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みんなちがってみんないい

飛沫感染とウィルスの大きさ

マスクは種類によって感染予防力が異なります。薬局などで売られている一般的な「サージカルマスク」は飛沫感染の予防になり、主に咳エチケットの一つとして効果を発揮します。「サージカル」とは手術のことですが、手術時に医療者がマスクをするのは唾液や痰などで清潔な術野を汚染しないためです。これと同じように、咳が出る時に、病原体を含む飛沫を飛ばして、他の人に病気をうつしてしまわないために、マスクは効果的です。

一方で自分を感染症から守るためのマスクの効果は限定的です。口や鼻の粘膜に大きな飛沫が侵入するのは防げます。しかし、咳やくしゃみで口から出た時点では大きな飛沫も、空中を飛ぶうちに小さくなって広がっていきます。飛沫の粒子が小さくなると、マスクの性能によっては、防御することができません。そのため、結核などの空気感染する菌に対しては「N95マスク」などの特殊なマスクが使われています。高性能なマスクであっても目の粘膜からも病原体は感染しますので、マスクだけでは予防を完全にすることはできません。

直径5μm以上のものの侵入を防げるマスクでも、0.02~0.1μmのウイルスには効果を発揮できません。薬局などで売られている「サージカルマスク」は、直径5μmまでの粒子を除去することができます。ウイルスは0.02~0.1μm、細菌は1μm、花粉は20~40μmです。マスクの穴の大きさは、最も大きなウイルスと比較してもその約50倍ほどの大きさです。このことからも、マスクの予防効果は低いのです。

一方で、家庭内でインフルエンザが発症した場合、36時間以内に手洗いとマスクを併用するとインフルエンザの家族への感染率が低下した、という報告があります。マスクの予防効果がどれくらい寄与したかは不明ですが、マスクと手洗いをどちらも実践したのがよかったのでしょう。マスクでウイルスの侵入を防ぐことはできなくても、マスクをしていることで、看病中にウイルスがついてしまった手で、自分の口や鼻に直接触ってしまうことが防げ、結果的に感染率を下げたことが考えられます。

マスクは症状のある人がつけることで、周りの人への感染拡大を抑えることができます。症状のない人はマスクをしなくてもよいのです。ニュースでは、マスクをつけない人を非難して電車から追い出したり罵倒したりする様子が伝えられますが、これは何の科学的な根拠もなく中世の魔女狩りと同じです。社会全体で感染症と闘わなくてはならない場合、お互いのことを考えて行動することで、感染拡大リスクも根拠のない不必要な閉め出しも減らすことができます。

精神疾患ある親の子 学校に悩み相談せず

精神疾患ある親の子は8~9割が学校に悩み相談せず…支援困難の実態くっきり

2021年3月26日 12時00分【東京新聞】

精神疾患がある親の元で育った人は、小学生の頃は約9割が、中高生の頃は約8割が自らの不安や悩みを学校に相談していなかった―。そんな調査結果を埼玉県立大の横山恵子教授(精神看護学)らがまとめた。親の疾患によって困難を抱えた子どもが孤立し、支援につながりにくい実態が浮かぶ。(近藤統義)

◆「大変だった」「不安だった」…
調査は横山教授や大阪大大学院の蔭山正子准教授らが2019年10~11月、ウェブアンケートで実施。2人が立ち上げに関わった「精神疾患の親をもつ子どもの会(こどもぴあ)」の活動に参加した成人を対象とし、20代~50代以上の120人が回答した。
親に関して「大変だった」「どちらかと言えば大変だった」と答えた人は小中高時代を通して8、9割。家庭での生活体験(複数回答)では全時期で7割超が「不安だった」、5割が「心身に不調をきたした」と答えた。
18歳未満で、病気や障害のある家族の介護や家事をする「ヤングケアラー」としての役割も尋ね、小中高の全時期で、6割が親の話し相手になるなどの「情緒的ケア」を、3割が「手伝い以上の家事」を担っていた。

◆「恥ずかしい」「自覚ない」相談は1、2割
こうした状況を学校に相談したことがある人は全時期で1、2割にとどまった。相談しない理由(自由記述)では「信頼して相談できる相手がいなかった」「恥ずかしいこと、隠すべきことだと思っていた」「相談をする発想がなかった」「困っている自覚があまりなかった」が目立った。
学校などが子どもの困難さに気づくことのできるポイントについては、複数回答で「いじめられている」「親が授業参観や保護者面談に来ない」「勉強に集中できていない」「遅刻や欠席が多い」―が多かった。

◆サイン見逃さない態勢づくり急務
学校側が悩みを抱える子どもたちのサインを見逃さず対応できるよう、こどもぴあは精神疾患への理解を促す教員向けの教材作りを進める。横山教授は「精神疾患の親がいる子は自分の感情にふたをしてしまう特徴がある。話を聞いてもらうだけで救われる子もおり、教員ら周囲の大人が気にかけることが必要だ」と指摘している。

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親がしんどそうにしているのを毎日見ている子どもがしんどくないはずがありません。黙り込んだり怒鳴り散らしたり気分変動の激しい大人に子どもは合わせざるを得ません。誰かに相談して解決しそうにも思いませんし、誰も家庭に踏み込むのは躊躇するので遠慮して聞いてもくれません。

うすうす、周りは気づいています。でも、家庭内の事ですから児相関係に報告するくらいしかできません。大方はネグレクトでの告発になりますが、行政が機敏に動いてくれないのが見えているので告発するほうもよほどのことがない限り子どもから話を聞いて解決しようとはしません。何も相談をかけにくいと思っているのは子どもだけではないです。

 

 

視覚障害者はどうやってゲームをするのか ― 「ポケモン」は泣き声で暗記し、ボヨンというSEでマ...

 

 

視覚障害者はどうやってゲームをするのか ― 「ポケモン」は泣き声で暗記し、ボヨンというSEでマップを把握。「無双」はシステムがバリアフリー

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今回は記事の部分が長いので引用せず,リンクを貼りました。興味のある方は読んでみてください。

11月18日(金)にポケモンシリーズ最新作『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』が発売されます。筆者はバイオレット,最初のポケモンはクワッスを選ぼうかと思っています。子どもが「ポケモン欲しい!」と話している家庭もあるのではないでしょうか。

さて,上の記事では視覚障害者がゲームをどのように楽しんでいるのか,というものです。上の記事では「視覚障害者が遊べるゲームはまだまだ少ない」とありました。SE(効果音)で自分がどの場所にいるのかを把握し,ストーリーを進めているようです。近年流行している「スプラトゥーン」や「APEX」といったFPSゲームはさらに難しいかもしれません。

しかし任天堂は「障害のある方も楽しめるように」という努力や工夫をしている企業だと感じることがあります。映画館で聴覚障害者の方向けにポケモンの映画を字幕付きで上映をしたり,テレビの副音声で視覚障害のある方にも内容がわかるようアニメを放映するなどをしています。

筆者が小学校4年生の担任をしていた時,子ども達と話し合って1年間の総合的な学習の時間のテーマが「バリアフリー」に決まりました。調べ学習をする中で子ども達に「身近なバリアフリーを調べてくること」と宿題を出したことがあります。クラスの子どもの内一人が「先生!ポケモンの新しいゲーム(ソードシールド)がYoutubeで紹介されてたんやけどな、音無しでも内容分かるねん!これってバリアフリーなんかな?」と伝えてくれました。クラスで見て「あ~確かに~」となりましたが,真相はわかりません。しかしインクルーシブ社会に有名な企業が協力しようとしている姿勢が見えることはとても良いことです。さて,今回の紹介映像はどうでしょうか?映像のみ,音声のみでも理解できるでしょうか?

音韻系の読み書き障害

前回は「文字の形の認識が難しい」など視覚情報処理の不全について述べました。これはどちらか言うと視覚入力はしているが処理(文字認知段階)や出力(字を書く段階)に課題がある場合です。
しかし、中には、入力段階で眼球運動に偏りがあり、普通の文字の見え方とは違った見え方をしている人もいると言われています。水に浸したように文字がにじんで見えたり、目が悪い状態のように文字が二重になったり、ぼやけて見える方。文字がらせん状にゆがんだり、3Dのように浮かんで見えたりする方もいます。鏡に映したように文字が左右反転して見える方もいます。

さて、今回は「文字の音のつながり方の認識が難しい」音韻処理の不全についてです。

音韻機能とは最小の音単位を認識・処理する能力を指しますが、ディスレクシアの人の脳の特性として、音韻の処理に関わる脳の領域に機能異常があるという説が主流となっています。そのため音を聞き分けたり、文字と音を結びつけて「読む」ことが難しいと言われています。

※文字と音の変換が苦手
ひらがなの文字と音を結びつけて読むのが難しいことがあります。また小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」や音を伸ばす「-」などの特殊音節が認識できず読めないこともあります。

※単語のまとまりを理解するのが困難
たとえば「み」「か」「ん」などのひらがなやカタカナの一音ずつは読めてもそれを「みかん」というひとまとまりの言葉として理解するのが難しいことがあります。

※聴覚記憶が苦手
言葉を音として記憶しながら読んだり話したりしますが、ディスレクシアの人の中にはこの音韻認識が弱く聴覚的な記憶が苦手な人がいます。このように処理と記憶を同時に行うことが難しいことから読むことに困難な場合があります。

こうした場合は、「活字を読めばわかる」ということにはなりませんから、聞いたり見たりしてわかる状態に持っていくことです。マルティメディア(iPadやPC)を用いて文章を読んでくれる教材やデジタル教科書(無料配布されています)を使って、読むことにかかるエネルギーをできるだけ少なくして、推論したり考えることに学ぶエネルギーが使えるようにします。記録は音声記録に残したり、キーボード入力を早くから教えていきます。ローマ字打ちは音声表現の規則性が高く、最近のデバイスは入力を予測したり読んでくれたりするのでひらがな打ちよりも教えるのが容易です。

また、読み書き障害の中には記憶力の良い子もいて、最初は教えられたことのなんでもかんでも記憶したり物事の法則性を見出したりして小学校時代をしのいでいく子がいます。しかし、中学校の時期に危機が来ます。英語の発音と綴りには簡単な法則性がありません。「A」を「ア」「アイ」「エイ」と前後につく文字でいくつも変化するからです。撥音や拗音等の日本語発音表記の法則性よりはるかに複雑です。それでも記憶力の高い子は法則性ではなく英単語や英語文書を丸ごと記憶して中学英語をしのぐ人がいます。

それでも、とうとう高校内容の記憶量は半端ではないのでここで、英語だけがガクンと急降下します。それではじめて読み書き障害が発見されるケースが少なくありません。
高校生の彼は言います。
「みんなは、僕以上に頑張っているからできるのだと思っていた」と。
「もっと早く読み書き障害のことを教えてほしかった」とも言いました。

読み書き障害の子の他者への認識は、「みんなは僕より頑張っているから読める」「僕は馬鹿だ」と勘違いしています。ちょうど目の悪い子が、「みんなも同じように見えている」と勝手に思い込んでいるのと同じです。眼鏡をかけたら「なーんだみんなはこんなに見えていたのかと」気が付きます。だから「視力検査」があるのです。
何故「読み書き検査」はないのでしょう?視力が悪くてその子だけが眼鏡をかけていやがる先生はいませんが、読み書き障害の支援にデジタル教科書などをその子だけに使うのをためらう先生は少なくありません。令和の時代こそ、読み書き障害への支援が眼鏡と同じように広まり認められる世の中に早くなってほしいです。

うちの学校では読み書きの検査をしてくれないという方は、スタッフまでご連絡ください。可能な限り読み書き検査のご要望にお応えしていきたいと思います。

初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド

文部科学省は2020年3月26日、「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」を作成し、Webサイトに公開した。通級指導を担当する教師が教育現場で活用できるよう、指導の心掛けや実践例、1年の流れなどをわかりやすく紹介しています。

「通級による指導」は、1993年の学校教育法の改正によって小中学校において制度化しました。子どもの自立を目指し、障害による困難を改善・克服するため、ひとりひとりの状況に応じた通級指導を行っています。ちなみに京都府は、1980年代には「言葉の教室」として全国に先駆けて設立されていました。

文部科学省では、通級指導を受ける児童生徒数が年々増加していることから、質の担保に向けて、通級における指導方法のガイドを作成するため、2019年2月に検討会議を発足。2020年2月まで計6回の会合を通して、ガイド作成の検討を重ねてきました。

「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」は、「通級指導を担当するにあたって」「通級指導の1年間の流れ」「実践例」「知っておきたい基本事項・用語」の全4章で構成。初心者でもわかりやすい内容とし、添付したQRコードから関連する動画や解説資料なども参照できます。

第1章では、読み書きに時間がかかったり、友達とのコミュニケーションがうまく取れなかったりするなど、障害があることによって学習面や生活面で困難がある子どもへの指導の心掛けを助言。困ったことがあれば、1人で悩まずに相談することもアドバイスしていまず。

第2章では、通級指導の1年間の動き、個別の教育支援計画や指導計画などを解説。第3章は、教材や教具、学校行事の活用など、全16の実践例をピックアップ。第4章では、情緒障害・学習障害(LD)・自閉症など、通級指導に通っている子どもが困っていることについて、知っておきたい基本事項や用語などをまとめています。

ガイドは、文部科学省のWebサイトからダウンロードできるほか、Webサイトにも掲載。スマホ表示にも対応しています。

教員の懲戒免職・解雇理由、官報に記載

【独自】教員の懲戒免職・解雇理由、官報に記載へ…再応募時にわいせつ処分歴などチェック

2021/03/29 15:00【読売新聞】

許すなわいせつ教員
わいせつ教員問題の対策を強化するため、文部科学省は教員が懲戒免職・解雇された理由について、「子供へのわいせつ行為」など五つに分類し、官報に判別できるようにして記載する新制度を4月1日から始める。教育委員会などが教員を採用する際、応募者が過去にわいせつ行為で処分されていないかを把握できるようにするのが狙いだ。

懲戒免職されるなどして教員免許が失効した場合、教員免許法に基づき、官報に氏名や免許状の種類などが掲載される。免許が失効しても3年たてば再取得できるため、再度、教員に応募することが可能になる。

そのため、文科省では、官報に掲載された情報を基に免職歴を調べることができるツールを、教委や私立学校を運営する学校法人に配布している。

これまでは、応募者の免職歴が確認できた場合、処分した教委にその内容を尋ねるなどしてきた。ただ、「個人情報」などを理由に教えてもらえないケースもあり、処分理由を本人に尋ねても、虚偽の申告をされたらそれ以上追及するすべはなかった。

そこで、文科省は同法施行規則(省令)を改正し、処分理由について、〈1〉18歳未満や勤務する学校の幼児・児童生徒に対するわいせつ行為・セクハラ〈2〉それ以外のわいせつ行為・セクハラ〈3〉交通法規違反や交通事故〈4〉職務に関連した違法行為など〈5〉その他――の5類型に分けたうえで、これを識別できる形にして掲載することにした。

過去には、わいせつ行為で処分されても、それを隠す目的で改名して教員に採用された例もある。そのため、各教委に対しては、改名歴のある教員については官報掲載時に旧氏名の併記も求める。

文科省では2月末から、過去40年分の免職歴を調べることができるようにツールを大幅に拡充した。ただし、今回の処分理由の付記については、4月1日以降に懲戒免職・解雇された教員から適用される。

省令改正に先だって行われたパブリック・コメント(意見公募)では、「権利の侵害に当たる」との意見も寄せられたが、文科省は「懲戒免職は行政処分であり、犯罪歴を明記するわけではない」としている。萩生田文部科学相は「適切な採用選考が行われることが期待される。実効性のある対応を引き続き講じていきたい」と話している。

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現行の免許法に基づく官報記載とはよく考えたものです。わいせつ犯罪歴のある教員を二度と採用しない法律が見送りになった事は以前(子どもの性被害どう防ぐ?: 01/06)掲載しました。保育士登録も教員免許も性犯罪で失効してから最短2~3年で再取得できるという制度のほうがおかしいのに、法改正に踏み切れない行政も議会も情けないと書きました。子どもと過ごす職種であってはならない猥褻犯罪で免許を失効しながら、免許を再取得して再び教壇に立とうとするなど常識的には考えられません。

問題は、2020年度以前の処分が記載されないことです。国会などでは記録は存在しないというのが行政の口癖ですが、処分記録は全て保存されています。せめて10年遡って記載すれば、今後かなりのわいせつ犯罪者の現職復帰を防げると思います。権利侵害ではなく「懲戒免職は行政処分であり、犯罪歴を明記するわけではない」と文科省自ら言っているのですから、何年遡ろうが問題はないはずです。むしろ、遡らない方が子どもの被害が予防できず問題が大きいと思います。

公立の小中学生8.8%に発達障害の可能性 文科省調査

公立の小中学生8.8%に発達障害の可能性 文科省調査

 通常学級に通う公立小中学校の児童生徒の8・8%に発達障害の可能性があることが13日、文部科学省の調査で明らかになった。10年前の前回調査から2・3ポイント上昇し、35人学級なら1クラスに約3人が読み書き計算や対人関係などに困難があるとみられる。このうち約7割が各学校で「特別な教育的支援が必要」と判断されていなかった。文科省は「特別支援教育の知識がある教員が少なく、適切な支援ができていない可能性がある」としている。

 調査は今年1~2月、全国の公立小中高校の通常学級に在籍する子ども約8万8500人を抽出し、学級担任らが子どもの発達障害を診断するチェックシートに回答(回収率84・6%)。知的発達に遅れはなくても、学習面や行動面に著しい困難を示す子どもへの支援を検討するため、学習障害(LD)▽注意欠陥多動性障害(ADHD)▽高機能自閉症――の三つについて評価した。医師の診断や、専門家チームの判断によるものではない。

 三つのいずれかに該当する小中学生は8・8%。質問項目などが異なるため、単純比較できないが、初調査の2002年(6・3%)と前回調査の12年(6・5%)より比率が上がった。文科省は「保護者や教員の間で発達障害への理解が深まり、以前は『落ち着きがない子』と見過ごしてきたようなケースを認知できるようになった」と分析する。

 個別に見ると、LDに6・5%▽ADHDに4・0%▽高機能自閉症に1・7%――が該当し、障害が重複するケースもあった。

 学年別では、小1=12・0%▽小5=8・6%▽中1=6・2%▽中3=4・2%――など学年が上がるにつれて発達障害の可能性がある子どもの割合は減少する傾向があった。文科省は、「多動」など一部の症状は成長とともに落ち着く傾向があるためとみている。

 調査では、支援状況も聞いた。校長や教員らが支援体制を検討する「校内委員会」によって、「特別な支援が必要」と判断されている割合は28・7%(前回18・4%)だった。また、通常学級に在籍しつつ、別室などで一部だけ特別な授業を受ける「通級指導」を受けているのは10・6%(同3・9%)、個別の支援計画を作成しているのは18・1%(同7・9%)など前回より割合は上昇した。

 だが、この10年で広く一般でも発達障害への理解が深まったことを考えると、上昇率は「高くない」(文科省の担当者)という。

 高校生の調査は今回初めてで、三つのいずれかに該当したのは2・2%。高校進学などに伴い特別支援学校を選ぶ生徒がいることも割合が低い要因とみられる。

 調査に関わった有識者会議座長の宮崎英憲・東洋大名誉教授(全国特別支援教育推進連盟理事長)は「学校全体で支援の取り組みを進める必要があるが、校内委員会の検討自体がなされていない可能性がある。外部機関に教員が支援を相談しやすい体制づくりも必要だ」とした。

 ◇特別支援、精通した教員が不足

 発達障害の可能性がある公立小中学校の子どもに支援が届きづらいことの背景には、特別支援教育に精通した教員の不足がある。明治学院大の海津亜希子教授(障害科学)は「管理職の意識に温度差があり、校内委員会が形骸化している学校もある」とも指摘する。

 公立小中学校の8割に特別支援学級が設置されているが、校長の7割以上が特別支援教育に携わった経験がないまま学校運営を担っている。このため文科省は今年3月に都道府県教委などへの通知で、新規採用教員が10年以内に特別支援学級の担任などを複数年経験し、管理職登用の際にも経験を考慮するよう求めた。

 ただ、養成は一定の時間がかかる上に、特別支援教育を経験した人材が増えても、公立学校で慢性化している教員不足の課題は残る。

 40代の男性教諭が勤務する東京都内の公立小学校では、校内委員会が週1回開かれるなど管理職の理解はあるという。だが、発達障害に限らず、家庭での虐待やネグレクトなど配慮が必要な子どもは多く「クラスの4分の1ほどはいる。きめ細かく見守るには20人学級くらいでないと難しい」と話す。特別支援教育にも携わってきたが、「『発達障害』の支援に何が必要かの判断は、経験があっても簡単ではない」と語った。

 海津教授によると、読み書きなどの学習障害は、授業中に歩き回るといった行動面の困難よりも目立たないが、早期に見つけて授業を工夫したり、通級指導につなげたりすることで改善するケースは多いという。

 今回の調査結果から、全国に発達障害の可能性がある小中学生は約80万人と推定される。海津教授は「『通級指導』などを専門的に担える教員の免許制度を創設したり、支援の予算を増やしたりするなど、国や自治体は抜本的な対策をとるべきだ」と指摘した。【深津誠】

 ◇発達障害

 先天的な脳の働き方の違いにより、幼い頃から行動や情緒に特徴が表れる。読み書きや計算、推論などを苦手とする学習障害(LD)▽不注意や多動・多弁、衝動的な行動がある注意欠陥多動性障害(ADHD)▽対人関係が苦手で特定の事柄へのこだわりが強い高機能自閉症――などを含む。学校で周囲の適切なサポートがないと、不登校やいじめにつながる恐れがある。

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筆者の体感だと個別の指導計画や個に応じた支援計画のある子どもは小学校に10%いる感覚です。

記事内で指摘のあったように特別支援に詳しい教員の少ない学校だと形だけのものになってしまい,支援が行き届かないことがあります。また,それ以上にそれを作成しているのは学級の担任です。日々の授業の計画,校務分掌に加えこれも作成しなければなりません。中々しっかりと作成することも難しい場合もあります。

年々発達障害に対する理解が広まっています。それに対し,教員はどんどんと減っています。教員全体の母数が減る=意欲のある教員も減る,ということです。

せっかく発達障害への認知が広がり,理解がされてきたところなのにこれでは意味がありません。「教員」という仕事への悪いイメージがなくなるような改革を期待しています。

空気を読む

日常生活において、他者の心を理解する能力は大切です。他者の心を理解する能力は、心理学分野においては「心の理論 (Theory of Mind)」 研究として、数多く行われてきました。文化による多少の違いはあっても、定型発達児は4歳頃にこのような能力を獲得することが現在の統一見解となっています。
また、自閉スペクトラム症児は心の理論の発達が倍ほど遅れるということもあるそうです。近年は、研究対象となる年代が広がっており、広義における他者の心の理解の学術用語としてマインドリーディングという言葉が使われます。
「空気を読む」ことについて、自閉スペクトラム症のマインドリーディングに関わるエピソードが引用されることもあります。わざとじゃないけど相手の嫌がることを言ってしまう。全体としての暗黙の意向は決まっているのに蒸し返す。空気を読むとは、相手の考えていることを読む、あるいはその集団の意図の方向性を読むと同義です。是か非か程度なら人の顔色で読めそうなものですが、相手の表情を読むのもASDの方は苦手です。欧米では空気を読めという慣用句は見かけませんが、米国の、"Read the room!"「雰囲気を読め!」という表現があるそうです。「身の回りの雰囲気を把握してから行動や発言をして」ということだそうです。以前、高文脈型コミュニケーションと低文脈型コミュニケーションについて掲載しましたが、英語という「低文脈型コミュニケーション」であっても、雰囲気というASDの方には大変むつかしい、見えも聞こえもしない他者の意図を感じ取れという言葉があるのです。

どうすればいいか?話し合って情報を共有するのが一番です。正確な情報もないのに勝手に想像するなんて、双方の誤解を作ってしまうだけです。「低文脈型コミュニケーション」でも行き違いはたくさんあるのですから、誤解が生じても、「空気を読め」なんて言わずに説明して許し合う寛容さも大事になります。

障害を持つ子どもの「きょうだい児」

障害を持つ子どもの「きょうだい児」が、子どもらしく健全に発達しているかどうかについては、アダルトチルドレンの5つのタイプを基準に考えます。アダルトチルドレンとは、子どもが子どもらしく育つことのできなかった家庭、つまり「機能不全」家族で育って大人になった人(Adult Children of Dysfunctional Family)という意味で使われ、次のような5つのタイプに分類されます。

ヒーロー:優等生であり家族の誇りとなるような行動をとることで自分の存在価値を得ようと頑張るタイプであり、疲れていても休めない、完璧にできない自分を責めるといった傾向がある。
身代わり:家でも学校でも何かとトラブルを起こすことで、家族の中にある葛藤や緊張から目をそらさせる役割をしているタイプであり、内面にある寂しさやつらさを誰にも言えずに行動にあらわす傾向がある。
いなくなった子:ほめられるわけでも問題を起こすわけでもなく、目立たずに存在を忘れられたかのようにしているタイプで、目立たずにいることで自分が傷つくことから身を守っているものの、孤独感を強める傾向がある。
道化師:おどけた態度やしぐさで家族の緊張を和らげ、場を和ませる役割をするタイプで、自分の辛さをはっきり言葉にすることができないという傾向がある。
世話役:小さい時から親の面倒をみたり、愚痴や相談を聞いたりとカウンセラーのような役割を果たし、妹や弟の保護者役になったりするタイ プで、自分のことはいつも後回しにしているため自分の感情やしたいことがわからなくなる傾向がある。
(財団法人国際障害者記念ナイスハート基金 『障害のある人のきょうだいへの調査報告書』(2008) より)

これらのタイプを1人で複数持っているとか同じ人でも年齢によって入れ替わってくる場合もあります。親や学校の先生、周囲の大人には、こういった機能不全家族で育った子どもの特徴をきょうだい児が出していたときは、それを助長しないように関わります。ヒーロータイプで苦しいのに、真面目で責任感強いからと、便利使いで役割を引き受けさせると本人の生きづらさを助長するので、その子の家庭背景を踏まえた本質を見て関わり方を考えてあげてほしいと思います。
きょうだいたちは困っていても相談できない人が多くて、その背景には、親に手伝ってほしいことや相談したいことがあっても遠慮をしてきた経緯があります。そういう子どもには、困っている時に適切に相談するスキルを身に付けられるように(なおかつ、自尊感情を肯定的に保てるように)関わってあげる必要があります。
 
子どもが子どもとしていられる場所とか気持ちを吐き出す場所があるということはとても大切で、小さいときからケアしておかないと思春期に精神疾患を発症したりすることもあります。正確な数値はありませんが、きょうだいの精神疾患発症率は高いと言われます。また、学齢期だと周囲に人の目がまだありますが、大人になると仕事の相談はするけれどそれ以外の人生相談ってなかなかしないし、家族背景にまで立ち入ったアドバイスもしてもらいにくいですから、支援を受けにくくなるので配慮が必要だと考えられています。

文科省『#教師のバトン』ツイッター炎上

文科省企画、教員の魅力発信「#」窮状訴える投稿相次ぎ「炎上」

2021/3/30 【毎日新聞】

教員志望者が減る中、教員を目指す若者たちに仕事の魅力を伝えようと、文部科学省が教員たちの声をツイッターなどのネット交流サービス(SNS)で広げる企画を立ち上げたところ、当初の思惑と異なり、教員からは過酷な労働環境を訴える投稿が相次いだ。

萩生田光一文科相は30日の閣議後記者会見で、「『こんな職場に若い学生は来ない方がいい』みたいな意見もあって戸惑いを感じている」としつつ、「投稿いただいた先生がたの思いをしっかり受け止め、学校の『働き方改革』を進めていかなければならないとの意を強くした」と語った。

企画名は「『#教師のバトン』プロジェクト」。現場の先生たちが教育活動に懸ける思いなどを教員を目指している学生や社会人に知ってもらおうと、文科省の若手職員たちが発案した。

学校の日常の一コマや創意工夫、ちょっといい話などを「#(ハッシュタグ)教師のバトン」と付けてツイッターなどに投稿してもらおうというもので、今月26日にスタートした。
ところが、いざ投稿を呼びかけてみると、現場の窮状を訴える書き込みが相次いだ。
「20年間で削減された仕事は座高測定とギョウ虫検査しかありません」
「明日で退職です。朝から晩まで働きました。今思うと、失ったものがあまりにも多かった」
「教員の善意に甘え、保護者や社会にそんたくし、教員を守らなかった」と文科省の対応を批判する書き込みもあった。

こうした「炎上」を受け、文科省は29日、SNS上で「教員の皆さんの置かれている厳しい状況を再認識するとともに、改革を加速化させていく必要性を強く実感しています」「ご指摘いただいた通り、改革の質・量ともに全く十分ではありません」「いただいたご意見を分析し、本格的な改革につなげたいと考えております」などと釈明した。

文科省の2016年度の調査では小学校で3割以上、中学校では6割近い教員が「過労死ライン」とされる月80時間以上の残業をしていることが明らかになっている。

文科省は教員の負担軽減を図ろうと、中学校や高校の土日の部活動を学校管理下から外し、23年度から段階的に地域活動に移行させるほか、10年に1度の講習を義務づける教員免許更新制の抜本的見直しを中央教育審議会に諮問している。【大久保昂】

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以前にも「学校があてにされなくなった今、我こそはとオールマイティーの優秀な人材が集まるとは思えません」(教科担任制 02/10)と述べましたが、現場の少なくない職員も「この職業は勧められない」と思っているのです。こんなものをツイッターで公開すれば必ず炎上すると予測の立たない文科省官僚の感覚も相当現場とズレていることを露呈しました。確かに忙しいこともありますが、忙しくても自分の職業に誇りを持つ事はできます。一番の炎上の理由は、学校が現代に残る保守的な村社会の一つで、その障壁が変革を阻み未来を見えにくくしていることが大きいのかもしれません。

能力に見合っただけの評価もされないし、何が能力かも示されない中では、役人社会のように失敗をしないことが大事です。新しいことに取組んだりリスクのあることには近づけないような仕事は魅力がありません。民間の方がはるかに自由に創造的にリスクも背負って取組んでおり魅力的です。教員は教える専門職なのに総合職のようにあれもこれも仕事もこなさなければなりません。もちろん専門職なのですから、実践の結果が出せないなら子どもから選ばれなくなる仕組みが必要です。昔通りでは学校は変わらないのも事実です。教師が教師としてリスペクトされるにはまず教員を真の専門職とする学校制度に変えるべきだと思います。