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みんなちがってみんないい

あさイチ「どう向き合う? 思春期の発達障害」

今日の朝のEテレで、あさイチ「どう向き合う? 思春期の発達障害」の放映がありました。思春期になると、周囲との違いを意識することで、生きづらさを感じることも多いですが、なかには発達障害が引き金になっていることもあり、周囲にはどんなことができるのか考える企画です。

ASD専門医の大御所でもある信州大学の本田秀夫先生の最初のお話は、発達障害は大人から見て変に見える事を基準に診断している面があるけど、大人からは見えていないけど、独特な感じ方や考え方をしている子ども達が思春期になってくると悩みが表面化するということでした。

通信制高校に通う女子は教室の明るさに疲れて授業が受けられなくなっていました。光過敏のASDの特性をよく知る専門の先生が、暗い部屋に導いて何故彼女が苦しくなったのか今後どういう配慮をすればいいのかを相談にのっている様子が流されました。人との煩雑な交流を配慮した通信制高校ではあったけど感覚の問題も見抜いてくれる助っ人がいるなんてすごいなぁと感心しました。

二つ目は、読み書き障害の書字障害のために字を書くと頭が混乱して勉強ができなくなるという中学男子の話です。彼の訴えを中学校が理解してくれてPCでのキーボード入力を認めて(?)くれ安心して教室で授業に向かえるようになったそうです。ただ、気になったのは、彼はわざわざ自分の書字障害をクラスにカミングアウト(障害を自分から公開する)してクラスメイトから許容(?)してもらったという下りは、なんで自分でカミングアウトしないとパソコン入力如きが教室でできないの?と思ってしまいました。この程度の合理的配慮は学校の責務だからです。同じように感じたゲストからは、オーストラリアでは、教室でのPC利用は生徒全員が利用できるという話や、入学の最初に学校から生徒と保護者に向かって違う学び方をする人もいるから理解してほしいと説明するのが当たり前なので、みんな違う学び方をする人に違和感はないと発言されました。本田先生もPC利用はメガネと同じことじゃないかと助言されました。

最も心に残ったのは、発達障害の人たちに一番必要なのは好きなことを心ゆくまで仲間と楽しめる趣味の場の保障だという映像です。興味のあること好きなことをとことんやれる居場所を保障している東京のNPOでは、アニメの教室やボードゲームの教室で活躍している発達障害の青年を取材していました。好きなことだから難しくても追求できる、得意なことだから人にも教えられる、そしてそのことで仲間から必要とされている自分に気づき自尊感情を高めていくことができるという映像です。このブログでもすてっぷが、PCプログラミングでもカードゲームでもeスポーツでも岩石集めでも遺跡ほりでもなんでもいいから好きなことを見つける場になれればいいと書き続けてきたので、この放映はとても心強く感じました。

 

不注意や集中しにくいADHD症状の治療(緩和)薬について

ADHDやASDの子どもの中に、勉強に向かうのにとても時間がかかったり、机に向かってもすぐに集中できなくなって他のことに興味が行ったりする子どもがいます。本人がとても好きな事でも、少し細かな作業や集中を要する内容があるとすぐに疲れてしまい、大人に代わりに作業をして欲しがったり、興味のあることなのにあきらめてしまうケースがあります。周囲には、「辛抱ができない」とか「あきっぽい」とか思われてしまったり、本人も「自分は皆と同じようにできなくてだめだ」と思い込んでいます。こうした子どもには、何をどれくらいすべきか視覚的に示したり、周囲の環境を調整して気が散らないようにしてあげたり、本人が集中できる時間を計測して学習や作業は短時間で休息を入れたインターバル構成にしたり、いくつか他の内容をするように設定してあげたりします。しかし、それでも本人の気が散って本来の能力が発揮できない場合や、自尊感情を失って意欲がない場合などは、服薬の力を借りて取り組みやすくしてあげることが必要な場合も少なくありません。ここでは、著しく不注意や気が散って集中しにくい子どもへの服薬について正しい知識を持ってもらうために、いくつかの資料からまとめてみましたのでお読みください。

コンサータ
鎮静効果があり、多動傾向や衝動的な行動を軽減することが出来ます。この事により、学校生活や仕事に集中することができ、生活にメリハリをつけることが出来ます。効果が出るのも比較的早く、服用をはじめて1週間以内にその効果があらわれます。効果時間は服用後、10~12時間継続し、1日1回(朝)が基本となります。最も多かった副作用としては、食欲低下で、不眠、頭痛と続きますが、副作用の有無は子どもによって違います。

ストラテラ
コンサータと同様に集中力の向上や多動傾向や衝動的な行動を軽減することが期待出来ます。ストラテラは即効性はなく、服用開始から効果が出るまでは約2週間かかり、安定した効果が得られるまでには6~8週間程度必要となります。ストラテラの効果の持続時間は服用から24時間です。子どもの場合は1日2回(朝・夕)が推奨されています。内用液剤もあり、カプセル剤が飲みにくい子どもにも飲みやすい物となっています。副作用の強さとしてはコンサータよりも軽く、副作用が発症しても2、3日で治まります。

インチュニブ
インチュニブはコンサータやストラテラと違い、小児用(6~17歳)のADHD治療薬として開発されました。効果自体は、コンサータやストラテラと同様に多動性、不注意、衝動性の症状を和らげる効果があります。服用開始からインチュニブの効果が出るまで期間は1~2週間であり、効果の持続時間は24時間です。服用は1日1回です。副作用として多いのは傾眠(うとうとする)で、血圧低下、頭痛と続きます。

ビバンセカプセル
2019年3月26日に日本で承認された新しい薬ですが、覚醒剤原料の規制対象となっていますので管理が厳しい薬です。小児にはリスデキサンフェタミンメシル酸塩として30mgを1日朝1回服用します。副作用は食欲減退(79.1%)、不眠(45.3%)、体重減少(25.6%)、頭痛(18.0%)、悪心(11.0%)などが報告されています。

効き目も副作用も個人差があり、人によってはほとんど効果がないものもあります。服薬の目的は「日々の生活を不自由なく、落ち着いて暮らせるようになる」ということと、学習は分かれば達成感のあるものだと感じてもらうことです。精神科が扱う薬だから不安だという感情をお持ちの方もおられますが、いつまでも処方するものではありませんし、服薬している多くの子どもたちが楽に過ごせているのも事実です。薬で無理に子どもを落ち着かせるという認識ではなく、また、効果について過度の期待もしないというスタンスが大事です。生きやすくなる手助けをするための「いくつかの中の一つの手段」として服薬があるということを理解することが大切だと思います。もしも、不注意の診断や治療を考えたい方があれば近隣の医療機関もご紹介できますのでスタッフまでご連絡ください。

地震対策

先日、新潟で震度6強の地震があり驚きました。東北地震は日中でしたが、真夜中や明け方が多い気もします。もしも日中放デイの時間帯に地震が起こったらどうするか避難計画を検討しています。この建物は軽量鉄骨製ですから、家屋が傾くことはあっても倒壊はしません。ただ周囲は木造家屋が多く夕食前などは火災が心配され、北側の家屋が火災を起こすと避難が必要かもしれません。

すてっぷの前は狭い市道ですが、もう一本南側は外環の府道が走り東側は171号国道ですので信号停電による大渋滞や渋滞から逃げる車が前の道をたくさん通行することが予想され徒歩による避難所=向陽高校(徒歩5分)への避難には注意が必要かもしれません。被災程度によって避難所で過ごすか火災などがなければここで過ごすのが妥当かの判断が必要になります。

電話が通じなくても最後までネットは通じるので、このホームページやSNSなどで被災状況を発信します。保護者の皆さんはホームページやツイッターのチェックをお願いします。(現在、ツイッターでの発信はしていませんが、重大地震が起これば #すてっぷ地震 で検索してください)

こうした児童福祉施設の災害」による非常事態の対策は、非常災害対策計画として厚生省令でガイドラインが示されていますので興味があればご覧ください。計画が確定したら保護者の皆さんにも配布したいと思います。

習い事型放課後等デイサービス

放課後等デイサービスについては以前掲載しましたが、前回は施行初期の頃の意義や厚労省が掲げたことをそのまま説明しました。しかし、実際は一言に放課後等デイサービスと言っても、取り組みの内容や一日の過ごし方など、施設によってかなりの違いがあります。
施設ごとの特徴としては次の4タイプ、もしくはそれらの混合があるようです。
A.生活型 B.療育型 C.お勉強型 D.運動型 
CDは習い事型といってもいいかもしれません。

A.生活型
ゆったり過ごせる雰囲気を大切にした放課後等デイサービスのことです。「それ、家でよくない?」と思うかもしれませんが、発達障害のある子は、人間関係を築くのが苦手な子が少なくないです。「他人に興味がない」「人の気持ちがわからない」という子には、生活型でゆったりと人とのかかわりを学んでいけます。
もちろん適切なかかわりを促せる大人の存在が必要なので、障害特性や支援のノウハウをスタッフが身に着けているかどうかでサービスに大きな差が付きます。
「学童保育」に近い内容、おやつを食べたり、宿題をしたり、友達と遊んだりするだけの場所なのですが、そういう「学校が終わった後に障害のある子も友達と遊べる場」という内容は最初に放デイに求められた社会的役割です。
また、親もスタッフと子育ての悩みや将来の不安などを相談できるという保護支援の観点も前回書いたところです。

B.療育型
療育型の放課後等デイサービスでは、子どもの発達支援に特化した取り組みをおこなっています。そのため、OT(作業療法士)やST(言語聴覚士)、PT(理学療法士)や心理士、音楽療法士などの専門スタッフが在中し、子ども一人ひとりの特性に合わせたカリキュラムを設定します。■感覚統合(バランスボールなど)■自立課題(弁別・マッチング・組立課題など)■自己理解 ■ソーシャルスキルトレーニング ■リラクゼーション訓練 ■日常生活動作訓練(ボタンの付けはずしなど)■学習支援(鉛筆の握り方など)■絵カードによることばの支援(理解・表出)■発音の訓練 ■基本動作の訓練(座る・立つ・歩くなど動作の維持・向上)■変形・拘縮の予防■姿勢の調整・管理 などを個別か小集団で取り組みます。
就学後の発達障害児が療育を受けるとなると、各自で専門の病院に通ったりする必要がありますが、このように放課後等デイサービスで療育をおこなうというのが特徴です。ただ、その分とても人気がある施設なので、かなりの数の待機児童がいます。

C.お勉強型
放課後等デイサービスの中には、■学力補充 ■英会話 ■ピアノ ■パソコン(プログラミング) ■ダンス などの個人レッスンを、本人や保護者の希望によりおこなってくれるところもあります(多くは時間制のようです)。発達障害児の場合、なにか習い事をさせたいと思ってもその環境(人の多さ・一斉指導など)に苦手感が出てしまい通えないという子も少なくないかと思います。「興味の幅を広げてやりたいけれど、一般的な習い事に通わせるのは敷居が高すぎる」と感じている方にニーズがあるようです。

D.運動型
お勉強型と同じように運動に力を入れた施設もあります。運動は、発達障害児の心身の成長にも良いので結構ニーズがあります。スイミングスクールで「プールサイドを走り回り、プールに飛び込み、ルールも守らないので危険」という理由で断られた経験のある親は少なくありません。聴覚過敏がある子もいるので室内プール特有の音の反響でスイミングが苦手になった子どももいます。こうした事態を把握してスイミングに力を入れ室内プールを持っている放課後等デイサービスも存在します。他にも■体操 ■テニス ■卓球 ■フットサル などスタッフの得意なスポーツを取り入れているようです。「運動面を伸ばしてやりたいのだけど、一般の習い事やスクールには通えなくて…」という方のニーズをくみ取ったのが運動型の放課後等デイサービスです。


ステップは生活型と療育型の混合を目指しています。様々な年齢、様々な違いのある子ども達が、スタッフの支援を受けつつ助け合ったりぶつかり合ったりして社会性が育つように取り組んでいます。また、子どもたちの自立性を高めるために構造化支援(視覚支援)を行い個別学習に取り組んだり、表出のコミュニケーション支援として個別指導を行っています。私たちは、社会性と自立性は多様な個性を基盤としながらも表裏一体なので日常生活の様子を把握してこそ生きた療育ができると考え、このAB混合型を選択しています。

CやDの習い事型は、このサービスの発足当初は想定されていなかったと思います。民間に任せれば、子どもを放置してビデオ・ゲーム漬けの悪徳放デイが出る一方で、利用者目線で痒い所に手が届く新しいサービスが生まれたのだと思います。障害のない子には学童保育も塾も習い事も家庭収入の差はあれども選択が可能です。やっとその選択の可能性が障害のある子にも広がってきたのだと思います。公立だから良くて民間だから劣るというのは間違いだと思います。利用者ニーズにこたえる公正な競争は良いサービスを生み出していくと期待したいと思います。また、そこに働く人々の労働条件や賃金も向上するようにバランスの良い業界の成長を期待します。

花粉症

昨日、すてっぷに来てから鼻水がずるずる出てくしゃみ連発なのでこりゃなんかのアレルギーだと思っていたのですが今日は何ともないのです。周囲を見回してみるとヒノキがありました。隣の庭のヒノキの花粉が風で飛んできて1本だけなので全部飛び散ったのかしらと推測しています。この時期はブタクサというイネ科の花粉とヒノキ花粉のアレルギーが多いといいます。

花粉アレルギーでアナフラキシーショック(アレルギー反応によって急速に、皮膚、呼吸器、消化器など複数の臓器と全身性の症状で生命にかかわるような状態)になる人もいるのでアレルギーといえども侮れません。最近はDNAレベルで治療するDNAワクチンが治療用にならないかと研究が進められています。

アレルギーには花粉だけでなく食物やペットの毛、化学物質、ホコリ、金属と挙げればきりがないです。なぜこんなにアレルギーが増えてきたのかは、ざっくりいうと人間の文明が進化したためです。古来人体が防護してきた微生物や細菌の防御機能が、清潔環境では感染がおこらず他のもので反応するようになるからだ(1989年イギリスStrachan博士)と言われます。

同じようなことはいろんなことで言えそうです。社会性の発達についても失敗がない子は後でしんどい目に合うと言われるようにです。ただ、だからと言って重篤な感染症にかかるのは予防する必要がありますし、病弱者なら些細な感染症でも防ぐ必要があります。同じように、重大な失敗体験が予測できるなら予防する必要があるし、子どもの特性によっては些細な失敗も重大なトラウマになってしまうこともあります。

要は一人一人の子どもの的確な見立て(どの程度の失敗なら大丈夫か)と、明確な支援策(失敗のリカバリー方法)を大人が持っているかどうかにかかわっています。これって、最近のアレルギー治療、つまり的確なアレルゲン特定と減感作療法(徐々に慣らす治療)によく似ています。

家事労働

子どもたちにお家で何のお手伝いしてると聞くと、たいがい「ふろそうじ」とか「食器下げ」です。昔は新聞取りとか牛乳取りとかあったのですが時代の変化で廃れたようです。

子どもは、お手伝いから多くのことを学び成長します。でも、お手伝いをやらせればいいというわけではないし親がどのように対応するのかが重要です。子どもは基本お手伝いをするのが好きです。子どもがお手伝いしたいと思う気持ちは、子どもが心身ともに成長しているからです。自分の力を試してみたいという意欲の表れでもあります。
自分からやりたいと言わない子どももやりたいと思っているかもしれません。「これをするの、一緒に手伝ってくれる?」と、声をかけてみましょう。一度にたくさんのお手伝いを頼まないように気をつけてください。お手伝いが嫌いになります。子どもによって、また、内容によって、子どもだけに任せる場合や、お母さんやお父さんと楽しんで一緒にやることもあると思います。


お手伝いは基本ほめましょう。子どもはお手伝いしたことをほめられると、また頑張りたくなります。失敗しても決して叱ってはいけません。少々のことには目をつぶり、大目に見て、やってくれている気持ちを尊重しましょう。たとえば浴槽洗いで子どもの洗い方が不十分な場合でも、その場で注意し、スポンジを奪い、親が子どもの目の前で洗い直すということは決してしないでください。子どもの自尊心を傷つけます。まずは感謝の気持ちを述べ、洗い直したければ、あとで子どもに気づかれないようにこっそりすればいいのです。次の機会に、親子で一緒に洗いながら「この角っこのところ、とくに注意して洗おうね。ヌルヌルが残っていないか、指でキュッキュッと、確かめてみるといいよ、そうそう上手上手」と教えてあげましょう。


子どもは、お手伝いしたことを感謝されることにより、人の役に立ててうれしい気持ちを実感し、また、最後までやり終えた達成感から、自分に自信を持つようになります。そして自分の判断で行動できる子どもになります。子どもはお手伝いからたくさんのことを学びます。どうやったら早くできるのか、どうやったらうまくいくのかを考え、工夫します。家族の一員として何か役割を与えられると責任感が芽生えます。
お手伝いは、子どもに任せるお手伝いもありますが、親がやっていることを一緒に手伝ってもらう場合もあります。親と同じことをすることで一体感が生まれ、いつもは話さないことも語ってくれるものです。子どもの方からあまり語らない場合は、親の方から子どもの頃の話など色々と話すと、子どもは共感し、心を開き自然と語るようになります。お手伝いをさせないで育ててきた子どもに、大きくなってから急に手伝わせようと思っても難しい話です。幼稚園や小学校など小さな頃からお手伝いの習慣をつけると自然に仕事が好きな子どもに育っていきます。

西陣麦酒プロジェクト

昔、作業所で作ったアクセサリーを買ってほしいと会合で現物が回ってきたことがありました。皆さんは好意的に購入されていましたが、現物は販売品質のレベルには達していませんでした。材料費だけでも回収したいというスタッフの気持ちはわかるのですが、それなら正直にカンパをお願いしたらどうかと思ったことがあります。これは作業所の利用者のスキルの問題ではありません。経営者や職員がこの商品から製作に関わった利用者がどのように購買者にイメージされるか想定できたかどうかの問題だと思うのです。

前回(4/20)掲載した「西陣ビール」の続報が京都新聞6/11に掲載されました。「おいしい」「かわいい」「背景ストーリに共感」と言われ他の地ビールより割高でも取引されているそうです。商品は欲しいと思われてなんぼだと思うのです。おいしい!かわいい!がバズり(流行り)、そのことで製作にかかわった人たちが身近に感じられるように、経営戦略を立てることは会社だけでなく福祉の事業所にも求められていることだと思いました。

https://www.762npo.jp/

みんなでお出かけしたい。福祉車両が欲しい

当事業所は職員の自家用車を事業対応車として保険に入り送迎の運用をしています。自宅の送り迎えはそれでいいのですが、みんなでお出かけするときは小さな車だと分乗となり車内指導がむつかしかったり運転手が余計に要ったりで効率が悪いのです。10人乗り車なら子どもを一気に乗車させてみんなで移動できます。車内指導も容易です。

さらに、福祉車両なら車いすも乗ったままでそのままリフトやスロープ・ウィンチで乗車できるのでみんなでお出かけできます。また、車いすの方の乗降介助は窮屈な姿勢で介助されるので、精神的にも肉体的にも当事者が一番負担なのです。

でも福祉車両は例えばワゴン車なら400万近くしますし軽自動車でも150万を突破します。これを2台買うとかなり厳しいなと唸っています。そこで、あちこちの助成団体を見て申し込もうと思っています。だいたい価格の6割程度は助成してくれるそうです。しかし、車屋さんに聞くと当選の確率はこの地域では1~2割だそうです。でも申し込まなければ何も始まらないので書類の山と格闘することにします。がんばります。

アセスメント

当事業所が発達検査を実施しているのは「読み書き障害」のところで掲載したところです。当事業所が実施しているのはKABC2という最新の理論に基づいた検査です。この検査は子どもの認知力と学力の両方を見る検査です。WISC4などほかの検査は認知力しか見られないので実際の読み書き計算の力がはかれません。ただ、認知と学力の両方を検査するので2回に分けないと子どもが疲れてしまうという課題はあります。

アセスメントは、医師がおなかが痛いのに頭痛薬を出さないように、療育者もどこが課題か把握してから療育を進めた方が最短距離で結果に到達できるからです。もちろん検査なんかしなくても、長年の勘で子どもの課題を見つけて支援を考える方もおられますが、今はチームで支援するのがあたりまえですので、誰もが根拠に納得をして支援を進める必要があります。誰もがというのは支援を受ける本人も家族もさしています。

検査はするけど、検査結果を口頭でしか報告しないとか、報告すらしないという検査者がいるそうです。こういう方は、病院で検査をして結果表を病院が見せてくれなくても、医師が数値をもとに診断しなくても大丈夫なんでしょうか。みなさん「数値が独り歩きする」と言って「親が数値だけで子どもを見てしまう」と報告されないのですが、それならあらゆる統計値で構成された天気予報も保険料も認めないのでしょうか。天気予報が外れたと訴える人はいないでしょうし、保険の生存率や事故率を認めない人もいません。統計値を確率として了解しているからです。

とういうことで検査根拠に基づいた支援をしてほしいとご希望される方はスタッフまでお知らせください。

 

宿題と学習時間

筆者が小学校の頃は先生によって宿題の量はまちまちだったみたいです。「みたいです」というのは、最後まで宿題をやったためしがないのでおそらくそうではなかったかという話です。今はほぼマニュアル化されていて先生によって大きく違うことはないようです。文科省が出している宿題の目安として(引用資料探せませんでした)、「学年×10分」です。1年生なら10分、6年生で60分です。はっきり言って短いです。でも、平均より学力の低い子を目安にこの程度と言われています。小学生段階だと、家庭学習の「習慣」を身につける練習にはこれくらいということでしょうか。

ただ、学力は量だけで決まるものではなく質だと言われる向きもあります。平均的高学年の子どもが学習を持続できる時間は50分程度といいます。そのうち完ぺきに集中できる時間は平均15分程度らしいです。だとすると、集中できる15分間に何の学習をもってきて、それ以外の時間にはどんな学習を持ってくるのか考えておく必要があります。漫然とドリル学習をさせるだけではもったいないということです。

ここまで読んでお気づきの方もいると思います。同じ子どもが向かっている学習時間ですら時間帯によって質が違うとすれば、違う子どもならさらに違いが生じるはずだということです。子どもの特性をよくつかんで宿題を開始する時間、内容の順番、今の宿題の学習量や質が子どもに適しているかどうかは家庭で組み立てたり見てあげるしかありません。小学校の宿題は子どもが大きくなって家庭で自学自習の習慣とその自信を子どもにつけるために行うものだということです。

 

慣れる?

うまくいかずに困っている子どもを見て、よく大人は「そのうち慣れるでしょう」と言います。慣れるとは、大辞林を引くと

①たびたび経験した結果、当たり前のこととして受けとめるようになる。なれっこになる。 
② 何度も経験してうまくできるようになる。習熟する。 
③ 接触する機会が多く、心理的な隔たり・距離感がなくなる。
④ 体になじんで具合がよくなる。
⑤ 動詞の連用形や名詞の下に付いて、何度も経験して具合がよくなる意を表す。 
⑥ なじんで打ち解ける。
⑦ 着物が着古されてよれよれになる。 

つまり時間が解決するということでしょうか。けれども時間をかければなんでも慣れるでしょうか。嫌なことが毎日毎日繰り返されたり、意味のわからないことが繰り返されたりすることに人は慣れるでしょうか。

仮に今努力が必要だとしても、将来の見通しがあれば頑張れます。でも慣れるというのは努力した結果とは少しニュアンスが違いませんか。慣れるというのは、自然にだんだんと適応していく意味合いが強い言葉です。でも、自然にと言うのはいずれ誰が説明しなくてもわかるとか、いずれ普通にできると言う意味合いで。いつまでたってもかなりの努力を必要とし、持てるパワーの半分以上を消費してしまう様子ならそれは普通の状態では無いです。

ここらを混同して使う大人が結構います。意味がわからなくて混乱状態の子どもを前にして慣れるだろうと根拠ないことを言ったり、かなりの努力をしていつバッテリー切れを起こすかわからない状態なのに、できているから「慣れてきただろう」と言うのです。要するに子どもの内面が見えていないのに、「慣れた」という言葉を使って子どもの内面に関する思考を停止してしまうのです。

子どもは子どもで、みんなは自分よりはるかに努力をしているからできるんだ、自分はダメな人間だと思ってしまうのです。他の子は自然にできていくだけなのです。すなわち慣れたのです。その子にとって特別な努力をしないとできないようなことに慣れるという言葉は使ってはいけないですね。

対人関係を調整することの難しさ

ASDの人たちに共通する特性の一つに対人関係を調整することの難しさがあります。特性の強さや現れ方は子どもによって違いがあり、ある特性が特に強い場合や、成長に従って特性が変化することもあります。

ASDの子どもは、他者との関わり方やコミュニケーションの取り方が変わっていることがあります。相手の気持ちや状況といったあいまいなことを理解するのが苦手で、字句どおりや状況に関係なく理屈だけで判断したり行動をとる傾向にあり、臨機応変な対人関係を築くことが難しく、誤解されたり相手を誤解したりすることが少なくありません。

表情や話しぶり、視線などから相手の気持ちをくみ取ることができにくいので「暗黙のルール」がわからず孤立しやすいです。受け身過ぎたり、一方的過ぎるなど、双方向の対人関係がうまくとれない人もいます。
表面的な会話だけでは問題はないのですが、場の空気を読めないなどの特徴のために周囲の人のひんしゅくを買ったりすることがあります。普通に話しているつもりなのに相手を不愉快にさせたり、怒らせてしまったりするので友達ができにくい人もいます。

この特性のために本人は「生きづらさ」を感じることもあります。一方で、「人の意見にぶれずに課題を遂行する」などの形で、特性がむしろその人の強みになることもあります。「高い記憶力」や「好きなことへのこだわり」といった特性を発揮して仕事や趣味で充実した生活を送っている方もたくさんいます。だから、その子がもって生まれた個性と理解して、「生きづらさ」を軽減しながら得意なことを伸ばす支援が大切です。

筆者がよく経験するのは、ASDの方が緊張をされている環境の中では対人理解に誤解がよく生じます。先生から、友達から、上司からひどいことを言われたというものです。また、誤解された相手は「そんなひどいことは言った覚えがない」と憤慨されます。相手方の言われた内容をよく聞いてみると、通常の関係なら善意の励ましや激励、正確な理解を促すための説明となるのですが、聞き言葉をうまく処理できにくい方や中心的な趣旨をつかみにくい方なら、誤解するかもしれないなと思うことはよくあります。

こんな時に言った言わないについて第3者が介入すると、水掛け論どころか火に油の場合もあります。言った言わないは保留して、あの環境下では誤解が生じやすかったのだという認識を双方が持つことが大事ではないかと思います。どちらも悪意はない。善意で話しあったけれども、双方の真意は届かなかった。届かなかったものは今届ければいい。今後はこういう解決方法を取ればいい。と未来志向で向かい合って話し合うことが必要です。第3者はどちらの肩も持たず、誤解があったこと、誤解ならば解く必要があること、次回はこうすればうまくいくという支援が大事だと思うのです。

 

声のメータ表


不必要に大きい声で話したり、または逆に全く聞こえない声で話したりする子が少なくない当事業所では声のメータ表を掲示しています。
事業所100m前から来たな!とわかる声もあれば。1m隣でもこちらの耳の老化のせいもあり聞き取れない小さな音量もあります。
でも、視覚で確認できれば自分はどのくらいの声で話したら良いのかがわかるようです。イラストにしていまの声はこれくらいかなと示せるようにしてあります。
「0」が心の中
「1」が隣の人
「2」が4、5人のグループ
「3」が部屋全体
「4」が屋外
数字で表すととても具体的で子どもにも分かりやすいです。実はこの課題に取り組んでいる方は結構いて、「アリからライオンの声」までで表現したり「円の面積の大小」示したりいろんな工夫があります。筆者が困るのは声の大きさは丁度よくても、早口で声のトーンが上がってしまいキーキー声になる方がいるのです。これにはどんなレベルメータがいいか思案中です。

 

保育所等訪問支援事業ーその2

かなり前に保育所等訪問事業を当事業所で実施しているとアナウンスしました。先日も連携先の施設参観や懇談を行いました。保育所・小学校・中学校と大きくなればなるほど支援関係先が増え、お互いに情報をいきわたらせるだけでもかなりの労力を割きます。というか、同じ情報を共有していなければ連携などできないといっても過言ではありません。そして、大勢の方たちのスケジュールを合わせて会議設定をして支援の方向性を出していきます。会議というのは結構コストがかかる代物です。人件費×人数×時間ですから多ければ多いほどコストがかさみます。保護者のオーダーで訪問事業者には支出されますが、残りの部署の各自は全額持ち出しですから、受け手の善意で成立しているといってもいいでしょう。もちろん訪問を受けることで各部署にも専門的な知見や技術が提供されるメリットがあるというのがこの事業の建前です。

さて、保育所や施設の場合は直接介入して「こんなふうに工夫します」と構造化支援や視覚支援ツールを使ったりや感覚統合アプローチなどを実際の子どもにやらせて、スタッフに見てもらって理解を促すことができますが、大きくなるとなかなか他の現場に実際に介入することがむつかしくなっていきます。第一に、当事者の思いがあります。また周囲の子どもや職員の理解や感情にも配慮していくことになります。そういうわけで高校までの支援ではありますが、だんだんお互いの情報を共有してベターな支援策をお互いに見つけていく支援会議の比重が重くなっていきます。このシステムは福祉だけでなく教育分野で準備しているところが多いですが、地域によって格差があります。

もともと、保育所等訪問支援事業は年齢の小さな子や障害の重い人でも工夫によって通常の環境に適応させていくというインクルージョン志向から始まったものです。つまり、児童発達支援事業や放デイを推進することはエクスクルーシブ(障害者の囲い込み)じゃないのかという声にバランスをとった政策と言えなくもないのです。実際には子どもを預かっているところが発達支援のイニシアティブをとるのは当然です。従って支援に必要な経費もスタッフの専門性維持の何もかも相談支援事業者には執行の権限がないなかでどれくらいのパフォーマンスが実現するのかは、双方の相性や条件次第というところかもしれません。

ただこの事業のいいところは業種を超えて知恵を集めてチームで子どものために頑張ろうというところだと思います。当然家族も含めてです。

プログラミング教育

2020年から小学校でプログラミング教育の必修化が発表されました。
プログラミング教育の必修化を推進する背景として、Webエンジニアをはじめとする情報技術(IT)者の人材不足があります。調査によると、2020年に37万人、2030年には79万人のIT人材が不足すると予測しています
2015年に総務省の調査研究によると、2013年以降から子ども向けのプログラミング教室が増えているそうです。
そして、IT人材の不足に対応するため、総務省は2025年までにIT人材を新たに100万人育成する方針を発表しており、プログラミング教育が推進されています。保護者の反応としては、プログラミングを実際に勉強した人はプログラミング教育の必修化に賛成し、自分の子どもにもプログラミングを勉強させたいと思っているようです。
このブログでも書きましたが、マインクラフトもプログラミング教育として役立つと掲載しましたが、他にも実際にロボットを動かしたりと様々な企業が参入して面白い教材を開発しています。少なくない放デイの事業所もマインクラフトやプログラミング教育を導入しています。今後10~20年で、私たちの知っている半分の職種がAIで動く機械にとってかわられ、新しい職種が生まれるといいます。私たち大人も産業再構成に柔軟に対応していく必要がありそうです。

学習性無力感

「学習性無力感」は、失敗や嫌な経験をしたことが原因で何をしてもうまくいかないとあきらめてしまい、仕事や勉強に対してやる気がおきない無気力状態に陥る状態を指す言葉で、以前このブログにもレジリエンス=「困難や苦境からの回復力、復活力」で掲載しました。

さまざまな失敗経験をする中で、大きなストレスや苦痛を感じたことが原因で意欲が低下していきます。「自分にはできない」「何をしても無駄」だというあきらめの意識が芽生えて、仕事や勉強に取り組むことができない学習性無力感に陥ります。周囲からは「だらだらしている」「さぼっている」などと思われていますが、本人はなんとかやる気を出そうと葛藤しています。そのため、周囲に理解されにくくますます無力感が強くなるといわれています。

学習性無力感の原因は大きく4タイプに分けられるそうです。
1 完璧主義の人は何事にも100%で取り組むためエネルギー切れしやすく、ケアレスミスでさえ気にする傾向が高いため、負のループにはまりやすく、学習性無力感になると考えられます。
2 やる気や達成感に関係する脳内物質のドーパミン・アドレナリン・セロトニンは睡眠中に調整されます。そのため、睡眠時間が少なくなったり眠りが浅いと脳内物質の調整が不十分で、ささいなきっかけで学習性無力感に陥るといわれます。
3 幼い頃から大人の言うがままで、自分で意思決定をせずに大人になった人は、大人になっても現実の自分と向き合えず、学習性無力感に陥りやすくなります。このタイプは人生の節目(就職・結婚・子育てなど)ごとにつまずく人がいるそうです。
4 幼児期に虐待や過酷なイジメにあった、恋人や配偶者からDVを受けたなど自己否定をされ続けたことがあるタイプの方は、潜在意識で「何をしても無意味」「自分が認められることはない」などと考えているために学習性無力感に陥ります。この4番目のタイプには学習障害など発達障害の子どもたちが支援のない学習環境で苦手を強いられる状況に置かれていても同じように無力感に陥ります。
タイプ別に示しはしましたが、簡単に分けられない事も事実です。無力感が続けば生活リズムも乱れるでしょうから睡眠も不十分になる事もあります。また、環境変化に柔軟に対応しにくい自閉症圏の方なら1番も関係しやすいし、過集中のADHD圏の方なら2番もあてはまるというように発達障害の方はこの学習性無力感にハイリスクで陥りやすいということです。

回復の手立ては簡単ではありませんが、確実に達成可能な小さな目標を持たせ、一歩ずつ少しずつ実行させていくことです。本人に「できることがある」ということを認識させることで、自己肯定感を強めます。これを繰り返していくことで自己肯定感を持たせ、自信を取り戻してもらうことで学習性無力感を改善することができます。周囲にはサボっているように見えていても本人は一生懸命闘っているので「がんばれ」は激励にはならないので、温かく見守ることが大事です。

自閉症圏の方をはじめとする完璧主義タイプはすべてのことに対して100%を求めます。考え方として「70%達成できれば合格」と大人が誘導することで、「ほどほどの感覚」を学んでもらいます。
「何がしたいのかわからない」という悩みを持っている人は今後の目標を考えることが苦手です。今後の目標もなく学習や仕事に向き合っていればいつか行き詰まります。目標を持って学習や仕事に向き合ってもらうために、好きなことを実現する短期中期の目標や見通しを構築する支援をしましょう。
やる気や達成感の源である脳内物質のドーパミン・アドレナリン・セロトニンは睡眠によって調整されるので、睡眠時間を確保する手立てが必要です。最初は薬の力を借りて睡眠をしっかりとり生活リズムを整えることも可能なので、医師に相談してみましょう。

学習性無力感の原因は完璧主義、生活の乱れ、目標の未確立、つらい経験の4タイプがあります。また、学習性無力感になると意欲が低下して挨拶や発言をしなくなり、周囲からだらだらしていてサボっているように見えます。学習性無力感の人には、叱咤や激励よりも成功体験を積み重ねられるように工夫し支援しましょう。

発達障害のある子どもの家庭教師

発達障害のある子ども専門の家庭教師が増えています。「教育を十分に受けさせたい」という保護者は多いのですが、学校の現場には、特別支援教育の知識や経験がある教師の数が十分ではないことも背景にあるようです。

例えば、注意が散りやすい子どもには、上手な家庭教師なら90分の授業の間、教材を次々と変えていきます。集中力を途切れさせないための工夫です。ASDの場合こだわりが強い子が多いので、じっくりと向き合って、潜在能力を引き出すことが大事です。

発達障害の診断を受ける子どもが増え、保護者のニーズも高まり「発達障害コース」を設けた塾は次第に増えてきています。授業では生徒ごとの特性に合わせて、視覚優位を生かしたカラフルな教材を使ったり、歴史をうまく覚えられない子には歴史上の人物が載ったカードでゲームをさせたり、計算の苦手な子には教材に玩具のブロックを使ったりします。

教える側には、大学で心理学や特別支援教育を学んだ人や、身内に発達障害の人がいて育てた経験がある人などがいるところが信頼できるでしょう。料金は1時間あたり6千円~1万円ほど。教材をたくさんそろえ、個人にあった教え方が必要ですから市販の教材では間に合わないことも少なくないからです。環境が変わると混乱する子が多いので、同じ先生が担当することが多いです。

作文を一行も書けなかった小学生が原稿用紙一枚書けるようになったり、漢字が書けなかった中学生が漢字テストで平均点を取れるようになったり、通信簿がオール2だった中学生の生徒が2年間でオール4以上になって進学校に進んだケースが紹介される一方、うまくいかなかったケースはなかなか拡散されないので、どこのどの先生の指導がいいかどうかは何とも言えません。

全国展開をしているアークスタイル(大阪市)は派遣する専門の家庭教師の数は都市部でも足りず全国的に不足しているのではないかと言います。また、関係者は、家庭教師はただ遅れを取り戻すだけでなく、その子どもが何が得意で何が苦手かを正しく理解し、自尊心を尊重する指導を目指すことが大事だといいます。

学校では一律に授業を進めなくてはならず、カバーしきれない部分もあります。個別の対応を必要とする子がいる中、こうした家庭教師や塾の重要性はますます高まるのではないかと感じます。

8050問題

8050問題とは1980、90年代頃にひきこもりの子を持った家庭が、年月を経て、高齢化し、80代の親が50代の子を養う現象の事を言います。
8050問題が深刻化してしまったのは原因を若者問題・しつけ問題と浅薄にとらえてしまった政策の誤りだといわれています。
ひきこもりは、「社会復帰させる」「更生させる」事として捉えられたこと。そして、ひきこもりは単なる、「親のしつけ不足」や「若者に良くある心理」として考えられたからです。だから、ひきこもりの本人やその家庭は恥ずかしくて、悩みを打ち明けられず、改善する場所を見いだせずに現在に至ったのです。自治体や研究者はひきこもりの年齢が40歳以上にも調査結果がでていたのに、「若者自立・挑戦プラン(2003年)」という若者政策を出してしまい、修正しなかったのです。これらが結果的に8050問題につながるひきこもりの長期化をもたらしたと言われます。
ひきこもりは職場や学校での精神的なトラウマから起こる病気といっても過言ではありません。国の政策は実質、そのトラウマのある場所に戻そうとするのですから成果が上がらなかったのです。
8050問題の状況下にある家庭に良くある特徴は、ひきこもりを恥だと感じて、他者の協力を得る事が出来ない事です。その為、一向に子どもが現状から何もできない状況に陥ります。まずは、ひきこもり本人と、その家族がその悩みを打ち明けられる場所を全国的に設ける事が必要です。そして、「どこかに就労しなければならない」という事にこだわらず、働かなくても人はつながれるし生きていけるという選択肢を増やすことが重要です。現在、働く事は企業に勤める事だけではなく、支援を受けながら働く可能性は広がっています。その様な選択肢をひきこもりで悩む人に合わせて考えていける場を作る事こそが重要だと言えます。

 

 

学童保育のありかた

学童保育(乙訓では留守家庭児童会)は「地域で子育てする」制度で、「子どもは放課後に育つ」視点を持った地域事業とも言えます。嘱託職員や派遣労働の職員が人材となる中で、子どもが自ら通いたくなる学童保育にするためには、教育福祉家庭の連携以前に学童保育の運営方法を検討する必要があると言われています。
「子ども主体の学童保育」の理念を掲げ、地域の指導員会議や研修会をもち、理念をどう具体化するかに腐心する中で、親も子も次第に学童保育に好感を寄せ始め大型の学童保育所も好評を得ているという報告もあります。その中身は、保護者の多くが、「外遊びが多く」「手づくりおやつは美味しく」「子どもは楽しく通えている」、「子どもの気持ちを大切にしてくれる職員」が多く、「楽しい行事が増え」、「家庭との連携」も「トラブルへの対応」も適切にされていると評価しています。ステークホルダー(利用者)を大切にする方法を抜きにしてどんな組織も発展はありません。
良い学童保育は、①学童保育運営に責任を持つ法人等の正規職員の採用で学童保育実践の持続可能性を図ること、②正規職員を核にした責任ある運営体制を創出すること、③保育内容をお仕着せのものから子どもと共に作り出すものに転換すること、そのために、④職員間の連携を深めること だとしています。
学童保育を「子どもの生活」を守るための地域拠点として位置づけ、家庭と深く連携し、学校との連携も図る、「福祉と教育をクロスボーダー」できる位置に置くことによって、居心地のよい子どもの居場所を創出し、親子関係の修復、家庭や地域の再生にも寄与できるのではないかといわれています。そのためには、利用者=ステークホルダーの意見聴取や運営への参加は欠かせません。

かたずけられない


子どもが自分の部屋を片付けられなくて、部屋がいつも物で散乱していて困っておられる方は少なくありません。散らかっている部屋にいるのに平気でいるというのは、どうしても心配になりますし、部屋を片付けて生活してほしいと思うのは当たり前です。
部屋を散らかす子どもは片付けが苦手で、言われて部屋を片付けても、あっという間にまた散らかってしまうものです。
あまりにも汚い部屋で暮らしている子どもは、もしかして病気なのではないだろうかと不安に思われる方もおられると思います。
病気でなかったとしても、部屋を片付けられない子どもは、いつまでたっても片付けられないままなのだろうかと心配になり、どうすればよいのか悩んでいる方も少なくありません。
部屋を片付けられないという病気や障害は確かに存在します。
しかしきちんと観察して、ひとりひとりの子どもに合った対応をしていくことで、片付けられない子どもも、片付けられるような方法がみつかります。
また、病気や障害とまで言えなくても、片付けられない子供に寄り添って、片付けられるようになるまで親が教えたり手助けしたりすることで、多くの子どもは片付けられるようになるものです。

なぜ子供が片付けられないのか考えてみると以下の理由が考えられます。

★必要性を感じていない
片付けをしない子どもたちの中には、『部屋が散らかって汚くなっていても気にならない』という子どもがいます。
片付けられない子どもたちは、部屋がおもちゃやゴミ袋が散乱しているような状態でも気にならず、片付けをする必要を感じていません。親が『片付けて』とか『掃除をして』と言っても、家族みんなが気持ちよく暮らすという他者の視点がわからないので掃除や片付けをしなくても良いと考えています。
★片づけ方がわからない
または、ただ単に面倒くさくて掃除が大嫌いなので、片付けができないという子ども達もいます。片付けをしなくてはいけないと感じながらも、どうやって片付ければ良いのか分からないで、結局散らかった部屋のままでいる子どもたちもいます。片付け方が分からない子どもには、大人が丁寧に片付け方を教えることで、うまく片付けられるようになります。

★ストレスが原因になっているケース
子どものストレスが原因になっているケースも考えられます。子どもの生活の中の、学校生活、家庭環境、親子関係、夫婦関係、友人関係などの中で大きなストレスを感じている場合、心に抱える問題が大きくて、その子どもの中では片付けをしている場合ではない、片付けをする気も起きないような心理状態になっているケースです。ストレスによって片付けができない子どもの場合、やはり片付けよりもその子どものストレスの原因となっている問題を、解決していく必要があります。

★病気や発達障害などによるもの
『片付けられない症候群』と言われるADHDやADDという発達障害がありますが、この障害を持っている場合、その子どもは片付けがとても苦手です。ADHDである場合は、脳の機能的な障害に原因があり、『不注意』『多動性』『衝動性』と言う特徴を伴っています。
ADHDの特徴である、うっかりミスがとても多かったり、少しもじっとしていられない性格だったり、衝動性を抑えられないなどコントロールがしにくい性質を感じられる場合は、正しく診断をしてもらう必要があります。
発達障害と診断されたら、その障害に合った支援や薬の力で、片付けられないことも含め、生活の不自由さを和らげることができます。
片付けられない子どもの中には『ため込み症候群』といわれる強迫性障害のひとつ、ホーディングという障害を持っている場合もあります。『物を集めすぎて困る』とか『捨てられない』という特徴があります。ADHD、強迫性貯蔵症のほか、ASDのこだわり等柔軟性の欠如が原因の場合もあります。
そのほか、うつ病、セルフネグレクト、統合失調症、認知症。これらの病気は、ストレスが原因で引き起こされる病気です。

片付けられない子どもが片付けられるようになるには、大人の助けが必要です。言葉を教えるように、子どもに片付けを教えていきます。
一緒に片付けを始めることで、片付けに対する重要性に気が付く機会となります。
部屋での探し物が多かった子どもなら、一緒に分類したり、整理したりする作業を通して、部屋を片付けることは生活を快適にし、物の置き場所を把握することが、便利で心地よいことであるということが分かってくると思います。一緒に片付けをしていく中で、片付けられない理由や行動の癖が分ってくると思います。つい散らかしてしまう癖を解消するための対策を一緒に工夫することで、散らかさないためには『具体的にこんな工夫をしたい』という、対策の意図も理解してくれます。
例えば、ゴミ箱の置き場所ひとつとっても、ゴミを入れやすい場所へ移動するだけで、ゴミ箱へゴミを入れる行動がかなり増えると思います。脱いだ服を床へ置きっぱなしにされないように、サッとひっかけられるフックを壁に取り付けたり、かけやすいハンガーラックを用意したりすればよいかもしれません。帽子やかばんなども、簡単にかけられるようポールハンガーやハンガーラックがあると、簡単にひっかけるだけで片付けられる仕組みを作ることができます。

部屋が汚いと怒るのに、部屋をきれいにしても褒めないでいるという事も多いです。怒られて仕方なくする片付けと、片付けたら褒められるという片付けだと、片付けをした時の気分がよいものになるか悪いものになるか、ずいぶん違ってきます。『片付けを始めた時』『片付けをしている時』『片付けが終わった時』など、こまめにほめて、子どもの片付けへのやる気を引き出していきましょう。
逆に、もし片付けが上手くいかなくても、怒ったり嫌味を言わないことが重要です。ほめるという大人の行動は、片付けが嫌いな子どものやる気を引き出していきます。みんなの一員として、子どもに『お手伝い』として役割分担を与えましょう。お手伝いのご褒美としては、『褒めること』が最もよいのですが、なかなかお手伝いをしてくれない子どもには、お手伝いの分担をこなしたら、例えば何か好きなことをしてよいというご褒美などを与えると、お手伝いも続けられるようになります。
片付けられない子どもには、それぞれ違った理由や原因があります。
親が子どもを見守り、必要な時に必要な助けをタイミングよく差し出し、子どもに寄り添っていくことで、片付けられない子どもも少しずつ片付けられるようになります。
片付けは教えていかなければならないものであると意識して、ひとつひとつ褒めながら教えてあげるとうまくいきます。