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1. 都立高入試の男女別定員「候補者は姿勢示して」

投稿日時: 2021/07/03 staff1

都立高入試の男女別定員「候補者は姿勢示して」弁護士ら議論求める

2021年7月3日 【東京新聞】

東京都立高校の男女別定員制は廃止すべきではないかー。同じ高校に入るのに男女で合格最低点に著しい格差があり、是正措置を講じても女子が男子より数十~百点以上高い学校もあったことが、本紙が情報公開請求した資料で分かった。多くの場合で、女子の方が高い点数を取らないと合格できないのは不公平だとして、都議選の争点にするよう求める声もある。(奥野斐)

◆「時代の流れに逆行」
「能力に応じて等しく教育を受ける権利を保障する憲法や、性別による教育上の差別を禁止した教育基本法に反している」
制度の撤廃を目指す「都立高校入試のジェンダー平等を求める弁護士の会」は6月下旬に記者会見し、男女別の定員制と合否判定の撤廃を求めた。性的少数者への配慮から、願書の性別欄をなくす動きが広がっていることも踏まえ「多様な個人のあり方を尊重する時代の流れに逆行している」と指摘した。

都教育委員会によると、男女別定員は都立高の全日制普通科110校で設定。入試の募集人数は、都内公立中学3年の男女比率に応じて決められている。2021年度入試の募集定員は、およそ男子52%対女子48%で、ある高校では男子132人に対し、女子122人と、10人の差があった。男女別定員制を採用しているのは、全国の都道府県立高で都が唯一とされる。

◆合格最低点が男子より243点高い例も
都教委は男女の合格最低点の差を縮小するため、定員の9割まで男女別に合否判定し、残りの1割を性別に関係なく合格者を決める緩和策を導入。今春の入試では42校が利用した。

本紙は、緩和を実施した学校長が是正状況を答えた資料を入手。学校名などは伏せて開示された。合否は多くの場合、内申点(300点満点)と筆記試験(700点満点)の合計で決まる。15年度入試では、是正後の合格最低点が243点も女子が男子を上回るケースがあった。20年度入試でも、女子が男子より50~70点余り高い学校が少なくとも4校あった。

予備校講師で受験コンサルタントの新野元基さんは、点数差が生まれる背景に私立校の影響を指摘する。「私立の女子校で高校から入学できる学校が減っている。特に中から上位校を志望する女子の選択肢が限られ、都立の倍率が上がる傾向がある」と分析し、私立校を含めた入試制度全体の見直しを求めた。

今春、都立高1年になった女子生徒の母親(48)は「この入試制度は不公平と感じた」と話す。女子の枠が小さく、男子より倍率が高い学校が目立った。「男女別をなくした方が個人の能力に見合って受験できる」

都高等学校教育課の担当者は「定員がある以上、同じ点数で女子が入れないケースはある。男子の方が倍率が高く、高い点数でないと入りにくい学校もある」と説明。一概に女子が不利ではないとの見解だ。

◆都議会でも制度に疑問
こうした中、現役都立高教諭らが5月下旬、男女別定員制を廃止し、性別で不利にならない入試をしてほしいとネット署名を始め、既に3万筆余が集まった。

都議会でも制度に疑問を投げ掛ける質問が出た。6月議会では、藤田裕司教育長が「男女別定員による不公平感を低減し、より男女平等な入学者選抜を目指す」と答弁した。

「弁護士の会」のメンバーで、自身も都立高出身の山崎新弁護士は「都は点数差と格差の是正の方策を速やかに明らかにしてほしい」と話す。最終盤に入った都議選についても「候補者はこの問題への自らの姿勢を明らかに」と訴えた。

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確かに試験に男女の格差を設けるのはおかしいです。(消える公立高願書の性別欄:02/08)でも書きましたが、要するに「女子の方が成績が高い」から「男子が少なくなる」ので男には下駄をはかせて、学校が男女同数になるようにしているということです。私学なら男子校も女子高もあり、男女同数の学校がわが校の教育コンセプトだと言えば通りますが、公立の場合はそう簡単にはいきません。男女平等に成績で選別するのと、男女の人数差が生じないように男女枠定員を設けるのとでは、前者が公平に決まっています。後者を取るならば、世の中には障害者も1割いるのだから公立高校に障害者枠を設けよという議論になります。第一、男女以外も含めて性差に敏感になっている風潮の中で男女枠を設けること自体が制度疲労と言えます。

ただ、気になるのは選挙の争点にするという動きです。この弁護士会は都議選の「候補者はこの問題への自らの姿勢を明らかに」して、政争の具にしたいのでしょうか。性別の問題は欧米のように政治化したり裁判をして解決するとは思えません。公教育はあらゆる市民に開かれたものですから様々な意見を聞く必要がありますが、今回の入試の男女枠問題は選挙で解決するような問題ではないと思います。手元に資料はないのですが、この男女枠がかつては女子の高校教育の拡大に寄与したのかもしれません。制度には必ず理由があるはずですから、それを明らかにしながら、結論として時代に合わないのなら変えれば良いと思います。

「男子の方が倍率が高く、(男子が)入りにくい学校もある」と性別枠組みを肯定したポンコツ発言を役人がするから炎上するのは無理もないですが、だからと言って一足飛びに政争の具にする内容ではないと思います。政治化するぞと脅したり、対立を煽ることによって余計に本質が見えなくなり、反対するものを袋叩きにするようなことは今回のコロナ騒ぎでも経験しているはずなのに、懲りない人がいるものです。