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1. てんかん(その1)

投稿日時: 2019/11/27 staff3

人間の体には、神経が張りめぐらされ、その神経の中を弱い電気信号が通ることによっていろいろな情報が伝達されます。脳には神経細胞が集合し、さまざまな情報を処理しています。たとえば、目や耳から入る情報、皮膚で感じる情報、匂いや味などの情報は、神経を通じて脳に伝達されることによって、「きれい」「暑い」などと感じます。逆に、脳からの命令、つまり、「話す」「走る」などのように、意識することによって体を動かすこともします。さらに、意識していない心臓の動きの調節や呼吸なども脳からの命令であり、感情・情緒・理性などの精神活動や記憶も制御しています。このような働きのある脳内の電気信号が何らかの原因で一斉に過剰に発生するとその部位の脳の機能が乱れ、脳は適切に情報を受け取ることや、命令ができなくなり、体の動きをコントロールできなくなります。この電気信号の一斉の過剰発生をてんかんと呼びます。

大脳は、中央の溝を境に大きく左右(右半球と左半球)に分かれています。そして、右半球は左半身を、左半球は右半身の神経を調整し、また脳は各部位ごとにそれぞれの働きを担っているため、電気信号の乱れや興奮が起こる部位によって発作の症状が変わってきます。てんかんの方は、発作の起こる部位が決まっているために、発作ごとに同じ症状が繰り返されます。たとえば、手を動かす神経の部位で過剰な電気的興奮が起こると手のけいれんが起こり、言葉の部位で起こると言葉がしゃべれなくなります。

脳の神経は興奮と抑制がバランスよく働いています。車のアクセルとブレーキのように、興奮が強くなりすぎると抑制側の神経が働いて興奮を抑える、というようにバランスを取ります。しかし発作が起こる時には、興奮系の神経が強く働いたり、抑制系の神経の力が弱まることで、激しい電気的乱れ(過剰興奮)が生じます。

脳は、中央の溝を境に右半球は左半身、左半球は右半身の神経を調整し、大脳、小脳、間脳、脳幹などから構成されています。その中で、人間らしい複雑な行動をコントロールするのが大脳です。大脳は、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉の4つに分けられ、それぞれの部位によって働きが異なります。前頭葉:手足など、体の各部を動かす指令を出す働きの他に思考・推理・理性・学習・選択などの高度な情報処理をつかさどります。頭頂葉:皮膚や耳などから入る感覚情報を分析したり空間を認識します。後頭葉:人の顔や物の形など、目から入った情報を認識します。側頭葉:耳から入った音や言葉の情報や情動に関係します。側頭葉の内側には、記憶に関わる領域である海馬(かいば)があり、てんかんの焦点(発作が起こり始める部位)となることが多い部位です。てんかん発作が起こる部位でどんなダメージを受けるのかこの部位によって推測ができるわけです。次回はてんかん発作のタイプについて書きます。