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1. 障害を持つ子どもの「きょうだい児」

投稿日時: 2020/04/02 staff3

障害を持つ子どもの「きょうだい児」が、子どもらしく健全に発達しているかどうかについては、アダルトチルドレンの5つのタイプを基準に考えます。アダルトチルドレンとは、子どもが子どもらしく育つことのできなかった家庭、つまり「機能不全」家族で育って大人になった人(Adult Children of Dysfunctional Family)という意味で使われ、次のような5つのタイプに分類されます。

ヒーロー:優等生であり家族の誇りとなるような行動をとることで自分の存在価値を得ようと頑張るタイプであり、疲れていても休めない、完璧にできない自分を責めるといった傾向がある。
身代わり:家でも学校でも何かとトラブルを起こすことで、家族の中にある葛藤や緊張から目をそらさせる役割をしているタイプであり、内面にある寂しさやつらさを誰にも言えずに行動にあらわす傾向がある。
いなくなった子:ほめられるわけでも問題を起こすわけでもなく、目立たずに存在を忘れられたかのようにしているタイプで、目立たずにいることで自分が傷つくことから身を守っているものの、孤独感を強める傾向がある。
道化師:おどけた態度やしぐさで家族の緊張を和らげ、場を和ませる役割をするタイプで、自分の辛さをはっきり言葉にすることができないという傾向がある。
世話役:小さい時から親の面倒をみたり、愚痴や相談を聞いたりとカウンセラーのような役割を果たし、妹や弟の保護者役になったりするタイ プで、自分のことはいつも後回しにしているため自分の感情やしたいことがわからなくなる傾向がある。
(財団法人国際障害者記念ナイスハート基金 『障害のある人のきょうだいへの調査報告書』(2008) より)

これらのタイプを1人で複数持っているとか同じ人でも年齢によって入れ替わってくる場合もあります。親や学校の先生、周囲の大人には、こういった機能不全家族で育った子どもの特徴をきょうだい児が出していたときは、それを助長しないように関わります。ヒーロータイプで苦しいのに、真面目で責任感強いからと、便利使いで役割を引き受けさせると本人の生きづらさを助長するので、その子の家庭背景を踏まえた本質を見て関わり方を考えてあげてほしいと思います。
きょうだいたちは困っていても相談できない人が多くて、その背景には、親に手伝ってほしいことや相談したいことがあっても遠慮をしてきた経緯があります。そういう子どもには、困っている時に適切に相談するスキルを身に付けられるように(なおかつ、自尊感情を肯定的に保てるように)関わってあげる必要があります。
 
子どもが子どもとしていられる場所とか気持ちを吐き出す場所があるということはとても大切で、小さいときからケアしておかないと思春期に精神疾患を発症したりすることもあります。正確な数値はありませんが、きょうだいの精神疾患発症率は高いと言われます。また、学齢期だと周囲に人の目がまだありますが、大人になると仕事の相談はするけれどそれ以外の人生相談ってなかなかしないし、家族背景にまで立ち入ったアドバイスもしてもらいにくいですから、支援を受けにくくなるので配慮が必要だと考えられています。