掲示板

みんなちがってみんないい

プログラミング教育

2020年から小学校でプログラミング教育の必修化が発表されました。
プログラミング教育の必修化を推進する背景として、Webエンジニアをはじめとする情報技術(IT)者の人材不足があります。調査によると、2020年に37万人、2030年には79万人のIT人材が不足すると予測しています
2015年に総務省の調査研究によると、2013年以降から子ども向けのプログラミング教室が増えているそうです。
そして、IT人材の不足に対応するため、総務省は2025年までにIT人材を新たに100万人育成する方針を発表しており、プログラミング教育が推進されています。保護者の反応としては、プログラミングを実際に勉強した人はプログラミング教育の必修化に賛成し、自分の子どもにもプログラミングを勉強させたいと思っているようです。
このブログでも書きましたが、マインクラフトもプログラミング教育として役立つと掲載しましたが、他にも実際にロボットを動かしたりと様々な企業が参入して面白い教材を開発しています。少なくない放デイの事業所もマインクラフトやプログラミング教育を導入しています。今後10~20年で、私たちの知っている半分の職種がAIで動く機械にとってかわられ、新しい職種が生まれるといいます。私たち大人も産業再構成に柔軟に対応していく必要がありそうです。

子どもの学び応援サイト

文部科学省は3月に、臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイト(子供の学び応援サイト)を開設しました。新型コロナウイルスに伴う臨時休業期間における学習支援コンテンツについて、学校種別に紹介しています。

ポータルサイトには、「小学校」「中学校」「高等学校」「特別支援教育」「幼児教育」「リンク集」「児童生徒・保護者へのメッセージ」を掲載。「小学校」「中学校」「高等学校」は、臨時休業期間における各教科などの家庭学習の工夫および教材例を紹介。「特別支援教育」では家庭学習の参考資料、「幼児教育」では家庭での過ごし方への配慮を紹介しています。

小学校の内容をみると、国語、社会、算数、理科、生活、音楽、体育、外国語・外国語活動など、13の教科についてまとめています。たとえば算数では、活用できるリンク集として「おすすめキッズサイト一覧 算数・数学(一般社団法人教科書協会)」「なるほど統計学園(総務省統計局)」を掲載しています。工夫例では、「児童の学習状況に応じて、教科書の復習問題や補充的な問題に取り組み、これまでの学習内容の習熟を図ったり、教科書の発展的な問題に取り組み、これまでの学習内容について理解を一層深めたりする」などの使い方を紹介しています。

中学校は、国語、社会、数学、理科、音楽、外国語など12の教科についてまとめています。外国語では、「中学校外国語教材『Bridge』(文部科学省)」「えいごネット(一般社団法人英語教育協議会、文部科学省協力)」など4つのWebサイトを掲載。「教科書や中学校外国語教材『Bridge』を活用して、英語の文章を読んだり、その内容理解のための問を解いたりする」などの工夫例を紹介しています。

メッセージでは、児童生徒に向けて、学校の休業中は、夏休みや冬休みなどと同じように、いつもどおりの生活リズムで過ごすといった生活に関することや、1人で勉強することが難しい場合には、周りの人にみてもらったり、手伝ってもらったりするなど学習に関することについてアドバイスしています。

保護者に向けては、子どもが家庭学習を行う場合には、掲載したWebサイトを参考にするなどして、子どもが取り組みやすい学習内容を選択することを勧めています。

ぼくは勉強がしたい

ぼくは勉強がしたい

2021年4月12日 【NHK NEWS】

読みたいのに読めない、読みづらい。書きたいのに、思うように書くことができない。そんな人たちがいます。ある少年は、まわりの大人たちの少しの工夫や補助する道具との出会いで勉強が楽しくなりました。いま、新たな一歩を踏み出そうとしています。

落ちこぼれだったぼく
「おれって、バカなんだろうな。てんで、できないやつなんだろうな」
神奈川県に住む菊田有祐さん(18)。小学生のとき自分のことをそう思っていた。いろんなことがクラスのみんなと同じようにできない。教室の後ろに貼られた書道は、自分のところだけ空白だ。観察日記も、調べ学習の表も、宿題もすべて出すことができない。
毎日のように放課後、残って宿題をした。

字を、書くのが苦痛
小学1年生の時にアスペルガー症候群と診断された。「この子は読み書きに苦労するかもしれない」主治医からそう言われた母は、つきっきりで読ませよう書かせようと努力してくれたが、一向に上達しなかった。

4年生のときの国語のテスト。名前の欄に大きく「きく田」と書いた。まわりの同級生が漢字でスラスラと名前を書くかたわら、名字を書くことで精いっぱいだった。同じころに受けた算数のテストは、2けたや3けたのかけ算が答えまでたどりつけていない。数字を書くだけでも難しいのに2列や3列にきちんと並べて書くなんてできなかった。

ふざけているわけでも、適当にしているわけでもない。考えていたことを書こうとするとそこで思考が止まり、初めにもどって考え直すの繰り返し。結局、考えがまとまらなくなってしまう。無理に書こうとすることで疲れてイライラが募り、鉛筆を2つに折って家に帰ることが日常になった。自分に自信が持てず、いつもおどおどしていた。そんな姿がいつしか同級生のからかいの対象になり、蹴られたり羽交い締めにされたりするようになった。「死にたい、飛び降りたい」そう感じるほど、追いつめられた。

文字が動く、逃げていく
奈良県に住む知直さん(19)も読み書きが苦手だ。小学校の高学年のころADHD(注意欠如・多動症)と診断された。視覚過敏があり、文字が黒、背景が真っ白といった具合にコントラストが強いと文字が見えにくくなる。背景を薄紫などに変えるといくらか和らぐが、それでも文字のフォントが明朝体だとお手上げだ。ゴシック体などと比べて細い部分と太い部分がある明朝体は、読もうとすると文字が動く。走り出す。逃げてしまう。どこを読んでいたか分からなくなる。

苦手なフォントのプリント
忘れられない出来事がある。6年生のある日、授業で配られたプリントがどうしても読めなかった。苦手なフォントが使われていたためだ。先生に授業で使うプリントを前日に渡してほしいとお願いした。前日にもらえれば、親に頼んで読みやすいフォントに打ちかえてもらうことができると考えたのだ。しかし先生の答えは「ノー」。授業の当日にプリントを印刷することもあるし、そもそもひとりだけ特別扱いはできないという理由からだった。毎日、毎日、読めない、書けない。朝、ベッドで泣きながら親に怒りをぶつけた。
「なんで目が覚めるの?なんで生きているの?」

希望の光が見えた日
読めない、書けない困難に直面していた2人の少年。彼らの学びを飛躍的に楽にした道具があります。パソコンやタブレット端末です。書くのが苦手な菊田さんは、5年生の夏休みに参加したセミナーでタブレット端末と出会いました。画面のキーボードを使えば、黒板の文字や先生の言ったことばを手で書かなくても端末に記録することができました。小学校ではこうした機器を持ち込むことは原則、禁止されていましたが、担任の先生が力になってくれて、6年生の4月から特別に認めてもらいました。

初めてタブレット端末を使ってノートをとった日。
「ママ、いつもの80倍くらいノートをとるのが楽だった!」そう、母親に報告したそうです。
菊田さん
「タブレットを使いだしたからといって、それで劇的に勉強ができるようになるわけではありませんが、少なくともぼくはノートを取ることが楽にできるようになり、頭の中にあった考えを形にするツールができたと感じました。授業が一気に楽しくなって理解も深まり、宿題なども提出できるようになりました」
それからはタブレット端末がいつも一緒。社会科見学にも修学旅行にも、つねに斜めがけにして持って行きました。
授業で発表するスライドを作る役目を買って出たときは「クラスに貢献している」と感じたそうです。イライラが減って友人たちと笑い合うことが増えていきました。

その後もタブレット端末などを活用して中学、高校と勉強に励み、ことしの春、大学に進学。起業して地方創生につながる観光の仕事を作り出すという夢に向かって新たな一歩を踏み出しています。

菊田さん
「学べることがうれしいし、すごく楽しみでわくわくしています。小学生のころの自分に伝えたい。もうすこし、もうすこしだけ我慢したら、自分の能力やできることに気付いて自分が好きになっていくので、もうすこし我慢してくれたらうれしいよ」

手段はなんだっていい
知直さんも中学校からタブレット端末の持ち込みが認められ、苦手なフォントを自分で変換するようになると授業が分かるようになりました。

その後、子どものころから大好きだったロボットを作りたいと高等専門学校に進学。
人の生活や仕事の動作を楽にするアシストロボットを作るという夢ができました。今、機械工学を研究できる大学への編入を目標に勉強を頑張っています。


知直さん
「自筆で書くことだけが『書く』ことなのかな?『書く』ことが『表現すること』だとしたら、道具はなんだっていいんじゃないかな。読むことも同じで『読む』ことが『情報を得る手段』だとしたら、読み上げソフトを使ってもパソコンを使っても手段はなんだっていい。ぼくはそう思っています」

気付いてほしい、知ってほしい
実は2人のように発達障害のある子どもが、読み書きを苦手とするケースは珍しくありません。

発達障害のある子どもの親およそ1000人に子どもの苦手なことを聞いた調査があります。
▽作文が嫌い・・55%
▽字を書くのに時間がかかる・・46%
▽スムーズな音読が難しい・・28%
(2018年全国LD親の会調べ)
多くの親が読んだり書いたりすることを子どもが苦手としていることに気付いていますが、対応が遅れてしまうことがあるといいます。

NPO法人 全国LD親の会 井上育世理事長
「発達障害はさまざまな症状が併発することが多いのですが、行動のほうが目立ってしまうのでどうしても読み書きの問題は見過ごされてしまいます。じっとしていられないから、集中できないから、勉強もできないと思われてしまうんです」
「まだまだ親も先生も、がんばって勉強したら読み書きはできるようになるものという考えが強い。学び方や得意なところが違うんだということが理解されるようになってほしい」

誰もが学びやすい社会へ
パソコンやタブレット端末との出会いによって読み書きの困難への対処法を見つけた菊田さんと知直さん。ただ、これが誰にでも当てはまるわけではありません。

専門家は、障害によって表れる症状には個人差が大きく、その人に合わせた学びの配慮が必要になると指摘します。

日本LD学会理事長 筑波大学 柘植雅義教授
「彼らが小学生だった頃にくらべて学びの配慮は格段になされるようになっていますが、十分かと言われたらまだまだ足りない」

「学びにおいては、ひとりひとりに応じた適切な配慮が求められています。先生と保護者が相談しながら、しっかりと『個別の指導計画』を立て、子どもの学びにとりこぼしがないよう、保護者も学校現場も私たち研究者も、向き合い続けていかなくてはなりません」

----------------------------------------

まだまだ、こんなニュースがニュースになること自体日本はつくづく後進国だと感じてしまいます。何しろ、福祉関係者が読み書き障害を含む学習障害は学校の仕事だと言われる方が少なくないのです。こうした方々には、単に学習障害を知ってほしいだけではなく、福祉がいつも教育を先導してきた歴史を学んでほしいのです。びわこ学園創設者糸賀先生の言葉は今でも福祉と社会の関係のあり方を示してくれています。

『この子らを世の光に』と支援の必要な子は世の中の方向性=「みんなちがってみんないい社会」を示しているのです。障害のある子の親と支援者たちが重度の障害児でも学校教育が必要と、1979年養護学校義務制は普通教育義務制から半世紀後に実現しました。民間の福祉施設で自閉症や発達障害の支援に成功した成果が特別支援教育として何とか花開こうとしていますが、静かな障害、見えない障害と言われる学習障害の社会的認知も支援もまだまだです。けれども、共生社会の実現は福祉と教育が両輪で走り続けてこそ前に進めるのです。そのために、関係者は飽きることなく諦めることなく同じ話を何度もすればいいのだと思います。

ぼくは勉強がしたい

保育所等訪問支援事業ーその2

かなり前に保育所等訪問事業を当事業所で実施しているとアナウンスしました。先日も連携先の施設参観や懇談を行いました。保育所・小学校・中学校と大きくなればなるほど支援関係先が増え、お互いに情報をいきわたらせるだけでもかなりの労力を割きます。というか、同じ情報を共有していなければ連携などできないといっても過言ではありません。そして、大勢の方たちのスケジュールを合わせて会議設定をして支援の方向性を出していきます。会議というのは結構コストがかかる代物です。人件費×人数×時間ですから多ければ多いほどコストがかさみます。保護者のオーダーで訪問事業者には支出されますが、残りの部署の各自は全額持ち出しですから、受け手の善意で成立しているといってもいいでしょう。もちろん訪問を受けることで各部署にも専門的な知見や技術が提供されるメリットがあるというのがこの事業の建前です。

さて、保育所や施設の場合は直接介入して「こんなふうに工夫します」と構造化支援や視覚支援ツールを使ったりや感覚統合アプローチなどを実際の子どもにやらせて、スタッフに見てもらって理解を促すことができますが、大きくなるとなかなか他の現場に実際に介入することがむつかしくなっていきます。第一に、当事者の思いがあります。また周囲の子どもや職員の理解や感情にも配慮していくことになります。そういうわけで高校までの支援ではありますが、だんだんお互いの情報を共有してベターな支援策をお互いに見つけていく支援会議の比重が重くなっていきます。このシステムは福祉だけでなく教育分野で準備しているところが多いですが、地域によって格差があります。

もともと、保育所等訪問支援事業は年齢の小さな子や障害の重い人でも工夫によって通常の環境に適応させていくというインクルージョン志向から始まったものです。つまり、児童発達支援事業や放デイを推進することはエクスクルーシブ(障害者の囲い込み)じゃないのかという声にバランスをとった政策と言えなくもないのです。実際には子どもを預かっているところが発達支援のイニシアティブをとるのは当然です。従って支援に必要な経費もスタッフの専門性維持の何もかも相談支援事業者には執行の権限がないなかでどれくらいのパフォーマンスが実現するのかは、双方の相性や条件次第というところかもしれません。

ただこの事業のいいところは業種を超えて知恵を集めてチームで子どものために頑張ろうというところだと思います。当然家族も含めてです。

ペアレントトレーニング(通称:ペアトレ)とは?

ペアトレとは、親が子育ての知識とスキルを学ぶトレーニングです。ペアトレでは、子どものさまざまな行動に対してどう対応したらよいのかを学ぶことができます。ペアトレと言うと親だけが取り組むものかと思われがちですが違います。放デイスタッフをはじめ、子どもに関わる全ての関係者の重要なスキル習得法と言えます。(先生用という意味でTトレとも呼びます)

プログラムの内容は、対象や手法によってさまざまですが、多くのプログラムで共通していることがあります。それは、次の視点です。

・子どもの好ましくない行動に気づき、それを減らしていく
・子どもの好ましい行動に気づき、それを伸ばしていく
子育てをしていると、好ましくない行動を減らすことばかりに目が向きがちですが、実は、“好ましい行動をいかに伸ばすか”という視点が重要です。好ましい行動のレパートリーが増えると、自然と好ましくない行動は減少していきます。
これまでの研究から、ペアトレに参加することで子どもの気になる行動の改善だけでなく、親のストレス低減も報告されています。

親のストレスが低減した理由は、子どもに対する適切な対応を学ぶことによって、子どもの行動が変化し、子育てが楽になったためとも推測されています。
子どもの好ましい行動を伸ばすためには、“ほめる”ことも大切です。
子どものいいところ(好ましい行動)を伸ばすための“ほめのコツ”は二つです。

(1)結果ではなくプロセスをほめる
アメリカの心理学者ドゥエックは、能力を褒められた子(例:頭がいいね)よりも努力を褒められた子(例:粘り強く頑張ったね)の方が、やる気が高く、後の成績が高くなることを指摘しています。努力をほめられた子は、失敗しても「努力が足りない」と考え、失敗を乗り越えるためにチャレンジしやすいことがわかっています。

(2)子どもに「どうやったらそんなにうまくできるの?」と質問してみる
大人から“驚かれる”ことによって自信を高める子どももいます。また、小学校低学年ごろまでの子どもの多くは、“どうやったらうまくいったか”をあまり意識していないと言われます。そのため、親が「どうやったらそんなにうまくできるの?」と質問し、うまくいった方法を子ども自身が自覚できるように促すとよいでしょう。
そうすることで、次の機会も子どもにとって望ましい結果が得られる可能性が高まります。

一方、叱るときのコツですが、支援現場では“太く、短く、端的に”を合言葉としています。長々と叱っては、本質が見えなくなります。もちろん、嫌味やダブルバインドもNGです。
また、小さい子どもの場合は視点取得が未発達のため、「相手の気持ちに立って考えてごらん」という言葉がけは通じにくいです。“太く、短く、端的に”をポイントに、親は子どもに伝わりやすい言葉を選んでいきましょう!

※叱ることが逆効果となるケース
親に注目されたいという思いが強すぎて、わざと親をイライラさせる行動をとってしまう子どももいます。
親が叱れば叱るほど、望ましくない行動(親をイライラさせる行動)がエスカレートする場合は、親が叱ることが子どもにとっての“ご褒美”となっている可能性もあります。この場合、叱ることは意味をなしていません。
今回のようなケースへの対応についてペアトレの発想から考えてみると、好ましくない行動を叱るのではなく、“好ましい行動をしているとき”をあえて狙ってほめるのです(親をイライラさせる行動を1日中していることはないはずです。親子で楽しく過ごせている時間にたくさんほめましょう)。
“叱られる”ということも“褒められる”ということも、子どもにとっては親からの注目を得ていることに変わりません。そうであるなら、双方が気持ちよく過ごせるやりかたを選んではどうかと思います。

 

『僕が跳びはねる理由』特別ビデオ舞台挨拶決定

『僕が跳びはねる理由』特別ビデオ舞台挨拶決定

アップリンク京都 【新風館 地下1階】
https://kyoto.uplink.co.jp/map

■日時:4月17日(土)
■登壇者:東田直樹(原作『自閉症の僕が跳びはねる理由』著者)、金原由佳(映画ジャーナリスト)

04.17土
僕が跳びはねる理由 【上映後ビデオ舞台挨拶】
09:30~11:18
14:35~16:23
16:50~18:38

※リモート出演のみ、劇場での登壇はございません。
※登壇者は変更となる場合がございます。予めご了承ください。

※上映時間は毎日異なりますのでスケジュールをご確認ください。

自閉症者の内面を語った内容が大反響を呼び、世界30か国以上で出版された大ベストセラーを映画化!
みんな同じ空の下、“普通”の君と自閉症の僕との未来はきっとつながる??
『自閉症の僕が跳びはねる理由』(エスコアール、角川文庫、角川つばさ文庫)は会話のできない自閉症という障害を抱える作家・東田直樹がわずか13歳の時に執筆したエッセイ。他者との会話が成立しづらいため、今まで理解されにくかった自閉症者の内面の感情や思考、記憶を分かりやすい言葉で伝えた内容が大きな注目と感動を呼び、その後30か国以上で出版され現在117万部を超える世界的ベストセラー作品に。

サンダンス映画祭で観客賞受賞など、海外映画祭で絶賛!
このベストラー作品をもとに映画化された『僕が跳びはねる理由』は世界最大のインディペンデント映画祭としても有名なサンダンス映画祭(第36回/2020年1月開催)ワールド・シネマ・ドキュメンタリーコンペティション部門において観客賞を受賞、更に同じく2020年10月に開催された第39回バンクーバー国際映画祭の長編インターナショナルドキュメンタリー部門観客賞とインパクト大賞のダブル受賞など、高い評価を受けた。2005年、わずか13歳の少年が紡いだ言葉が海を越え、今もなお世界中の自閉症者やその親たちに希望を与え続けている。

自閉症者が見つめ、感じ、生きる世界を通じて、“普通”とは何か、そして“会話”の大切さを描く、感動のドキュメンタリー!

この映画は自閉症者の内面がその行動にどのような影響を与えるか、また彼らにとって自閉症という障害が意味するもの、そして彼らの世界が“普通”と言われる人たちとどのように異なって映っているのかを、世界各地の5人の自閉症の少年少女たちの姿やその家族たちの証言を追い明らかにしていく、誰も観たことのない驚きと発見に満ち溢れている。そして、「普通とは?」「個性とは何か」という普遍的な疑問、「会話(=コミュニケーション)の大切さ」「多様性の重視」など…他者と分断されている今を生きる誰もが共感しうる、感動のドキュメンタリー映画である。

東田直樹著『自閉症の僕が跳びはねる理由』と映画『僕が跳びはねる理由』とは…?
映画『僕が跳びはねる理由』の元となった原作『自閉症の僕が跳びはねる理由』は作家・東田直樹がわずか13歳の時に執筆したエッセイ。理解されにくかった自閉症者の内面を、自らも重度の自閉症を抱える著者が平易な言葉で記した内容が大きな注目と感動を呼んだ。
その原作を英訳したのはデイヴィッド・ミッチェルとその妻ケイコ・ヨシダ。デイヴィッド・ミッチェルはトム・ハンクス、ハル・ベリー主演の映画『クラウド・アトラス』(2012)の原作などで知られるイギリスのベストセラー作家である。

日本に滞在していた経験もあるデイヴィッド・ミッチェル、自らも自閉症の息子を育てる彼らが、困り果てていた我が子の行動に対する疑問の答えを東田の『自閉症の僕が跳びはねる理由』の中に見つけ、「世界中の自閉症の子を持つ親にもこの本を読んで欲しい、伝えたい」という願いから翻訳を行ない、2013年『The Reason I Jump』として出版した。『The Reason I Jump』は瞬く間に話題を呼び、現在では世界30か国以上で出版され、117万部を超えベストセラーとなり、今現在も話題を呼び続けている。

一方、2014年NHKが原作「自閉症の僕が跳びはねる理由」を取り上げ、「君が僕の息子について教えてくれたこと」として放映。番組内では東田直樹とデイヴィッド・ミッチェルが対面している模様も紹介された。その後「自閉症の君が教えてくれたこと」(2016)と翌2017年「自閉症の君との日々」(すべてNHK)と、3度に渡り本作が紹介された。
そして、この英語版『The Reason I Jump』が、本作にも出演しているジョスの両親(本作のプロデューサーを務めるジェレミー・ディアとスティーヴィー・リー)の目にとまり、映画『僕が跳びはねる理由』が誕生したのである。

【自閉症とは?】
自閉症とは発達障害のひとつ。原因は特定されておらず、生まれつきの中枢神経機能の障害であると考えられている。「対人関係の構築が難しく集団に馴染めない」「強いこだわりがあり変化を嫌う」という二大特徴があるが、これが本人の生活に支障を及ぼしていなければ障害とは呼ばない。反対に、それによって本人が苦しみ生活にもさまざまな不自由がある場合は、医療や福祉のサポートが必要となる。精神科の分野における自閉症の歴史はまだ80年に満たないため、その概念は近年でも大きく変化している。広汎性発達障害、高機能自閉症、アスペルガー症候群などの用語も生まれては消え、現在では「自閉症スペクトラム」(スペクトラム=集合体)という名称を使うのが一般的。「自閉症スペクトラム」は、障害者と見なす必要のない人まで含むと、全人口の10%を占めるとも言われる。もしもそれだけの人数がいるとなれば、これを「障害」と考えるのは無理があるだろう。現在では、「症状」を「個性」と受け止め、発達障害を持つ人を社会的マイノリティとして支援する流れも生まれている。

『僕が跳びはねる理由』(2020年/イギリス/82分/シネスコ/5.1ch)
監督:ジェリー・ロスウェル
プロデューサー:ジェレミー・ディア、スティーヴィー・リー、アル・モロー
撮影: ルーベン・ウッディン・デカンプス
編集: デイヴィッド・シャラップ 音楽: ナニータ・デサイー
原題:The Reason I Jump
字幕翻訳:高内朝子
字幕監修:山登敬之
原作:東田直樹『自閉症の僕が跳びはねる理由』(エスコアール、角川文庫、角川つばさ文庫)
翻訳原作:『The Reason I Jump』(翻訳:デイヴィッド・ミッチェル、ケイコ・ヨシダ)
配給:KADOKAWA

--------------------------------
アップリンク京都での上映時間が発表されました。今週金曜から1週間上映です。土曜日は上映後に原作者の東田さんからビデオメッセージが上映されます。イギリス映画でしかもドキュメンタリー映画なので、ちょっとスローでマイナーなイメージはぬぐえませんが観に行こう思います。

東田さんは自閉症関係者の間では良く知られていましたが、世界的に知られるようになったのは、小説家ディビット・ミッチェルの英訳からです。デイビット・ミッチェルもまた映画「クラウド アトラス」(2012年製作、主演トム・ハンクス)の原作者として世界的に有名になった観があります。この映画は、輪廻転生を描いたSF映画です。6つの時代設定とストーリーを行き来しながら物語が進みます。ジャンルとしてはSFですがコメディやサスペンスなど様々な要素が楽しめる作品です。

最初はシーンの転換が多くて展開に追いつけず眠くなりますが、徐々に話の関連が見えてきて引き込まれていく映画です。映画で著名になった小説家、彼の翻訳出版で世界のベストセラーになった本、この本が廻り廻って映画になる。自閉症を鍵にした輪廻転生を感じさせます。

 

声のメータ表


不必要に大きい声で話したり、または逆に全く聞こえない声で話したりする子が少なくない当事業所では声のメータ表を掲示しています。
事業所100m前から来たな!とわかる声もあれば。1m隣でもこちらの耳の老化のせいもあり聞き取れない小さな音量もあります。
でも、視覚で確認できれば自分はどのくらいの声で話したら良いのかがわかるようです。イラストにしていまの声はこれくらいかなと示せるようにしてあります。
「0」が心の中
「1」が隣の人
「2」が4、5人のグループ
「3」が部屋全体
「4」が屋外
数字で表すととても具体的で子どもにも分かりやすいです。実はこの課題に取り組んでいる方は結構いて、「アリからライオンの声」までで表現したり「円の面積の大小」示したりいろんな工夫があります。筆者が困るのは声の大きさは丁度よくても、早口で声のトーンが上がってしまいキーキー声になる方がいるのです。これにはどんなレベルメータがいいか思案中です。

 

ドロボー! 子どもと鉢合わせ相次ぐ

子どもの留守番には十分注意してほしいとの警戒情報は近隣自治体でも入っています。ご注意を。

--------------------------------------------

休校、留守番中にドロボー! 子どもと鉢合わせ相次ぐ 警察「家族で対策を」
2020年4月15日 20:04【毎日新聞社】

新型コロナウイルス感染拡大の影響により学校が休校となるなか、自宅で留守番していた小中学生が、窃盗犯と鉢合わせする事件が愛知県内で3件確認された。専門家は「鉢合わせは、強盗などの重大事件に発展しかねない」と警鐘を鳴らしている。

愛知県警によると、愛知県の尾張地方で3月23日午前、小学生の女児(10)が自宅に1人で留守番中、鍵の閉まっていない窓から侵入した男と遭遇。男は女児を見つけると何も取らずに逃走した。また、同日午後には、同じ地方の男児(11)が留守番中、2人組の男が窓ガラスを割って侵入。2人組は男児に「ずっと前を向いていて」と指示し、キャッシュカードなどを盗んで逃げた。

三河地方では4月9日午前、留守番中の男子中学生(13)が窓をたたく音を聞き、怖くなって2階に避難。侵入者との接触はなかったものの、窓ガラスが割られ、バッグなどが盗まれていたという。侵入されたのはいずれも戸建て住宅で、3人の子どもにけがはなかった。

愛知県では3月2日から小中学校で臨時休校が始まった。県独自の緊急事態宣言を受け、休校は5月の大型連休以降まで続く見込みだ。そこで県は、留守番中の子どもの防犯対策として▽玄関ドアや窓の施錠を徹底する▽在宅中であることを周囲に知らせるため、明かりやテレビをつける▽自宅近くで逃げ込める場所を決めておく――などを県内の小中学校に通知している。

県内の侵入盗は長年、全国ワーストクラス。留守中の子どもと窃盗犯の接触は重大事件につながりかねないとして、県警もツイッターで注意を呼び掛けている。担当者は「留守中に泥棒が入る可能性があることを子どもに教えることが必要。110番の仕方やどこに逃げるのか、家族で対策を話し合ってほしい」と訴えた。

防犯に詳しい龍谷大犯罪学研究センター長の石塚伸一教授(犯罪学)は「今後も休校が続くため、自宅で待機している子供が窃盗犯と鉢合わせする事態は、休校を続ける全国各地で起きる可能性がある」と指摘。「鉢合わせすることで、窃盗犯が驚き、強盗や殺人などの重大事件になってしまう危険がある。施錠の徹底や家に人がいるということが外からも分かるようにすべきだ」と話した。【高井瞳、ガン・クリスティーナ】

退学処分の発達障害児、私立小を提訴 問題行動理由「差別的」

退学処分の発達障害児、私立小を提訴 問題行動理由「差別的」、学校側は「全力で対応した」

2021/4/15 6:00 【西日本新聞】森 亮輔

福岡県内の私立小に通っていた発達障害のある男児が、障害が起因とみられる問題行動を理由に退学させられたのは違法として、学校の運営法人に慰謝料など660万円の損害賠償を求め福岡地裁に提訴した。14日に第1回口頭弁論があり、男児側は「障害児への配慮が全くされず、違法の程度は甚大」と主張、学校側は「教育上の配慮は尽くした」と請求棄却を求めた。

訴状などによると、男児は2019年4月に私立小に入学。1年時から通学バス内で落ち着かず、級友とのトラブルも相次ぎ、手を出してしまうこともあった。2年時の20年6月、医療機関で発達障害の一つ、注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断され、保護者は学校側に伝えた。

同年9月、級友ともめた男児が教室内で椅子を投げた。けが人はなかったが、事態を重く見た学校側は保護者に公立小への転校を提案。保護者は受け入れず、学校側は「学校の秩序を乱し、その他、生徒としての本分に反した者」を退学にできるとする学校教育法施行規則に基づき、退学処分とした。

男児側は、問題行動は発達障害に起因すると考えられ、通院治療で症状は改善していると主張。学校側の対応を「外部専門家の助言による事態改善を図らず、主治医との連携もしていない」と批判し、退学処分は「社会通念上、著しく妥当性を欠き、障害児に対する差別的な措置」と訴える。

男児の母親は西日本新聞の取材に「手がかかる児童を追い出したいから退学にしたとしか思えない」、代理人の小杉晴洋弁護士は「訴訟を通じ、発達障害に対する私立小の姿勢を問いたい」と話した。男児は現在、公立小に通い、特段のトラブルはないという。

一方、学校側は「発達障害を原因に退学させたのではない」と強調。退学処分の理由について「入学時から問題行動が繰り返され、椅子を投げるという非常に危険な行動があり、他の児童の安全確保に懸念が生じた。保護者の協力も得られなかった」としている。

男児へ対応するため常駐の臨床心理士を雇うなど配慮は続けたとして「男児が集団生活に適応しながら、心身ともに健やかに生活できるよう全力で対応した」と反論している。(森亮輔)

--------------------------------
公立の義務制学校は懲戒退学とすることはできない(学校教育法施行規則第26条第3項)と定められています。一方、私学の場合は懲戒退学処分を受けたとしても公立学校に転学することが可能であるため、学齢児童・生徒に対する懲戒退学処分も認められています。従って、学校との契約関係において逸脱があったときは退学を決定することができるというのが学校の言い分です。

これに対して原告は「訴訟を通じ、発達障害に対する私立小の姿勢を問いたい」というわけですから、退学の是非よりも学校の発達障害に対するあれこれの対応を白日の下にさらすというのが目的のようでう。確かに全体の授業が進められないとして転校を勧め、転校を拒否された場合の退学処分には法的な瑕疵はないかもしれません。

ただ、本人が暴力など危険行為に至る経過に、学校の合理的配慮がなされなかったり、発達障害に対して不適切な指導があった場合は学校の責任も問われます。本人の障害の状態にもよりますが、どの程度以上の配慮を合理的配慮として認めるか、どの程度の指導を不適切な指導と認めるかが争点になります。

私学公立間だけでなく、公立学校から支援学校への指導困難とされる生徒の転校ケースもたまにあります。子どもに柔軟に合わせられる支援学校の環境の方が子どもの成長につながると保護者に転校を勧めた結果です。そのほとんどは他害が一番多いと思います。しかし、支援学校もオールマイティーではありません。中には入院など医療的な支援が必要な生徒もいます。周囲の子どもに危害を加えたりその危険が高い場合というのは通常学校と同じです。

今回のケースがどういうものなのか判決が出るまでは静観するしかありませんが、どこまでを通常学校の合理的配慮とするのか、必要な支援と認めるのか、その線引きが明らかになるなら訴訟の意味はあると思います。

対人関係を調整することの難しさ

ASDの人たちに共通する特性の一つに対人関係を調整することの難しさがあります。特性の強さや現れ方は子どもによって違いがあり、ある特性が特に強い場合や、成長に従って特性が変化することもあります。

ASDの子どもは、他者との関わり方やコミュニケーションの取り方が変わっていることがあります。相手の気持ちや状況といったあいまいなことを理解するのが苦手で、字句どおりや状況に関係なく理屈だけで判断したり行動をとる傾向にあり、臨機応変な対人関係を築くことが難しく、誤解されたり相手を誤解したりすることが少なくありません。

表情や話しぶり、視線などから相手の気持ちをくみ取ることができにくいので「暗黙のルール」がわからず孤立しやすいです。受け身過ぎたり、一方的過ぎるなど、双方向の対人関係がうまくとれない人もいます。
表面的な会話だけでは問題はないのですが、場の空気を読めないなどの特徴のために周囲の人のひんしゅくを買ったりすることがあります。普通に話しているつもりなのに相手を不愉快にさせたり、怒らせてしまったりするので友達ができにくい人もいます。

この特性のために本人は「生きづらさ」を感じることもあります。一方で、「人の意見にぶれずに課題を遂行する」などの形で、特性がむしろその人の強みになることもあります。「高い記憶力」や「好きなことへのこだわり」といった特性を発揮して仕事や趣味で充実した生活を送っている方もたくさんいます。だから、その子がもって生まれた個性と理解して、「生きづらさ」を軽減しながら得意なことを伸ばす支援が大切です。

筆者がよく経験するのは、ASDの方が緊張をされている環境の中では対人理解に誤解がよく生じます。先生から、友達から、上司からひどいことを言われたというものです。また、誤解された相手は「そんなひどいことは言った覚えがない」と憤慨されます。相手方の言われた内容をよく聞いてみると、通常の関係なら善意の励ましや激励、正確な理解を促すための説明となるのですが、聞き言葉をうまく処理できにくい方や中心的な趣旨をつかみにくい方なら、誤解するかもしれないなと思うことはよくあります。

こんな時に言った言わないについて第3者が介入すると、水掛け論どころか火に油の場合もあります。言った言わないは保留して、あの環境下では誤解が生じやすかったのだという認識を双方が持つことが大事ではないかと思います。どちらも悪意はない。善意で話しあったけれども、双方の真意は届かなかった。届かなかったものは今届ければいい。今後はこういう解決方法を取ればいい。と未来志向で向かい合って話し合うことが必要です。第3者はどちらの肩も持たず、誤解があったこと、誤解ならば解く必要があること、次回はこうすればうまくいくという支援が大事だと思うのです。