せるか、 連絡があればば30分遅刻しても許せるか、など人によって様々な基準があります。自分の中に『~すべき』が多く、強いほど、怒りが生まれやすいので、不要な『べき』は捨て、「まぁ、いいかぁ」という許容範囲を広げていくのです。許容範囲が広がると、怒りやイライラは軽減します。 どうしても譲れない『べき』は、適切な表現で相手に伝えれば良いのです。いきなり怒って伝えては、今度は相手が「こんな事で怒る『べき』じゃない」という相手の『べき』を呼び出して修羅場になってしまいます。

第3は、自分の怒りによって変えられることと、変えられないことがあることを理解しておくことも大切です。例えば、「せっかくの休みなのになんで今日に限って雨なの」とイライラしても天気は変えることができません。どうにもならないことに対してイライラしたり、思い悩んだりすることは、不要なストレスを抱え込むだけです。自分にコントロール不可能なことは「まぁしょうがないよね」と割り切って自分ができることに集中すればよいのです。意外と理解されていないのは人の価値観は変えられないということです。別の人間なのですから、ほとんど自然現象と同じだと割り切っていた方がよいのです。ただし、行動は変えることができます。これは応用行動分析の掲示板に述べています。人は自分の利益で動くのです。嫌な事(被怒り行動)でも動かせますが、これはこちらが怒り続ける必要があり持続可能とは言い難いものです。

怒りのピークは6秒間。『べき』のストライクゾーンを広げる。人の価値観は自然現象(雨が降るように風が吹くように)と同じものと考える。これなら様々な場所で応用でき持続可能な方略とできるかもしれません。

怒りのコントロールには運動を

怒りを鎮めるにはには運動が即効薬です。運動不足は怒りを誘発しやすくなります。怒りの感情が生じたときは、身体を使った運動をしましょう。スピードウォーキングが最近流行しています。スピードウォーキングとは、早足散歩です。運動系と呼吸系を合わせたエクササイズです。運動するとエンドルフィンが生成されます。いわゆるランナーズハイです。エンドルフィンはゆったりした気持ちよさを誘い幸せ感を高めます。呼吸するとセロトニンが分泌されます。セロトニンは穏やかな気持ちを作ります。うつ病はセロトニンの不足が原因の一つです。ネガティブ感情を理屈抜きで解消する効果的なエクササイズですので、ぜひ取り入れてみてください。自宅の近くの公園まで早足散歩する、コンビニまで早足散歩する、いろいろなところで活用できると思います。明日は怒りのコントロールの方略を考えます。

怒りのコントロール2

怒りのコントロールのNGの一番は、怒りをぶつけて怒鳴り散らすことです。怒りを爆発させたり、怒りで自らの要求を押し通したりする様子を子どもが見れば、「ああやって怒鳴り散らせば、すっきりするし、人を動かすこともできるんだ」と学習してしまいます。また、怒りをぶつけた相手は応戦するかスルーするかのどちらかです。つまり、解決はしません。解決は冷静な合意の中にしかないからです。NG2番目はその場しのぎです。その場で問題を解決しようとすることです。怒りを感じたとき、私たちは思った以上に頭が働きません。人によっては、相手の言ったことが聞こえなくなったり、論理的な思考ができません。そんなときに問題を解決しようとしても、逆効果です。親がイライラする様子をみた子どもは萎縮するだけでなく、イライラしたときに、より弱い相手にイライラを発散させる事を学ぶのです。その場だけで解決するのは限界とリスクを伴う可能性があります。NGの3番目は、「怒りを抑え、我慢しよう」と思うことです。ところが、抑圧した怒りほど、他人からは恐ろしく見えるものです。忍耐にはいつか限界がきます。忍耐、我慢だけではひずみが生じるのです。

コントロールの第一は、とにかくその場を離れて感情の爆発を避けることです。子どもに怒りの爆発の火の粉を浴びせないことが大切です。一刻も早くその場から立ち去ることが大事です。ひとりになれる場所へ行くのです。「逃げている」とか「相手を取り残している」と考える方は、怒りを爆発させた結果と比べたらまだましな選択と考えるのです。ひとりになれる場所では、思いきり怒りを感じましょう。「もーー!なんで忙しい時に!何回同じことを!」と十分に怒りを感じましょう。「これくらいでイライラしてはいけない」等と感情に蓋をせずあるがままにします。いったん怒りを感じきれば、対人関係でのしこりや、怒りを抑えすぎたことで出るストレス症状の予防にもつながります。

十分に怒りを感じきると、やがて怒りはおさまっていきます。「どうすれば、あんなことにならないか」という再発予防を支援者や関係者と話し合います。犯人探しをするような後ろ向きな考えではなく、前向きに計画を立てます。怒りの問題を抱えている人の中には、「蒸し返したくない」と振り返りを避ける人もいますが、どうすれば同じことを繰り返さないか対策を立てておくことが、イライラの一番の予防です。それでは、どうやって再発予防計画を立て持続さればいいのか、次回は考えていきたいと思います。

怒りのコントロール

発達障害の方で、家の中で怒りを抱えているという人は意外と多くいます。今回は、家庭内での「怒りの爆発」を考えます。些細なことでも怒ってしまうという悩みは、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の人には、非常に多いです。中でも、子どもについ言い過ぎてしまうとか、パートナーに感情を爆発させてしまうといった家族に対する怒りの問題は少なくありません。おそらく、近所の人や仕事上の付き合いのように、短時間我慢すればなんとかなる関係ならば問題にならないのですが、家族のように長期間一緒にいる関係では、取り繕いにくく、コントロールできない自分が出てしまうからです。

「怒り」の問題は、ADHDの症状のひとつである「衝動性」にかかわるものです。具体的な行動としては、・思ったことをすぐに言動にうつす・人の会話を遮って自分の話をしてしまう・相手が別のことに集中しているのに遮って自分の要求をしてしまう・衝動買いをしてしまう等、があります。やりたいことを用意周到に計画して実現するという場合には、エネルギーはなだらかに上昇します。しかし、ぱっ、と思いついて行動するADHDの場合には、エネルギー放出は爆発的です。感情の動きもまた同じです。瞬間湯沸かし器のように、怒りが一瞬で上がって爆発する方も少なくありません。このような怒りの問題を持っていると、まず人間関係が破綻しやすいです。怒りの問題を抱えている人は、その場では自分の主張を通すことができるかもしれませんが、長期的にみれば、冷遇されている人が多いです。誰だって、イライラした人、キレる人のそばにいたいと思わないからです。

さらに、問題となるのは、怒りの爆発を繰り返すことで、自己嫌悪に陥って、自暴自棄になっていくことです。多くの人は「自分自身を直視すること」が苦手です。自分のことを考える事は同時に感情のコントロールを必要とします。冷静になって自分を直視しようと口では簡単にいえますが、それができれば苦労はないのです。冷静が維持できなければ、考えれば考えるほど感情の渦に巻き込まれ、途方もなく消耗していくのです。人はこうした自分から目をそらすために、ウソをついたり、理屈を並べてごまかしたり、派手な突拍子もない行動で気を引いたりします。暴言も暴力も、感情がコントロールできない結果の行動といえます。ではどうすればいいかを明日から考えていきます。

障害告知のタイミング

当事業所では子どもへの障害の告知は必要だと考えています。ただ、発達障害のことを本人にどう伝えるかは、子どもの年齢や障害の特性によって大きく変わるため、一概に言えません。でも、決して隠すものではありません。特に発達障害は目には見えませんから子どもの理解がまちまちになります。だからこそ正確に伝える必要があります。

先日、子ども達だけで話していました。「俺はADHDやから失敗しても仕方がない」と言うA君を、「それはちゃうやろ。努力は必要やろ」とB君が諭します。「俺も障害があるからここにきている」。C君が「え?B君も障害あるの?」と言うと、「ここに来ている子はみんな障害があるよ、君も障害があるよ」とB君。C君「え?俺障害あるの?」A・B君「当たり前やん」

このように、会話の出来る子どもは、子ども同士で憶測も含めて話していますし、インターネットでも簡単に検索できます。親や関係者がいくら最適期をと、善意から「今は伝えない」という選択をしていても、関係機関を利用する限り知らないままで過ごすことはありません。そういう意味では通級指導教室や放デイなどの特別支援関係機関を利用するときが告知のスタートラインかもしれません。

障害告知の時期は自己客観視ができる7歳以降にという専門家もいますが、自己客観視や自己フィードバックが難しいのが発達障害の特徴であることも少なくありません。客観視の力ができるまで待っていると思春期に入ってしまう人もいるので一律に年齢ではいえません。小さな時期から、みんなちがうのが当たり前で、全て一緒である必要はないこと。助けを求めるのは良いこと。支援者と一緒に工夫することが大事だと伝えていく必要があります。ただ、受け止め方がダイレクトな子どもも少なくないので、ゆたぽん君のように「学校がいやならいかんでええ」という結論を持つ場合もあるかもしれません。論理の飛躍が生じてしまうのは、困ったことを抱えながらも支援された実体験がない子どもに多いように感じます。

逆に、告知をしてはいけないタイミングというのはあります。それは、子どもが失敗した時です。こうした状況で、例えば「そんな失敗をするのをADHDっていうのよ!」といったふうに、失敗と紐付けて障害を告知することは避けなければなりません。こう言われると、子どもは自身の発達障害を悪いもの、なくすべきものと受け取ってしまいます。障害をなくすことはできないので、お子さんは自分の中にずっと悪いものがあると思って生きていくことになりかねません。 

先のA君の発言「失敗しても仕方ない」はやや学習無力感も伴っているようです。眼鏡をかけたときの、「なんだ、みんなはこんなに良く見えていたのか」「これを近視(遠視・乱視)と言うのか」「だったら眼鏡を利用しよう」とするのと同じようなタイミングが発達障害の告知には重要です。子どもの気持ちが前向きになっているときに告知を行うと、本人も受け入れやすいと思います。

簡単なICFの説明

ICFとは、「International Classification of Functioning, Disability and Health」の略称で、日本語では「国際生活機能分類」といいます。ICFは、元々WHO(世界保健機関)で1980年に制定された「ICIDH(国際障害分類)」の改訂版で、人間の「生活機能」と「障害」に関する状況を把握することを目的とした分類です。これまでのICIDH(国際障害分類)は、身体機能の障害や生活機能(ADL・IADL)の障害、社会的不利を分類するという障害重視の考え方であったのに対し、ICFは環境因子や個人因子等の背景因子の視点を加えて、障害があっても「こうすれば出来る」というように生活すること・生きることの全体像を捉え、プラスの視点を持つように広い視点から総合的に理解することを目指しています。

意味わかりましたか?私は最初この文を読んだとき、とても日本語とは思えませんでした。専門家というのは日本語をかくも外国語のような言葉に変えてしまう人たちだと恨んだものです。簡単に言えばどうなるのでしょうか。

これまで障害者と言えば「できない人」という見方ばっかりしているから、あれができない、これができないとなり、「普通になるために」もっとがんばらなあかんという考え方に本人もなってしまうので、もっと前向きな考え方としてICFがでてきたのです。つまり、できることに着目して、できないことは環境や支援でカバーすればいい。できないのに普通にできるようになる努力は必要はない。支援者と一緒に工夫してそこそこできたらそれで良しとする、ということです。

これがICFの考え方です。視力が悪いのに眼鏡もなしに見る努力。聴力が悪いのに補聴器せずに音を聞く努力。歩けないのに車いすも使わず移動する努力。計算できないのに計算機も使わず計算練習する努力。書けないのにPC入力使わずに文字を書く努力。読めないのに音声教科書を使わずに読もうとする努力。こういう努力は、さっぱり成果が出ないから意味がないのです。本人のプライドが育たないばかりか学習無力感を与えて人の言いなりになる人生を用意しているに等しいからやめます。そして、眼鏡最高!補聴器最高!電動車いす最高!電卓最高!PC入力上等!デイジー教科書待ってました!どんどん使いましょう、というのがICFの障害観です。

厚生省や文科省、福祉課や教育委員会がこんなふうに言ってくれたら、子どもたちに、「こんな苦労も、かけまいに」と寅さん(昭和の人しかわからない?)に唄いそうになります。始業式を迎え、一つでも多くの学校が、「そうは言っても、文字くらいかけないと」「ひっ算くらいはできないと」と言うのをやめて、苦手な事ばかり子どもにさせないで、いいところを応援してくれることを切に願います。

子どもユーチューバー

今や小学生の「将来なりたい職業ランキング」にもランクインするというYouTuber(ユーチューバー)。子どもたちにYouTubeが浸透しているということですが、どんな番組を見ているのかご存じですか。378名の小学生に実施したという「好きなユーチューバー」アンケートで2位と圧倒的な差をつけたのは、日本のトップユーチューバー、HIKAKINさんです。大人にも知名度は高いですが、子どもから絶大な人気を誇ります。アンケートでも「ユーチューバーのどこに面白さを感じているのか」という質問には、「リアクション・表情:44票 話す内容・話し方:17票 つっこみ:10票」という回答でした。要するに中身よりも人物重視ということでしょうか。それとも単なるパフォーマンスの面白さでしょうか。私たちが子どものころにはYouTubeなんてものはありませんでしたが、今の小学生たちには「YouTubeを観る」ということは、日常のひとコマなのでしょう。知らない人や知らないチャンネルも多いかと思いますが、だからこそ大人も観てみると意外と面白い発見があるかもしれません。

来週から始業式、youtube三昧の子どももようやく「一息つける?」節目ですから、うまく切り替えていけるように大人のサポートが必要です。始業式と言えば、不登校小学生youtuber「ゆたぽん」さんがメッセージを出していました。

https://www.youtube.com/watch?v=GembS1OhJsE

「夏休みが明けても死にたくなるくらいなら学校なんか行かなくていい!」それはそのとおりだけど、うーん。大人は悩んでしまいます。確かにゆたぽんさんの動画を見て「宿題も当番も当たり前だと思っていたけれど、ゆたぽん見ていると、自分はかなりがんばって生きているんだと認識できて良かった」という逆説的な感想も少なくないそうです。また、ゆたぽんさんとその保護者に対するネット叩きを見ていると、気に入らないものは何でもディスるというネット社会に嫌気がさします。

ちなみにyoutuberの収入は再生回数×約0.1円だそうです。ゆたぽんさんの「不登校は不幸じゃない!」の動画は200万回以上視聴されましたから、この動画1本で20万円以上の収入が見込まれます。(収入を得ているかどうかは知りません。)ネットで叩かれれば叩かれるほど視聴数が上がっていくのは、N国の党首の動画とよく似ています。ただ、そんなセンセーショナルなテーマでなくても、おもちゃの遊び方を、子どもの顔出しなしで演出する2017年度の年収が約2,200万円の70cleamさんの

https://www.youtube.com/user/70cleam

動画なんかは親のアイデアとはいえ、目の付け所のセンスになるほどなぁと思わされます。みなさんはどう思われますか。

フラッシュバック

フラッシュバック (flashback) とは、強いトラウマ体験(心的外傷)を受けた場合に、後になってその記憶が、突然、そして非常に鮮明に思い出されたり、同様に夢に見たりする現象です。突然怖い目にあった時の心的外傷後ストレス障害(PTSD)や急性ストレス障害の特徴的な症状のうちの1つです。これは単に嫌な事を思い出すというレベルの現象ではなく治療の対象といわれています。

フラッシュバックという用語は過去に起こった事で、その記憶が無意識に思い出されて、それが現実に起こっているかのような感覚が非常に激しいときに特に使われます。フラッシュバックが起きた場合には、必ずしも映像や音が存在する記憶とは限らず、「恐怖」などといった感情や味覚、痛覚など、感覚の衝撃として発生することもあります。

フラッシュバックは、幼児期に経験した外傷体験を言語的に認識する能力を持たないまま記憶し、それでもなお忘れられない場合にも起こります。この、体験を取り込むことに失敗する現象のことを解離といいます。この記憶はまともに意識に上らないため、時間が経っても薄れません。また、フラッシュバック性の記憶はその鮮明さにも関わらず言葉で表現することが困難です。さらに時間とともに原記憶よりも鮮明さは増す傾向が強いのです。

幼年期のトラウマの体験者は、これらの感情の記憶を意識化しないまま持っている可能性もあり、そしてフラッシュバックにおいてそれらを再経験する可能性があります。ASDの方達の中にも対人関係理解の混乱時の苦痛の思い出が、その後フラッシュバックを引き起こす原因になることがあります。このフラッシュバックの治療は、行動療法の脱感作療法や認知行動療法がありますがいずれも言葉理解や表出が必要なので、言語表出レベルが低い方には大変難しいです。当時の恐怖のきっかけになるようなことを避ける予防策を取りながら、EMDRなどの新しい脱感作療法を行うことが必要と言われています。

フラッシュバックは、現在の本人の関係者が努力をしていないからでも、楽しいことが少ないから生じるものでもありません。何かのきっかけで電子レンジで解凍されるように生じる精神医学的な現象として捉える必要があります。被虐待の経験者に多いことからもわかるように、ASDへの特性を無視した対応は、虐待と同じPTSDの原因になる可能性があることを理解することが彼らのフラッシュバックを予防していくことにつながると思います。

サービス支給量

支給量とは、福祉サービスを利用できる日数や時間数のことです。児童デイサービスの場合、「支給量」とは、ひと月に利用することができる日数です。支給量については、子どもの特徴や保護者のニーズ等に合わせて、自治体が決定します。この上限基準は厚労省が決めます。ところが、自治体によってこの基準が異なることがあります。事業所が少ないとかいろいろ理由はあるでしょうが法の下の平等、つまり人権の問題があります。

 相談支援を利用されている方の支給量については、相談支援事業者が自治体に提出した「サービス等利用計画案」に基づいて、支給量が決定されます。上限を超えた支給量を受ける場合は、相談支援事業所が自治体と保護者の間に入り、支給量変更の申請を行います。障がいの状況や家族の状況等によって上限を超えた支給量を受けることが必要と認められると、上限を超えた支給量を受けることが可能になります。

 自治体とは市町のことですが、大抵は保健所管轄範囲、乙訓なら向日市長岡京市大山崎町で基準を申し合わせているので同じ基準です。ただ、障害の種類も程度も多様、家庭事情も多様なものに基準を設けても意味がないのです。この基準はあくまでも公的な財政上の予算を明確にするために利用者数で割り算した数値です。

この数値の中には多様な事情は入っていません。たったそれだけのものなのに、この数値に意味を付け足す相談支援者がいます。親が楽をしてしまう。子どもが普通に育たない。親が働いているなら足りないところは学童保育を利用すればいい。こんな乱暴な話はありません。そんな考えで相談事業料や給料を、税金からもらっているのです。

平成の福祉の基礎構造改革の最も重要な点は障害者とその家族に措置や施すという考えは間違いで、サービス側と対等平等だから契約に変えたということです。今、NHKの連ドラは保育所制度が始まった昭和の中頃、家で子育てするのが当たり前という行政窓口の意見に母親が苦悩するところを描いています。同じことばが令和の障害者の親に向けられているのです。こうした化石のような話が未だにあることは残念ですが、契約制度はこうしたサービス事業者を変えられるようになったことです。利用について疑問を持たれたら是非事業者を変えてご相談になることをお勧めします。

 

職業準備性ピラミッド

職業準備性ピラミッドとは、下図の通り、働く為に必要な項目がピラミッド型に配置されているものです。

就職活動をする際に、その職業でのスキルの内容、つまりパソコンができるとか計算ができるとか、設計図が読める等仕事の内容が注目されがちです。このピラミッドで言う一番上の「職業適性」の部分です。

しかし、職業適性は障害があろうがなかろうが、一番大事なことではありません。「自分探し」は大事ですが、それは職業適性だけを探すものではありません。実は、このピラミッドの土台、「健康管理・障害の理解」であったり、「日常生活管理・基本的な生活のリズム」がしっかりしていなければ、働く事だけでなく、就職活動もできません。まずはしっかりした土台があって、長く、活き活きと働ける基礎的な力が必要だと言うことです。

土台の中でも大切なのが、その土台に書かれている「~~管理」という「管理」という言葉です。例えば最下段の「健康管理・障害の理解」ですが、人は心と体が健康な時ばかりではありません。特に凸凹の能力特性を持つ方は、就業での対人ストレス等も加わり不調になることも少なくありません。不調であっても自分なりの対処方法を持ち、キーパーソンに相談をしながら働けることが大事だと思います。そのうえで、自分で心身の健康をどのように管理して長くその職場に貢献できるかを考え、安定した就労が持続できるように工夫することが大切です。

「仕事内容は会社で教えられるが、働く基礎である社会性や自己管理を会社で教えることは難しい」と少なくない経営者が言われます。もちろん、できることやできないことには人によって様々ですから、苦手なことは支援を要請したり、強みを活かしながら弱みをカバーすることはできます。ここで言いたいのは、ピラミッドの基礎部分は家庭や学校・地域生活で子ども時代から長い時間をかけて身につけて行くもので、短期間で身につくものではないということです。さらに、その基礎の基礎、働く意欲は遊びや好きなことを続ける経験や、失敗してもあきらめず励まされ支援され立ち直る経験の蓄積から育つものだと思うのです。

 

 

 

DNAスイッチが運命を変える

NHKスペシャルでDNAスイッチをON、OFF することでその人の体質や能力を変化させることが可能となってきていることが放送されていました。生活習慣病の代表「糖尿病」や「がん」の発症に関わるDNAスイッチの情報なども解明されつつあります。また、今後はDNAスイッチを自在にコントロールすることが実現するかもしれないと言われています。

番組では、340日間宇宙ステーションにいた人のDNAスイッチを調べると、宇宙での極限状態に耐えられるように様々なDNAスイッチが変化していたとのことを取り上げていました。人間は環境によって自動的にDNAレベルで環境に適応する体に変化するというのです。また、病気の耐性に対しては、現在いくつかのガンについて薬でDNAスイッチを”耐性有り”に切り替えることが可能になりつつあり、臨床試験を行っています。

音楽能力では、いろいろな音楽を聞き続けるとDNAスイッチが入り、音色など聞き分けられる能力が向上することが解明されつつあるそうです。ということは自分の能力を向上させるには向上させたい能力に関係することを継続的に続けると向上する可能性を示唆しているのです。ちなみに人間のDNAスイッチは2%程度しか使われていないのですから、人間はまだまだ使っていない能力があるということです。

今まで精子のDNAスイッチはリセットされた状態だと考えられていたのですが、最新の研究では親のDNAスイッチの状態を引き継ぐことがわかりました。マウスを使った研究で、肥満に関するDNAスイッチを調べた結果、肥満だったマウスの子どもと孫は少量のエサでも肥満になったそうです。つまり肥満に関するDNAスイッチが子ども、孫と引き継がれ、太りやすい体質になっていることわかったそうです。そこで、太った人がトレーニングして一時的に痩せたときに肥満に関するDNAスイッチをOFFにし、子供へ肥満に関するDNAスイッチを遺伝させない取り組みも始まっています。ただ、卵子の場合は、妊娠中にダイエット等するとDNAスイッチに悪影響があるそうです。

これまで、遺伝には逆らえない、子々孫々と祖先からの遺伝は運命として引き受けるしかないという考えがありましたが、これは人間の努力や環境の影響を含めて子孫が引き受けると、訂正する必要があります。そして、人は努力する環境にあって、適切な行動をすれば自らの才能のスイッチや病気から身を守るDNAスイッチが入るという科学的根拠があることを私たちは知る必要があります。

お客様相談センター

朝、事業所のPCスイッチを入れるとLAN回線が不通。電話も不通。ONU(光回線終端装置)のエラーかと再起動させても回復しないので、もしや断線?と光ケーブルをたどると、コネクターの根元で断線していました。光ケーブルの終端処理をした接続は専用器具が必要で素人に修理はできません。ONUより外側は通信業者しか修理できないと法律にあるそうで、なんか既得権限をうっすら感じますが、その関係で工具すら販売していないので仕方がありません。

しかたがないので、お客様相談室へ電話。案の定、待たされること1時間。「ただいま大変ご相談が込み合っており・・・。」「込み合ってないお客様相談室ってあるんかーい」と自動アナウンスに突っ込み入れながら待ちました。修理は明日とのこと。すてっぷは通信手段が絶たれても子どもがyoutubeにつながらないと不満を言うくらいで、個人携帯でなんとかなります。でも、最近はネットをフルに使っている大型事業所もあります。例えば毎日の日誌はすべてメール転送、希望日申し込みもネットサービス、お迎え時間も配車も職員動静シフトもネット連絡で運営しているのです。そんなところは臨時対応が超大変です。お客様相談室につながるまで電話をかけ続け、うまくつながっても修理は後日です。事務方の悲鳴が聞こえてきそうです。

善意に判断すれば、どこも人手不足なのですぐには電話に出られない、すぐには対応できないとも考えられます。でも、ネット販売なんかの電話って大抵すぐにつながります。時は金なり。それだけ人員を割いている証拠です。儲けにならないトラブルやクレーム部門は人手を減らすということでしょう。ただ、通信業者は法改正で雨後の筍のように参入してきています。これまでの電気通信法の既得権限の上にあぐらをかいていた事業者も競争に取り込まれます。顧客のアフターサービスに不満を持たせるとすぐに客は奪われます。そう思いながら、新たな通信業者の検索をしようとしたら、あーネットが切れているのでした。トホホ。

 

同窓会プランナー

この季節、実家に帰る方も多いので同窓会に参加される方も少なくないようです。最も企画が多いのは高校卒業時の同窓会のようですが、公立高校の1学年は平均的には200人程ですが、一昔前の1学年は500人程でした。ここに目をつけたのが同窓会プランナー会社です。同窓会の参加率は幹事の数にもよりますが、20名ほどの幹事がいれば3割は参加するそうです。これをホテルやレストランで1万円程の会費で同窓会SNSの設定から会場選び参加状送り、同窓会内容のプランニングまで4か月かけて全部込々でやってくれる会社がでてきました。会費1万ほどで儲かるのか?と思いますが、宣伝としての企業スポンサーを同窓会毎につけてこの企業からの宣伝費も入って来るので十分成り立つそうです。

簡単に言えば同窓会幹事代行屋さんなのですが、ここに独自の会員だけのSNSを組み合わせることによってスポンサーをつけられることに着目したところが秀逸なのです。同窓会幹事と言えどもほとんどの方が仕事を持ち、年々仕事が忙しくなるのが普通です。知り合いだけならまだしも、大コミュニティーの格式ばったお世話は年齢が増せば増すほど面倒になってきます。しかも代行料は参加費にわずかにつけるだけで済むのならお願いしようと思う方は多いと思います。

こんな仕事を思いついた人。大学時代はイベント屋さん、いわゆるパリピの仕掛け屋さんです。それを生業にしてしまったのです。成功のアイデアは自分の強みから生み出すものという法則を地で行っている方たちなのです。強みを生かすことは社会のあちこちに転がっているものなんだと感心してしまいます。

高校野球

京都代表の立命館高校は2回戦で惜敗しました。でも京アニ「響け!ユーフォニアム」応援歌が演奏できて良かったです。

今も甲子園では灼熱の中激闘が繰り広げられていますが、文字通り灼熱の中の試合も何とかしてほしいですが、投手の肩の酷使は早く解決してあげて欲しいものです。一部の大人の利益のために、高校球児の才能を断ち切ってしまう可能性のある大会制度をいつまでも続けるのでしょう。殺人的な酷暑だとニュースでは警告しながら、同じチャンネルで甲子園を放映するテレビ局の葛藤は全く見えません。

大会前の高野連の発表では、投球数について、一定期間での総投球数に制限をかけるとの方向性を「これから議論する」そうです。なんで大会までに結論を出さないのかと本当にじれったいですが、とにかく一定の制限は来春からは、やっとできそうです。しかし、まだ酷暑下でのゲーム回避の問題は解決していません。甲子園のドーム化検討も一時はあったのですが、結局は甲子園球場の伝統と金銭の問題が入り混じって実現せずでした。みなさんはどうお考えでしょうか?

 

新型出生前診断

妊婦の血液を元に、ダウン症など赤ちゃんの染色体に変化があるか調べる新型出生前診断(NIPT)について、厚生労働省が国内の実態調査を始めます。2013年医学会などの5団体が施設認定に厳しい条件を付けることで了承し、臨床研究が始まり、これまでに約6万5千件が実施されました。しかし、認定を受けずに検査する民間クリニックもあるので正確な件数や実態は掌握できず、妊婦へのカウンセリング不足などが問題になっています。

厚労省は各地の衛生検査所を調査し、認定外の施設を含めた検査の件数を調べることにしています。また、実際にカウンセリングの状況や検査費用なども調査します。調査結果は今年中に検討会で報告して、検査する施設の要件などの今後の医療施策に生かされるといいます。

2011年に米国で始まった新型出生前診断は、採血だけですみ、しかも感度が約99%と高く、検査が受けられる時期も長いのが特徴です。妊婦の血液にわずかに含まれる胎児由来のDNAを分析します。採血だけでできるので、専門知識が十分にない医療機関でも検査できる反面、十分な遺伝カウンセリングなどが伴わないと混乱が生じるとして、遺伝に詳しい常勤医がいるなどの条件を満たす医療機関を認定し、臨床研究として実施してきました。対象を原則として35歳以上の妊婦に限り、調べる疾患も13トリソミーや18トリソミー、21トリソミー(ダウン症)の染色体異常に限定しました。

この日本産科婦人科学会の指針では法的拘束力が無く、現状では無認可施設で十分なカウンセリング無しに検査が行われるなどの問題が起きているといいます。今後は、医療機関に加えて検査会社も登録制にするなど、法的にも抜け道のない実施体制作りが必要だということで今回の厚労省の発表になりました。テクノロジーの進化を止めることはできません。大事なことは人権尊重のモラルに基づいた法制化と、社会の寛容さではないかという議論が進められています。