すてっぷ・じゃんぷ日記

2019年12月の記事一覧

良いお年を

本日は今年最終日です。12名の利用者と8名のスタッフで過ごしました。本事業所の利用登録者は30名を超え、来年度に向けても新しい利用希望者が見学に来ています。放デイは一日10名が経営的に安定しやすい仕組になっているので、これ以上利用登録者を増やすよりも新しい事業所を立ち上げて対応した方が良いサービスが提供できます。ただ、同じものを二つ作るのではなく、現在の生活型以外に高学年や中学生向けのLD支援や自己認知学習を含めた療育型を作るべきではないかと考えています。すてっぷは外遊びしたり調理をしたりゲームをして社会性を学んでいくというのがコンセプトですが、成長と共に遊びや学びのニーズは変わってくるので、これに対応する必要がでてきているのです。

また、就学前の知的遅れのない子どもの発達障害支援も重要です。小学校で学齢が大きくなってから幼少期で少し気になっていた課題が顕在化するケースも少なくないからです。また、保護者の方への子育ての知恵も家族や地域の絆が細くなっている現在では、ペアレントトレーニングや子育ての苦労を共有するピアカウンセリングも必要となっています。残念ながら、ペアトレもピアカンも放デイや発達支援事業所には認められていない機能ですが、これがもっとも成果が上がる手法であることはいくつもの研究成果で明らかになっています。これらの親子の課題を解決するには、このタイプの事業所を作り今までにない機能を付加していくことが求められていると感じます。

残念ながら、人材が集まらず来年度すぐには新事業所は立ち上げられませんが、あきらめることなく取り組んでいきたいと思います。今年度はまだ3か月ありますが、年末に当たり皆様からのご支援とご協力に対し感謝申し上げ、皆様の御多幸をお祈りしてひとまず今年のHPを終了いたします。年始は1/6月曜よりHP掲載を再開いたします。(事業所は1/4土曜より開所します)良いお年をお迎えください。

 

スクラッチアート

スクラッチアートとは、アメリカをはじめとする海外でブームの新しいお絵描きです。子どもたちに大人気となり様々なシリーズが発売されていますが、大人向けの本格的絵画をスクラッチするものもあります。

黒いスクラッチ面を専用ペンでけずると、キラキラ光るホログラムの線や、美しい色の線を描くことができます。子どもの頃、クレヨンでカラフルな下地をぬり、さらに上から黒でぬりつぶし、黒い面をけずる「スクラッチおえかき」を体験した人も少なくないと思います。それと同様のしくみを、最新の印刷技術で商品化し、手軽に楽しめるようになったものが「スクラッチアート」です。こういう細かい作業はASDの人の方がダントツに上手です。冬の夜長にこつこつ削る(描く)のもいい感じです。

ビンゴゲーム

ビンゴゲームは1500年頃、イタリアで発祥したと言われています。もとは"Lo Giuoco del Lotto D'Italia"と呼ばれていました。後の19世紀初頭、北アメリカに伝達し当時の子供達の間で遊ばれていた『Lotto』という数字集め遊びが縦横ナナメを揃える数字ゲームに発展して行きました。"Lo Giuoco del Lotto D'Italia"は当時毎週土曜日に遊ばれ、18世紀にはフランスへ伝達して紳士の間でプレイされました。後にドイツへ伝えられて子供達の間で算数教育のためのゲームとして親しまれました。

北アメリカの『Lotto』は20世紀には「beano」と呼ばれ、そして1936年頃、おもちゃ屋セールスマンEdwin S. Loweが間違えて“ビーノ”を“ビンゴ”を叫んでしまったことから、今のように呼ばれるようになりました。おそらく「bin・go」で英語で「やった!」というような意味です。ペンシルバニア州のカトリック教会の神父が、交流ためにこのゲームを利用したのをきっかけに、現在では世界中の人気ゲームとなったといいます。

パーティーと言えばBINGOゲーム、本事業所では5×5マスでは難しいので3×3マスで取組んでいます。BINGOしたら、自分の好きなクリスマス用のお菓子セットが選べます。

君の名は

公園では、みんなで「だるまさんが転んだ」や「けった」をします。みんな好んで鬼をやりたがるのですが、1年を超えて一緒に通所してきている仲間の名前をまだ覚えてない子がいるのには驚きました。毎週1回は必ず顔を合わしていても、「あの人」で済ませているのです。ASDの他者に興味がない特性とは言えここまで興味がなかったかと愕然とします。そういえば、知らない人がいたならまず名前を交わすという行動が、利用者の子どもたちには見受けられません。いつもスタッフが紹介しているからと言えばそれまでですが、関心がなければ覚えることもないのです。

冬休みの宿題

小学校も今日から冬休み。学校の先生方とも良いお年をと言葉を交わして「お迎え」をしてきました。子どもたちは「早く宿題を終わらせて楽しく冬休みを過ごしたい」とそわそわしています。その一方で「どうせまた苦手な繰り上がり下がりの計算問題があるから憂鬱やねん」「憂鬱なものからさっさと終わらせたいねん」と話します。

学校は相変わらずドリル一本やりの宿題が多いです。それがワーキングメモリーの弱い子どもたちに学習性無力感を与えるものだとは知らないようです(知ってたら問題ですが…)子どもの嫌うドリル学習をいくらやってもワーキングメモリーは鍛えることはできません。脳は楽しいという情動で学習が成立するからです。

もちろん速音読や暗算やNバックトレーニングはワーキングメモリーを鍛えます。ワーキングメモリーを鍛えることは物事の段取りや見通しの力というプランニングの力も伸ばしていきます。つまり人に頼らないで過ごせるのですから、生活の自由度は増大します。自由に生活ができれば、自尊感情は当然高まります。

しかし、ここで、鶏が先か卵が先かの話をしていてもしかたがありません。要するに苦手な音読や暗算とは思わせずにワーキングメモリーを鍛える楽しい学習をどう演出するかです。デジタルデバイスを利用してゲームのようにトレーニングする機器も出ています。高額ですし、誰にでも効果があるのかどうか確認できないので、お勧めはできないのですがいくつか商品化されているものもあります。http://www.cogmed-japan.com/

ワーキングメモリー 05/07」でも書きましたが、この力は生活に欠くことができません。ワーキングメモリーのピークは30歳だそうですからどの子も伸ばせる可能性があることは確かです。

赤が改善状態の悪化したもの 黄色が不変 緑が更に良くなったもの

感情表現

Bさんがニヤニヤしているのでなんか変だなーと思ってたら、スタッフの服にマーカで色を付けたというのです。本人に問い質すと何でそんなことをしたかわからないというのです。このシチュエーションなら、悪戯してやろうとニヤニヤして実行に至るの図です。しかし、Bさんは違うのです。Bさんは調子が悪くなるとニヤニヤするのです。そして、大昔に叱られて最悪の気分になった不適切な行動を再現するのです。いわゆるフラッシュバック行動です。ASDの人の感情表現を読み取るのは難しいときがあります。感情表現も学習の対象にしているのはこうした自己フィードバックと表現の苦手さもあるからです。

風邪流行のきざし

利用者の中にもスタッフの中にも風邪気味の人が増えています。感染症情報センターのデータhttp://www.pref.kyoto.jp/idsc/index.htmlでは、乙訓はこの1週間インフルエンザ が「流行入り」と咽頭結膜熱(プール熱)が増えてきています。咽頭結膜熱(プール熱)はプール感染だけでなく年中飛沫感染もします。発熱・結膜炎・咽頭炎の3つの症状で、5日程度の発熱、目の充血かゆみ、せきなどです。予防は手洗い、飛沫防止ですがアデノウィルスの感染力は強力で学校伝染病第2種(はしか等と同じ)に指定されており、インフルエンザと同じく解熱後2日まで出席停止です。

終業式

今日は府立の特別支援学校の終了式。京都市と小学校は24日です。学童保育や放デイはこれからが毎日朝から晩までの日課になります。府立学校は冬季休業、それ以外の学校は開業の場合は、所属している学校が休業かどうかで帰り(送り)の時間が違います。休業日の子どもは基本的に16時まで開業日の子どもは17時までがサービス時間です。

本日の昼食はふわふわ天津飯。柔らかいのもおいしいです。関東では「天津丼」、関西では「天津飯」と呼ぶことが多いそうです。

 

買い物

自分の気に入ったおやつを買いに、近くのスーパーまで買い物に行きます。まだ食品は8パーセントなので外税計算はややこしくて、暗算というわけにいきません。電卓持っていくのもいいのですが、こんな時にこそ、キャッシュレスで子どもでも払えるデジタルマネーが欲しいものです。おそらく10年もたたないうちに日本もキャッシュレス社会になっていくはずです。限度額が設定でき用途も記録に残るデジタルマネーの方が大人ははるかに管理しやすいです。

しかし、この条件にあてはまるものは15歳以上から持てるデビットカードくらいしかありません。ただ一つ、6歳から持てる電子マネーがあります。交通系ICカードです。ICOCAは前払いチャージ式でコンビニでもチャージできますから便利です。物品購入履歴はチャージ機では金額しかわからないですが、レシートをノートに保存する習慣をつければ残高も確認できます。キャッシュレス時代に向けての準備教育のために、或いは計算の苦手な方への買い物の自立支援のために交通系ICカードはお勧めです。子どもICOCAはみどりの窓口でお子様であることを証明する保険証などを持っていけば購入できます。

 

凧あげ

外遊びから帰ったA君が頬を真っ赤にして教えてくれました。「凧めっちゃあがったで!糸全部なくなったで!」「すごいすごい凧あげ名人やな」「うん。俺名人やねん!」ということで、今日も公園に良い風が吹き、35m巻きのタコ糸全部使って揚がったそうです。角度は30度以上だそうですから、三角関数の正弦で・・・・高度20mくらいかな。ちなみに航空法では300mまでは揚げて良しだそうです。タコ糸の重さと揚力が釣り合ったところで限界ですから、高く揚げるならナイロン糸と釣り用のリールを用意すればもっと揚がるらしいです。

タブレット

また中国製の電化製品が壊れました。今回はタブレットです。PCよりも直感的なので子どもたちが操作するのは向いているので、買ってみたのです。アマゾンを見てみるとiPadは3万5千円、NECも3万円。なのに中国製は1万2千円!タブレットなんて中身は世界標準だし大丈夫だろうと高を括って購入したのは10月。なんと1カ月半の命でした。電源部分のUSB給電ソケットがガサガサになって接触不良で充電できなくなりました。あーサイクロン掃除機で懲りたはずなのに…。安物買いの銭失い2回目です。今日NECのタブレットが届きました、接続してもガタがない。やっぱり日本製はよろしい。

 

支援と自立

放課後デイサービスでは事業所が遠くて自力通所できない利用者に、送迎をするサービスがあります。近所に居住し自力で通える方は原則このサービスは使えません。ただ、どんなものでもグレーゾーンがあります。片道20分なら自力通所エリアだが21分なら送迎可能エリアかどうかなどという話です。

これには基準はありません。むしろ、その子どもにとって自力で通所することが自立のために良いという支援方針を持つなら少々遠くても自力通所にすべきだということです。時間を守って、自分の力で移動することは自立の第一歩だからです。もちろん、安全性の問題など自力通所の検討は総合的に行う必要があります。ただ、支援のつもりが、その子の自立の芽を摘んでしまうケースはしばしばあります。対象者への配慮のつもりが、行き過ぎた支援につながってしまう場合がある事を、福祉関係者は日常的な課題である事を自覚する必要があります。

海外の九九の覚え方

昨日、九九の宿題で苦労している子のことを書いたら少し反響があったので、もう少し九九について考えてみます。今回は、海外では九九はどのように覚えさせているのか調べてみました。

昨日も書いたように、音韻障がいや読みの流暢性に問題のない人は、2×2=4を「ニニンガシ」というように、語呂よく、リズムよく暗記することができます。1の段から9の段まで、繰り返し暗唱して覚えていきます。しかし、海外でこのような方法を採用する地域は少なく、ひたすら数字を並べて暗記しているようです。たとえば、英語圏だと12×12まで暗記する必要があります。日本の暗記量は少ないほうで、世界の子どもたちはけっこう大変なようです。インドでは20×20まで暗記するのが一般的で、地域や学校によっては99の段まで学ぶところもあるようです。これができれば2桁×2桁の掛け算もスムーズにできるようになるため、計算のスピードが大幅にアップするというのが理由です。

九九を利用するインド式の掛け算も最近注目されています。計算が簡単で早く、暗算でも間違いにくいというメリットがありますから、覚えてみるのもいいかもしれませんね。アメリカやイギリスでは12×12まで暗記します。日本語のように数式を短く表現することができないため、九九の表を見ながらひたすら覚えていくやり方です。「Two times two equals four. Two times three equals six.」と、呪文のように暗唱する子が多いそうです。ひたすら暗記していくと、2×2を見るとぱっと答えが出てくるようになります。覚えるのは大変ですが、数字を見ただけで反射的に答えが出てくるため、計算は意外と早いようです。また、小学校で覚えない子も多いため、高校生でも九九の授業を受けることがあります。ただこれは音韻性障害のことが全く配慮されていません。(日本もですが)

ドイツは10の段まで覚えます。覚え方は英語圏と似ており、九九の表を見ながら2×2=4と数式をそのまま覚えます。丸暗記させる方式ではなく、最初は九九の表を参考にしながら問題を解きます。ひたすら計算を反復練習して、最終的に九九も覚えるのです。日本と大きく異なるのは、数字の読みあげ方です。ドイツでは、一の位の次に十の位を読みます。56なら6と50です。また、授業の進め方も異なり、九九をすべての段学ぶ前に、割り算がはじまります。確かに、掛け算と割り算には関連がありますから、合理的な学び方かもしれません。掛け算の基本である九九ですが、国によって覚える範囲や覚え方はさまざまです。ドイツのように丸暗記を重視しない地域や、インドのようにたくさん覚えて計算スピードを上げる国と様々です。

ただ、音だけで覚える方法は読み障がいのある人には致命的です。基本は視覚からも九九を取り込むことです。九九表の法則性がわかって来れば自分で答えが探せます。すらすら流暢に言えるようになるまで、大人は離れず最後まで聞いてどこがうまくなったか必ず評価してあげることです。

 

 

九九の暗記とLD(音韻障がい)

九九は覚えてしまえばすぐに使えるとても便利なものです。だから、日本では伝統的に覚えるまで練習します。当事業所でもあけても暮れても九九が宿題の小学生がいます。その中に半ばあきらめている子もいます。全員がクリアすべき九九ですが、なかなか覚えきれない子はたくさんいます。その大きな原因の一つは、音のややこしさにあります。

九九の表を見てみるとわかるのですが・・・「いち」、「しち」、「に」、「し」を使う計算がたくさんあります。特に7の段・8の段は子どもにとってはややこしいです。九九が苦手な子は、「音」をごちゃごちゃに感じている事が多いです。音のややこしさって、LDと呼ばれる子にとっては、とてもつらいのです。

例えば「しちに、じゅうに」「しちさん、にじゅうしち」「はちさん、にじゅうに」「はっく、しちじゅうし」など、とてもありがちな間違いです。口に出して覚えるだけだと、耳からの情報は一瞬なので間違えやすいのです。覚えてしまうと一生間違うだけに、正確に覚えさせたいです。サポートする方法を提案してみます。

1つ目は、表を見せながら覚えさせることです。「音」の情報だけではなく「目」の情報も使うことで、覚えるための精度は確実にアップします。2つ目は、音そのものを変えて覚えることです。日本語では7は「しち」「なな」と色々な読み方があります。同じように4は「し」「よん」と読めますね。4を「よん」、7を「なな」として覚えることで九九暗記のややこしさは半減します。担任の先生が許してくれるなら、是非この覚え方をさせてみてください。間違えやすい所だけ修正したらいいと思います。「しちに、じゅうよん」「はちさん、にじゅうよん」「くさん、にじゅうなな」などですが、直す所は、それぞれの子どもに合わせていけばよいと思います。

小学校の2年生は丸暗記が得意な時期です。だからこそ、九九の暗記は2年生でやるのです。でも2年生は「手を使って書く」事には時間がかかります。頼れる感覚は声に出して読む耳から聞く目で見るの3つです。目・耳・口をフルに使って、ややこしい音を整理して、どの子も確実に九九を覚えてほしいと思います。

平等だけど不公平

人それぞれ能力に差があることは当たり前です。社会はそのことを前提にして作るものです。平等社会ではなく公平社会が多様性社会には必要なのです。例えば、学習場面で掛け算ができることそうでない子どもが新しい勉強で図形の面積を求めるとします。新しい学習をするという意味では平等ですが、演算スキルが違うので不公平です。

スポーツならもっとわかりやすいです。スポーツには階級や身体条件、キャリアを加味して公平にして戦うのが近代スポーツです。やっている方も見ている方もそのほうが面白いからです。

子どもの遊びも同じです。能力差があるまま遊びにとりくむと、子どもは楽しむことができません。楽しむまでにパワーを使い切ってしまうからです。

当たり前のことを言っているつもりですが、日常はそうではありません。あちこちに「平等だけど不公平」が転がっています。大人が介入しているのは、公平を保つ知恵と工夫を求めているのであって、スキルの低い子どもの不平を封じるためにいるのではないのです。

デジタル教科書

ICTの利用は、特別支援教育(障害を抱える子どもの教育)において非常に有用だと考えられています。目が見えなかったり、耳が聞こえなかったりといったさまざまな不便さを、デバイスやソフトが補ってくれるからです。ICTを活用した教育ならば、その子の能力・特性に応じて適切な学習方法が選択できます。

発達障害がある子の学習支援にも、ICTの導入は効果的です。文部科学省の調査によると、アスペルガー症候群・学習障害(LD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)などを含む発達障害を抱え、通常学級において教育支援を必要としている子は各学級に少なくとも2~3人いると推定されます。ICTを利用すれば、彼らの困難さを取り除きやすくなるのです。たとえば、授業中に集中しづらい子がいる場合、大型ディスプレイを用いて、子どもたちの視線が自然と前のほうに向かうほか、それぞれの表情が教員からよく見えるようになるので、集中していない子どもに教員が気づきやすくなります。これは今日訪問した小学校でも当たり前のように利用されています。

また、集中が困難だったり聴覚過敏だったりして、教員の指示を聞きもらしがちな子もいます。そのような場面では、タブレットやICレコーダーで教員の話を録音することにより、重要な連絡事項をあとから確認できます。わざわざ苦手な文字を書かなくてよいのです。また、ノイズキャンセリングヘッドフォンを装着すれば、人間の声以外の雑音を軽減することが可能なので、空調設備や自動車の音などに煩わされにくくなるのです。

しかし、デジタル教科書を教室で自由に利用している子は、いまだに見たことがありません。個人用のタブレットでアクセスできるようにすることで教科書に何が書いてあるのか学習ができる最も本命の支援機器なのに、公平と平等の違いが日本にはまだまだ浸透しないなぁと感じます。

アームカバー

袖口のほころびが気になって、どんどん糸を引き出してしまう方がいたので、ほころびにくいデニム地でアームカバーを作ったら全く気にならなくなりました。「家につけて帰りたい」というくらいお気に入りのグッズになっています。糸くずが好きなわけではなかったのですね。

Rock, Paper, Scissors!

「じゃんけんぽん!」は、英語で「Rock, Paper, Scissors!One Two Three!」だそうです。「岩・紙・鋏、12の3」まんまですね。このじゃんけん、発達的に理解できるのは5歳後半だと言われています。勝ち負けだけの世界ではなく、パー(紙)に勝ったチョキ(鋏)はグー(岩)に負ける、そのグー(岩)はパー(紙)に負ける。これは理由の世界です。理由がわからなければ、勝ち負けの暗記はできても、面白さはわからないのです。5歳後半には底の広い瓶と狭い瓶に同じ量の水を入れたら見かけは狭い瓶の方が水位は高いけど同じ量だと理由で理解しています。理由の理解とは簡単に言えば言語の力です。就学前に飽きるほどじゃんけんをして勝ったり負けたりしながら理由の面白さを堪能して言葉の力をのばしていきます。「グッパ」は仲間わけです。偶然性に任せて同じ数だけに分かれるだけでなく、即座に強い子や好きな子と組めるように空気を読んで偶然性に挑みます。こっちのほうが勝ち負けよりはるかに難しいです。

ベイブレード

ベイブレードは、日本における伝統玩具であるのベーゴマを改良し、競争性を発展させ、商業玩具として販売したものです。ひとつの部品だけからなっているベーゴマとは違って複数の部品からなっており、各部品の組み換えによって自分だけのコマを作れるのが特徴です。

ベーゴマでは重さを増す、削って形を変えるという程度の改造しか出来なかった点を、各部品の換装という大胆な方法で誰にでも簡単に改造出来るようにしてあります。ベーゴマの紐を使う回し方は一定の習熟が要求されます。これを、シューター、ワインダーという道具を使って回す方法に変えたので、誰でも簡単にコマが回せるようになりました。 回すには、不器用上等のメンバーにちょうどいいツールですが、高すぎます。

テンションが高い?

学校の引継ぎなどで、先生方がよく「テンションが高かったです」等と言われる場合があります。そもそも、この言葉は「ロープにテンションをかける」張りを表す意味です。そこから、精神的な緊張を表し、ナーバスに近い言葉です。誤用として使われるのが、気分や気持ちのことです。「朗報にテンションが上がる」「いつもテンションの低い人」などです。

これが若い指導者のスラングとして受け持ちの子どもが興奮した様子に使われています。言葉はそのありようを定義づけるので「テンションが高い=興奮している」その対策は「興奮を鎮める=カームダウンする」しか思いつかなくなります。

これを「気分の調整が難しくなっています」と言い換えればいくつかの予防策と対応策、今後の学習方法が浮かび上がっていきます。カタカナ言葉は正負の価値観が良く知られてないので使いやすいですが、本質が見えなくなってしまう場合があります。

 

自立課題は何のために?

スタッフ会議でよく「Zさんは自立課題の○○ができませんでした」という報告があります。最近言い飽きてきましたが「自立課題とは何のために提供していますか?」とスタッフに問い返しています。

自立課題とは、子どもに取り組んでもらう課題ですが、ビー玉をケースの穴に入れたり、ビーズを順番に通したりする課題など、一見すると、「何のためにやってるの?」と思ってしまう方もいると思います。自立課題の一番の目的は、自信を持たせるためです。できる課題なので、自信を持って取り組むことができ、「できた!」という達成感も味わうことができます。発達障害の人には褒められることに喜びを感じる人と、そうでない人がいます。しかし、「一人でできた」という事実は自己有能感を育んでいきます。

2つ目の目的は、将来の生活に役立つスキルを身に付けるためです。洗濯バサミで洗濯物を止められることや、コインを自動販売機のお金投入口に入れられるなど、純粋にスキルとしての練習です。将来の就労に向けてのスキルにもなります。3つ目は、余暇活動を含め生活の幅を広げていくためです。興味の幅が広がりにくい子どもには、自立課題を通して、できること、わかることの幅を広げ、自由な時間を楽しむ術を身につけていく必要があります。ぜひ、一人一人に応じた自立課題を準備して取り組んでいただきたいなぁと思っています。

自立課題は一人一人に合わせて作ることができます。まずは、確実にできるものを準備します。例えば、プットイン型の課題なら、少ないスキルでも取り組めるものが多いです。「できる」→「自己有用感」なので、できない課題に一人で取り組ませません。一対一でできない課題を教え、できるようになったら自立課題として取り組ませます。一人で取り組むのが自立課題です。できない課題は本人の学習の課題か、もしくは「スタッフが工夫する課題」として取り組みます。

<自立課題への取り組ませ方>
自立課題の流れ
①自立課題に取り組む合図を渡す。
②自分で自立課題のコーナーに行く。
③棚から自分で課題をとって取り組む。
④終わった課題を箱などに片付ける。
⑤全ての課題を終えて、次の活動へと移動。
一連の流れが、自分一人で自立して行えるのが自立課題です。取り組み方も一人一人のスキルに合わせて取り組みます。数字がわかる人には課題に番号を振って順番に行い、数の概念が難しい人には、実物を順番に並べておいて、上から取り組むようにします。終わったら何をするのか、ということも、文字で示したり、写真カードで示したり、先生に聞きに行くようにしたり、こちらも一人一人のスキルに合わせます。

課題を準備してみたものの、うまく取り組めない場合もあります。そういった場合は、できるように練習させるのではなく、課題を改良していきます。例えば、ビーズをお手本通りに糸に通す課題があるとします。取り組んでもらうと、お手本を見ながら取り組むことが難しいとわかりました。その場合、「お手本を見ながらやるんだよ!」と何度も練習するのではなく、課題を改良します。

例えば、ビーズの型を作って、その通りにビーズを並べ、そのまま糸を通すような課題に変更して取り組ませると、自分でできるようになる場合もあります。課題をどんどん改良し、一人でも取り組めるようにしていくのが自立課題の与え方です。初めての課題は、取り組み方を教えますが、それでも難しい場合は、本人のスキルに合わせて、課題を作り変えていきます。自立して行えることを最優先し、少しずつスキルを高めていくように課題を見直すことが大切です。

師走

なんだかんだでもう12月師走です。年を取ると時間経過が加速度的に早く感じます。子どもらはまだクリスマスまで3週間もあるーと言うのですが・・・。

師走には大きく三つの説があります。第一は、坊主が忙しくする意味です。師という言葉はお坊さんのことをさします。昔は、お盆と正月前には、お坊さんをお呼びして先祖供養が一般的でした。この時期、お坊さんたちはあちらこちらの家庭に出向いてお経を上げます。あちらに行ったり、こちらに行ったり、お坊さんが忙しく行き来しているから「師走」とする説です。

第二は、仕事の終わりという説。次の年に仕事を持ち越す訳にはいかないと年内に仕事を終えるためにがんばります。仕極つ(しはつ)とは仕事が全てきっちり終わったという意味の言葉です。その仕極つ(しはつ)という言葉が形を変えて「しわす」になったとする説です。

第三は、当て字説です。現存する中では最古の和歌集「万葉集」では12月のことを別名で「十有二月(しはす)」と呼んでいました。12を漢字で「十有ニ」と表したのです。「十有ニ」で「しはす」だったものに別の漢字を当て字したものが師走、とする説です。

他にも、風物や行事を季節ごとにまとめた日本歳時記では、12月を「四極月(しはつづき)」としています。四極月とは四季が果てると言う意味で、四極(しはつ)が師走に変化したとする説もありますが、はっきりしたことが分からないのが、日本の歴史の古さ所以というところです。

ライナスの毛布

スヌーピーに出てくるチャーリー・ブラウンの友達でいつも毛布を抱えている友達がいます。ルシール・ヴァン・ペルト=ルーシーの弟ライナス・ヴァン・ペルト=ライナスです。いつも「安心毛布」を持ち歩いて、これがないと落ち着かない子です。スヌーピーも安心毛布が好きで、ライナスはこれを奪われることがしばしばあります。安心毛布を奪ったスヌーピーに対し、ライナスは報復としてスヌーピーの皿を取り上げて交換条件とするなど、安心毛布には並々ならぬ執着心を見せます。この安心毛布は「ライナスの毛布」として心理学用語にもなりました。

「ライナスの毛布」は、子どもが「心の杖」として特定のモノを安心のために握っている姿を表現します。それを持っていないと不安になってしまう、いわば精神安定剤といったところです。Yさんの行動に、この「心の杖」の大切さを再認識させられたことがありました。Yさんが心の杖としているのは、1冊の絵本でした。大人は、Yさんにとってそんなに大切な物と思えず、取り上げてしまうのですが、それ以降みるみる不安定になり、皆と一緒に行動できなくなってしまいました。

拠り所としている心の杖を必要としなくなる日は、本人に判断してもらえばいいのです。絵本がなくても大丈夫、心の杖がなくても安心できる環境作りは私たち支援者に求められているものです。私たちが関わる子どもたちは、思いを上手く言葉にすることができない子どもが少なくないです。そんな子どもたちの言葉にできない思いを想像し、日々の支援に生かしたいものです。

パニック対応

V君、自立課題の中身が難しすぎて床にひっくり返って怒っているところを、スタッフが「ひっくり返ってないで援助を求めなさい」とV君をすわらせようとしますが、パニクったV君は体を触られて驚いたために触覚防衛が働き「痛い~」と大絶叫。その後V君はパニクってしまった自分を責めて、「OKじゃなかった」と落ち込んでしまいました。話し合ったことは、第一に、床にひっくり返るほど混乱しているという認識を持つこと。第二には、混乱している人は他者からの行動を攻撃として受け取ってしまいやすいこと。第三は、適切な行動を教えるには本人が落ち着いている必要があること。でした。

つまり、パニックの原因が難しすぎる課題と気づいているなら、その課題は今はやらなくていいことを分かるように伝えて、しばらくそっとしておくこと。立ち直ったら立ち直ったことを褒めて、「助けて」カードを使う練習をして、うまく練習できたと褒めることが必要だと話し合いました。パニックになると周囲の大人までどうしていいかわからず、早く収拾しようと焦ってしまいます。まずは、原因をつきとめて、パニックの時はどうすれば穏やかに解決できるかをまず考えることが重要だと思います。しかし、何よりも大事なのは、スタッフが子どもの気持ちに想像力を働かせてパニックを予防することです。自立課題なのに自立できないような難度の高い課題を設定しないことが一番です。難しそうだなと思ったら、まずは対面学習を何回か繰り返し確実に自立できると見極めてから設定します。