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みんなちがってみんないい

思春期2


さて前回は、思春期の子どもを育てる保護者の方が感じやすいであろう悩みの背景に、「今までのわが子とちがう」という点を述べました。また母親の場合、異性である息子の成長に戸惑い、対応の仕方に迷いが生じて、叱ってばかりになったり、はれ物に触るように対応したりなど、コミュニケーションがうまく取れなくなる人も少なくないということを書きました。今回は、どう対応すればよいかを考えていきましょう。

まずは視覚的構造化です。「勉強するゾーンと趣味のゾーンを分ける」「忘れ物しないよう置き場所を決めておく」など、環境を整えることで、子どもにとって刺激が少なくなったり、行動の切り替えがスムーズになります。そのため、大人の介入が減りストレスや衝動的な言動を減らすことができます。起床についても修羅場となる場合が少なくないですが、基本は起きて朝の家庭での活動(食器ならべ、掃除など)があることや起床習慣しかありません。これは前回述べた(7/13)睡眠障害のところもお読みください。

自立心が芽生えはじめた子どもに対しては、大人が指示する方法でのコミュニケーションは難しくなってきます。自立心の芽生えはじめた子どもにとって思春期は、自分の主張や考え方を表出して意思を示す事。自分の主張や考えを他者と調整して考える事。解決にむけて妥協する事。の力をつけていく時期にあたります。意思を示した子どもに対して、「考える」支援をすることで、解決に導いていくことが求められます。この時に「気持ちを尊重して聴く」ことが、子どもが自分で自分の考えを整理し動き出す支援になります。

聴く時は、すぐに否定せず「そう」「うん」などの言葉で気持ちをいったん認める。子どもの気持ちを代弁する。どうする?どうすればいい?など、考えをたずねることが重要です。気持ちを認め、代弁することで、コミュニケーションができる関係性をつくり、反発・拒否だけで終わらず、どうすればいいのかを自分で考えられる時間をつくります。

食事時間なのにゲームがやめられない場合
大人「ごはんだよ」子ども「分かってる」大人「そう。今いいところなの?」大人「…うん」大人「一応決着つくのに何分くらいかかりそう?」(時間をおいてから)大人「〇分たったよ。一応の決着ついた?」。「今いいところなの?」と子どもの気持ちをいったん認めたうえで、何分くらいかかりそうかたずね、自分で考えさせるのがポイントです。

思春期の子どもは、小さいころと同じようにほめられると子ども扱いされたような気持ちになることもあります。子どもの心の発達に合わせたほめ方が必要になります。ほめられることで適切な行動が増え、親子のコミュニケーションも向上します。ポイントは、できないことではなく、できていることに着目し、結果ではなく努力(プロセス)に着目し、感謝や敬意を伝え、さらりとほめることです。例えば、寝転がってお菓子をたべながら宿題をしている状況なら、「机に座ってやりなさい!」と言えば、「うるさいんじゃ」となりますが、できていることに着目すれば「お、やってるな!」となり、子どもも悪い気にはなりません。

買い物でも、「忙しくて手が離せなかったから、買い物に行ってくれてほんとに助かった。ありがとう」とほめるほうが「えらいえらい」よりはるかに感謝が伝わります。「えらーい」「すごーい」と言われると、馬鹿にされたような気持ちになることもあります。さりげなく敬意を伝えることが大事です。

また、聴きたいことがあるときは、最初から聴き出そうとするのではなく、子どもが興味のある・話したいと思っている内容をまず聴くことが大切です。大人にとって都合のいい話ばかりをさせたがると、大人と話すことに意義を感じられなくなってしまいます。

ゲームやテレビ、勉強の時間など、大人と子どもで目標となる行動を話し合って決め紙に書きます。約束が守れたら印をつけ、記録します。ポイントがたまったら決めておいたものや好きな活動を交換できるシステムです。約束しておくことで、行動を促す際にスムーズになります。保護者が一方的に押し付けるのではなく、子どもの気持ちを受け止め、意見を聴いてからつくり、ハードルは高くせず、やればできるけれど、「継続・定着」が難しい行動を目標にしましょう。評価のポイントを明確・具体的にして、できなかったときのリカバリー策(例えば、同等の時間を必要とする家事や作業)も予め話し合って設けましょう。行動契約のメリットは、自己コントロールが育ち、自分の頑張りや努力が表なので目で見て分かりますし、将来就労したときに給料と労働の仕組みを体感でき理解しやすくなります。

このほかに異性のことや第二次性徴のこともありますがこれはまた別の機会とします。大事なことは大人が子どもの心の成長と発達障害ならその特性に合わせた対応に変えていくことです。特に敬意を払うこと、予告や契約は重要です。子どもに敬意を払うなんてとか、身近な子どもに契約なんてよそよそしいとか思う方が少なくないのですが、約束は人間生活のあらゆることに大事なことです。また、約束が守れなかった時の謝罪を含めたリカバリー方法も絶対に必要なものです。それはお互いを尊重するからできることなのです。

他者感情をうまく読みとれないから、敬意をこめて丁寧に(しつこくではありません!)理由を話すのです。もともと整理や順序が苦手だからこそ構造化(目に見える)した環境でむかつく大人から介入されなくても一人でできるように自立させ、字句通りに0か100かで考える人だからこそ契約文書でのトレーニングが有効となるのかもしれません。

発達障害の人のマスク着用の件

新型コロナウィルスの感染拡大は、発達障害の自閉症スペクトラム障害(ASD)のある人たちに新しい困難をもたらしました。社会的およびコミュニケーションスキル、反復行動、同一性へのこだわり、感覚に関わる問題がASDのある人がマスクを着けることを困難にします。ASDの人の多くは触れられることにとても敏感で、顔はとくにです。 マスクの着用は不快な感覚を与えることもあります。

皮膚の表面には引っかき傷をつけるような布の質感、マスクの上部が皮膚と接触する場所での圧力、耳にはかかるゴムの引っ張りがあります。マスクの中では温かく湿った息のにおいがします。さらに空気を吸ったり吐いたりするのに抵抗を感じ、それにASDの多くの人は心配や不安を感じます。マスクをつけるとASDのない人でも不快を感じますが、ASDの人はそれがより激しいものとなる可能性があります。

そして、これらの感覚的な課題に加えて、マスクは新しいソーシャルコミュニケーションの課題も生み出します。自閉症スペクトラム障害では視覚知覚能力の低下が含まれることもあります。マスクをつけた人に対しては、いつも以上に表情を読み取ることが難しくなります。マスクをつけた人の顔を見ると目しか見えません。ASDのある人の中には目を見ることが困難な人も多く、ますますコミュニケーションが困難になってしまいます。

そして、マスクを声をこもらせることもあるため、言葉も聞き取りにくくなります。しかし、マスクの利用をできるようにする方法はいくつか考えられます。
・ぬいぐるみ、人形、家族など、好きなものや人にマスクをつける実演をする
・さまざまなタイプの素材のマスクを選べるようにして、最も快適なマスクを見つけられるようにする
・必要なときに休憩をとることができるように、短時間のマスクの着用を練習することから始める
・マスクをうまく着用しつづけられるように、静かで穏やかな、人の少ない場所へ出かけることを計画する
・外出前にマスクを着用するための視覚的な手がかりとして、マスクを着用した人の写真を利用する。写真はドアの近くに貼ったり、タブレットですぐに見えるようにしてもよい
・マスクをかぶったままガムを噛んだり、キャンディーをなめたりして、気を散らしマスクの中の息のにおいを変える
・透明なマスクもあります。そのマスクであれば口が見えます。コミュニケーションの改善に役立つといわれます
ASDのある人にとって、マスクの着用が簡単ではない理由を理解することは親や関係者にとって重要な情報です。

学校が親子に立ちふさがる「壁」となってしまう理由

学校が親子に立ちふさがる「壁」となってしまう理由

6/17(木) 【婦人公論】

個性の強さから学校で問題児扱いされるような子どもたちを集め、彼らに自由な発想と学びの場を提供することを目指した教育が、東京大学にて行われています。そこでディレクターを務める中邑賢龍教授は「親子のために存在する学校が、彼らの前に立ちふさがる”壁”になることもある」と指摘します――

※本稿は、中邑賢龍『どの子も違う――才能を伸ばす子育て 潰す子育て』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

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◆なぜ学校が親子にとって”壁”になってしまうのか

以前にも増して、最近「学校に子どもが馴染めない」と心配する親が増えているように筆者は感じています。

その結果、親は「子どもが教科書を読めないので、タブレットの持ち込みをお願いしたい」、「子どもの興味が違うので、内容をそれに合わせてほしい」、「ぺースが遅いので時間を延長してほしい」といった希望を、学校に伝えるようになりました。

一クラスに何十人もいる児童、生徒を一斉に教える先生からすれば、そんな余裕があるはずもないので、単に親のわがままやクレームとして聞きながしているかもしれません。学習指導要領に定められた単元をちゃんと教えなければならない先生ができることには、実際、限度があります。

しかし、子どもが可愛い親は、なんとか学校での問題解決が図れないか、一所懸命に模索する。そしていつの間にか学校を、目の前に立ちふさがる“壁”として見出してしまうのです。

◆学校には複数のステークスホルダー(利害関係者)が存在する

そもそもですが、学校はいくつかの組織から成り立っています。

小・中学校なら義務教育ですから、国の定めた法律の元で学習指導要領に従い、決められた時間数の教科を、教科書を使って教えていくことになります。

それを教える教員の養成は、国が定めた教員免許を発行できる大学や学部中心に行いますが、免許そのものの交付や採用試験は各県の教育委員会が実施。採用された教員は、市町村が管轄する学校への配属となります。

そして学校ごとに最高責任者としての校長がいるのに、県にも市町村にも教育委員会があって、そこに委員会の最高責任者である教育長がいます。

つまり、学校には学校長、市町村教育委員会、都道府県教育委員会、文部科学省という複数のステークホルダーが存在しているのです。

◆だから「たらいまわし」が起こる

そのため、もちろん事案によりますが、もし学校ですぐに解決できないような問題が生じれば、責任の所在が明確でないことから「現場は上の判断で」「上は現場の判断で」といった、たらいまわしがしばしば起こってしまう。

加えて言えば、教育内容も、義務教育であるが故に全国一律で自由度は極めて低く、親の要望に臨機応変に応えることは難しいというのが実態です。

そうした状況が、親や子どもたちが学校を“壁”として感じてしまう理由の一つではないかと筆者は感じています。

◆「原則」に縛られる学校教育

時に学習指導要領も、学校を越えられない“壁”にしてしまうことがあります。

前提として、義務教育では検定された教科書を使い、教科ごとに決められた時間数の授業を実施することが求められています。

すでにあらゆるものがデジタル化されて長いですが、2021年2月現在、教科書において、デジタル教科書はあくまでも副教材にとどまり、印刷された紙の教科書を同時に使うことが原則になっています。

授業についても対面が原則で、2020年の春、コロナ禍で一斉休校となった際に行われたオンライン授業もなかなか授業時間数に加えられませんでした。そのため、多くの学校では、土曜日や夏休みなどに補講を行う必要がありました。

◆自由に学びたいだけなのに

一方、著書『どの子も違う――才能を伸ばす子育て 潰す子育て』に記したようなユニークな子どもたちの多くは、そもそも集団での一斉指導の中で学んでいくことをあまり得意としていません。「個々に応じた教育」と言いながらも、現実として学習指導要領に則ることが重視され、変わらない形で続く教育のもとで学ぶのは容易ではありません。

本来なら、教科書も時間割もない、そんな緩い授業や教室があってもいいのかもしれない。しかし現在の学校教育の中で、そんな自由な学び方は認められていません。

通常教育の中、一部の生徒を対象に、特別な授業スタイルで教えることは大変でしょう。

通級指導教室と呼ばれ、一部の時間だけ部室などを使い、少人数で教えるクラスはありますが、特別支援教育の範疇に入ることからか、そこで学ぶのを拒否する子どもや親もいます。

ユニークな子どもの多くは障害があるわけでなく、もっと自由なスタイルで学びたがっている。それだけなのに、いまだに彼らは自分たちを抑え込むことに必死な学校に身を置くことを求められているのです。

◆世界一多忙な日本の教員

しかし現実を見れば、あまりにも忙しくなった個々の先生からすれば、未来の学校の姿など、考える余裕も無いのかもしれません。

以前より、学校においてはあらゆる管理が厳しくなっています。特に2002年からは、文部科学省が学校設置基準において学校評価を求めるようになり、学校でもPDCAサイクルの確立が強く求められるようになりました。

OECD加盟国など48カ国・地域が参加(初等教育は15カ国・地域が参加)し、日本では小学校約200校及び中学校約200校の校長が参加した「OECD国際教員指導環境調査」(2018年度)によると、参加国・地域の中学教師の平均勤務時間が38・3時間/週であるのに対し、日本の教員の労働時間は56時間/週にまで達し、これは参加国中で最長となっています。

それだけ多忙になっているにもかかわらず、学習進度は守らなければならないので、学習につまずきのある子どもなどへの個別対応が難しく、また同時に、個々のペースを容認しにくくなっていることが考えられます。

逆に、学習進度が早いような子どもたちも、現在の法律で飛び級が認められていないことから、一斉指導の中で授業の妨げと認識され、結果として排除されている可能性もあるでしょう。

ともあれ、こうして学校が置かれた状況を少し鑑みただけでも、それが“壁”とならないための施策が今急いで求められているよう、筆者には感じられてならないのです。

中邑賢龍

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今回はやたらに学校の融通の悪さの言い訳が多いです。学習指導要領はあくまでも基準であり、全員に摘要するものではないことは法律の中でも明らかにされています。学校教育法には第四章 小学校 第二十九条、第五章 中学校 第四十五条にも、その教育の目的は「心身の発達に応じて」施すと断りがあります。学習指導要領は標準的な「心身の発達」に従って作られているだけで、学習障害など凸凹の子ども達にまで適応できるものではありません。つまり、学校のいう教科書通りにというのは言い訳に過ぎず、標準に収まらない子どもの「心身の発達に応じて」教育を考えていくのも学校の仕事なのです。

学校人事への権力関係を全て会社経営になぞって「ステークホルダー=利害関係者」と表現するのはちょっと無理があります。国民主権なのですから、利害関係者は「国民」一つです。ただ、国民とは誰なのか問題があり、国民の利益を執行する組織系列を複数の「利害関係者」と表現したのだと思います。それは、教育行政だけでなく福祉行政も行政と名の付くものはみな同じ構造です。この構造は、明治時代から変わっていない行政構造というか、ますます強固になっていると思います。

外交・安全保障と金融を除く行政機構に必要なことは、上位機構からの権限移譲と既得権限の廃止です。権限移譲によって組織の責任者や、その責任と義務の執行が身近に見える仕組みが作れます。責任は取ってもらうが法に基づく限り自由にやってよろしいという仕組みがこれから求められているのだと思います。もちろんチェック機能は議会だけでなく地域コミュニティーにも任せる仕組みが必要です。中邑先生は、自由な学びには自由で自立的な行政機構が必要だと考えているのだと思います.。

 

 

京アニ

7月18日に京都府京都市伏見区京アニで発生した放火・殺人事件は、京都アニメーション第1スタジオに男が侵入してガソリンを撒いて放火したことにより、京都アニメーションの関係者に多数の死傷者が発生しました。死者は35人に上り、警察庁によれば「放火事件としては平成期以降最多の死者数」となった痛ましい無差別殺人事件です。現在も世界中から京アニを支援する取り組みが続きクラウドファンディングはすでに2億円を超えています。筆者が京アニを知ったのは、2009年「けいおん!」ですが、たまたま知り合いの子どもが素敵なアニメだからと紹介してもらったのがきっかけです。アニメ「けいおん!」シリーズのロケ参考地となった滋賀県豊郷町では、同町の伊藤定勉町長が公式サイトに声明を発表し、豊郷町観光協会は同シリーズの校舎のモデルとなった豊郷小学校旧校舎群に献花台を設置しました。2016年には初めてのアニメ映画だけの製作「聲の形」が上映されましたが、これは聴覚障害者の学園生活を描いた同名の漫画を映画化したもので、素敵な映画です。「聲の形」の舞台モデルとなった大垣市でも事故翌日には市内2箇所に募金箱を設置したそうです。また、高校ブラスバンドのアニメ「響け!ユーフォニアム」シリーズの舞台となった宇治市では事故の翌日、宇治市観光センターに募金箱を設置しました。この事業所の子どもたちも影響を受け毎日のようにアニメ画を描いている子がいます。京アニは私たち、子どもたち、世界に素敵なアニメを送り続けています。がんばれ京アニ!

5歳児の3%に自閉スペクトラム症

5歳児の3%に自閉スペクトラム症 弘前大グループが有病率を国内初推計
2020年06月03日【河北新報社】

自閉スペクトラム症(ASD)の有病率が5歳時点で3%以上であることが、弘前大大学院医学研究科の研究グループの調査で分かった。国際的な診断基準が変更されて以降、ASDの有病率を推計したのは国内で初めてという。ASDと診断された9割が、他の発達障害を併せ持っていることも判明した。

調査は2013~16年、弘前市と連携して実施。5歳児健診時に、子どもの様子や子育てのストレスなどについて、保護者と幼児が通う幼稚園などの教師らに書面で回答を求めた。書面調査で陽性と判定された幼児と、保護者が検査を希望した幼児に、知能や運動能力を測定する2次検査を受けてもらい、ASDかどうか診断した。

調査対象5016人のうち、約8割が書面調査に回答。2次検査を受けた559人のうち87人がASDと診断された。検査に不参加の幼児も含め統計学的な調整を加えると有病率は3.22%と推定されるという。また、ASDと診断された88.5%が、注意欠如多動症(ADHD)など他の発達障害を持っていることも分かった。併存する障害が二つある幼児が36.7%と最も多く、一つが28.7%、三つが22.9%で続いた。

自閉症の国内での有病率を巡っては、改訂前の診断基準に基づく1996年の調査で、0.2%とされていた。研究グループの斉藤まなぶ准教授(児童精神医学)は「3%という数字は、ASDを含む発達障害が決して珍しくないことを示している。適切な支援を早期に提供することが、本人と保護者の生きやすさにつながる」と指摘する。研究成果をまとめた論文は5月14日、英国の医学学術誌に掲載された。

[自閉スペクトラム症(ASD)]対人関係がうまく築けない、こだわりが強いといった特徴を持つ発達障害の一つ。コミュニケーションや言語に関する症状を重度から軽度まで連続体(スペクトラム)として広く捉えて診断する。国際的な診断基準が2013年に改訂され、別の障害とされていた自閉症やアスペルガー症候群も含まれるようになった。

「水泳用マスク」1万3000枚配布

新型コロナプールでも対策日立市、小・中学校に「水泳用マスク」1万3000枚配布

 2021/6/19【毎日新聞】

2年ぶり授業に笑顔
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎながら泳ぎを学ばせようと、日立市でマスクを着用しての水泳の授業が始まった。同市は市立小・中学校の全児童生徒、教職員に「水泳レッスンマスク」を計約1万3000枚配布。子どもらは2年ぶりのプール授業に笑顔を見せた。【田内隆弘】

マスクは表面がシリコン素材、肌面はポリエステルとポリウレタンでできていて、洗って繰り返し使用できる。教室からの行き来やプールサイドなどで着用し、泳ぐときは首に掛けるという。ひもは伸縮可能で、安全のため約4キロの負荷がかかると外れる仕組みだ。

市立坂本小学校(鈴木孝裕校長、児童363人)では18日、5年生を対象に初めてマスクを着けての水泳の授業が行われた。授業の冒頭、教員が「大声は出さない」などと注意。昨年はコロナ禍で水泳の授業がなかったこともあり、児童は歓声を抑えながらも、笑顔で、水に潜っていた。

5年1組の滝夏帆さん(10)は「プールでマスクをすると聞いてびっくりしたけれど、2年ぶりの水泳の授業はうれしい」、吉成脩羽斗(しゅうと)さん(10)は「授業が楽しみだった。普通のマスクより息苦しい気がするけれど、水泳用としては十分だと思う」と喜んでいた。

鈴木校長は「今までにない発想を取り入れることで、感染対策につながれば」と話した。

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プールマスクの存在を初めて知りました。水に落ちた時にマスクがはりついて呼吸ができずパニックを起こして事故につながるので、水辺では原則マスクはつけないと言うのがプール安全指導で教えられてきたことですが、このマスクは簡単に外れるそうで、安全に脱着できるという事です。

プール水は塩素で殺菌されているので接触感染の心配はありません。水泳中の呼吸は最も遠くに飛沫が飛ぶ勢いがありますが、マスクをつけているから飛沫は大丈夫です。マスクに飛沫が付着してもプールの塩素水がマスクを洗い流します。そもそも、プール内のマスクは塩素水飛沫が広範囲を殺菌するので、本当は必要のないものですが、ここではあれこれ言ってはいけません。子どもたちのために何とか水泳授業を実現しようとしている日立市とその学校の前向きな努力に、心から敬意を表したいと思います。

不登校ユーチューバー

「不登校は不幸じゃない」と“不登校ユーチューバー”として「ゆたぼん」(10歳)が注目を集めました。
https://binged.it/2OtmXOL
不登校児は年々増加しており、調査によると「少子化にもかかわらず、不登校の児童生徒数の割合はこの20年で1.5倍に増え、過去最多になっている」そうです。ゆたぼんは不登校になった理由として「周りの子たちがロボットに見えたから」などと説明していて、ゆたぼんを後押しする著名人も多数登場した。脳科学者の茂木健一郎氏はゆたぼんと対談し、「学校に行かなくても学ぶことは無限にできる。学校で身につく社会性がすべてではない。応援しています」とコメントします。ほかにも「勉強が嫌いならしなくてもいい。掛け算は計算機があるんだから、できるようになる必要はない」と発言する人もいます。世の中では“不登校でも構わない”という主張が結構あるようです。

しかし、文部科学省の「不登校経験者への追跡調査」によると、「行かなくてよかった」と肯定的評価をしているのは約1割で、約4割が「行けばよかった」と後悔しているのも事実です。不登校でもいいという世論はあるけど、所詮、他人の子どもだからではないでしょうか。自分の子が不登校になったらどうされるのでしょうと思います。不登校当事者と無関係な人が学校に行かなくていいと安易に語っているような気がします。

なんとなく面倒で学校に行かなくなった人の中には、家ではゲームしたり、まったり自由に過ごし、浪人して大学に入ることができたのですが、学力が伴わないのと締め切りも守れないので、先輩や同期の友人に助けられながら卒業したそうです。そして、不登校のときは一人でも平気だと思っていたけど、人間関係が重要だということを初めて学んだと言います。

他には、学生時代の友人はゼロで、ネットを通じた知り合いが数人いる程度で、結婚式に呼ばれることもないし、人付き合いの仕方がわからないから、彼女ともつき合ったこともないそうです。体育祭や修学旅行など学校生活の思い出もなにので、ドラマやマンガでそういうシーンを見ると羨ましくて胸が締めつけられるそうです。そして今、将来の孤独死を恐れながら暮らしている方もいます。

小学校や中学校は、子どもたちが基礎学力や社会性を身につける発達期なので、行かなくていいという根拠がありません。おそらく、行かなくてよいという発言には、様々な子どもに合わせられない今の学校への批判が含まれているのでしょうが、そういう発言は改革に後ろ向きな学校を免罪するだけで、学校が子どもをふるい分けする仕組みを強化するだけです。大人になって何をやるにしても、柔軟な発想を生み出すためのベースは基礎学力と多様な対人経験だと思います。高校生や大学生なのであれば、本人の選択に任せていいと思います。本人が無駄だと思う時間を浪費するより、学びたい知識や実用的な技術を身につけた方がよいと思うからです。

第2波に自粛は必要か

休業要請・外出自粛は有効だったかどうか検証 大阪府新型コロナウイルス対策専門家会議
6/12(金) 16:33配信【ABCテレビ】

12日に開かれた大阪府の新型コロナウイルス対策の専門家会議で、吉村知事は「第2波に備えるためには、第1波の経験とか事実の分析をきちんとやって、社会経済に与えるダメージを最小化しながら、感染症対策を最大化することを追及しなければならない」と話しました。

第1波が収束した今、第2波に備えるために、これまでの休業要請や外出自粛の呼びかけが有効だったかどうか検証しました。大阪府が独自に分析したのは、感染のピークは緊急事態宣言が出される前の「3月28日」だったという推定です。吉村知事の「緊急事態宣言も営業の自粛も、まったく効果がなかったということですか?」との問いに、大阪大学の中野貴志教授は「なかったと思います」と答えました。3月末からは感染が収束に向かっていて、緊急事態宣言に伴う自粛の効果は限定的だったというのです。ただ、どうして収束したのか、正確な原因を解明するのは難しいというのが別の専門家の見方です。大阪大学の朝野和典教授は「きょうの議論だけで自粛、休業が無意味であったという結論にはしてほしくない」と話しました。専門家会議が終わり、吉村知事は「同じことをやらずとも、感染は抑えられるんじゃないかという論点を持たないといけない。国家レベルでも大阪レベルでも追及していく必要がある」と話しました。

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自粛を呼び掛けたことについての社会的な是非は問うべきではないでしょう。みな、暗中模索の中で決めたことだからです。この記事の教授の発言は後出しジャンケンのようなものです。しかし、実際に効果があったのかなかったのかを検証することはとても大事なことです。

同じように、学校の臨時休業は本当に必要なものだったのかどうかも検証してほしいです。無症状の感染者が出てるからと、その都度、学校閉鎖をするようなことなのかどうかも検証していく必要があります。プールも感染予防の研修をした教員の管理下で感染が予想外に起こったのかどうか、窓を開けた教員の管理下にある教室でマスクは本当に必要だったのかどうかなどです。ただ、高齢者への感染と高齢者施設のクラスター化をどう防ぎきるのかはもっと良いアイデアを出し合い、政策化されても良いと思います。

新型コロナの新規感染者数(棒グラフ・人)と実効再生産数(折れ線・右軸)

低学年に性の第一歩を教えています 小学校のプール授業

低学年に性の第一歩を教えています小学校のプール授業の奥深さ
斎藤秀俊 | 一社法人水難学会会長、国大法人長岡技術科学大学大学院教授

6/21(月) 【Yahoo!ニュース】

2年ぶりの学校プールの季節。先日、小学校勤務33年のベテランから「2年生、心配だわ」と心配の声を聞きました。低学年に着替えの機会を使って性の第一歩を教えているのですが、今年の2年生はどうしようかと。

2年生、1から着替え指導すべきか
2年ぶりの学校プールの季節がきました。昨年はコロナ禍でほとんどの学校プールがお休みとなりました。特に小学1年生は大きなプールでのびのびと泳ぎを勉強するはずだったのがかなわず、泳ぎが1年遅れになってしまいました。

先日、小学校勤務33年のベテランから「2年生、心配だわ」と心配の声を聞きました。「1年生って学校では勉強ばかりでなくて、すべてのこと何でも1から教えるのよね。例えば体育の授業の前に、体操着に着替える練習をするのよ。もちろん、体操着から普段着に着替える練習も。」「プール授業の着替えは普段の体育と違って水着でしょう?教えることが一杯あるのよね。」「去年はプール授業が無かったでしょう?だから2年生に最初のプール授業で1から着替え方を教えなくちゃ。そうすると、2年生の授業を半分そこにあてがうことになるかな。」

彼女の学校では2校時をくっつけてプール授業としています。2年生に着替え指導をきちんとやるとなると、水着への着替え方に20分、普段着への着替え方に20分、合計40分で初回のプール授業90分の半分近くを使うことになります。2年生なりの水泳授業も待ち受けている中で、この時間は痛いそうです。でも、「丁寧に教えなければならないことが着替えにはある」と言います。

性の第一歩を教える機会
これまでの担任の多くが低学年。ベテラン先生は若いときから着替え指導にこだわりを持ってきました。

「1年生に何も教えずに着替えをさせたら、真っ裸になる児童はいるでしょうね。そうでなくても、大切なところが見えているのに自分では気が付かずにいることもあるのよ。」

人間の尊厳、性に関わる大切な一歩。コロナ禍でプール授業ができず1年間そのままになっていました。陸上の体育と違って、プール授業では着替えの時に下着をとる瞬間があります。1年生の時に「大切なところを人に見せないように気を配って着替える」ことを実践で教えるのですが、それが昨年はできなかったのです。

「家庭ではお風呂に入るときには特に気にしないじゃないですか。その雰囲気を学校に持ち込んでは困るんです。中には人前で裸になることに抵抗のない子供もいるの。」

学校は公共の場。家庭とは違ったルールがあります。公共の場ではいろいろなトラブルから自分を守らなければならないし、そしてそこに集まるお互いを尊重しあわなければなりません。特に性の第一歩は人間の尊厳を考える第一歩ですから、まだ性への自覚に乏しい低学年から行動で覚えさせたいとのことでした。

「着替え中に友達の腰タオルをわざと下げる子、いるのよね。」

同性間でも、友達の羞恥心をあおるようないたずらをする子がいます。それがいけないことだということを低学年からしっかりと教えないと、単なるいたずらという認識のまま成長する恐れがあります。だからこそプール授業時の着替えは「してはいけないこと」を身体で覚えることができる、低学年にとっては良い時間だということでした。

性の第一歩を教えていきつつ、ひいては人間の尊厳を守る心を育みたいとベテラン教員は意気込んでいました。

下着がポイしてあることも
ベテラン教員の学校では、いわゆるラップタオル、つまり大きいサイズのバスタオルにゴムを縫いつけ、両端にはスナップを取り付けて留められるように作られたスカート状のタオルを家庭に準備してもらっています。

女の子はそれを肩から下げて、男の子は肩か腰から下げて着替えをします。着替えの指導のイロハはここから始まるのです。

「最も多いのは、スナップの留め忘れだね。肩から下げているタオルで身体を隠してるつもりなのに、スナップを留め忘れた隙間から大切なところが見えてしまうの。だから、スナップの留め忘れがないかしっかりチェックしてから、着替えに入るようにしているよ。」

「男の子の場合は、わざとだらしなくタオルを巻くような児童がいるのよね。どこか、家庭のお風呂を引きずってる感があるかな。だからしっかり、しつこく指導しますよ。きちんとタオルを巻く指導から始めます。」

水着に着替えて、それでおしまいではありません。水を漏らさぬ指導が続きます。脱いだ下着をどうするかの指導です。

「脱いだ下着を机の上とか、椅子の上とかにそのまま脱ぎ捨てる児童がいるのよ。女の子でもいるかな。脱いだ下着は人に見せてはいけない。だから、すぐに袋の中にしまうように徹底指導します!」

なるほど、たしかに公衆浴場の脱衣所を思い出すと、下着が丸見え状態で脱ぎ捨てられているカゴとバスタオルをかけて中が見えないようにしてあるカゴがあります。これまでどういう教育を受けてきたかが、大人になってから行動で明確になるものだと納得してしまいます。

一つ一つ丁寧に着替えを指導するのはたいへんよいことですが、プール授業前後ともなると教室はあたかも戦場の様相です。特にプールから上がって水着から普段着に着替える時がたいへんです。子供たちがびしょびしょの状態で、しかも教員もびしょびしょ。床を濡らさないようにする工夫をしながら子供たちを教室に誘導して、それからさらに床を濡らさないようにして、指導を緩めることなく着替えさせなければなりません。

「33年繰り返しているので、ワンオペの達人になったけど、赴任したある小学校ではボランティアで学校に来てくれるおうちの方々が低学年の着替えを手伝ってくれました。」

教員も着替える時間を作ることができるし、おうちの方々にも公の場で着替えに注意する大切さが分かって、大変良いシステムだと思ったそうです。

家庭にお願いしたいこと
「特に1年生なら、プールが始まる前に、家庭で着替えの練習をしてもらえるとうれしいです」とベテラン教員の心からのお願い。

最も訓練してほしいことがラップタオルの取扱い方法。タオルによっては4つも5つもスナップがついていて全部留めるのがおっくうになり、2つ、3つ留めればいいかと妥協してしまいます。加えて、身体の水分を拭きながら下着を着ける練習。お風呂から上がった直後に、これもラップタオルを肩や腰から下げながら家庭で確認してほしいそうです。

下着も洗濯かごに直接ポイするのではなく、プール袋に入れてしまう練習をプール授業が始まる前とか、最中とか、お風呂の脱衣室で行ってほしいそうです。

参考 生命(いのち)の安全教育
令和2年6月に政府の「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」において、「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」が決定されました。

この方針を踏まえ、子供たちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないよう、全国の学校において「生命(いのち)の安全教育」が推進されています。

これに併せて、教材・指導の手引きが公開されています。例えば、生命の安全教育教材(小学校(低・中学年))では、次の項目について子供向けに図1のようなスライドを使って説明できるように編集されています。

・「水着で隠れる部分」は自分だけの大切なところ
・相手の大切なところを、見たり、触ったりしない
・いやな触られ方をした場合の対応

参考スイミングスクールでは
水難学会の新西道浩理事によれば、スイミングスクールでは小中学生の会員を受け入れる際にプライベートゾーンに関する指導をしているそうです。会員向け広報誌での周知やロッカー巡回という指導を定期的に行っていて、かなり早い時期から生命の安全教育を意識してるとのことでした。
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水着の着替えなど昭和の小学校出身の大人は当時教えられた経験はありません。あの頃はただタオルを腰に巻いて着替えていたので面倒だなぁと思っていた事と、塩素臭とコンクリートの匂いの混ざった薄暗い更衣室の記憶があります。時々、素っ裸で着替える友人もいて、「勇気あるなぁ」くらいにしか思いませんでした。そう言えば昔は、「このパンツ誰のですか」と帰りの会で先生が聞いていましたが、子ども心には「てことは、本人はすっぽんぽんでズボンはいてるのか」と妄想していましたが、友人に聞くと「水着の上からに決まってるやんけ」と笑われた思い出があります。

プールの低学年の授業が性教育の第一歩とは気が付きませんでした。ベテランの先生が「ワンオペ」で指導しているとのことなので、多くの先生が具体的な実践を見ていないかも知れません。学校は教科だけを教えているのではなく、学校生活全般で様々な事を教えています。発達障害の子にとっては、教科外の不定形な集団指導場面が苦しい場合もあります。けれども、みんながいないと「恥ずかしい」の意味も教えにくいです。でも、学校はいろんなこと教えているなぁと教員OBながら感心します。

 図1 生命の安全教育教材(小学校(低・中学年))のスライドの一部抜粋(筆者抜粋)

カリスマティックアダルト

「カリスマティックアダルト」という言葉は、ハーバード大学のロバート・ブルックス教授が、「ありのままの自分を受容し、課題をきちんと指摘してくれるカルスマティックアダルトとのかかわりが、人の人生を大きく変える」と示し、発達障害の子どもらの成長に欠かせない存在としてこの言葉は引用されています。辞書には、『よき理解者あるいは本人を常に無条件で受け入れてくれ、また本人が全幅の信頼を寄せている成人のことを「カリスマティック・アダルト(Charismatic adult)という。本人を心から信頼してくれるよき理解者こそが、その子どもの秘められた才能を引きおこす最も重要なキー・パーソンとなる』とあります。

カリスマティックアダルトと呼ばれる大人は、子どもには、多元的(色々)な知能があること、人間社会には、多様性が必要であることを知っています。そして、子どもにおける「正常」というのは神話のような作り事で、だれにもその子の能力を予測することなどできないと信じています。

子どものカリスマティックアダルトは、同性の家族が理想的ですが、他人でも構いません。おじいちゃんやおばあちゃん、学校の先生や近所の人、たまたま知り合った趣味の人。それは、子どもがなりたいと憧れる大人だから、カリスマティックアダルトになろうとしてなれるものではありません。それは、子どもが決めるのです。このことを勘違いしている大人は多いです。できる人が「カリスマ」ではないのです。「しっかり」している大人が良いわけでもありません。弱点があったり苦手があったりするから子どもが選ばないわけでもありません。ずばぬけて得意な分野があるというのはきっかけにはなりますが、あとは子どもが見抜くのです。

以下のことは十分条件ではないけれども必要条件かもしれません。それは、相手に共感することができる人。子どもにレッテルを貼らない人。子どもが自分の弱点を才能にする手助けができる人。「何が欠けているか」ではなく、今ある自分の素質をベースにした自分らしさを育てる手伝いをする人。大丈夫という感覚を与える人。子どもの怒りを沈めるために冷静な無関心を用いる人。子どもをぞんざいに扱ったり見下さない人。子どもの目線に立つことができる人。その子が内に秘めている価値を見いだすことができる人。子どもがうまくいかないとき、自分ならどう違ったやり方ができるか考えられる人。子どもから自分の評価を求め、真剣に話を聞くことができる人。


子どもたちは、自分はここに居場所があり、自分に選択権があり、自立していると感じ、つまり「自分はできる」と感じることを大切にしてくれると信じる人を、カリスマティックアダルトと決めるのです。

読むトレGO!

日本初!音声認識による読み書き障害(ディスレクシア)トレーニングゲーム発売。実証実験で20%以上読みの時間が短縮!
プレスリリース発表元企業:株式会社サムシンググッド

ディスレクシア、読みの困難さを抱える子どもは5%とも10%ともいわれています。EdTech企業の株式会社サムシンググッド(東京都港区、代表取締役 脇坂龍治)はNintendo Switch(TM)用ゲームアプリとして「机に座らない学習」をコンセプトに、(1)発達障害分野の第一人者、「医学博士 平岩幹男先生」と企画から研究、実証実験まで共同で開発。(2)4週間×10人超の児童による実証実験を2回実施。(3)「67%の子どもが20%以上読みの時間が短縮」し、「2度読みも減少」。2020年2月には本件の論文も発表。確かな効果が期待できるソリューションとして7月上旬より発売開始します。

EdTech企業の株式会社サムシンググッド(東京都港区、代表取締役 脇坂龍治)は、2020年7月上旬にNintendo Switchでゲーム形式でトレーニングできる「読むトレGO!」を発売いたします。
詳細はhttps://www.yomutore.net/をご覧ください。

[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM2NzQ3MyMyNDU2NTQjNjc0NzNfYUdyQ2t2Y1NsTC5KUEc.JPG ]

読むトレGO!プロジェクトは、医学博士の平岩幹男先生とサムシンググッド開発陣の共同プロジェクトです。2018年の企画段階から初期の研究用ソフト開発、そして実証実験を経ての商業用ソフト開発と、全ての工程を共同で研究開発致しました。
多くの子どもたちや保護者の方からも様々な意見を頂き、当社のエンジニアが一つ一つ丁寧に形にしていきました。読みのトレーニング・ゲーム要素だけでなく、保護者向けに分かりやすいような、トレーニングの記録と評価機能等もご用意しました。
平岩先生はこう仰います。「ディスレクシアの障がいや読みの苦手さを持つ子どもたちに必要なことは、読みの学び直しの機会であり、何歳からでも遅くない」と。私共も、この言葉を実現できるよう開発に邁進してまいりました。

開発・発売元:サムシンググッドとは
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM2NzQ3MyMyNDU2NTQjNjc0NzNfTkJtSmJocUJSVi5KUEc.JPG ]
サムシンググッドは2015年、役員3名で始動いたしました。当初はソフトバンク様等からプログラム開発やWEBサービス運営を受託するビジネスが中心でした。2017年にNTTドコモ様向けに知育アプリ(プリキュアかずあそび)提供を開始したのを機に、プログラミングやCGデザインチームを大幅に拡充。知育、英語学習、ソーシャルゲームなどを開発していきました。2018年より発達障がい児童向けの教育ソフト開発の研究を開始。その一環で児童福祉施設を中野と新宿に開所(Uooh!療育ラボ)、現在200人以上の児童が通所しています。2020年7月に「読むトレGO!」を発売予定。2020年6月現在、IT×発達性協調運動障がいトレーニングシステムの研究開発中です。

読むトレGO!の特徴
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM2NzQ3MyMyNDU2NTQjNjc0NzNfSEhST3RmTFJIei5KUEc.JPG ]
①ゲーム機のNintendo Switch用 であること。
2018年の企画初期、平岩先生から「教科書や教材を見ただけで泣き出す子もいるんだよ」とのお言葉が。できるだけお勉強感を無くす為にゲーム機用アプリにしました。ジョイコンで刀を振ったり金魚をすくったり、マイクを使ったりと「机に座らない」読みの学習をコンセプトにしました。
②日本初!音声認識システムでのディスレクシア・トレーニングソフト
ディスレクシアの子どもたちは、読みが苦手だから、書きはなおさら。ですので、日本の国語の授業の「読むと書くを同時に習う」学習法は、とても難しい事となります。我々が重要視したのは「文字を見て」「声で答える」こと。とにかく「読むことが出来る事」を目的にしました。
③全6ゲーム227ステージ!
様々な角度からトレーニングをアプローチする合計6コンテンツ、54レベル、227ステージをご用意しました。
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM2NzQ3MyMyNDU2NTQjNjc0NzNfekxmQVpRY0NRbC5qcGc.jpg ]


医学博士 平岩幹男 先生について
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM2NzQ3MyMyNDU2NTQjNjc0NzNfaUVLTVdRQlFsYS5qcGc.jpg ]

平岩幹男: 医学博士。Editorial board: Austin Journal of Autism and Related Disorder。
1976年東京大学医学部医学科卒業。三井記念病院小児科、東京大学医学部研究生を経て帝京大学医学部小児科助手?講師。1992年戸田市立健康管理センター母子保健課長?参事・健康推進室長。2009年Rabbit Developmental Research開設(代表)。2012年-2019年国立成育医療研究センター理事。
専門領域:発達障害(自閉症)、乳幼児健診、思春期医学など。著作多数。

実証実験について
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平岩先生が主導し、「読むトレGO!」プロジェクトでは、ディスレクシアの診断(DSM-5thに基づく)を受けた児童10名程度を対象にした実証実験を2回(2019年9月、2020年1月)実施しました。第1回目は8/30~9/28のピッタリ4週間、初日に平岩医師の問診とテスト、4週の間は実験用ソフトを家に持って帰りトレーニング、最終日に平岩医師の問診とテスト、という内容です。この結果はとても素晴らしく、全ての児童の読みのスピードが向上、2/3の児童は何と20%以上向上の数値がでました(論文は小児科診療2月号:診断と診療社刊に掲載)。しかし、、、子どもたちの反応は散々でした。。。とにかく音声認識の認識率が悪く、せっかくキチンと読めても正解にならず、「ブブー」と×にされる。泣き出しそうになりながら「嫌だった」と話す子どもが出る始末、当社開発メンバーは意気消沈でした。もう開発期間が延びる(=お金がかかる)のはやむを得ず、ということで、音声認識エンジンを差し換え開発再開。当初予定より半年間も開発期間が延長しましたが、子どもたちにも「まぁまぁだな!」と言っていただけるソフトに仕上がったと思います。本当に実証実験にご参加いただき、様々な意見をくださった子どもたち、保護者の方々に感謝しております。

発達性読み書き障害児童はクラスに1人の可能性。
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM2NzQ3MyMyNDU2NTQjNjc0NzNfQXlkV01wTk96Sy5KUEc.JPG ]

■ディスレクシアとは
dyslexia。発達性読み書き障がい。dysはギリシャ語の「困難」「欠如」という意味、lexiaは「読む」という意味。一番の特徴は、コミュニケーションのうち「話す言葉」「聞く言葉」といういわゆる音声言語には障害がないのに「読む」「書く」という文字言語に障害があること。よって、小学校に入る前には診断が付きにくい。
世界には色々な言語があるが、日本語にはひらがな、カナカナ、漢字と文字の種類がおおっく、おそらく1クラスに1人くらいは存在すると言われている。
世界的に見て、ディスレクシアの特徴は二つ。
①文字を音に変える障がい(デコーディング)
「あ」「ゆ」が読みにくい。時間をかければ読める。なので、「あ」「ゆ」で悩んでいると「あゆつり(鮎釣り)」という単語を見たときにすっと読めない。
②音のまとまりとして単語を読むことが難しい障がい(チャンキング)
「い」「ぬ」と読めても「いぬ(犬)」という音のまとまりとして読めない。よって語彙理解が難しくなる。
【注意】
読みの苦手さ=ディスレクシアだけでない。
認知機能が遅れている知的な問題、紙に書いてある文字がチラつく。すぐに気が散って集中できない、など他の問題も考えられる。

■子どもたちの問題
わが国の学校教育は、ディスレクシアの子どもにとても苦痛を強いる指導法となっている。
①読みの苦手な子に、他の子どもに2回読ませるところを4回、5回と読ませる。
②「読む」と「書く」を同時に指導する。「読み」が苦手な子どもたちは大なり小なり書くのも苦手であり、同時に行うことはとても難しい。

■知的障がいではないが「しんどさ」を抱える子どもたち
知的障がいではないが、しんどさを抱える子どもたちは存在し、読みの困難さを抱えていることもしばしばある。
IQで測ると70以上だが、記憶する力や認識する力が少し弱い子どもたちは、実は人口の7%~11%くらい存在すると言われている。この子たちは知的障がいとしてのいわゆる障がい者手帳は取れないし、障がい者枠で将来就労することもなかなか難しい。しかし適切にサポートをすることで世の中で生きていけるようになる可能性がかなり高いグループというふうに、考えてもいいのではないか?と平岩先生は考えている。

※知的障がい定義はIQであれば70以下。
例えば、小学校に入り、友達とも元気に遊んだり話したり、色々な事ができる。しかし、小学校2年生くらいになると「どうも国語の力が弱いな?」「読むのが苦手だな?」「内容の理解が今一つだな」と感じられるようになる。そのちょっとした苦手さを抱えながら学年が上がっていき、授業もドンドン進んでいく。そして小学校4年生くらいになり、その躓きがどうにもならなくなる、ということはよくある。うまく国語がついていけない。そうすると通常の学級いわゆる普通のクラスは無理だから、「では特別支援学級に移ったらどうですか?」と言われることが多い。しかし、通常学級では国語の授業は週4時間。これが特別支援学級になると週2時間、特別支援学校になると週に1時間になっていしまう。これで、どのように追いつくことが出来るのだろうか?わが国の教育制度はこのようなことに対処する「学び直し」という概念が乏しい、と言わざるを得ない。学び直しをする事で、その方たちの「人生を変えていくこと」に繋がることはとても良いことだと感じる。(平岩先生談)
【出典】本ページ記載の内容は、2020年4月にサムシンググッドが平岩先生にインタビューした内容の抜粋である。

日本のディスレクシア人口のデータ
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM2NzQ3MyMyNDU2NTQjNjc0NzNfY0VPRW1lTnRqSC5KUEc.JPG ]

わが国では文部科学省も厚生労働省も本件に関する大規模な疫学調査を行っていない。よってディスレクシアの人口がどの程度存在するのか?はわからない。その中、参考になるデータは下記のとおりである。
学習面で著しい困難を示す児童生徒の割合は6.1%
・文部科学省調査
・調査時期:平成24年2月~3月
・調査対象:通常の学級に在籍する児童生徒53,882人(1,200校)
※担任教員が記入し、特別支援教育コーディネーター又は教頭による確認を経て提出した回答に基づくもので、発達障がいの専門家チームによる診断や、医師による診断によるものではない。従って、本調査の結果は、発達障害のある児童生徒の割合を示すものではなく、発達障がいの可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒の割合を示すことに留意。

障害児通所支援の機能見直しへ 厚労省検討会が初会合

障害児通所支援の機能見直しへ 厚労省検討会が初会合

2021年6月21日【教育新聞】

障害のある子供が放課後や学校の長期休校中に通う「放課後等デイサービス」など、障害児通所支援の在り方について、厚労省は有識者による検討会を立ち上げ、このほどオンラインで初会合を行った。こうした障害児通所支援は利用者数が顕著に増加している一方で、実態として補習塾的機能や預かりが中心となっている事業所もあるとし、役割や機能の見直しに着手する。

障害児通所支援についての議論を始めた厚労省検討会(YouTubeで取材)
厚労省によると、障害児通所支援のサービス利用児童数は2014~19年度の間に2.3倍に増加。その一方で、補習塾的な機能や預かり中心の事業所があることや、障害児の保護者の就労を支える側面もあること、現状の放課後等デイサービスでは、専修学校や各種学校が対象となっていないなどの課題が出ている。

また、これらのサービスが充実したことで、発達障害をはじめとする、これまで障害と認識されずに育てづらさや生きづらさを抱えていた子供の支援につながった一方で、こうした子供たちが適切な支援を受けながら保育所や学童保育などを利用しにくくなっているなど、インクルージョンの観点からの課題も指摘されている。

こうした状況を踏まえ、検討会では関係団体へのヒアリングを実施するなどし、障害児通所支援の役割や機能の在り方を整理。9月をめどに報告書を取りまとめる。

初会合で座長に選出された柏女霊峰(かしわめ・れいほう)淑徳大学教授は「保育教育施設での(障害児の)インクルーシブな受け入れは伸びていないのではないか。詳細を分析しなければいけない。その上で、本当に障害児通所支援が、その機能として何をすべきなのかというマクロ的な議論をしなければいけない」と強調した。

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サービスは使いやすければ利用が増えるもので、普通はそこに利用者のニーズがあると考えます。放デイの利用が伸びているのは利用者にとって使いやすいからです。また、保育所や学童保育に障害児が増えないのは使いにくいからで、放デイの利用が伸びている事は結果であり原因ではありません。つまり、放デイの責任でも放デイ利用を認めた障害福祉行政の落ち度でもありません。障害のある子もない子も利用しやすい保育所や学童保育サービスを怠ってきた側に責任があります。

だから、柏女座長が放デイの中身をどうこう言う前に、学校や保育所が障害のある児童に使いやすい配慮や工夫がされているのかどうかを調査することが先だと言っているのです。以前、学習障害は教育が支援を担うもので、放デイはサービス提供はしないと公言する関係者がいるらしいと書きました(学習障害抱える児童、タブレット支えに無事卒:04/03)が、その理由は、教育の学習障害支援の足らずを福祉が肩代わりする必要はないという論理です。しかし、学校の学習障害児への支援と、放デイの学習障害児への支援は法的にも行政的にもお互いに独立しているもので、どちらかで代替できるものではありません。

その法的根拠としては、放デイなどの学習障害児支援の責務が法令に明記されていることです。厚労省の支給決定事務等の事務処理要領の「障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等についてR3年4月」には、「2 対象となる障害児(法第4条第2項) 児童福祉法における障害児とは、身体に障害のある児童、知的障害のある児童、精神に障害のある児童(発達障害者支援法第2条第2項に規定する発達障害児を含む。)以下略」とあります。

発達障害者支援法の条文は「第二条  この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害・・以下略」と学習障害が明記されています。つまり、放デイ支援で学習障害児は支援の対象なのです。もちろん教育と福祉と家庭が相互に連携しあい協力をすることは大事です。しかし、自分はやらないから、他の分野で責任を持てなどと言える道理は無いのです。

保護者や一般市民が細かな法令を知らないのは仕方がないにしても、もしも、関係者が公言しているとなると、これは明らかに違法行為であり障害者差別だと言えます。さすがに府県レベルや厚労省で学習障害児を放デイでサービスをしないと言う人はいませんが、地域でこんな暴言を関係者が言っているなら行政処分の対象です。今回の厚労省検討会の議論の行方が、保育所や学童保育でインクルージョンが進まない原因が、放デイの利用数が伸びた事等と、原因と結果が入れ替わったりしないように見守りたいと思います。

 

インフォームドコンセント

心理検査の目的を一言で表すとすると、「子どもの障害の程度を把握し、1人ひとりに合った支援を行うため」です。発達障害の中には、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠陥多動症(ADHD)、学習障害(LD)などさまざまな障害があります。しかし、以前のようにアスペルガー症候群や非定型自閉症といった細かい分類をすることは少なくなっています。それは、発達障害では、障害の重なりがあり明確に分けられず、発達の凹凸は子どもそれぞれで異なり、それに伴って障害の特徴も細かく違っているからです。(日本の場合、障害の診断は医師しかできません。)

発達の度合いや知能の程度、各能力の特徴まで検査をすることで、発達障害の子どもの特性をしっかりと把握することができます。同じ障害の診断だとしても、検査の結果により見られる凹凸は一人一人違います。その結果をもとに、どの能力を活かしていくか、どのような支援が必要かを、子どもの特徴に合わせて考えることができます。

心理検査は、当事者か保護者の依頼がなければできません。もちろん、学校や施設は心理検査を行うことで正確な支援内容を考られることなどを保護者に説明して検査を勧めるのは良いことです。しかし、何故検査が必要なのか十分に説明しないまま、「障害の疑い=検査=診断=配慮の理由」という流れ作業のように扱ってしまうと、保護者は検査を子どものふるい分けに感じてしまい、たとえ検査を受けても、障害の証明書を突き付けられたような嫌な気持ちになることがあります。検査を勧めることは、その結果報告に基づいて、現場は全力で支援する約束をしたということです。「勉強ができなかったのは障害の結果」「不適切な行動は障害の結果」と子どもの責任にしないという約束です。

また、一部の地域では検査をしているのに検査結果の報告書を保護者にも当事者にも渡さない検査者がいるそうです。例えば、病院で検査を受けて、医師が病気のあれこれを言うだけで検査結果が当事者に示されなければ、何がどの程度悪い病気なのか患者にはよく分からないまま治療が進めらるのと同じです。今日、十分な情報を得た(伝えられた)上での合意(インフォームドコンセント)は医療に限られたことではありません。報告書がないのも問題ですが、報告書があるのに手渡されないなどという事がまかり通っている地域があるとは、開いた口がふさがりません。おそらく、報告内容に責任を取りたくない言質を文字で残したくないという検査者や組織の保身のためでしょうが、検査に携わる者として許されることではありません。医療も何もかも人が判断して行うことで100%はあり得ません。だからこそ、説明と合意が必要なのです。合意のための説明には文書があって当たり前ですし、当事者が写しを持ち帰るのも常識です。報告書を渡さないのがいかに非常識かということです。リスクを取らない検査者の言うことは信じられないと思います。

心理検査を依頼するときは、何のために検査をするのか、結果が出たら子どもにとってどんなメリットやデメリットがあるのかきちんと説明をしてくれる人かどうか判断して依頼しましょう。次回は、検査の実際について掲載します。

文科、コロナ対応、教育活動の実施に関するQ&Aを公開

コロナ対応、教育活動の実施に関するQ&Aを公開
2020.6.16 Tue 12:20 【ReseEd教育業界ニュース】

文部科学省は2020年6月15日、Webサイトに「教育活動の実施等に関するQ&A」を公開した。発熱で学校を休んだ児童生徒の再登校基準、修学旅行の実施に関する見解、児童生徒の心のケア、学習活動の留意点、教職員の勤務など、幅広い質問内容を紹介している。

「教育活動の実施等に関するQ&A」は、学校設置者・学校関係者向けに新型コロナウイルス感染症に対応した教育活動の実施などについて、質問と文部科学省の回答をまとめたもの。5月21日時点で全104問にわたるQ&AをPDFで公開しているほか、分野別にまとめた内容をWebページに掲載している。

Webページで紹介している質問内容は、「学校における感染症対策」「感染者が発生した場合や児童生徒等の出席等の対応」「学校の臨時休業」「学習指導等」「その他」の5分野。マスク不足への対応、健康診断の実施、児童生徒の心のケア、学習活動の留意点、教職員の勤務、保育料や授業料の取扱いなど、幅広く網羅している。

たとえば、発熱で学校を休んだ児童生徒の再登校基準については、「熱が下がった後にすぐに登校してよいかどうかについては、地域の感染の状況によって判断が変わる」と説明。基本的な考え方として、感染経路不明の感染者が多発している地域は「熱が下がった後も一定期間自宅にとどまっていただく対応も考えられる」、感染経路の不明な感染者がいない地域は「一時的な発熱の後、他に症状もないような場合に登校を拒む根拠は乏しい」と述べている。

修学旅行の実施については、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」や「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」、新型コロナウイルスの感染状況などを踏まえて学校設置者が適切に判断。実施に際しては、日本旅行業協会などが作成した「旅行関連業における新型コロナウイルス対応ガイドラインに基づく国内修学旅行の手引き」などを参考に旅行事業者などと連携し、感染対策の徹底に努めるよう求めている。

そのうえで「当面の措置として修学旅行を取り止める場合においても、その教育的意義や児童生徒の心情等にも配慮いただき、中止ではなく延期扱いとすることを検討いただくなどの配慮をお願いしたい」との考えを示している。

教育活動の実施等に関するQ&A」は、文部科学省のWebサイトから確認できる。《奥山直美》

https://www.mext.go.jp/content/20200521-mxt_kouhou01-000006270_2.pdf

https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00032.html

教育活動の実施等に関するQ&A

①学校における感染症対策に関すること【更新】
②感染者が発生した場合や児童生徒等の出席等の対応に関すること【更新】
③学校の臨時休業に関すること【更新】
④学習指導等に関すること【更新】
⑤その他【更新】

学校集団接種「推奨しない」文科省

学校集団接種「推奨しない」文科省、同調圧力を懸念

2021年6月22日【朝日新聞】

文部科学省は22日、新型コロナウイルスワクチンを12歳以上の中学高校などの生徒に学校で集団接種することについて、「現時点で推奨しない」とする通知を各都道府県などに出した。個別接種が難しいなどの理由で学校集団接種の実施が必要な場合は、接種の有無によるいじめや差別が起きないよう相談窓口を設けることや、接種を行事参加の条件にしないことなどを求めている。

通知は、学校集団接種を推奨しない理由として、保護者への説明機会が乏しくなる▽個々人の意向が必ずしも尊重されず同調圧力を生みがち▽接種後の体調不良に対するきめ細かな対応が難しい――を挙げた。萩生田光一文科相は22日の閣議後会見で「学校での集団接種は受ける人と受けない人の差別化につながり、いじめにつながることも心配される。希望する子どもは親の同意のもとで、個別接種を進めていく」と述べた。

一方で通知は、個別接種の体制確保が難しい場合などに、市町村の判断で学校集団接種をすることを条件付きで認めた。その際、生徒や保護者に接種が強制でないことなどを丁寧に情報提供することや、授業中ではなく放課後や休日、長期休業中に実施するなどの工夫を求めている。

また、特に思春期の子どもに接種前後の不安をきっかけに起きやすいという「予防接種ストレス関連反応」についても説明。「周囲の生徒の様子などの影響を受けてその場の生徒に連鎖して生じることもあり、落ち着いた雰囲気で、万一に備えた体制を整えておくことが必要」と示している。

16歳未満の接種は原則、保護者の同意が必要。小学生については保護者同伴が必要となる。(伊藤和行)

文部科学省通知の主な内容
●中学高校などの生徒に対する新型コロナウイルスワクチンの学校集団接種は、現時点で推奨しない

●学校集団接種が必要な場合の留意点
・効果や副反応など丁寧な情報提供
・差別やいじめが起きないよう、学校は接種が強制ではないことを指導し、市町村は相談窓口を設置
・授業中ではなく、放課後や休日、長期休業中に実施
・業務は教職員に求めない
・「予防接種ストレス関連反応」が生じないように環境を整備

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抗議殺到で個別接種に切り替え 12~15歳にワクチン接種開始の京都・伊根町

2021年6月8日【京都新聞】

京都府伊根町は8日、12~15歳の新型コロナウイルスワクチンの接種を始めたことに対し町外から抗議が殺到したことを受け、中学生を対象に検討していた集団接種を個別接種に切り替える方針を明らかにした。町は「強制的に打つという誤解を解きたい」といい、本人や保護者の同意の下で接種する手続きをより明確にして、これ以上の抗議を避ける狙い。接種時期は未定。

12~15歳の接種については、厚生労働省の専門部会が米ファイザー製ワクチンの対象年齢として了承しており、国は保護者の同意手続きが必要としている。町は当初、学校のテスト期間に配慮して6月下旬に1回目の接種を検討。保護者の同意を文書で確認する方法をとる予定だった。

同町では6日、小学生と高校生に接種した。7日朝から、町役場に「子どもへの接種はリスクがある」「殺すぞ」などと職員を問い詰める電話が相次ぎ、コールセンターを停止。抗議電話は8日までに170件あった。脅迫を思わせる内容もあり、町は京都府警宮津署に被害届を出すことも検討している。
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マスクをしていないと携帯電話中の女子学生の顔を殴る役人(北海道)がいるかと思えば、子どもへのワクチンが危険だと役所に脅迫や威力業務妨害をする市民がいます。どちらも科学的な根拠を持たずに感情的に他者を傷つけたり脅迫している違法行為です。

確かに学校の集団接種は、同調圧力が強くかかり受けない自由を行使しようとするには勇気が必要です。そして、1000人に7人程度が陽性者でその6割が無症状で、子どもに重篤な症状が一例も報告されていない武漢風邪に、リスクの高い大人に接種が済んでいるなら、集団免疫を広げると言うだけで子どもの接種を急ぐ根拠にはなりません。

急ぐべきは高齢者やそれに続く成人の接種であることは間違いありません。伊根町にはきっとたくさんワクチンが送られ、高齢者も高リスク患者も成人も皆終了したから次は子どもにとなったのかもしれません。乙訓では65歳以上の接種が進み、60歳までの高齢者は7月中に1回目が接種されるようです。

都市部では人口の少ない自治体ほどは接種が進みません。行政サービスは田舎の方が早く行き届くが、都市は便利さを享受しているのでおあいこだと言われます。しかし、命にかかわる有事に公平に対応できないのは問題です。抗議電話は町以外からのものも多く、いつまで待っても接種券が送られてこない都市部の市民の苛立ちが、田舎の役場にぶつけられたような気もします。

この苛立ちに加担しているのが恐怖の煽り報道です。女子学生がマスクを外して電話をしているだけで、役人の立場を忘れるほど苛立つのです。最近、アクリル板は飛沫を滞留させるという研究が電通大から発表されました。テレビで連日見かけるアクリル板は感染を広めたかもしれません。メディアが必ず正しいわけではない証拠です。もちろんこの報道は地上波ではほとんど扱われませんでした。

また、今回のワクチンとは違いますが、子宮頸がんワクチン(HPV)の副反応の恐怖を大々的に煽った結果、日本ではワクチン接種率が極めて低いのです。ワクチンを打てば76人に1人の子宮頸がん発症の確率は216人に1人と3分の1に減ります。しかし、こうした効果は宣伝されずにひどい副反応を起こした人たちの裁判を報道することで日本はワクチン接種を推進している他国より2倍以上の女子が命を落とす危険にさらされています。恐怖や鬱屈した感情をメディアが煽ることによって、社会が歪んでいく危険性も私達は熟知しておく必要があります。

標準化された検査

検査は公的な機関や病院、教育機関などさまざまな場所で活用されます。発達障害の診断では、様々な施設で心理検査を受けることになります。専門家のいる病院やクリニック・発達障害者支援センター・児童相談所・保健センターなどです。また、診断以外でも発達障害の子どもの特徴や性格を細かく知って支援や教育の方針を明確にするために活用されます。そのため学校や放課後等デイサービスなどでも使用されます。逆に、心理検査の報告にあまり関心のない施設があったり職員がいたとすれば、そこは特性に応じた細かな支援については関心がないところかもしれません。

心理検査は子どもの一部分の情報ですから検査の様々な数値が子どもの実態の全てを表すものではありません。数値は低いのに努力した結果、進学校に入学している高校生もいますし、高い数値なのに怠学の結果、進学する学校の選択肢が少ない中学生もいます。心理検査の結果だけで、その人の人生はわからないのです。しかし、心理検査で能力の凸凹があることを知っていれば、子どもに向いた学習の仕方や生活の仕方をあらかじめ考えることができます。何かにつまずいた時も原因が把握しやすくなりますから、傷口が広がらないうちに早く対応できます。子どもに持ち続けてほしいものは高い能力ではありません。自分は失敗しても立ち直れる、その方法は必ず見つけることができるという気持ちが育ってほしいのです。そのためには、失敗しても支援によってリカバリーできた経験や、失敗を予測して別の方法で到達する経験をたくさん積んでほしいのです。そうすれば自分を信じることができるし、支援を信じることができるはずです。

心理検査の流れは、行動の観察・問診として、実際の検査を実施する前に、子どものおおまかな特徴、生育歴や生活環境を把握します。また、本人や両親の困り感、関係者の意見や周囲の環境面についても把握します。そして、報告がどの場所で誰に活用されるのかを判断して検査の種類を選択します。心理検査は1種類のみを実施するのではなく、複数の発達、知能、特性検査を組み合わせて行うことがほとんどです。

検査の種類はいろいろありますが、京都で多用されるのは「新版K式発達検査」です。本来この検査は乳幼児向けの適当な検査がなくて京都児童院(今の児童福祉センター)で開発されたもので、今は成人まで測れます。しかし、標準化(統計的に妥当性があるように作る)されていないのと、子どもの能力を運動・認知・言語の3つに分類され、新しい知能分類(CHC理論)に基づいていないので、何を測定しているのか分かりにくく説明がしにくいのです。それでも、ベテランの検査者にとっては子どもの苦手が推測しやすいということで関西ではよく使われています。

保護者にとってはこの3つの数値を示されても、見る力や言葉の力が進んでいるか遅れているかしかわからず、「一緒に生活したらわかる」程度の数値です。しかし、この検査者の中には「数値が独り歩きするから」と数値を当事者に示さない人がいるそうです。前回も述べましたが、常識で考えれば、検査結果の数値を隠す人の報告を信用できるはずがありません。そんなに自分が行う検査にも説明にも自信がないのならやらなければいいのです。そんな検査に付き合う子どもこそ迷惑です。

K式検査は2001年に改訂されたきり20年近く改訂されていません。知能検査は、10年で陳腐化します。文明の進化と共に子どもの知能全般が伸びるからです。今度予定されている改訂は2020年だそうです。これは標準化された検査になるそうですが、知能の分類は変えないそうです。明日は他の検査について掲載します。

6月21日夏至の日ー全国各地、おうちで日食観察を-

2020年6月21日(日)の午後、日本全国で部分日食が起こります。日本で見られる日食は2019年12月26日の部分日食以来ですが、次回全国で見られる日食は2030年6月1日の北海道での金環日食(他の全国各地では部分日食)までありませんので、梅雨空に晴れ間が生じたら、是非見ておきたい天文現象です。

日食とは、太陽-月(新月)-地球の順に宇宙空間で3つの天体が一直線に並ぶことで起こる現象です。昼間、太陽からの光を受けた月の影が地球に落ち、そこだけ昼間なのに光があたらない場所が出来ます。

日食には、完全に太陽を月が隠してしまう「皆既日食(皆既食)」、太陽の縁が丸くリング状に見える「金環日食(金環食)」、そして太陽の一部分が欠けて見える「部分日食(部分食)」があります。皆既日食や金環日食が生じる場所は帯のように狭く、その周りの地域で部分日食が見られます。今回は、アフリカ中部、アラビア半島、パキスタン、インド、中国、そして台湾のそれぞれ狭い範囲で金環日食となり、この帯状の金環食帯の中心では最大で0分38秒の金環食を見ることが出来ます。今回は、金環食の継続時間がとても短い現象です。

金環食帯の外側の一定範囲では、太陽は完全には隠れませんが、一部のみ隠れる部分日食になります。この日、日本各地では、天候に恵まれれば、午後から夕方の時間帯になりますが、太陽が欠ける様子を観測用具や木洩れ日等を用いることで観察可能です。

那覇では太陽の面積の79%、東京では36%、札幌では18%が月によって隠されます。

太陽の観察はとても危険です。太陽の光と熱のエネルギーは膨大なため、直接、太陽を見ると失明する危険があります。肉眼でも危ないのですから、天体望遠鏡や双眼鏡を使うことは極めて危険です。肉眼で見ることはもちろん、天体望遠鏡や双眼鏡も使わないでください。太陽観察用の「日食グラス」等専用の用具で観察しましょう。また、そのような用具が手に入らなくても、木漏れ日やピンホールカメラを用いて観察する方法があります。より詳しい情報は国立天文台の解説ページをご覧ください。

太陽の光を見かけ上減光できるからといって、黒いごみ袋、アルミホイル、ポテトチップスなどの袋、色付きの下敷きなどで見ることもとても危険です。これらは赤外線を通してしまうため、可視光を減光していても、熱によって網膜が傷ついてしまう可能性が指摘されています。

COVID-19拡大予防のため、今回の日食では日食観察会等が開かれない地域がほとんどかと思います。ご自宅などで3密にならないように楽しむ他、国立天文台の石垣島天文台はじめ、全国各地から日食中継が予定されています。また、金環日食となる海外の国々からもインターネット上で中継イベント等(英文)が予定されていますので、併せてそちらもお楽しみください。

参照ページ:

宙ツーリズム推進協議会 おうちで日食観察を楽しもう!全国各地からオンライン中継

JAPOS(日本公開天文台協会)観測キャンペーン夏至の日の部分日食を見よう

和歌山大学観光学部 YouTube Live-全国縦断「夏至の日に部分日食を見よう!」

 

「学校の防災訓練は非現実的」 学校安全部会で専門家指摘

「学校の防災訓練は非現実的」 学校安全部会で専門家指摘

2021年6月23日【教育新聞】

第3次学校安全推進計画の策定に向けた検討を行っている中教審初等中等教育分科会学校安全部会は6月23日、第2回会合をオンラインで開き、防災教育をテーマに議論を行った。同部会委員で、内閣府の「防災・減災、国土強靭(きょうじん)化ワーキンググループ(WG)」でも委員を務めていた大木聖子・慶應義塾大学環境情報学部准教授は、発表の中で現状の学校の防災訓練が非現実的であると指摘。第3次計画で、幼児教育・保育における防災教育の必要性や、実効性のある防災訓練を学校現場に浸透させることを提案した。

この日の会合では、内閣府から5月末に同WGが取りまとめた「防災・減災、国土強靱化新時代の実現のための提言」についての報告があり、それに続いて大木准教授からの発表が行われた。

内閣府の提言では、東日本大震災の発生から10年を踏まえ、防災・減災、国土強靭化の新時代に向けて、防災教育を第3次学校安全推進計画の柱として位置付け、全ての子供が災害から自らの生命を守れる能力を身に付けられるようにする方針を掲げた。学校で行われている現状の避難訓練は、実施率は高いものの内容は形骸化しているとして、全ての小中学校で、地域の災害リスクや「自分は大丈夫だ」と思い込んでしまう正常性バイアスなどの知識を教えることや、教職課程に防災教育の指導法を組み込んだり、地域と学校が連携して防災教育を支援する「防災教育コーディネーター(仮称)」を育成したりすることを盛り込んだ。

内閣府の防災・減災、国土強靱化新時代に向けた防災教育の提言
続いて発表した大木准教授は、専門の地震学の見地から、「教師の指示に従って、全員が校庭に避難が完了するまでの時間を計測する避難訓練」について、震度6以上の地震では声を発することができないほどの揺れになることから、教師は事実上指示を出せないことや、校舎は一般住宅よりも耐震性が高いにもかかわらず、校庭に避難することに合理的な理由はないことを指摘。

「地震学者の観点から見ると、非現実的な訓練が行われている。最も違和感があるのは、余震を想定している訓練がないことだ。大地震で余震が伴わないものはない」と批判した。

また、幼稚園や保育所などでの、未就学児を対象とした防災教育に力を入れるべきだと提案。第3次計画では、地震の概念が十分にない未就学児の命を守る視点を意識したものとすることや、発達段階に応じた防災教育スタンダードを策定することで、就学前から高校段階までシームレスな防災教育を実践できると強調した。

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地震想定の訓練でグランドに避難するのは、地震から火災が発生したので屋外に避難するというシナリオがあるからです。その理由は、グランドで消防署職員が子どもたちと一堂に交流する機会を持つことで、防災教育の一環としたいという目的があるからです。

その際に、整然と移動できたことを評価しているだけのことで、時間短縮はその結果であり「押さない走らない喋らない戻らない」おはしも訓練に時間短縮目的などありません。また、余震の事にも触れており建物の壁や天井が崩れることも想定して移動するように指導されています。正常性バイアスの問題は防災知識を教えた子どもには起こりにくく、知識のない大人に起こりやすい問題です。大木さんは、学校訓練で教員や子どもの取材をせずに、思い込みで発言しているのではないかなと思います。

すてっぷでも、この5月に地震から近隣住宅に火災が発生した想定で広域避難場所に移動する訓練をしています。子どもたちは、落下物から頭部を守る動作や整然と行動する姿は、毎年学校で2回訓練している効果を感じさせるものでした。問題は、被災後何日間この子たちと安全に過ごせるかどうかの訓練はないので、シミュレーションだけでもしておいた方が良いなと考えています。こちらは何パターンか思い込みでやるしかないのですが・・・。

K-ABCⅡ

WISC-Ⅳは、ウェクスラーという米国の心理学者が1949年に開発し改訂が繰り返されている知能検査の1つです。ウェクスラー式知能検査は世界でも広く使われている知能検査で、受ける人の年齢に合わせて、幼児用…WPPSI、児童用…WISC、成人用…WAISの3つがあります。ここでは対象年齢が学童期のWISCについて紹介します。定期的に改定されており、現在は第4版となるWISC-Ⅳが最新となっています。15の下位検査(基本検査:10、補助検査:5)で構成されており、10の基本検査を実施することで、5つの合成得点(全検査IQ、4つの指標得点)が算出されます。それらの合成得点から、子どもの知的発達の状況をさまざま方向から把握できます。4つの指標得点とは言語理解指標、知覚推理指標、ワーキングメモリー指標、処理速度指標の4つで、それぞれの指標が出るため、得意なこと、不得意なことの判断に役立ちます。

特に情報をどのように入力し、どのように表現するのが向いているかという判断は、勉強法を考えていく上で役立ちます。例えば、知覚推理が弱い子どもには、絵や図で伝えるより言葉にして論理的に伝えたほうが理解しやすいなど、対策を考えることができます。標準化された検査は、検査項目で3ポイント、指標ポイントで15点が「有意な差」(明らかに違いがある)ですから、個人の凸凹を判断するときにはこの開きを見ていきます。

本事業所で採用している検査の一つは、K-ABCⅡです。アメリカの心理学者カウフマン夫妻により(1983)作成されました。カウフマン夫妻はウェクスラー博士のもとでWISCの改訂に協力してきました。妻のナディーン・カウフマンは学習障害をはじめとする発達障害が専門です。夫妻はWISCの課題をKABCで解決しようとしました。子どもの知的能力を、認知処理過程(認知)と知識・技能の習得度(学力)の両面から評価し、得意な方法を見つけ、それを子どもの指導に活かすことを検査の目的としたのです。

K-ABCⅡはカウフマンモデルとCHCモデルという2つの理論モデルに立脚し最新の理論を取り入れたこと、認知処理を、継次(言語的)処理と同時(視覚的)処理だけでなく、学習能力、計画能力の4つの能力から測定していること、が特徴といえます。WISC-Ⅳとの違いは以下の表のとおりです。

WISC-Ⅳには基礎学力を図る検査項目はありません。WISCは医療用として用いられてきた背景があるからです。K-ABCⅡには、習得尺度という基礎学力を図るための尺度があります。これにより、学習がどれだけ定着しているかを知ることができます。K-ABCⅡの検査は、教育を意識して作られているため、WISC-Ⅳよりも学習と結び付けて考えやすい特徴があることも本事業所が採用している理由です。学校や病院ではWISCがほとんど利用されます。KABCは2回に分ける必要があり時間がかかるということが大きな理由だと思います。次回はK-ABCⅡで検査の読み方について考えます。

 

COCOA

接触アプリ、19日午後に提供開始 厚労省
【日経電子版】2020/6/19 12:14更新

厚生労働省は19日、新型コロナウイルスの感染者と濃厚接触した可能性があることを通知するスマートフォン向けアプリ「COCOA」の提供を同日午後3時ごろに開始すると発表した。

アプリによって濃厚接触者を効率的に割り出し、迅速に検査することで感染拡大を防ぐ狙いがある。互いにアプリを利用していないと接触の記録は残らないため、普及率が実効性のカギを握る。

今回提供するアプリは基本ソフト(OS)に「アンドロイド」「iOS」を搭載する機種が対象で、米グーグルやアップルのアプリストアで無料でダウンロードできる。

スマホの近距離無線規格「ブルートゥース」を使い、アプリの利用者同士が1メートル以内に15分以上いた接触の記録をスマホ内に蓄積する。感染が判明した利用者がアプリで申告すると、スマホ内に記録された接触者に対してサーバー経由で通知が送られる仕組みだ。

氏名や電話番号、位置情報など個人が特定される情報は記録、収集せず、通知を受けても過去に接触した誰が感染したのかまでは分からない。接触の記録は14日経過後に自動的に無効化され、アプリを削除した場合も記録は消去される。

スマホにアプリを入れている人同士の接触記録しか残らないため、普及率が6割以上ないと効果は薄いとされる。同様のアプリは他の国でもすでに運用されているが、プライバシー侵害への懸念などから必ずしも普及は進んでいない。3月にアプリ配布を始めたシンガポールの普及率は3割程度にとどまっている。

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要するに、武漢ウィルスの陽性感染者(COCOAをインストールしたスマホ所持者)と接触したから検査したほうがいいよ。というお知らせが来るのです。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/cocoa_00138.html

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000641521.pdf