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みんなちがってみんないい

要保護児童対策地域協議会

「児童虐待防止法」が2000(平成12)年に施行され、それ以降、様々な防止施策が講じられてきました。しかし、2013(平成25)年に公表された「第9次報告」によると、この間も保護者からの虐待により50人(親子心中を除く)近い子どもが毎年のように貴重な生命を失っていると報じられています。特に残念なことは、同報告の中に子もの人権を守る立場にある児童相談所や健全な発達を保障する立場にある保健センター等の専門機関が関与していたにも関わらず、子どもが虐待死しているという事例が数多く見られたことです。

国はこのような実態を踏まえて早期対応や早期介入等を行う児童相談所の機能強化に努めてきました。加えて、近年では児童虐待の防止に関係する連携が必要なことから、要保護児童対策地域協議会(以下「要対協」)の設置を促し、体制強化を図り設置率はほぼ100%近くになました。しかし、その要対協が関わっていながら虐待死したケース数は第9次報告によると14例、全死亡事例(54例)に対する割合は約25%を占めています。この数値は要対協の有効性について疑問を持たざるを得ない数値です。

本事業所でも、各市町の要対協のメンバーとして参加することがありますが、「誰が鈴をつけるか」と言う責任所在のはっきりしない会話が多いのが気になります。もちろん児童やその保護者との接触を日常的に持つ保育所や学校はその矢面に立ちますが、対象家族への指導権限があるのかというと何もないわけです。あくまでも、利用側とサービス提供側という関係で、子どもの支援はしますが、親を指導する立場にはありません。また、この国の法体系は、事案が生じてから動き出す仕組みで、予防的な視点が抜け落ちています。また、相談事業はあくまでも保護者が利用するもので、その押し売りはできません。「もっとも相談してほしい保護者が相談してくれない」のです。

児童虐待は、リスク要因が様々な形で複合して発生しているだけでなく、支援を阻むような要因(情報把握の凸凹など)も少なくないため、その支援が非常に難しい問題です。また対応機関である児童相談所だけでなく、地域の要対協でも職員の専門性、機関による児童虐待の認識の差異などが加わるため、支援者にとっては非常にストレスフルな問題です。調整者として職務についた行政職員はこうした状況に置かれ、自らの能力不足もあって辛い状態におかれます。

こうした状況を軽減するためには、ノウハウを持っている外部コンサルタントの力が有効です。大阪市では、行政事情を十分に認識した上で、外部コンサルタントを導入する方針をだされた。それが「SV(スーパーバーイザー=虐待事案専門相談職)の要対協への派遣事業」です。この派遣事業にはいろいろなメリットがあり成果も上がっています。さらに「地域の医師が参加できないため専門的意見が聞けない」や「法的な問題がよくわからないから不安である」といった場合、派遣されている区の担当SVがそうしたケースに対応できる専門家を呼ぶことが出来るということでも有効です。児童虐待は確かに難しい問題ですが、まったく歯が立たない問題ではありません。それは問題を解く人間の質的、量的確保や社会資源の充実で改善されるし、短期的には不足分をいかに補うかは、子どもの人権をどのように行政や地域が考えているかによって大きく変わってきます。

コロナ差別に涙

コロナ差別に涙…紙芝居で「痛み」向き合う小学校で手作り道徳授業

2020/10/10 6:02【西日本新聞】

新型コロナウイルス感染者や医療従事者への差別、偏見の問題に向き合おうと、福岡県粕屋町戸原東の大川小(806人)の竹内祐子教諭(63)=通級指導教室担任=が児童向けの紙芝居を作った。感染から回復した男児が心ない言葉を浴びせられるが、友達の優しい気持ちで元気になるストーリー。道徳の時間を使い、通常学級24クラスで思いやりの大切さを伝えた。

「コロナの今、考えよう」と題した紙芝居は画用紙10枚。竹内教諭が8月下旬から約3週間かけて1人で仕上げた。

紙芝居では、コロナに感染した男の子が闘病、退院したものの、お使いで行ったスーパーで近所の女性たちから「あの子よ、コロナになっていた子」「さっき、このリンゴを触ってなかった?」などと陰口を言われて傷つく。感染しても泣かなかった男の子は「ぼくは何も悪いことはしていません」と帰り道で泣いた。

翌日。男の子は見舞いに来た友達に「学校に来るのを待っているよ」「インフルエンザと同じで、いつかかるか分からないもんね」「また一緒に遊ぼう」と言われ、笑顔を取り戻す。

紙芝居を見た6年生は「やっと治ったのに嫌な気持ちにさせられてかわいそう」「大人たちの態度が悲しい」「友達がかかったら、『クラスみんなで待ってるよ』と伝えたい」など、たくさんの感想を発表した。

竹内教諭は「子どもたちが自分のこととして受け止め、何ができるかを考えてくれた。感染を学校や地域、職場での仲間外れやいじめにつなげてはならない」と強く願った。(森竜太郎)

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子どもは、まだいいです。問題は、コロナ警察などのクレーム大人。マスクをしろとつっかかって来る大人。県外から遊びに来るなと道の駅で罵声をあげる大人。この中には、白黒をはっきりさせたいステレオタイプにしかものを考えない人や、情報弱者も含まれてはいるものの、自他の区別、心のソーシャル・ディスタンスが取りにくい人が少なくありません。GOTOを安心して使えなかった健康年齢を過ぎた方たちも結構あたりがきついとも耳にします。子どもは大人の真似をするものです。

 

 

スクールカウンセラー配置3万件も不登校減少つながらず

スクールカウンセラー配置3万件も不登校減少つながらず

11/4(木) 【産経新聞】

さまざまな理由で学校に通えない小中学生をケアしようと学校を起点に子供や保護者の心理的なサポートを担う「スクールカウンセラー(SC)」の配置が全国の自治体で広がっている。一方で、令和2年度の不登校の児童生徒の数が19万6127人と過去最多となり、SCの増加が不登校の減少に必ずしもつながっていない。財務省も国の事業の改善点を探る調査でSCの資質向上の必要性を指摘するなど、SCの制度自体の改善を求める声も上がる。

文部科学省は平成7年度からSCの配置を始め、その職務を「不登校や、いじめなどの問題行動の未然防止、早期発見および対応」などとした。配置件数はほぼ毎年増え、令和2年度に計画された配置は3万件超。一方、同省の調査では不登校の小中学生は平成24年度から毎年増え続けている。

不登校増加の背景には、無理をして登校しないことも選択肢の一つと捉える社会認識の変化もある。だが、いじめの認知件数も25年度から令和元年度まで毎年増加。2年度は減少したが、新型コロナウイルスによる休校などが要因とみられ、SCの配置の成果に疑問符がつく状況にある。

文科省は「個別に見れば、SCのサポートで不登校から学校に復帰した例もある」と評価。一方で、ほとんどの自治体では1校あたりのSCの勤務日が週1日以下のためきめ細かな対応が難しいとし、SCの人数や勤務日数を増やしたい考えだ。

だが、SCが常駐して常に子供たちを見守り、保護者にアドバイスできる環境があれば不登校の防止につながるとはかぎらない。全国で唯一、SCを全市立中学に常駐させる名古屋市では、段階的にSCの常駐配置を始めた26年度から、不登校の生徒が毎年増え続けているのが実情だ。

財務省では毎年、各省の事業から計数十件を選んで有効性や効率性を調べる「予算執行調査」を実施しており、今年度はSCが対象になった。この調査では自治体への聞き取りも行われ、多くの自治体が「SCの資質向上が課題だ」と回答。これを受け、財務省が9月に公表した調査結果では、文科省に対し、SCの配置効果を検証する際の基準を示して効果的・効率的な配置ができる仕組みを求めるともに、「現在配置されているSCの資質の向上が最重要事項」と指摘した。

■専門資格の創設 検討が必要

なぜ、スクールカウンセラー(SC)を頼れる環境があっても、安心して学校に通い続けられる子供が増えないのか。元中央教育審議会副会長の梶田叡一氏(心理学・教育研究)は「SCという固有の資格の創設を検討する必要もある」と指摘する。

SCに特化した国家資格はないが、臨床心理士の資格を持っているケースが多い。一方で、梶田氏は「臨床心理士とSCとでは必要な技能が異なるということが理解されていない」と話す。

臨床心理士が医療機関などで担うカウンセリングでは、相談者の話を傾聴してアドバイスはしないのが一般的。一方で文部科学省はSCに対し、児童生徒にカウンセリングを行い、保護者に問題解決に向けた助言をするよう求めているが、話を聞くだけで助言しないSCが目立つという。

2年前の夏、当時中学1年だった長女(14)が体調不良を訴えて学校に行かなくなった愛知県の女性(53)は、SCと半年間、週1回の面談を続けた。だがSCは毎回、「本人が登校する気になるのを待つしかない」と繰り返すだけで、「何をして待てばいいのかも分からなかった」と振り返る。

焦った女性は、再登校を支援する民間の専門家を頼った。そこでは学習のつまずきが原因と判断され、長女は算数の復習や生活リズムの改善などに取り組み、3学期から学校に通えるようになった。今も明るい様子で登校しているという。

30年以上にわたり不登校の児童生徒の復帰を支援する明治学院大の小野昌彦教授(教育臨床心理学)は「SCの人数は増えたが、専門性の低い人も多い」と感じている。保護者がSCを頼り、面談を重ねても具体的な分析やアドバイスもなく、やがて子供が完全な不登校になる-。そんなケースが後を絶たないという。

こうした状況の背景には、SCの養成体制の脆弱さがある。SCに特化した養成は行われておらず、各自治体が採用後に開く研修会は講演会などが多いため、実践的な指導法を学ぶのは難しいのが現状だ。梶田氏は「SCになる前に大学などで履修する専門的なカリキュラムをつくることも必要ではないか」としている。(藤井沙織)

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スクールカウンセラー、先生以外の大人が学校で子どもの支援をするのは大事なことです。財務省はコストパフォーマンスをいうのでしょうが、スクールカウンセラーとは不登校予防人材では決してありません。親や友達、先生以外の人に聞いてもらえる環境が学校にあることが大事なのです。日本は先進国の中で教育予算の財政投資が最も少ない国です。そういう意味では、安上がりの学校経営をしてるのだから、不登校もいじめも虐待も減らなくて当たり前と言ってもいいかもしれません。

記事にある中学生の学力問題を民間で見つけて不登校が解決されたという事例は、学力問題を見落としたスクールカウンセラーの責任ではありません。学力問題は小学校時代からあったはずだし、それを見過ごしているのは担任をはじめ学校の責任です。彼女がLDかどうかは分かりませんが、どの学校にも特別支援教育コーディネーターを兼任ですが配置していますから、読み書きに躓きがあれば通級指導教室教員などチームで深刻なケースは扱っているというのが建前です。しかし、この機能がうまく働いている中学校は片手で数えられるほどしか知りません。

昔から、子どもの発達や学習障害のことを知らず、傾聴だけの臨床心理士がやってきてもそんなに効果は上がらないし、心理士が個人の秘密を守るということを機械的に優先するので、心理士から子どもの情報が支援チームに流れないという致命的な問題が言われ続けていました。一方で、心理士は学習内容や学級経営には首を突っ込まないでほしいという教員側の保守主義もあって、心理士を含めた支援チームが形成できないという課題を未だに抱えている学校は少なくありません。スクールカウンセラーはもっともっと必要です。学校の抱えている風通しの悪さを解決もせずに、スクールカウンセラーに不登校対策の責任を押し付けて人件費削減の理由にしないでほしいです。

発達障害のある大人

発達障害のある大人は、「相手の気持ちを読めない」「注意のコントロールが苦手」などの特性のため、子どもの頃から集団に馴染めないということが起こりがちです。そのため、いじめを受けたり、なんとかして周囲に合わせようと無理をして、苦しい思いをしてきたという人も少なくありません。それなのに、なぜ大人になるまで発達障害があると分からなかったのでしょうか?

考えられるのは、周囲の環境や人間関係によってカバーされていた場合です。学校では、決められた日課に沿って生活し、与えられた課題をこなしていれば、人付き合いが苦手であってもあまり問題にはなりません。勉強ができれば、多少場違いな行動があっても、先生や親がフォローしてくれるでしょう。家族や先生、仲のいい友達といった限られた人間関係の中では、発達障害の特性も「個性的」ということで認めてもらえていたかもしれません。しかし社会人になると人間関係は複雑になり、いろいろな人とやりとりをしなければならなくなります。相手の表情や空気を読み取ったり、周囲に合わせて行動するなど、高度なコミュニケーション能力や社会性を要求されるようになります。また仕事や学習においても、人から与えられるものだけでなく、自ら計画を立て、主体的にアプローチしていくことが求められます。そうした周囲からの要求によって、それまで潜在的にあった特性が一気に浮かび上がってきて、社会生活に支障をきたすということが考えられます。

また、発達障害という概念が知られるようになってきたのはごく最近であり、以前はその特性からもたらされる失敗や困難さを、本人の努力不足や親の育て方のせい、とされることはよくありました。いまでもそうした傾向は残っています。そんな誤解の中で自らの特性や対処法を学ぶことなく育ち、社会に出てから頑張って働こうとしてもやはりうまくいかず、深く傷つく中でようやく「発達障害」という言葉と出会い、診断を受けた、というケースも少なくないのが現実です。さらに、せっかく医療機関を訪ねても、成人を診る精神科医の中で発達障害のことがよく理解されておらず、統合失調症など、他の疾患と誤診されることもありました。そのため、誤った治療を受けて苦しんだという人もいます。

自分の「生きづらさ」の原因がわからず、周囲からも理解されず、マイナスの経験が積み重なっていくことは、「自分は周囲に受け入れられていない」という感覚を抱いたり、“普通”になろうと無理な努力を重ねたりすることにつながり、その結果として社会的な不適応を起こしやすいといえます。ある研究によれば、ひきこもりの人たちの3割に発達障害があったことがわかりました。しかもそのほとんどは本人も家族も気づかず、診断されていない人たちです。現在も発達障害に気づかないまま、社会適応がうまくいかず、苦しんでいる人たちは数多くいると考えられます。しかし、大人になってからわかった場合でも、悪化を防ぎ、治療を進めることはできます。発達障害の特性を踏まえた環境の調整、生活の工夫、ソーシャルスキル・トレーニングなどと組み合わせていけば、状況を改善していくことは可能です。

 

インクルーシブ高校教育

【インクルーシブ教育最前線】卒業生の4割が「進学」神奈川の県立パイロット3高校

09月28日【時事通信】

進路は分散
知的障害のある生徒が他の生徒と共に一般学級で学ぶ、神奈川県立のパイロット高校3校から2020年の春、1期生29人が卒業した。入学者選抜がある高校段階では全国的にも珍しい、インクルーシブ教育の実践だ。

20年度からは、受け入れ校を14校に増やして全県をカバーする。注目された卒業生の進路は、約4割が「進学」。同県の桐谷次郎教育長は「障害のある子たちの選択肢が増えた意味は大きい」と話している。

県教育委員会は、15年度に茅ケ崎、足柄、厚木西の3県立高校をパイロット校に指定。それぞれの高校と連携した近隣の各中学校の校長が、軽度知的障害相当と認めた生徒を受け入れてきた。中には、発達障害の傾向が強い生徒もいる。

3月に卒業した3校の全生徒29人の進路を見ると、4年制大学1人、専門学校3人に加え、職業訓練校へは8人と、上級学校に進んだのは全体の41.4%に上った。他は、就職が13人、就労移行支援など福祉関係の進路が4人だった。

18年度の同県立特別支援学校高等部知的障害教育部門の卒業生1038人のうち、上級学校に進んだのは16人と1.5%にすぎない。おおむね卒業生の3割が就職、7割が福祉関係の進路という現状と比べると、パイロット校3校の進学の多さが目立つ。

県教委の田所健司インクルーシブ教育推進担当部長は「特別支援学校の進路と比べると、上級学校に行きたい要望があり、それが一定程度かなっている状況が、1年目にして見えてきている」と評価した上で、背景を次のように分析した。

「一つには、進路選択をする際に、高校の教育課程で勉強することを前提にしているという意味では、進学を望む生徒が集まったのかもしれない。特別支援学校高等部のカリキュラムは、進学より就労とその後の定着を意識している。この制度で入学した生徒は、教科を満遍なくできなくても、得意な教科のある生徒も多い。高校のカリキュラムで学ぶことで進学に結び付いたのではないか」

田所部長は、さらに「ここに注目しているが、もう一つは」と続ける。
「特別支援学校では就労のウエートが高いが、高校はさまざまな進路を選択するのが特徴だ。障害があっても、他の生徒と同じ環境の中で学ぶことで、大学や専門学校に行きたいというモチベーション(意欲)を持ちやすいのだと思う」

卒業生29人全員の進路が決まった。進学以外の生徒の進路についても、田所部長は「未定者が多いと、特別支援学校の方が良かった、となりかねないが、各校が早い段階から進路を開拓し、丁寧に指導した結果だ」と言い、胸をなで下ろしている。

実際に、障害のある生徒を受け入れ、送り出したパイロット高校の現場は、この結果をどう見ているのか。

茅ケ崎高校で3年間、障害のある生徒たちを見てきた清宮太郎前校長は再任用で現在、県立高校定時制で教えている。

清宮教諭は「高校でのインクルーシブ教育は全国でも珍しい取り組み。受け入れ前には、出口(卒業後の進路)はどうなるのか、と言われた。答えはなかった。頑張ります、としか言えなかった」と振り返る。

特別支援学校は、就労に力を入れているのに対し、同校の卒業生で就職するのはごくわずか。同校は、ほとんどの生徒が進学する中で、この取り組みの当初は、障害者就労についての進路指導のノウハウも人脈も持っていなかった。

そうした不安や懸念を清宮教諭が払拭できたのは、1期生が入学した直後の保護者会だった。ある保護者が言った。
「うちは高校3年間を楽しめればいい。将来は次にまた考える」
清宮教諭は「この人たちとなら新しい社会を創れる」と強く共感した。

「生徒にとっては青春の3年間。集団の中で、部活動や学校生活を楽しむ場。将来については、3年間の中で見付けて次のステップにつなげればよい。高校は自分を探し、自分をつくる場だ。特別支援学校では、企業の特例子会社を目指すことが多いかもしれないが、生徒の可能性は無限だ」

特例子会社とは、障害者の雇用促進のために、雇用に当たって特別な配慮をする子会社のことで、認定を受ければ親会社やグループ全体の障害者雇用分として実雇用率を算定することができる。

障害者にとっては、合理的な配慮の下、障害のある仲間と一緒に働くことができるほか、最低賃金が保証され、安定した収入を得ることができるメリットがある。だが、清宮教諭はこう考えている。

「入学前、子どもたちの最大の心配事は、出口ではない。友達ができるか、勉強についていけるか、高校生活を楽しめるかだ。共に学んだ出口の段階で障害のある人だけが集まる特例子会社という小さな社会に戻らなくてもよいのではないか。急がなくてもよい。高校卒業後にワンステップ入れて、社会に出ればよい。高校でせっかく共に学んだのだから、次のステップは共に生きることだ。知的障害のある生徒が即就職、福祉施設に行く、という図式を塗り替えられたのは大きい」

神奈川県は20年度から、知的障害のある生徒を受け入れる高校を14校に拡大し、全県をカバーする体制が出来上がった。定員は、各校各学年21人。

パイロット校では、連携する中学校からの進学に限定していたが、20年度からは県内どこの中学校からも入学できるようになった。特別支援学校高等部に加え、インクルーシブ教育実践推進校14校が、新たな進学先として広がった。

20年度の入学者は190人。各校5~19人とばらつきはあるが、全体の定員294人に対し、64.6%が埋まった形だ。

県教委の田所部長は「率直に言うと、不合格者が出るような、定員超過のスタートでなくてよかった。制度としては選抜なので、不合格者が出ることもあるが、心情的には不合格者が出て、違う進路を選択せざるを得ないのは残念。そういう意味では、不合格者が出ない形でスタートできた。入学者が少ない学校もあるが、必要とされていない状況というわけではない。進路選択の一つとして一定の評価は得られたと感じている」と語る。

パイロット校3校は、丁寧な指導を行ってきた。茅ケ崎高校では例えば、主要教科など習熟度に差がつきやすい科目では2人の教員が配置され、チーム・ティーチング(TT)を行っている。そうした3校の経験から得られた知見も大きい。

田所部長が続ける。
「1年生で入学した段階の支援と、2、3年生と進級していく中での支援は必要度が変わってくることが、生徒も教師も分かった。すべての授業がTTである必要はない。特別視する必要はない、と感じた教員も多い。パイロット校の成果を広めていきたい」

〔横浜総局・田幡秀之〕(時事通信社「内外教育」2020年7月17日号より)

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後のことは後で考えればいいという親の意見に、平等と公平を行きつ戻りつしてきた昭和の障害児統合教育の戸惑いを思い出します。支援学校と普通高校を比べるのも無理があります。支援学校は高校卒業の資格はないので入学の目的が違います。知的遅れや発達の凸凹があっても学習がしたいという本人の希望があるならば、それはかなえられるべきとは思います。しかし、それが一律に教育課程の定められた後期中等教育や高等教育なのかどうかは別の問題ではないかなとも思います。一つの学校の中に個性に応じた異なる教育課程の存在を認めて行けばよいことですが、文科省はまだそこまでは言い切っていません。

インクルーシブ教育というならもっと小さな年齢から実現すべきで、高校からというのは違和感があります。少子化私学志向で公立校への入学志望者が減ってくる中で、支援学校の高等部だけが膨れ上がり、慢性的な教室不足に対する苦肉の策ではないかとも勘繰ってしまいます。高校時代、青春時代を普通高校で謳歌してほしいというのも、特別支援学校の高等部の人が聞けば妙な感じがするかもしれません。

進路については親の希望もありますが、高校生活に適応できる人から中学で推薦したのですから、進路の結果は妥当な結果だと思います。逆に卒業時点の進路先だけを見れば、就労支援に特化した高等支援学校と大差ないという見方もできるので、経過調査など質的な比較も同時に調査する必要性を感じます。上級学校進学といっても、何か就労モラトリアムような感じもしますし、特性に応じた教育が引き継がれたかどうかも気になります。

ただ、記事にもあるように、これまで支援学校の進路指導は就労のハードルを高くして福祉進路に傾斜していたのは事実です。全国的にはこの課題を、高等支援学校設立で100%就労を目指し、その流れに各支援学校が追随してくるような仕掛けを作って障害者就労を伸ばすようにしていました。神奈川の場合は、ここにインクルーシブな高校教育で仕掛けてきた構図になっているのです。

どのやり方が正解というわけではありません。障害者就労をもっと伸ばすことで、どんな職場にも障害のある人やマイノリティーの方がいて当然という社会の実現は、私たちが目指す社会ではあることは確かです。

 

新資格「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」案 専門家からは異論

新資格「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」案 専門家からは異論

2021年11月5日 【朝日新聞】

児童虐待による死亡事件が後を絶たないなか、子どもや家庭の支援に携わる人材の専門性を高めようと、厚生労働省は5日、新たな資格「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」の案を有識者らでつくる専門委員会に示した。ただ、国家資格の位置づけでないことなどから反対意見もあり、結論は先送りとなった。

政府は児童虐待への対応強化に向け、児童相談所で働く児童福祉司を2022年度までに2千人増やす計画だ。人数を増やすことと併せ、長年の課題になっているのが専門性の向上で、子どもや家庭福祉の分野で新しい資格をつくることが検討されてきた。

厚労省が示した案では、いずれも国家資格の「社会福祉士」か「精神保健福祉士」を持つ人が、児童虐待への対応や母子保健といった教育課程を終えれば、「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」に原則認定する。認定は民間団体が担う。当面の経過措置として、こうした分野で4年以上の実務経験がある人も、認定されるようにする。

この日の専門委は、新たな資格を国家資格にすることや、社会福祉士などの保有を条件としない独立型の資格とすることを求める委員もおり、紛糾。「国家資格ではないのに子どもに携わる専門職に必要な資格と法律上、本当に位置づけられるのか」という反対論の一方、今の国家資格へ上乗せする形は「採用する側の行政からは(何でもできる)オールマイティーの人材が期待されている」と賛成する声も上がった。資質向上には、短期間で異動する自治体の人事運用の見直しが必要とする意見もあった。

厚労省は来年の通常国会に関連する改正法案の提出をめざしており、年内にも結論をまとめたい考えだ。(久永隆一)

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児相で働く児童福祉司は「社会福祉士」か「精神保健福祉士」が任用されます。どちらも、「児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度(児童・家庭福祉論)」か、「現代の精神保健の課題と支援」でさらっと児童問題に触れるだけで、現代の児童問題を総合的に扱う知見を与えられているとは言えません。任用前の講習では「子ども虐待対応の基本」も1日講義を聞くくらいです。従って、厚労省が言うように専門性を持った職員が必要なのは言うまでもありません。争点になっている、国家資格か否かという問題は現状では大した問題ではないようにも感じます。それよりも、足しげく家庭訪問する職員を増やすことが、虐待の抑止には効果的だと思います。

児童問題は、家族に国家権力が介入して最悪の事態を予防する場合があります。親が子どもを養育するという親権を奪うわけですから、間違いがあってはなりませんが、この間の死亡事件を見ていると親権を奪うのに慎重になったというより、職員や上司がぐずぐずしていて素早く決断できなかったというケースばかりです。家庭内暴力があったなら過去の事でも警察に通報すればいいし、近隣住民が子どもの悲鳴を聞いたなら警察と一緒に自宅に踏み込むべきです。さらに、児童虐待のフットワークを悪くしているのは、都道府県管轄の児相と、市町行政の児童問題を扱う部署の連携がぎくしゃくしていることです。

市町行政の子ども家庭課等の虐待事案担当者は相談の窓口であり、児相に連絡する前捌きのようなことをしています。児相の職員ですら勤務5年で半数以上の職員が他部署に交代していきますが市町も同じようなものです。この職員同士で連携するのですから上手くいかない連携部門も当然出てきます。ケースで上手くいかない理由をお互いに擦り付け合う姿もあります。専門性の問題ではなくお互いの面子の問題だったりします。こうして考えてみると現場のリアル感と霞が関の会議には相当の隔たりを感じます。昨日もスクールカウンセラーが増えているのに不登校が減らない理由はカウンセラーの専門性の問題よりもそもそも学校内の連携ができない風通しの悪さではないかと書きましたが、こちらの専門性論議も同じように思います。

人手不足

福祉と介護業界においては、人手不足が年々深刻化してきています。ハローワークなどの公的な就職機関や民間の就職サイトなどを見ても、介護や福祉に関わる求人件数は他の業界を圧倒するほどの数になっています。しかし、一方でそれら求人に応募した人材の多くがすぐに退職をしてしまうという例も多く、せっかく採用をしても長く定着してくれるスタッフがいないことがまた次の人手不足を生むという悪循環を生み出しています。

人手不足と言われ続けている福祉・介護業界ですが、2013年の調査では、介護の現場で業務に従事している人数は約100万人とされているところ、実際に必要であると計算されている従事者数はなんと約140~160万人と言われています。少なく見積もっても約40万人が不足しているという計算ですから、いかにその負担が大きいかということがうかがえます。

人手不足の理由はいくつかありますが、それは主に職場内の待遇が他業種に比べてあまりにも悪いということが挙げられます。力仕事を伴う長時間労働にもかかわらず給与水準が非常に低く、また決定的にスタッフ人数が足りないために一人あたりの仕事負担が多いということがそんな職場の不満を生み出してしまっています。問題点は多方面から言われているものの、これまでのところ決定的な解決方法はまだ見つけられていません。

そして、児童福祉でも同じような現象が想定されます。保母が足りないだけでなく、指導員も正規は足りません。福祉は低賃金で人手不足でよけいに休暇が少ない。障害や子どものことをよく知らない事業主が経営して、預かればいい集めればいいという本音が見え隠れする。個人経営も多くブラックだという印象があるのも否めません。風評が悪循環を起こしている感も否めません。私たちにできることは、こういう風評を駆逐すべく発信をし続けることくらいですが地道に頑張りたいと思います。

カサンドラの妻

「夫も診断してほしい」 カサンドラの妻
井上雅彦・鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学講座教授

2020年9月18日【毎日新聞】

発達障害やその疑いのある人の配偶者などに多い「カサンドラ症候群」について聞かれることが増えてきました。私の相談室にも時折、カサンドラ症候群について相談したいという方が来られます。

カサンドラ症候群とは、家族やパートナーなど生活の身近にいる人が自閉症スペクトラム障害(アスペルガー症候群、以下ASD)であるために、情緒的な相互関係を築くことが難しく、心的ストレスから不安障害や抑うつ状態、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの心身症状が起きている状態を指す言葉です。正式な疾患名ではありません。カサンドラ症候群の方は女性が多いのですが、これはパートナーである男性にASDが多いことによるのではないかと思います。

息子の診断をきっかけに気づいた夫の特性
Aさんは結婚歴10年の専業主婦でした。息子さんがアスペルガー症候群と診断され、自閉症の特性や対応について学ばれたことから、自分のパートナー(夫)も息子と似たところがあることに気づき、夫に対する対応の難しさを改めて感じたということでした。Aさんは真面目できちょうめんで忍耐強く面倒見が良いタイプの方でした。このため息子さんの対応については母親としてとても優等生で、発達障害の子育てのサークルや親の会でも他の親にアドバイスをするなどリーダー的な存在でした。息子さんもAさんの工夫によりかんしゃくを起こすことが減り、さまざまなことができるようになっていったのですが、夫のほうはそんなAさんの子育ての工夫や努力を認めるどころか「そんなことまでしなくてよい」と否定してしまっていました。

夫は、会社では、融通の利かないところはあるものの真面目できちょうめんな人物として評価され勤務を続けてきましたが、帰宅すると好きなゲームに没頭し、子育てに協力しないばかりか、ゲームがうまくいかなかったり、息子が大声をだしたりすると、家具を倒したり、息子やAさんに感情的に当たったりしていました。お金の使い方も自分の趣味には糸目をつけずお金をつぎ込む半面、子どもの教育費や生活費については極度に細かい部分まで口を出し、「節約をしろ」と指示を出していたため、Aさんは強いストレスを抱いていました。

子どもができるまでの夫婦だけの生活では、それぞれがマイペースで暮らしても生活が成り立っていたのですが、子どもが生まれ、その子どもに発達障害があることがわかると状況が変わります。さまざまな子育ての不安の中で、夫に相談したり理解してもらったりすることができず、療育のことから幼稚園との連携まですべてAさんが行っていました。そんな中で、夫の息子への関わり方についてAさんが注意したり、夫の考え方に反論したりすると、夫はそのたび激しく興奮するので、今度はうまくなだめるのに苦労するとのことでした。最近ではAさんも限界を感じ、徐々にストレスがたまり無力感や不安感が募り、離婚も考える毎日で、夫も診断してほしい、相談に連れてきたいと言われるようになりました。

私は「旦那さんはご自分の性格や行動の特徴について何か悩んでおられますか」とお聞きしましたが、Aさんの答えは「何も悩んでいない、むしろ私(妻)を何とかしてほしいと思っているだろう」ということでした。またAさんの夫は、他人に相談することは何より嫌なことと感じているらしいこともわかりました。私は無理に夫を病院に行かせて診断を受けるように勧めるよりも、まず第三者の専門相談機関で子どもさんの事について話を聞き、夫の話も受け止めたうえで、彼にできそうなことを家でしていただくようにしませんかと提案いたしました。

第三者を交えた場で肯定的に子育てを振り返る
その後数週間して夫はAさんに促されて私と会うことになり、子育てについて一緒に話を聞く機会をもうけることができました。夫は、どうせ自分が批判されるのだろうと感じていたのでしょう。最初はいぶかしげな表情で私を見つめておられました。

私はAさんと夫のお話を聞き、お二人の今までの子育ての苦労をねぎらいました。加えて、現在ご家庭で行われている支援は理想的な支援であること▽旦那様もそんな奥様の努力を理解し見守っておられること▽旦那様は子どもの将来の自立を何よりも考えておられること▽子どもさんの今の姿をしっかり見ておられる奥様と、少し遠くを見ておられる旦那様とは相互にコミュニケーションをとっていくことでよりよい組み合わせになること――など、夫を否定しないように肯定的にこれまでの子育てを振り返ってもらうようにしました。

「旦那様が子どもさんのことを理解できるのは、旦那様も似たところがあるからではないでしょうか。ご自分が子どもの頃、されて嫌だったことや、してほしかったことを思い出しながら接していくとよいのではないでしょうか」とお話しし、息子や自分に対してわかりやすいルールを考え家庭内の約束を決めることや、塾の帰りに楽しい話をすること、週末は一緒にゲームをすることなど、夫にとって無理のない役割を考えてもらいました。

その後、Aさんによると、夫は自分を認められたと感じ、子どもと好きな遊びを一緒にしたり、子どもを褒めたりすることが増えていったそうです。

私はAさんに対しては、「子どもさんへの対応がうまくできているということは、旦那様へのさりげない対応もやればできるのではないでしょうか。それは今の旦那さんに対してしようとすると、手間もかかり腹も立つかもしれません。でも、やがて子どもさんが思春期になったときに役立つ経験だと思えば、とても参考になるのではないでしょうか」とお話ししました。

その後、私は、Aさんと同じような立場にあり、かつてパートナーのことでつらい思いをされていた方の許可を得て、合同面接の機会を作りました。やがてAさんは少しずつ前向きな気持ちを取り戻していかれました。

診断を強要するリスクも……
カサンドラ症候群といわれる状態像は、パートナーを含めた家族の中に、ASD特性などによる困難があり、パートナーとの関係において情緒的交流が乏しいことからくる激しい対立関係や、精神または身体の虐待、人間関係への満足感の低下が生じている状態です。

Aさんは息子の子育てを通して夫の特性をよく理解しており、Aさんの話を聴いた限りでは、夫がASD特性を持った方であると推察できました。しかし、今の二人の関係性の中で、Aさんが夫にASDの診断を強要すると、夫の気持ちを傷つけて、夫はより感情的になり、関係もさらにこじれてしまうリスクが考えられました。夫は職場では適応しており、相談へのニーズは持っておらず、むしろAさんに問題があると思っている可能性さえあったからです。

Aさんのケースでは、夫婦が私と会って、子育てのそれぞれの苦労を肯定的に振り返る中で、息子の特性や症状について話し合えたことで、夫自身が、自分にも息子と似た特性があると面接の場で語ることができたため、息子への対応について、少しずつ客観的な見方ができるようになっていったようです。

夫自身が今まで乗り越えてきた努力や工夫の中で適切なものは肯定し、息子さんにも良い対応であるという認識を私と夫婦とで共有し、生活の中で息子さんにどうかかわったらよいかの約束事を夫婦のルールとして決めることで実行しやすくなりました。

夫も息子と同じように、感情的に注意されると人格を否定されたと思い込んでしまう特性があったため、第三者である私を交えた肯定される場の中で具体的な対応について自ら考えていただくことができたのがよかったのでしょう。

妻のAさんは、ASDの対応はよく勉強されていました。その努力を、一番身近な夫から認められないことで自尊心が傷つけられ、無力感から抑うつ状態に陥っていました。夫の操縦法を考えるのもよいのですが、これをセラピストが行うと、うまくできない時に大きなストレスになります。私はカウンセラーとして夫も含めてAさんの努力をしっかりと受け止めることに徹し、Aさんにはかつて同じ悩みを持っていた元相談者を紹介しました。同じ体験を共有することで孤立感や無力感は薄められていったと考えられます。

最終的に、Aさんは夫との間にも生活上のルールを決め、週末は二人でティータイムをつくることで互いに向き合い、お互いの意見を尊重することができるようになったそうです。


「カサンドラ症候群」の「カサンドラ」は、ギリシア神話に登場する未来予知の能力がありながらその言葉を誰にも信じてもらえないという境遇にあったトロイの王女の名前からとられたものだそうです。症状の回復は、まさに今の頑張りを認められていると感じられるようになることから始まるのだと思います。

(事例はいくつかのケースを組み合わせたものです)

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カサンドラの妻ですと言われるお母さんの中には、御主人の傍若無人(ぼうじゃくぶじん)勝手放題、好き放題、自分勝手、好き勝手を延々とお話しされます。本当にしんどくなっている方もいるので、一概には言えませんが、「ん?男性ってそんなもんだよ」と思うこともあります。カサンドラの妻の逆バージョンも少なからずあるような気もします。でも、困っていることは間違いないので、一方だけのお話を聞いていても埒があきません。お二人とも呼んで、どちらかが悪いという話は断じてせず、どうすればうまくいくのか話し合います。

ASDの御主人なら筋を通せば抵抗なく出てきてくれる方が少なくありません。しかし、「行かない」とかたくなに拒否をする方は、実は自分の対応の問題に気付いておられることが多いので、もう少し遠めの目標、例えば進路や進学について話すというふうにして、自分がやり玉にあげられないという安心感を持ってもらうことが大事なこともあります。

障害者の性被害の訴え届くか 「罪の新設」議論、法制審で本格化

障害者の性被害の訴え届くか 「罪の新設」議論、法制審で本格化

2021/11/8 【西日本新聞】

性犯罪を適切に処罰するため、刑法の規定を見直すかどうかの法制審議会(法相の諮問機関)の議論が本格的に始まった。立場の弱さや不十分な判断能力に付け込まれて性被害に遭う知的障害者らを想定した「脆弱(ぜいじゃく)性や地位・関係性を利用した罪の新設」も論点となる。抵抗したり、被害を訴えたりすることが難しい上、訴えても「証言に一貫性がなく信用できない」などとされ、泣き寝入りしてきた障害者の声は届くのか。(玉置采也加)

「嫌って言いたくても怖くて言えなかった」「我慢しちゃった」。福岡県内の知的障害のある20代女性は言葉少なに振り返る。

同県久留米市の障害者施設に通っていた女性は2017年、所長だった40代男性からわいせつな行為を受けたと訴える。元所長側は当時、取材に対して「お互い好きだった結果」などと主張。女性が住む自治体は18年、元所長の行為を障害者虐待防止法に基づき性的虐待と認定。久留米市も障害者総合支援法などに基づき施設を調査、指導した。

一方、県警久留米署は昨年1月、強制わいせつ容疑で元所長を福岡地検久留米支部に書類送検したが、不起訴処分に。地検支部は「起訴に足る証拠がなかった」と説明した。

女性は同10月、元所長と施設運営法人に慰謝料を求め、福岡地裁久留米支部に提訴。現在も係争中だ。

女性の母親は「娘はずっと苦しんでいる」と話す。4年たっても女性は「男の人は怖い」と顔を曇らせ、元所長に似た男性を見かけた日は涙が止まらないという。

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家族らによると、女性の知的能力は小学校中学年程度。警察に事情を聴かれた際、一貫した説明をすることが難しかったとみられる。

久留米市の障害者施設関係者は、知的障害者が苦手なこととして、状況判断▽意思の伝達▽記憶の定着-などを挙げる。自覚しないまま性被害に遭う例もあるとし、女性のケースについて「知的能力は10歳前後なのに、検察は実年齢で判断した」と疑問視する。

法務省によると、18年度に「嫌疑不十分」で不起訴になった性犯罪で、被害者に障害があった事案は60件。内訳は、精神障害26人▽知的障害25人▽発達障害7人▽身体障害2人。「供述に看過しがたい変遷あり」など、証言の信用性が疑われた。

長崎総合科学大の柴田守准教授(被害者学)は「現行制度は犯罪が成り立つ構成要件として供述や証言を重要視しており、障害のある被害者の特性や、強い立場にある加害者側との関係性に配慮できていない」と指摘する。

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性犯罪に関する法制審の部会は10月下旬、初会合を開催。「施設職員と障害者」「教師・指導者と子ども」のように、優越的な地位や関係を利用した性行為を処罰する規定の必要性などを話し合う。

今年5月に報告書をまとめた法務省の検討会では「障害者が生活を依拠している人物からの行為は犯罪としてよい」「障害者虐待防止法の中で検討すべきだ」など意見は分かれている。

性犯罪などの捜査に詳しい元検察官の江藤靖典弁護士(福岡)は(1)判断能力や意思表示能力が十分でない人の場合、同意の有無や犯罪の成否の判断は難しい(2)障害者との性行為を一律に処罰すれば、障害者の性的自己決定権の制限につながりかねない-などの懸念を示す。その上で「法制審で多角的に知恵を出し合い、被害者が理不尽に泣き寝入りせずに済む法制度を実現してほしい」と求める。

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施設職員や学校教員がサービス利用者である子どもや女性に手を出すこと自身が社会モラルを逸しており、これに対する法制化に二の足を踏む方が常軌を逸しています。まずは支援したり指導したりする立場にある者との性的関係を禁止すれば問題は大きく解決の道に進むと思われます。もちろん、市民社会の中でこうした職権関係のない障害者の性被害は明らかになっておらず、メディアに報じられる事件は氷山の一角です。社会の中で障害者への性犯罪をあぶり出して断罪するのは、元検事が言うように難しいのかもしれませんが、まずは第一歩を踏み出すべきです。

職員や教員の場合は懲役刑以上の罪にするべきです。性犯罪が発覚しただけで彼らは社会的地位を失うのだから罰金刑までで良いという声もあります。しかし、現行の制度では未だに性犯罪をした職員や教員が年月を経てほとぼりが冷めれば再任用される可能性があるままです。法制化を押しとどめたのは、罪を償えば職業選択の自由があり人権の平等性を担保するという硬直化した憲法観です。性犯罪者には二度と子どもや女性と関わる職権を与えてはならないと思います。罪を反省し自分を客観視できたのなら、また同じ職に戻ろうなどとは普通は考えないものです。

起訴に足る証拠が当事者証言で曖昧な場合が多いというなら、裁判には代理者を立てることを認めればよいと思います。性犯罪や虐待事案専門の法曹関係者を代理者にすれば良いのではないでしょうか。被告人弁護士の追及に知的障害者が怯んで前言を変えてしまうのはむしろ当たり前のことです。法廷のような周囲の視線を全方位から感じる場所で堂々と被告の性犯罪を証言できるほうが不自然です。知的障害者の他の被害においても公判証言は困難と思われる場合が多いですが、特に性犯罪においては格別の配慮が新しい法律の中に組み込まれるべきだと思います。

模倣と発達

支援者は良かれと思ってスポーツやゲームの様々な模倣を子どもにさせようとしますが、子どもにとっては時として意味不明なリクエストを支援者から求められていることになる場合があります。子どもに模倣で獲得させようとする時、子どもの発達段階を良く見極めておく必要があります。

模倣には、大きく分けて2種類の模倣があります。音や声を聞いてその通りに発声する「音声模倣」、人の動きを見てその通りに身体を動かす「身体模倣」と整理することができます。身体模倣は、発達の初期には、他者が楽器やおもちゃを操作するのをみて真似る(例:太鼓をバチでたたくなど)ことから始まります。まねっこ遊びが難しい子どもの場合は、いきなり身体の動きを真似させようとするよりも、道具の操作模倣から始めるようにします。

発達において、模倣が未形成な段階だった子どもが、次第に模倣の能力を高めていくことはとても重要な意義をもちます。
(1) 人の動きをもっとよく見ようとする認知が育つ
(2) 動きや音の細かな違いを見分けよう、聞き分けようとする弁別の力が育つ
(3) 動きの速度や強さ、身体部位の位置関係などをコントロールする運動調整力が育つ
(4) 他者を意識し、他者に合わせようとする社会性が育つ
(5) 日々のできごとをあとになって模倣表現したり、生活場面のみたてあそびをしたりするようなイメージする力の基礎的条件が培われる

テレビ番組の参加などで出て来る子どもは、モデルとなる動きを見て、その場ですぐに新しい形を真似をしていますが、あれはオーディションがあります。できる子やまぁまぁの子、できないけど場の共有ができる子を選んでいます。全く関心のない子は選んでいません。予備選考ではテレビの前で一緒に模倣したり体を揺らすなどして興味深く見ているかで選考しています。従って、そこまで対応の力が育っていない子にとっては、あの模倣は難しすぎる課題になります。療育現場などで模倣を学習させる場合には、模倣の内容の難易度をおさえて指導を行うことが大切です。
(1) 身体接触型から非接触型へ
「頭、肩、膝、ポン」の歌遊び、拍手、ちょうだいのサインなどは、身体部位に直接触れる動作を模倣します。これは、運動の終わりを伝えやすく、姿勢も保持しやすいため、非接触型の動作(両手を「前へならえ」の姿勢に保つなど)よりも早くから真似しやすい動作であると考えられています。
(2)座位模倣から立位模倣へ
いすに着席した姿勢で模倣をさせたほうが、立位で模倣させるよりも簡単です。これは、姿勢保持の面で安定しやすいということと、モデルとなる人の動きを目で追うときに視線が安定しやすいということが関係しています。
(3) 左右対称模倣から非対称模倣へ
両手を同時に挙げる、両足を同時にひらくなどといった左右の手足を同側的に動かす模倣は、左右が別々の動きをする模倣よりもやさしくできます。左右で別々の動作を行う非対称型の模倣は、運動の方向性を調節するという身体機能の発達だけでなく、2つことを同時に考え続けるだけの記憶や注意といった認知機能の発達が必要になります。
(4) 正中線を越えない肢位から越える肢位の模倣へ
右手で左耳をさわるなどのように、正中線(身体の中央を頭から縦にとおる線)を越えるような動きが入ると模倣は一気に難しくなります。まずは、正中線を越えない動きの模倣から始め、つぎに片手だけが正中線を越えるような動き、そのあと、両手が正中線を越える動きや交叉がある動きなどのように難易度を上げます。
(5) 静止姿勢の模倣から連続動作の模倣へ
静止する姿勢の模倣のほうが、連続動作の模倣よりも早く獲得され始めます。ただし、ジッとしていることが苦手で多動傾向が見られる子どもの場合は、静止姿勢のほうが困難であるということもあります。連続動作が全般的に苦手な子どもであっても、大好きなヒーローの変身シーンのような意味をもつ動きの模倣は得意という子どもがいます。音楽や映像などを用いるとイメージが浮かびやすくなりますので、支援の手立てのヒントにします。
(6) 左右の広がりから前後の奥行を用いた模倣へ
前後、左右、上下などの空間・位置関係を模倣に用いる場合は、いすを用い、自分といすとの位置関係を模倣させることから始めると理解がすすみます。特に前後の奥行を教える場合は、左右よりも見分ける力が必要になるため、いすを基準にすることで自分の立ち位置、姿勢、動きが伝わりやすくなります。
(7)記憶した動作を再生する模倣へ
モデルの動作を一度記憶し、モデルがない状態でも再現ができるようになると、より高度な模倣が可能な段階に入ったということになります。

身体の動きの不器用さがみられる子どもたちの中には、まねっこあそびを嫌がる子どもがいます。嫌がり方もさまざまです。うまくできないことを隠すかのように、わざとふざけることもありますし、他児のじゃまをするような行動をとることもあります。みんなの前で失敗することを恥ずかしいと思う気持ちが強い場合、子どもがモデル動作を示す役になり、大人が失敗してみせるなど、上手に笑いのタネに変えていきながら、楽しんで取り組める雰囲気が必要です。でも一番大事なことは子どもがわかる段階の模倣を選ぶことです。

厚生労働省のマスクアナウンス

厚労省、マスク着用が難しい人への理解を呼びかけフェイスシールド等の着用が困難なことも
10/25(日) 21:30【ねとらぼ】配信

厚生労働省は、「マスク等の着用が困難な方に対する国民の皆様のご理解をお願いいたします」と呼びかける周知文をWebサイト上に掲載。またマスクの代わりとなるフェイスシールドなどについても、その人の状態や特性の程度等により着用が困難な場合があると説明しています。

周知文では、発達障害のある方に多いとされる感覚過敏等から、マスク等の着用が困難な状態にある人々がいることを伝えています。子どもだけでなく、成人に至っても継続する場合が想定されるとしており、そういった方への理解を呼びかけています。

※感覚過敏……聴覚・視覚・触覚・嗅覚・味覚等について、非常に敏感になっている状態。発達障害のある方に多いとされ、状態や程度によっては日常の生活に大きな支障をきたすことがある。

また世界保健機関(WHO)によるアドバイスから、「発達上の障害や他の障害、またはマスク着用に支障をきたす可能性のある特定の健康状態をもつ子どもに対しては、マスクの使用を強制するべきではない」といった内容を引用しつつ、マスク着用に代わる選択肢として挙げられている「フェイスシールド」などについても「重度の知的障害など障害特性によっては困難な場合があります」と伝えています。

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厚生労働省
マスク等の着用が困難な状態にある発達障害のある方等への理解について


発達障害のある方については、触覚・嗅覚等の感覚過敏(*1)といった障害特性により、マスク等の着用が困難な状態にある場合があります。

WHOの「COVID-19に関連した地域社会の子どものためのマスク使用に関するアドバイス」(*2)においては、「発達上の障害や他の障害、またはマスク着用に支障をきたす可能性のある特定の健康状態をもつ子どもに対しては、マスクの使用を強制するべきではない」「フェイスシールドなどのマスク着用に代わる選択肢を与えるべき」としています。

また、WHO「Q&A:COVID-19に関連する子どもとマスク」(*3) の中の「発達上の障害のある子どもはマスクを着用すべきか?」という項目では、「発達上の障害、その他の障害、またはその他の特定の健康状態のあるあらゆる年齢の子どもにマスクを使用することは必須ではなく、子どもの親、保護者、教育者、医療提供者、またはそのいずれかによってケースバイケースで評価されるべきである。 いずれの場合でも、マスクを容認することが困難な重度の認知障害または呼吸障害のある子どもは、マスクを着用する必要はない。」とされています。

発達上の障害に係るマスク着用の困難性には感覚過敏の特性によるものが含まれ、子どものみならず、成人に至っても継続する場合も想定されます。
また、フェイスシールドなどのマスク着用に代わる方法についても、重度の知的障害など障害特性によっては困難な場合があります。

こうした障害特性により、マスク等の着用が困難な方に対する国民の皆様のご理解をお願いいたします。

参考

(*1)感覚過敏とは、聴覚・視覚・触覚・嗅覚・味覚等について、非常に敏感になっている状態であり、発達障害のある方に多いとされる特性である。その状態や程度は人それぞれであり、感覚過敏により日常の生活に大きな支障をきたすことがある。

(*2)Advice on the use of masks for children in the community in the context of COVID-19
(https://www.who.int/publications/i/item/WHO-2019-nCoV-IPC_Masks-Children-2020.1)

(*3)Q&A: Children and masks related to COVID-19
(https://www.who.int/news-room/q-a-detail/q-a-children-and-masks-related-to-covid-19)

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この程度の発信を、いちいちWHOから引用しないと広報できないというのが情けないです。こんな話は2月の段階でもできたことです。障害のある人の感覚過敏やルーティンワークにこだわるのは武漢風邪のせいではありません。もっと前から専門家ならだれでも知っていることです。

さらに、フェイスシールドは大阪府医師会が言うように相手に対する予防効果はほとんどありません。飛んでくる感染飛沫を避けるという医療施設のスタッフの感染予防のためのものです。プラスティックシールドは歪んでいるので、長時間利用すると視力低下のリスクを知った上での利用が求められるし、子どもには使うべきものではありません。

小学校でいじめについて考える集会 新潟見附

小学校でいじめについて考える集会 新潟見附

11月08日【NHK】

いじめのない学校づくりにつなげようと、8日、見附市の小学校でいじめについて考える集会が開かれました。

見附市の今町小学校ではすべての児童が参加していじめについて考える集会を毎年開いていて、8日は全校児童およそ400人が参加しました。
集会では6年生が司会を務め、学校のいじめ防止の一環で、友達のよいところを書いたカードを校舎の階段の壁に貼る取り組みの意義について説明したほか、友達が嫌なことをされているのを見たときにはどうしたらいいかを児童らがその場で話し合っていました。

さらに、県がすすめる「いじめ見逃しゼロ県民運動」のサポーターである見附市出身のタレント、今井美穂さんが、自分の個性を大切にして自信を持つことの大切さなどを話していました。

文部科学省によりますと、昨年度、県内で認知されたいじめの件数は1万7千件あまりで、新型コロナウイルスにより学校が休みとなったりした結果、前の年度からおよそ3000件減りましたが、1000人あたりの認知件数は77.1件と、全国の都道府県で4番目に多くなっています。

6年生の女子児童は「集会ではどんなことがあってもいじめはダメだということを伝えたかったです。人を褒めてあげることでいじめはなくなると思います」と話していました。

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こういうストレートにいじめの撲滅を掲げた児童集会をしている様子をあまり聞きません。確かに学級など小さな単位で、いじめ事象のたびにホームルームなどで調査と反省を促すようなものは聞きますが、どうすればいじめがなくせるのかを低学年から高学年まで一堂に会して児童会で行うスタイルはベタ過ぎてやらないのかもしれません。

もちろん児童会の指導は教師の手が入っていますが、教員が言うから従うのではなく、学校ムーブメントとしてやろうという意気込みが感じられてかえって清々しいです。中野の小学校でのICTいじめの自殺も、旭川の中学のいじめが原因での凍死自死も、大人ばかりが右往左往して児童生徒の動きがまるで見えないのが気になります。

いじめは社会の問題であることを示すには、問題が起こってからではなく、子どもの知恵を集める前向きなムーブメントは有効だと思います。前向きな議論のある大集会は、マイナスの同調性を蹴散らすパワーを持っています。もちろん、児童や生徒のいじめ撲滅運動だけで事が解決するわけではないですが、事件が起こるたびに大人だけで立ち回って、当事者以外は関係がないのだという風潮を変えていく動きが大事だと思います。

 

発達性協調運動障害

全身運動や手先の操作においてぎこちなさのある子どもは、不器用とみなされてきました。ところが、不器用を障害の一つとして位置づけて「発達性協調運動障害」と呼ぶようになり、医師や作業療法士がアプローチを行うようになりました。英語ではDevelopmentalCoordinationDisorderといい、DCDと略記されます。単独で診断名がつくケースもありますが、自閉スペクトラム症(ASD)・注意欠陥多動性障害(AD/HD)・限局性学習障害(SLD)などを併発する例が多いです。

発達性協調運動障害は国内外で関心を集めており、日本でも2016年に日本DCD研究会が開催され、その後は日本DCD学会として正式に発足しました。ここには医療・福祉・教育など多様な分野の人が集まっています。世界的にも小児・発達障害領域では高い関心が寄せられています。

発達性協調運動障害の子どもは、全身を使った粗大運動と、手先を使った微細運動の両方に困難感があります。●なわとびを跳べない●自転車に乗れない●ボールをキャッチできない●ジャンプのときに足がばらばらになる●スキップができない。このように、手足を協調的に動かす場合をはじめとして、視覚的なターゲットやリズムなどに協調して体を動かすときにうまく遂行できないケースが多いです。乳幼児期の運動発達は個人差も大きいですが、ハイハイなどの運動の獲得に遅れが生じているとDCDのリスクが高いと考える人もいます。

また、手先を使った微細運動では、学齢期に図工、音楽などの授業でつまずきが認められ、顕在化する例も少なくありません。●リコーダーや鍵盤ハーモニカを吹けない●コンパス・定規・消しゴム・はさみの操作が苦手●ノートのマス目に文字をかけない●筆圧のコントロールが難しい●エプロンや靴のひもを結べない●服のボタンをとめることができない●箸の操作がうまくできない。このように、「不器用」によって生活や学習に影響が及ぶ場面が多いです。体育・図工・音楽などの教科学習が苦手な子どもを「ただの不器用」として軽視しないで本人の困り感を把握する必要があります。不器用によるニーズを抱えた子どもには、幼児期など早期からできるトレーニングを行うことが望ましいです。

療育場面で子どもの状態を評価するときは、運動機能だけに着目するのではなく、多角的に分析していくことが大事です。発達障害領域の療育場面では、保護者からの聞きとりが非常に重要です。生活上のニーズや達成したい目標などを丁寧に聴取します。指示が理解できる子どもでは、評価スケールを使って運動機能を分析します。観察評価から得られる手がかりも多いですが、こうした記録を残しておくと、あとで比較する際にも役立ちます。

運動だけでなく、認知面・行動面を併せて評価することが大切です。運動の不器用だけでなく、マス目や図形などの視覚情報をうまく処理できず、書字や描画でつまずいている可能性もあります。また、不器用の原因が注意集中に課題があるために、手先を使った活動が大ざっぱになっているという場合もあるので、多角的に状態を分析していくことが重要です。

運動が不器用であっても、繰り返しさまざまなトレーニングを行っていくと成果は上がります。作業療法などでトレーニングを長く行ってきた子どもと、なにもしてこなかった子どもでは、非常に大きな開きがあると言われます。運動のスキルは経験的な影響も受けるので、ちょっとした遊びの工夫が大事です。

発達性協調運動障害の子どもでは、筋肉の緊張が低いために体をうまく操作できないとか、運動経験が乏しいためにパフォーマンスが低いなど、さまざまな背景要因があります。筋肉が柔らかく、体がくたっとしている子どもには、丸太型のブランコにしがみついて、全身に力を入れる運動などを準備として行っておくと、そのあとに行う運動学習に役に立つかもしれません。

協調運動と一言でいっても、そのバリエーションはさまざまです。粗大運動であれば、マス目に合わせてジャンプする運動をしたり、ブランコに乗りながら輪投げをする活動をしたり、さまざまなトレーニングをすることができます。リズムに協調した運動が苦手であれば、手拍子に合わせて運動するような練習も効果的です。微細運動の場合は、机上で線引き課題を行ったり、ジェンガなどで力加減のコントロールを行ったりといった活動をしてみると良いです。

「体育でなわとびができなくて困っている」「中学校で上靴が指定されるので、靴ひもを結べるようになりたい」など、具体的なニーズがあがってくることも多いです。なわとびの場合は、まずフラフープを回しながら輪の中をくぐる練習から始めたり、タオルを両手に持って縄を回す運動だけやってみるなど、工程を細分化します。靴ひもの場合は、色の違う2本のひもを使って手順を学習していくなど、その子どもが理解しやすい手がかりを見つけて練習していきます。

発達性協調運動障害の子どもは、単に不器用であるだけでなく、幼稚園や学校の活動で困っていることがある例が大半です。もちろん運動ができれば良いというわけではありませんが、子どもたちが自信を持って活動や学習に取り組めるよう、療育でフォローしていくことはとても大切です。また、工作や調理等では作る楽しさがすぐに味わえる、逆言うとどうせできないなどと自尊感情を下げない教材の工夫が求められます。

子どもが抱える「サイコ・ソーシャルの問題」

「心のサポート」を受けられない日本の子ども 小児科医が支援の体制を

10/21(水) 11:50【メディカルノート】配信

◇少子化時代の小児科医療【2】
心理・社会的支援を得る機会が少ない日本の子どもたち
病気をしないことだけが“健康”ではありません。「心身の発達」という言葉もあるように、体とともに心も健全に育つことが真の健康につながります。ところが日本では、子どもから若年成人にかけてのこころの健全な発達をサポートする仕組みがありません。国立成育医療研究センターの五十嵐隆理事長に小児科医療の現状と今後求められることについて聞くインタビューの第2回は、子どものこころの問題に小児科医が果たすべき役割と、あるべき仕組みを取り上げます。

◇子どもが抱える「サイコ・ソーシャルの問題」
10~20代の人たちは「最も医療費を使わない」世代です。では“健康”なのかというと、実際にはそんなことはありません。

とくに病気ではなくても、例えば両親が離婚して片親となったために貧困の影響を受けている▽発達障害の人は学校生活や日常生活をするうえでとても生きにくい――といったサイコ・ソーシャル(心理・社会的)の問題を抱えている子どもはたくさんいます。

日本の新生児死亡率は1000人あたり0.9、1歳までの乳児死亡率は同1.9と、世界で1、2位で、日本の小児科医療がバイオロジカル(身体的)な対応の面ではよくできていたと言えるでしょう。では、子どもの健康を守るという観点からはどうでしょうか。

生まれてから小学校に入るまでは「乳幼児健診」があり、学校では内科、耳鼻科、眼科、心臓病、検尿などさまざまな健診があります。ところがこれらをよく見ると、乳幼児健診のうち法律で決まっているのは「1歳6カ月健診」「3歳児健診」だけ。ほかにも「1カ月健診」「5歳児健診」など地域によっていろいろと行われますが、これは自治体がお金を出してやっているもので、国は日本の子どもの健診にお金をかけていません。

学校で行われる健診はどうでしょうか。例えば検尿は、多くは春に行われます。なぜかというと、昔は腎炎でプールに入れない子がかなりいたので、それを見つけるのが目的でした。ほかの健診も、学校生活を送るうえでバイオロジカルな問題がある子どもを見つける、スクリーニングすることが大きな柱になっているのです。そこにはひとり一人の子どもが抱えるサイコ・ソーシャルな問題を見つけ、解決しようという観点はありません。

医学教育の中でもこのような視点の重要性が教えられる事はこれまであまりありませんでした。また、小児科医が臨床現場で子どもひとり一人を身体・心理・社会的に捉える健診を行おうとしても、正当な対価が払われる制度がわが国にはありません。

学校健診の内科検診では1人あたりにかける時間は1~2分で、聴診をしたらそれで終わり。その子がどんなことに悩んでいるか、どんな障害や困難があるか――具体的には、虐待を受けているとか、きちんと食べさせてもらえないとか、勉強についていけないとか、学校でのいじめ、性の問題などを聴くといった、子どもひとり一人の立場に立った健診ではないのです。子どもたちにとっては、トラブルが起こってスクールカウンセラーが対応するまでの中間的仕組みがありません。

◇「21歳まで毎年1回30分」―アメリカの手厚い制度
アメリカでは、この点で手厚いサポートをしています。1990年からhealth supervision(個別健康相談)を受ける機会が乳児期に7回、12~30カ月に5回あり、3歳以降は21歳になるまで年に1回30分、個別健診を受けます。そのうち10分は日本でやっているような体のことや予防接種をして、後の20分はサイコ・ソーシャルな問題について、小さい時は保護者と一緒に、大きくなったら保護者とは別に相談を受けます。10歳を過ぎると、小さい時から自分のことを知っていて信頼できる大人になら、親に言えないようなことも相談できるかもしれません。個々の子どもの状態に応じたさまざまな問題に対して、医学的知識があるしっかりした大人が成長とともに伴走してくれる――。それがこの健診の目的なのです。

21歳までこの健診を受けている人は70%以上とのことで、非常に進んだやり方だと思っています。

◇10歳以降に問題が増大
一方日本では、先ほど述べたようにバイオロジカルな面はともかく、サイコ・ソーシャルな面に配慮する力も余裕も不十分です。

思春期の子どものこころと体には劇的な変化が生じます。私たちが行った調査では10歳以降にこころの問題と薬物依存の問題が増大することは明らかです。

ところが、これまでわが国の小児科医の守備範囲は15歳までで、それ以上の年齢の思春期の子どもへの保健や診療を担ってきませんでした。そのため、この年齢層の人への対応が不十分となっています。

医学教育の面でもこの分野のカバーは遅れています。思春期の子どもの医療には妊娠、性、非行、うつのようなメンタルヘルスなども含まれますが、乳幼児中心の医療を担ってきたわが国の多くの小児科医の得意とする分野ではありません。しかし、小児科の守備範囲を超えた若年層の保健・医療に、これまで以上に小児保健・医療の関係者の貢献が求められているのです。

成育医療研究センターこころの診療部では、こころの問題をもつ子どもの診療、診療スタッフの育成に務めています。また、学習障害児の中の読み書き障害を改善するためのツールを作成し、公表しています。

さらに、アメリカの個別健康相談の教科書を成育医療センターのメンバーが翻訳し、「乳児、小児、青年のための個別健康相談ポケットガイドhttp://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20180516_1.pdf」として日本医師会のウェブサイトで公開しています。また、子どもの健診を改善するための、厚生労働省の研究班にも協力しています。

◇思春期まで続く健診制度作りを
わが国の多くの小児保健・医療関係者も、病気の有無にかかわらず身体・心理・社会性(biopsychosocial)の面から子どもと家族を支援し、子どものリスクに対応することの重要性を認識しています。ところが、残念ながら日本の健康保険は予防医学にお金を出せない仕組みになっています。一方で、妊娠・出産に関する制度では、妊娠中に14回、出産後に4回、自己負担3割で健診が受けられることになっています。こうした制度も参考に、思春期までをカバーする健診制度を作っていくことが絶対に必要だと思っています。

日本の子どもたちには、こころの問題を持っていても相談する相手が少なく、早期に適切な支援を受ける仕組みが不足しています。何かトラブルが起こってから、あるいは事件が起こってから初めて対応するという後手後手の状態になっています。“夢物語”と思われるかもしれませんが、家庭のこと、子どものこと、親のことなど全部分かったうえで子どもの成長を支援していく、アドバイスをするという仕組みを作っていかなければなりません。

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子どもが医師に気兼ねなくソーシャルについて相談する場面。思い浮かぶのは「Dr.コトー診療所」(2003~2006年フジTV)です。志木那島でただ一人の医師、五島健助(吉岡秀隆)に、漁師の原剛利(時任三郎)の息子、原剛洋(富岡涼)が相談している場面が要所要所で観られます。

たいてい、剛洋は家族の話や進路の話を父子家庭を支えている父の剛利ではなく五島先生にしているのです。でも、これはドラマの話で、あんなゆっくり医師が子どもの話を聞いてあげられる環境などありません。五島先生は精神科医でも小児科医でもない外科医ですが、言葉少なに子どもの話を聞きます。あんな先生が地域いたらどんなに子どもは心強いかと思います。

元看護師は「更生の道が相当」 無期懲役判決で横浜地裁

元看護師は「更生の道が相当」 無期懲役判決で横浜地裁

2021/11/09 【産経新聞】

横浜市の旧大口病院(現・横浜はじめ病院、休診中)で平成28年、入院患者3人の点滴に消毒液を混入し中毒死させたとして殺人罪などに問われ、9日の判決公判で無期懲役(求刑死刑)を言い渡された元看護師、久保木愛弓(あゆみ)被告(34)。横浜地裁の家令和典裁判長は量刑理由について「公判で自己に不利益な事情を含め素直に供述し、反社会的な傾向も認められない」とし、「死刑を科することがやむを得ないとまでは言えず、生涯をかけて更生の道を歩ませるのが相当だ」と述べた。

家令裁判長は久保木被告の責任能力について「犯行時は(発達障害の一種の)自閉スペクトラム症の特性があり、うつ状態にあった」と認定した一方、弁護側が主張した統合失調症の影響は否定。「『勤務時間中に自身が対応を迫られる事態を起こしたくない』という犯行動機は了解可能で、違法な行為であることを認識していた」として、完全責任能力があったと認めた。

被害者3人のうち1人が終末期患者ではなかったことに触れ「苦痛の中で生命が奪われ、被害結果は極めて重大」と非難。「看護師としての知見と立場を利用した犯行で計画性も認められ、動機も身勝手極まりない」と断じた。

一方、犯行動機の形成過程については、情状酌量の余地を認めた。被告は「終末期医療を中心とする大口病院であれば自分でも務まる」と考えて勤務を開始したが、患者の家族から怒鳴られて強い恐怖を感じ「視野狭窄(きょうさく)的心境に陥った」と認定。「このような動機形成過程には、被告の努力ではいかんともしがたい事情が色濃く影響している」と指摘した。

また、公判の経過とともに被告が贖罪(しょくざい)の意思を深めていったことも重視。「被告人質問では償いの仕方が分からないと述べていたが、最終陳述では死んで償いたいと述べるに至った」と認め「他者に対する攻撃的傾向もなく、更生可能性も認められる」と結論づけた。

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判決は、『勤務時間中に自身が対応を迫られる事態を起こしたくない』と、家族と対応するのを避けるために薬殺したと殺人の動機をASDの特性から説明しました。そして、被告を「公判で自己に不利益な事情を含め素直に供述し、反社会的な傾向も認めない」し更生可能性があるとして無期懲役を言い渡しました。ASDの人たちが陥りやすいロジックを公判は分かりやすく説明したと思います。

福祉・医療・教育の対人サービスで、対人関係に困難のある人が働くことになると、強烈なストレスを感じることになります。相手の立場に立って言動を考える事がとても難しいからです。その結果、対象者からも同僚からも上司からも叱責や嘲笑の対象になりやすいです。そして、誰に相談することもできず真面目さゆえに限界まで働き続け、やがて精神を病んでいきます。

もっと早く、幼少期からASDが見つけられ、支援を受けて成功した経験を持つことができれば、きっと違う進路を見つけ、真面目さと几帳面さが活かされる職種につけたはずです。医療や教育職は試験のハードルは高いのですが、記憶勝負の所があり対人関係の躓きを見つけるようなシステムを現段階では持っていません。椅子に座った採用者との面接で対人関係障害を見抜くことは不可能に近いです。

しかし、向き不向きという職業適性が客観的には判断ができたとしても決定するのは本人です。だからこそ、小さな時期から自己フィードバックのトレーニングを受け、支援を享受する様々な体験が必要です。自分の適性と働く将来の姿を考えていくキャリア教育は全ての子どもに必要ですが、中でもASDの子どもたちには最も必要な教育だと言えます。ASDの特性に関わる公判の過程を知れば知るほど、発達障害のある人の支援について幼少期からの途切れない支援の重要性を感じます。

前思春期

「思春期」と聞くと、ティーンエージャーの時期と思いがちですが、実は、小学校の中学年あたりから、助走は始まっています。「今までは学校や友達のことをよく話してくれたのに、最近はなんだか無口。こちらから聞くと、なんだかめんどくさそうで無愛想になった」「きちんと整理整頓するタイプだったのに、最近では部屋や机の上が物置状態!」「最近、まわりの目をすごく気にするようになった」……。それまでは純粋で元気な子どもだったのに、小学生4年生あたりから子どものこんな変化を不安に感じる大人は多く見られます。そろそろ思春期の前触れ「前思春期」なのです。

一口に思春期といっても、年齢によってその表れ方に微妙な差があります。個人差はありますが、第二次性徴がはじまるのが9、10歳ごろ。ホルモンの分泌が盛んになり、成長へ体力が取られて、体内バランスが崩れやすくなる時期です。また、心理の面から考えると、自我が芽生えるのも10歳前後です。自我が芽生えると、幼い万能感が薄れて、現実が見えてきます。正式な思春期の一歩手前を「前思春期」と呼びます。

不機嫌だったり、イライラしていたりと思春期特有の態度は、体内の変化に要因があります。性ホルモンや成長ホルモンといったさまざまな脳内物質の分泌が活発になると、体調も不安定になりがちなのです。とくに、11、12歳くらいは体や脳が急激に発達する時期。思春期のはじまりです。感情中枢も刺激を受けて、イライラしたりだるくなったりと、本人もどうしたらいいかわからないくらい不安定な時期です。

さらに、自我の発達により、自分とほかの人との間で大きく感情が揺れ動く体験をするのもこの時期です。友達と自分を比較して、自分の実力を実感することで自信をなくしたり、自尊心がぐっと低下することもあるでしょう。少し先を想像する力もついてくるので、さまざまなことへの不安を感じるようにもなります。だから、小グループをつくって、徒党を組んで行動したがります。小さな集団は形を変えつつもその構成員である子どもは属性を拠り所とします。逆に友達のいない子どもは一気に所在がなくなります。高学年時にはどの集団にも属さず独りぼっちだったというASDの子どもは少なくありません。これはASDの子どもは徒党を組むことに関心が少ないからでもあります。

とにかく、思春期前後の子どもはかなりハードな環境にあるのだということを、大人はまず認識しておきましょう。子どもだって、好きでイライラしているわけではないのです。いろいろしんどくて、大変な時期なんだなと大人が知っておくだけで、対応もずいぶん変えられるはずです。大人が理解していれば、子どもの不愛想な態度にいちいち腹を立てることがありません。よけいな言い争いも回避することができます。この時期の子どもに、大人にぜひやってほしいのは、言葉に頼らず、子どもをよく見て観察することです。表情や部屋の様子など、さりげなく見守ってあげましょう。自尊心がぐっと低下しやすいときなので、なにかひとつでも子どもが得意なこと、頑張っていることに注目してください。子どもが、自分はこれが得意だ好きだと確認することで、励みになります。

体が変化することは自分の意思によるものではないので、子どもは不安で仕方ないのです。この不安をとりのぞくには、「知識」をつけてあげることです。体の変化はなぜおこるのか、なぜ気分が晴れないのか。それが成長の一過程であり、生理的な現象であることがわかれば、子どもの不安はかなり解消されるます。無邪気だった低学年の頃に比べて、なんだか憂うつ。この年代の小学生は、いつもブルーなのです。思春期は、大人ばなれ、子ばなれの時期。それまでの子育てをシフトする機会でもあります。子どもは大人と少しずつ距離をとり、自分の世界を構築していくので、大人と話したくなかったり、話したくないことが出てくるでしょう。大人の干渉がうっとうしいのも、ある意味健全な成長の証拠です。

幼稚園と支援施設の提携

発達障害児、協力して療育三田の3幼稚園と支援施設が提携

2020/10/30 05:30【神戸新聞NEXT】

学校法人湊川相野学園(兵庫県三田市四ツ辻)が運営する三田市内の3幼稚園と医療法人社団青山(せいざん)会(すずかけ台1)は、発達障害の子どもたちの療育を相互に進める業務提携を結んだ。同会は市内最大規模の障害児通所支援施設「ぞうさんの足音」を運営する。同施設に通う子どもが幼稚園で過ごす様子などを双方の職員が情報共有する。こうした取り組みは市内や近隣地域では珍しいという。(高見雄樹)

対象となるのは同法人の北摂第一幼稚園(武庫が丘4)、北摂中央幼稚園(すずかけ台2)、北摂学園幼稚園(学園7)の3園。発達障害などで同施設に通う未就学児50人のうち、13人が3園に在籍している。

北摂第一幼稚園によると、発達障害などの子どもたちは5年前の2倍に増えている。集団生活が苦手な子が多く、以前に比べてより一人一人の状況に合わせた保育や教育が求められるという。同園は全クラスに副担任を置くなどして対応している。

一方、療育施設の利用希望者も年々増えている。同施設では1日20人の定員がいっぱいになる日が続いているという。

こうした状況で、発達障害の子どものよりよい成長を後押しするには、施設と幼稚園の情報共有が不可欠と判断。2年ほど前から、北摂第一幼稚園と同施設の職員が互いに行き来する機会を増やしてきた。

業務提携により、幼稚園教諭は療育施設を訪れて療育の様子を見ることができ、子どもが達成できている事柄を確認できる。療育施設の職員は子どもと教諭とのやりとりを把握し、子どもが集団の環境に適応しやすいような手伝いをする。

園と施設の関係者は提携を機に、ほかの幼稚園、保育所や通所支援施設にも同様の取り組みが広がることを期待する。療育施設への送迎などで親の負担が増えており、連携して行政にも支援を求める方針だ。

ぞうさんの足音で管理責任者を務める大前美寿々さん(40)は「幼稚園と支援施設が連携することで子どもが毎日をより過ごしやすくなり、できることが一つ一つ増えていくとうれしい」と、目標を見据える。

北摂第一幼稚園の大前通代園長(75)は「互いの職員が心を通じ合わせることで、支援が必要な子を周りの子どもたちが共に支え、育てていく環境を幼稚園の間からつくりたい」と話している。

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当たり前に思えるこの連携ですが、決して簡単ではありません。療育側は問題ないですが、就学前施設は、民間経営なら自治体の管轄も療育施設と違う事が少なくありません。経営ラインが違うと、建前がどうのこうのとケチをつける人が出てきます。京都でもこんな関係が結べているのは福知山市くらいではないかと思います。結局、教育長や市長レベルで号令をかけないとなかなか持続可能な連携にはなりにくいのです。民間では小さなレベルでは双方の園長や所長さんに理解があって職員のニーズになっている場合はうまくいくのでしょう。

15歳少女「エスカレーター右側しか乗れない」苦悩

15歳少女「エスカレーター右側しか乗れない」苦悩
「どいて」「なんで右に立ってんだよ」と言う人も

2021/11/10 【AERA dot.】

埼玉県で、10月1日に全国初となるエスカレーターに立ち止まって乗ることを求める条例が施行され、ひと月が経った。条例には賛否両論があったが、世の中には身体に障害を抱え、エスカレーターの片側にしか立って乗れない人もいる。その当事者である15歳の少女の現実と、両親の願いとは。

横浜市に住む高校一年生の林姫良(はやし・きら)さん(15)。生まれてすぐに脳に異常が見つかり、生後6カ月で頭部を手術した。左半身に麻痺があり上手に動かせず、歩く際はバランスを取りながら足を運ぶ。握力も、左手はとても弱い。

本来、2人乗りのエスカレーターは2列に立って、手すりを持って乗るという前提で設計されている。異常で緊急停止した際の転倒を防ぐためだ。だが、日本や世界各国では急いで歩きたい人のために片側空けの習慣が根付いており、過去には鉄道会社やメディアが乗り方のマナーとして推奨していた時期もあった。2000年以降はメーカーや業界団体などが立って乗るよう呼び掛けるようになったが、片側空けをマナーのようにとらえている人は今も多い。

身体を守るのも簡単ではない
姫良さんの住む横浜市を含め、関東は左側に立ち、右側を歩く人のために開けるのが一般的になっている。だが、姫良さんは左手でしっかり手すりをつかめない。

「もし姫良が左側に立っていて、エスカレーターが異常などで緊急停止したら、間違いなく転倒してしまいます」
父の正和さん(52)と母の太佳子さん(54)は、そう口を揃える。歩いて追い抜く人にぶつかられたら、転倒してしまう可能性もあるという。さらに転んだ時に手をついて身体を守る、ということも姫良さんには簡単ではない。

姫良さんは、「右側にしか乗れない」のだ。
脳の病気のためうまく思いを表現できないことがある姫良さんだが、エスカレーターに右側空けの慣習があることは理解している。

実際、小さいころから右側に立っていて、後ろから舌打ちされたことはしょっちゅうあったという。時には「どいて」と怒られたり、「なんで右に立ってんだよ」と言い捨てて去っていったりする人もいた。

誰が姫良さんを注意するか、後ろにいたグループがひそひそ話していたこともあった。本来の乗り方からすれば、右側に立つことは正しく、姫良さんが怒られる筋合いは何もないのだが、現実はそうではない。

エスカレーターに乗る際はいつも、親が左側、姫良さんが右側に並んで立つようにしている。後方から来た人に、事情を説明することもあるためだ。だが、姫良さんが小学校低学年くらいの頃、突然、左側の太佳子さんの一段下に移ったことがあった。

「小さいなりに、怖いと感じたんだと思います。大人だって右側に立つのは勇気がいることで、今でも後方から足音が聞こえると、怒られはしないかと私自身も怖く感じますし、長いエスカレーターだと不安がより大きくなります。姫良は今も人が多い時や、後ろから歩いてくる人の気配を感じると、遠慮して左側に移ろうとしてしまうんです」

と太佳子さん。人が多いときはしばらく乗るのを避け、タイミングを見計らって空いてから乗るようにしているという。

ヘルプマークを着けてはいるものの、効果はてきめんとは言えない。
「姫良は、ぱっと見では障害があるとはわからないので、右側に立っている事情が何かあるんじゃないかとはなかなか想像してもらえないんだと思います」(太佳子さん)

立ち止まって乗る文化の定着願う
埼玉県の条例が各地に広がって、エスカレーターに立ち止まって乗る文化が定着してほしいと願う両親だが、一筋縄ではいかない現実も理解している。取材中、正和さんと太佳子さんは「すぐには無理だと思う」「難しいですよね」という言葉を何度も口にし、考え込んだ。

苦悩は尽きないが、それでも両親の思いは切実だ。
姫良さんは赤ちゃんの時に、ハイハイした経験がない。左半身が麻痺していたため、できなかったのだ。物心もつかない幼少期から懸命のリハビリを続け、やっと立って歩けるようになった。

正和さんは当時を思う。
「リハビリの先生がスパルタで、小さな姫良はいつも泣きながら頑張ってきたんです。あのときの頑張りがなかったら大きくなっても歩けなかったでしょうし、エスカレーターにも乗れていなかったと思います。

今でも、ペットボトルのふたを、持ち方を工夫して開けるようになるなど、ハンディを抱えながらも頑張って生きていて、親として娘から教わったことはたくさんあります。だからこそ、障害がある人のことを知ってほしいですし、ハンディがある人が安心してエスカレーターに乗れる時代が来てほしいと、声を大にして言いたいんです」

太佳子さんも続ける。
「いつか姫良が親の手を離れる時、世の中がどうなっているか。姫良だけではありませんが、難しい障害がある人がいるということを、ひとりでも多くの人に知ってほしいです。知ってくれれば、時間はかかったとしても、少しずつ社会も変わっていくのではないかと思います。

エスカレーターを歩かない文化が根付くことが一番の希望ですが、まずは右側に立っている人がいたら『邪魔だ』と思うのではなく、何か事情があるのかなと思ってくれる社会になってほしいと願っています」

社会が変わらなければならない
当の姫良さんは、がまんしがちで弱音を吐かない性格もあってか、エスカレーターを歩く人たちへの考えや自分の願いは、今のところ言ったことがない。これからも、言わないかもしれない。

ずっと静かだった姫良さんだが、取材が終わった後、正和さんが「親がいなくなっても姫良はひとりで頑張っていけるかな」と聞くと、ニッコリ笑って「うん!」と答えた。

泣きながらリハビリを頑張った赤ちゃんが大きくなり、ずっと頑張り続けながらいつか親元から巣立つ。その時、どんな社会を作れているだろうか。(AERAdot.編集部・國府田英之)
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急ぐ人は元気なんだから、階段を走って上がりましょう。エスカレータ前にでっかく書いておけばどうかとすら思います。そもそも、右側空けの関東圏、左空けの関西圏、2014年のアンケート調査によると、「左に立つ」が57%、「右に立つ」は13・1%で、左に立つ関東方式が圧倒的に多く、右に立つ関西方式は少数派だそうです。

関西の左空けは、1970年開催の大阪万博のとき、他国の慣習にならって右立ち、左空けを呼び掛けたらしいです。最初の左空けは第二次世界大戦中で、ロンドンの地下鉄構内が防空施設とされたことからです。ドイツ軍の空襲で急ぐ人のために左側を空けたことに始まっています。それが世界各地に広まり、左空けの国が多かったために、日本もそれに合わせたそうです。

一方、東京では大阪よりも遅く、1980年代後半から片側空けが始まりました。左立ち、右空けが一般化したのは、古来の左側通行の歴史にしたがったからだと考えられています。日本の左側通行は、武家社会から始まったとされます。刀を持った武士が右側通行をすると、鞘さやが当たってトラブルが起こりがちだったため、これを防ごうと左側通行になったそうです。どうでもいいトリビアでしたが、時代や文化によって片方の空け方もまた文化なのです。バリアフリーの時代なのだから、エスカレータは止まって乗り、急ぐ人は階段を使えという文化になって当然です。

子どもの群れる意味

昔、子どもの遊びは「群れる」ことが当たり前でした。そしてその群れの多くは異年齢集団です。遊びは年上の子から年下の子へと受け継がれ、遊び方やルールも異年齢ならではのものがありました。ガキ大将は年下の子の面倒を見なくてはつとまらず、勝手な振る舞いをすればトップの座から追いやられました。遊びのルールは、年下の子を同じ遊びに入れ「遊ばせてやる」ための特別措置が必要でした。大人が意図的に仕組まなくても、こうした集団の中で他を思いやったり自分たちだけの「掟」やルールを作ったりする体験を積むことができていました。これは学校の「学年別集団」では経験できない、貴重な「文化」でした。

現代を生きる子どもたちの多くは、残念ながら集団の中での振る舞い方を体験的に身につけてきていません。それは彼らの責任ではなく、社会、とりわけ子どもの周囲にいる大人の責任ともいえます。しかし、だからこそ私たちは集団で遊んだり遊びを創造する経験を持たせたいと強く願っています。「群れて遊ぶ」ことの意味や価値を知らしめなければ、今後そうした経験をしないまま大人社会へと巣立ってしまいます。

以前、ギャングエイジについて書きましたが(11/7「9歳の壁」「10歳の節目」)、同世代で群れるのと異年齢で群れるのではその構成論理は全く違います。同世代で群れの原理は排除と強者の論理ですが、異世代の群れは多様性の享受であり弱者の擁護と公正の追求です。いじめが仮に生じても、長期化しません。必ずトップが介入して、不正を修正するか排除します。だからこそ従う子どもたちの憧れは強固なものになるのです。そしてそれは細部にまで模倣されて群れの存続につながります。異年齢集団は、民主主義や道徳のあれこれの小難しい理屈を並べなくても、人として何が価値ある振る舞いかを体現します。そこに大人も学校も必要なかったのです。私たちは、この子どもの自然を回復するためにだけ役割があると言っても過言ではありません。

 

博報賞

障害特性考慮し性教育、高評価国分教諭に「博報賞」

2020/10/30 16:30【静岡新聞】

優れた教育研究や実践活動に取り組む学校や団体、個人を顕彰する第51回博報賞(博報堂教育財団主催)の受賞者がこのほど発表され、県内から清水特別支援学校の国分聡子教諭が奨励賞に選ばれた。

国分教諭は知的障害や発達障害がある思春期の児童・生徒に性教育を20年以上実践する。「すてきな大人になろう」を合言葉に単元学習や個別指導を展開。障害特性を考慮した独自の教材教具を開発し、子どもたちが安心して思春期に起こる体や心の変化を学べるよう注力している。

また指導の工夫や成果をデータ蓄積し、教育現場で共有する仕組みを構築。教員同士で性教育への共通理解を深めるのに貢献し、子どもの生きる力を育む持続的な取り組みとして高く評価された。国分教諭は「性関連の情報が世にあふれる中、子どもたちに正しく生きていける十分な知識を伝える活動に今後も励みたい」と語った。
今年の博報賞には20個人・団体が選ばれた。

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その中に京都で受賞した「博報賞」がありました。

障がいのある生徒が、多くの仲間と「共に生きる」ことを目指して
京都市立朱雀中学校

活動内容
障がい理解推進と、他者の良さを探し認め尊重できる生徒の育成

盲学校小学部に通う弱視の児童が、「地域の中学校で多くの人と過ごし、さまざまな経験をしたい」と、希望したことをきっかけに、本校、盲学校、朱雀中学校区の小学校と連携。6年生時から交流学習や体験入学などに校区の児童たちと参加して、スムーズな進学につなげた。
入学後は、全教員がさまざまな立場から当該生徒に関わる体制を構築し、本人が取り組みやすい方法を盲学校の教員にアドバイスを求め模索しながら、教科によって柔軟な配慮に努めている。また学習面では、「障がいのある人と共に生きる」をテーマに、視覚障がいの見え方体験や困り感・想いを共有する人権学習、テーマを踏まえた地域調べを総合的な学習の時間で行うなど、障がい理解を深める活動に全生徒・教員で取り組んでいる。
仲間として共に過ごすうちに、「何でもやってあげよう」と気遣い・気遣われる関係から、本音を言い合える対等な関係に変化。障がいも一つの個性と捉え、一緒に行事を楽しむための方法や活動を生徒たちが考え出すなど、大きく成長した。さらに、他人のいいところを探し、認め、褒める「今週のきらりさん」活動が生徒らの自己有用感を高め、認め合う言動を習慣化。学校全体で多様性を寛容する精神を育んでいる。

審査委員より
特別支援学校(視覚障がい)小学部卒業後に、公立中学校に入学した弱視生徒を対象として、本人の想いと保護者の願いを踏まえた上で、特別支援学校からの助言・援助のもと、全教職員が障がい理解を深め特別支援教育の専門性を高めながら、工夫された独自の教育実践を展開している。また、この中学校で学ぶ生徒が、障がいがある生徒と共に学校生活を送ることによって、人間性豊かに成長していく姿が顕著である。インクルーシブ教育システムの充実に向けた新奇性のある先駆的教育実践であり、今後、他の学校への波及も大いに期待できる。

https://www.hakuhodofoundation.or.jp/prize/

特別支援学校のICT環境整備を共生社会モデルに 文科省会議

「特別支援学校の環境整備を共生社会モデルに」 文科省会議

2021年11月11日【教育新聞】

教育格差特別支援教育
特別支援教育の新たな学びに対応した学校施設の在り方を検討する、文科省の有識者会議の第2回会合が11月11日、オンラインで開かれ、ICT活用を見据えた学校施設の整備をテーマに、中野泰志臨時委員(慶應義塾大学経済学部教授)が報告した。中野臨時委員は、特別支援教育でのICT活用は困難さを軽減するためにいち早く進められてきた経緯に触れながら、視覚障害や聴覚障害など多様な障害を包括できるインフラ整備が教室内外で必要だと指摘。「特別支援学校の環境整備は共生社会のモデルとなるように進めるべきだ。一般社会をけん引する特別支援学校を目指してほしい」と提言した。

オンラインで行われた特別支援教育の施設の在り方を検討する会議
新たに設置された「特別支援教育の在り方を踏まえた学校施設部会」(部会長・上野淳東京都立大学名誉教授)では、▽特別支援学級と通常の学級の子供が共に学ぶ活動への対応▽ICT利活用による特別支援教育の質の向上▽医療的ケアが必要な児童生徒への対応――などについて議論を進めている。

国立特別支援教育総合研究所で主任研究官などを務めた中野臨時委員は、視覚障害や聴覚障害などのある児童生徒にとって、AI活用のナビゲーションシステムなどを搭載したICT機器は欠かせない重要なツールになっているとして、教室だけでなく学校のどこでもスマホでネット接続できる環境が必要だと指摘。こうした障害種別に応じて必要な機材が活用できる「情報保障」として、高速ネットワークや電源に加え、遮光カーテンや静かな環境への配慮も求められると強調した。

さらに非常時に聴覚障害者に文字で知らせるデジタルサイネージや、主体的な学びのためには寄宿舎などでも学習できるネット接続環境なども必要になると説明。「多様な障害を包括できる環境整備を進めて特別支援学校を共生社会のモデルとし、一般社会をけん引する形を目指してほしい」と提言した。

 これに対する質疑では、委員から「小中学校の1人1台端末は進んでいるが、障害のある子供に同じタブレット端末が配られがちで、配慮についてどう考えるべきか」「ICT環境整備について、普通学校での展開と特別支援学校の展開についてどう考えるか」といった質問が出された。

中野臨時委員は「障害の特性に応じた端末が配られているかというと、必ずしもそうなっていない。通常学級に在籍する子供も授業場面で使えるような個別の合理的配慮は不可欠だと思う。また、ICT環境整備については、理念として特別支援学校が模範になるべきで、まず重点的に整備して地域の学校に広げる形が望ましいと思う」と答えた。

同部会では、来月にかけて先進的な施設を視察した上で議論を重ね、今年度中に報告書を取りまとめて、同省の学校施設整備指針の改訂に反映させる。

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中央官庁で話されている事と、地方の現場では意識の格差を大きく感じてしまいます。高等部の生徒には10年以上前から、就学奨励費として親の代理で学校が申し込めば誰でもタブレット端末が購入できるようになっていましたが、それでも学校のWiFi環境が悪くてわざわざ無線ルーターを教室までに持って行って接続するような事が続きました。それでも、小中学生には配布されず、少ない学校予算の中からタブレットや周辺機器を購入していました。

今でも、学校中がWiFi環境にある所は数えるほどだと思います。それなのに、個々の障害にカスタマイズされたICT機器だのAI活用のナビゲーションシステムだの防災に役立てるデジタルサイネージ(電子看板)だのを学校環境に用意してはどうかという提案が現場とはあまりに違ってぶっ飛んでいて驚きました。そもそも、個性や障害に応じてカスタマイズするにもその知識を持つ人が配置されていません。

現場とかけ離れたあまりにも能天気な話とは思いましたが、障害のある人の学校にこそICTが縦横無尽に活かされることは賛成です。全ての子どもが端末を携帯し個性に応じてスケジュールやコミュニケーションデバイスとして使えるならどんなに素敵だろうと思います。ただし、教員の「便利遣い」ではさすがにカスタマイズやオーダーメイドの道は開けません。テクノロージーの普及と開発にはその道のプロフェッショナルが各校に複数は必要です。

ハローワーク

ハロワークに求人募集してきました。1月からは自社でのネット登録の仕様が変わるそうで、今回は直接ハロワークに来てくださいとのことで、京都駅の横にある七条職安に行ってきました。来ているのは求人ばっかりでした。ネットで検索できるので、ハローワークに来るのは、失業保険の手続きの方が多いみたいでした。

今回登録した内容は
以下の通りです。

皆さんのお知り合いにもこのURLを示してご協力ください。見に来るだけでも大歓迎です。

求人番号
26020-32103691
求人情報の種類
一般(フルタイム)
事業所名
特定非営利活動法人 ホップすてーしょん
電話番号
075-924-5010
FAX番号
075-924-5020
代表者名
所長 田中 一恵
所在地
〒617-0006  京都府向日市上植野町樋爪6-9
事業内容
障がいのある小学1年生から高校3年生までの児童に、授業の終了後や学校の休業日に生活に必要なプログラムを提供し、遊びや体験を通して健全な育成が図れるよう支援をしていく事業です。
職種
放課後等デイサービス指導員
就業形態 フルタイム
産業 医療,福祉のうち児童福祉事業
定年制 あり 一律 65歳
雇用形態 正社員
再雇用 あり 70歳まで
加入保険等 雇用 労災 健康 厚生  
年齢 44歳以下
年齢制限の理由 長期勤続によるキャリア形成のため若年者等を対象
雇用期間 雇用期間の定めなし
就業時間
(1)10:00~18:00 又は09:00~18:00の間の8時間程度
週所定労働日数

時間外 あり 月平均12時間
休憩時間 60分
賃金 月給
a 基本給(月額平均)又は時間額
180,000円~200,000円
a + b
180,000円~200,000円
b 定額的に支払われる手当
c その他の手当等付記事項 資格手当:5,000円  (教員免許、保育士、福祉士等)
賞与 あり 前年度実績 年2回・計4.50月分

休日 日 他 
入居可能住宅
年間休日数 105日
週休二日 毎週/*年末年始・夏期3日  
利用可能な託児所 なし
育児休業取得実績 あり
就業場所 京都府向日市
沿線 阪急京都線
従業員数 企業全体:7人 うち就業場所:7人 うち女性:5人 うちパート:5人
採用人数 2人
通勤手当 実費支給 上限あり 月額:10,000円 
マイカー通勤 可 /駐車場自己負担 なし
転勤 なし
仕事の内容
・障害のある子どもたちの療育(個々の子どもの課題に応じ た生活や遊びの指導など) ・レクリエーション等の行事の企画、運営  ・文章作成(個別支援計画書等。作成の仕方はレクチャーし ます。スタッフで協力して作成していきます)  ・子どもの車での送迎
学歴 短大卒以上
必要な経験等 不問
必要な免許・資格 普通自動車免許(AT可)  ペーパードライバーでない方
選考方法 面接 書類選考 その他(作文・実習)
選考結果通知 7日後
応募書類等 ハローワーク紹介状 履歴書→写真添付 職務経歴書 その他(運転免許証)
選考日時 随時
求人条件にかかる特記事項
※バイク・自転車通勤:可  ※駐車場自己負担 なし  ※選考結果:7日後  ※昇給制度あり 前年度実績あり    ※賞与制度あり 前年度実績あり
備考 ※教育・福祉関係の有資格者の方は、資格証をご持参お願 いします    〈コメント補足入力あり〉

 受理日 令和元年11月21日
有効期限日 令和2年1月31日
受理安定所 京都七条公共職業安定所 

 

 

心の成長を妨げないために

心の成長を妨げないために… 決断した薬の投与 副作用も見極め上手に付き合う

10/30(金) 12:11【朝日新聞EduA】配信

発達障害の診断を受けると、程度や困難にもよりますが薬を勧められることがあります。発達障害がある子どもへの対応は、周りの理解と環境調節が第一となりますが、それだけでは追いつかない場合の一つの方法です。必ず薬が必要なわけではなく、その人の状態や環境により薬がなくても大丈夫な場合が多いと聞いています。

もちろん薬が必要かどうかの判断は医師がすることですが、向精神薬の投与については様々な偏見や不安も付きまといます。ましてや自分自身ではなく子どもに飲ませるのです。その決断は親がすることになります。

私も最初は随分と悩んだ上での決断でした。私と同じくお子さんへの投薬に悩む方は多いと思いますので、一つの事例として我が家の経験談をお話ししたいと思います。

娘はADHDと自閉症スペクトラムの診断を受けています。多動と衝動、不注意があり、4歳で診断された時には親子ともども疲弊しきった状態でした。そこを緩和するべく、最初にリスペリドンという抗精神病薬の投与を勧められました。興奮を抑え、刺激の受けやすさを和らげてくれる薬です。

診断がついてまだ間もない頃でしたので、私もほとんど知識がなく、子どもに飲ませてよいものかどうか、随分と悩みました。ネットで調べると依存症や怖い話がたくさん出てきます。10年以上前なので今のように発達障害に対して正確な医療情報がネット上に少なかった時代でした。主治医の先生は私の不安に一つひとつ答えてくれ、無理に勧めることもなく、時間をかけて現在でわかっていることを正確に教えてくれました。

もちろんお薬ですので、どんなものでも絶対安全はありません。胃薬だろうが痛み止めだろうが、場合によっては副作用、まれに重篤な副作用が起きる可能性もあります。主治医に何度も相談しながら半年くらい考えた末、娘に薬を飲ませることにしました。

最大の理由は娘の飛び出しです。衝動性の高い娘は道を歩いていても、車道側に気になるものがあれば(たとえば草花)、何も見ないでいきなりとんで行きます。頭で考えればそれが危険であることは知っています。車にひかれたらどうなるかも知っています。それでもその瞬間は気になるもののことで頭が埋め尽くされ、飛び出てしまうのです。

外を歩くときは常に手をつないでいたので引っ張り戻すことが出来ていましたが、一生そういうわけにもいきません。何度も何度も話して聞かせましたが、なかなか自分で抑えきれません。就学を控えて、これではいつか事故にあってしまう。下の子の幼稚園と時間が微妙にずれていることもあり、毎日の送り迎えが不可能でした。

薬によって衝動性や授業中の多動を抑えられれば、座っている苦痛も和らげられるかもしれない。そう思って投薬に踏み切りました。リスクもあるかもしれないけれど、娘の命には代えられません。そうして4歳から、娘の頭の中の刺激の受けやすさを静かにしてくれるリスペリドンと、6歳からADHD治療薬(メチルフェニデート塩酸塩徐放錠)を飲むことになりました。

発達障害は生まれつきの脳のタイプ、性質ですので、薬を飲んだからといって治るものではありません。痛み止めやアレルギーの薬のように、効いている間は症状を抑えるというものです。

薬で症状を抑えることによって、落ち着いて学習ができたり、過敏症状を軽減したりできます。繰り返す失敗で自信をなくしたり、叱られたりするシーンも減らせます。本人が少しでも楽に社会生活を営めるというメリットがあります。

もちろん障害によって起きる困難を全て無しにしてしまうような魔法の薬ではありません。最初は変化に驚くこともありますが、決して人格まで変えてしまうような薬でもありません。日常生活で少しでも本人の負担を軽減するために飲んでいます

心の成長を障害の困難によって妨げられないようにする、そういった感じでしょうか。ですので、ずっと継続して薬が必要なケースばかりでなく、成長の過程で一時的に薬でコンディションを調整する場合も多いそうです。多動に関しては小学校高学年くらいにおさまるお子さんもいると聞きました。実際に周りのお子さんを見ていてもそのようなタイプは多いと感じます。

うちの娘に関しては、多動は今のところおさまる兆候はなく、おそらく一生続くものかと思われます。よく考えれば、娘とそっくりな性質の父親は多弁多動で不注意だらけです。我が家の場合はどうみても娘と父親の特性が似ているので、この先も薬と付き合っていくことになるだろうと思っています。

同じ薬でも効果には個人差
発達凸凹の子の中学受験

子どもに継続して向精神薬を飲ませることに対して、賛否両論あることは知っております。これは我が家の場合の話であって、すべてのケースに投薬を勧めるわけではありません。

時折、学校から投薬を勧められるケースを聞きますが、向精神薬はあくまで医師の判断で処方され、本人のために飲むものです。結果として集団生活に適応しやすくはなりますが、周りの都合で集団生活に適応させるために飲ませるものではありません。

ADHD治療薬(メチルフェニデート塩酸塩徐放錠)に関しては、依存症を心配される方も多くいらっしゃいます。私もその点は非常に気にしていました。

娘は現在15歳。6歳から飲み始めてもう10年が経とうとしています。それでもいまだに声をかけないと、薬を飲み忘れて学校に行ってしまいます。依存のかけらも今のところ見られません。私の知っている範囲に同じタイプのADHD治療薬を飲んでいるお子さんや成人の方は数多くいますが、依存になった話は聞いたことがありません。

副作用として代表的なものが食欲減退で、成長期においては体重の増え方などのチェックが必要です。娘も薬が効いている間は食欲が落ちたので、主治医の承諾のもと休日や長期休みに休薬をして体重のコントロールをしていました。娘にはこのタイプのADHD治療薬とリスペリドンの組み合わせはとても合っているようです。今ではADHD治療薬も種類が増えてタイプによって色々と試せるようになっています。

一方、2歳で自閉症スペクトラムの診断がついた息子は、特に投薬を勧められることもなくきていました。ところが、就学してから刺激の受けやすさが強くなり眠れなくなるなどの症状が出てきたため、リスペリドンを飲むようになりました。しかし、副作用の食欲増進で急激に太ってしまったので、他のタイプの抗精神病薬に変えたのですが、今度は理由なくイライラが激しくなり断念。効果は見られたのですが副作用との釣り合いが取れませんでした。今は不安を抑えるためにSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれるタイプの抗うつ薬を飲んでいます。

多動は一切なかったのですが、不注意が激しく、ランドセルを玄関に忘れて手ぶらで学校に行くような子でした。ADHDが併存していたことから一時は娘と同じタイプのADHD治療薬を処方されたこともあったのですが、こちらもイライラが出てしまい中止しました。同じ薬であっても効果も副作用も非常に個人差があり、一概に「この障害だからこの薬」とはいかないもののようです。

投薬はごく少量からスタートし、効果や副作用の様子を見ながら丁寧に調節をしていきます。合う薬、合う量を見つけるには何カ月もかかることもあります。子どもの場合、体が大きくなることや学校など環境が変わること、成長によって本人の状態も変化していくので、それにも合わせていかなければなりません。我が家の子どもたちは小さい頃からの投薬ですが、大きくなるにつれて薬による変化を子ども自身が言葉で教えてくれるようになり、本人がどうしたいのか相談しながら調節しています。

私自身は発達障害の診断は受けていませんが、長く慢性じんましんを患っており、原因不明で完治の見込みもなく、ずっと薬で症状を抑えて生活しています。薬のない状態では全身にじんましんが出て、とても日常生活が送れません。

花粉症をお持ちの方で、軽い症状であれば空気清浄機などの環境調整でなんとかなる場合もあるでしょうが、ひどい場合は薬がなければとても仕事や勉強ができる状態でないことはわかっていただけるかと思います。薬を飲まなくてもやっていけるに越したことはないのですが、発達障害で投薬が必要な場合は、花粉症の薬と同じようなものだと私は考えています。

本人にはどうしようもないことを薬で少しでも楽にしてあげられるなら、副作用との兼ね合いも慎重に見ながら、薬を使い、うまく付き合っていきたいと思っています。

なないお:発達障害のある2人の子供を育てるシングルマザーです。2005年生まれの娘(ADHD、ASD)、2007年生まれの息子(ASD)、どちらも受験し公立中高一貫校に通っています。
ブログ「うちの子流~発達障害と生きる」https://nanaio.hatenablog.com
Twitterアカウント @Nanaio627

妊娠、相談しやすい環境必要 知的障害者への支援提言

妊娠、相談しやすい環境必要 知的障害者への支援提言

2021年11月16日 【朝日新聞】

約2年前に佐賀県武雄市で起きたトイレのタンク内に出産直後の女児の遺体が放置され、知的障害のある母親(当時23)が逮捕された事件を受け、県が設置した検証会議の報告書がまとまった。妊娠を自覚しながらも周囲に相談できないまま命が失われた事件を検証し、障害者への支援や性教育の必要性を提言した。

報告によると、母親は2019年12月に武雄市の自宅トイレのタンクに女児を産み落とし、死亡させた。約1カ月後、トイレのくみとり業者が遺体を見つけ、事件が発覚した。20年、死体遺棄の罪に問われた母親に対し、佐賀地裁で懲役1年2カ月執行猶予3年の判決が言い渡された。

県はこれを虐待事案に認定し、大学教授や弁護士、医師など6人で構成される検証会議を設置した。当事者やその家族、保健所や特別支援学校などに聞き取りを重ね、20年11月~21年9月に6回にわたり会議を開いて報告書をまとめた。

報告書によると、母親は通った特別支援学校の同級生の男性と卒業後に交際。事件の4カ月前に検査薬で妊娠を確認して男性にも伝えたが、互いに誰にも伝えなかった。母親と父親となった男性には軽度の知的障害があったという。

報告では、①知的障害者に対する性教育と支援のあり方②知的障害者とその家族に対する支援の問題点、を挙げている。

①では、特別支援学校では妊娠したら病院を受診し、身近な人に相談するように教えられていた。だが今回、母親は妊娠が体に与える影響や赤ちゃんを育てることを理解できておらず、たとえ性教育を受けても日常生活で行動に移すのは難しい場合があると指摘している。

②では、複数の関係機関が母親の妊娠に気づけなかったことを指摘し、障害者の障害の度合いが中程度なら福祉サービスが充実している一方で、軽度の場合は本人からの相談が無いと手厚い支援をする機会が少ないとしている。

例えば、障害が軽度だったこの母親の場合、特別支援学校卒業後、国と県が業務を委託する障害者就業・生活支援センターが中心となって支援することになっていた。だが、あくまでも就業に関する支援が主で、本人からの相談が無いためプライベートな問題にまで踏み込んで支援して妊娠を把握することができなかったとした。

また、母親と同居する姉と弟の一人も母親より重い知的障害を抱えており、「比較的障害が軽度な母親に(対し母親の)両親が関わる機会が少なく、母親は両親と気軽に相談などができる関係性が築けていなかった」としている。

こうした事情を指摘したうえで報告書は、特別支援学校の卒業時に相談先をまとめた冊子を配ったり、妊婦らを支援したりする「子ども家庭総合支援拠点」を全市町に設置するように働きかけていくことなどを提言。相談しやすい環境づくりの必要性を訴えている。

報告書を受けとった県の担当者は「事案は母親が父親以外の誰にも相談できず、周りも誰も気づかないなかで起きた。相談しやすい環境や、周囲が気づいて支援に結びつく態勢の整備に努めたい」と述べた。(松岡大将)

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学校での性教育は時間通りにスライドを見せて一方的に説明してしまえば終わりというものが少なくありません。家庭や地域の生活感が薄れ、出産・子育て、介護や看取りは日常の事なのに子どもの目からはどんどん遠ざかります。今回の事件は知的障害があるからというより、カプセル化した家族や人との関係性の希薄さが原因で、そういう意味では最近の児童虐待の原因と同じように思えてなりません。

障害者や青年が相談しやすい環境といっても、私が相談員だから話してみなさいという人が何人いても話す気にはなりません。支援は小さな時期から何度も享受して上手くいった体験があるから関係性があるから受けようという気になるもので、いきなり深刻な内容を相談するには障害がなくてもハードルが高すぎます。まずは、身近な細かな困り事で何度も支援を受け相談して良かったという経験が大事です。

高等部の軽度知的障害と言われる生徒の場合、中学までは一応自立して生活やコミュニケーションができていた人も少なくありません。通所支援も受けたことのない人もいます。進路先の支援学校は高等学校よりははるかに仕事や暮らしのことについて教えてはくれますが、実生活のことまでは対応ができません。また、卒業してアフターケアーが業務として行われるわけでもなく、仲間も相談相手にはなりにくい場合が多いです。

子どもの頃から、支援を受けながら大人になっても相談できるようには現在のサービスシステムは設計されていません。生活を支える時には子どもの時に支援してもらって上手くいった経験がものを言うのではないかと思います。人生の伴走者としての支援サービスのシステム設計が必要なのだと思います。

てんかん(その1)

人間の体には、神経が張りめぐらされ、その神経の中を弱い電気信号が通ることによっていろいろな情報が伝達されます。脳には神経細胞が集合し、さまざまな情報を処理しています。たとえば、目や耳から入る情報、皮膚で感じる情報、匂いや味などの情報は、神経を通じて脳に伝達されることによって、「きれい」「暑い」などと感じます。逆に、脳からの命令、つまり、「話す」「走る」などのように、意識することによって体を動かすこともします。さらに、意識していない心臓の動きの調節や呼吸なども脳からの命令であり、感情・情緒・理性などの精神活動や記憶も制御しています。このような働きのある脳内の電気信号が何らかの原因で一斉に過剰に発生するとその部位の脳の機能が乱れ、脳は適切に情報を受け取ることや、命令ができなくなり、体の動きをコントロールできなくなります。この電気信号の一斉の過剰発生をてんかんと呼びます。

大脳は、中央の溝を境に大きく左右(右半球と左半球)に分かれています。そして、右半球は左半身を、左半球は右半身の神経を調整し、また脳は各部位ごとにそれぞれの働きを担っているため、電気信号の乱れや興奮が起こる部位によって発作の症状が変わってきます。てんかんの方は、発作の起こる部位が決まっているために、発作ごとに同じ症状が繰り返されます。たとえば、手を動かす神経の部位で過剰な電気的興奮が起こると手のけいれんが起こり、言葉の部位で起こると言葉がしゃべれなくなります。

脳の神経は興奮と抑制がバランスよく働いています。車のアクセルとブレーキのように、興奮が強くなりすぎると抑制側の神経が働いて興奮を抑える、というようにバランスを取ります。しかし発作が起こる時には、興奮系の神経が強く働いたり、抑制系の神経の力が弱まることで、激しい電気的乱れ(過剰興奮)が生じます。

脳は、中央の溝を境に右半球は左半身、左半球は右半身の神経を調整し、大脳、小脳、間脳、脳幹などから構成されています。その中で、人間らしい複雑な行動をコントロールするのが大脳です。大脳は、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉の4つに分けられ、それぞれの部位によって働きが異なります。前頭葉:手足など、体の各部を動かす指令を出す働きの他に思考・推理・理性・学習・選択などの高度な情報処理をつかさどります。頭頂葉:皮膚や耳などから入る感覚情報を分析したり空間を認識します。後頭葉:人の顔や物の形など、目から入った情報を認識します。側頭葉:耳から入った音や言葉の情報や情動に関係します。側頭葉の内側には、記憶に関わる領域である海馬(かいば)があり、てんかんの焦点(発作が起こり始める部位)となることが多い部位です。てんかん発作が起こる部位でどんなダメージを受けるのかこの部位によって推測ができるわけです。次回はてんかん発作のタイプについて書きます。

京都府内文科省調査

いじめ重大事態が増加認知件数は減少京都府内、文科省調査

2020年10月22日 18:15【京都新聞】

京都府内の国公私立の小中高校と特別支援学校で、2019年度のいじめの認知件数は2万2429件と前年度より2412件(9・7%)減ったことが文部科学省が22日に公表した問題行動・不登校調査結果で分かった。ただ、いじめ防止対策推進法が規定する重大事態は公立分のみで、前年度より8件増えて11件あった。

いじめ認知件数の内訳は小学校が2530件減の1万8355件、中学校が151件増の3322件、高校が93件減の531件、特別支援学校は60件増の221件だった。うち京都市は小学校が53件増の1506件、中学校は158件増の1301件、高校は7件減の25件などだった。

重大事態は心身に大きな被害を受けたり、不登校になったりした案件。京都市立学校で7件、同市を除く公立の小学校で2件、中学校で1件、府立特別支援学校で1件あった。同級生から嫌がらせを受けて不登校になったなどだった。

いじめの認知件数は府教委は「嫌な思いをした」といった軽微な事案も認知件数としている一方、京都市教委は軽微な場合は継続的な指導が必要などと判断した場合に集計に含めている。府教委は「認知件数の減少に安心せず、引き続き丁寧な対応をしていく」としている。

暴力行為の発生件数は小中高校の合計で2193件と40件の減少。内訳は小学校が1045件(65件増)、中学校が963件(81件減)、高校が185件(24件減)だった。内容は生徒間暴力が計1409件(41件減)と最も多かった。小学校の暴力行為は特定の児童による繰り返しや、低年齢化が進んでいるという。

高校の中途退学者数は824人と前年度から204人減った。

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小中学校で不登校8年連続増「要因は複雑、喫緊の課題」京都府内文科省調査

2020年10月22日 17:00

京都府内の国公私立の小中学校で2019年度の不登校の児童生徒数は計3400人と前年度より400人(13・3%)増え、8年連続で増加したことが文部科学省が22日に公表した問題行動・不登校調査結果で分かった。府教育委員会は「要因は友人関係や学業、家庭問題など多様で複雑になっており、喫緊の課題」としている。

小学校が970人と前年度から248人(34・3%)増え、中学校は2430人と152人(6・7%)増えた。府内の多くを占める京都市は小学校が427人と169人(65・5%)増え、中学校は1110人と125人(12・7%)増えていた。

調査は病気や経済的な理由を除き30日以上の欠席者を不登校として集計しており、出席日数がゼロの児童生徒は小学校で31人、中学校で80人いた。高校の不登校の生徒数は771人で139人(15・3%)の減少だった。

全国の小中学校の不登校児童生徒数も前年度比10・2%増の18万1272人と増加傾向を示している。
府教委は「(学校以外の学びの場を認めた)教育機会確保法の趣旨が浸透した面もある。各市町に設置される教育支援センターなどで教育の保障もしていく」としている。

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いじめの数が全国に比べて京都が多いのは統計を取ったころからで、小さないじめも見逃さずにカウントするという方針があったからです。暴力事案が増えているのは、根拠ははっきりしませんが、教師の体罰が厳しく批判されたころから増えているような気がします。

不登校が毎年1割増えるとなると8年後には倍に増えます。京都6000人全国36万人となります。武漢風邪で臨時休校した結果、不適応による不登校ケースはさらに増えるとも言われています。京都府6000人というと向日市に通学する小中学生が5000名弱ですから全員学校に行っていないという規模です。

 

 

 

加賀まりこ「自閉症の息子と向き合うパートナーを見続けて・・・〈生まれてきてくれてありがとう〉」

加賀まりこ「自閉症の息子と向き合うパートナーを見続けて。だから言いたい〈生まれてきてくれてありがとう〉」

11/16(火)【婦人公論】

現在発売中の『婦人公論』11月24日号の表紙は女優の加賀まりこさんです。11月より公開の映画『梅切らぬバカ』で自閉症の息子を持つ占い師・珠子を演じている加賀さん。自身のパートナーの息子も自閉症であることから、どうしても入れたかった台詞があるそうで――。発売中の『婦人公論』から記事を掲載します。
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◆パートナーの息子がもってきてくれた役
私はテキパキして口調が強いけど悪気はないとか、しっかり者の役が多かったけど、今回の映画『梅切らぬバカ』は自閉症の息子をもつ地味な占い師。夫がいなくなってから二人で生活していて。隣の家族や地域との関わりを通じて、息子の自立を模索していくのね。

偶然なんだけど、パートナーの息子が自閉症なの。監督(和島香太郎)に45歳になるそういう子どもがいるって話したらびっくりしてた。私たち夫婦のことをまったく知らないからね。

あの子がこの役をもってきてくれたのかな。塚地武雅さん演じる息子の忠さんのような感じだもん。いつもあらぬほうを見てるのよ。視線を合わせないの。でも目はすごく綺麗。澄んだ瞳で、純真で。その子がいたから映画で塚地さんと自然に親子になれたのね。

パートナーと最初に会ったのは、三浦友和さんと共演した1980年のテレビドラマ『しあわせ戦争』。

86年の『男女7人夏物語』では、私が明石家さんまさんの義理の姉役で、関西弁の台詞を猛特訓したの。その時のディレクターだった。

◆監督に「入れてね」って言って
98年の『ハムレット』の公演中に彼と一緒に仕事する話があって、舞台を観にきたの。私が55歳の時ね。「あ、コイツ、いい顔になったなー」って思った。それから「つき合って」って言うんだけど、なかなか「うん」と言ってくれない。

でも彼をノックし続けたの。息子さんのことも、若くして離婚したのも知ってたからね。お母様が年取って弱ってきて、孫の面倒みきれなくなったし、彼の仕事は忙しいし。預けたいと探してたら見つかったの、いい学園が。それが5年後ね、私が60歳。彼、54歳。で、やっと「いいよ」って。(笑)

その学園には両親を亡くした60歳の人も元気に過ごしてる。それを見ると安心よね。救い。どうしたって親は先に逝くからね。忠さんを施設に入れるって決めた時も将来が不安だからだし。

パートナーは障害がある息子と向き合って変わったから、人間としての成長の糧になってるのよ。「息子に感謝ね」っていつも言ってる。あの子のためにと思い、あの子の力になりたくて頑張ったことがいっぱいあるのよね。忍耐強いし、優しい。

私はそれを見てるから、『梅切らぬバカ』で、忠さんに、「生まれてきてくれてありがとう」っていう台詞を言いたかったの、どうしても。監督に台本の段階で、「入れてね」って言って。

この映画を観て、障害がある人たちに優しい眼差しを向けてくれると、やった甲斐があるなぁ。忠さんは作業場でお菓子の箱作ってる。ああいうふうに仕事しながら生きていってほしいよね。

(構成=小西恵美子、撮影=鍋島徳恭)
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京都での上映館はTジョイ京都1館だけですが、月曜でも8割の入りでこの手の映画では良く入っていると思います。主役が加賀まりこ、塚地武雅。脇を固めるのが渡辺いっけい、森口瑤子、徳井 優、高島礼子のベテラン陣ですから安心して観られるというのも観客を動員するのか知れません。

桜切るバカ梅切らぬバカからとったタイトルですが、桜は切ったら木が弱るから切らぬ方が良く、梅は枝を落とせば良い実がなるというのが「常識」だが、邪魔でも梅の枝は切らぬというのが映画のテーマです。グループホームに入れた息子が地域に迷惑をかけ、反対運動につながっていく中で、住民が「私たちはただ普通の暮らしがしたいだけです」と拡声器で訴える声に「普通って何だろう」という疑問が湧いてきます。

障害者を良く知らない人は、障害者は怖い、障害者は自分の近くにはいない方がいいと思い、身近に知った人は、別に近くにいてもいいと思い始める両者のコントラストを映画は描きます。福祉法人の人がいつも申し訳なさそうに住民に詫びているのが辛いのと、塚地さんのASD役が上手すぎて個人的には鼻につくという向きはありますが、どこの街でも起こりうるグループホームをめぐる軋轢ですから是非ご覧になって、「普通」を考えるきっかけになればと思います。

てんかん(その2)

部分発作は、過剰な電気的興奮が脳の一部に限定されて起こる発作です。意識がはっきりしている単純部分発作と、意識障害が伴う複雑部分発作に分けられます。なお、部分発作の中には、限定された部位の過剰な興奮が大脳全体に広がるものもあり、部分発作に続いて全般発作がみられるものがあります。発作の始まり方から部分発作に含まれますが、次の段階で電気的興奮が広がっていくことから、「二次性全般化発作」と呼ばれます。
(1)単純部分発作
本人は意識があるため、発作の始まりから終わりまで、症状をすべて覚えています。過剰な電気的興奮を起こす部位によって、運動機能の障害(手足や顔がつっぱる、ねじれる、ガクガクとけいれんする、体全体が片方に引かれる、回転する等)、視覚や聴覚の異常(輝く点や光が見える、ピカピカする、音が響く、耳が聞こえにくい、カンカンと音が聞こえる等)、自律神経の異常(頭痛や吐き気を催す等)など多彩な症状を自覚しています。
(2)複雑部分発作
意識が徐々に遠のいていき、周囲の状況がわからなくなるような意識障害がみられる発作で、本人には記憶障害がみられます。しかし、意識障害中に倒れることは少なく、 たとえば、急に動作を止め、顔をボーっとさせるといった発作(意識減損発作)や、辺りをフラフラと歩き回ったり、手をたたく、口をモグモグさせるといった無意味な動作を繰り返す(自動症)などの症状があります。
(3)二次性全般化発作
単純部分発作または複雑部分発作の症状から始まり、ほとんどの場合は強直(きょうちょく)間代(かんたい)発作に進展します。発作が始まる前に「前兆」がみられ、意識が消失します。症状だけでは強直・間代発作との見分けが難しいですが脳波の測定により弁別できます。

全般発作は、大脳の両側にまたがる広い範囲で過剰な興奮が起こることで発生する発作です。発作時には、ほとんどの人は意識がありません。
(1)強直間代発作
突然発症して、強直発作と間代発作を起こします。発作後は、自然睡眠(終末睡眠)と呼ばれる30分から1時間くらいの眠りに移行することがありますが、その後は普段の生活に戻ります。発作直後は意識がもうろうとしていますので、物にぶつかったり、熱い物に触ってやけどをするなど、発作そのものよりも、もうろう状態での事故も少なくないので注意が必要です。強直(きょうちょく)発作:突然意識を失い、口を固く食いしばり、呼吸が止まり、手足を伸ばした格好で全身を硬くしていきます。数秒から数十秒間持続します。強直したまま激しく倒れ、けがをすることもあります。間代(かんたい)発作:膝などを折り曲げる格好をとり、手足をガクガクと一定のリズムで曲げたり伸ばしたりするけいれんが起こります。一般には数十秒で終わりますが時に1分以上続くこともあります。
(2)脱力発作
全身の筋肉の緊張が低下・消失するために、くずれるように倒れてしまう発作です。発作の持続時間は数秒以内と短く、発作と気づかれにくいこともあります。
(3)欠神(けっしん)発作
数十秒間にわたり意識がなくなる発作ですが、けいれんを起こしたり、倒れたりはしません。話をしたり、何かをしているときに、突然意識がなくなるので、急に話が途切れたり動作が止まったりします。注意力がない、集中できない、などと思われて、周囲の人がてんかん発作であることに気が付かないこともあります。学童期や就学前に症状が現れることが多く、女児に多い発作です。
(4)ミオクロニー発作
全身あるいは手足など、どこか一部分の筋肉が一瞬ピクッと収縮する発作です。瞬間的な症状のため、自覚することが少ない発作ですが、連続して数回起こることもあります。また、転倒したり、持っている物を投げ飛ばしてしまうほど症状が強いこともあります。光によって誘発されることもあり、寝起きや寝入りに起こりやすい傾向があります。

てんかん重積状態とは、発作がある程度の長さ以上続く状態、または短い発作の場合でも繰り返し起こってその間の意識がない状態で、生命に危険が及ぶ可能性があります。従来は、発作が「30分間以上続いた場合」に重積状態とされていましたが、最近の考え方では5分から10分間以上発作が続く場合はてんかん重積状態と判断しててんかん治療を開始します。

学校でテント泊や肝試し

修学旅行広がる新様式 学校でテント泊や肝試し

2020年11月02日 07:48【岐阜新聞】

岐阜県内の小中学校で、新型コロナウイルスの影響から中止になった修学旅行の代替行事が相次いで行われている。児童生徒らがアイデアを出し合って、校庭に1人用テントを張って過ごしたり校舎で肝試しをしたりと、学校ごとに形の違う、思い出づくりの"新様式"が生まれている。

「夜の学校に泊まってみたい」「1人ずつ分かれてテントに入れば密にならないね」。岐阜市千代田町の長良西小学校ではそんな子どもたちの意見をきっかけに、10月31日から11月1日にかけ、6年生約110人が校庭に家族らと設営した1人用テントで過ごした。題して「修学楽宿(がっしゅく)」。仲間と協力して火起こしをしたり、炊き出しをしたりして楽しんだ。

岐阜市教育委員会によると、市内で修学旅行を中止にしたのは小学校では46校のうち6校、中学校では22校のうち11校だったが、その代替行事は市内名所を巡る遠足や、児童が保護者に学校生活を見せるユーチューブでの動画配信、体育館でのパフォーマンス大会など多様だ。学校指導課の松巾昭課長は「今後は修学旅行の在り方自体が変わっていくのでは」と話す。

美濃市大矢田の昭和中学校でも生徒らがアイデアを出し合い、「夜の学校がわくわくする」という意見から肝試しを敢行。3年生45人が10班に分かれて、事前に効果音や映像などを組み合わせた仕掛けを考えた。当日は生徒4人一組で校内を巡り、真っ暗になった教室に悲鳴が響き渡った。3年生の生徒は「宿泊の旅行がなくなったのは残念だけど、今までにない企画で思い出になった」と笑顔。学年主任の小森寿美教諭は「初の試みで試行錯誤だったが、生徒の思いを後押しできた」と語った。

思い出づくりの舞台を郷土の山に求めた学校もある。土岐市鶴里町細野の濃南小学校では6年生8人が市内最高峰の曽良山(標高712メートル)へ。学校から2時間ほどかけて頂上まで歩き、仲間との絆を深めた。同行した本多直也校長は「これも一つの形。バスで遠くに行かなくても、古里の自然の中で記憶に残る活動ができたのでは」と話した。

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国中がGOTOトラベルだイートだと盛り上がり、メディアは都会の密密状況を報じています。そんな中で、ほとんど感染実害のない田舎の学校が、生真面目にも感染予防策のために修学旅行をやめ、これまたどこが感染予防かと首をひねりたくなる奇策?イベントを実施しています。

小集団で普通にホテル泊の旅行したほうがましじゃないかと思わせるような、学校宿泊、集団登山の報道が、これまた楽しそうに報じられています。建前と現実がどんどん乖離しても、理屈と行動が矛盾していても平気な子どもを育てているような気がするのは私だけでしょうか。ただ、これまで通り修学旅行に行こうが学校で泊まろうが、子どもたちにはほとんど実害がないのは統計的に明白なので、学校が何をしようが目くじらを立てるようなことではないのですが。

 

 

 

AI❎アダプティブラーニング「すらら」、放課後等デイサービスでの導入が200事業所を突破

AI❎アダプティブラーニング「すらら」、放課後等デイサービスでの導入が200事業所を突破

2021年11月18日【ICT教育ニュース】

すららネットは17日、同社のAI❎アダプティブラーニング「すらら」を導入する放課後等デイサービスが200施設を突破したと発表した。

放課後等デイサービスは、学校に通学中の障がい児に対し、生活能力向上のための訓練や社会との交流促進などを行い、放課後の居場所づくりを推進するためのサービスで、2012年に児童福祉法改正により制度化された。

近年、将来の就職を見据えた就労準備型の同デイサービスが増えており、就労準備には学習支援が不可欠と考える同デイサービス経営者が増えてきていることから、「すらら」の導入が進んでいるという。

また、複数事業所を運営する法人が複数拠点で「すらら」を導入する事例が増えていることも導入校増加の要因になっており、同デイサービスでの導入は約1年半で2倍に増え、11月10日に200施設を突破した。

「すらら」を導入している同デイサービスのスタッフは、学習支援の面では未経験ながらも、子どもたち一人ひとりに寄り添い、多方面から支援を実施。

その結果、子どもたちの学習や意欲に効果が現れ、時間を忘れて集中して学習する児童・生徒の姿が見られるようになった。

未就学児童が2桁の繰り上がりのある足し算まで学習を進め、学習面の不安なく小学校に進学する例や、意思表示はできるものの発話がほぼない中学生が黙々と「すらら」学習を行って成績向上させたといったケースも数多く出ているという。

「すらら」小学校低学年版は、子どもの発達科学研究所の監修のもと、一般の児童はもちろん、学習障がいなどの発達の課題を持つ児童でも取り組みやすく、学力を伸ばしやすいよう、カリキュラム構成や画面の見やすさ、説明の理解しやすさを考慮して制作されている。

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前回の(放課後デイサービスは2類型へ厚労省方針:10/26)でも掲載したように、こうした学習支援をただの「学習塾のような」事業所とみて放デイ認可はしないのか、2類型の一つ「特定プログラム特化型」事業所とみるか境界線は曖昧です。学習支援の面では未経験な職員がICT学習ソフトを用いているのなら特化型とは言えないので、認可を得たいならもう一つの類型である総合支援型事業所の特色の一つとするのだろうと思います。

しかし、放課後のわずか2時間ほどの間に学習ソフトでの支援時間が占める割合がどれくらいになれば「学習塾のような」事業所とみなされるのかは不明です。それでも、下手な学習塾より、学習障害支援も念頭に置いたこの学習ソフトを用いたほうが、はるかに合理的に学習ができる子どもが多いだろうというのは想像に難くないです。ただ、発達性読み書き障害の場合、このソフトがどの程度障害に合わせたカスタマイズができるのかは明示されていません。

今日のICT学習ソフトはインターネットにつながれて、膨大なビッグデーターから学習内容や到達の傾向を類型化して個に応じて支援することが可能となっています。人の手が入らなくてもAIを用いてカスタマイズが可能となってきているのです。そういう意味では、一昔前の、PC学習機とは質的に全く違う学習機器に進化する可能性があります。教育界でもデジタルインフラは海外資本に占有されていますが、学習ソフトくらいはわが国独自のAI学習ソフトが開発され普及することに期待が集まっています。

残念なことにこうしたAIソフトが、様々な力量の人が教えるより有効な場合が多いということが現場では知られていません。学力の低い子どもにはいつも人がついて学習を支援をしてもらっている姿があります。しかし、そのままではいつまで経っても自分で学習に向かうという体制にはなりません。自学自習の経験を積み上げるためにも、良質の学習ソフトが支援現場で利用される機会が増えれば良いと思います。

てんかん(その3)

てんかんは、主に抗てんかん薬により治療します。抗てんかん薬はてんかん発作を起こさないように、大脳の過剰な電気的興奮を抑える働きをもっており、発作を起こす可能性のある間は、続けて飲む必要があります。現在、日本には多くの種類の抗てんかん薬がありますが、抗てんかん薬はどのような発作に効果があるかわかっていますので、医師は発作のタイプを考慮し、また年齢や性別、体重、合併症や服用中の薬との飲み合わせ、過去の副作用の経験なども考えてその人に合った抗てんかん薬を選びます。

どんな薬にも共通しますが、すべての人に効く薬はありません。てんかん発作のタイプによって使用する抗てんかん薬の種類や量が異なります。また、同じてんかんでも、年齢や性別、体重、合併症や現在服用中の薬との飲み合わせ、過去の副作用の経験などによって使われるくすりが異なり、主治医はその人にあった抗てんかん薬を選んでいきます。ですから、同じてんかん発作でもAさんに効いた薬がBさんに効くとは限りません。Bさんのくすりがないからと言ってAさんのくすりをもらって飲むことはできません。

抗てんかん薬以外にも薬を何種類か飲んでいるときは、それぞれの薬がお互いに影響しあって、薬の吸収や代謝に影響があらわれることがあります。薬物相互作用のため、薬の効果が弱くなったり、強くなりすぎたりすることがありますので、抗てんかん薬以外に何か薬を飲んでいる人は主治医や薬剤師に相談してください。また、一部の健康食品(セイヨウオトギリソウ)も抗てんかん薬の作用に影響することがありますので、そのような時には、主治医や薬剤師の先生に相談することが重要です。

てんかん発作は、大脳の神経細胞の過剰な電気的興奮と、その興奮が広がることによって起こりますが、抗てんかん薬はこの「興奮系」を抑えるタイプと、興奮の広がりを抑える「抑制系」の働きを強めるタイプがあります。神経細胞は、ナトリウムイオンやカルシウムイオンが細胞の膜を通過して細胞内に入ることで興奮します。これらのイオンの動きを抑えることにより、過剰な興奮が起こらないようにします。また、脳の中にはGABA(ギャバ)という興奮を抑える働きをもつ物質がありますが、抑制系を強める抗てんかん薬はGABAの働きを強め、てんかんの症状を抑えます。なお、新しい抗てんかん薬には、これまでとは違った働きをする薬もあります。一般的に、抗てんかん薬により発作が消失する割合は、最初に飲んだ抗てんかん薬により50~60%、2番目以降の抗てんかん薬で10~20%で、残りの20~30%は抗てんかん薬が効きにくい難治性のてんかんといわれています。難治性てんかんには、抗てんかん薬を2種類以上併用したり、場合によっては外科手術などが行われます。

学校連絡電子化

学校連絡電子化 教員の負担減につなげたい

2020/11/02 05:00【読売新聞】

学校現場の業務を効率化し、教員の負担軽減につなげたい。
文部科学省が、全国の教育委員会などに、学校と保護者の連絡をなるべくデジタル化するよう求める通知を出した。

多くの小中学校は、行事の参加申し込みや進路調査などについて押印を伴う書類を作り、児童・生徒を介して保護者とやりとりしている。印刷から配布、回収、集計まで手間がかかる上、児童が紛失することも少なくない。

子供の欠席を連絡する際、保護者による電話や、連絡帳を友だちに預けて提出させることを求めている学校もある。慣例的な押印や朝の慌ただしい時間の連絡は、保護者にとっても負担となる。

デジタル化が円滑に進めば、教員の事務作業が減り、その分、教科の研究や授業の準備、生徒指導に充てる時間を増やせるのではないか。保護者にとってもメリットは大きいだろう。文科省が目指す方向性は妥当だ。

通知では、デジタル化の活用例が具体的に示されている。
たとえば、保護者へのメール配信システムがある場合は、教員が連絡事項をメールに添付し、保護者に確実に届けられる。

配信システムがなくても、回答の入力画面につながるインターネット上のアドレスやQRコードを配布物に印刷しておけば、保護者がオンライン上で回答できる。教員が回収や集計の手間を減らすことが期待される。

こうした取り組みは、私立学校が先行してきたが、公立学校でも広がり始めている。埼玉県戸田市では、QRコードで欠席を連絡するシステムが導入されている。

学校や地域の実情に合わせて、準備を進め、できることから始めるのが望ましい。各自治体がシステム構築の予算を確保し、教員や保護者が使いやすい仕組みにしていくことが課題となる。

保護者には、デジタル化の意義や手順を丁寧に説明すべきだ。オンラインでの連絡を敬遠する人や通信環境が未整備の家庭への配慮も不可欠だろう。

デジタル化によって、教員と保護者の意思疎通が希薄になってしまっては本末転倒である。
セキュリティーにも万全を期さねばならない。IDやパスワードによる保護者の本人確認を徹底し、子供や他人がなりすまして使うことがないようにしたい。

通知表など、機微な情報を含む書類をデジタル化の対象にするかどうかは慎重な検討が必要だ。

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昔は保護者とメールやLINEのやり取りをするだけで管理ができないと目くじらをたてる管理職もいました。連絡程度で電話をかけると相手の時間を拘束するし、連絡帳では時間がかかりすぎるし必ず読んでくれるとも限らないし、そういう意味でメールは便利なツールです。ただ、教員の個人アドレスでやり取りすると、クレーマー問題やセキュリティー問題でややこしくなるケースがたまにあるので、学校はこの問題を避けて通ってきた経過があります。

スマホでアクセスできる保護者用のマイWEBサイトを学校側で作って個別対応ができるようになれば双方とても便利になると思います。そうはいいつつも、保護者も職員も簡単に操作できる安全なシステムを導入しようとなるとお金がかかるのも事実です。PTA(一斉)メールを導入するだけで、毎年数万円かかるそうです。PTAのお金から捻出できるので実現していますが学校予算となるとどこから捻出するのかという声が聞こえてきそうです。

実際、放デイで30名ほどの利用者に申込予約から連絡帳管理まで一括して処理するシステムはすでに何社かで開発され売り出されています。年間100万を超える出費も痛いですが、それをうまく使いこなすスタッフも必要です。理屈はわかるのですが実現にはいくつかの壁があります。

大谷翔平、米大リーグMVPに イチロー以来、日本選手2人目

大谷翔平、米大リーグMVPに イチロー以来、日本選手2人目

2021年11月19日【毎日新聞】

米大リーグ最高の栄誉である今季の最優秀選手(MVP)が18日(日本時間19日)発表され、ア・リーグでは投打の「二刀流」で活躍したエンゼルスの大谷翔平(27)が初めて選ばれた。満票で選出された。日本選手としては2001年のイチロー(マリナーズ)以来20年ぶり2人目の快挙で、大谷は「すごくうれしい。支えてくれたみなさんに感謝したい」と喜びを語った。

満票で選出
MVPは新人王、投手のサイ・ヤング賞などと同様、全米野球記者協会所属の記者の投票で決まる。各球団の本拠地から2人ずつがプレーオフ前までに投票。15球団あるア・リーグは30人が投票した。大谷は、ともに最終候補に入った48本塁打で本塁打王のゲレロ、45本塁打のセミエン(いずれもブルージェイズ)の両強打者を抑えての受賞となった。

大谷は今季、投手として9勝2敗、防御率3・18、156奪三振、打者では打率2割5分7厘、46本塁打、100打点、26盗塁の好成績を残した。本塁打はリーグ3位、盗塁は同5位。選手間投票による両リーグの年間最優秀選手にも選ばれたほか、打撃のベストナインに相当するア・リーグのシルバースラッガー賞(指名打者部門)やコミッショナー特別表彰も受けている。

大谷は岩手県出身。岩手・花巻東高から13年にドラフト1位でプロ野球・日本ハムに入団。14年にプロ野球史上初の「2桁勝利、2桁本塁打」を達成し、16年には10勝、22本塁打で初めて投手、指名打者の両部門でベストナインを受賞した。18年にエンゼルス入りし、同年に4勝、22本塁打で新人王。193センチ、95キロ。右投げ左打ち。【ロサンゼルス福永方人】
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イチローや松井秀もなし得なかった、大谷の快挙とは…MVPの今季「受賞」一挙紹介

11/19(金) 【読売新聞】

米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平(27)が18日(日本時間19日)、アメリカン・リーグの最優秀選手(MVP)に選ばれた。日本人では2001年のイチロー(マリナーズ)以来2人目の快挙だ。異例の投打「二刀流」で大リーグを席巻したことが高く評価された。本塁打王を2本差で逃すなど、主要タイトル獲得はならなかったが、シーズンオフは一転、受賞ラッシュに。今季の大谷の様々な「受賞歴」を紹介する。(読売新聞オンライン)

この日のMVPは、全米野球記者協会の代表者30人の投票で決まるもので、単に「MVP」と言えばこの賞のことを言う。大谷はこの日までに、これ以外にもMVP級の賞を数多く受賞していた。

10月26日には、コミッショナー特別表彰を受けた。これは毎年、誰かが表彰されるものではなく、それにふさわしい選手がいなければ選出されない。実際、創設24年目で大谷は16例目だった。日本人は05年のイチロー(マリナーズ)に次ぐ2人目。ロブ・マンフレッド・コミッショナーは「大谷が成し遂げた歴史的な業績をたたえる必要があると感じた」と述べた。

また、選手間投票と、米国の二つの野球専門誌で、両リーグを通じた「年間最優秀選手」に選ばれた。選手間投票では、ア・リーグの最優秀野手の栄誉も受けた。ポジション別の最強打者を選ぶ「シルバースラッガー賞」もア・リーグ指名打者部門で受賞。チームのMVPと最優秀投手にも選ばれた。

月間MVP(ア・リーグ野手部門)は6、7月に連続で選ばれた。日本人が月間MVPを2度受賞するのは、野茂英雄、伊良部秀輝に次ぐ3人目だが、連続受賞も、野手で2度以上選出されるのも初めてだった。イチローや松井秀喜でも2度の受賞はなかったということだ。

さらに、6~7月にはリーグ週間MVPにも2度選ばれた。オールスターには、指名打者(DH)部門で、ダントツの支持を集めファン投票で選出。選手間投票で投手としても選ばれる前代未聞の快挙となった。

歴史的な活躍は、野球界以外からも、高く評価された。
米タイム誌は9月、大谷を「世界で最も影響力がある100人」の1人に選出した。投手をしながらのシーズン40本塁打、20盗塁以上の活躍を「ベーブ・ルースでさえなしえなかった」とし、ファンやメディアに対する紳士的な対応も評価した。

また、スポーツや音楽の分野で活躍する人を支援する「服部真二文化・スポーツ財団」は、世界に挑戦する若者を表彰する「服部真二賞」に大谷らを選出。財団理事長を務めるセイコーホールディングスの服部真二会長は「誰からも愛される野球人としての素晴らしさを感じる」とたたえた。

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前回、オールスターでの二刀流実現でも大谷選手を掲載しました(大谷、球宴での二刀流が決定: 07/06)。前回も書きましたが、大谷選手の魅力は、球界の誰もが支持しない二刀流を貫いて渡米したことです。もしも、これが日本の球団のままだったらどうだろうとも思います。何でもやってみよう。やってみなけりゃ分からない。という大谷選手の振舞から、ファンはアメリカンドリームを感じたに違いありません。

大谷選手を見ていて思うのは、二刀流を貫くという硬い意志を感じるよりも、怪我をして手術をしてもオールスター後にホームラン競争から離脱してしまっても、何とかなるさという柔らかに立ち直る復元する弾力性を強く感じます。肩ひじを張らずにとはまさに大谷選手の事を言っているようです。

心理学の世界ではこれを「レジリエンス」と呼び、例えば、戦火のような最悪な環境に育っても力強く育つ子どもの一群があり、この研究から今日の精神医学や教育に活かせるものはないかという事が注目されています。逞しいと柔らかいは別の質を表す言葉ですが実は復元力と言う点ではどちらも必要な要素なのだと思います。柔らかなアメリカンドリーマーがどこまで行くのか楽しみです。

てんかん(その4)

抗てんかん薬の多くは、脳全体の働きを抑える作用があり、飲む量が増えると眠気やふらつきなどの副作用を起こしやすいことが知られています。また、飲みはじめの早い時期にみられる副作用として発疹などのアレルギー反応、長期間の服用では、肝機能の低下、白血球減少、脱毛などがあります。また、抗てんかん薬によって、体重増加、食欲低下、体重減少、発汗低下、歯肉増殖などの副作用が出ることもあります。

ただし、副作用の起こり方は人によって違うので、同じ薬を同じ量飲んでいても、同じように副作用が起こるとは限りません。一般に薬を初めて飲むときには、副作用を避けるために少ない量から始め、薬の効果や副作用を確認しながら徐々に増やしていきます。また、定期的な血中濃度測定や血液検査などをチェックして副作用を避けるようにします。

血中濃度測定は、飲んだ薬がどの程度血液中に入ったかを調べるものです。人は同じ薬を飲んでも、体重や年齢、性別、薬の飲み方(回数や量など)などで薬が腸から血液に入る量が変わってきます。そして、吸収された後も、薬が体の隅々にいきわたり方、薬の効き方、尿や便などを通じて体外へ出ていく量が人によって違うため、抗てんかん薬の血中濃度は変わってきます。

しばらく発作が止まっていたり、副作用を心配するあまり、本人や家族の判断で薬を飲まなかったり、回数を減らしたりして、てんかんの症状を悪化させてしまうことがあります。患者さんが医師の処方どおりに服薬することを「コンプライアンス(服薬遵守)が良好である」といいます。最近では、単に処方で定められたように薬を服用するコンプライアンスよりも、本人自身が十分納得して治療のために積極的に薬を服用する「アドヒアランス」という言葉が使用され、治療が医師からの一方的なものではなく、本人や家族と協力して行われるという考え方が定着しつつあります。薬は納得したうえで指示されたとおりに飲み、副作用が心配なときは素人判断せずに主治医に相談することが大事です。

小児科学会「休校効果は限定的」

学校再開しても子どもの感染は家庭8割、学校1割小児科学会「休校効果は限定的」

2020年11月1日 05時50分【東京新聞】

新型コロナウイルスに感染した子どもの感染場所は家庭が約8割で、学校や保育園・幼稚園は約1割だったことが、日本小児科学会の調査で分かった。今春の小中学校の休校時期だけでなく、学校が再開していた8月以降も同じ傾向で、休校効果は限定的だったと評価している。(原田遼)
全国の約150病院にアンケートし、1月~10月上旬に感染した472人の状況を報告してもらった。ほとんどは中学生以下だが、高校生以上(20歳未満)も複数含まれる。
感染場所が判明している423人のうち、329人(78%)が家庭だった。幼稚園・保育園は31人(7%)、学校が22人(5%)、ほかは塾や習い事など。

◆大人同様に増えた子どもの感染者数
3月~5月は安倍晋三首相(当時)の要請と緊急事態宣言で全国的な一斉休校になり、保育施設なども休園が続いたが、「第一波」のピークだった4月は大人と同じように感染者が増えた。休校期間を含む1月~10月上旬を通し、感染場所は家庭が約8割だった。
学校が再開した6月以降、大人の感染者が再び増えたのと同様に、子どもの新規感染者も増加。ピークの8月以降だけを見ても、感染場所は家庭内が約8割を占めており、学会は「学校や保育園よりも家庭内で感染する子どもの方が多く、休校の効果には限界がある」とみている。
調査結果に対し、文部科学省は「学校内の感染が抑えられているのは、マスク着用や消毒などを徹底した効果もあるのでは」と指摘した。今春の一斉休校の時期には、マスクや消毒液が不足していた。
調査を担当した聖マリアンナ医科大の勝田友博講師は「小児は新型コロナに感染しにくいという報告がある。一斉休校はデメリットも多く、今後は慎重に判断するべきだ」と指摘した。

◆休校明け、子どもたちは自身の50メートル走のタイムに驚いた
今春の小中学校の休校措置が、新型コロナの感染拡大防止にどの程度効果があったかは不明だ。ただ、3カ月近くに及んだ長期休校が、子どもたちの心身に悪影響を与えたと感じる教員は少なくない。
「こんなに体力が落ちるのか」。休校明けの6月、東京都内の小学校で低学年を受け持つ教諭は驚いた。体育の授業でリレーや鬼ごっこを始めると、子どもたちがすぐに疲れた。50メートル走では、多くが自身のタイムの遅さにびっくりしていたという。
算数や国語の授業などでも、後半になると椅子にもたれかかったり、足を開いたりと、集中力が持続しない子どもが目立った。

◆「休校措置は代償が大きい」教育現場の声
都内の別の小学校教諭も「自粛期間中にゲーム漬けになったせいで、授業中にボーッとする」「親の付き添いがないと学校に来られない」「親子げんかが増えた」などの報告があったと明かす。「休校措置は代償が大きい。今後はやめてほしい」
「最近になって明らかに保健室相談が増えた。2学期が普段より長いからではないか」と話すのは、都内の高校の養護教諭。2学期が8月下旬に始まった一方、文化祭や体育祭は軒並み中止になった。「気分を切り替える行事がなく、授業だけが淡々と進む。冬休みもまだ遠く、生徒が精神的に息切れを起こしているのでは」と心配する。
文科省の健康教育・食育課の担当者は「休校による悪影響は把握している。今後、感染がまん延した際は、学びの保障という観点も踏まえて、休校措置を取るべきか考える」と話した。

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メディアが意識的に書かない自由というのは民主主義の土台を蝕んでいきます。米国大統領選挙で起こっている不正も民主党を不利にするものは全てメディアにスルーされ、検閲されているそうです。既存のメディアだけでなく、ツイッターなどSNSですらその傾向が顕著だそうです。

この記事も、武漢風邪による休校が子どもの健康に良くないということを、子どもの体力、精神力、学力低下と遠回しに批判しただけに終わっています。もっとも重要なことは、武漢風邪にかかった子どもの病状が休校を全国的に実施するほどのものであったかどうかということです。医師の学会報告でありながら、病状には一行も触れていないのは不自然極まりないです。

どんなに学力が落ちようが、体力が落ちようが、子どもの生命や健康を著しく脅かすものであれば、厳しい外出制限も仕方のないことです。しかし、今回の武漢風邪は子どもの健康を著しく脅かすものではなかったということに踏み込まなければ、休校による子どもの保健衛生を論じたものにはなりません。その事実を示すことを控えたのは小児科学会なのかメディアなのかはわかりませんが、親や関係者が一番知りたいことは、ほんの1か月前までメディアが毎日毎日煽りにあおった感染報道が、少なくとも子どもには当てはまらないという感染症状の事実です。

 

のぞみがこども料金無料へ JR東海「家族で一緒に旅を」

のぞみがこども料金無料へ JR東海「家族で一緒に旅を」

2021年11月19日【FNNプライムオンライン

JR東海は、東海道新幹線「のぞみ」の12歳未満の子ども料金を、期間限定で実質無料にすると発表した。

実質無料となるのは、2021年11月24日から12月19日までの期間限定で、JR東海のエクスプレス会員で、大人と一緒にネット予約した場合のこども料金。

たとえば、東京 - 新大阪間の指定席を大人と予約した場合、子ども料金7,250円が乗車したあとに全額キャッシュバックとなる。

JR東海はコロナの需要回復とともに、のぞみが2022年3月に運行30周年を迎えるため、企画したという。

利用者「すごく助かりますね。子どもが2人もいるので、結構移動が大変なのでうれしいです」

利用者「子育て世代に対して、応援という意味でそういったサービスがあると、また行こうかなというきっかけになる」

コロナ禍で利用者が減っている鉄道各社だが、ほかにも、“お得”なサービスはこのようなものがある。

小田急電鉄は2022年の春から、ICカードを利用した小学生の子ども料金を全区間で一律50円にすると発表。
東急電鉄は60歳以上の人を対象に、11月の1カ月間、2,000円で乗り放題の乗車券を発売。1,000人限定の販売に対し、4,000人が応募したという。

石本沙織アナウンサー「小田急電鉄はこれをすることで2億5,000万円の減資にはなるんですが、それでもやはり『子育てしやすい沿線の実現を』ということでできたということです」

加藤綾子キャスター「小さい時からたくさん乗ってると、親しみを持ってもらえるっていうような良さもありそうですね」

石本アナウンサー「大人になってからも『やっぱりこの沿線で住みたいな』とかにつながりますよね。東急電鉄は沿線に高齢者が多く住んでいて、コロナも少し落ち着いたので『皆さんに外出してほしい』という思いで始めたそうです」

明治大学・齋藤孝教授「青春18きっぷとかありましたから、シルバーきっぷみたいなものもいいですね。鉄道会社って先を見てやるんですよね。沿線に街を作っていくっていうところまで見越して鉄道をつくったりするので、これも将来を見越しての案だと思いますね」

石本アナウンサー「ちょっと運賃を下げてでも、鉄道に乗ってそこでお金を落としてほしいという思いもあるかもしれませんよね。東急電鉄はこれから高齢者だけではなく、子育て世代などへのお得な提案もしていくということです」
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最近、車の移動が便利なのか子どもが電車に乗る経験が少なくなっているように感じます。確かに、遠出をするときなどは大人の半分とは言え結構な出費なるし、迷子や忘れ物を気遣うくらいなら車で出かけるほうがいいという選択も多いのかもしれません。特に新幹線は、子どもなら憧れの乗り物の一つではありますが、兄弟なら東京 - 新大阪間を往復すれば大枚3枚が飛んでいきます。

JR東海のエクスプレス会員で、大人と一緒にネット予約した場合とえらく条件がついているように読めますが会員になるのは無料です。登録もスマホで10分もあればできてしまいます。詳しくは「スマートEX」のHPを閲覧すれば分かりやすく案内されています。

小田急は全区間子ども50円と言うから太っ腹です。新宿から箱根湯本や江の島まで500円以上かかっていたのがほぼ1割で行けてしまうのです。往復4時間たっぷり電車の旅が楽しめて100円です。関西はまだこういうアナウンスは聞きませんが、阪急系列なら姫路あたりまで、近鉄なら伊勢や名古屋まで行けます。往復するだけなら子どもだけで電車旅をさせても高学年ならそう心配はいりません。ぜひとも関西でも鉄道会社は子どもたちに太っ腹を示してほしいものです。

感情表現は社会的産物

感情のコントロールは家族や先生、近所の人など身の回りの人からのフィードバックから学びます。嬉しい、悲しいといった感情は基本的に主観的であり、自分自身の感情状態を知るのは自分だけです。「スキップしそうなくらいワクワクしている感情は”嬉しい”という感情」「涙がこぼれ落ちそうで気持ちが沈む感情は”悲しい”という感情」という風に感情状態に名前をつけます。また、感情をコントロール出来るようになるためには、環境からのフィードバックが欠かせません。

例えば、子どもがおもちゃ屋さんで欲しいおもちゃがあったけど、買ってもらえず、怒って床に転げまわる時。大人が「おもちゃが欲しかったんだね」となだめたり、「怒っちゃったんだね。でも、床で転げまわったらだめだよ」と諭したりすることで、子どが落ち着き、「自分の思い通りにならなくてイライラする感情は”怒り”で、おもちゃを買ってもらえなくても、床でジタバタしたらダメなんだな」と感情に名前があることを知り、感情をコントロールすることが必要だということを学びます。

しかし、このとき大人が大声で怒鳴ったり、過度な罰を与えてしまうと、子どもにとって効果的なフィードバックとはならず、過度の罰によって引き起こされた強い恐怖で必要以上に自分の感情を押し殺すようになる可能性があります。このようなフィードバックに関して、研究者らは大人の適切なレベルでの抑制が子供の正常な感情表出につながると論じました。つまり、大人の抑制が強すぎると、自分の感情を押し殺す傾向が強くなり、抑制が弱すぎると、過剰な感情表出をする傾向になる可能性があるということです。

また、どのような場面でどんな感情表出をすれば良いのかというのも周りのフィードバックから学びます。例えば、プレゼントをもらった時に嬉しそうにすると、プレゼントをくれた人も喜びますが、不満そうにすると、プレゼントをくれた人が悲しそうな顔をします。このようなフィードバックを受けることで、「プレゼントをもらった時は、嬉しい顔をした方がいいんだ!」と感情を表すときの規則を学んでいくのです。

子どもの感情の表現は、このように大人や周囲の人からフィードバックされ社会的価値として学習されはじめてコントロールされる、極めて社会的な産物なのです。

「シェアハート」発足8年

発達障害、仲間と悩み共有「シェアハート」発足8年に

2020/11/8 18:00 【熊本日日新聞】

熊本県内の発達障害者でつくる団体「シェアハート」が、8日に開く例会で発足8年を迎える。毎月の例会は、対人関係がうまく築けず生きづらさを抱える当事者が、心を開いて話せるよりどころとなってきた。「発達障害の特性に苦しみ、孤独でいる人の力になりたい」。そんな思いで活動の輪を広げている。

「急にスケジュールを変更されるのがすごく苦手。コロナ禍で予定を立てづらく、不安が募った」

男性が告白すると、参加者が「いいね!」「分かる」と書いた紙を掲げた。人前での発言が苦手な人のために作ったコミュニケーションカード。共感を示し、安心して話せる環境をつくり出す工夫だ。

設立メンバーの井上裕介さん(36)=熊本市=は「良い所を褒め共感し合うことで、受け入れてもらえたという自信につながる。自分を変える大きなきっかけになる」と語る。

井上さんは大学卒業後、社会福祉士として高齢者施設に就職。しかし、入所者との意思疎通がうまくいかず、同時に複数をこなす仕事にもついていけずに1カ月で退職を勧められた。

その後、アスペルガー症候群と診断。「子どもの頃からコミュニケーションが苦手で、生きづらさに悩んできた。障害を知って自分のせいではなかったと思い、すっきりした」と振り返る。

ただ、周囲に同じ障害の人は見当たらず、悩みを打ち明ける場もない。「仲間と出会いたい」との思いから2012年11月、シェアハートを立ち上げた。月例会は毎回20人程度が参加する。

発足時から通う今坂祐太郎さん(33)=菊陽町=は小学生の頃からコミュニケーションが苦手。仲良くなりたいと思うほど余分な発言をし「しつこい」「うっとうしい」と毛嫌いされた。「場違いな発言で嫌な空気になった過去がフラッシュバックし、今でも苦しい」と打ち明ける。

江上房孝さん(31)=熊本市=は突然の大きな音が苦手で、運動会のピストル音や避難訓練の火災報知機の音に驚く度[たび]、周囲にばかにされた。冗談が通じず、ちょっとしたからかいも真に受けてしまい周囲から疎まれた。

メンバーの多くは自分に自信が持てず、人との関わりを避けてきた。職場でも孤立し、長続きしないなどの課題を抱えるが、シェアハートに通うことで「自分が変われた」という人は多い。

今坂さんは人との距離感がつかめなかったが「話を聞いてもらえることで、徐々に自分をコントロールできるようになった。自分自身と向き合うことを知った」。江上さんも「同じ悩みを持った人と出会い、発達障害者のいろんな特性を知ることができた。コミュニケーション能力が改善した」と話す。

月例会は新型コロナウイルス感染拡大で計4カ月間開けなかったが、再開を求める声が相次いだ。井上さんは「一人一人のニーズに応えようとこだわってやってきた。それぞれの長所を伸ばし、生かせる場としてこれからも仲間を増やしていきたい」と意欲的だ。(福井一基)

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発達障害のある人たちだけで運営する自助団体はSNSの中でもいくつも立ち上がってきましたが、長く続いているところをあまり知りません。最初はお互いの悩みをうちあけあうのですが、それをうまく調整する人がいないと自然消滅してしまいます。調整役の人も一人では難しく善意だけでは難しそうな印象がありました。

8年も続いているところがあるのは初めて知りました。主催者が根気強く開催してきたことに参加者の信頼が集まり、SNSではなく実際にみんなが会って、そこでも構造化支援などの配慮が見えるところが長続きの秘訣ではないかと思います。対人関係の困難があるからこそ、実際に会う工夫をすると言う逆説的な努力が功を奏したと思います。

厳戒の修学旅行 接種有無聞けず、対策徹底

厳戒の修学旅行 接種有無聞けず、対策徹底

2021年11月22日 【中日新聞】

新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきたことを受け、度重なる延期を余儀なくされてきた修学旅行が再開されつつある。中学校では人混み回避で定番の「京都泊」を避ける学校が増えた。プライバシーへの配慮から、学校側は生徒のワクチン接種の有無を確認していないため、「全員接種済み」を前提としない感染対策で、「最後の思い出作り」に臨んでいる。 (久下聡美)

「車内では水分補給以外はマスクを外さず、ホテルでの食事も黙食を心掛けてください」。五月から四度の延期を経て二十~二十二日まで二泊三日で岐阜、石川、福井県を旅行している浜松市八幡中学校は、出発前の集会で生徒が注意点を確認した。実行委員長の三年山田菜摘さんは「春も夏も延期になり不安だった。やっと実現できる」と笑顔を見せた。

例年は京都・奈良を巡り歴史や伝統文化に触れてきたが、人流の多い大阪に近い京都は回避し、北陸方面に切り替えた。それでも二学期の始業式を前倒しして出発を予定した八月下旬には石川県に「まん延防止等重点措置」が発令中で、再々延期した九月は全国的な感染急拡大に重なった。三年主任の鈴木寿美江教諭は「感染状況が見通せず、県内と県外を並行して旅行先選びを進めた」と振り返る。

十二歳以上へのワクチン接種は進んだが、事情があって接種できない生徒への差別につながりかねないため、教員が生徒に接種の有無を問うことは控えている。大坪由典校長は「(修学旅行に参加する)三年生の何人が接種済みかは把握できない。検温とマスク、手洗いの徹底が基本」と語る。体温が三七・五度以上の生徒は参加を見合わせ、バスの乗車人数は定員の約半分に抑えた。

学校向けの旅行を担当する遠州鉄道旅行営業課の小澤嘉巳(よしみ)さん(57)は「行き先や行程、部屋割りを慎重に行い、陽性者が出た場合の対応も想定している。飲食や入浴の場面では、他の観光客など不特定多数との接触がないよう場所を貸し切るなど、安全を第一に考えた旅行を提供している」と話している。

◆陽性対応想定 近距離が顕著
コロナ禍では「修学旅行のマイクロツーリズム(近距離旅行)化」も顕著になった。JTBによると、二〇一八年度は関西、首都圏、沖縄が多かったが、二十一年度は、出発地と同じエリアを旅行先とする学校が増えている。陽性反応が出ても保護者が迎えに行きやすく、保健所を含めた緊急時の連携もスムーズという利点がある。浜松市内の中学校でも、修学旅行が再開され始めた十月、県内や岐阜など中部地方が目立った。

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学校は社会の同調圧力が最大圧でかかる所だと言う事です。本来の仕事以外にこうした周辺部分の仕事の煩雑さがブラックだと教員人気を落とす原因にもなると言います。昨日一昨日の観光地は観光客でごった返しています。しかし、10月に入ってから、観光客は増え続け感染者は減り続けています。テレビも感染者の話は一切取り上げなくなり、外国人入国もいつの間にか枠が広げられ、ピリピリしているのは学校と政治家だけと言うのが現実です。

つまり、世の中の人はもう感染は収まったので旅行はOKだと考えている方が大勢だという事です。名古屋工業大の開発したAIは、東京都の場合、年内は感染者が50人以下と減少傾向が続き、年末ごろから忘年会や帰省の影響などで感染者が増え始めますが、来年1月中旬のピークでも370人と予測します。感染対策を続けることが前提ですが、ワクチン接種の効果が大きく作用するとAIは計算するのかもしれません。今冬の第6波は東京だけでなく、全国的にも第5波の5分の1~10分の1に抑えられると言います。

様々な感染パターンを考えて旅行計画を立てている学校教員には頭が下がりますが、京都の街にもたくさん修学旅行生が戻ってきています。周囲の批判が気になるのは分かりますが、エビデンスもないクレームを恐れて自己規制するのは間違いですし、生徒への教育的影響も考えるべきかもしれません。また、ワクチンは結果として集団感染を減らす効果はありますが、自分の感染予防のために接種するものですから、接種したかしないかなど神経質に担任が気にする中身でないように思います。

リタリコ

最近youtubeのCMによく出て来るリタリコ就労支援。障害者向け就労支援サービスでは、全国600社以上の企業をインターン先として紹介することで、障害者やその親がそれまで気づかなかった適性を発見するチャンスを増やしています。発達障害などの「生きづらさ」を抱えた子どもの学習支援では、気持ちのコントロールや友人との付き合い方などのソーシャルスキルを、一人一人異なる方法で教えています。放デイ事業にも乗り出し、リタリコ独特のアレンジでトップを走り続けています。

2005年に仙台市で創業。本社を東京都目黒区に移し、2017年には東証1部に上場。社員約1600人を擁し、障害者支援分野では国内最大手。成長を牽引しているのは社長の長谷川敦弥さん(33)です。障害者支援や子育て支援、教育をはじめ、福祉、医療、環境、地域活性化などの分野で、社会が抱える課題をビジネスの力で解決することを目指す起業家が、最近どんどん生まれています。

リタリコの鮮やかなウェブサイトは、「儲からない」「地味」という福祉のイメージを覆します。長谷川さんは、名古屋大学理学部を卒業後の2008年に新卒でリタリコに入社しました。当時はほぼ無名で東京の社員は十数人。営業職などを経て、翌2009年には社長に就任。いまリタリコが掲げるビジョン「障害のない社会をつくる」は、長谷川さんの体験から生まれたものです。

岐阜県多治見市の出身。幼稚園の頃から集団生活が苦手、言う事を聞かない子どもで、中高生時代も学校のルールや教師の教えを疑問に思うことが多く、それらを変えようと発言したり行動したりして「気持ち悪い」と言われたり、嫌がらせに暴力を振るわれたりしたそうです。

大学1年のアルバイトで働いた焼き肉店のオーナー夫妻が、「いい声してる」「お客さんに好かれる」「行動力がある」と、否定され続けた長谷川さんのすべてを評価してくれたのです。「敦弥くんには世界を良くする力があるかもしれない」「東京かニューヨークに行ってみなさい」という夫妻の言葉に背中を押されて大学を休学。上京して3年間、IT企業で働き「ITはすごい。これをゲームや戦争ではなく困っている人のために使いたい。そうすれば若くても、社会をいい方向に変えられる」と思ったそうです。

東京で出会った政治家や起業家は、常識に縛られるのが苦手で、周りからちょっと浮いていた学生時代の自分とうり二つであることも発見したそうです。社会起業家を育成するNPO法人や若者に議員事務所でのインターンシップを斡旋するNPO法人など現代を代表する社会起業家たちは、長谷川さんの社会を変えていこうという強烈な思いを感じたといいます。

学校では、創造性を発揮すればするほど規則を破る迷惑行為として非難されるけど、社会を変えていくのはそういう人。人と違うのはいいことで、そういう個性を大事にできる社会の仕組みや教育をつくりたいと思うようになったそうです。障害は人ではなく、社会の側にある。それをなくしていくことが目標と言いいます。

売上高は約90億。「ビジネスはあくまで手段。うまくやりたいという願望はゼロ」と言い切る長谷川さんだが、上場したことで信頼度が上がり提携話も舞い込むなど、チャンスは圧倒的に広がっています。利用者から「不思議だけど自分たちが認められた気分になりました」と言われたことが何より嬉しいそうです。そして、一社では、社会は変わらない。リタリコが自己犠牲ではなく『ビジネス』としての持続可能性を示すことで、障害者支援はニッチな市場でビジネスとして成り立たないと尻込みしていた人や企業にどんどん参入してもらい、新しい支援ビジネスを生み出すことが必要だと語ります。

障害のある子どもをプログラマーに

障害のある子どもをプログラマーに 福岡のIT企業

2020/11/10 20:00【日経新聞】

ソフトウエア開発や障害者の就労支援をするカムラック(福岡市)は発達障害など障害を持つ子どもに、プログラミングを教える事業を始める。2021年4月にも参入する、放課後等デイサービス事業の中で実施する。IT(情報技術)の基礎知識や技能を身につけることで将来はIT企業に就職して自立しやすくするとともに、IT業界の人手不足の緩和にもつなげる。

放課後等デイサービスの事業所を、福岡市東区に開設する。学習支援や生活能力向上訓練などに加え、初歩的なプログラミングやデザインの技術を教える。実際にプログラムを作成し、おもちゃのロボットを動かせるようにすることなどを目指す。10~20人程度の子どもの受け入れを予定する。利用料はおやつ代を含め月6000円程度を想定し、プログラミングを学ぶための追加料金は取らない。

基礎を学ぶことでITへの関心を高める。専門的な知識や技能を身につけたいと思った人には同社に入社してもらい、働きながら知識や技能を高められるようにする。

IT技術者になることで、自立もしやすくなる。国の障害者雇用実態調査(18年度版)によると、月額平均賃金は発達障害者が12万7000円、知的障害者は11万7000円、精神障害者が12万5000円と、約26万円の常用労働者をいずれも下回っている。カムラックの賀村研社長は「成長産業であるIT企業に就職すれば高収入を得ることが可能で、障害者の社会進出をさらに進めることができる」とする。

障害者がIT企業に就職することで、人手不足の緩和にもなる。IT業界ではスマートフォンの普及やウェブ広告の増加などを受け、プログラマーやデザイナーの不足が深刻になっている。経済産業省によると、IT人材は20年時点で推計30万人不足しており、30年には45万人以上に膨れ上がる可能性もあるという。

カムラックではこれまで、IT事業を通じてプログラマーやデザイナーを社内で育成してきたほか、障害者向けの就労支援にも取り組んできた。就労支援プログラムなどを通じ、毎年15人ほどが他のIT企業へプログラマーなどとして就職に成功している。放課後等デイサービスの事業所は3年以内に、福岡市内で5カ所程度開設する計画だ。
(荒木望)

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読んでいると、放デイがプログラミング教育に特化して療育をしているのか、その枠を超えて塾として独立したのか、はたまた成人期への就労支援として会社機能を特定子会社に拡大したのかよくわからないのですが、とりあえずはプログラミングに療育内容を特化した放デイを作ったということでしょう。報道している負担額は、放デイの個人負担額(1割負担)で週3回ほどの出席の標準額を示しています。

就労を見越した児童支援があってもいいとは思いますが、中身は科学教室のようなものだということでしょう。ただそれを、出資会社の社員が教えるのかどうかはわかりませんが、そのリクルートはどうするのかは興味のあるところです。最近ちょくちょく、民間会社が出資する「プログラミング療育?」の放デイが出てくるので、実際に見学してみたいなぁとは思います。発達障害の多くがパソコンオタクだと勘違いしているのではないかという不安もありますが、パソコンをサバイバル・ツールにすることは、そう間違いでもないと思います。

スクールロイヤー 法律で問題解決助けるアドバイザー

スクールロイヤー 法律で問題解決助けるアドバイザー

2021/11/24【産経WEST】吉田 智香

いじめ、虐待、不登校、校則違反-。学校現場は日々、さまざまな問題に直面している。教職員だけで解決するのが難しい場合は、「スクールロイヤー」と呼ばれる弁護士が相談に乗り、法的な視点から、事態の収拾に向けて具体的な対処法をアドバイスする。問題が深刻化するのを防ぐとともに、疲弊する学校現場の負担を軽減する。そのニーズは年々、高まっている。

「気になる生徒がいるんですが、ちょっといいですか」。2学期のある日の午後、東京都内の私立中高一貫校。非常勤の社会科教師でスクールロイヤーでもある神内聡(じんない・あきら)さん(43)に、男性教諭が声をかけた。神内さんが応じると、教諭は最近の生徒の様子や人間関係について説明し始めた。

弁護士資格を持ち、同校だけでなく複数の学校でスクールロイヤーを務める神内さんが期待されているのは、法律の専門家としてのアドバイスだ。例えばいじめであれば、学校や自治体の取り組みを示した「いじめ防止対策推進法」に基づく対応が前提。厳密に法を適用するだけでなく、個々のケースに応じた再発防止策も提示する。家庭で虐待を受けている可能性があれば、児童相談所の弁護士と連携し、家庭環境を整えるための法的な手続きをアドバイスする。

「子供だけでなく、先生にも『楽になった』『相談してよかった』と思ってもらえたとき、やりがいを感じる」。神内さんはそう話す。

本来ならいじめは、ないことが理想だろう。だが、「教師が生徒の人間関係を把握しようと努力しても、いじめを完全に防ぐのはきわめて難しい」と神内さん。だからこそスクールロイヤーには、起きてしまったいじめを適切に解決する手腕が求められるという。

そう思うようになった背景には、自身の苦い経験がある。以前は学級担任をしていた神内さんは、放課後などに積極的に生徒と雑談し、いつでも相談しやすい態勢を心がけていた。だが卒業後に生徒たちと会った際、「今だから話せるんですが」と、いじめに該当するような事実を告白された。気を配っていたつもりが、在学中はまったく気付けなかった。

神内さんによると、子供同士のトラブルは、誰が先に手を出したのか分からなかったり、複数の加害者の間に主従関係があったりと一筋縄ではいかないケースも多い。ときには被害者が「この加害者だけは許せない」と訴える場合もある。判断に迷って事態が長引けば、傷が深まることもある。そんなときこそ、スクールロイヤーの出番だ。

学校現場でのニーズは高まっている。文部科学省の平成31年3月の調査では、市町村教育委員会の76%が「法的な専門知識を有する者が必要」と回答した。

国は令和2年度から、都道府県と政令市の教育委員会が弁護士に相談する際の経費に普通交付税を活用できるようにし、弁護士の意見を聞くための金銭的なハードルを下げている。

弁護士相談 9割超メリット
国の動きに先立ち、独自にスクールロイヤーの制度を導入した自治体もある。平成25年度から取り組む大阪府は現在、11人の弁護士をスクールロイヤーに委嘱している。

学校は市町村教委を通じて相談を依頼。スクールロイヤーは法律事務所などで学校関係者と面談し、問題解決について助言する。年に数回、エリアごとの相談会も開かれている。

「子供の持ち物を壊した加害者を特定できない」「子供とトラブルになった相手の親の連絡先を教えるよう保護者に要求された」…。府教育庁小中学校課によると、令和2年度に小中学校から寄せられた相談は129件に上った。

このうちいじめが深刻化する恐れがあるなどの25件については、さまざまな専門職が集まって対応を協議するケース会議が開かれた。相談制度を活用した学校へのアンケートでは、9割超が「メリットを感じた」と回答したという。

保護者から学校に対する要求やクレームが増え、学校がしなければならないこと、そうではないことを法的根拠に基づいて整理することもスクールロイヤーの役割の一つだ。学校現場からは「法的な裏付けが得られたことで、自信を持って対応できた」との声が上がっているという。

トラブルの予測段階から支援
テレビドラマなどで広く存在が知られるようになったスクールロイヤー。各地で配置が進みつつあるが、厳密な定義はなく、さまざまな形がある。

教員免許を持ち、教諭を兼任する神内さんのような弁護士は全国的にもまれで、教育委員会や学校法人が各地域で適任と思われる弁護士をスクールロイヤーとして委嘱し、個々の相談に応じて法的な観点から助言するスタイルが主流だ。また、教育委員会が弁護士を職員として採用しているケースもある。

日本弁護士連合会は平成30年、文科相に「『スクールロイヤー』の整備を求める意見書」を提出。その中でスクールロイヤーを、「子どもの最善の利益を念頭に置きつつ、教育や福祉等の視点を取り入れながら、法的観点から継続的に学校に助言を行う弁護士」と位置づけ、トラブルが実際に発生していなくても、予測される段階から活用するよう求めている。

一方、文科省は令和2年12月に「教育行政に係る法務相談体制構築に向けた手引き」を公表。弁護士に依頼できる業務として、法的なアドバイスのほか、保護者との面談への同席などを挙げている。

公立中学校や教育委員会で生徒指導やいじめ問題に対応した経験のある鳴門教育大大学院の阪根健二特命教授(学校教育学)は、「いじめ問題などに苦慮している学校にとって、法律の見地から助言するスクールロイヤーは、頼りになる存在だ」と語る。

例えば校内で生徒が法に触れる問題を起こしたとしても、学校は普段の態度や性格、問題に至る背景を考慮し、生徒の将来に傷がつかないような「教育的な観点」から解決を図ることが多い。厳格な法律の適用は教育現場にはなじまないとされ、阪根さんは「かつては弁護士の力を借りようという発想がなかった」。

弁護士はむしろ、いじめや事故などの被害にあった子供や保護者の代理人として学校の責任を追及する立場に立つことが多く、学校と弁護士の関係は「決して良好ではなかった」という。

だが、学校側が対応を誤ることで被害者をよりいっそう傷つけ、訴訟問題に発展するケースも増えてきた。事態が深刻化する前に弁護士の意見を聞くことは「対応を考える上で役立つ」とみる。

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これまで子どもを預かる預けられる関係は善意で成り立っていました。それは学校だけでなく保育所や学童保育所、幼稚園なども同じです。ただ、行先を利用者が選べる民間はお互いの信頼関係等を理由にサービス先を変える事ができるので、事は学校ほど深刻化しません。また、法的に解決する課題があるなら早い段階でお互いに弁護士を代理人に任せることもできます。

ところが公的なサービスはこれが難しくなります。双方が善意と言う建前を崩さずに話をすると、仮にどちらかに落ち度があってもそれを隠して表面的に解決しようとするからです。実際に法的に課題のある学校の指導は存在するし、通常の苦情を通り越し法的に問われるべき保護者クレーマーも存在します。しかし、民間のように契約関係にない公立学校では、双方に信頼がなくてもこれからも付き合わなければならないというジレンマがあります。

そんな中では、困難な事例でなくても双方が引き下がるのを待つと言う、腹の中の読み合いの関係が続きます。置いてきぼりは子どもです。スクールロイヤーは学校専門家の一人として、学校の対応のあり方を法的な視点でバックアップしてくれるなら、無意味なやり取りを相当減らすことができます。お互い様志向という日本型対人行動は大事にしていきたいですが、慣習を重んじるばかりに子どもが等閑になるなら、法の下に平等という社会の仕組みを学校に持ち込むことを躊躇すべきではないと思います。

視覚障害支援(その1)

視覚障害者はひとりで買い物に行けないのでは?と、思う方がいるかもしれません。けれど、最近ではサービスカウンターやコンシェルジュを設置するスーパー、デパートが増えてきました。商品の場所や値段を教えてくれるだけでなく、なかには新鮮な野菜を選んでくれたり、必要な量を見てくれたりと、さまざまな配慮をしてもらえるお店もあるのです。

見えないのではなく、見えにくい人の場合、値札が読めなくて困ることが多いそうです。そういう人は、携帯型の拡大読書機を使ったり、最近ではスマートフォンで写真を撮って拡大したりと、工夫して買い物をしています。ただ、店内写真撮影お断りのお店では、店員さんに声をかけておかないと誤解されることもありますので注意が必要です。
拡大読書機やスマートフォンがなくとも、商品を顔に近づければ見える人もいます。「あの人、お肉のパックを顔に押し当てている!」などと驚くことがあるかもしれませんが、もしかしたら値札の表示を見ようと一生懸命な視覚障害者の可能性もあります。

白杖を持っていないと、なかなか視覚障害者とは分かりづらいです。でも、社会には見えない人、見えにくい人も大勢いて、ひとりで買い物に出かけることもあります。もし見ることに困っていそうな人がいれば、お店の人に手伝ってあげるように伝えるだけでも助かります。

視覚障害者で点字を使える方は約10%です。点字は文字のひとつで、使いこなすためには、まったく新しい文字をイチから覚える必要があります。先天性の視覚障害者であれば、子どものころから点字を習う機会もあるでしょう。けれど、中途視覚障害者にとって、点字はなかなか難しい道具・文字です。

ですから視覚障害者であっても、「点字が読めないので音声で聞きたい」「字で読みたい(活字を音声に変換するソフトがあります)」という人がたくさんいることを知ってください。もちろん点字は街中さまざまなところで使われているので、習得した方がいいです。特にエレベーターの階数表示や、切符を買うときのボタンなど、数字だけでも読めると便利です。ただ、ITが普及した現代では、点字が読めなくてもデジタルデータが代行してくれることが増えました。長い時間をかけ訓練する必要がないことは、とてもいいことです。ITを視覚障害のために活用する道具や方法が標準的になっていくと思います。

また、行政が発行する案内は点字が用意されていることが多いです。公務員試験などでも点字の受験が可能になっています。反面、パソコンを使った受験にはまだ制約があるようです。点字ではありませんが、シャンプーの容器にはブツブツした突起がついていて、コンディショナーと区別できるのをご存知ですか。ほかにも、牛乳パックの頭には切れ目がついおり、目を閉じていても見分けがつきます。こういったユニバーサルデザインのものは身近にたくさんあるので、ぜひ探してみてください。

卒業生と雇用企業、長期勤続・雇用を表彰

支援学校卒業生、長期勤続を表彰京都、雇用企業も/京都

2020年11月12日【毎日新聞】

「障害のある市民の雇用フォーラム」が11日、京都市下京区の市総合教育センターであった。市立の総合支援学校と京都教育大付属特別支援学校を出て就職し、勤続10年・5年を迎えた卒業生計70人に表彰状が、雇用主の企業など計62団体に感謝状が贈られた。

20の団体による「総合支援学校生徒の進路開拓をめざす『巣立ちのネットWORK』」が発足した1994年度から開催。代表を務める鈴鹿且久・聖護院八ツ橋総本店社長は、あいさつで「コロナ禍で(雇用を守るのは)大変な状況だが、支えさせていただきたい」と述べた。就労は年々進んでいるが、期間を区切らない雇用は少ないという。

勤続10年の表彰者を代表し、九条ネギを生産加工する「こと京都」(伏見区)に勤める中村健太さん(29)が「無事に楽しく仕事ができている。頑張って続けたい」と決意表明。上司の山内修一・向島工場長は「彼には人間的な魅力がある。あと10年、20年と会社を支えてほしい」と期待を寄せた。【南陽子】

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小中学部のない高等支援学校は就労支援に特化した支援学校です。ほぼ全員を就労させている学校も少なくありません。しかし、一方で就労はしたけど長続きしない場合もあります。会社から本人を解雇することはほとんどありませんが、対人関係や家庭事情、余暇支援の薄さから就業が長続きしないそうです。

仕事だけなら続けることは可能かもしれませんが、仕事も含めた生活の質、恋愛や結婚も含めた生活は、学校だけでは教えようがありません。昔の中小企業の社長は就労した卒業生の生活の隅々にまで目配せして育ててくれる方もいました。障害があろうがなかろうが、小さな企業は人手を失うまいと若者の生活にまで目配せしていました。

今はそんな時代ではないので長く雇用してくれるだけでありがたいというのが記事の趣旨でしょうが、就労した卒業生の自立のためには、プライバシーの問題を解決しつつも生活を支える仕組みが必要です。

 

「息子の人生変えてくれた」 クライミングで恩返し パラ選手の母、京都に施設計画

「息子の人生変えてくれた」 クライミングで恩返し パラ選手の母、京都に施設計画

2021/11/24【毎日新聞】

パラクライミング世界選手権で9月に金メダルを獲得した選手の母親、濱ノ上(はまのうえ)輝(てる)さん(60)=京都府京田辺市=が健常者だけでなく、障害者やその家族、子育て中の母親など“誰もが安心して集える”ユニバーサルなクライミング施設を計画している。進行性の目の難病を抱える息子を育て上げた濱ノ上さんは「還暦を迎えた今、育児に悩んだ経験を生かし、息子の人生を変えてくれたクライミングを通じ、社会に恩返しできたら」と話す。

濱ノ上さんの長男はパラクライミングの日本代表、濱ノ上文哉さん(31)。網膜色素変性症という進行性の難病で弱視のため、視覚障害者の視力などの程度に応じた分類上のB2クラスで競技をする。

病気が判明した中学1年生の頃は日常生活にさほど支障はなかったが、大学受験を控えたころに病状が悪化した。文哉さんは振り返る。「テストの文章問題が見えにくく、時間内に読み切れなかったり、自転車で運転していて溝に落ちたり、生活面に少しずつ不自由な変化がありました」

同じころから親子関係も悪化し、険悪な状態が続いたという。

濱ノ上さんが、役に立つのではないかと文哉さんに本を差し出せば、視力の低下で簡単には読めないと突き返された。親子の会話は減り、怒らせて物が飛んできたこともあった。濱ノ上さんは「病状を受け入れなければならない息子の不安の全ては理解できない。それでも、母親として何かサポートしたいと歯がゆい思いを何度もしました」と話す。

衝突を繰り返しながらも、文哉さんは大学を無事卒業し、就職が決まった。その半年後、東京転勤になった。親離れ、子離れした東京で、文哉さんは転機を迎える。視覚障害のある仲間に誘われて、2016年にクライミングに挑戦した。「障害に関係なくホールド(突起物)をつかんで登る競技で、障害者も健常者も関係のない雰囲気が、僕にはとても居心地がよかったですね」と文哉さん。ぐんぐん上達し、翌年には日本代表に選ばれた。以降は世界選手権に挑戦を続けて、今年9月に念願の金メダリストに輝いた。

そんな息子の成長に、濱ノ上さんは「子育ては終わった」と実感した。そして「何か社会に恩返しがしたい。それなら、息子が居場所を見つけたクライミングを通じて交流の場を作りたい」と考え、約3年前から計画を温めてきた。

自他ともに認めるバイタリティーあふれる濱ノ上さん。文哉さんの病気が見つかった40歳代の時に、医学的な知識を付けようと、看護専門学校を受験し、准看護師の資格を取った。現在も産婦人科のクリニックに勤務する。そのスキルを生かし、親子関係がすっかり改善された文哉さんにも協力してもらい、今回の計画を進める。

施設は、京田辺市に来年2月に開業予定だ。約85平方メートルの広さで、種目別に、高さ8メートルの「リード」用の壁2面と、高さ4メートルの「ボルダリング」用の壁3面を設置する。専門スタッフを配置し、「オートビレイ」という自動巻き上げ式の命綱を準備し、1人でも安全にクライミングを楽しめるようにする。

施設のバリアフリーにかかる費用の一部をクラウドファンディング(https://camp-fire.jp/projects/view/495549)で募っている。

今月末までのクラウドファンディングで集めたお金は、多目的トイレなどバリアフリーにかかる費用やベビーシッタールームの整備に使う。子連れの母親らの利用を歓迎しており、准看護師の濱ノ上さんと、助産師の長女が世話をしたり、相談に乗ったりする。

濱ノ上さんは「障害のある当事者や家族、コロナ禍で不安が募っているお母さんたちなど、誰もが気軽にクライミングを楽しみ、ほっとできるような交流の場を作っていきたいです」と意気込んでいる。【生野由佳】

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クライミングで気分を晴らそうという一見奇抜な提案ですがそれくらいクライミングは誰にでも開かれたスポーツだと言う裏返しでもあります。ユニバーサルスポーツとしてクライミングを思いついた人は頭の柔軟な人なんだと思います。クライミングは自分の体一つで壁に向かい合うスポーツです。見えない人も、壁や岩の手掛かりの様子を晴眼者(ナビゲーター)と確認しながら、自分のペースで自分自身の目標に向かって高く登ることができます。障害者向けに特別にデザインされたものではなく、障害のある人もない人も同じルールで一緒に楽しめる面白さがあります。

クライミングに勝ち負けはありません。対戦相手や飛んでくるボールもありません。安全はロープや厚いマットにより確保されています。失敗を恐れずに思い切り体を動かせば良いのです。仲間と気持ち良く汗を流し、自分で答えを探し、自分の力で壁と対峙する自分だけのクライミングはユニバーサルスポーツ所以というより、自分の中で高見を目指すスポーツ本来の姿なのだと思います。

京田辺市に施設を作るとのことなので、完成すれば一度子どもたちと利用してもいいかなと思っています。ボール運動や集団遊びとはまた違った味のスポーツの楽しみ方が伝えられるかもしれません。

視覚障害支援(その2)

見えなくても使える便利グッズ
音声で聞けるもの、触ってわかるもの、見やすいもの、見やすくするものといった、視覚障害者の生活を助けてくれる便利グッズはたくさんあります。

わくわく用具ショップ「視覚障害者用商品カタログ」

なかには、押すだけで調味料を量れるキッチン用品や、音声を聞いて操作できる電化製品などが紹介されています実は、最近では100円ショップでも似た機能の商品が販売されているのです。もちろん普通の雑貨屋さんでも視覚障害者にとって便利なものを見つけることがあります。つまり、便利グッズは視覚障害者だけが使用する特別なものではないのですね。見えにくくなった高齢者、文字の読めない子どもなど誰もが扱えるからこそ、便利で身近なものなのです。これらは、ユニバーサルデザインと考えていいかもしれません。

ガイドヘルパー
視覚障害者が外出する際、ガイドヘルパーに付き添ってもらうという方法があります。この制度は通勤・通学には利用できませんが、買い物や通院、旅行などへの外出や活動を介助するものです。ヘルパーは移動や排泄・食事の介護、代筆・代読、危険回避のための支援などを行ってくれます。これまで家族に付き添ってもらっていた視覚障害者のなかには、「家族に迷惑をかけて悪い」「頻繁に外出するのは気兼ねする」と、外出を控えていた人がいました。いまではこの制度を使うことで、自分の好きなときに外出できるようになったのです。

ガイドヘルパーを利用するには事業所に登録し、予約をしないといけないので、急な外出には間に合わないということがあります。また、1ヶ月の利用時間数に制限があり、計画的に利用しないといざというとき外出できません。利用料がかかるため「経済的負担が増えた」という声もあります。しかし「好きなときに好きなだけ出かけたい!」と考え、白杖を持ってひとりで外出できるよう歩行訓練を受ける人は増えてきています。行きなれた場所へはひとりで、はじめて行く・介助が必要だと思う場所へはガイドヘルパーと一緒に、と使い分けるようになっているそうです。
6面すべて白一色のルービックキューブです。各面の感触が異なるため、手触りで面を判断し、そろえていきます。

のだめカンタービレ

野田あすか、新曲はヒットメーカー西尾芳彦プロデューサーが手掛けたポップソング

11/12(木) 15:00【株式会社イータレントバンク】配信

発達障害と向き合うピアニスト野田あすかが、絢香や家入レオ、YUIらを手掛けたプロデューサー西尾芳彦氏と手を組んだ作品「Happy Together ~いつか見たあの場所へ~」が配信リリースとなった。

22歳で発達障害と診断されるまで人とのコミュニケーションがうまくとれず、友達や仲間のいない時を送ってきた野田あすか。これまでに演奏してきた楽曲は、クラシック、インスト楽曲など、ソロでの活動が中心だった。しかし今回の新曲「Happy Together ~いつか見たあの場所へ~」は、これまでの「ひとり」から、「with Friends」と銘打って、音楽で出会った仲間とのつながりの中で作り出す新境地となるポップ・ソング。

ボーカルには、西尾氏が塾長を務める“音楽塾ヴォイス”の原石、佐藤春香を迎えている。仲間と一緒に作った野田あすかの音楽が、今度は言葉をまとって新しい扉を開く。

野田あすかコメント
「ポップスの世界は、知らないことがいっぱいあって、プロデューサーの西尾さんからたくさん教えてもらっています。まだまだ『入り口』に立っている段階なので、たくさんの事は語れませんが、いろいろな楽器や声で『友達と一緒に音楽を作る』っていう事をしてこなかった私にとっては、遠く離れたところにいる友達が私のために歌ってくれたり弾いてくれたりしてくれたことがすごく嬉しく、ありがたいと思います。
新型コロナウイルスで直接は会えないけれど、私の見えないところで誰かがリモートで演奏して、それが自分の演奏に加わって、積み重なってこういう形になって。自分は自分のパートしか弾いてないけれど、聴いてくれる方には全部の力が合わさった音楽として伝えられるのが、素敵だなと思います。
クラシックは私にとって音楽のスタートの場所だから、凄く大事なもの。だからそれを捨ててポップスに飛び込むのではなく、クラシックは大事にしていきながら、まだ全部を見ていないポップスの世界の勉強をして、もっといろんな曲を作れるようになりたい。西尾さんに導かれながら、これから先もどんな曲ができていくのか、心配も不安も楽しみも、全部あります。」

西尾芳彦プロデューサーコメント
「野田あすかさんと初めてお会いしたのは2019年6月でした。思い切ってスタジオのドアを開けてみたら、困惑したような顔のあすかさんがピアノの前に座っていました。
『どうもこんにちは!』と軽く握手すると、コードで曲を作る事は初めてだけど、とても興味があると言ってくれたので、最初から音楽で会話するつもりでした。すぐに横に並んでピアノを弾き始め、『ここのBメロはちょっと長いから短くしませんか?』、『このサビはもったいないので、前後にこんな感じで音符を足してみたらいかが?』と、いつも通りに音楽を始めると、あすかさんも少しずつ乗ってきて、手でリズムを取りながら歌い、サビを一緒に作ったりもしました。
驚いたのはポップスの領域でのレスポンスの速さと正確さ。僕がギターを弾きだしても何も怖がらずに、ピアノでメロディを弾き出したんです。正直、目の前にいるあすかさんが発達障害を持っておられるなんて全然分からなかった程です。初対面で音楽のやり取りをしていくうちに、ポップスの領域で野田あすかを全面に押し出してみたいと強く感じました。是非、多くの方にこの想いを伝えたいです」

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野田あすかさんは、宮崎県在住の発達障害を抱えるピアニストです。子どもの頃から人とのコミュニケーションがうまくとれず、たびたび特異な行動をとり、それが原因でいじめを受け、自傷行為が始まり、転校を余儀なくされました。宮崎大学に入学しますが、人間関係によるストレスで過呼吸発作を起こし、たびたび倒れて入退院を繰り返して、大学を中退します。本人は、「なぜ、まわりの人とうまくいかないのか?」と悩みつづけたそうです。

その後、宮崎学園短期大学音楽科の長期履修生となります。この頃に恩師となる田中幸子先生と出会い、自分の心をピアノで表現することができるようになります。短期留学したウイーンでも倒れ、22歳で初めて「発達障害」であると診断されました。また、その頃、パニックで自宅2階から飛び降りて、右足を粉砕骨折し、ピアノのペダルを踏めなくなりますが、現在では、工夫して左足で踏んでいます。

たくさんの苦しみを抱え、自分の障害と向き合ってきたことで、野田あすかさんの奏でる「やさしいピアノ」は多くの人の感動をよぶようになります。ドラマにもなった漫画「のだめカンタービレ」の主人公である野田恵は実在する音大生ですが、テレビドラマで上野樹里が演じる「のだめ」モデルは「野田あすか」だろうと言われています。

目からウロコのドイツ流教育「小学4年の成績で人生の進路が決まる」

目からウロコのドイツ流教育「小学4年の成績で人生の進路が決まる」

11/25(木) 【NEWSポストセブン】

冬以降の感染「第6波」が懸念されている新型コロナ禍。昨年、記録的に少なかったインフルエンザの流行とともに、なおも警戒・注意が呼びかけられている。こうした新しい感染症の拡大は、大人だけでなく、子供の成長にも少なからず影響を与えている。昨年から今年にかけて、学校の臨時休校やオンライン授業への切り替えなどが相次ぎ、子供たちの中にも不安が広がった。親にとっても、学校より家で過ごすことが増えたことで、子供たちの勉強の進み具合や、やる気をなくすことを心配する声が多くあがっている。

しかし、コロナ禍も、それに伴う自粛や行動制限も、個人にはどうすることもできない。むしろ、この逆境や負担をマイナスと考えるのではなく、乗り越えるべきハードルだと考え、ポジティブに変えていったほうがいいのかもしれない。

その参考になるのがドイツでの教育システムだというのが、現地在住20年を超える留学コーディネーターのキューリング恵美子氏だ。キューリング氏は、近著『ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか』の中で、「みんなが揃って進級する」日本とは正反対の、生徒一人ひとりの能力や志向によって学校や進路を変えるドイツの教育制度について解説している。

小学1年で留年もある! 「みんなちがって、みんないい」
キューリング氏によれば、ドイツの教育では、子供一人ひとりの発達状態や学習テンポを重視しているのだという。

「ドイツで小学校へ入学するには、『入学適正検査』を受けなければなりません。これは、小児科医が発育状態を見るもので、入学して『勉強する』環境に対応できるか、身体的・精神的側面の両方をチェックするのです。

もし、小学校へ行くのにはまだ早いと判断された場合、授業時間が短く少人数制の入学準備学校(クラス)を勧められます。この検査で入学が1年遅れたとしても、保護者の受け止め方は、決してネガティブではありません。むしろ、早く入学して授業についていけないよりは、準備が整ったタイミングで入学するほうが良いと考えます。そのため、小学校の入学時に年齢が上の生徒がいるのは珍しいことではありません」(キューリング氏、以下同)

入学した後も、無理をして進級させることはない。

「年2回出る成績表の結果により、小学1年生から留年があります。成績や子供の能力について先生と保護者が面談し、相談のうえで留年が決定します。しかし、留年もネガティブな意味合いではなく、授業についていけないのなら無理して進級するのではなく、その子に合ったペースで確実に学習させるための仕組みなのです」

まるで詩人・金子みすゞの「私と小鳥と鈴と」の名フレーズ「みんなちがって、みんないい」を地で行くような話だが、まさに一人ひとりが自分に合った学び方をすればいい──そんな考え方がドイツでは当たり前のようだ。

嫌がりながらする勉強は「逆効果」
さらにドイツの教育制度では、小学校の4年間を終えると、その最終成績によって進路が3つに分かれる。卒業後すぐに職業訓練を受けて働く場合と、職業専門学校などを経て事務職や専門職になるためのコース、そして大学進学を目指すコースになる。

つまり、10歳時点での成績で、人生の進路が決まってしまうのだという。
「そのため、親も子供も、無理せず現実を受け入れていきます。他人と競争する、他人と比較するのではなく、留年や転校を恥じることもなく、その子供に合った最適な道を見つけていけばいいという考え方です。

一般的にドイツ人は、特に小さなうちは成績が悪くても親は子供を責めず、いかにその子が納得して能力に合わせて学べるかを考えて支えます。子供にはそれぞれの長所や能力があり、嫌がりながらする勉強に意味はなく、むしろ逆効果になると考えています。

ちなみに、ドイツを代表する文豪のヘルマン・ヘッセは1回、トーマス・マンは2回留年をしているそうです」(キューリング氏)

ドイツでは10人中9人が「学校生活に満足」
他人と比較するあまり、子供に過度なプレッシャーをかけることになれば、かえって子供の「自己肯定感」を下げることにもなりかねない。「ほかの子は頑張っている」「平均より成績が悪い」などと周囲との比較や競争ばかり強調しすぎると、思うように成績が伸びなかった時、子供たちは深く傷つき、学校に行くのも嫌になってしまう可能性もある。

興味深い調査結果がある。内閣府の「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(2018年)によると、「あなたは、学校生活に満足していますか」の問いに「満足」「どちらかといえば満足」と答えた日本人は65.1%で、調査した7か国中で最下位だった。それに対して、ドイツは87.9%と調査国中で最も高かったという。

子供の能力に合わせた学習環境を整えて、能力以上の強制を課さないドイツの教育システムは、一見残酷に見えながら、「人生は成績がすべてではない」「あなたはあなたのままでいい」ことを幼いころから教えてくれるもののようだ。

むしろ、家庭で過ごす時間が増えた今こそ、親子のつながりを強めて、子供たちの「自己肯定感」を高めるチャンスかもしれない。親も、子供の成績に一喜一憂することなく、子供にとってベストの進路を考えるきっかけにすればいいのではないか。

【参考サイト・文献】
内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成30年度)」
『ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか』(キューリング恵美子著・小学館新書)

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このドイツの教育システムは戦前の日本の複線型教育のモデルでもありました。戦前の日本は、初等教育を終えると、旧制中学校、高等女学校、実業学校と進路ごとに早期分岐する教育制度でした。戦後の単線型教育制度への改革は、性別や階層によってその後の進路が早期分断される制度の見直しとして、教育の「民主化」、つまりアメリカ流の機会均等がねらいでした。戦後も何度か、このドイツモデルが日本で注目されたことがありますが、教育の機会均等を掲げる憲法との整合性がないので複線型を復活させようと言う向きには動きませんでした。

ドイツの義務教育は、大学進学を目指すなら8年制(もしくは9年制)のギムナジウム、それ以外は職業訓練への道へ進みます。実科学校とよばれるレアルシューレは6年制で卒業後は全日制の職業学校へと進み、職業訓練を受けて公務員や技術者となります。手工業系の職人(美容師、板金工、パン屋など)を目指す場合は5年制のハウプトシューレとよばれる基幹学校へと進学、卒業して、職業学校入学資格を取得する必要があります

この、ギムナジウム・実技学校(レアルシューレ)・基幹学校(ハウプトシューレ)の三分岐型システムがドイツの教育制度の大きな特徴です。学校間での転学は、基幹学校からギムナジウムへの転学はほとんど例がなく、実科学校からギムナジウムへの編入を目指す生徒はいますが難易度も高いので、ほとんどが就職の道へと進むそうです。

今日ドイツでは、国内に増加する移民の子供たちの不十分な教育環境が学力格差を生み出し、ドイツ全体の学力低下が懸念されていたり、グローバル化に伴い、国際基準に合わせるため、ギムナジウムの修了年次を下げたりと試行錯誤の教育改革が行われています。また、教育制度で選別を強めると学力は子どもと親の責任となり、教え方や環境の問題となりにくいのです。今の日本も結局は経済格差が学力格差を形成しているのはドイツと変わらないですが、少なくともチャレンジの機会はあるし、教え方や環境支援によっては高学歴への道もあるわけです。

それでも、ドイツの子どもの自尊感情が高いのはうらやましい限りです。選別をしてでも人と比べなくてもいいと言う安心感を優先するのか、経済力による階級格差をなくす民主主義課題を達成するのかどちらかを選べと言うのは難しいと思います。ただ、この記事はドイツの教育制度のメリットだけを取材しており、デメリットについては触れていないので正確な情報とは言えないです。

 

視覚障害支援(その3)

白杖(はくじょう)を持っている人がいたら、「目の見えない人が歩いている」と思うかもしれません。ですが、白杖は全盲の人だけでなく、見えにくい人も持っている道具です。たとえば、視力は良くても視野が狭い障害の人がいます。この場合、足もとが見えにくい、横から人が急に出てくる、といったことから危険が生じるため白杖を持つことが勧められます。つまり、白杖は目が見えない・見えにくい人であれば誰もが使用できるのです。

白杖の選び方や基本的な使用ルールは歩行訓練士さんから指導されることが多く、きちんと歩き方を習得すれば安全にひとり歩きできるようになります。もちろん、白杖を持っているからといって、ひとりでどこへでも行けるわけではありません。知らない場所や道に迷ったときなど、助けを必要としている場合もあるかもしれません。もし白杖を持っている人を見かけ、時間に余裕があったら「何かお手伝いできることはありませんか?」と声をかけてください。「いまはひとりで大丈夫です」と言われたら、「お気をつけて」でいいのです。「道に迷っています。駅はどちらでしょうか」などと聞かれたら、その人が必要としているお手伝いをします。視覚障害者にとって親切なひとことは、次の外出の勇気へとつながっていきます。

白杖は字のとおり白い杖ですが、形状や長さのなどの違いで100種類以上あると言われています。一般的にひとりで出歩く人は直杖(まっすぐ長い杖)を持つことが多いです。必要なときだけ使用する、または予備として持ち歩く人用に折りたたみ式のものもあります。最近では、カラフルなグリップに換えたり、マスコットや鈴をつけたり、シールを貼って自分だけのデコ白杖にアレンジする人も増えました。これは、おしゃれとしてだけでなく、自分の白杖を見分ける工夫でもあります。

視覚障害者が横、または斜め前を歩く人の腕や肩を持って歩くのを見かけたことないでしょうか。これを「手引き」と呼びます。手引きする人は専門の資格を持ったガイドヘルパーだけではありません。地域のボランティアや家族、友人が行っている場合もあります。視覚障害者だからと言って必ず白杖を持って歩くわけではなく、ひとりひとり歩きやすい方法や道具が異なります。

たとえば、ひとり歩きに慣れている人は、手引きをされると歩くペースを崩し、逆に危険なことがあります。特に階段では、手すりや壁をつたう方が安全に歩ける人が多いです。手引きする人・される人で身長差がある場合、腕と肩、どちらが持ちやすいか最初に確認するとスムーズにいくと思います。それから、視覚障害者は急に手を引っぱられたり、背中を押されると恐怖を感じる人が多いです。

視覚障害者も全員が歩行訓練を受けているわけではありません。なかには手引きのされ方を知らない人もいます。安全な誘導には、まず声を交わすことが大切です。そうすることで、お互いに気づくことがあります。また、男性のガイドヘルパーが少ないため、女性ヘルパーが視覚障害者の男性をガイドするケースは少なくありません。その際、女性ヘルパーがトイレの中まで付き添うこともあります。洗面台や便器の位置を確認するだけなのでご理解ください。

 

校則

中学校則「下着は白」、教員が目視で確認…弁護士会「明らかな人権侵害」

2020/11/13 09:07【読売新聞】

下着は白、マフラー禁止、髪形のツーブロック禁止――。中学校の校則の見直しに向け、佐賀県弁護士会(富永洋一会長)が、判断基準などを示した提言書をまとめた。13日に県教委に提出し、県内各市町教委や県PTA連合会にも送る。(森陸)

提言は3項目。「規制の目的と手段(指導)が合理的なものか」との基準を示したほか、「子どもの権利を明言すること」や「策定・改定の際に子どもが関与できる仕組み作り」からなる。

提言書は、県弁護士会憲法委員会(東島浩幸委員長)が中心となって作成した。今年4~10月、情報公開請求で収集した中学校22校(県立4校、佐賀市立18校)の校則を精査。また、中学生男女4人、生徒指導担当教諭2人にヒアリング調査を行うなどした。

中学生へのヒアリングでは、定期検査の際に教員が下着を目視で確認する指導が現在も行われていることが判明したという。同委員会の稲村蓉子弁護士は「明らかな人権侵害だ」と指摘。

また、多くの学校で、制服や髪形が、男女別に細かく定められていることについて、「性的少数者(LGBT)や障害者、異なる文化や宗教を背景に持つ子どもたちを社会がいかに受け入れ、多様性を確保するのかという視点が欠落している。子どもたちが納得できない、学校側が理屈を説明できない校則は改定を検討すべきだ」とした。

東島委員長は、子どもの基本的人権を保障した「子どもの権利条約」を日本も批准していることに触れた上で、「学校、子ども、保護者の3者が自主的な議論を通じて、高校や小学校も含め、よりよい校則のあり方を考えるきっかけにしてほしい」と話している。

校則については、山口知事や落合裕二県教育長、民間の教育関係者らが出席した昨年11月の県総合教育会議でも議題に。「誰のための校則なのか」「校則に抑圧され、支配されるのではなく、自分で考えて動ける校則を作るべきだ」などと、疑問の声が相次いだ。県教委が今年3月、校則見直しを呼びかける通知を出したのを受け、県立中4校は今年度、見直しを予定していると回答した。

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校則問題は平成の時代にトンデモ校則が告発される中で、ある程度淘汰されたと思っていましたが、まだまだあるようです。「服装の乱れは心の乱れ」と信じている大人がまだいる一方で、最近の子どもたちは普通に制服を着る子がメジャーになってきています。崩して着るのがダサいそうです。

これと併せて相乗効果となっている有力な理由は、高校の場合は私学入試だそうです。学校推薦型+総合型の入試入学者の比率が高まっている中、関東圏内だけでも慶応を除き早稲田、学習院、立教、青学、上智と入学者の4割を占めるようになっていることです。もちろんこれに伴い私立高校も同じような選抜傾向になり中学生に与える影響も大きいと思われます。つまり半数近くが学校推薦が必要な入試になってきたということだそうです。

ただ、こんな議論をしているわが国は平和だなとも思います。香港では先の民主化デモに参加した中高生が、いつ中国共産党に因縁をつけられるかと毎日おびえて暮らしていると言います。着衣の着こなしは、相手に不快感や威圧感を与えない意味で大人が教える必要があります。教えるという事と強制することは対極にあります。これも大人が教えるべきことです。