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スティーブ・ジョブズが子どもにiPhoneやiPadを使わせなかった理由

スティーブ・ジョブズ(iPhone・iPadの生みの親)が子どもにiPhoneやiPadを使わせなかった理由

September 11, 2014 New York Times(新美真理子 訳)

2011年に亡くなったジョブスは、テクノロジーに関して本能的な才能があったが、親としてはローテクを貫き、子どもたちの電子機器の利用を厳しく制限すべきだと固く信じていました。「私達は、子どもたちのテクノロジー機器の利用を制限しています。」と、ジョブスは2010年、我が子のハイテク機器利用時間が増えることを心配して語りました。

現代の親なら百も承知だろうが、iPhoneやiPadは子ども達にとって非常に魅力的です。これら手のひらサイズの機器は最先端のおもちゃです。長い休暇、長いドライブの間などの親が忙しい時に、親の代わりとなって、子どもたちを喜ばせ、気晴らしをさせ、静かにさせてくれます。しかし、こうした超便利な助っ人に感謝する前に、それらの機器が子どもたちに及ぼす潜在的な害について心配すべきなのではないか?スティーブ・ジョブズはそう考えていました。今週発表されたニューヨーク・タイムズの記事で、ジャーナリストのニック・ビルトンは、ジョブスに彼の子どもがどのくらいiPodに夢中なのかを聞いた時の返事に驚いたことを回顧しました。

「子どもたちは、(iPodを)まだ使ったことがないのです。私は子どもたちのハイテク利用を制限しています。」「私はあっけにとられ、開いた口がふさがりませんでした。ジョブスの家ともなればハイテクオタクの天国のような場所を想像していたからです。壁は巨大なタッチパネルで、食卓にはiPadが埋め込まれていて、お客さんにはチョコレートのようにiPodがプレゼントされるような。 『いいや、それとは程遠いね』とジョブスは答えたのです。」

子どもがタッチスクリーンの機器で遊ぶことに関して大きな懸念を抱いているハイテク教祖はジョブスだけではありません。「ワイアード(Wired)」の元編集長、クリス・アンダーソンも、子どもたちが家庭にあるデジタル機器を使用する時間を親は厳しく制限すべきだと確信している。「子どもたちは私たち夫婦が厳しすぎると文句を言います。友達の家にはこんなに厳しいルールはないってね。でも、それは我々は誰よりも技術の危険性を見てきているからです。自分自身でも感じています。子どもたちの身にそのようなことは起こってもらいたくないのです。 」

UCLA大学の研究者たちが最近発表した研究によると、数日間、電子機器利用を禁止しただけで、子どもたちの社交スキルがまたたくまに向上したそうです。このことは大いに考える材料を与えてきます。なぜなら最近のリサーチで平均的なアメリカ人の子どもは1日に7時間半以上スマホや他のスクリーン(テレビ、パソコン、ゲームなど)を見ていると言われているからです。

ジョブスは間違いなくハイテクの天才です。しかし、彼は深夜までスクリーンを見つめてアングリーバードで遊んだり、Facebookで近況を更新し続けたりはしませんでした。「スティーブ・ジョブス」の著者、ウォルター・アイザックソンは、このアップル共同設立者の家で多くの時間を過ごしたが、そこで見たのは、スクリーンタイム(画面を見つめる時間)よりも、フェイス・トゥ・フェイス(面と向かった)の家族の会話を優先するジョブスの姿でした。「毎晩、スティーブは決まって、キッチンの長いテーブルで夕食をとり、本や歴史や様々なトピックについて話し合うのです。誰もiPadやコンピューターを使いません。子どもたちはデジタル機器中毒になっているようには全く見えませんでした。」だから、アップルやサムソンや他のハイテク企業が、最新の小型ハイテク機器がなければ人生物足りないと感じさせるような宣伝を暗にしてきたとしても、そうした機器の創始者が全く違う考えだった事を忘れないで欲しいのです。

ゲームやスマホにお守りをさせていませんか?翻訳の終わりに訳者の新美さんの見解が書かれています。ゲームやスマホによって著しく損なわれる社交性やコミュニケーション能力、また、問題解決力を子供の時からしっかり身につけさせるべきという、痛烈な批判が込められたメッセージです。さらに、すでにスマホやゲームの虜になってしまっている子どもたちを救済する方法として、取り上げるのではなく時間を制限する方法を提示されています。

全く取り上げるというのは難しいですから、まずは時間を制限することをおすすめします。 No Screen Policy(ノー・スクリーン・ポリシー)と呼ばれ、インター校(インターナショナル・スクール)では多くの家庭で取り入れられていました。 これは、夜(9時とか10時とかその家によって違います)になったら、スクリーン(テレビ、ゲーム、パソコン、スマホ)を禁止して、読書や音楽鑑賞や家族団らんや勉強の時間にする、という一般的な学校・家庭ルールでした。 子どもにとってよい睡眠は心身の発達に大切ですが、それを条例や法律で守るのか、家族や地域の文化にして守るのかを考えることも大切なことだと思います。

 

公立小「35人学級」、端末利用も本格化

学校現場も新しく公立小「35人学級」、端末利用も本格化

4/6(火) 19:32【産経新聞】

新型コロナウイルスの収束が見通せない中、各地の小中学校で6日以降、順次、新学期がスタートする。公立小では、教室の「3密」回避のため、1クラスの定員を引き下げた「35人学級」が始まる。導入初年は2年生が対象だが、すでに多くの自治体で実現済み。国の計画では3年生以上は卒業まで対象外となる一方、前倒しで高学年まで少人数化を拡充する動きもあり、地域や学年による学習環境の差の広がりも懸念される。

1クラスの人数は義務標準法で上限が定められており、教室の3密を解消するための方策として3月末に改正法が成立。公立小で、すでに35人だった1年生を除く2~6年生の上限を40人から35人にした。今年度から、学年ごとに5年かけて引き下げていく。

ただ、今年度の対象となる2年生は、指導の充実を目的に設けられた教員加配の予算措置により「すでに全国のほとんどの学校が35人学級となっている」(文部科学省)。そのため、学校現場の環境改善は限定的になるとみられる。

一方、国が示した移行計画に基づき少人数化を進めると、新3年生以上は卒業まで対象外となるため、一部の保護者からは「不公平だ」との声も上がる。東京都渋谷区立小では、児童数が計39人で2年生当時は各19、20人の2クラスだった編成が、新3年生に進級すると1クラス39人となり、学級人数がほぼ倍増するケースもあるという。

国の方針に先駆けて35人学級を前倒しで進める自治体も目立つ。埼玉県新座(にいざ)市は市立小4校で新3年生の学級が35人を上回ることになるため、独自に対象を拡大し、35人以下に抑えた。

平成20年度以降、少人数学級を増やしてきた北九州市では新学期から全ての学年で35人学級化が完了。市立小全体で昨年度に比べて約30クラスが増えることになった。東京都杉並区は都採用の教員に加え、区も独自に採用を行い、全学年を35人学級にしている。

都内では、昨年度時点で全学年が35人以下に収まっているのは公立小の約8割。2割は40人学級の学年が残るが、その中でも独自の工夫により学習環境の改善を進める例もある。

3年生から40人学級での編成となる荒川区立第三日暮里小では、月内にも全学年が利用できる校内専用のテレビ会議システムを導入。タブレットや電子黒板を使い、図書室やロビーなどを第2、第3の「教室」として活用して、分散させた児童を双方向で結ぶ授業などを検討している。

末永寿宣(としのぶ)校長は「学級という枠組みにとらわれず、校内全体を学びの場として考えた。教育効果も期待でき、教員の工夫次第でピンチをチャンスに変えられる」と話した。

■1人1台、先生が不安?
小中学校では3月末までにほとんどの自治体で学校現場にパソコンやタブレットといった1人1台の学習用端末の納品が完了し、新学期から本格的に授業などでの活用が始まる。ただ、不慣れな教員のスキル習熟や低学年に対する指導方法など課題が山積しており、政府の構想通りに進められるかは不透明な状況だ。

小中学生に対する1人1台の端末配備は新型コロナウイルス禍を受け、政府が前倒しで進める「GIGAスクール構想」の一環で、遅れが目立った学校現場のICT(情報通信技術)化の柱となる目玉政策だ。

文部科学省は学校現場での本格始動に合わせ、各地の教育委員会や学校現場から8人の教員を登用し、専属で支援を行うチームを強化。学校側の相談に対応するほか、ICT活用の参考授業例などを発信する。

ただ、学校現場では指導を始める前段階で課題が山積しているのが実情だ。6日に区立小中学校の入学式を行った東京都足立区では、5月から児童生徒に配布する計画だが、「チョーク1本でやってきたベテランを中心に不慣れな教員もかなり多い」(区教委)。

同区立校では、在校生の約2割に当たる約1万人の児童生徒の家庭には通信環境がなく、自宅への持ち帰りを前提にした文科省が示す構想の実現に苦心する。区教委の担当者は「教育方法を誤れば、子供に逆に苦手意識を与えかねないので丁寧に進めたい」と語る。

首都圏の公立小で低学年を受け持つ女性教員は「アルファベットを知らない子供にパスワードを入力させるのも一苦労。どう教えていくのか、走りながら考えるしかない」と話した。

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2年生はすでに措置済みと言うのは、京都府も同じです。国の加配を活用して平成20年度から、京都府の独自措置で教員配置の拡充を行い、小学校において30人程度(30~35人)の学級編制が可能となる教員を配置しています(京都方式)。ただ、国の制度は35人学級ですから、最小18人で平均27人ですからさらに減らせますし、これまでの加配部分を削らなければ通級指導や特別支援、ICT教育支援にも人手を回すことも可能となります。

「GIGAスクール構想」での混乱ぶりは記事にもうかがえます。この頃の端末は一度パスワードを打ち込めば端末自身が記憶していますし、iPad等は生体認証ですから、何故低学年にアルファベットのパスワードを毎回打たせているのか、導入担当者は何をしているのかと思ったりもします。そもそも、全ての生徒用端末は担当者がネットワーク上でパスワードを含めて管理できるようにするのが当たり前ですが、この記事を読んでいると不安にすらなります。

しかし、先生も子どもも習うより慣れろでしょう。導入すれば子どもは自分でどんどん学んでいきます。気になるのは、プログラミング教室の流行です。週1回90分で1か月2万円とは小学生にしては高額だと思いました。これは、いつまでたってもプログラミングを本格的に教えない学校の責任ではあるのですが、スクラッチなどはちょっと触れば子どもでも自然に学べるプログラム言語なのに「プログラミング」という言葉に大人が怖気づいてこんな高額な塾が流行る原因を作っているのではないかと思います。すてっぷやじゃんぷでも子どもの興味の持ち方次第では療育として十分に教えられる内容です。

8050問題

8050問題とは1980、90年代頃にひきこもりの子を持った家庭が、年月を経て、高齢化し、80代の親が50代の子を養う現象の事を言います。
8050問題が深刻化してしまったのは原因を若者問題・しつけ問題と浅薄にとらえてしまった政策の誤りだといわれています。
ひきこもりは、「社会復帰させる」「更生させる」事として捉えられたこと。そして、ひきこもりは単なる、「親のしつけ不足」や「若者に良くある心理」として考えられたからです。だから、ひきこもりの本人やその家庭は恥ずかしくて、悩みを打ち明けられず、改善する場所を見いだせずに現在に至ったのです。自治体や研究者はひきこもりの年齢が40歳以上にも調査結果がでていたのに、「若者自立・挑戦プラン(2003年)」という若者政策を出してしまい、修正しなかったのです。これらが結果的に8050問題につながるひきこもりの長期化をもたらしたと言われます。
ひきこもりは職場や学校での精神的なトラウマから起こる病気といっても過言ではありません。国の政策は実質、そのトラウマのある場所に戻そうとするのですから成果が上がらなかったのです。
8050問題の状況下にある家庭に良くある特徴は、ひきこもりを恥だと感じて、他者の協力を得る事が出来ない事です。その為、一向に子どもが現状から何もできない状況に陥ります。まずは、ひきこもり本人と、その家族がその悩みを打ち明けられる場所を全国的に設ける事が必要です。そして、「どこかに就労しなければならない」という事にこだわらず、働かなくても人はつながれるし生きていけるという選択肢を増やすことが重要です。現在、働く事は企業に勤める事だけではなく、支援を受けながら働く可能性は広がっています。その様な選択肢をひきこもりで悩む人に合わせて考えていける場を作る事こそが重要だと言えます。

 

 

自閉症児と絵カードでコミュニケーション第2版ーPECSとAAC-

PECSの市販本が出ました。実は前から出てたのですが、出すのが早すぎて (2006/7/1)誤訳もあったりして、良書なのに広く普及しなかったのです。今回は満を持しての第2版です。

AMAZONで今日から絶賛発売中で発売1日目で一時的な在庫切れになっています。しばらくお待ちください。

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「自閉症の子どもへの拡大代替コミュニケーション(AAC)の適用で、言葉の発達を妨げることはないということには、十分な科学的根拠(エビデンス)があり、それどころか、言葉の発達が促進される子どももいる。AACの1つである絵カード交換式コミュニケーション・システム(PECS)を用いてコミュニケートしていた子どもたちの中には、その後、言葉が出るようになった子どもが少なくないことを示す研究結果がいくつかある。PECSで30から100枚の絵カードを使ってコミュニケートするようになった子どもは、話し始めることが少なくない。多くの子どもが、言葉だけでコミュニケートできるようになり、PECSは使わなくなる。」(ボンディ&フロスト『自閉症児と絵カードでコミュニケーション,第2版』より)

子供たちが気を付けること

子供たちが気を付けること・・・専門家に聞く、学校での注意点 4月8日から新学期〈宮城〉

4/7(水) 19:58【仙台放送】

宮城県内ほとんどの小中学校で、4月8日から新学期が始まります。新型コロナウイルスの感染が急拡大している今、子どもたちが気を付けることを感染症の専門家に聞きました。

東北大学で、感染症を研究する吉田眞紀子助教です。県内では小中高校あわせて9件のクラスターが発生するなど、学校でも新型コロナウイルス感染の危険性は高まっています。子供たちは何を気を付ければいいのでしょうか?

東北大学大学院総合感染症学分野 吉田眞紀子 助教
「1番は“先生も生徒もマスクをしている”。2番は“距離がとれている”。3番は“換気がとてもいい”。これが守られていれば感染リスクはかなり下がる」

県内のほとんどの小中学校は8日から新学期を迎えます。子供たちや保護者に気になることを聞きました。
小学4年生
「楽しいけど、不安なところもある。体育の時にマスクを外して、集合するときに近づくから、どうなのかなと思います」
マスクを外す場面もあるのが、体育や音楽の授業。吉田助教も状況に応じてマスクをつける必要はあるとしています。

東北大学大学院総合感染症学分野 吉田眞紀子 助教
「できることならば、マスクはした方がいいです。広いグラウンドは非常に換気がいいため、1メートル、2メートルずつをあけて走るならマスクをしなくてもいいんじゃないか」

もう一つ、マスクを外す必要があるのが、給食の時間です。
小学4年生の保護者
「給食の時間にお話してるのをやめなきゃいけないのか」
マスク会食が呼びかけられる中、吉田助教も「給食での黙食」は大切と指摘します。

東北大学大学院総合感染症学分野 吉田眞紀子 助教
「食べるということは、非常にリスクを伴うタイミングではあります。『これおいしいね、食べる?』と会話をすると、その途端、口から飛沫が相手に届く。ちょっと寂しいけども、『まずはごはんは食べよう』。『食べる時は食べる、しゃべる時はしゃべると分けよう』と子供たちに話す」

子供たちの重症化リスクは低いとみられていますが、家族のためにも感染は避けなければなりません。子供たちからはこんな質問も…。

中学2年生
「友達とじゃれあって感染するケースがあるので怖いですね。除菌をするときに、一日に何回やったらいいのかとか気になります」

東北大学大学院総合感染症学分野 吉田眞紀子 助教
「何回すればいいのか。突き詰めると触ったたびに消毒しなきゃいけなくなる。それは実際には無理です。この感染症の中心となる感染経路は『会話・飛沫』なんだとだから、消毒にそこまで大変な思いをしてまでしなくて大丈夫」

コロナ疲れも指摘される中、吉田助教は過剰に心配することなく、基本的な対策を続けていくことが大切と話しています。

東北大学大学院総合感染症学分野 吉田眞紀子 助教
「今、分かってきたことをうまく取り入れて、過剰なことはしない。でも必要なことはしっかりときちんとやっていくことを守って、その上で、さまざまな遊びや授業を実践していってほしい」

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グランド・戸外はマスクはいらなかったはずが、いつの間にかの自己規制で外でもマスクをすることに変わっていきました。運動するときは、熱中症や換気障害の危険のリスクの方がはるかに高いのですからマスクは外して当然です。給食中はおしゃべりしないけど、遊び時間が長くなると前向きに考えます。そして、普段の自由な会話まで禁止する必要はないし、もしそれを規制するなら、そもそも授業が成り立たなくなります。

メディアは、子どもで重症化した人は誰もいないことをまず伝えることが大事です。子どもから家族に感染させない配慮を求めるコメンテーターがいますが、その配慮のない発言で敏感な子どもが不登校になっている責任こそ問いたいです。そもそも、この国のPCR陽性者率は欧米から二桁も少ないのです。日本は昨年2月からカウントして千人で5人ですが、アメリカでは千人で100人です。

東アジア圏は欧米と状況が全く違う事をメディアは積極的に伝えようとはしません。欧米の陽性者数で言えば誤差の範囲とも言える人数だけれども、人種的生物学的な違いかどうかは解明されてないので、伝統的に続けてきた手洗いうがいの予防を続けていくのが妥当な選択なのだと思います。

子どもたちにも、大人は正確な事実を伝えることが大事です。メディアは全ての事実を伝えているとは限らないという話も高学年以上には必要な知識かもしれません。そして、中学生くらいになれば、自分に大きな損害がないなら自分の意見が違っても大勢にあえて合わせておく処世術が大人にはあるということも伝えたいものです。

でも、長いものに巻かれる付和雷同型が増えると差別やいじめが起こりやすくなることも同時に教える必要があります。それ以上深い話になると政治や哲学・心理学の話になるので、自分で調べてみたら面白いかもしれないねと伝えようと思います。

発達障害のある子どもの家庭教師

発達障害のある子ども専門の家庭教師が増えています。「教育を十分に受けさせたい」という保護者は多いのですが、学校の現場には、特別支援教育の知識や経験がある教師の数が十分ではないことも背景にあるようです。

例えば、注意が散りやすい子どもには、上手な家庭教師なら90分の授業の間、教材を次々と変えていきます。集中力を途切れさせないための工夫です。ASDの場合こだわりが強い子が多いので、じっくりと向き合って、潜在能力を引き出すことが大事です。

発達障害の診断を受ける子どもが増え、保護者のニーズも高まり「発達障害コース」を設けた塾は次第に増えてきています。授業では生徒ごとの特性に合わせて、視覚優位を生かしたカラフルな教材を使ったり、歴史をうまく覚えられない子には歴史上の人物が載ったカードでゲームをさせたり、計算の苦手な子には教材に玩具のブロックを使ったりします。

教える側には、大学で心理学や特別支援教育を学んだ人や、身内に発達障害の人がいて育てた経験がある人などがいるところが信頼できるでしょう。料金は1時間あたり6千円~1万円ほど。教材をたくさんそろえ、個人にあった教え方が必要ですから市販の教材では間に合わないことも少なくないからです。環境が変わると混乱する子が多いので、同じ先生が担当することが多いです。

作文を一行も書けなかった小学生が原稿用紙一枚書けるようになったり、漢字が書けなかった中学生が漢字テストで平均点を取れるようになったり、通信簿がオール2だった中学生の生徒が2年間でオール4以上になって進学校に進んだケースが紹介される一方、うまくいかなかったケースはなかなか拡散されないので、どこのどの先生の指導がいいかどうかは何とも言えません。

全国展開をしているアークスタイル(大阪市)は派遣する専門の家庭教師の数は都市部でも足りず全国的に不足しているのではないかと言います。また、関係者は、家庭教師はただ遅れを取り戻すだけでなく、その子どもが何が得意で何が苦手かを正しく理解し、自尊心を尊重する指導を目指すことが大事だといいます。

学校では一律に授業を進めなくてはならず、カバーしきれない部分もあります。個別の対応を必要とする子がいる中、こうした家庭教師や塾の重要性はますます高まるのではないかと感じます。

PECSの受講がオンライン化

武漢ウィルス感染予防の中で、テレワークだとかリモートワークといって、インターネットを使って家庭や職場から離れた場所でノートやタブレット型PCで仕事をする方が増えています。

研修も、一堂に会して行うのではなく、ネットライブで学ぶものが増えています。そして、今回ついにPECSも大阪会場や福井会場はZOOMというアプリを使うことになりました。つまり、家の中で講義を聞き講師に質問できるのです。これは、ある意味、家庭を完全にはあけられない保護者には朗報かもしれません。ということで、オンラインワークショップは宣言が終結するまで続くのではないでしょうか。

※ZOOMについては、セキュリティー問題が指摘されていますが、新しいバージョンは問題ないようです。

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PECSレベル1ワークショップ オンラインワークショップ開催
4月 10, 2020 | イベント
4月18-19日に Zoom®のプラットフォームを使用してオンラインでPECSレベル1のワークショップを開催いたします。 コンサルタントと通常現地で行われるワークショップと同様に絵カード交換式コミュニケーションシステム(PECS®)のワークショップが皆様のご自宅からオンラインで受講できます。ワークショップはいつものようにインタラクティブな環境で絵カード交換式コミュニケーションについて学んでいただけます。 受講受付はこちらから。...

「市立京都奏和高」が開校

不登校生の学び直し支援定時制の「市立京都奏和高」が開校

4月9日(金)10時20分【毎日新聞】

不登校など、さまざまな事情を抱える生徒を受け入れる定時制高校「京都市立京都奏和(そうわ)高校」(高崎利明校長)が8日、同市伏見区に開校した。伏見工業高と西京高の定時制を将来的に再編・統合する形にした。多様なカリキュラムや少人数教育など、子どもの学び直しを支援する体制を整えている。

市教委によると、定時制高校は昼に働く子どもが夜間に学ぶ場とされてきたが、近年は不登校の経験者や発達障害などの生徒が通うケースが増加している。需要の変化に対応するため、市教委は2014年から開校の準備を進めていた。校名には「さまざまな困りがある生徒が個性を奏で響き合い、共に和をもって学び合う」との思いが込められている。

生徒一人一人の事情に対応するため、授業を受ける時間帯や通う年数が異なる4種類のカリキュラムから選べるようにした。一人一人に目が行き届くよう、1クラスの人数は約20人に絞った。スクールカウンセラーなどの専門家も配置する。

2月に実施した入試は、定員80人に対し225人が志願(倍率2・81倍)。8日の開校式で、新入生代表の小林麻優(まひろ)さん(15)は「さまざまな困りに対し、全生徒が認め合い、学び合っていきます」と誓った。

伏見工業高と西京高の定時制は21年度から募集を停止し、22、23年度に閉校する。【添島香苗】

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京都府立高校にも京都フレックス学園構想スタイルの高校で清明高校と清新高校があります。清明高校は「昼間二部制定時制・単位制」で2015年に北大路でスタートしています。清新高校は丹後弥栄町で昨年度開校しました。開設理由は定時制高校や専門高校の定員割れ対策と、時代と共に生徒の特別なニーズも変わってきた事に合わせた学校が必要になっている事です。今年度の倍率は、府立高校は1倍程度ですが、奏和高は3倍近くあり狭き門となっています。

知的遅れのない発達障害の子どもを広く受け入れる高校を作ることは大事なことですが、結果として普通高校から発達障害の生徒が消え、インクルージョンと言いながらどんどん分けて区切ってエクスクルージョンが進んでいるのではないかと思うのは筆者だけでしょうか。できれば、どこの高校でも様々な学び方が普通にできるように支援していくのが本来のあり方ではないかと思います。ただ、そのためには高校選択の時点で支援を考えるのではなく、小学校の早期からの当事者と保護者への持続的で安定した支援が必要となるのは言うまでもありません。

学習性無力感

「学習性無力感」は、失敗や嫌な経験をしたことが原因で何をしてもうまくいかないとあきらめてしまい、仕事や勉強に対してやる気がおきない無気力状態に陥る状態を指す言葉で、以前このブログにもレジリエンス=「困難や苦境からの回復力、復活力」で掲載しました。

さまざまな失敗経験をする中で、大きなストレスや苦痛を感じたことが原因で意欲が低下していきます。「自分にはできない」「何をしても無駄」だというあきらめの意識が芽生えて、仕事や勉強に取り組むことができない学習性無力感に陥ります。周囲からは「だらだらしている」「さぼっている」などと思われていますが、本人はなんとかやる気を出そうと葛藤しています。そのため、周囲に理解されにくくますます無力感が強くなるといわれています。

学習性無力感の原因は大きく4タイプに分けられるそうです。
1 完璧主義の人は何事にも100%で取り組むためエネルギー切れしやすく、ケアレスミスでさえ気にする傾向が高いため、負のループにはまりやすく、学習性無力感になると考えられます。
2 やる気や達成感に関係する脳内物質のドーパミン・アドレナリン・セロトニンは睡眠中に調整されます。そのため、睡眠時間が少なくなったり眠りが浅いと脳内物質の調整が不十分で、ささいなきっかけで学習性無力感に陥るといわれます。
3 幼い頃から大人の言うがままで、自分で意思決定をせずに大人になった人は、大人になっても現実の自分と向き合えず、学習性無力感に陥りやすくなります。このタイプは人生の節目(就職・結婚・子育てなど)ごとにつまずく人がいるそうです。
4 幼児期に虐待や過酷なイジメにあった、恋人や配偶者からDVを受けたなど自己否定をされ続けたことがあるタイプの方は、潜在意識で「何をしても無意味」「自分が認められることはない」などと考えているために学習性無力感に陥ります。この4番目のタイプには学習障害など発達障害の子どもたちが支援のない学習環境で苦手を強いられる状況に置かれていても同じように無力感に陥ります。
タイプ別に示しはしましたが、簡単に分けられない事も事実です。無力感が続けば生活リズムも乱れるでしょうから睡眠も不十分になる事もあります。また、環境変化に柔軟に対応しにくい自閉症圏の方なら1番も関係しやすいし、過集中のADHD圏の方なら2番もあてはまるというように発達障害の方はこの学習性無力感にハイリスクで陥りやすいということです。

回復の手立ては簡単ではありませんが、確実に達成可能な小さな目標を持たせ、一歩ずつ少しずつ実行させていくことです。本人に「できることがある」ということを認識させることで、自己肯定感を強めます。これを繰り返していくことで自己肯定感を持たせ、自信を取り戻してもらうことで学習性無力感を改善することができます。周囲にはサボっているように見えていても本人は一生懸命闘っているので「がんばれ」は激励にはならないので、温かく見守ることが大事です。

自閉症圏の方をはじめとする完璧主義タイプはすべてのことに対して100%を求めます。考え方として「70%達成できれば合格」と大人が誘導することで、「ほどほどの感覚」を学んでもらいます。
「何がしたいのかわからない」という悩みを持っている人は今後の目標を考えることが苦手です。今後の目標もなく学習や仕事に向き合っていればいつか行き詰まります。目標を持って学習や仕事に向き合ってもらうために、好きなことを実現する短期中期の目標や見通しを構築する支援をしましょう。
やる気や達成感の源である脳内物質のドーパミン・アドレナリン・セロトニンは睡眠によって調整されるので、睡眠時間を確保する手立てが必要です。最初は薬の力を借りて睡眠をしっかりとり生活リズムを整えることも可能なので、医師に相談してみましょう。

学習性無力感の原因は完璧主義、生活の乱れ、目標の未確立、つらい経験の4タイプがあります。また、学習性無力感になると意欲が低下して挨拶や発言をしなくなり、周囲からだらだらしていてサボっているように見えます。学習性無力感の人には、叱咤や激励よりも成功体験を積み重ねられるように工夫し支援しましょう。

新聞の見出し

「京大病院95人一時自宅待機 旅行などの自粛要請守らず 新型コロナウイルス」の 京大病院の記事の見出しだけ読んでいると、京大の研修医らを責めているように読めますが、内容をよく読むと、用心のため2週間待機させるというのが中身です。京大側も新聞の記事に慌てて、事実関係をホームページで説明しています。戦中も、震災中も原発事故中もこんなふうに事実を都合よく捻じ曲げて、何かのプロパガンダに使われることを一番注意しなければなりません。正しい情報を、正しい価値観で見抜く力が求められています。

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京大病院95人一時自宅待機 旅行などの自粛要請守らず 新型コロナウイルス
2020年4月8日 10時24分【朝日新聞】

京都大医学部付属病院(京都市左京区)に今年度から配属された医師や研修医ら計95人が、新型コロナウイルスの感染拡大により病院から自粛を求められていた飲酒を伴う会合や国内旅行をするなどしたとして、自宅待機になっていたことがわかった。

同病院によると、内訳は医師28人、研修医57人、事務職員ら10人。研修医は4月に95人が配属されたといい、その6割に当たるという。同病院の職場主催の飲酒の会合ではないという。
同病院は2月以降、院内での感染を予防する観点から、4月から配属される人に対し、飲酒を伴う会合や国内旅行などの自
粛を要請していた。守られなかった場合に自宅待機になるとは伝えていなかった。

今のところ症状が出ている人はおらず、会合などから2週間が過ぎた人から順次、仕事を始めているという。病院の診療態勢に影響は出ていないとしている。同病院は、自宅待機にした理由について「ほかの病院での事例に鑑み、新規採用職員に対しても、より厳しく対応をした。診療態勢を維持し、患者に安全な医療を受けてもらうための必要な措置と考えている」とのコメントを出した。(小林正典)
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京大病院ホームページから

新規採用研修医の自宅待機に関する報道について

先般、本院に採用された新研修医が多数自宅待機になっていることに ついての報道がございました。京大病院を受診されている患者さんや関 係者の皆様にご心配をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

本院では、本年3月に各地の大学を卒業したばかりで4月から本院で 勤務をはじめる新研修医に、4 月1日までの2週間の間に一回でも2人 以上(家族での食事を含む)で飲酒を伴う外食をしたことがあるか等に ついて自己申告を求め、該当する場合には外食等の事実があった翌日か ら14日間を自宅待機とすることで、感染リスクを徹底的にゼロに近づ ける措置を行いました。この自己申告をした新研修医が57名に上った というのが報道されている事実です。本院としては、就職予定の新研修 医等に旅行や外食等の自粛を予め連絡しておりましたが、必ずしも全員 が正確にその内容を十分理解できていたとは限らないなかで、研修医た ちは極めて真摯に自己申告してくれたものと認識しています。 未来の医療を担う若者です。温かく見守っていただければ幸甚です。 なお、これらの研修医等の中に、新型コロナウイルス感染症を発症し ている者は1名もおりません。

本院では、患者さんと医療スタッフを含む本院職員の安全を確保し、 高度な医療を継続的に提供し続けられるようにするために、家族での外 食の自粛を含む、厳しい基準での感染予防策を職員に求めております。 引き続き職員の感染予防に関する意識を高め、徹底した感染管理を行っ て、安心・安全な医療の提供を継続に尽力して参ります。

令和2年4月8日
京都大学医学部附属病院長 宮本 享