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「くたばれ学校」投稿の少女学校の部活禁止に違憲判決

「くたばれ学校」投稿の少女学校の部活禁止に違憲判決

6/24(木)【朝日新聞】

米連邦最高裁は23日、学校への不満をソーシャルメディアに投稿した少女の部活動参加を禁止とした学校の処分について、違憲だとする判決を言い渡した。少女の投稿が学校側に混乱をもたらしたとは言えず、合衆国憲法修正第1条が定める「言論の自由」の範囲内だと判断した。

問題になったのは2017年5月、当時ペンシルベニア州の高校1年だったチアリーディング部の少女(18)が土曜日にコンビニから、共有アプリ「スナップチャット」に投稿した写真。私服姿で舌を出し、中指を立て、《くたばれ学校くたばれソフトボールくたばれチア全部くたばれ》との文字を添えた。

この投稿を少女の友人を通じて把握した顧問が問題視した。「汚い言葉を使わないスポーツマンシップが求められる」などの教育委員会規則に反するとして、少女は1年間、部活動を禁じられることになった。

判決は公立校について、学校外における生徒の言論であっても規制が可能だとの見解を示す一方、今回の事案では少女の言論を制限するだけの理由がないと判断。処分について「合衆国憲法修正第1条に違反する」と結論づけた。

少女は訴訟を支援した人権団体を通じ、「私は、今日の10代がするように自らの不満を表現した。若者には、学校に行ったときに罰せられると心配することなく、自分たちについて表現できることが必要だ」と声明を出した。(ニューヨーク=藤原学思)

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合衆国憲法修正第1条とは、宗教の自由、表現の自由、報道の自由、平和的集会の権利等、国民の表現の自由を掲げたものです。今回の高校生の汚い表現は、スポーツマンだからと言って部活動参加を禁止してでも妨げるほどの理由にはならないという判決です。そもそも、こんなことが裁判になるところがアメリカらしいですが、日本ならどうなったかなと思います。「くたばれ学校」ではなく「学校なんかなくなれ」だったら問題なかったのか、使った言葉が「Fワード(F*ck)」で、これがどの程度の反社会的な言葉か理解できていないのでピンときません。

お国が変わって中国ならどうなるのだろうと思います。学校やクラブをディスったぐらいでは何ともないのかもしれませんが、これが香港政府や中国共産党に「くたばれ」と書き込めば監獄行きなのでしょうか。香港の新聞「リンゴ日報」は、香港国家安全維持法に違反したとして警察に資金が凍結されたことなどを受けて、24日の朝刊を最後に発行停止に追い込まれました。学校への高校生の書き込みと新聞の主張を一緒くたに考えるのはいかがなものかと言う意見もあります。

しかし、たかが高校生の言動に4年もかけて合衆国憲法を持ち出して言論を戦わせるアメリカと、たかがスポーツ・芸能新聞の政府批判の表現が気に入らないと120年以上も続いた表現の自由を弾圧で消し去る世界人口の5人に1人を占める中国との違いは、単なる政権の違いとは言い難いものがあります。

検査の読み方

検査を見る人は、まず全検査IQ(WISC)とか総合尺度(KABC)が100よりどれくらい離れているかを見ようとします。心理検査の多くは100を平均にとって偏差値で得点を表現します。受験で使う偏差値の平均は50です。50から多いほど難関校の合格レベルになっていきます。しかし、検査は受検ではありませんので、100より多い数字だから良いという事ではありません。この数値は10以上ある検査の平均値に過ぎないからです。発達障害の子どものように能力に激しい凸凹がある人の平均値はほとんど意味がないのです。

学力で考えてみましょう。国語が10点で数学が90点ならこの人の平均点は50点です。クラスの平均点はどちらも50点だとします。ではこの人の全体的な学力は50点でクラスの平均学力なのでしょうか?そういうより、国語が超苦手で数学がめっぽう強いといった方がこの人の実態を表します。学力対策も平均50点の国数の対策をするより数学はおいといて国語の対策を集中的にとるのが当たり前です。

検査の結果も同じことです。KABCでいう同時(見て処理)尺度が115で、継次(聞いて処理)尺度85で他の2尺度が100なら、平均値の認知尺度は100です。この100を見て認知の力は標準と見てはいけないのです。言葉で理解する力は平均より低く、理解の早い図や絵も用いて説明した方がよいということになります。IQ(全検査IQや認知総合尺度)だけみても凸凹発達の人には意味がないというのはこうした理由からです。

一般にIQが安定するのは9歳以降と言われ、心理検査は3年生以降でないと大きく変化することがあります。また、IQと学力も必ずしも一致しません。研究によると4割程度しか一致しないのです。つまり、教え方や環境、本人の素質でIQは伸びるという事です。ただし、その人に適した教え方をやめるとIQが元に戻るという研究もあるので、いかに環境が重要かわかります。

検査の細かなことは、検査をした方が丁寧に説明をしてくれます。しかし、大事なことは、大枠を理解することです。大枠とは平均点でしかないIQではありません。大枠とは凸凹のプロフィールが何を意味するか理解し、凸凹のプロフィールつまり得意な事や苦手なことを組みあわせた支援のイメージのことです。

トークン・エコノミー法

トークンエコノミー法とは、ジョージア州立大学名誉教授テオドロ・エイロン博士(Teodoro・Ayllon)とノヴァ・サウスイースタン大学教授のネイサン・アズリン博士(Nathan・H・Azrin)によって開発され、1968年に出版された「トークンエコノミー(The Token Economy)」で紹介された方法です。

「トークン(ふだ)」とは本人にとって価値のある強化子と交換できる代理物のことです。例えば、適切な行動に対してシールを貼ってあげたり、丸印のチェックをつけてあげたり、クリップを置いてあげたりすることです。これらが決められた数だけ貯まったら価値のある強化子、例えば校長先生に褒めてもらえたり、休憩時間が5分伸びたり、好きなお菓子を買ってもらえたり、することが出来ます。このトークンと交換できる強化子を「バックアップ強化子」といいます。

このように事前に標的とした望ましい行動が見られたらトークンを与えますが、事前に標的とした減少させたい不適切な行動が見られた場合はトークンを没収します。このトークンを没収する手続きを「レスポンスコスト」といいます。例えば、授業中不適切な会話をしたらトークン1つ、立ち歩いたらトークン2つなど基準を設定し、それらの行動が見られたら基準通りにトークンを没収します(負の弱化)。ただ、「レスポンスコスト」は今日の応用行動分析の現場ではあまり使われなくなっています。

標的行動とトークンの基準、バックアップ強化子を視覚的に分かりやすく提示したり、リストを作成するなどして、いつでも確認できるようにすると良いです。

トークンエコノミーの良いところは、実用的であることです。例えば学校や事業所で課題に従事する行動に対してトークンエコノミーを用いる場合、どんなところでも用いることができ、課題を中断せずすぐにトークンを提示することができ、周りの子どもの邪魔にもなりません。

また、トークンを得られる基準を高めたり(例えば、1分間課題に従事できたらトークン1つから、3分間課題に従事できたら、5分間、10分間、と伸ばしていくなど)、バックアップ強化子と交換できるトークンの数を増やしたりすることにより(例えば、トークン3枚で交換から5枚、10枚。20枚と変更するなど)、バックアップ強化子を提示する頻度を減らし「飽和」(ご褒美に飽きる)を防ぐことが出来ます。家庭でも例えば冷蔵庫にトークンをつけるシートを貼り付けておいたりすると、子どもが事前に決めた適切な行動を示したらシートに1つチェックを入れるなどは、それほど手間がかからないと思います。ただ、子どもと契約もせずに、大人が勝手に変更すると一気に信頼性がなくなり使えなくなるので注意が必要です。

トークンエコノミーを導入する場合、まずはシステムの意味を理解してもらう必要があります。標的となる適切な行動とトークンが得られる基準、バックアップ強化子の種類と交換できるトークン数を明確にし、視覚的に分かりやすいように工夫して、子どもにシステムを説明します。コミュニケーションが可能であれば、ある程度話し合って子どもの希望も聞きながら、表的行動やトークン数等を決めると良いです。

最初はシールが2枚貯まったらバックアップ強化子と交換するなど、頻繁にバックアップ強化子と交換できる機会を作り、システムの意味を教えていきます。そして、徐々にシール5枚などに基準を高めていきます。子どもが理解でき、ごまかさない形式で、また紛失したりしないような環境に合わせた形式で、トークンエコノミーを用いていきます。トークンは学校運営にも有効であり、トークンなどの具体物を用いた強化子の方が、微笑と過賞賛といった社会的強化子よりも効果的であり、有利であるという報告があります。

京都市 介護従事者や保育士など対象 ワクチン優先接種始まる

京都市 介護従事者や保育士など対象 ワクチン優先接種始まる

06月28日【NHK】

京都市は介護従事者や保育士などのエッセンシャルワーカーを対象にした、新型コロナワクチンの優先接種を28日から始めました。

京都市左京区の「みやこめっせ」に設置された京都市の集団接種会場には、午前中から介護施設や障害者施設で働く職員やスタッフなどが次々に訪れました。

訪れた人たちは、5つのレーンに分かれて、健康状態に問題がないか確認する医師の問診のあと、順番に接種を受け、30分ほど待機して体調の変化がないか、様子を見ていました。

今回の優先接種は、京都市内で働く介護従事者や保育士、それに教職員など、生活を支えるエッセンシャルワーカーおよそ5万人が対象で、今後は、市バスの運転手やゴミ収集の作業員などにも拡大していくということです。

接種を受けた介護従事者は、「病院に行くことも多いので、早くワクチンを打って利用者の方に安心して付き添いたいです」と話していました。

京都市医療衛生推進室の板原征輝 担当部長は、「子どもを守るためにも、地域の人たちに接する職種から先に受けてもらっています。このまま計画が順調に進むよう、ワクチンの安定供給を国に要望していきたい」と話していました。

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京都市が京都府より動きが早いのは、人口がほぼ同じでもトップダウンでの「関所」が少ないからでしょう。府や県は協議したことを、各自治体におろし、各自治体はそれをまた協議して決定するという手続きがあり結果的に実施が遅くなるのかもしれません。普段はそれでもいいかもしれませんが、有事の時は政府からのトップダウンが早く末端まで届くようにしないと、有事の時間勝負の対応に間尺が合いません。

先日、京都府から事業所職員のPCR検査用の採取容器が送られてきました。ワクチン接種を一刻も早く広げようとしている時期に、頓珍漢なタイミングで送られて来た原因はわかりません。採取日のみ1日だけの感染検出のために症状のない何万人も検査を行い、陽性反応が出れば各保健所は事業所に行ってクラスター調査を行うことになり、ワクチン接種で投入すべき人員を割くことになります。当然事業所も、擬陽性であっても最低三日程度は休業が必要になります。

武漢株からインド株に変異していることが危険とメディアは煽りますが、インド株の主症状の多くは頭痛と鼻炎です。高齢者の重症化率はワクチン接種の広がりで顕著に減少しています。今は、ワクチン接種を高齢者と関係者に急ピッチで接種することが優先課題です。京都市が事業所PCR検査をとばして事業所職員ワクチン接種に取り組んだのかその両方を実施したのかはわかりません。ただ、一般的にはトップダウンが通りやすい仕組みは、決めたことでも状況を見て柔軟に変更する決断が早いと言えます。

先日、海外選手に陽性者が出ているのに、日本のバス運転手も自治体コーディネーターも選手と一緒にバスに同乗して宿舎に向かい、濃厚接触者と認定されたという報道がありました。感染しているかもしれない海外の選手に対応するのはとても感染リスクが高いです。ワクチン接種は高齢者からという順番ルールはあるけれども、ホスト自治体に海外変異株を広げないためには海外選手の対応をする関係者は優先してワクチン接種をすべきです。トップダウンの「関所」の自治体で協議の機会があったはずなのに、国からの指示はないとして何も変更して決められなかったのです。一方、接種のやり方は自治体に任されていると言うのが国の言い分ですが、全体を俯瞰して危機の予測ができるのは政府ですし、オリパラは国家事業です。こういう事態こそメディアは正確に取り上げて欲しいものです。

キャンプ

今夏は、経費削減でキャンプに出掛ける人が多いそうです。家族だけでなく空前のキャンプブームだそうです。『オートキャンプ白書』によると、2012年に720万人だった利用者は、2018年には850万人に増加し、6年連続して増えているそうです。野外キャンプを推進する団体が行った小学生対象の調査で「キャンプで一番楽しみにしていることは?」、1位は温泉。自由記述の「一番やりたいことは?」で最も多かったのは「ぼーっとしたい」でした。小学生が、中年サラリーマンのような回答で、みんなどんなキャンプだったのか、ちょっと気になります。

キャンプといえば、楽しくバーベキューをして、焚火の前で飲み食いしながらのおしゃべりが楽しいのですが、労せずその時間が待っているわけではありません。到着したら、まずはテント設営を家族全員で行い、タープ(日よけ雨よけ)を張り、子どもらと水汲み小枝集め、包丁を持つ子と、荷物やシュラフ(寝袋)のテント内整理の子に分かれるといった日常よりもすべき仕事、果たすべき役目がたくさんあります。これらを覚えさせ習得させるまで、ある程度時間がかかります。手伝っては虫を追いかけ、水を汲んでは川に石投げする子どもに、「大人ばっかり働いてるし、手伝わんならキャンプに連れてこんよ!」と叫んでいたりします。叱られた子は「もう、キャンプなんか嫌やし」とすね始めます。でも、うまく火が起こせたら「すごい!ありがとう!」と褒められ、水を運べば感謝されと、仕事を達成すれば何回でも褒められる環境なので子どもたちはまんざらでもありません。テントが設営された瞬間。タープが張れた瞬間。焚火に火が回り始めたとき。自分が切った具材の入った食事が出来上がったとき。子どもも大人も大きな達成感に包まれます。

たかが年に1、2回のキャンプかもしれませんが、子どもは野外活動で何かを獲得すると思います。最初は仕事の中身がわからなくてもめたりするけれど、最終的には自分から仕事を見つけて取り組みます。すべてが「内発的な動機づけ」です。内発的動機づけは、賞罰など外からの強制力に依存しない自発行動です。子どもが大好きな焚火。木を運んで、自分でくべて、乾燥しているものがよく燃えることを知って仲間に伝えていきます。何かを買ってあげるからというような「外発的動機づけ」で木を運んでいないから発見し伝えようとするのです。森の中の遊びなど、さまざまなところに自由があり、子どもは、自由を獲得してこそ、成長があります。

遊びに夢中になって雨に降られてびしょぬれになれば、次回は「風が出てきたら雨が降る」などと風や空の様子を感じながら遊ぶようになります。夕立がくれば、テーブルやいすをたたんでビニールシートをかける等、応急作業を家族や仲間と協力して迅速に行なえるようになります。昼食の枯れ枝を集めに行けば、たくさんある所見つけ夕食分もついでに拾う等、すべての体験が自分で考え判断する力や段取りする力につながります。ただし、最初からテントやコテージがあり道具もすべて整備された今流行の「グランピング」はここでいうキャンプではありません。不便さがあってこそ大事な宝物が獲得できるのです。それから、子どもが大きくなったら家族キャンプには誘いにくくなります。思春期は親は大抵うざい存在です。また友達同士で何かを成し遂げる価値を感じる時期です。家族でキャンプ、知り合い家族と合同キャンプは小さなうちの期間限定の値打ちがあると言えるかもしれません。

COCOAアプリに不具合

感染者 接触確認アプリに不具合 修正まで通知なし 新型コロナ

2020年6月23日 12時24分【NHK】


新型コロナウイルスに感染した人と濃厚接触した疑いがある場合に通知を受けられる、「接触確認アプリ」に不具合が見つかり、厚生労働省がアプリの修正を進めています。修正を終えるまで、感染した人への番号の発行を見合わせるため、接触の通知は行われないことになります。

アプリは、今月19日に運用が始まり、スマートフォンを持っている人どうしが15分間以上、1メートル以内に近づくと、相手のデータを互いに記録します。

利用者が新型コロナウイルスに感染した場合、保健所から発行される処理番号をアプリに入力すると相手先に濃厚接触の疑いがあると通知されるしくみで、23日午前9時の時点でおよそ371万件ダウンロードされています。

ところが、厚生労働省によりますと、処理番号について、誤った数字をアプリに入力すると「失敗」と表示されるはずなのに、正しく登録できたことを示す「完了」と表示されてしまう不具合が見つかったということです。

厚生労働省は不具合の修正を進めていますが、混乱を招くおそれがあるとして、修正を終えるまで感染した人への処理番号の発行を見合わせています。

このため、この間に感染が確認された人に関する接触の通知は行われないことになります。厚生労働省は、今後の見通しについて明らかにしていませんが、なるべく早く修正を終えたいとしています。

加藤厚生労働大臣は、記者会見で、「次の感染拡大に備えて、アプリをできるだけ早く利用してもらえるよう、最初のバージョンをリリースしたが、最初の1か月間は試行版という位置づけだ。不具合については、改善作業を進めており、作業が終了した時点で、修正版としてアプリを更新したい。それほど時間をかけずに対応したい」と述べました。

竹本IT担当大臣は、記者会見で、アプリのダウンロードが、23日午前9時までの時点で、およそ370万件に上ったことを明らかにし、「国民の6割が利用しないとクラスターの発見はできないという説もあるが、6割というのはなかなか大変だ。濃厚接触の可能性の通知を受けた人がPCR検査を行うなどの積み重ねの結果として、クラスターを発生させない効果が期待できる」と述べました。

小児科医に聞く 子どもにも多い「ビタミンD欠乏症」

小児科医に聞く 子どもにも多い「ビタミンD欠乏症」が身体に与える影響は?

6/29(火)【ベネッセ】

子育て食についての本を著した小児科医の伊藤明子先生は、子どもの発達障害の研究とビタミンDの研究をしているドクターでもあります。そこで今回は、ビタミンDの働きと健康の関係について、お伺いしました。

増え続けている子どものビタミンD欠乏症
日本の0~15歳の「ビタミンD欠乏性くる病」と診断された子どもの数がここ数年で、3倍以上増えています。原因は2つ、太陽光を浴びていないことと、動物性タンパク質の摂取不足ではないかと考えられています。

近頃の保護者のかたは、太陽によるシミ・シワを嫌がったり、皮膚がんリスクをおそれるあまり、お子さまが日光浴するのを避けたり、かつ日焼け止めをしっかりと塗布するかたが多く見られます。これに加えて、卵や魚などの動物性タンパク質の摂取量が少ないと、「くる病」のリスクはどんどん高まってしまいます。

「我が家は、日光浴させています」というかたの場合も注意が必要で、保護者のかたが子ども世代だった当時は、例えば、冬場は1時間日光にあたっていればビタミンDが生成されると言われていましたが、現在では温暖化などの地球の環境の変化により、東京以北では十分ではない*(コラム下参照)ことが、環境省の発表で明らかにされています。

ビタミンDは体全体に関わる要素
ビタミンDが不足しているのは、子どもだけではありません。
日本では、まだ大人のビタミンD欠乏に関する正式がデータは発表されていませんが、日本と似たようなライフスタイルで暮らす韓国では、調査対象の7割超がビタミンD欠乏症だったというデータがあります。私のクリニックに不調を訴えていらっしゃる患者さんの血液検査をすると、およそ9割のかたがビタミンD欠乏症であることがわかります。実感としては、日本でも同じくらいのビタミンD欠乏症のかたがいるのではないかと思っています。

ビタミンDは骨だけではなく、全身にかかわる要素なので、皮膚や免疫、メンタルやがんにも関係しています。ビタミンDの数値が低い人は、女性の場合は乳がん、男性の場合は前立腺がんのリスクも高いということもわかっていますし、結核などの感染症にもなりやすいのです。

また、メンタルの面でも、うつや精神疾患との関係も研究で出ており、ビタミンDの数値が低いお子さまに発達の課題がある子が多いことや皮膚トラブルが多いことなどを示す研究もあります。

ビタミンD不足の解消は健康的な食事から
一方で、ビタミンDの量は一般的な健康診断の血液検査では項目として含まれていません。気になるかたは、栄養療法をおこなっているクリニックなどに相談するのがおすすめですが、まだ日本全国には行き渡っていないのが現状です。

ですで、まずは直接口に入れる食べ物から、ビタミンDを摂取してほしいと思います。どのような食べ方がよいのかは、「小児科医が実践している、健康レベルが決まる食事法とは?」を参考にしてみてください。
食生活を変えることで、家族全員がもっともっと元気になれるといいですね。

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「暑いし、中で遊ぶ」子どもの口癖です。そのたびに(外遊びの科学的根拠:2020/12/02)で書いたように外で遊んで背を伸ばすビタミンDを体内に生成しようと外遊びを促しています。それを聞くと「しゃーない(しかたがない)なー」としぶしぶ外に出ていく子どもたちです。これから暑い日ばかりですから、本来ならプールや水遊びが熱中症を防ぎながらの遊びには最適なのですが、まだ水場はコロナストップが解除されていません。

学校や公共施設で水遊びができるようにして、子どものビタミンDの生成を支援し、夏休み明けの子どものうつ病等を原因とする不登校を防止しようと言う行政関係者はいないものでしょうか?いつまでも世界からすればさざ波程度の陽性者数の増減ばかりに注目せず、子どもにとっては鼻かぜ程度の症状なのですから、子どもの生活や健康を維持することも考え、決めたことでも状況によっては変更して、柔軟でバランスのいい施策をしてほしいものです。

*大気の対流でオゾンは低緯度から高緯度に運ばれ、オゾン生成のもっとも盛んな太陽直下の低緯度上空よりも、高緯度上空のほうが高密度となる。これが、温暖化によってさらに加速され、高緯度の紫外線量が低下する。

帰省対策

お盆が近づきました。お盆にはいつも会えない、おじいちゃん・おばあちゃんに会いに田舎に帰省される方も多いと思います。ただ、帰省は発達に凸凹のある子どもたちにとってストレスフルな行事となる子もいます。移動に時間がかかり、体力を消耗する。いつも会わない人に何人も会う。いつもと違う環境での寝泊まり、飲食。団体行動を強制される行事(法事・お墓参り・おでかけなど)等「いつもと違う状況」では不安が高まりやすくなります。その結果、いつもできていることもできなくなってしまうかもしれません。

そんな時に、おじいちゃんやおばあちゃん、親戚から「〇年生なのにこんなこともできてないの」と怒られたり、マイナスな言葉をかけられたりする場合があるかもしれません。最終的には「しつけをちゃんとしてるの」と親もつらい思いをすることがあるかもしれません。まだまだ、「子どもができていないことは親のしつけが悪い」「できないことは叱って教えるものだ」というしつけの文化が根強く発達障害に適した子育ては理解されていません。

本来は、おじいちゃん・おばあちゃん、親戚に事情を話して理解してもらうのが子どもにとっては一番ベストですが、少なくとも保護者が相談しやすいキーパーソンを一人決めて事前に相談すればどうでしょうか。帰省する前に「叱ることで自信がなくなってしまう」「褒めることに力を入れたら素直になってきた」と伝えるのです。

帰省先は基本的に子どもにとってストレスになる場合が多いです。生活のリズムが崩れないように調整し、いつも以上に、当たり前にできていることに目を向けて、細かく褒めることが大切です。そうすると子どもの調子がいい状態が作りやすく、自分から良い行動をとろうとし怒られる場面が減るかもしれません。

一方で、実家の祖父母が穏やかで包容力のある方なら実家が大好きになる子どもも少なくありません。そういうケースでは、家庭でうまく取り組めなかった朝型の生活リズムへの修正や、静かなゆったりした田舎の環境で好きな活動をたくさんさせて、思う存分リフレッシュさせましょう。子どもの調子が自宅より良いなら実家に始業式前まで預かってもらうのも悪いことではありません。子どもが多様な人と穏やかに関わるのはとてもいいことです。リスクは早めに察知して対策を考え、メリットは積極的に生かして夏の後半を乗り切りましょう。

自閉症の天才ピアニスト

17歳でデビュー!自閉症の天才ピアニスト 母が語る「子育てで人の手を借りることは、恥ずかしいことじゃない」

6/15(月) 8:05【たまひよオンライン】Benesse Corporation


17才という若さで「天才ピアニスト」と言われデビューした紀平凱成(カイル)さん。3才で自閉スペクトラム症と診断され、聴覚過敏や視覚過敏に悩まされながらも、現在、ピアニストとして活躍しています。懸命に支えてきた母・紀平由起子さんに話を聞きました。

元気のない私に、凱成はいちごをくれた
――母目線のエッセイ『カイルが輝く場所へ』を出版されましたが、乳幼児期の思い出は?

紀平さん(以下敬称略) 凱成はとてもおとなしい赤ちゃんで、おなかがすいたときや眠いとき以外、激しく泣くこともありませんでした。よく笑い朗らかで、手がかからないと思っていたくらい。ただ、6カ月を過ぎてもおすわりをせず、母子健康手帳の成長目安に比べて成長が遅れているのかなと思うことはありました。

――自閉スペクトラム症とわかったのはいつごろですか?

紀平 正式に医師に診断されたのは3才になってから。でも2才前くらいから走り回って、目が離せなくなっていました。「ワンワン、きた」といった二語文が出ず、言葉の遅れも気になっていました。ただ、当時は発達障害について情報も少なく、個人差の範囲かな、と。2才4カ月のとき、自治体に相談して健診を受けたところ、療育を始めることに。「自閉症の傾向があります」と言われたときはどこかほっとしました。原因があるなら治療ができると勘違いしたんです。

――自閉スペクトラム症を含め、発達障害は脳機能の障害なので、完治はしないと言われていますね。

紀平 はい、それを知ったときは落ち込みました。でもそのとき、いつも動き回ってばかりの凱成が、ふと私の前にきてぎゅっと抱き締めてくれたんです。別の日にも大好きないちごを「あげる」と差し出してくれた。何も見てないようで親の普段とは違う様子を感じていたんですね。凱成の優しさに励まされました。

小学1年生のころから、夢は「ピアノを弾く人」

――凱成さんは幼いころから音楽に興味を持っていたのですか?

紀平 私も夫も音楽好きで、凱成が赤ちゃんのころから家にはドラムやギター、電子オルガンなどの楽器がありました。凱成は楽器をおもちゃ代わりにして、よく夫のひざの上に座ってドラムをたたいていました。2才を過ぎたころ、アニメのテーマソングを聴いて、電子オルガンでそのとおりに弾いたんです。「教えていないのに?」と驚きました。その後も耳にした曲をどんどん弾いたり、ギターのコードを勝手に調整するなど、突出した才能があるのかも、と思わされる出来事が重なりました。

――それでピアニストをめざしたのですか?

紀平 小学1年生のときに学校で将来の夢を聞かれて「ピアノを弾く人になりたい」と答えたんです。まさか「将来」について考えているなんて思っていなかったのですが、しだいに、「ピアニストになりたい」と言うようになり、私たちも真剣に応援し始めました。

――デビューするまでの苦労は?

紀平 小学5年生くらいから聴覚過敏や視覚過敏がひどくなり、ピアノもイヤマフ(防音具)をつけて苦しみながら弾くように。とてもつらい状態が数年続きました。それでも本人は一度もやめたいと言わず、一貫して夢を追い続けました。そんな彼を支えないわけにはいかなかった。そしてご縁がつながり、17才でデビューできました。

困難を乗り越えて、ピアニストに挑戦する息子へ
――夢を果たした凱成さんへ、今の思いをお聞かせください。

紀平 下を向いて日常を過ごしていた凱成が、デビュー後は人前に出て演奏をしたり、取材を受けたりできるようになりました。障害は完治しなくても、困難を克服しようとする本人の頑張りと成長に信じられない思いでいます。

――今、子育てを振り返って、思うことは?

紀平 障害がわかった当初、私も夫も人に迷惑をかけてはいけない、と自分たちだけで凱成の面倒を見ようとしていました。でも、今の凱成があるのもこれまで支えてくれた人たちがいてこそ。子育てで人の手を借りることは恥ずかしいことじゃない、親がゆとりを持って子どもに愛情深く接することができるなら、そのほうが大切だと、今になって気づくことができました。今、子育てをまさに頑張っているママ・パパたちにも、そのことをお伝えできたらうれしいですね。
紀平凱成(きひらかいる)
Profile
2001年生まれ。2019年4月、17才でピアニストとしてデビューを果たす。デビューアルバム『Miracle』が好評発売中。イベント情報はオフィシャルサイトに掲載。

紀平由起子(きひらゆきこ)
Profile
1971年生まれ。幼いころから音楽に親しみ、かつて仕事をしながらシンガーソングライターをめざしたことも。出産を機に子育てに専念し、現在は、凱成さんの音楽活動をサポートする。

書籍『カイルが輝く場所へ 発達障害のわが子がピアニストとして羽ばたくまで』

3才で自閉スペクトラム症と診断され、聴覚過敏などに苦しみながらも、ピアニストになる夢をかなえた紀平凱成さん。息子に寄り添い続けた家族の軌跡を、母・由起子さんがつづったエッセイ。子どもをあるがままで受け入れることの大切さを教えてくれる一冊です。紀平由起子著。1300円/NHK出版

「発達障害の子、退園も」保育施設の規則

「発達障害の子、退園も」保育施設の規則に 差別解消法抵触の恐れ

2021年6月30日 【毎日新聞】

東京都世田谷区にあるスポーツ教育をうたう認可外保育施設の規則に、「発達障害で園生活に支障があるときは退園してもらうことがある」という趣旨の記載があることが毎日新聞の取材で判明した。障害者の差別的取り扱いを禁じる障害者差別解消法に抵触する可能性があり、監督権限を持つ世田谷区は施設に対し修正するよう助言している。

この保育施設は「バディスポーツ幼児園世田谷校」。運営会社のホームページ(HP)などによると、2~5歳児を対象に、保育のほかスポーツに特化した教育を実施している。この施設のほか、都内と神奈川県に系列園や姉妹園が計7カ所ある。

施設は入所希望の保護者らを対象にした説明会で園の規則を配布している。そこには「園児が自閉症、注意欠陥・多動性障害などの発達障害と診断され、または園児にその恐れがあり、当園にて今後の園生活や体育全般に支障があると判断される時は、子どもの成長、発達を考慮し特別支援教育への移行を促し、退園していただく場合がある」などの記載がある。

施設は2019年10月から始まった幼児教育・保育無償化の対象で、国が定めた認可外保育施設の指導監督基準を満たしているとして区の上乗せ補助も適用されている。区は「立ち入り検査の際、規則の文言が解消法に抵触する可能性があると判断したため口頭で園側に修正を助言した」(保育認定・調整課)と話している。

毎日新聞はこの規則の意図などについて、園の運営会社に書面で取材を申し込んだところ、6月22日に「区と相談しながら内容の修正を行っている」と回答があったが、実際に退園児童がいたかどうかなど詳しい説明はなかった。

16年4月施行の障害者差別解消法は、公的機関や民間事業者に対し障害者の差別的取り扱いを禁じている。今年5月には障害がある人の移動や意思疎通などを無理のない範囲で支援する「合理的配慮」を民間事業者に義務付ける改正法が成立した。

厚生労働省保育課は、発達障害を理由にした退園規則について「これまで確認されたケースはない。認可外保育施設の利用はあくまで個別契約の範囲だが、一般論でいえば障害者差別解消法に抵触するおそれがある」と説明する。

同法に詳しい名城大の植木淳教授(憲法)は「(障害者への)不当な差別的取り扱いに当たる可能性が高い」としたうえで「保育士には障害教育に対する一定の知見が求められていることからすると、発達障害の事実だけで保育に支障をきたすということは通常考えられない」と指摘した。【遠藤大志】

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障害者差別だとレッテルを貼るのは簡単ですが、どういう経緯でこういう表記になったのかを取材してほしいところです。認可外の保育施設が該当するかはわかりませんが、通常の保育施設は国や自治体が障害児加配制度を使って、人手は確保できます。ただ、加配支給額は非正規雇用程度の金額です。障害児への支援に力を入れる保育施設では正規職員を障害児担当にして非正規職員を障害のない子どもの担当にしているようです。

保育士は、都市部ではいつも人手不足で、キャリアや支援スキルのある保育士を雇用するのが大変難しい状態にあります。障害児支援となると、通常の保育理論の上に発達障害についての知見やキャリアも必要となり、人探しは大変困難です。パート雇用で期限付きのワンポイントリリーフだと思って来た加配の保育士が音を上げるケースもあります。

そういうこともあって、放デイや児童発達の事業所が保育所に出向いて、発達障害のある子どもの支援方法を助言する保育所等訪問支援の事業も作られたのですが、民間保育園からの要請は少ないです。おそらく、大きな行動問題のある子は入園の段階で断られるか、保健師の紹介で公立園や障害児の受け入れ実績のある園に入園しているのかもしれません。記事のケースは入園中に、保育士の手に負えない行動問題が顕在化した場合に退園させる旨が規則になっているので、なにか特殊なケースがあったか、経営者の単なる知識不足が原因だと思われます。

差別は解消する必要がありますが、現場の困り感も汲んだうえで解決を図る必要があります。行動問題のある子を在籍させることで支給を上回る経費がかかるとすれば、民間が障害児保育や統合保育に参入する意欲を削ぎます。民間でもインクルージョンを進めるには、加配の支給額を上げたり、障害児担当保育士の認定制度を作ったりして周辺環境を整えることが大事です。合理的配慮は、事業者の事務・事業活動への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)、実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)、費用・負担の程度、事務・事業規模、財政・財務状況を考慮しなければなりません。理念だけでは合理的配慮はすすまないと思います。

響け!ユーフォニアム

叶えたい事が 溢れてるから 立ち止まってる 暇なんてないよね 胸に秘めたあこがれを フルボリュームで届けよう 行こう…クレッシェンドの向こうへ つまずいてもいい はみだしてもいい 君の音色を 僕たちは待っている 響け! 生まれたての夢つめ込んで 大きな空へ いま旅立とう 拓け! 笑顔を味方につけて 離さない 諦めたくない 限界さえも 跳ね返す勇気で DREAM SOLISTER....

歌詞は、京アニ製作アニメ「響け!ユーフォニアム」の主題歌「DREAM SOLISTER」。

立命館宇治は、夏の高校野球京都府代表校です。同校の地元・宇治市に本社を置く京アニの第1スタジオ放火殺人事件を受け、同校ブラスバンド部はエールの意味も込めて「響け!ユーフォニアム」の主題歌「DREAM SOLISTER」を応援歌に決定しました。ただ、コンクールと初戦の日程が重なり、演奏には初戦突破が条件となっていました。立命館宇治(京都)は、1点を守りきり、春夏通じて甲子園初勝利。2回戦では京アニ作品「響け!ユーフォニアム」の主題歌を応援歌として演奏する予定です。

…離さない 諦めたくない 限界さえも 跳ね返す勇気で DREAM SOLISTER ひとつ ふたつと増えてゆく おいでよ ここまでおいで 楽しまなくちゃ まだまだフォルテシモ DREAM SOLISTER La La La La La 君の声 聴かせて欲しい La La La La La 終わらない音楽は 続いてゆく…

頑張れ京アニ!

コーヒーはぼくの杖

コーヒーはぼくの杖【書評】
はずスラ【NOTE】2019/12/11 15:25

中学に入って数ヶ月後、岩田響さんは母親から自分が発達障害であることを告げられます。8歳の頃にアスペルガー症候群の診断を受けていたのですが、ご両親が伏せていたのです。自分の子どもが発達障害と知って、それまでのいろんな行動に合点がいったと言います。

響さんの特徴としては、・周囲の状況が把握できない・温度が分からない・時間感覚がない・黒板に書かれた文字が水に浸かったように見えて読めない・頭で考えた通りに手足が動かず、うまく文字が書けない・興味がないものには集中できない・過去の記憶が時系列順に整理できない、です。

中学生で障害を知らされた響さんは、周りに劣るまいと自分の中の正しい中学生像を演じようと頑張ります。中学時代にいじめを受けた経験のある母親は明るく彼を見守りますが、現実の厳しさを教えようとする父は彼に普通である事を強います。結果、彼は中1で学校を辞め、自問自答の日々を過ごします。父はここで彼に与えた重圧を知ります。

常に新しい事に目を向けるお母様は独学で手作りの洋服を作り、家族との時間を大切に考えた父親も服の染色を独自に学び手伝います。そして自宅のアトリエの一部を店舗に変え、月に1週だけの洋品店を始めました。彼の退学はそんな矢先の出来事でした。特に他にする事もなかった響さんは、二年の間、父親の染色作業を手伝います。しかし、興味のない物に集中できない彼はそれもやめてしまいます。

父の影響で、次に関心を持ったのがコーヒーです。生まれつき味覚や臭覚に優れていた彼は、異常なまでのこだわりを持ち始めます。図書館で本を読みあさり、なんとネパールにまで足を運び、独学で焙煎を学び出します。失敗を重ね、少しずつ歩き出したのです。毎日、8~20時(長い時は22時を回る)まで小屋にこもり、美味しいコーヒー豆を焙煎し、大切なひとときをお客様に提供するために追究を続けます。

響さんは、コーヒーとの出会いをきっかけに普通じゃない自分を受け入れることができました。本のタイトルである『コーヒーはぼくの杖』とは、足が不自由な人が杖なしには歩けないように、人生を歩む杖としての一杯のコーヒーなのでしょう。

最年少12歳・開心那「緊張は感じていない」 スケボー代表

最年少12歳・開心那「緊張は感じていない」 スケボー代表会見

2021年7月1日 【毎日新聞】

東京オリンピックで初採用されるスケートボードの代表選手が1日、オンラインで記者会見し、パーク女子代表に選出された12歳の開心那(ひらき・ここな)=hot bowl skate park=が「緊張は何も感じていない。自分の国で開催される五輪で初めて代表になれてすごくうれしい」と笑顔を見せた。

パークは、複雑に湾曲したくぼ地状のコースで技や滑りを競い合う。日本オリンピック委員会(JOC)によると、記録が残る中では1968年メキシコ五輪に13歳で出場した競泳女子の竹本ゆかりを抜き、夏季五輪で日本選手最年少となる。

開は北海道出身で、小さい頃から苫小牧市のスケートパークなどで技を磨いてきた。名前は南国好きの母が「ココナツ」にちなんで名付けたという。10歳で出場した2019年日本選手権で初優勝し、米国で行われた同年の五輪予選対象大会、デュー・ツアーでも3位に入った。

現在の世界ランキングは日本人3番手の6位。1位の岡本碧優(MKグループ)、2位の四十住さくら(ベンヌ)とともにメダルの期待が高い。開は本番に向けて「五輪では自分の力を出し切りたい」と意気込みを語った。【浅妻博之】

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和歌山県の四十住さくら選手(19才)がメディアを賑わせていましたが、今度は中1の選手です。オリンピックで行われる種目は2つで、街の中を滑るようなコースで技を競う「ストリート」と、複雑な形のコースで技を競う「パーク」です。四十住さくら選手も開心那選手も後者でオリンピックに出場します。北海道で5歳から練習を重ね、段々と技を出せるようにもなっていった開心那さんは、2018年にはVANSアジアで優勝、世界選手権では7位に入賞。2019年には日本選手権のパーク女子で10歳にして初優勝しました。その試合がきっかけとなり強化選手に選ばれています。

スケートボードは年齢制限が設けられていません。そもそも、オリンピック自体に年齢制限がある訳ではなく、競技ごとに年齢制限が決められています。ボクシングは17歳~34歳、飛び込みは15歳以上といった年齢制限があります。危険が伴うようなスポーツには年齢制限が設けられているようです。スケートボードは危険がないと言えば嘘になりますが、今のところ年齢制限の話はありません。今回は最年少オリンピック出場者と言われておりこれでメダリストになればと活躍が注目されています。

 

就労メニューとワークシステム

前回「すてっぷ日記」で就労メニューについてとりあげました。学童期の自立課題のワークシステムから積み上げていくものだという説明をしました。「一人で作業に取り組むなんてとてもとても」と思われるかもしれませんが、私たちはプットイン課題が自立的にできるなら何かの仕事が将来開発できると考えています。

プットイン課題とは、物を穴に入れる課題です。大きな入れ物に入れる素材の大きさに合わせた穴をあけて、右利きなら右からとって左の穴に入れるワークシステムです。ただ穴に入れるだけですが始めと終わりがはっきりしています。右のモノ(例えば小さなボール)がなくなったら作業終了です。この理解と動作ができれば、様々なものに発展していきます。量も多くできますし形も変えられます。色も変えられます。例えば三角の黄色の材料と四角の黒の材料を、空箱に三角の穴で黄色で囲った縁取りと、四角の穴で黒で囲った縁取りにします。最初は色は分からなくても同じ形の穴にしか入らないのでモノを選別する作業になります。やがて色に気が付けば、穴の形は変えずに色で選別するようになります。

このようにして14歳くらいまで様々に取り組んでいけば、何らかの選別作業を小一時間続けられるようになります。もちろん気が散りやすい方は、1分からはじめればいいし、5分課題に休憩つけてインターバルで10回やれば50分の作業になります。誰からも介入されずに自立して作業することが誇りになります。課題を終えてご苦労様と声を掛けられて達成感のない人はいません。就労メニューとそれに結び付くワークシステムについてご希望の方はスタッフまでご相談ください。

 

落語家の僕が「発達障害」を語る理由  柳家花緑

落語家の僕が「発達障害」を語る理由

柳家花緑 2020.06.13 【幻冬舎Plus】

スピード感あふれる歯切れのよい語り口で、本業のほかテレビや舞台でも活躍中の落語家・柳家花緑さん。2017年、花緑さんは発達障害のひとつ「識字障害」(ディスレクシア)であることを公表しました。
子ども時代から、できないことや苦手なことは自分の努力不足だと思い込んでいた花緑さん。40歳を過ぎて自分が発達障害だと知り、「飛びっぱなしによる疲労でときどき空から落ちていた鳥が、やっと止まり木を得た感覚。本当にラクになりました」と語ります。
自身の経験を軽妙につづった花緑さんの新刊『僕が手にいれた発達障害という止まり木』より、一部を公開します。

*   *   *
思わぬ反響
僕には、「読む」「書く」ことに困難がある、識字障害(しきじしょうがい、ディスレクシア)という学習障害があります。そしてたぶん、注意欠如(ちゅういけつじょ)・多動性(たどうせい)障害(ADHD)もあります。

そのことを知ったのは、2014年。そのころから高座(こうざ)で笑い話として自分の障害について話していましたが、2017年、マスコミでも公表しました。

すると新聞やネットのニュースで僕の障害のことが広がり、仲間内からも、すれ違いざまに「大丈夫(だいじょうぶ)なの?」と声をかけられることが増えました。一瞬のことなので、「うん、大丈夫」としか答えられなかったのですが、これじゃあ、なにが大丈夫なのかさっぱりわからない(笑)。

この「大丈夫なの?」は、どうやら、ちゃんと生活できているのか、ということのようです。なかには、なにか重い病気を抱えていると思ってしまった人もいたようです。要(よう)は多くの人が、「学習障害」や「発達障害」について、正確なことを知らないんですね。

一方で、「実は自分も」「うちの子も」という声も多く聞くようになりました。

確か第1号は、太神楽(だいかぐら)曲芸をやっている鏡味仙成(かがみせんなり)くんのお母さんだったと思います。僕の本のサイン会に来てくれ、「実はうちの息子も識字障害なんです」と話しかけてくれました。

それからわりとすぐ、本人と会う機会がありました。「大変だったね」と声をかけたら、「はい」と、ちょっぴりマジメな顔。なんでも、師匠の「仙三郎(せんざぶろう)」という名前がどうしても書けなくて、苦労をしたとか。

なんとなく彼のことが気になり、僕の独演会に出てもらったことも。ご両親が観みにいらして、終演後、楽屋(がくや)口で「ありがとうございました」とニコニコしていらしたのが印象的でした。

ネットのニュースで僕の障害について知ったという三遊亭白鳥(さんゆうていはくちょう)師匠は、笑いながら軽く話しかけてきました。

「大変だね。オレもね、小学校のとき、教室を歩き回るから、椅子にぐるぐる巻きにされていたんだ。今だったら虐待(ぎゃくたい)だよねー」
びっくりしたのは、春風亭小朝(しゅんぷうていこあさ)師匠の反応です。
「よかったねぇ。政治家になれるじゃないか」
「はぁっ? ちょっと待ってください。僕、政治家になんて、なりたくないですから」
どうやら師匠は、発達障害の僕なら「多様性の時代のシンボル」になれると、ちょっぴり本気で思ったようです。もちろん、僕には政治家になろうなんて気はまったくありませんが。

少しでも、お役に立てるのなら
その後、2018年11月からNHKで「発達障害って何だろう」というキャンペーンが始まりました。僕も番組に呼んでいただき、大阪医科大学で識字障害の検査を受けることに。その結果、知能にはとくに問題はないけれど、文字の認識に困難があると判明。「きれいなディスレクシアですね」とお墨付(すみつ)きをいただきました。

いやぁ、テレビの影響力ってすごいですね。正直、びっくりしました。そのころからです。ぜひ僕の経験を話してほしいと、あちこちから講演の依頼がくるようになったのは。

でも講演会とはいいながら、必ずといっていいほど「落語もお願いしたいんです」という声が多いもんですから、あるとき、こちらから「落語もやりましょうか?」と聞いたら、「すいません、落語はご遠慮いただきます」という返事が返ってきてびっくり。でも当日、講演を2時間、その後質問も受けつけたら、トータル2時間40分もやっていました。もう、落語をしゃべっているスキがない。お越しになる皆さんの、発達障害に対する関心の高さに驚きました。

そうやって全国あちこちに呼んでいただくようになり、どれだけ多くのお母さん、お父さん、そして発達障害を抱えている本人が苦しんでいるのかを、目(ま)の当(あ)たりにしました。

僕の場合、おかげさまで落語家として皆さまの前で落語を披露(ひろう)し、テレビの仕事などもしています。でも、学校でいじめられたり、仕事が続かなかったり、ご苦労されている方がすごく多いんですね。講演の後の質疑応答では、深刻な悩みを告白なさる方もいます。

たとえば、息子は発達障害だけど、それを子どもに伝えたほうがいいのか。さんざん迷い、悩んでいると、必死に訴えかけてくるお母さんもいます。

僕はその分野での専門家ではないので、自分が経験した以上のことは話せません。それに、ひとくちに発達障害といっても、表われ方は千差万別。一人ひとり表われ方も状況も違うので、軽々しくアドバイスするなんて、とてもできません。

ですから、最初はちょっと迷いましたよ。発達障害に関して、僕なんぞが人前で話していいのかな、って。

でも、たとえばこんなことがありました。

講演が終わった後、小学生の男の子が僕のところに走り寄ってきたかと思うと、ぎゅーっと僕の手を握り締め、泣きながら「ボクも~~うぅぅ~そうなんです」。

なんでも教科書が読めないので、学校でいじめられるんだそうです。思わずもらい泣きしてしまいました。

一方で、僕がカミングアウトをした動画を見て勇気づけられて、自分も学校でカミングアウトをした、という子もいました。その子は字を書くのが苦手なので、学校と相談して、タブレットの持ち込みを認めてもらったそうです。

僕の話を聞いて、少しでも勇気づけられる子どもや、お父さん、お母さんがいるのなら、自分の経験を話すことには意味がある。そう思うようになりました。

最近は、法政大学で脳の多様性(ニューロダイバーシティというらしいです)に関するパネルディスカッションに呼ばれたり、東京大学と筑波(つくば)大学による「ニューロダイバーシティ&インクルージョンシンポジウム~多様な発達特性を有する学生が社会で活躍するための高等教育・就労支援のあり方を考える~」というシンポジウムで基調講演を頼まれるなど、いろいろなところからお声がかかります。

僕の本業は、もちろん落語家です。でも、人さまの前に立つ、いや、座る仕事をしているおかげで、発達障害についてより多くの人に知ってもらうためのお手伝いは、できるかもしれません。

最近は、それもまた僕の役目かな、と考えるようになりました。そこで、直接お目にかかれない人にも僕の経験や感じていることをお届けできればと思い、この本を書くことにした次第です。

本を書くにあたって、僕自身の勉強のために、発達障害に関する専門家の先生にお話をうかがいに行きました。また、僕の母はどんな思いで息子を育ててきたのかなど、改めて聞いてみました。

そしてなんと、僕の弟子の一人が、重度の発達障害であることが判明! 彼は、僕とはまったく違ったタイプの症状です。

人間は一人ひとり性格も個性も違うからこそ、世の中おもしろいし、豊かになる。多くの方にそう思っていただければ幸いです。

*   *   *

この続きは『僕が手にいれた発達障害という止まり木』(幻冬舎)で! 全国の書店で好評発売中です。

都立高入試の男女別定員「候補者は姿勢示して」

都立高入試の男女別定員「候補者は姿勢示して」弁護士ら議論求める

2021年7月3日 【東京新聞】

東京都立高校の男女別定員制は廃止すべきではないかー。同じ高校に入るのに男女で合格最低点に著しい格差があり、是正措置を講じても女子が男子より数十~百点以上高い学校もあったことが、本紙が情報公開請求した資料で分かった。多くの場合で、女子の方が高い点数を取らないと合格できないのは不公平だとして、都議選の争点にするよう求める声もある。(奥野斐)

◆「時代の流れに逆行」
「能力に応じて等しく教育を受ける権利を保障する憲法や、性別による教育上の差別を禁止した教育基本法に反している」
制度の撤廃を目指す「都立高校入試のジェンダー平等を求める弁護士の会」は6月下旬に記者会見し、男女別の定員制と合否判定の撤廃を求めた。性的少数者への配慮から、願書の性別欄をなくす動きが広がっていることも踏まえ「多様な個人のあり方を尊重する時代の流れに逆行している」と指摘した。

都教育委員会によると、男女別定員は都立高の全日制普通科110校で設定。入試の募集人数は、都内公立中学3年の男女比率に応じて決められている。2021年度入試の募集定員は、およそ男子52%対女子48%で、ある高校では男子132人に対し、女子122人と、10人の差があった。男女別定員制を採用しているのは、全国の都道府県立高で都が唯一とされる。

◆合格最低点が男子より243点高い例も
都教委は男女の合格最低点の差を縮小するため、定員の9割まで男女別に合否判定し、残りの1割を性別に関係なく合格者を決める緩和策を導入。今春の入試では42校が利用した。

本紙は、緩和を実施した学校長が是正状況を答えた資料を入手。学校名などは伏せて開示された。合否は多くの場合、内申点(300点満点)と筆記試験(700点満点)の合計で決まる。15年度入試では、是正後の合格最低点が243点も女子が男子を上回るケースがあった。20年度入試でも、女子が男子より50~70点余り高い学校が少なくとも4校あった。

予備校講師で受験コンサルタントの新野元基さんは、点数差が生まれる背景に私立校の影響を指摘する。「私立の女子校で高校から入学できる学校が減っている。特に中から上位校を志望する女子の選択肢が限られ、都立の倍率が上がる傾向がある」と分析し、私立校を含めた入試制度全体の見直しを求めた。

今春、都立高1年になった女子生徒の母親(48)は「この入試制度は不公平と感じた」と話す。女子の枠が小さく、男子より倍率が高い学校が目立った。「男女別をなくした方が個人の能力に見合って受験できる」

都高等学校教育課の担当者は「定員がある以上、同じ点数で女子が入れないケースはある。男子の方が倍率が高く、高い点数でないと入りにくい学校もある」と説明。一概に女子が不利ではないとの見解だ。

◆都議会でも制度に疑問
こうした中、現役都立高教諭らが5月下旬、男女別定員制を廃止し、性別で不利にならない入試をしてほしいとネット署名を始め、既に3万筆余が集まった。

都議会でも制度に疑問を投げ掛ける質問が出た。6月議会では、藤田裕司教育長が「男女別定員による不公平感を低減し、より男女平等な入学者選抜を目指す」と答弁した。

「弁護士の会」のメンバーで、自身も都立高出身の山崎新弁護士は「都は点数差と格差の是正の方策を速やかに明らかにしてほしい」と話す。最終盤に入った都議選についても「候補者はこの問題への自らの姿勢を明らかに」と訴えた。

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確かに試験に男女の格差を設けるのはおかしいです。(消える公立高願書の性別欄:02/08)でも書きましたが、要するに「女子の方が成績が高い」から「男子が少なくなる」ので男には下駄をはかせて、学校が男女同数になるようにしているということです。私学なら男子校も女子高もあり、男女同数の学校がわが校の教育コンセプトだと言えば通りますが、公立の場合はそう簡単にはいきません。男女平等に成績で選別するのと、男女の人数差が生じないように男女枠定員を設けるのとでは、前者が公平に決まっています。後者を取るならば、世の中には障害者も1割いるのだから公立高校に障害者枠を設けよという議論になります。第一、男女以外も含めて性差に敏感になっている風潮の中で男女枠を設けること自体が制度疲労と言えます。

ただ、気になるのは選挙の争点にするという動きです。この弁護士会は都議選の「候補者はこの問題への自らの姿勢を明らかに」して、政争の具にしたいのでしょうか。性別の問題は欧米のように政治化したり裁判をして解決するとは思えません。公教育はあらゆる市民に開かれたものですから様々な意見を聞く必要がありますが、今回の入試の男女枠問題は選挙で解決するような問題ではないと思います。手元に資料はないのですが、この男女枠がかつては女子の高校教育の拡大に寄与したのかもしれません。制度には必ず理由があるはずですから、それを明らかにしながら、結論として時代に合わないのなら変えれば良いと思います。

「男子の方が倍率が高く、(男子が)入りにくい学校もある」と性別枠組みを肯定したポンコツ発言を役人がするから炎上するのは無理もないですが、だからと言って一足飛びに政争の具にする内容ではないと思います。政治化するぞと脅したり、対立を煽ることによって余計に本質が見えなくなり、反対するものを袋叩きにするようなことは今回のコロナ騒ぎでも経験しているはずなのに、懲りない人がいるものです。

新型出生前診断

妊婦の血液を元に、ダウン症など赤ちゃんの染色体に変化があるか調べる新型出生前診断(NIPT)について、厚生労働省が国内の実態調査を始めます。2013年医学会などの5団体が施設認定に厳しい条件を付けることで了承し、臨床研究が始まり、これまでに約6万5千件が実施されました。しかし、認定を受けずに検査する民間クリニックもあるので正確な件数や実態は掌握できず、妊婦へのカウンセリング不足などが問題になっています。

厚労省は各地の衛生検査所を調査し、認定外の施設を含めた検査の件数を調べることにしています。また、実際にカウンセリングの状況や検査費用なども調査します。調査結果は今年中に検討会で報告して、検査する施設の要件などの今後の医療施策に生かされるといいます。

2011年に米国で始まった新型出生前診断は、採血だけですみ、しかも感度が約99%と高く、検査が受けられる時期も長いのが特徴です。妊婦の血液にわずかに含まれる胎児由来のDNAを分析します。採血だけでできるので、専門知識が十分にない医療機関でも検査できる反面、十分な遺伝カウンセリングなどが伴わないと混乱が生じるとして、遺伝に詳しい常勤医がいるなどの条件を満たす医療機関を認定し、臨床研究として実施してきました。対象を原則として35歳以上の妊婦に限り、調べる疾患も13トリソミーや18トリソミー、21トリソミー(ダウン症)の染色体異常に限定しました。

この日本産科婦人科学会の指針では法的拘束力が無く、現状では無認可施設で十分なカウンセリング無しに検査が行われるなどの問題が起きているといいます。今後は、医療機関に加えて検査会社も登録制にするなど、法的にも抜け道のない実施体制作りが必要だということで今回の厚労省の発表になりました。テクノロジーの進化を止めることはできません。大事なことは人権尊重のモラルに基づいた法制化と、社会の寛容さではないかという議論が進められています。

小1のギャップを乗り越えた!

災い転じて? コロナ禍の後押しで、小1のギャップを乗り越えた!

2020年6月29日【読売】

「どちらでもいい」と言われても
我が家の一人息子で発達障害のたー君は、新しい環境が苦手です。児童精神科の先生によると、「見た目は楽しそうにしていても、新しい環境で感じる違和感などを人に伝えることが困難で、本人の自覚なくストレスをため、身体に不調を来すことがある」のだとか。そういえば、3歳でこども園に入ったばかりの頃は、たびたび原因不明の高熱を出し、1日寝込むと熱が引く、といったことがありました。

そんなたー君も、この春から新1年生。少しでも楽しい小学校生活を送ってもらうため、私と夫のヒロさんは1年近く前から、入学に向けて準備をしていたのです。

私たちの住む街では、配慮や支援が必要な子どもは、小学校へ入学する前年に、教育委員会が管轄するセンターで発達検査と専門家による就学相談を行います。

そこでのたー君の発達検査の結果は、身体能力や情緒面に発達障害の特性が見られるも、IQ(知能指数)の数値は境界域(明らかな知的障害があるとは言えない)。相談員からは「現状では、(通常学級、特別支援学級)どちらでもいいかと」と、言われてしまいました。

最後は本人が選んだ
これ、どうやら「発達障害あるある」らしく……。障害が比較的軽い子どもの場合は特に、どちらの学級が向いているのか判断する決め手がなく、選択を任された親は迷いに迷うのです。

私も、内心「こちらは初めての子育てで、どうしたらいいかわからないから相談に来たのにぃ~」と困惑。心の声が伝わったのか、相談員に「入学先の校長先生にも相談してみては」と勧められました。夫のヒロさんと一緒に行ってみたものの、ここでも「相談にはいくらでも乗りますが、最終的には親御さんが決めてください」と、やはり最後は親が決めるのです。

それからしばらくは、ヒロさんと「大勢でワイワイすることが好きなたー君は、通常学級かも」「いやいや、手厚いサポートがある特別支援学級の方がたー君は過ごしやすいんじゃないか」など、深夜まで話し合う日々が続きました。いくら話し合いを重ねても結論が出ず、最終的には、「みんなと一緒に勉強したい」というたー君の意見を尊重して、「通常学級」に進むことを決めたのです。

たー君の「取説」を作ってみた

たー君の入学準備だけでも、なかなかの大仕事だというのに、同時並行で、体調を崩した母さんの介護や、認知症の父さんの特別養護老人ホーム探しも進めねばなりません。それがトリプルケアの宿命だとしても、かなりハードな日々だったのです。

そんな中でも、たー君のことを語り合える仲間ができたのは、大きな救いでした。小学生の放課後デイサービス(障害がある子どもが、運動や音楽、図工など、それぞれの特性に応じたプログラムを受けられる施設)に、年明けから「お試し期間」として週に1回通うようになり、そこで知り合った先輩ママさんから「通常学級を選択したなら、『たー君の取扱説明書』的なものを作って、『この点はサポートしてほしい』というのを具体的に書いて担任の先生に渡すといいよ」とのアドバイスが。「先生も忙しいから、うちはA4用紙1枚にまとめて渡したら喜ばれたよ」と、ちょっとしたポイントまで教えてもらいました。

私も物書きの端くれ、簡にして要を得た、我が子の「取説とりせつ」を作成すべく、腕まくりでパソコンに向かいました。

・耳から入る情報処理には時間がかかるため、指示の理解に苦しんでいたら、黒板にその内容を文字で書いていただけると助かります。
・一度、頭に入った情報に変更があるとパニックになることがあります。そのときは「『これ』と『これ』の順番が逆」など、紙に書いていただければパニックになりづらいです。
 ――という感じで、たー君の特性と、さまざまな場面での対処法やサポートしてほしいことをA4用紙1枚に収め、担任の先生に渡したのです。すると、「うまくいかないときの対応まで……これは助かります!」と、先輩ママさんが言う通り、先生のウケは抜群でした。

こうして万全の準備で学校生活に入るはずだったのですが……新型コロナウイルス感染拡大防止のため、4月は入学式とその翌日に登校しただけで、休校になってしまったのでした。

宿題の山も自分のペースでこなす
担任の先生が自宅まで持ってきてくれた(なんと、全児童の家庭を1軒ずつ回ったそうです!)宿題は、まだ一度も授業をやっていないにもかかわらず、算数のドリル、国語のプリント、種まきから始める朝顔の観察日記など、親も驚くほどの量。こ、これを私たちが、一からたー君に教えるのでしょうか……。

気を取り直して、まずはたー君と一緒に机の前に座るところから始めました。最初のうちは、集中力が切れたら机から離れて気分転換をしてもOKという、自宅学習ならではの超マイペースな進め方です。

たー君は元々、ルールができるとそれに従いやすいという特性があります。「毎日机に向かう」ということを、無理のない形でルール化できたことで、集中力も徐々に伸びていきました。

6月からやっと登校できるようになったものの、3密を避けるため1クラスを半分にし、十数人ずつ午前と午後に分かれて、1日3時間の授業を受ける分散・短縮体制でスタート。緊急事態宣言が解除されても、日常が戻ってくるのはまだまだ先だと、ため息が出ました。

ところが、このスタイルがたー君にとっては、緩やかに新しい環境に慣れる機会となったようです。こども園の頃のように高熱を出すこともなく、「学校、楽しいね」と、毎日笑顔で登校しています(それでも疲れ果てて、週末はずっと寝ていたけど……)。

親としては、新入学の出ばなをコロナ禍でくじかれた感がありましたが、意外や意外! 発達障害のたー君にとっては、初めての学校生活になじむのに、ちょうどいい助走期間になったのです。(岡崎杏里 ライター)

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この地域の学校でも、三密を避けるため授業人数が少なくなったり、休憩時間もお互いの接近を避けるように配慮しているので、対人関係に課題のある子どもにはありがたいようです。要するに今の都会の学校は密度が高すぎる故に様々な制度疲労が生じているという事でしょうか。もっとのんびりいこうぜというメッセージが浮かび上がります。

 

 

教諭の叱責で不登校「わが子も同じ」保護者から反響

教諭の叱責で不登校「わが子も同じ」保護者から反響 毎日嫌だと涙/授業の前に気分悪く

7/5(月) 【岐阜新聞】

岐阜県内の小学校で児童が担任の教諭の叱責(しっせき)をきっかけに不登校になっている問題を取り上げた「あなた発!トクダネ取材班」の記事を受け、取材班のLINE(ライン)には、複数の保護者から「わが子も先生に怒られて学校に行けなくなった」という声が寄せられた。教育関係者からは「学校も指導の在り方を見直すべきだ」との声が上がった。

可児市の40代の女性は、小学5年の長男が「先生に怒られるのが怖い。話しかけても怒られるだけ」と登校を渋っていると話す。きっかけは週に1回の花の水やり当番を忘れ、担任の教諭に叱られたこと。忘れた本人が悪いことは理解しつつも、「叱るべきところで叱るのは当然だが、一人一人性格が違うのに全員に完璧を求めるのはどうなのか」とも思う。

「毎日なんとか頑張って学校に行っているが、担任は『来て当たり前、嫌なことがあるから逃げるのはずるいよ』と長男に言い、さらに追い詰めていると感じる」という。「毎日嫌だと泣く中、学校に行かせ続けて良いのか本当に困っている。私も甘やかして育てたのかと、自問自答の毎日だ」と複雑な胸中を明かした。

県内の別の女性は娘が小学1年の時、合唱祭に向けた練習中に教諭の厳しい指導を受け、一時不登校になった。その後叱責はなかったが、音楽の授業の前になると、めまいを起こしたり気分が悪くなったりする症状が2年生になるまで続いた。

「2年生での担任は若い先生だったが、娘の話をちゃんと聞いてくれた。ささいなことでも褒めてくれたり、悩んでいたら励ましてくれたり。様子を見ながら対応してくれたことで娘は乗り越えられた」といい、現在は問題なく通えているという。「褒めて育てると言われる世の中で、叱る指導は逆効果なのではないか」と疑問を投げ掛けた。

学校現場を知る関係者にこの問題について尋ねると「指導をきっかけに児童が教員を怖がり、学校に行けなくなるケースはよく聞く」との声が上がる。

県内のある小中学校関係者は、「厳しい先生に低学年学級を受け持たせると学級のまとまりが生まれ、3年生以降も教職員の指示をよく聞き、それが良いこととされる時代があった。だが不幸な子を生んでいるのなら、学校も考え直すべきだ」と話す。

「昔よりも保護者の教員に対する『かくあるべき』という許容範囲が狭くなっているのは確かだが、保護者や児童に理解されてこその教員だ。プロとして対応していかなければ」と言い切る。「問題が起きた際に、教員と児童の間で生じたずれを修復するためにも、学校と保護者が協力して何がいけなかったのかを振り返り、改善に取り組む必要がある」と強調した。

県立高校の男性教諭(42)は、過去に定時制高校で勤務していた時を振り返り、「生徒の6割が小中学校で不登校を経験しており、絶対に怒鳴ってはいけなかった。生徒は繊細で、必要がない場面で怒鳴ると恐怖や理不尽さを感じさせるのだということを常に意識していた」と明かす。

「厳しい指導で子どもは伸びる」「親が叱らなくなった今だからこそ、学校が叱らなければ」と考える教職員もいるというが、「100人のうち99人がその指導で育ったとしても、1人が教員のせいで学校に来られなくなることは公教育の場では許されない。こぼれ落ちる子の原因になっていることを学校は自覚すべき」と指摘する。

その上で「教室は閉鎖的な空間で、教職員が『自分が正しく導かなければ』と悪意なく指導をエスカレートさせやすい。違う目線を持った第三者の存在が学校には必要ではないか」と述べた。

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「叱咤」は、大声をあげて叱る、あるいは叱って励ますこと。「叱責」は、責任者が下の者の失敗や過ちをきつく非難すること。 要するに大声を上げたり、心が痛むほど叱ることを言います。私たちが、学校にお迎えにいっても他人が見ていることもお構いなしに、子どもをしかり飛ばしている光景をたまに目にします。先生ご本人は、子どもとの信頼関係の中で大声を上げているのかもしれませんが、それは独りよがりな大きな勘違いです。

定時制高校の先生が言うように、不登校経験者の中には発達障害の子もいて、彼らには叱責へのトラウマがあります。発達障害のために不注意や配慮に欠けた言動で叱られ、幼少期から言っても言っても繰り返すので、声を荒げる大人も少なくありません。その結果、大きな声や叱責に対して敏感に反応する子どもが多いのです。また、虐待は世代間で繰り返すと言われますが、不適切な躾も繰り返されます。怒鳴られて育てられた子は、成人して無自覚のままだと怒鳴って躾をするしか術がないのです。しかし、教員であるならこれは言い訳に過ぎず、指導力不足教員と言わざるを得ません。

教員の中にも、怒鳴られて育てられた人はいます。しかし、教員自身の家族性の問題を公教育に持ち込まれたら先生を選べない子どもはたまったものではありません。職場の同僚は、こうした先生には気づいています。しかし、触らぬ神になんとかで放置したままか管理職に押し付けてしまいます。管理職は、逆切れされて教員からパワハラを訴えられるのを気にして毅然と指導できないこともあると言います。人格の尊重を学ぶ場で、子どもの人格が傷つきトラウマを持ってしまう事ほど理不尽なことはありません。

高校野球

京都代表の立命館高校は2回戦で惜敗しました。でも京アニ「響け!ユーフォニアム」応援歌が演奏できて良かったです。

今も甲子園では灼熱の中激闘が繰り広げられていますが、文字通り灼熱の中の試合も何とかしてほしいですが、投手の肩の酷使は早く解決してあげて欲しいものです。一部の大人の利益のために、高校球児の才能を断ち切ってしまう可能性のある大会制度をいつまでも続けるのでしょう。殺人的な酷暑だとニュースでは警告しながら、同じチャンネルで甲子園を放映するテレビ局の葛藤は全く見えません。

大会前の高野連の発表では、投球数について、一定期間での総投球数に制限をかけるとの方向性を「これから議論する」そうです。なんで大会までに結論を出さないのかと本当にじれったいですが、とにかく一定の制限は来春からは、やっとできそうです。しかし、まだ酷暑下でのゲーム回避の問題は解決していません。甲子園のドーム化検討も一時はあったのですが、結局は甲子園球場の伝統と金銭の問題が入り混じって実現せずでした。みなさんはどうお考えでしょうか?