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みんなちがってみんないい

スマホは学校に持ち込むべきか

スマホ普及で見直し 携帯持ち込み、学校は慎重

【時事通信】2020年07月14日07時08分


文部科学省が学校への携帯電話の持ち込みに関する通知を見直すのは、スマートフォン普及の広がりを重視したためだ。ただ、管理の難しさやインターネット交流サイト(SNS)でのトラブルへの懸念などから、現状では容認に慎重な学校も多いとみられる。

内閣府の調査によると、スマホや携帯電話の所有・利用率は、小学生で2010年に20%だったのが、17年には55%に上昇。中学生は49%から66%となり、いずれもスマホの伸びが大きい。一方、有識者会議のヒアリングでは、持ち込みを認めるべきでないと回答した中学校が569校のうち87%に上ったとする全日本中学校長会のアンケート結果が示され、「学校がスマホを管理する設備が不足している」「生徒間でのトラブルの増加は否めない」などの懸念が示された。

実際に持ち込む児童生徒が増えるかは未知数だ。全国に先駆けて小中学校への持ち込みを認めた大阪府では、4月までに府の方針通りとした自治体は3町にとどまった。容認したある町では、保護者に事前の面談と同意書への署名を求めており、希望する児童生徒は1割に満たず、小学校低学年の児童がほとんどという。

文科省幹部は「学校に必要ないものという位置付けは変わらないが、うまく付き合えるなら容認する考え方もあると示した」と説明。持ち込みの条件とした保護者らとの合意について、「クリアするのは容易ではない。実情に応じ各学校で判断してほしい」と話した。

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学校や関係者に判断を任せたら、いつまでたっても時期尚早と言い続けるのだと思います。良し悪しは別にして、今までのやり方を変えようとしないのが学校の基本形だからです。

先生たちがスマホ持ち込みで困っているのは、個人の持ち物であるスマホの管理を誰が担当するのかと言う話です。子どもが学校にもってきたものの管理は学校が責任取るのが当たり前です。この当たり前を前提にすれば、話は相当前向きになります。

だから、まずは、スマホは学校に持ち込みOKとし、そのために必要な事を考えていくという逆の発想が大事です。持ち込んでから考える、やりながら揃えるという発想です。当然、問題もおこるでしょうが、これまで学校がタッチできなかったSNSのことなどが正面から取り組めるようにもなります。学校WIFIも一気に進みフィルタリング技術やスマホ管理技術も学校が開放し大きな市場となれば必ず進みます。

学校を企業の食い物にするななどというステレオタイプなスローガンからは教育のICT進化は望めません。学校に新しい風を吹き込ませてこそ学校は変わっていくのだと思います。

漢字が書けない私が、それを「誇らしい」と思える理由

漢字が書けない私が、それを「誇らしい」と思えるようになった理由-漫画『きょうも厄日です』       山本さほ インタビュー(2)

7月15日(水)12時0分 ねとらぼ

『岡崎に捧ぐ』などの作品で知られる山本さほさんは、なぜか厄介な人たちを引き寄せてしまう謎の能力の持ち主。トラブル続きな日々をつづったエッセイ漫画『きょうも厄日です』の中から、その一部を作者インタビューと合わせて公開します。(聞き手/構成:杉本吏)

●漫画『きょうも厄日です』とは?
街を歩けば不思議な人に出くわし、電車に乗れば面倒な人に絡まれ、旅行に行けばおかしな事件に巻き込まれる……。山本さほさんの身に降りかかる災難を、“笑い時々ホラー”なタッチで描きます。

●作者プロフィール:山本さほ
1985年生まれ。幼少時代からの親友「岡崎さん」との友情や子供時代の思い出を描いた自伝的作品『岡崎に捧ぐ』がネット上で話題となり、漫画家に。現在、『きょうも厄日です』(文春オンライン)『無慈悲な8bit』(週刊ファミ通)連載中。

●書字表出障害(ディスグラフィア)
聞き手:今回は、漢字をうまく書くことができない「書字表出障害(ディスグラフィア)」に関するエピソードです。自分がこの障害かもしれないと気付いたのはいつ頃ですか?
山本:フリーターだった頃はそれほど字を書く機会がなかったんですけど、25?26歳でアパレル業界に就職したら、辞書を使わないと報告書の文章が書けなかったんですね。でも、当時はただ「自分がバカなんだ、自分の頭が悪いだけだ」って思ってました。
 だから漫画家になってからですね、そういう学習障害の一種があると知って、自分がそうなんだと気付いたのは。

聞き手:周りの漫画家仲間に話したら、「実は自分もそうなんだよ」という人がものすごく多かったとか。
山本:そうなんです。あくまでも自分調べですけど、漫画家は驚異のディスグラフィア率で。だからそこで、ちょっとうれしいというか、誇らしくなっちゃって。「選ばれし者?」みたいな気持ちに(笑)。

聞き手:記憶力自体は悪くなくて、特に一度通った道の記憶なんかはずっと忘れないと描かれていました。
山本:道を覚えたり地図を読んだりっていうのは、数少ない自慢できることの一つで。何十年も前に通った道を覚えてたり、海外で人に案内されて通った道を、数年後に自分だけで完璧に歩けたりとか。
 それって全部、立体的に覚えているんです。だから漫画で描いているような過去のエピソードも、「あのときはここにあの人が立っていて、こっちにはこの人が立っていて」って舞台上のように覚えているんですよ。

聞き手:脳の中で、極端に得意なことと苦手なことがあるんですね。あとはサイン会など、人前で字を書くときにプレッシャーで真っ白になってしまう、という描写もありました。
山本:はい、緊張がやばくて。普段は漢字を書くほうだけが苦手で、読むほうは大丈夫なんですけど、プレッシャーが掛かると読むほうもできなくなります。
 今でも覚えてるのが、小学校の国語の授業で、一人ずつ立って一行ずつ読まされるのってありましたよね。私あれがめちゃめちゃ苦手で。自分の番の漢字が読めなかったらどうしよう、って。小学生だから、読み間違えるとみんな笑うんですよ。それで人前で何か読み上げるのがすごく嫌いになりました。

聞き手:確かに、普段の会話では普通なのに、音読のときだけガチガチになってしまう子がいた記憶があります。
山本:小学生の頃はけっこうがんばって漢字を覚えようとしてたんですけど、何百回書いても無理だったから、生まれ変わって何回やり直しても絶対覚えられない自信があります。
 私が漫画家になれたのは、ネットに上げた個人的な作品がたまたま多くの人に読んでもらえて、というきっかけで本当にラッキーなだけだったんですけど、あのままアパレルで働いて、絵なんて描かない仕事を続けてたら……。今そうやってつらい思いをしてる人もいっぱいいるんだろうな、と思います。向いてないほうの仕事についちゃって。

聞き手:自分の能力が発揮できていないだけだとしても、「仕事ができない人」扱いされちゃいますもんね。
山本:そう、漫画を描くほうが向いてるのに文章をいっぱい書く仕事についちゃったりとか。私もそうだったから分かるんですけど、すごく自分がバカに思えてくるんですよ。「この漢字さっきも間違えたし、自分の頭が悪いから仕方ないんだ」って。そういう風に自分の評価を下げちゃってる人もいますよね。

聞き手:そうすると、この障害の存在を知ったというのは山本さんにとってプラスでしたか?
山本:そうですね、知ってすごくポジティブになりましたね。この障害のことが言われ始めたのってここ十数年という話もあって、まだまだ知らない人が多いと思うので、もっとみんなに知ってもらえたらいいですよね。

コロナ第2波が到来しても学校教育は継続(大阪)

コロナ第2波が到来しても学校教育は継続、大阪府が方針決定

7/4(土) 20:00【Lmaga.jp】配信

大阪府の『新型コロナウイルス対策本部会議』が7月3日に実施され、今後第2波、第3波が生じた際、府内の学校においては原則一斉臨時休校をおこなわず、分散登校とオンライン授業を組み合わせて学校教育活動を続けることを決定した。

第2波に備え、学校教育活動の方向性についても議論された今回の会議。参考としたひとつ、文部科学省の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」では、「今後、感染リスクはゼロにならないということを受け入れつつ、感染レベルを可能な限り低減させながら学校教育活動を継続していくことが重要」と提示。

また、日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会の医学的知見では「海外のシステマティック・レビュー(データ・論文の調査分析による総括)では学校や保育施設の閉鎖は流行阻止効果に乏しく、逆に医療従事者が仕事を休まざるを得なくなるため、コロナの死亡率を高める可能性が推定されている」と発表されている。

これらを踏まえ、大阪府教育委員会の酒井隆行教育長は、「3カ月の休校は、子どもたちの生活の乱れや心理的不安定、学習保障に地域差が生じた。また、家庭で過ごす子どもに対する保護者の負担もある。予防策を徹底しつつ学校教育活動の継続性を確保することが、保護者の安心につながる」と説明。今後、大阪モデルのモニタリング指標に応じて教育活動を工夫するという。

まず、1週間の感染者合計が120人になるなど、黄信号が灯された場合は、平常授業はおこなわれるが、合唱などリスクの高い活動は感染症対策を徹底。さらに重症病床使用率が70%となり赤信号が灯された場合も、分散登校・短縮授業・オンライン授業を組み合わせるなど、制限されつつも教育活動は継続される。

吉村洋文知事は、「10代の感染の状況や感染経路を見ると一斉休校は基本的にしなくて良いと思う。陽性者が出た場合は、一時的に休校は必要だけれど、一斉に休校するということは逆に効果がほとんどない。学校については、できるくだけ動かす方向」と明言。

一方で、「非常事態時の赤信号になったとき、保護者の判断で行かせないと決めた場合に、オンライン授業も選択できる柔軟な運用をお願いしたい」と指示を出し、酒井教育長も了解した。

取材・文・写真/岡田由佳子

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政府のGo To トラベルは実施する。感染防止策は厳密に実施しなさいと、人が動けば感染が広まるのに予防しろと、アクセルとブレーキ両方踏むようなダブルスタンダード発言が甚だしい毎日です。なんとか、東京はステイ・TOKYOと決めたそうです。

だけど、昨今の感染対策状況を見ていると、感染なしのゼロリスクの同調圧力に流されているような気もします。感染ゼロは不可能です。例えワクチンができようとも感染は防げません。そんなことはみんな分かってはいるのだけれど、本音のウイズ・コロナでは「命をおろそかにするのか」と叩かれそうで、建前でゼロ・リスクを言っている感もあります。教育界では特に建前論を感じていた中で、大阪府の発信は勇気あるものでした。

経済が失速し失業率が1%上がると日本の場合は数千人が自死すると言われます。すでに飲食や宿泊業界は毎月数千規模で廃業していくという試算もあります。それでも「感染赤信号」の東京の人が地方に移動するのは正直恐ろしいという気持ちも道理です。それなら、近場で宿泊・飲食で良いと思います。

デジタル教科書を2024年に本格導入

小学校の学習者用デジタル教科書を2024年に本格導入へ
文:小槌 健太郎 【日経BP】2020.07.16

文部科学省は学習者(児童・生徒)用デジタル教科書を2024年度に、まず小学校の改訂教科書の使用開始に合わせて本格導入する方針を固めた。2020年7月7日に開催した有識者による「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」の初会合で、デジタル教科書導入に向けたスケジュール案を示した。

デジタル教科書導入に向けたスケジュール案。GIGAスクール構想の実現と並行してデジタル教科書の導入を拡大し、2024年度の小学校の教科書改訂に合わせてデジタル教科書を本格導入する

デジタル教科書には教員が授業の中でディスプレイなどに表示して使用する「指導者用」と、児童・生徒が紙の教科書と同じように自身のパソコンやタブレットなどの端末で使用する「学習者用」の2種類がある。これまでも指導者用デジタル教科書は導入が進んでおり、授業の中での活用も進んでいた。

一方、学習者用デジタル教科書は、2018年5月の学校教育法改正(学校教育法等の一部を改正する法律 )を受けて、2019年度から紙の教科書と同じ内容を収録したデジタル教科書であれば、紙の教科書と併用できるようになった。

ただ、児童・生徒が使用するパソコン・タブレット端末が整備されていなかったことや、学校教育法(第34条第2項)がデジタル教科書の基準として、紙の教科書が主でデジタル教科書は各教科の授業時間数の2分の1未満しか使えないという制約があった。また、紙の教科書は国費で児童・生徒に無償給与されるのに対して、デジタル教科書は無償給与の対象外で、1教科につき200円~2000円の費用は学校設置者となる教育委員会の負担となるため、導入に二の足を踏む自治体が多かった。

学習者用デジタル教科書を域内の小学校に1校でも導入している自治体は2020年度で14.7%しかない。文部科学省の調査では、小学校の学習者用デジタル教科書は、2019年度は紙の教科書の20%、2020年度には94%と大半が利用可能な状況になっている。その一方で、公立小学校で学習者用デジタル教科書を導入している自治体は2019年度で6.1%、2020年度でも14.7%にとどまっている。

2020年に入って、児童・生徒1人1台のコンピューターと高速の校内ネットワークを整備するGIGAスクール構想が新型コロナウイルス感染症対策で前倒し導入されることが決まった。文部科学省は整備された端末で使用する学習者用デジタル教科書を次の小学校の教科書改訂時期に当たる2024年度に本格導入することを視野に、デジタル教科書の位置付けや使用時間を制限する現行制度の見直しなどを含め、有識者会議で検討を行う。

会議の座長を務める東北大の堀田龍也教授は「子供たちが1人1台端末を持つ前提で、良質なコンテンツを提供し、紙と異なる使い方の検討が必要だ」と語った。会議では、2020年中にも方向性を示す予定だ。

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やっとというか、まだまだと言うか、デジタル教科書はLD児特に読みの障害のある児童には音声読みをしてくれるので有効だという事がわかっていました。いつまでたっても文科省が導入しないので「ディジー教科書」の名前で民間ベースでボランティアの力で10年以上前から作られてきました。

2008年9月17日施行の「教科用特定図書普及促進法(教科書バリアフリー法)」と「著作権法第33条の2」の改正により、LD(学習障害)等の発達障害や弱視等の視覚障害、その他の障害のある児童・生徒のための「拡大教科書」や、デジタル化された「マルチメディアデイジー教科書」等が、やっと製作できるようになったのです。

そしてあと4年でやっと全て実現するのです。だいたい、書籍も新聞もデジタル編集を始めたのは1970年代ですが、本格的にはワープロが普及をしライターがデジタル入稿する1980年代です。つまり、1990年代には教科書をはじめほとんどの出版物がデジタルで編集され保存されていたのです。それから四半世紀が経過したわけです。ディスレクシアの子どもたちにも教科書が「読める」ようになったのです。

憲法第二十六条, すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

コンサータの働き

ADHDの薬、コンサータの副作用と用量用法の注意点について

コンサータの用量と用法について
ADHDの治療薬コンサータの服用については、ガイドラインが定められているそうです。
コンサータ投与のガイドラインによると、最初にコンサータを服用する場合は、朝1回、用量は6~10歳の子供の場合は18mg、11歳以上の子供は27mgから始めること、となっています。コンサータは18mgと27mgと36mgのカプセルで、体重の重い子供の場合は、組み合わせて処方され1日54mgが限度です。最初にコンサータを処方する場合は、1~2週間で薬の効果をみていきます。

ADHDの治療薬コンサータの効果と持続時間は?
コンサータは、ADHDの症状(不注意・多動性・衝動性)を抑える作用があります。
特に衝動性や多動性には大きな効果があるといわれています。
コンサータの効果の持続時間は12時間程度なので、1日に朝1回の服用で十分で、午後に飲むことはありません。

コンサータの副作用は?
コンサータはの副作用は、頭痛、腹痛、不眠、食欲がなくなるなどの症状があらわれることがあります。
どの副作用も深刻なほどの症状ではないのですが、午後に服用すると夜に眠れなくなる可能性があるので、基本的にはコンサータの服用は朝1回にすべきだといわれています。また、コンサータの副作用で食欲がなくなり、体重が減るなどの症状が現れた場合は、薬の使用をいったん中止する必要があります。

治療薬コンサータを一生飲み続けることはない
ADHDは治療で治るような病気ではなく、治らない障害なので、薬も一生飲み続けなくてはいけないのか、と不安を感じる人も多くいると思いますが、コンサータを一生飲み続ける例はほとんどないそうです。平均すると、コンサータの服用期間は数ヶ月から数年といわれていて、薬が必要なくなっていきます。薬を飲まなくても、ADHDの子供が自分で行動や感情をコントロールしたり、ブレーキをかけることができるように成長していくからです。従って、ADHDの治療においては、コンサータを使用した薬物療法とあわせて、行動療法を並行して行うことが重要です。

薬の効果やメリットを自覚できると回復が早い
ADHDの子供が、自分で薬の効果を自覚できるようになると、自分でADHDの症状をコントロールしようとする意欲が働き、改善が早くなる傾向があります。子供が10歳前後に成長してくると、薬の効果による「違い」を実感できるようになり、自分で努力しようとする姿勢があらわれやすいです。

尚、コンサータについては今年度より管理制度が変わるので注意が必要です。

「あ」からじゃない「覚え方」

遊び 連想し「ひらがな」ながら学習 「あ」からじゃない「覚え方」に焦点
【東京新聞】2020年7月21日 07時03分

つかむの「つ」、静かにしぃーのポーズで「し」、くちばしの「く」…。埼玉県の小学校教諭佐藤智子さん(53)が、ひらがなの「覚え方」のポイントを盛り込んだ絵本を作った。ひらがな学習にこだわった背景には2人の教え子の存在があった。ひらがなの学習といえば、「あ」から始めると思われがちだが、佐藤さんは画数の少ない字から教える。形を見せ、声に出し、子どもたちに手や体を動かしてもらって、文字の形とイメージを結び付けることを大切にしている。黒板に「へのへのもへじ」の絵を描いて、文字を探させたり、両手で羽の形を作った、ひよこのポーズから「ひ」を教えたりもする。

簡単な字を覚えたら、次は足し算。「棒(|)」+「ろ」=「わ」、「ち」+「し」=「を」といった具合だ。「座らせて何度も書かせると、子どもは飽きてしまう。学習の土台となるひらがなは楽しく身に付けてもらいたい」と話す。約二十年前、佐藤さんが初めて一年生を担任した時、教科書通りに「あ」から教えると、何度やっても書けない子がいた。どうしても不格好になる。「ひらがなでこんなにも苦労する子がいると知らなかった」。先輩教諭の助言を受け、一画で、左利きの子でも簡単な「し」から工夫して教えると書けるようになった。数年後、二年生で担任をした子も習ったはずのひらがなが読めず、書けなかった。給食の準備時間に個別に一字ずつ教えると読み書きができた。「教え方一つで、ひらがなを覚えられる子が増える」と実感した。

佐藤さんは自閉症の次男の育児に手がかかり、退職を考えた時期もあった。でも、学校に行くと、ひらがなが書けなくて困っている子が待っていた。「あの子たちがいたから、仕事も続けてこられました」そんな二十年間のひらがな指導の経験や思いを詰め込んだのが、絵本「ひらがなものがたり」。ひらがなの国の王子と姫が赤い石を奪った竜と闘う物語で、全てのひらがなが入るように構成。絵本を見ながら字を探し、遊びながら覚えることを目指している。

ひらがな学習本は「あ」から、はねや止めなど書き方に力点を置いて解説する本が多いという。「覚え方や教え方に焦点を当てた本は少ないのでは」と佐藤さん。今年はコロナ禍で、家庭でひらがなを学んだ子もいるだろう。「ひらがなでつまずき、学習へ向かう心の扉を閉じる子がいないように。困っている親子に絵本を届けたい」と語る。


絵本はぶどう社刊、税込み千三百二十円。問い合わせは同社=電03(5779)3844=へ。
文・奥野斐

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視覚情報だけでなく、体性感覚やエピソード記憶で文字を指導する方法は、心ある教師があれこれと開発してきました。佐藤智子さんの取り組みもその一つです。子どもたちのまわりに何人の佐藤さんを得るかが子どもたちの学習のイメージを作ると言っても過言ではないです。子どもの学びをあれこれ言う前に、「教え方にセオリーはない」「違う学び方をする人」という柔軟な思考を指導者が学ぶ必要があります。

 

気になる行動の録画アプリ

気になる行動だけ録画、発達障害の幼児支援に新アプリ
2020年7月21日 10時00分【朝日新聞】

発達障害のある子どもの気になる行動だけ撮影し、動画をクラウド上に記録する。そんなアプリを新潟県内の療育施設、大学、企業が開発している。子どもの通う施設の職員と保護者、専門家らが子どもに関する情報を共有し、適切な支援につなげる狙い。AI(人工知能)を用いた自動録画も近く実現しそうだ。

「クレヨンのふたを開けます」。指導員の声に、座っていた4人の幼児が一斉に動き出す。ただ、1人だけは反応がなく、促されて初めて動き始めた。

40秒ほどの短い動画。これは、アプリ開発に加わっている新潟市中央区の療育教室で今月撮影したものだ。教室が見渡せる場所にアプリが入ったスマートフォンを置き、幼児の気になる行動があれば指導員がエプロンのポケットに入れた専用のボタンを押す。すると、その後だけでなく前にもさかのぼって計40秒間の動画がクラウド上に自動保存される。

クレヨンのふたを開ける幼児らの動画を見た長沢正樹・新潟大大学院教授(特別支援教育)は、反応が鈍かった1人について「遅れていますね」と教室の寺島亜衣子所長(47)に指摘した。指導法について「特に座学では、可能な限り個別に学習する必要がある」とも。長沢教授は昨年12月から、この教室でアプリを用いた指導の実証実験をしている。

アプリ開発には、ソフトウェア開発会社・ロレムイプサム(新潟県長岡市)と長岡技術科学大(同市)の永森正仁助教(教育工学)も加わっている。撮影・保存した動画のファイルに説明の文章を書き込む機能もあり、当時の子どもの状況を保護者にも分かりやすく伝えられるという。

この療育教室では以前から子どもの様子を撮影し、支援を検討する際の参考にしてきたが、動画編集にかかる膨大な手間が難点だった。気になる行動の時に絞って撮影する機能がなく、長時間の動画から該当する部分だけ抽出する必要があったからだ。それが、アプリを用いると作業時間が半分ほどに。今後、幼児がふだん通う保育園や保護者との情報共有にも活用するという。

長沢教授は「問題行動前の子どもの状況や、行動後の職員の対応が無駄なく記録される。効率よく支援の改善につなげられる」とアプリの利点を説明する。

今後、AIを活用して、指導員がボタンを押さなくても自動撮影されるよう改良する予定。幼児の動きや職員の声のトーンなどをAIに事前学習させ、必要な場面を自動感知して録画する仕組みだ。家族らの同意を得たうえで幼児に腕時計型端末を着け、心拍情報からストレスの度合いをAIが判断し、自動撮影することも可能という。7月、新潟県の5G活用ビジネス創出事業に選ばれ、500万円の補助が決まった。

将来的には、発達障害支援以外の用途にも活用を目指している。永森助教は「介護現場での虐待や小中学校でのいじめの防止にも力を発揮できる可能性がある」と期待している。(高浜行人)

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私たちの事業所でも、子どもの活動やトレーニング場面を動画で撮って職員で共有し、支援の在り方を検討するのに役立てています。動画はニュアンスや文脈が伝わりやすいので、職員の反応が子どもの誤解を招いていることもよくわかります。動画を共有して職員の支援レベルが上がればいいなと思います。

自分が欲しかった言葉や、してほしかったこと

障害児の保護者支援の必要性訴え 倉敷のNPO理事長が本発刊
【山陽新聞】(2020年06月30日 14時34分 更新)

倉敷市を拠点に障害児の保護者を支援する認定NPO法人「ペアレント・サポートすてっぷ」の安藤希代子理事長(50)が、これまでの活動をまとめた「ひとりじゃないよ 倉敷発・居場所づくりから始まる障がい児の保護者支援」(吉備人出版)を発刊した。自閉症の娘の育児経験などを織り交ぜながら、障害児への支援に比べて注目されることが少ない親へのサポートの必要性を訴える。

「すてっぷ」は、発達障害などを抱える子を持つ母親たちが、同じ立場の者同士で支え合おうと2012年に発足した。保護者が立ち寄れるスペースとして、市内の民家を改装して「うさぎカフェ」を開設。週2回開き、来所者の相談や交流の場になっており、年間延べ千人以上が訪れる。

「ひとりじゃないよ」は、「自分のまちでも同じような居場所をつくりたい」と多くの声が寄せられたのを受け、「グループ立ち上げのヒントになれば」と、全6章を書き下ろした。特別支援学級の保護者会で、行事参加者の顔触れがほぼ同じだった経験から、出てくる余裕がない人にも支援の手を差し伸べたいと活動を始めた経緯や、福祉サービスをまとめたガイドブック作製などこれまでの主要な活動を紹介。団体設立や運営の参考になればと、資金確保や効果的な広報活動など、実務面のアドバイスも盛り込んだ。

安藤理事長は「障害のある子を育てる保護者は多くの不安を感じているのに、支える手は本当に少ない。多くの人に支援の必要性について知ってもらい、保護者の『居場所』が増える助けになればうれしい」と話す。

 四六判、254ページ。1650円。全国の書店やインターネット通販で販売している。

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著者は、専門職ではないので専門家の視点から書かれた本ではありません。娘さんの子育てを通じて経験した、「試行錯誤」「紆余曲折」「七転八倒」の日々を振り返って、困難な子育てをしている保護者(とくにお母さん)を支えるための活動がまとめられています。平成30年の西日本豪雨災害で感じた「被災した障がい児の家族」についても綴られています。

著者自身は、娘さんも成人されて「いまだから振り返ることができるんだ」「あのころ頑張っていた自分を、自分で認めてあげたいんだ」と、書かれています。子どもが小さいころ、ママ友さんたちに負けまいと、相当に背伸びをして頑張って、意地を張っていたことも赤裸々に書いておられます。そして、「まだまだ渦中にいる方には、それ(客観的に自分を見つめること)はとても困難なこと、だからこそ、誰かがそっと見えるところにいてあげることが大切」だと述べます。

これは、障がいの有無に関係ないことです。どんな人も、日々の子育てや介護、看護の中で躓いたり、心が折れそうになったことがあると思います。けれども、時間がたつと、「きれいな美しい思い出」しか残らなくなって、自分もつらかったはずなのに、真っ最中の人に、うっかり「励ましの言葉」や余計なお世話やアドバイスをしてしまったり、そういう場面に出くわすことは良くあります。でも、自分が欲しかった言葉や、してほしかったことはそうじゃない…。この本は、それをすっかり忘れていたことに、改めて気づかされます。

モスバーガー・ロボット

接客ロボット ファストフード店で実験 障害者が自宅から操作

【NHK】2020年7月22日 19時45分

ファストフード店に置いたロボットを操作して、離れたところにいる人が接客サービスにあたる、実証実験が行われることになりました。

東京 品川にあるファストフード店には、港区のベンチャー企業が開発した23センチのロボットが置かれました。

今回の実証実験では、関西地方に住む重度の身体障害がある人が、自宅からロボットを操作して、客から注文を聞く接客サービスにあたります。

接客は今月27日からおよそ1か月間、平日の午後2時から午後6時の間に行われ、実験を通じて障害者の雇用の場を広げることをめざします。

また、従業員と客との接触を少なくして、新型コロナウイルスの感染防止につなげる効果も期待しています。

ロボットを操作して接客にあたる23歳の女性は「神経性の難病で外で働くのが難しいので、ロボットを通じていろんな人と話すことは刺激になります。接客中のことばづかいが難しいですが、がんばって働きたいです」と話していました。

実験を行うモスフードサービスとベンチャー企業では、接客だけでなくロボットで決済までできるよう開発を進め、ドライブスルーなどでの活用も検討することにしています。

ベンチャー企業、オリィ研究所の吉藤健太朗所長は「障害がある人がロボットを通して働くことができれば、活躍の場が広がっていくと思う。研究を進めていきたい」と話していました。

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「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)の女性患者=京都市=から依頼を受け、薬物を投与して殺害したとして、2人の医師が嘱託殺人の容疑で京都府警に逮捕された事件がメディアで報じられていますが、一方では、こうして社会参加の道を拓こうとする人々もいます。

モスバーガーを運んでくるロボット、これに接続されたインターネットの向こう側に人がいると思うと、何か不思議な気持ちです。これまでテクノロジーは人から仕事を奪ってきましたが、テクノロジーによって新しい仕事が生まれることだってあるということです。

えほん障害者権利条約(英語版)

「19人の命忘れない」障害者権利条約の理念を伝える絵本の英訳版を発行 やまゆり園事件4年

2020年7月28日 13時50分【東京新聞】

障害者への差別禁止や社会参加を保障する「障害者権利条約」をテーマにした絵本の英訳版が、26日に全世界に向け発刊された。この日は2016年に相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害された日。絵本の作者は「新型コロナウイルス感染拡大の影響で、事件を考える企画が思うように進められない中、『忘れない』との気持ちを込めた」と話す。

英訳されたのは絵本「えほん障害者権利条約」(汐文社)。NPO法人の日本障害者協議会(東京)代表の藤井克徳さん(71)が15年5月に日本語版を出版した。国連で06年に採択された権利条約を日本が14年に批准したのを受け、条約が生かされれば誰もが住みやすい社会になることを幅広い世代に知ってもらうためだった。

藤井さんは生まれつき弱視で、7年前に失明した。音声が出るパソコンを使い、国連で誕生した条約が世界各国に広がっていく様子、障害の有無に関係なく、さまざまな人たちがともに暮らす街の場面を執筆した。絵は静岡市葵区の障害者施設「ラルシュかなの家」管理者の佐藤啓さん(43)が版画で描いた。

英訳版を企画したのは、難しいと敬遠されがちな条約を、世界の人たちにも絵本の形で分かりやすく伝えたいとの思いから。「欧米でも条約が社会に浸透しているとは言い難い。子どもたちだけではなく、欧米やアジアの政府関係者や障害者団体のリーダーたちにも読んでもらいたい」。翻訳は上智大准教授渡辺剛弘さんと、渡辺さんの妻暁あか里りさんが担当した。

発行日の26日は、津久井やまゆり園で殺害された入所者19人の命日。事件を起こした植松聖さとし被告への死刑判決が確定して以来、初めて迎える節目となった。事件では、植松死刑囚の「障害者は生きる意味がない」などとの優生思想的な発言が注目された。

23日には、難病患者の依頼を受け薬物を投与し患者を殺害したとして医師2人が逮捕された。医師の1人は「高齢者を『枯らす』技術」といったブログを出していたとみられる。藤井さんの法人は毎年、事件を通し優生思想などを考えるフォーラムを開いてきたが、今年はコロナの影響で開催を断念。藤井さんは「不十分だった裁判について正面から考え、問題が終わっていないと確認したかったが、せめてこの日に本を世界に発信することで、19人を弔いたい」と話している。

絵本は「Picture Book United Nations Convention on the Rights of Persons with Disabilities」。AB判変形、32ページ。1980円(税込み)。

報道しない自由

免疫学の権威が断言「コロナ第2波なんかない!」集団免疫でしか終息しない

2020年7月28日 11:00 0【東スポWeb】

新型コロナウイルスの感染者が東京を中心に増え続けている。第2波の訪れと認識し、緊急事態宣言の再発令を求める声や22日に始まった「GoToトラベル」キャンペーンに伴う県をまたぐ移動に懸念の声が高まっている。そんな中、免疫学の権威として知られる順天堂大学医学部免疫学特任教授の奥村康氏(78)と京都大学特定教授の上久保靖彦氏(53)が27日に都内で新型コロナウイルスに対する緊急会見を開催し、第2波の到来を真っ向否定した。

感染の危険性と隣り合わせの生活が始まった。3密を避ける工夫が行われるようになり、マスクの着用も必須となった。

だが、奥村氏は「頭隠して尻隠さず。数字的にマスクの効果があるのか疑問に思う。僕はまったく効果があるとは思わない」と話す。

新型コロナは集団免疫によって終息すると考えている奥村氏はその根拠として「過去に世界で流行したスペイン風邪や香港風邪、あるいはSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)など、いずれも最終的に終息したのは、人間が集団免疫を持ったからである」と述べた。

「今は猛威を振るっている新型コロナも最終的には集団免疫によって抑え込まれていくし、それ以外に人間が勝利する道筋はない。自粛などしないで普通に生活を送れば多くの人が感染し、免疫を持つまでの期間を短縮できる。しかし、それは犠牲者が増えてしまうので現実的ではない。なるべく犠牲者を少なくしてから感染経験者を増やしていく戦略を考える必要がある」と断言した。

さらに「日本人の多くはすでに抗体を獲得しているはず」とも発言。

「新型コロナでは、PCR検査陽性の人でさえ、9割以上は無症状。それは、感染後5日から1週間で抗体ができるから。インフルエンザでは、ワクチンを打ってない人も抗体検査をすれば必ず引っかかる。電車や街中で知らず知らずのうちにかかり、症状が出ないうちに治ってしまうためだ。同様にコロナの集団免疫はできると考えている」と見解を明かした。

上久保氏は感染拡大を防ぐ取り組みを疑問視してこう語る。

「免疫がなければ感染するし、免疫があれば感染しない。人との距離を離したからといって唾が飛ばないというわけではない。ウイルスなどの微生物はあたり一面にいる。いくら離れようと全く関係ない。密とかそういうことは、実はまったく関係のない話だ」

会見ではヨーロッパの人口100万人当たりの新型コロナウイルス死者数のデータが記されたグラフが公開された。どの国も右肩上がりに死者数が増加しながら、あるところまでいくと急激に減少している。

グラフについて上久保氏は「各国順番に感染が来て、ある時、必ず落ちていく。急激に死者曲線が終息に入る。山の高さは変わるけれど、曲線の形態は必ず同じ。ロックダウンや行動制限によって終息したというよりも、みな同じ形で、ある段階で突然のように死者数が急激に減少する。このデータから、私どもは集団免疫が達さ(れ)ないと終息することはないと考えている。このデータはその証拠であると捉えている」と説明した。

感染者数は増えているものの、死者数はかなり減っている。このままある程度のところまでいけば、自然と終息するということなのだろうか。

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iPs細胞でノーベル賞を受賞した山中教授は、「なぜ日本人の死亡者は二けたも少ないのか」「ジャパンミラクルと世界から言われる謎を解くファクターXを見つける必要がある」と言います。同じ京都大学で「専門家でもないくせにと、政府専門家会議から無視されてきた」という上久保教授らの解析が注目されています。

上図に示すように、確かにインフルエンザ患者グラフの腰折れ時期が、先発の2種類の武漢ウィルスが日本にやってきた時期と考えれば、これに免疫細胞が反応してサイトカインを放出した結果インフルエンザウィルスが増殖できずに収束したことはうなずけます。

また、あれこれの理由で武漢ロックダウン後も中国渡航者を長く迎え入れた結果、多くの日本人に武漢ウィルスが感染して免疫がつき、いよいよ強毒変異した武漢ウィルス(武漢・欧米強毒型)が来た3月中頃には多くの日本人が免疫をつけ無症状か軽症で患者が抑えられてきたことも理にかなっていると思います。

そして、すでに昨年12月から感染が広がった日本人にPCR検査をすれば、症状はないけれどもウィルスを検出してしまうのも合点がいきます。ここで言えることは、約42万人が死亡するとの試算を公表した8割おじさんの意見やPCR検査を増やせば感染を予防できる等と煽っていたメディアは、3月末からこのエビデンスを示して主張していた上久保教授らの主張を全く取り上げなかったという事実です。

報道の自由とは報道しない自由とは違うはずです。発達障害情報にもメディアが煽る話もあるし、報道しない確かな情報もあります。SNSなどが発達してきた現在、まったく知りえない情報は少なくなったとは思いますが、最後は一人一人がどの情報を選び取り採用するかにかかっています。

学習指導の課題は、小中高ともに8割以上が「ICTの活用」

小学校の夏休み「2週間未満」25%最短は9日間

【朝日新聞】2020年7月17日 20時36分

コロナ禍で休校を実施した自治体のうち、今年の小学校の夏休みを2週間未満(土日含む)とした自治体が25%に上ることが、文部科学省の調査でわかった。今月の豪雨被害による休校で、さらに短くせざるを得ない自治体が出る可能性がある。

調査は全国の公立小中高校などの夏休みの日数や、休校中・再開後の課題などについて、全市町村や都道府県の教育委員会に6月23日時点の状況を尋ねた。

小学校を休校した1715自治体のうち、夏休みの日数を一番短い「9日」にしたのは105(6%)で、2週間未満が25%だった。中学校を休校した1745自治体については、一番短い「9日」が139(8%)で、2週間未満は28%だった。

小中学校ともに、一番多かったのは「16日」(小学校21%、中学校20%)で、「23日」(小学校11%、中学校11%)が続いた。

高校を休校した154自治体については、一番短い「4日」が1、次いで短い「9日」は10で、2週間未満は18%。最多は「23日」(18%)だった。

また、本来なら夏休みだった期間に授業をする場合、給食を実施する自治体は小中学校ともに95%に上り、半日授業や昼食持参の自治体以外はほぼ実施することがわかった。

文科省によると、小中学校の夏休みは例年、寒冷地を除くと、7月下旬から40日程度としている地域が多い。ただし、近年は冷房の導入で期間を短縮する自治体も増えている。

一方、休校中に学校が課した家庭学習では、「同時双方向型オンライン指導」が高校で47%だったのに対し、小学校で8%、中学校で10%にとどまった。複数回答可で休校中の学習指導の課題を尋ねたところ、小中高ともに8割以上が「ICTの活用」を挙げた。(宮崎亮)

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このブログでは何回か小中学校のICT教育が進まず、諸外国から大きな後れをとっていることや、ICT教育をうまく使えば発達障害、特にLD児の支援に大きな効果が期待できることを書いてきました。

今回は武漢ウィルスで思うように教科学習が進まなかった子どもに対して、長期休業中にICT教育が使えたらという先生方がいかに多いかという記事でした。

問題は一人一台の電子機器とwifiをはじめとするリモート環境が家庭に準備できないという事です。しかし、一方で小学校低学年では3割の子どもが、中学では7割の子どもがスマートフォンを所有しています。勉強道具より遊び道具のリモート環境が成立しているのが我が国の現状です。

すてっぷでは、この間リモート学習教材の試用をしてますが、子どもたちは1か月もしないうちに半時間程度の学習に取り組めるようになります。デメリットは子どもによっては障害特性に合っていない教材があることですが、自学自習の学習態勢(自分で自分に合った速度で勉強をすすめる姿勢)を育てるにはICT教材が最も適していると考えています。

 

人権を守る方法

「おかねのけいさんできません」男性自殺 障害の記載「自治会が強要」

【毎日新聞】7/31(金) 10:37配信

知的・精神障害がある男性(当時36歳)が自治会の役員らに障害者であることを記した書面を書くよう強要され、自殺したとして、男性の両親が自治会と役員らに計2500万円の賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。両親によると、男性は「おかねのけいさんはできません」などと障害の影響についても詳しく書かされ、他の住民にも見せると告げられた翌日に自殺していた。31日に第1回口頭弁論があり、役員らは争う姿勢を示した。  

◇遺族が提訴、自治会役員らは争う姿勢  

訴状などによると、男性が1人暮らしをしていた大阪市内の市営住宅では2019年11月、自治会の班長を住民同士がくじ引きで選ぶことになった。男性は障害を理由に選考から外してもらうよう役員らに求めたが、「特別扱いできない」と聞き入れられなかった。  

役員らは集会所で男性と対応を話し合った際、障害があることや日常生活への影響を記すよう要求。男性が書面を作成すると、役員らは他の住民にも書面を見せて男性のことを紹介すると説明したという。翌日の11月25日、男性は自宅で命を絶った。  

書面は便箋2枚に手書きでつづられ、「しょうがいか(が)あります」という言葉で始まる。「おかねのけいさんはできません」「ひとがたくさんいるとこわくてにげたくなります」「ごみのぶんべつができません」などと苦手なことを列挙し、文頭に×印を付けた。「となりにかいらんをまわすことはできます」などと、可能なことには○印を付けたとみられる。  

◇両親「障害有無は個人情報」

両親は「障害の有無などは他人に知られたくない個人情報。必要性がないのに本人の意思に反して書面作成を強要した」として、プライバシーや人格権の侵害を主張。他の住民に見せると伝えて心理的な負担をかけており、役員らは自殺を予見できたと訴えている。  

一方、役員は「どうすれば他の住人の理解を得ながら、男性を班長選出から外せるか模索した」として、強要を否定。書面の作成については「嫌がっているそぶりはなかった。ストレスのない方法を選択して適切だった」と主張している。  

近くに住む兄(41)によると、亡くなる前夜、男性は「言いたくないことまで根掘り葉掘り書かされた。さらし者にされる」とため息交じりに話し、落ち込んでいたという。兄は「弟は真面目でおとなしく、障害もあって他人に指示されると抵抗できなかった。自殺に追い込んだのは許せない」と話す。【伊藤遥】  

◇自殺した男性が書かされたとされる書面(一部)  

しょうがいか(が)あります

○2500えんは ふうとうにいれれます
×おかねのけいさんはできません
○1たい1ではおはなしできます
×ひとがたくさんいるとこわくてにげたくなります
○となりにかいらんをまわすことはできます
○ひととあったらあたまをさげることはできます
×いぬとかねこはにがてです
×ごみのぶんべつができません
○自てんしゃにはのれます
○せんたくはできます ほすこともできます
○どこでもすーぱーこんびにはかいものできます
○くやくしょびょういんにはいけます
×かんじやかたかなはにがてです

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PTAや保護者会、町内会の役員決めはお互いの交流が薄ければ薄いほど、えげつない決め方をしていることを耳にします。そして、人権が尊重されない場所では、いつも弱い人にしわ寄せが行きます。お年寄りの場合も一人暮らしであれば役員が回ってきます。役員を回避するために「生年月日」や「一人暮らし」の証明が求められている地域もあります。

逆に、「役員は嫌だから町内会費も払わないPTA会費も払わない」ことで組織に所属する意思のないことを表明して関係を一方的に断つ人もいます。地域社会が崩れてきた結果、周囲が「異質者」を晒し者にするか、自ら無関係を晒すかという両極端の現象です。いつか自分も社会的弱者になるという想像力の欠如でもあります。

どうして「手伝いますよ、一緒にやりましょう」の一声がかけられないのでしょう?人はみんな違うのですから、それを認めてお互いに手を差し出し手をつなぐこと以外に人権や健全な社会を守る方法はありません。

強度行動障害

物を壊し親に手上げ…強度行動障害、支援の現状は

【西日本新聞】7/31(金) 11:03配信

急に飛び出して命の危険がある、物を破壊する、人を傷つける-。こうした行為が頻繁に表れる「強度行動障害」。知的、発達障害がある人の1%程度とされ、見守りが難しく、家族だけで孤立しがちという。ほとんど知られていない当事者の暮らしを見つめ、配慮や支援のあり方を考える。

◇◇

強度行動障害がある北古賀弘紀さん(28)は福岡市の生活介護事業所「おおほり苑」に約10年前から通うようになり、暮らしが落ち着いてきたという。この通所施設では、どんな支援が行われているのだろう。

もともとワンフロアだったという部屋が個別のスペースに区切られていた。23日午後。あいにくの雨の中、弘紀さんは生活支援員の松原俊輝さん(22)と相合い傘で外に出かけた。

個別に異なる時間
この日の作業は、空き缶の回収を呼び掛けるポスティング。歩いて地元の一戸建てを回り、チラシを丁寧に入れ込んでいく。昔は止まった車を見つけると、ホイールやワイパーを壊そうと走りだすこともあったという弘紀さん。「そんな気配があるときは、さりげなく間に立つなどして遮れば、また作業に集中してくれます」(松原さん)

小一時間で施設に戻った後は、自分専用の作業机で紙を折ったり、シールを貼ったり。予定をすべてこなした「ご褒美」として、また2人で近所のスーパーへ。好物のおやつを買い、弘紀さんは満足そうだった。

全員でレクリエーションをするなど一般的な生活介護事業所とは違い、ここではそれぞれが個別の環境で異なる時間を過ごす。

親元で自立難しく
身近な人を傷つけたり、ものを破壊したりする強度行動障害。「本当はしたくてしているわけではなく、自閉症などの特性によって環境の理解や意思の表現が難しく、本人が何かに困っていることの現れ」と施設長の増山利幸さん(44)は指摘する。「一度でも起こすと続けてしまう人には、行動を予測し、まずさせないことが大事。困った気持ちを周りが受け止め、適切なコミュニケーションを教えていくんです」。それが本人の自信や自立にもつながる。

ただし、何が苦手なのか、原因や要因は人それぞれ。一定のスペースなど物理的環境をととのえれば落ち着く人もいれば「弘紀さんのように、身近な支援者が信頼できるかどうか人に左右される」場合も。利用者一人一人にじっくり向き合い、見極め、対応を試行錯誤していくため「やはり時間は掛かります」。1人に対して3人の支援員が必要なこともあり事実上、一度に多くの受け入れは難しい。何より支援者側の知識や経験が問われていく。

同施設は利用者約50人のうち、知的障害などの重度者が約9割。母にかみつき、ひっかき、長期間自宅に引きこもっていた人、突発的にフロントガラスを肘で割る人、次の行動に移るまで気持ちが切り替えられず長時間、その場を動かない人…。家族からのSOSに応じ、同僚や後輩と支援ノウハウを共有しながら、こうした強度行動障害のある人も受け入れ続けてきた。

「わが子と必死に向き合い、将来に不安を感じながら毎日を送ってきた高齢の親御さんばかり。親元ではどうしても生活パターンが改善されにくい。行動障害を軽減させ、自立をサポートしていくのが、やはりわれわれ支援者の役目ですから」(増山さん)
しかし、こうした通所施設は「少数派」だ。

地域の一員として
おおほり苑を運営する社会福祉法人「福岡障害者支援センター」理事長の野口幸弘さん(66)は、強度行動障害のある人の支援策を模索してきた「福岡市強度行動障がい者支援調査研究会」の座長を務めている。

初代の同施設長でもあり、若手職員向けに独自の研修を行うなど「家庭生活が困難でも、当事者が住み慣れた地域で暮らしていく」ための通所施設やヘルパー、グループホーム(GH)を想定した人材育成に取り組んできた。

国レベルでも専門の支援者養成研修制度が始まり、修了者によるサービスを提供する施設やGHなどには報酬を加算する制度もできたものの、「残念ながら、積極的に当事者を受け入れようと考える事業者がなかなか増えない」ことがもどかしいという。

日中活動への報酬自体の低さや、支援の難しさ以上に、野口さんが感じるのは「障害が重い人ほど親が面倒をみるか、みられなくなれば入所施設へ、という古くからの固定観念が、当事者や支援者側にまだまだ根強い」現実。GHなどへの公的補助を充実していくためにも、社会全体の意識改革が必要となる。

「どんなに支援が難しい人でも、いろいろ関係性を模索していると、意思が通じ合い、ニコッと笑ってくれる瞬間がある。かわいいんですよ。家族も職員も喜んでくれる」と野口さん。そんな笑顔を多くの人が知れば、社会も変わっていくのかもしれない。

(編集委員・三宅大介)

【ワードBOX】福岡市強度行動障がい者支援調査研究会
2004年、福岡県内の入所施設で起きた虐待事件を機に、当事者を地域で広く支援する施策を模索する目的で06年、市内の学識者や行政、福祉関係者で発足。実態調査などを行い、支援者側の人材育成や、個別に行動面の課題軽減を目指した集中支援など、市内のさまざまな事業展開に関わる。昨年の実態調査によると、市内の強度行動障害のある人は346人(市外の施設利用者を含む)。

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記事での強度行動障害の人数は成人の数だけをあげていますが、児童でもほぼ同じ比率で他害や自傷があります。大人の力で抑えきれなくなって強度行動障害という名になるだけであって、その兆候は小さな時期からあります。大事なことは、行動障害を予防する観点で生活や学習が組み立てられるかどうかにかかっているということです。

話し言葉の苦手な子どもに代替コミュニケーションの支援や環境調整を障害特性に基づいて支援できていれば多くの行動障害は減少していくし、予防できます。もちろん、強い感覚障害や感情調整の難しさがあって薬物療法も並行して必要になることもありますが、薬物療法は対症療法でありメインではありません。行動障害の予防も対応も、その主軸は障害理解による正しい行動支援以外にはありません。

 

GOMESSが託した思い

大反響の発達障害のCM 「障害者? 違う、僕は僕」 当事者のラッパー・GOMESSが託した思い

深澤友紀2020.7.11 17:00【AERA】

昨年6月にYouTubeで公開された「発達障害をテーマにしたドキュメンタリーCM」が共感を集めている。発達障害をテーマにしたドキュメンタリーCMの何が心に刺さるのか。AERA 2020年7月13日号から。
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東海テレビが制作した発達障害をテーマにしたドキュメンタリーCM「見えない障害と生きる。」が、反響を呼んでいる。昨年6月にYouTubeで公開されると現在までに145万回以上再生され、JAA広告賞消費者が選んだ広告コンクールの経済産業大臣賞や日本民間放送連盟賞のCM部門最優秀賞などを受賞した。発達障害は「見えない障害」の言葉通り、映像化も難しいテーマだが、なぜ視聴者の心に刺さる作品が生まれたのか。

全編で5分間のCMには、発達障害の一つ、学習障害(LD)で文字が読めない教師や、聴覚過敏で周囲の音に襲われる学生、独特のこだわりを持つ掃除好きの男性など6人の発達障害当事者が登場し、最後は自閉症のラッパー、GOMESS(ゴメス)さん(25)のラップが90秒間続く。
カメラを見つめ、画面の向こうの「あなた」に問いかけるGOMESSさん。冒頭はこうだ。
僕は誰だ人間
でも僕はフツウじゃないらしい
だから何だ障害者健常者
違う僕は僕だ
言葉に騙(だま)されないで
障害は確かにあるけど
僕とあなたの間にあるその障害は僕だけのものじゃないと思うんだよ

GOMESSさんはラップに込めた思いをこう語る。
「『障害者』という言葉で線引きするのっておかしいと思っていて、生きづらさがあって見えている景色が違うだけ。同じ人間なんだと伝えたかった」
10歳の時、パニックを起こしたことを機に自閉症と診断された。特に聴覚過敏が強く出て、鳥が電線から羽ばたいた音や、父親が新聞を広げる音などでパニックになり、周りにあるものを壊した。15歳までの5年間は学校にも行けず、「世界のすべてが敵だと思っていた」。

ただ、振り返ると、「家族が僕を愛してくれて、言葉掛けや行動をすべて変えて協力してくれた」。事前に「今から掃除機かけるよ」と教えてもらうと心の準備ができ、パニックを起こさないでいられた。音楽が好きになると、親は毎週図書館に連れて行ってくれ、CDを借りてさまざまな音楽を聴いた。そこで出合ったのがラップだった。
「うまくしゃべれなくても、このラップでうまくやってきたし、いろんな生き方がある。こんな人間もいるんだと知ってほしい」

6歳の当事者の男の子と両親が登場するシーンでは、「ゆっくりだけど、みんな学んでいる。」というコピーが映し出される。CMのプロデューサーを務めた東海テレビの桑山知之さん(30)は言う。「はじめは『ゆっくりだけどちゃんと学んでいる』というコピーだったんですが、僕が変えようと提案しました。子どもだけじゃなくて、周りも一緒に成長しているから」CMの中で母親は「対応の方法もわからず間違った声かけをしていたけど、(発達障害を)勉強するうちに、彼のわかりやすいように対応できるようになってきたのかな」と語っている。「障害があるからといって、助けるとか手を差し伸べるのではなくて、人と接するときに相手を知って相手に合わせることって当然のこと。そこを伝えたかった」(桑山さん)

片づけが苦手で離婚した注意欠如・多動性障害(ADHD)の女性もCMに出演。女性の「パッと見、フツウに見えるからわかってもらえない」というせりふの通り、発達障害は見た目でわかりにくく理解されにくい。「映像化しづらくてテレビでもあまり取り上げられてこなかったテーマだけど、だからこそ伝えたかった。最後のラップや聴覚過敏の男の子が周囲の音に襲われる演出などは、テレビのドキュメンタリーではやらない手法。広告的な視点があったから、生まれた動画だと思います」(桑山さん)

(編集部・深澤友紀)※AERA2020年7月13日号

 

文字が読めない―見逃されるケースが大半

文字が読めない―発達性読み書き障害
見逃されるケースが大半(2020/08/03 07:00)【時事メディカル】

特異的読字障害は「発達性読み書き障害」とも呼ばれ、脳に損傷がないのに文字が習得できない状態で、俳優のトム・クルーズさんが抱えている障害としても知られている。知能の遅れはなく、普通に会話もできるため、気付かれにくい。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所(東京都小平市)知的・発達障害研究部の稲垣真澄前部長は「発達性読み書き障害は、早期発見とその子に合わせた指導が必要です」と話す。

子どもの読み書きに不安を感じたら相談を

▽いじめや登校拒否も
特異的読字障害は、文字を正しく、すらすら読むことが難しい障害で、読めないために書けないという障害を生じる。医学的には発達障害の中の学習障害に分類され、限局性学習症とも言われている。稲垣前部長は「小さい頃から文字に対する関心が低く、絵本を見てもパラパラとめくるだけで、興味を示さないなどの様子が見受けられます。

しかし、知能的な遅れがないため大半は見過ごされています」と説明する。小学校に入学して、授業で教科書を読む、文字を書くといった学習が始まると、単語の文字を一つ一つ拾う逐次読みをする、文章を正確に読めない、字を書くのに時間がかかり升目や行に納められない、雑な字を書くなどの特徴が目立つようになる。「いじめの対象になったり、学習性無力感といって、過去の経験からどうせ自分にはできないと諦めてしまい、登校拒否に至ったりすることもあります」と稲垣前部長は指摘する。ただし、周囲の理解があれば、これらは防げるという。

▽個々に合わせた訓練
脳の頭頂葉に角回(かくかい)と呼ばれる場所があり、言語や認知をつかさどっている。発達性読み書き障害は、ここの機能に障害があるため、表記された文字とその読み(音)が自動的に対応できないのではないかと言われている。診断では知能検査と併せて必ず音読検査を行い、平仮名、漢字、単語や文章などに分け、どこに読み書きの問題があるのかを明らかにする。具体的な指導方法は一人一人異なる。例えば平仮名に問題がある場合は、「あ」や「い」といった文字をパッと見せて、何と書いてあるか正しく言えるようにし、文字音変換の自動化を訓練する。次に、それを単語で行う。

近年では、障害があっても平等に教育や社会生活に参加できるようにという合理的配慮から、テストの問題用紙に振り仮名を振ったり、時間延長や問題の読み上げを行ったりする学校も出てきている。また、早く障害に気付き学習的な介入を行えるよう、稲垣前部長らは幼稚園教諭や保育士らの気付きを促す子どもの様子に関する観察シートを作成した。「読み書きに障害があるのではと感じたら、発達障害に詳しい医療機関や発達障害者支援センター、児童相談所などに相談してください」と呼び掛けている。
(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

小学校で「教科担任制」導入

”担任”なくしました 小学校で「教科担任制」導入 先生チームで支援「相性問題軽減、専門性も発揮」/兵庫・丹波市

8/3(月) 11:04配信【丹波新聞】

兵庫県丹波市の中央小学校が今年度、4、5、6年生の高学年で、学級担任制に代わり、教科担任制を導入した。中学校のように教科ごとに教師が代わる。教師5人で4学級を担任するもので、1年間を通して固定した学級を担任する教師はいない。同校は、「管理・統制」から「自律・個別最適化」を目指しており、西田隆之校長(55)は「従来より教師は半歩引き、子どもたちが自分たちで考え、課題を解決し、問題を乗り越える力を培うための試み」と説明している。

教師5人でつくる「高学年団」が、4年生(2学級)、5、6年生(各1学級)の計4学級を受け持つ。
国語は南里奈さん、算数は足立浩基さん、理科・体育は梅田拓人さん、社会、外国語は藤井千歳さん、音楽・図工と算数補助は高橋祐子さんが担当する。この顔ぶれで、各学級のホームルームも担当するが、1年間の固定ではなく、すでに3度代わっている。

同校は、学年団という関わり方をすることで、多くの教師の価値観に触れる機会が持て、問題によって相談する教師を代えるなど、児童が考えて行動するようになることを期待しているほか、児童と教師の相性問題の軽減、教師が自身の専門性を発揮し、授業の質の向上が図れると考えている。

算数担当の足立さん(38)は、「例えば6年生が分数を学ぶ時期に5年生は小数の学習をする。教材が全部手元にあるので、『5年生のときのことを振り返ってみよう』と出題ができる。複数学年を持つことで、どこでつまずいたのかが確認できる。上の学年、下の学年のプリントを自由に使って自習できるようにもしている」と、教科担任制のメリットを語る。国語担当の南さん(32)は、「今教えていることが、1年後のここにつながるんだなと、教えるイメージを持ちやすい。1時限ごとに教師が代わるので、休み時間に食い込んで、切りの良いところまで進めることはできない。時間配分を気にしている」と言う。一方、従来の担任のように一日中、同じ児童と接しないため、変化を見逃さないよう生活面での情報共有を教師間で密にする必要があるという。

印象に残る教師が「恩師」に
足立さんらを学校改革で知られる東京・麹町中学校に派遣し、同校の若手教師らと意見交換した上、兵庫教育大学の宇野宏幸教授の助言を受け、1年半かけて準備した。西田校長は「私たち世代は担任と言えば、ドラマ『金八先生』のようなイメージだが、支援してくれる大人チームのようなものに変わる。その中で、困っているときに相談にのってくれたり、ほめられたことがうれしいと印象に強く残る教師を『恩師』と、児童が思うのかもしれない」と話している。2年後には全国の小学校で教科担任制が始まる見通しで、今後、各校で具体的な検討が進む。

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義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方について文科省は、令和4年(2022年)をめどに小学校高学年からの教科担任制を本格的導入すべきとしています。 小学校高学年の児童の発達の段階、外国語教育など専門性の向上を踏まえたもので、今後は教科担任制に必要な教員数の確保や小中学校の連携について検討を進めていくそうです。

この発想は、学力向上と働き方改革の両方からでてきたそうです。小学校で全教科の準備をするには放課後の時間は短かすぎます。教える教科数を少なくして専門的に指導することは大事なことです。正直、新しく入った英語やプログラミング、ダンスの指導をどの先生も準備するなんてオバーワークもいいところです。だったら、教科制の中高のレベルは高いのかと言われそうですが、これはこれでクラブ問題や生徒指導問題という別の問題があるので、簡単に比べることはできません。

チームで指導しようとするならば良い結果がでるでしょうし、教科の砦の中に教員が埋没すれば中高の教科制の悪いところと同じ結果になるでしょう。それでも、自然科学や社会科学の魅力や、芸術やスポーツの奥深さを伝えるには専門性を要します。それが好きな先生しか伝えることができないと思うのです。そうした先生は必ず凸凹発達の子どもたちのカリスマティックアダルトとしても輝いてくれるはずだと思うのです。

甲子園:フィールド・オブ・ドリームス

今年は映画館で甲子園!高校野球ドキュメンタリー新旧2作品が連続劇場公開

8/6(木) 7:00配信【映画.com】

高校野球を題材にした記録映画2作品が劇場公開

新型コロナウィルスの影響を受け、中止が決定した今年の「夏の甲子園」。100年以上続く歴史の中で史上3度目、戦後としては初となる高校野球界にとっても異例の事態となったが、「今年は映画館で甲子園を。」をテーマに、高校野球を題材にした記録映画「第50回全国高校野球選手権大会 青春」「甲子園:フィールド・オブ・ドリームス」の劇場公開が決定した。

【動画】「甲子園:フィールド・オブ・ドリームス」予告編

1968年9月に劇場公開され「幻の傑作」と語り継がれる「第50回全国高校野球選手権大会 青春」は、“日本で一番美しいもの”を追い求めた巨匠・市川崑監督が、第50回記念大会を圧倒的なスケールで映画化。時代が変わっても守り続けるべき高校野球の「伝統」を再発見できる作品だ。

そして、移りゆく時代と共に変えるべき高校野球の「革新」を映し出す、新作ドキュメント「甲子園:フィールド・オブ・ドリームス」(20)は、ニューヨークを拠点に活躍する山崎エマ監督と制作陣の「高校野球という日本独自の文化を海外に紹介したい」という願いから日米の国際共同制作作品として誕生。海外に先駆け放送され大きな反響を呼んだNHKのドキュメンタリー「ノーナレ 遥かなる甲子園」(18)、「HOME 我が愛しの甲子園」(19)で描ききることができなかった部分まで被写体を掘り下げた長編作品。米・撮影クルーとともに100回記念大会へ挑む激戦区・神奈川県の横浜隼人高校と、大谷翔平や菊池雄星を輩出した岩手県・花巻東高校の球児とその指導者へ1年間に渡る長期取材を敢行。日本人メジャーリーガーたちの“原点”を描いた作品として、また高校野球を“日本社会の縮図”と位置づけ変わりゆく時代の空気をも切り取る山崎監督ならではの視点とその手腕に、野球大国であるアメリカ全土で高い関心と大きな話題を集めた。

「第50回全国高校野球選手権大会 青春」は、8月14日から、「甲子園:フィールド・オブ・ドリームス」は8月21日から丸の内TOEI、アップリンク渋谷ほか全国順次公開。

▼「甲子園:フィールド・オブ・ドリームス」山崎エマ監督コメント

「高校野球という日本独特の文化を、世界の人たちに知ってもらいたい」という思いで始動したこのプロジェクト。ニューヨークの映画祭や全米放送後に、甲子園のことを初めて知ったアメリカ人たちが「KOSHIEN」に興奮し語り合う様子に感銘を受けました。そんな本作が、日本の皆様にもお届けできる機会を頂き、感無量です。100年以上に渡って培った伝統と、時代に伴う変化が用いられる高校野球の現場には、次世代を育てる責任と向き合う指導者たちと、青春の全てを捧げる球児たちの姿がありました。夏の甲子園100回大会の年に撮影した本作に出演した当時の1年生は、今年の3年生で、辛い思いを秘めて最後の夏を過ごしていると思います。2020年、パンデミックの影響で春と夏の甲子園が中止される特別な年に、巨匠市川崑監督が夏の甲子園50回大会を捉えた名作「青春」と共に、また高校野球が本来の姿を取り戻すまでの「繋ぎ」の一つとして、そして今一度この日本の風物詩を見つめ考える機会として、本作が役に立てばと願っています。全国の球児や関係者の方々にとっても、少しでも前に進むパワーの源にして頂ければ幸いです。

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今年は武漢ウィルス感染予防で甲子園がなくなりました。地方大会はやっているようですが、甲子園があるときのような盛り上がりはありません。

映画館での感染はこの半年間報告されたことはなく安全が担保されているようです。映画で新旧の甲子園映画対決を観るのもいいなと思います。

★8月14日(金)公開『第50回全国高校野球選手権大会 青春』(日本/97分/1968)総監督:市川崑

★8月21日(金)公開『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』(2020年/アメリカ・日本/94分/16:9カラー/5.1ch /ドキュメンタリー)監督・編集:山崎エマ

UPLINK京都【烏丸通:新風館地下1階】

うがい薬

「うがい薬で唾液中のコロナウイルス減少」吉村知事会見
新型コロナウイルス

2020年8月4日 19時10分【朝日新聞デジタル】

大阪府と大阪市、府立病院機構大阪はびきの医療センター(大阪府羽曳野市)は4日、新型コロナウイルスの感染者に殺ウイルス効果のあるうがい薬でうがいをしてもらったところ、唾液(だえき)の検査で陽性となる割合が減ったとの研究結果を発表した。府などは肺炎などの重症化の予防につながる可能性があるとして、本格的な研究を始める。

政府が効果などを認めていないため、吉村洋文知事は「薬事法(現・医薬品医療機器法)上、効果があるとはいえない」とした上で、「(殺ウイルス効果のある)『ポビドンヨード』を含むうがい薬は『イソジン』などとして市販されているので、うがいを励行してほしい」と呼びかけた。

センターの松山晃文・次世代創薬創生センター長によると、研究は府内で宿泊療養している軽症や無症状の患者41人を対象に実施。ポビドンヨードを含んだうがい薬で1日4回うがいした人の唾液のPCR検査の陽性率は、1日目は56・0%で、4日目は9・5%に減った。うがいをしなかった人は、それぞれ68・8%、40・0%だったという。

松山氏は「コロナは鼻やのどの奥で増える。今回、唾液だけでやっているので、これで患者を治せるわけではない」とした。「ウイルスを含んだ唾液が肺に入ることで肺炎を起こすケースがある。唾液中のウイルス量を減らすことで重症化が抑制され、人にうつしにくくなるのではないか」とも説明。今後は対象者2千人を目指して研究を続けるとした。

効果が薄い場合の責任について記者団に問われると、吉村知事は「僕が責任を取るのは研究結果。結果は保証したい。コロナに完全に効く薬はなく、それに対して責任取るとか取らないとか、そういうものじゃない」とした。

会見で吉村知事は「買い占めはしないでください」と訴えたが、大阪市中央区のドラッグストアでは会見後の午後4時半過ぎ、イソジンを含むうがい薬を置く棚だけが空になっていた。男性店長は「1時間ほど前に売り切れました」。約30個あったうがい薬が10分ほどの間に売り切れたという。

「本来は風邪が流行する冬場に売れる商品。コロナの予防にはなるかもしれないですが……」。新型コロナウイルスの影響で1家族に1個と限定して販売していたという。

自転車で店に駆けつけた男性(40)は、売り切れた棚の前で立ち尽くし、「テレビ番組でうがい薬が取り上げられているのを見た妻に頼まれて買いに来た。本当に効くのか分からないが、念のため、あれば安心できるかなと思って」。肩を落とし、携帯電話で妻に報告した。(本多由佳、小林太一)

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うがい薬を知事推奨、大阪府に抗議・問い合わせ450件
新型コロナウイルス

2020年8月6日 19時56分【朝日新聞デジタル】

大阪府の吉村洋文知事が4日、新型コロナウイルス対策として、殺ウイルス効果のあるポビドンヨードを含むうがい薬を使ったうがいをすすめたことに対し、府に抗議や問い合わせの電話が相次いでいる。5日だけで約450件に上り、職員が対応に追われている。

吉村知事は4日、大阪市の松井一郎市長、府立病院機構大阪はびきの医療センターの松山晃文・次世代創薬創生センター長とともに市内で会見した。新型コロナ感染者がうがい薬を使ったところ、唾液(だえき)検査で陽性となる割合が減ったという松山氏らの研究結果を発表し、「薬事法(現・医薬品医療機器法)上、効能があるとまでは言えない」としつつ「うがいを励行して欲しい」と重症化予防につながる可能性を示唆した。

府によると、この発表について、府民からは「(うがい薬が)店頭からなくなった」、「ネットで転売しており、取り締まる必要があるのではないか」といった問い合わせが相次いだという。薬局からは「卸業者から入ってこなくなり現場は混乱している」、医療従事者からは「妊産婦らへの副作用もあり、安易に使用を推進するべきではない」といった電話もあった。府は、抗議への対応で通常業務に支障が出ており、専用の電話回線を4回線増設した。

吉村知事は6日、こうした意見が相次いでいることを受けて、「予防効果があるということはないし、言っていない。不要な買い占めは控えてほしい」とあらためて説明した。

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「何かがなくなりそうになったら、そうなる前に買い占めろ」という行動は、それが論理的に間違っているかどうかは別にして、自分を守るためには必要な行動ということになります。放送の時点でうがい薬を買わなかった人は、もう当分うがい薬は買えなくなるからです。科学的な根拠とは関係ありません。集団ヒステリーとはそういうものだそうです。

研究発表の内容で医師が述べているのは「唾液の中のウイルスを減らすことで、人にうつしにくい」ということです。そしてそのことが、軽症患者にとって重症化を防ぐことにつながるかどうかは、研究を続けていかないとわからない、ということでした。イソジンでコロナ陽性者が減るとは、言っていないのです。

手を石鹸で洗えば手に付いたウイルスが死ぬのと同じで、ポピドンヨードでうがいをしたら口の中のウイルスの一定数を滅らすことができ「唾液を使ったPCR検査における陽性反応者の数が減る」のは当然です。しかし、2005年の風邪予防の研究では、ヨード液と水道水でうがいをするのでは、塩素を含んだ水道水の方が効果があったことや、ヨードは甲状腺ホルモン合成が抑制されて、甲状腺機能低下を招くことが知られていますが、こうした情報はなかなか報道されません。

エッセンシャル・ワーカー

放課後等デイサービスでクラスター発生 神戸市

2020/8/8 19:01【神戸新聞NEXT】

神戸市は8日、障害のある児童の放課後等デイサービス施設「ガリレオ東灘」(同市東灘区)で、小学生5人や職員の計10人が新型コロナウイルスに感染したと発表し、クラスター(感染者集団)が発生したとの認識を示した。

小学生の男児5人、40代の男性職員1人、20代の女性職員4人。同市によると、10人はいずれも軽症か無症状という。

男性職員は2日に発熱があり5日にPCR検査を実施し、陽性が判明。30日と翌31日にマスクを着けず室内で勤務していた時間があったため、濃厚接触者として利用者14人と職員5人を7日に検査した。

男性職員は31日に系列の「ガリレオ六甲道」(同市灘区)でも3時間ほど勤務しており、濃厚接触者にあたる利用者6人と職員3人にも検査を実施。利用者6人は陰性で、職員3人は結果待ちという。2施設は当面休業する。(小谷千穂)
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〈新型コロナ〉児童分野で働く職員に慰労金自治体に独自の動き

8/4(火) 10:07【福祉新聞】配信

新型コロナウイルス感染症の対応に追われる子ども分野で働く職員を対象に、独自に慰労金を創設する自治体が出てきた。愛知では児童養護施設や保育所を対象にした「応援金」を創設。政府は福祉分野で働く慰労金を支給する方針を示しているが、子ども分野は対象外となっており、現場からは「コロナ第2波の足音が聞こえる中、こうした取り組みが全国に広がれば」という声も出ている。

政府は5月、新型コロナに関する「緊急包括支援交付金」を拡充し、福祉分野で働く職員全員に1人当たり5万円の慰労金を支給すると発表した。施設で新型コロナが発生していれば20万円に増額する。

ただ対象は特別養護老人ホームや障害者施設、救護施設など高齢や障害分野に限定。児童養護施設や乳児院、母子生活支援施設、保育所など子ども分野の施設については重症化リスクが低いことから慰労金の対象外としている。

そうした中、愛知県は独自に「民間児童福祉施設職員応援金」を創設した。県内の児童養護施設、乳児院、保育所、婦人保護施設など1500カ所以上を対象に、1施設10万円を交付する。

応援金の目的について、愛知県は「職員の労苦に報いてモチベーションを維持するため」と説明。宴会や旅行は禁止しているが、慰労金としての支払いを想定する。「シンプルな申請方法にすることで、8月中に支給できれば」と話す。こうした姿勢に対して、現場からは喜びの声が上がる。

愛知県内で児童養護施設や特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人和敬会の太田一平理事長は「政府による慰労金の対象から外された児童福祉関係者の落胆は大きかった。金額の問題ではなく、自治体が子ども分野の現場に目を向けてくれたことがありがたい」と評価する。

「全国の児童養護施設でクラスターが発生していないのは職員の努力の結果だ。新型コロナ第2波の足音が聞こえる中、自治体独自の慰労金がほかの地域でも広がれば」と話す。

また、山形県は子ども分野の施設職員を対象に1人当たり5万円の慰労金を支給する。保育所など約350カ所、児童養護施設5カ所、乳児院1カ所を含む計約900カ所で働く約1万3000人が対象。常勤・非常勤は問わず、調理員や事務員も対象になる見通しで、政府の慰労金で対象外となった部分を補完する位置付けとなっている。

同様に茨城県ひたちなか市も認可保育所や学童保育の職員に3万円を支給する方針。岡山県倉敷市は、市内の保育士を対象に1人最大5万円の慰労金を独自に給付する。

一方、東京都練馬区では、高齢・障害・保育分野の福祉施設・事業所で働く職員を対象に慰労金を支給する。約1600施設で働く約2万4200人を対象に、1人当たり2万円の支給を想定する。現場の実情に応じて、職員ごとに支給金額を変えることも可能だという。

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最初の記事は、感染させた放デイはけしからんというバッシング記事です。記事に非難こそ書かれてはいませんが、こんな小さな事業所名をさらしてスタッフまでも特定できる内容で報道しています。注意喚起だけなら他に報道の仕方があったはずです。学童保育も保育所も学校も障害者施設も老人施設も感染者を出しただけで、名前をさらされバッシング対象になるのだなと関係者は思うでしょう。二つ目の記事は、感染リスクが高いけどエッセンシャルワーカーとして貢献している職員に報奨金を出しましょうという記事です。この二つの記事の内容が同居しているのが今の日本社会です。感染症のゼロリスクは科学的に考えてあり得ません。無理なゼロリスクをエッセンシャルワーカーに押し付けても意味のないことです。むしろ、慰労金だけでなく5/29のブルーインパルス飛行のように、リスク承知で頑張っている人たちを励ますのが筋ではないかと思います。

閑話休題。武漢ウイルス感染症(COVID-19)は、仕事に関するいくつかの観点を変えつつあります。そのうちの一つが仕事に対する物理的な関わり方です。長らく仕事というものは、毎日会社に出かけ、決まった時間に職場でするものと思われてきました。しかし、COVID-19による自粛要請の結果、「決まった時間に職場に行かなければできない仕事」と「そうでない仕事」の2種類あることがわかってきました。

工業化の進展によって、ホワイトカラーとブルーカラーという区分けができたように、デジタル化とCOVID-19によって、「エッセンシャルワーカー」と「リモートワーカー」というような新しい仕事の区分けが生まれつつあります(下図参照)。

国土の広い北米やオーストラリア、あるいは距離はそんなに離れていなくとも冬季の移動が難しい北欧諸国では、リモートワークは以前から活発に行われています。欧米では、医療従事者、警察・消防関係者、公共団体関係者、銀行やスーパーマーケット勤務者というようなライフラインに関係する労働者をエッセンシャルワーカーと呼び始めています。エッセンシャルという単語が示すように、そこには一定の敬意が込められています。デジタル化が進み、様々な仕事がリモートで可能になっても尚、どうしても物理的に対応しなくてはならないことは残り、社会活動をしていく上で不可欠な仕事があります。それを担う職業の労働市場におけるステータスは、需給バランスを踏まえれば、今後、上がっていくことは間違いありません。

エッセンシャルワーカーの場合
(1)「出勤手当/現場手当」が一般的に支給されるようになる
ロックダウン時の英国では、その時も出勤しなければならない職務に就く人(スーパーマーケットや銀行など)には、特別ボーナスが支給されました。感染リスクがあり、身体的な負荷や家族の負担も大きいというのがその理由でした。これがリモートワーカーとの対比の中で、有事だけのものではなく、平時から支給されるようになる可能性が高いです。現在でも、高温手当、危険手当といったものはありますが、その基準が下がり、出勤すること自体が負荷である、という見方です。

(2)時間管理と職務内容管理はより厳格になる
物理的に拘束されるため、時間管理はより厳格になります。場合によっては、成果よりも物理的拘束の方が重視される評価報酬に変わります。また、手間や時間をかけて出勤していることから、敢えて職場で自分の役割とは関係のない仕事をやるよりも自分に求められる仕事だけ終えて帰宅することが当たり前となり、職務内容(ジョブディスクリプション)に基づく業務遂行の確度が報酬と結びつきます。

(3)同一労働・同一賃金の適用が進む
物理的に拘束される仕事は、広い意味での社会インフラに関わる仕事に多いです(それが「エッセンシャル」のネーミングの所以)。インフラならば、そこに必要なのは、一定のサービス品質であって必要以上の付加価値は期待されません。このような業務は、同一労働・同一賃金の考え方と相性良く、中長期的には社会レベルでの適用が加速します。米国では同一労働・同一賃金を担保するためにO-NETという国が定めた職務定義があります。さらにフランスでは、それに国が賃金水準まで定めています。エッセンシャルな職務については、日本版O-NETが整備され、賃金水準のガイドラインが策定される必要性もでてきます。

リモートワーカーの場合
(1)時間管理が難しく、裁量労働が一般化する
現在の裁量労働制には、一定の制限が設けられていますが、その基準が緩やかになります。自由な働き方が従業員にとってのリモートワークのメリットであるので、個人の裁量(自由さ)を促進するようになります。そうすると、報酬制度は年俸制に近いものになり、報酬の対価が明確に定められる必要性が高まります。欧米のように個人単位で雇用契約が結ばれ、個々人の報酬の対価が契約として定められるようになります。

(2)「通勤手当」が無くなり、逆に通信費・事務設備に関する手当が支給される
リモートワーカーは、そもそも出勤するかどうかがはっきりしないため、出勤した時のみ交通費を精算するようになります。既にリモートワークが普及している欧州の保険会社ではこのやり方が運用されています。一方で、職場で提供されているインフラに関わるコスト(例えばネット環境を整えるための施設や通信コスト等)は、個人に対して支給されます

(3)基本給に地域水準が適用される
必ずしも通勤しなくて良いのであれば、どこに住んでも良いだろうと多くの人が考え、地方居住者が増えます。これにより、Cost of Livingの考えに基づいた報酬決定が行われます。いわゆる居住地域によって、報酬格差をつけようという考え方です。基本給に、どの地域に居住しているかによって係数をかけて報酬を決めるのです。

みんなを応援する甲子園に

前例のない「夏の甲子園」始まる 2校による選手宣誓「明日への勇気と活力を」

8/10(月) 9:26配信【デイリースポーツ】

新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になった今春のセンバツに選出された32校を招待して開催される「2020年甲子園高校野球交流試合」が開幕。午前10時から開幕試合を戦う大分商、花咲徳栄(埼玉)の2校が参加し、開会式が行われた。

前例のない「夏の甲子園」。開会式前にグラウンドでキャッチボールを行って開会式に臨んだ両校は二列に分かれ、互いの距離を保ってマウンド横に整列。無観客のスタンドでは、ベンチ外の選手や一部の関係者などが間隔を取ってスタンドで見守った。 異例となった2校のみの開会式では今大会に招待された32校の集合写真が大型スクリーンに映し出され、1校ずつ紹介されるなど過去にない形で進行された。  

この後、大分商の川瀬主将、花咲徳栄の井上主将が選手宣誓した。選手宣誓は以下の通り。  (川瀬堅斗主将)「宣誓、私たち高校球児は夢の舞台、甲子園を目指すことを目指し、仲間たちと励まし合いながら、心技体を鍛えてきました。新型コロナウイルスとの戦い、度重なる大規模な豪雨災害からの復旧、復興など、厳しく不安な状況下で生活している方もたくさんおられます。このような社会不安があるなか、都道府県の独自大会、そしてこの2020年甲子園高校野球交流試合を、開催していただけることによって再び希望を見いだし、あきらめずにここまでくることができました」  

(井上朋也主将)「ひとりひとりの努力がみんなを救い、地域を救い、新しい日本を作ります。想像、挑戦、感動、いま、私たちにできることは一球をひたむきに追いかける全力プレーです。交流試合の開催や、日々懸命に命、生活を支えて下さっている皆様への感謝の気持ちを持ち、被災された方々をはじめ、多くの皆様に明日への勇気と活力を与えられるように、選ばれたチームとしての責任を胸に…」  

(二人で)「最後まで戦い抜くことはここに誓います」。

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たった6日間だけの夏の(春の)甲子園。勝ち負け関係なくたった1試合だけの甲子園。あれだけ改革が言われた炎天下の中での試合は変わらないけど、宣誓メッセージは確実に進化しています。「苦しんでいる人、頑張っている人を励ましたい」と言います。ただただ応援されていた高校生プレーヤーが、災害大国ニッポンの応援をしようと、いつの間にか成長していることに感動します。甲子園を頂点にした高校野球はベタで好きではなかったけれど、今年は応援しています。

出場校32校がオーロラビジョンで開会式に写真参加

帰省先知事の意見

吉村知事 帰省先知事の意見参考に…全国知事会の考え方の一覧表を投稿

8/11(火) 14:57配信【デイリースポーツ】

吉村洋文大阪府知事が11日、ツイッターに新規投稿。全国知事会の帰省についての考え方を一覧表にし、「参考にして頂ければ」と判断材料にしてほしいと記した。

吉村知事は「先日の全国知事会で、帰省に関して47都道府県の知事の考え方を一覧表にすべきと提案し、一覧表になりました。既に帰省済の方、これからの方、検討中の方、様々と思いますが、帰省先の知事の意見も参考にして頂ければと思います」と一覧表にした意図を示し、「いずれにしても感染防止策の徹底お願いします」と求めた。

吉村知事は一覧表において「帰省自体を自粛いただくことは求めていません。帰省にあっては、体調管理・感染症対策を十分に行っていただくようにお願いします。帰省した際は、宴会等で大騒ぎするような環境はつくらず、静かに親族と会ってお盆をお過ごしください」としている。

帰省先知事の意見

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帰省についての各知事の意見はバラバラです。帰省は慎重にと構えるのは東高西低です。テレビの東京キー局と在阪準キー局の主張の違いがそのまま出てきた感じです。煽りにあおる東京キー局・在名準キー局の放送圏域の知事の意見と、吉村大阪知事らがリードする意見を報道する在阪準キー局の関西圏では、知事の意見が異なるという事です。

人が移動すれば、感染が広がるのはある程度は仕方のないことです。ただ、お年寄りを除いてその症状は軽症か無症状がほとんどです。福島県では帰省する学生にPCR検査代を県が負担するとのことです。検査で陰性判定でも帰省するまでに感染する可能性はあるし、症状もないのにわざわざ検査しに行って感染リスクを高めることもないというのも一理あります。

メディアに惑わされず、家族全員健康が確認できるなら、故郷への帰省はそれほどリスキーな事ではないこと。そして、帰省先で感染リスクの高いところに行かなければ感染予防はできると在阪知事達は述べています。

ただ、どんなに正論であっても、マスクやトイレットペーパー、うがい薬の買占めが止まらないように、見えない事に恐怖する集団心理を鎮めることは難しいのものです。感染への恐怖感があるのにGO TO トラベルなど焼け石に水のような経済施策を打つよりも、感染禍が収束するまでは経済は確実に落ち込むのですから、経営困難で生活苦の方が出ないように会社にも個人にも資金援助をして感染恐怖が収まるのを待ったほうが現実的なのかもしれません。

 

「障害」は当事者と周囲との間にある

前回、大阪市の自治会役員に関わる自死事件での親族の訴訟について、「人権を守る方法 07/31」 という視点で掲載しました。今回の産経の主張は合理的配慮の考え方をスロープや点字のように民間に広げる努力が必要だということでした。ただ、目に見えない障害への配慮については、障害があるから免除できるというだけで、本当の障害の理解にはつながりません。つまり、GOMESSが「GOMESSが託した思い 08/03 」で言うように、想像する側の理解力が必要になるのです。障害は当事者と周囲の人の間にあるものという考え方が必要だと思います。
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「おかねのけいさんはできません」障害ある男性の自殺が与えた衝撃
障害者への合理的配慮とは

8/15(土) 20:00配信【産経新聞】

精神障害などがある大阪市の男性=当時(36)=が昨年11月に自殺した。遺族は、居住する市営住宅の自治会の次期班長選びをめぐり、男性に障害の有無などを記した文書作成の強要があったとして、当時の自治会長らを提訴。《しょうがいかあります(原文ママ)》《おかねのけいさんはできません》。社会福祉協議会の担当者も同席していた場で男性が書かされた誤字交じりの文章は、社会に大きな衝撃を与えた。男性はなぜ死を選んだのか。経緯と主張を振り返る。(杉侑里香)

■手帳も見せた
訴状によると、問題の発端は昨年11月18日、1人暮らしをしていた男性宅に入っていた一通の“お知らせ”。「来年度の自治会の班長決めを12月1日に行う」「くじで班長が当たっても変更はできない」との内容だった。

身の回りの簡単なことはできるが、人と接することを苦手としていた男性は、当時の自治会会長に障害者手帳などを見せ、班長ができない旨を伝えた。だがその後、当時の班長から「特別扱いはできない」と告げられ、12月の集まりに来るよう求められた。困った男性は区役所やケースワーカーに相談。地域の社会福祉協議会の担当者が「12月の集まりには私が参加し、あなたが班長をできないことを説明する」という話で落ち着いた。

だが11月24日、事態は急転する。男性は市営住宅の集会所へ呼ばれ、社協担当者と会長、班長の4人で話をすることになったのだ。そこで約2時間後に完成したのが、《しょうがいかあります》の一文から始まる文書だった。男性は自治会側から「当面は班長をしなくていい」との旨の説明を受けた一方、12月の集まりには参加するよう求められた上、文書を他の住民に見せることも告げられたという。男性は翌日、自宅で自殺した。

■自治会側は「男性も了承」
男性の両親は会長と班長、自治会に計2500万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴。今年7月31日、第1回口頭弁論が開かれ、被告側はいずれも争う方針を示した。被告側は答弁書で、男性が班長をできない事情を理解していたが、「公平な自治会運営のためには、くじから外すことを他の住民にも理解してもらう必要があった」と主張。ただ、住民に事情を直接説明することを男性が嫌がったため、「ストレスの少ない方法」として文書作成を依頼し、「男性は特に嫌がることもなく了承した」との認識を示した。また文書は4人で確認を進めながら完成させたものであり、強要や自殺との因果関係はないとも強調した。

■自殺前夜「さらし者」
こうした被告側の主張に、遺族は強く反論する。自殺前日の夜に食事をともにした兄(41)は「『根掘り葉掘り書かされた』『さらし者にされる』と弟は落ち込んでいた」と明かす。男性は障害があることを周囲に知られるのを嫌がっていた。兄は「そんな弟が、自ら進んでこんなことを書くはずがない」と憤る。

文書には《おかねのけいさんはできません》《1たい1ではおはなしできます》《ひとがたくさんいるとこわくてにげたくなります》といった個人の特性だけでなく、《自てんしゃにはのれます》《せんたくはできます》など、自治会業務との関係性が不明な記述もあった。遺族は、こうした内容を無理に書かされたり、他の住民の前での公開を告げられたりしたことが過度な心理的負担となり、自殺に追い込まれたと考えている。

■合理的配慮とは
裁判や男性直筆の文書が報道されると、ツイッターなどの会員制交流サイト(SNS)で反響が広がった。《自治体に共生の理念はないのか》《気の毒すぎる》。男性に同情したり、自治会側を批判したりする声が大半を占めた。

平成28年に施行された障害者差別解消法。健常者を基準とした社会環境の中にある、障害者にとっての社会的障壁を取り除くことに努める(合理的配慮を行う)よう求めるものだ。具体的には段差などの物理的なものに限らず、精神障害の人に落ち着ける環境を提供したり、優先順位をつけて物事を伝えたりするなどの工夫や配慮も含まれる。ただ、こうした障害者への合理的配慮は、今も十分な理解が得られていないとの見方もある。

「(合理的配慮を)『特別扱い』と混同し、つるし上げるような風潮は今も根強い」。精神障害者の家族でつくる全国精神保健福祉会連合会(東京)の小幡恭弘事務局長が指摘する。小幡氏によると、背景にあるとみられるのは、新型コロナウイルス禍で浮上した「自粛警察」に代表されるような同調圧力。「みんな嫌なことを我慢しているのに」という一方的な気持ちだ。その上で小幡氏は「『できない』と『やりたくない』は全く違う。できない理由を並べるのではなく、それぞれが他の人の立場に立って助け合えるようになれば」と求めた。

インチュニブ

最近インチュニブを服薬されている利用者が増えています。そもそも、どういう子どもに使われどういう効果があるのか調べてみました。

インチュニブは、グアンファシン塩酸塩という薬の商品名のADHD治療薬です。グアンファシンという成分が脳の情報伝達機能を助け、ADHDの多動性、不注意、衝動性の症状を改善する効果があります。日本で製造販売が承認され、販売が開始されたのは2017年5月ですが、アメリカ、イギリス、オーストラリアでは以前からADHDの治療薬として、コンサータ、ストラテラと共に使用されてきました。インチュニブは、患者の体重、症状、薬の効き方を踏まえて飲む量を決めるので、医師の処方が必要です。また、処方される年齢は6歳~と決められています。従来の薬とは違う作用で働くため、ストラテラやコンサータでは効果を感じられなかったり、副作用などにより継続できなかった人への効果が期待されています。

インチュニブが働く仕組み
ADHDの原因は解明されていませんが、脳の前頭前皮質という部分での情報伝達に問題があるとされています。中でも、シナプスという情報の送受信をする部位がうまく働かないことが原因の一つではないかと言われています。そのため、外から入ってきた情報をうまく取り込んだり処理をしたりするのが難しく、自分の注意や行動をコントロールできなくなると考えられています。そして「落ち着きがない」「注意が長続きしない」「衝動的に行動してしまう」といった”多動、不注意、衝動性”の症状としてあらわれます。

ADHDのある人の中には、図のように後シナプス(情報を受け取る側)に伝達された情報が漏れ出てしまい、神経伝達量が減少してしまっている場合があると考えられています。インチュニブの役割は、後シナプスの情報の取りこぼしを減らすことです。インチュニブの主成分であるグアンファシンが、後シナプス中のアドレナリン受容体という物質を活性化させることで、シナプス内のHCNチャネルという穴を塞ぎ、入ってきた情報を漏れにくくさせます。その結果、より多くの情報を伝達できるようになり、覚えられる情報の量や、その持続力も高まります。その結果、多動、不注意、衝動性といった症状の改善に繋がるのです。

コンサータやストラテラとの違い
コンサータやストラテラの方がインチュニブより早くADHDのお薬として使われていました。インチュニブが後シナプス=受け手側の問題を治療するのに対して、この二つのお薬の仕組みは前シナプス=送り手側の問題を治療します。コンサータはドーパミンという伝達物質を前シナプスが再取込する穴を塞ぎます。ストラテラはノルアドレナリン(ドーパミンの化合物)という伝達物質を前シナプスが再取込する穴を塞ぐのです。

簡単に言えばこの二つは前シナプスの伝達物質の再取込穴を塞いで後シナプスへ伝達物質を多く送る働きをし、インチュニブは後シナプスで情報が漏れないようにする働きと言えます。つまり、狙いは情報が伝達するように伝達物質を一定量に確保することですが、働きかけているところが違うのです。また、インチュニブは「攻撃性」を抑えるための働きが良いと言われています。体重減少など小児には厄介な副作用がインチュニブには少ないという理由で、まずはインチュニブから試す医師が多いようです。

インチュニブの用法・用量
インチュニブは1日1回服用する薬です。飲む量は、医師が体質、症状、薬のきき方などをもとに決めます。飲む時間帯はなるべく決まっていたほうが良いでしょう。最初は副作用などを確認するために子どもなら1mgから開始し1週間をおいて1mgずつ増減せせます。体重によって服薬量は決まりますが、例えば体重34kg以上42kg未満は4mg、75kg以上は6mgが最大量です。他薬とインチュニブと併用すると、効果が変わったり、副作用が出たりする薬や食品があります。もともと服用している薬がある場合や、インチュニブを服用しながら他の薬を服用することになった場合は、主治医に相談しましょう。

以下がインチュニブとの併用に注意すべき薬の一例ですので、確認してみてください。
・中枢神経抑制剤
・インチュニブの血中濃度を通常よりも上げる可能性のある薬(イトラコナゾール、リトナビル、クラリスロマイシン など)
・インチュニブの血中濃度を通常よりも下げる可能性のある薬(リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン など)
・血圧を低下又は脈拍数を減少させる作用のある薬(降圧剤,ジギタリスなど)
・バルプロ酸(バルプロ酸の血中濃度が増加する可能性がある)
・アルコール

副作用
傾眠(眠気)が50%以上の割合であらわれます。ひどい眠気が続いたり、昼間からうとうとして仕事や学業に支障がでるようでしたら医師とよく相談してください。頻度は少ないですが、もっとも重要なのが低血圧と徐脈です。インチュニブはもともと高血圧のお薬(降圧剤)として開発されたものだそうです。多くは軽度ですが、なかには失神するほどの重症例も報告されています。ふらつき、立ちくらみ、息切れ、意識低下といった症状に注意が必要です。その他にも、頭痛、倦怠感、気分がしずむなどの副作用が報告されています。

21歳ドローンパイロットは弱みを強みに変えた

文字の読めない彼が「好き」から辿り着いた天職
21歳ドローンパイロットは弱みを強みに変えた

2020/08/07 8:00【東洋経済オンライン】

「ドローンパイロット」という職業がある。「無人航空機」「マルチコプター(UAV)」などとも呼ばれ、人を乗せず、ラジコンヘリのように空を飛ぶ機体を地上から遠隔操作できるマシンが「ドローン」。それを自在に操って映画やドラマ、CM、地方のイベント、観光PRビデオなどで使われる映像のほか、橋や工事現場の安全点検など人には難しい場所の撮影をしたりするのが、ドローンパイロットの主な仕事だ。国際的なドローンのレース大会にレーサーとして出場する場合もある。

そんなドローンパイロットとして活躍する1人の若者がいる。髙梨智樹、21歳。高校時代に「World Drone Prix」と呼ばれるドローンレース大会の日本選考会で優勝、日本代表としてドバイ大会へ駒を進めた。それが転じて、18歳だった高校4年生(定時制)のときに父・髙梨浩昭と一緒に立ち上げたドローン撮影会社「スカイジョブ」を経営する起業家でもある。

「情熱大陸」で特集も
ドローンで狭いところを通ったり、スピードを出したりなどの要望に対して、細やかに応えられる操縦技術が髙梨の持ち味の1つ。空撮の仕事に限らず、ドローンの機体メーカーから開発の助言を求められたり、各所から講演の依頼が来たりなど引っ張りだこだ。昨年6月2日にはMBS(毎日放送)・TBS系で放送されたドキュメンタリー番組「情熱大陸」で髙梨の特集が組まれたほか、大手新聞などからインタビューを受けるなどメディアにも多く露出している。

ドローンパイロットという職業に就いている人は確かに数少ない。父と二人三脚とはいえ、大学に進まず若くして起業し、ちゃんと生計を立てている若者も今どきの日本では希有と言えるだろう。とはいえ、髙梨がここまで注目されている理由はそれだけではなく、彼の生い立ちにもある。8月7日にイースト・プレスから上梓される著書のタイトルが、まさにそれを表している。

『文字の読めないパイロット 識字障害の僕がドローンと出会って飛び立つまで』――。

髙梨は知力や言語の発達に遅れはないものの、生まれつき読み書きがうまくできない「識字障害(ディスレクシア/読み書き障害)」だ。最近では一般的になってきた「発達障害」の一種であり、厳密に言えば「学習障害(LD)」の分類の1つである。

文字がどういう意味を持つのかがわからない――。それが髙梨の偽らざる真実だ。例えて言うなら、多くの日本人が韓国語やアラビア語の文章を見たときに、それが韓国語やアラビア語の文字だということがわかっても、何を意味するかはさっぱりだというのと同じ感覚なのかもしれない。

この識字障害は髙梨や両親、関係者を苦悩させた。髙梨は「周期性嘔吐症」という日常生活で急に吐き気が起きて嘔吐してしまう病気も併せ持って、小学校のころは休みがちだったという。

髙梨が小学校に入学した2005年頃は発達障害とはどういうものかという情報や対処法が、教育現場や医療現場ですら浸透していなかった。一般の人だと、なおさら耳にすることが少ない時期だったため、「学習障害」や「識字障害」というものがあることなどわからず、髙梨の両親は、息子に「識字障害」があることに気づくことができなかった。

髙梨の母である髙梨朱実は、息子の著書にこんな手記を寄せている。

「当時の私は、文字の読み書きができない智樹のために、なんとかして字くらいは書けるようにしてあげたいという思いでいっぱいでした。あの手この手で文字を書く機会を作ってみては、『どうしてできないのかな』と悩むばかりでした。識字障害に対して知るのにも、受容するのにもかなりの時間がかかってしまいました」

文字の読み書きができないのは、学校を休みがちで授業に参加できず、努力不足だからだと髙梨は本気で思い込んでいた。しかし、5年生の担任を受け持った教師の冨岡薫は、髙梨の様子を見たとき「識字障害」の可能性を感じた。

読んで説明するとすぐに理解し、忘れない
問題を読んで説明すると髙梨はすぐに理解し、問題処理能力が速く、一度理解したら忘れない。理科のテストでは読み上げの支援をすると100点近い点数を取ることもあった。このとき、冨岡は「彼は決して勉強ができないわけではなく、読み書きの障害があるのかもしれない」と思ったのだという。「障害」という言葉は慎重に扱う必要があるため、その言葉は使わずに、髙梨がどのようにしたら理解できるのかを教師として手探りでいろいろなことを試した。

「人間誰でも何か苦手なことはあるけれど、なにかしらすばらしいものを持っている」。冨岡は髙梨に伝え続けた。

幼い頃から障害を持っていると、親や教師が先回りしていろいろな支援をしてくれるため、ひとりだけだと何もできなくなってしまうという。

顕著な例だと、車椅子の人がエレベーターを使うときに、手の届かないボタンを誰かが押すまでずっと待っていた、ということがある。家族や支援者ではない、周囲にいる人に「手伝ってください」とみずから依頼することで、自立して行動できるようになる。

ひと昔前の障害児教育は、車椅子をこぐのが大変な子に車椅子を動かす訓練をさせたり、視聴障害のある子に聞こえにくい聴力を頼りにした口話法(聞き取り・読和・発語で指導やコミュニケーションをする)を学ばせたりすることに重点がおかれていたが、現在では、電動車椅子を使えば自らの意思で動けて移動にも時間がかからない。手話を使ったほうが学習内容を理解しやすいと言われている。

「できないことを頑張る時間は端折り、便利なものや使いやすいものをどんどん使って、本人に合う学習法を見つけていきました」

髙梨が通った特別支援学校の中学時代の担任を受け持った教師の宝子山尚生は振り返る。視力が弱い人がメガネをかければ大丈夫なように、髙梨の学習はパソコンなどの機器を活用すればハンデを補えることが分かり、「DAISY(デイジー)」という読み上げ教科書や電卓を使うなどして授業を工夫していたという。

文字の読み書きができなくても、パソコンを使うことでわかる。合成音声で読み上げてくれる音声ソフトを使用し、キーボードで文字を打つ。このほうが断然早いし、楽だ――。髙梨はそう思うようになった。

転機は中学3年生のときに訪れる。髙梨は初めて識字障害と診断された。

髙梨が他人に「僕は読み書きすることが難しい」と説明しても、目に見えない障害は、人から理解されにくく、受け入れられにくかった。しかし、それまでは「身体障害」か「精神障害」しかなかったのが、「発達障害」という新たな3つ目の障害があるという認知が広がり、髙梨がその状況にあることを世の中が理解してくれるようになった。

「『手が不自由で書けないのではない』という説明はしやすくなりました。読み書きすることを人並みに頑張れなかったのは、頑張れなかったわけではなく、『自分にはできないことだった』ということだとわかりました。読み書きができないことに理由がちゃんとついたので、診断を受けて本当によかったです。薄々感じていたので、モヤモヤが晴れたという感じですね」

加えて、2016年4月に、「障害者差別禁止法」という法律ができ、合理的配慮が世の中に認められるようになった。髙梨の場合は、例えば駅の窓口で、今までは「代筆はできません」と断られていたのが、「代筆で」と言えば多少嫌な顔をされるぐらいで済むようになった。

読み書きができないからこそ五感が発達
今でこそドローンパイロットという自分に合った仕事を手に入れ、それを突き詰めて生き生きと充実した日々を送れている髙梨。だが、それは「識字障害というハンデを負っていたからこそ」という裏返しの事実もある。

「僕は読み書きができないので、ほかに頼れるものとして五感の感覚が人より発達しているのだと思います」

髙梨は常人からすると考えられないほど、聴覚が鋭敏だ。例えばドローンのプロペラの音を聞いただけでプロペラが少し欠けていることや、肌でプロペラの風を感じることで故障に気づくことがある。髙梨に言わせると「頭の中で地図を描くことができ、あまり道に迷ったりしない」。匂いにも敏感だ。

ドローンは普通の人でも割と誰でも簡単に飛ばせてしまうが、機体の具合を確認しながら微妙な調整をしたり、イレギュラーな状況に対応したりといったことができるのは、髙梨が培ってきたこれらの感覚によるところが大きい。

幼い頃より、何事に対してもこだわりが強く、マイペースで、自分の好きなことや気になることが見つかると、そればかりに没頭してしまう性格であった髙梨は、おもちゃや時計をひとりで勝手に分解してしまう、困った子供だったという。

よく遊んでいたプラレールの電車を改造してオリジナルの乗り物を走らせてみたり、戦車のラジコンを改造してカメラをつけ、2階の自分の部屋から映像を見てリモート操作し、1階にいる母に向けて攻撃ごっこをしたりして遊んでいた。

家にいることが多かった髙梨に、ラジコンを趣味とする父親が「外に出るきっかけとなれば」という思いで、ラジコンヘリに髙梨を誘った。それを機に、もともと空を飛ぶ乗り物が好きだった髙梨は、ラジコンヘリに夢中になった。

父親に連れられラジコンメーカー主催の会に参加したり、YouTubeで国内だけでなく海外の人のラジコン技術を動画で学んだりなど、とことん操作技術を磨いていった。

ラジコンヘリを自在に操れるようになった頃、海外の人がプロペラの4個ついた機体にカメラを載せて、空からの映像を遠隔操作でゴーグルから見ている動画を偶然発見する。それが、ドローンとの出会いだった。

はじめて見た機体に「なんだこれは!僕も空からの景色を見てみたい!」とワクワクした。当時小学校6年生だった髙梨は、海外のウェブサイトからドローン機材を購入した際も、親の許可を得るため、なぜ海外で購入しなければならないのか、海外の輸入サイトの信憑性や安全性について、購入する機材は電波法などの法律に対して違法性がないかなどをしっかりと説明できるように準備し、ドローンの購入を交渉したという。

まるで自分がパイロットになって飛ぶように
髙梨はもともとパイロットになりたいという夢を持っていた。ドローンにカメラをつけて飛ばすと、まるで自分がパイロットになって飛んでいるかのような目線になる。日常生活をしていて上下前後左右に自在に動くことはできないが、そんな3次元的な動きがドローンでは可能だ。そして、疑似体験とはいえ自分が「飛ぶ」ということにワクワクした。それも上空1万メートルを超えるような「空」を飛びたいわけではなく、地上500メートルぐらいまでの地上の景色が見える高さに惹かれるようになった。ドローンパイロット・髙梨智樹の誕生だ。

徐々にヘリコプターの種類や仕組みについても興味を持ち始め、工学的なものを勉強するようになる。そして高校2年生からはドローンのレースに出場するようになる。初めての大会で4位に入賞。はじめてテレビの取材を受けた。その後、世界大会にも進んだ。

幼い頃から身体が弱く、スポーツや走ることが得意でなかったため、運動会などの競技で勝ちたいと思ったことがなかった髙梨は、ドローンレース大会に出場し日本選考会で優勝したことをきっかけに、初めて競い合うことは楽しいと思うことができた。

本を読む習慣がなかった髙梨は、インターネットの情報の他にも人に質問をすることで、自分が知りたい情報を得ていた。ドローンのレースをするにあたっても、無線のことや精密機器などに関して、髙梨は世界のプロフェッショナルに直接アドバイスを受けていた。

ドローンパイロットにはカメラを操縦する技術だけでなく、カメラマンとして映像を撮るセンスや、空撮ならではのセンスも必要になってくる。

髙梨はカメラワークを学ぶため、映画やCMをたくさん観た。映画は、プロの監督が満足のいくものをギュッと詰め込んでいる。ただ単に映画を観るだけでなく、作り手の目線になって映画を観ることで、「こういう撮り方をするとこういう表現ができるんだ」と学ぶ。

特に印象に残っているのは、子供が泥棒を撃退する映画「ホーム・アローン」の空撮シーン。少年が空港からタクシーに乗って移動するシーンで、遠くから大きな吊橋を空撮するが、タクシーの窓から子どもが顔を出しているところまでギューッとカメラが寄っていく映像がワンカットで収められている。わざわざ近づくのも危ないし、技術的にも難しい。その技術や挑戦する内容、表現方法に感動した。

楽しかったから続けて来たことが生業に
純粋にドローンに興味を持ち、楽しかったから続けてきたことが、いつのまにか生業となった。家族や教師、友人、ドローン仲間など、誰もが髙梨を応援したくなるのは、髙梨のまっすぐな人柄があってこそだろう。

髙梨が高校に進んだのはもともと大学に進学するためだった。同世代で大学に通っている人たちを見たり、接したりすると正直揺れる気持ちもなくはないが、日進月歩のドローンの世界は大学や専門機関で学ぶよりも早く現場に出たほうがいいと、起業を決めた。

最近では一般の人が手軽にドローンを手に入れて空撮動画をネット上にアップするようになってきた。テレビの制作現場では、簡単な空撮なら制作スタッフがみずから撮影できるようになってもきている。将来的にはAIがドローンを飛ばす日が来るかもしれない。

髙梨が得たドローンパイロットは、今後もずっと安泰な職業ではない。だが、髙梨自身が今後を見通しているように、ドローンの修理やレクチャーをする講師、あるいはドローンの開発など、好きなドローンにまつわる仕事はいろいろと考えられる。たとえ、ドローンパイロットで食えなくなっても、そうした時代の変化を乗り越えて次の居場所を見つけていくのが、髙梨の将来的な課題となるだろう。

髙梨は言う。

「識字障害であっても早期に気がつき、環境を整えるなどの対処をすれば、生きづらさを解消することがきっとできます。誰でも楽しく輝いて生きることができるし、その権利を持っているのです」

髙梨がテレビで識字障害をカミングアウトしたことで、多くの反響があったと父の髙梨浩昭は息子の著書に手記を寄せている。

「『うちの子もそうです』という保護者の方や『子供の頃私も字が読めなくて大変だった』という話もいただきました。今では発達障害に対する支援もだいぶ厚くなってきたと聞きます。『障害』には程度の差があり、とてもデリケートな問題なので一概には言い切れないかもしれませんが、早い段階から周囲の支援を受けることができれば、障害を持っている方も、生きやすくなるのかもしれません。

テクノロジーも発達し、『障害』を持っている方の手助けになるツールもたくさん出てきました。そのようなツールを活用するのも1つの手段だと思っています。いわゆる『普通』の生き方が向いてなくても、ほかにいくらでも生きる方法はあるということに、私たちは智樹と生きる中で気づかされました」。

「こうやって生きることが正しい」というように、正解が1つに絞られるのではなく、ひとりひとりに、いろんな正解があるのだろう。

できないことはやらなくていい
障害を持つ人だけに限らず、誰もが苦手なことと得意なことがある。人は「自分が苦手なもの」にとらわれてしまいがちだが、これはもったいないことだと髙梨は語る。

「できないことに時間を使うよりも、得意なことに時間を割くほうが有意義だと思います。『苦手なものをできるようにしなければいけない』と思う人は、もしかしたら『みんなができるんだから、自分も同じようにならなければ』と周囲の人と自分を比べすぎなのかもしれません。気楽に考えて、『できないことはやらなくていい、できることを伸ばせばいい』と思えば、きっといい人生が送れるのではないでしょうか。死ぬほど生きるのがつらくても、そのエネルギーを仕事や好きなことに注ぐと、すごいエネルギーになると思います」

苦手なことに悩むよりも、好きなことを突き詰めていくほうが人生の可能性は広がっていく。髙梨智樹は身を持ってそれを体現している。

すすめよう!自閉症の子どもへの支援

自傷行為や他害…強度行動障害、支援のポイントは専門家に聞く

2020/8/20 14:27 【西日本新聞】三宅 大介

自傷行為や他害などを起こす強度行動障害。もともと自閉症や重い知的障害がある人に多く、早期に適切な支援や配慮を受ければ予防できるとされ、学校現場でもノウハウが蓄積されている。福岡県内で、その研究事業に取り組んだ福岡教育大・教職大学院教授の納富恵子さん(62)に支援のポイントを聞いた。

精神科医として発達障害のある子どもの診療に携わってきた納富さん。1990年に福教大に移り、本格的に教育的支援を研究してきた。「特性を理解し、一人一人に合った環境を整え、意思疎通できるよう工夫して支援すれば行動面での課題は十分解決できると、一般の人たちにも理解してほしい」と語る。学校でも適切な配慮を行うため、福岡県教育委員会と2004~07年度、県内の小中6校、特別支援学校2校と協力しながら調査研究に取り組み、計2冊の手引書もまとめている。

絵や図で具体的に
自閉症の子どもは、周りの情報を自ら選んで取り入れ、整理することが苦手で、あいまいな状況に混乱しがちとされる。基本的な支援としては、いつ、何を、どのようにするのか、具体的に示すことが必要だ。納富さんはキーワードとして「シンプル(簡潔)、クリア(明確)、ビジュアル(視覚的)」を挙げる。

例えば、教室には不必要な物を置かない▽黒板の板書が際立つよう、本棚などはカーテンで覆う(シンプル)。指示は「廊下は走ってはだめ」ではなく「廊下は歩きます」と具体的にする▽事前に活動の順序を黒板などに示す(クリア)。教室内でもパソコンを使うスペースを仕切るなどし、一つの場所では一つの活動しか行わない▽スケジュールや予定も色分けするなど文字や絵、図を使って提示する(ビジュアル)。
「自分で見て、考え、主体的に活動できるように支援する。やり遂げた経験によって学び続けようと勇気づけることが大切です」

嫌な経験思い出し
中には、感覚が過敏なため、ほかの人は気にならない音などの刺激に極端に驚いたり、同じような場面で過去の嫌な経験を思い出し、パニックになったりする子どももいる。自傷行為や物を壊すなど、周囲から問題行動と受け取られがちだが「特定な苦手なことから逃れたい、あるいは物や周囲の人の注目などが欲しくて繰り返しているのかもしれない」と納富さん。困った状況を発信するコミュニケーションの意味を持つ場合もあるという。

こうした際は原因をじっくり見極め、その背景に応じた対応が不可欠。音楽がかかると教室を飛び出す時は耳栓を活用したり、大きな音がきっかけになる場合には運動会のピストルの音を旗の合図に変えたりする。「いつどこでどんな行動をしたか、どう対処したか記録を取り、状況を整理して原因を推測していく」作業も必要になってくる。

いずれにしろ「単に部屋を仕切ったり、手順を示したり、環境を形式的に整えればうまくいくわけではなく、一人一人と丁寧に向き合い、個別に配慮を考えること」(納富さん)が支援の成否の鍵を握る。

意思疎通法も進化
言葉では自分の気持ちを伝えられないもどかしさが問題行動の原因にもなることから、近年は「欲しいもの、したいことを絵カードを使って意思疎通し、コミュニケーション能力を伸ばすトレーニング」も知られる。情報通信技術(ICT)の進歩に伴い、iPad(アイパッド)などを活用し、手軽に視覚的に意思表示することも可能だ。

「押しつけではなく、自らこうしてほしいと発信できて初めて、相互に分かり合える」と納富さん。ここ10年、さまざまな企業などがコミュニケーションの支援や環境を整える教材などの作成に参画しているという。「学齢期であれば比較的容易に、社会に適応していく力やコミュニケーション能力を伸ばせる。さまざまなノウハウを今後も引き継ぎ、学校現場と保護者が連携しながら、生きづらさを抱える子どもたちを支えていってほしい」

◇◇

福岡県教委が納富さんらとまとめた手引書(報告書)「はじめよう!自閉症の子どもへの支援」「すすめよう!自閉症の子どもへの支援」は、同県教育センターのホームページ(HP)でダウンロードが可能(ページ内「研究成果物」の「平成17年、19年度」から)。

また納富さんが準備委員会委員長を務める「日本特殊教育学会第58回大会」が9月19~21日、今年はコロナ禍のためオンラインで開催される。特別支援教育についてはさまざまな研究が続いており、講演や70を超えるシンポジウムなどで最新の研究を公表。事前に申し込めば約1カ月間、誰でも同学会のHPから視聴できる。参加費は一般1万1千円、大学院生は6千円、大学生は千円。申し込みもHPから、8月31日まで。(編集委員・三宅大介)

マスク警察

「マスク警察」が世界中で困った事件を起こしています。「マスク警察」とは、武漢ウィルスを予防するとして、公衆場面でマスクをつけるように強要する人のことです。1件目の記事は、マスクを着けなかったためにディズニーショップに入れなかったASD女子の記事です。

2件目はWHOが学校開始前のタイミングで、5歳~12歳にもマスクを求めるとした報道です。重要な事は、運動する際にはマスクは必要ないとしているほか、発達障害を抱えている子どもに対しては、年齢に関係なくマスク着用を強制しないよう呼びかけています。

おそらく、ディズニーショップの店員は、一つの情報とらわれて柔軟に対応できないという、ご本人がこだわりの強い方だったのかもしれません。しかし、これだけマスク着用への同調圧力が強くなると、WHOだけでなく政府機関が、合理的理由があるなら強要してはならないという合理的配慮宣言を文書として掲げる必要があります。また、同調圧力とは関係なく、ステレオタイプのこだわりを持って「マスク警察」行動を行う人たちへも社会の配慮が必要だと思います。

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マスクが付けられない自閉症の少女がディズニーから退去指示。「感覚過敏」を知ってほしい(カナダ)

8/18(火) 17:00【Yahooニュース】配信

新型コロナウイルスの感染拡大以降、人が密集する場所でのマスクの着用は、半ば義務的なものとして定着した。
しかしその一方で、わけあってマスクが着用することができない人もいることを知ってほしい。

マスク着用が困難な「感覚過敏」
マスクを着用していると、肌がチクチク痒くなったり、頭痛がしたりする症状を「感覚過敏」という。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚といった感覚が、一般的な人と比べ過敏に反応してしまい、激しく苦痛を感じる状態だ。
外部からの刺激に対し、適度に調整する脳の働きがうまく機能しないのが原因で、自閉症スペクトラムなどの発達障害、うつ病や認知症などによって発症するとされる。
日常生活で困難を抱えているにも関わらず、周囲に理解されず、わがままだと誤解されるケースも後をたたないようだ。

ディズニーストアからの退店命令も
カナダ・オンタリオ州のロンドンでは、ディズニーストアを訪れた自閉症スペクトラムの6歳の女の子が、マスクを正確に着用していなかったことを理由に、退店を命じられたと『CTV News』が報じた。
自閉症スペクトラムのルビーちゃんは、歯が抜けたことを記念し、家族でディズニーストアに行くことにした。母親のサラさんは、ルビーちゃんは感覚過敏であるため、マスクを着用し続けることができない、という旨を入店前にスタッフへ伝えており、了承を得ていた。
しかし、店内に入ると別のスタッフから複数回注意を受け、その都度説明を繰り返すことに。しかも、数分後にマネージャーがやってきて、「自分の知っている自閉症の人はマスクをすることができた」と発言。しかし言うまでもなく、自閉症は人それぞれ症状がまったく同じわけではない。フェイスシールドなどを提案されたが結果、ルビーちゃんは店内から出ていくことになった。

地元自治体の条例や公衆衛生規則においても、障害者や12歳未満の子どもがマスクを着用することを義務付けてはおらず、医療担当官であるクリス・マッキー博士は「店側は、病気や障害のためマスクを着用していないことを理由にサービスを拒否することはできません」と語っている。
忘れがちだが、大多数の人が当たり前できることでも、すべての人ができるわけではない。それは、マスクの着用においても同じだ。感覚過敏の人にだけ無理を強いるのではなく、あらゆる人が柔軟に対応できるよう、少しずつ社会が変わっていくことを願う。

赤井大祐

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マスク着用、12歳以上の子どももすべき WHOが指針

8/23(日) 11:58【 BBC News】配信

世界保健機関(WHO)は21日、12歳以上の子どももマスクを着用すべきとする指針を発表した。それぞれの国や地域で、大人に推奨されているのと同様の対策を取るよう勧告している。
WHOは、子どもによる新型コロナウイルスの伝染についてはほとんどわかっていないと認めている。一方で、10代の若者が大人と同じように他人に感染させることを示す証拠があるとしている。
5歳以下の幼児には通常、マスクを着けさせるべきではないとした。

新型ウイルスの死者は世界で80万人を超えている。
米ジョンズ・ホプキンス大学によると、感染者は世界で2300万人以上確認されている。多くはアメリカ、ブラジル、インドで見つかっている。しかし、ウイルス検査が不十分で、無症状のケースもあることから、実際には感染者はこれよりずっと多いと考えられている。感染者は韓国、欧州連合(EU)各国、レバノンといった国々でも再び増加している。
テドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は21日、パンデミック(世界的流行)が2年未満に収束することへの期待を表明した。一方、英政府の科学顧問は、新型ウイルスの感染症COVID-19を根絶することはできない恐れがあると警告。定期的なワクチン接種が必要になる可能性を指摘した。

■WHOの指針
WHOがウェブサイトで発表した指針は、子どもを3つの年齢層に分けて以下のように推奨している。
・12歳以上の子どもは、大人と同じようにマスクを着用すべき。他人と1メートル以上の距離が取れない場合や、地域の広い地域で感染がみられる場合は特に着用が求められる。
・6~11歳の子どもは、感染の広がりや、高齢者などハイリスクの人と交流しているかを考慮して判断すべき。マスクを使う場合は、安全に着け外しできるように大人が注意する必要がある。
・5歳以下は通常の状況ではマスクを着けるべきではない。

学校教諭について、WHOは「伝染が広範囲でみられる地域では、60歳未満で健康な大人は全員、他人と1メートル以上の距離を取れない場合に布マスクを着用すべき。これは、子どもと接近する仕事をしている大人や、子ども同士が近づく職場で働いている大人では特に重要だ」としている。
また、60歳以上や基礎疾患がある人に関しては、医療用マスクを着けるべきだと勧めている。

■学校ではどうする? 
12歳以下の子どもが学校でマスクを着用すべきかは、今回の指針は明確にしていない。欧米などではもうすぐ新学期を迎えることから、今後この点が問題になる可能性がある。
フランスは最近、11歳超の子ども全員にマスク着用を義務付けた。イギリスでは正式な政府指針には含まれていないが、多くの学校が独自に、生徒にマスクを着けるよう求めている。
エディンバラのジェイムズ・ギレスピー高校は、生徒や教職員、保護者に意見を聞いたうえで、「休み時間に屋内で動き回る際にはマスクを着ける」ことを決めた。
スコットランドのニコラ・スタージョン自治政府首相は、「近い将来に」中学校での生徒のマスク着用を義務付けるかもしれないと表明している。

(英語記事 Children aged 12 and over should wear masks - WHO)

特別支援学校人気

二日続いて朝日の支援学校記事が続きました。要するに、支援学校人気でどの自治体でも教室数が足りず支援学校を新設せざるを得ないというものです。人気の原因は、昔のように支援学校を否定的に見ないで、専門教育と就労支援に手厚いので通常学校より丁寧でお得じゃないかというのが理由です。

確かに、高等部だけでなく今や小学部でも従来通常学校に在籍していたような子どもが1年生から入学してきます。保護者が気にしているのは「いじめ」です。それは本人へのものもありますが、兄弟へのものも心配されているのです。高等部の増加は、このまま大学進学できても就労は望めないし本人が苦しむという「配慮」から発達障害の生徒も含めて増えてきているようです。

インクルーシブ教育へとダイバーシティー社会へと唱えるならば、通常学校の教育サービスが変わらないとこの傾向はさらに拍車がかかります。場所(学校種別)で保障されるサービス(教育)ではなく、個人(個性)に保障される教育が求められています。

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特別支援学校、開校続々専門のケアや就労支援へ需要増

2020年8月23日 21時30分【朝日新聞デジタル】

少子化で子どもの数が減り、学校の統廃合も進むなか、障害のある子どもらが通う特別支援学校が次々に開校している。朝日新聞の取材では、2018年度以降の3カ年に全国で17校が開校し、さらに今後、全国で36校の新設計画がある。専門的な支援教育を望む保護者が増えたことなどで、支援学校に通う子どもはここ10年で約2割増加。深刻な教室不足が背景にある。

47都道府県の教育委員会に取材したところ、支援学校は18年度から今年度までに、東京や神奈川、愛知など12都道県が17校を開校。さらに来年度以降、埼玉、東京各6校、福岡3校など、19都道府県に36校の新設計画がある=表。ほとんどが子どもの増加による教室不足への対応だった。昨年度、教室が足りず、会議室などを教室に転用した支援学校は、すべての都道府県にあった。

〈特別支援学校〉盲・ろう・養護の各学校が07年に一本化され、幼稚園から高校にあたる各部ができた。視覚・聴覚・知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱の子どもが対象で、障害に応じた専門的な教育や就労・自立支援を行う。

障害ある子の就学、悩む親「長所大事にしてくれるか」
文部科学省によると、全国の小中高校に通う児童生徒数は1985年度の2226万人をピークに、昨年度は1280万人にまで減少し、学校も約4万2千校から7千校減った。

一方、支援学校に通う子どもは2009年度に11万7千人だったのが、昨年度までに2万7千人増えて14万4千人に。知的障害のある子が約9割を占める。学校数は116校増え、1146校となった。昨年5月の文科省の調査では、全国の支援学校で計3162教室が不足していた。国の有識者会議は支援学校が最低限備えるべき施設などの設置基準をつくるよう求め、文科省が検討中だ。

国は障害がある子とない子がともに学ぶ「インクルーシブ教育」を進めようと、13年に学校教育法の施行令を改正。通常校か、支援学校か、子どもの就学先を決める際に保護者の意見が反映されるようにした。就学時の健診で障害を見つけやすくなったこともあり、支援学校だけでなく、通常校に通いながら校内の特別支援学級で学ぶ子どもも、この10年で倍増した。ただ、17年度の調査では、どちらにも入学できる障害の重さと判断された約1万人の7割が支援学校を選んだ。また、支援学校では高校にあたる高等部で特に生徒が増えている。

背景について、支援学校6校を新設する埼玉県教委の担当者は「子どもの特性にあわせた、より専門的な教育に期待する保護者が増えた」とみる。2校を新設する大阪府教委の担当者は「就労を想定した専門の授業もあり、福祉事業所などへの就職に期待する保護者もいる」と言う。

こうした状況について、特別支援教育に詳しい都留文科大学の堤英俊准教授は「支援学校も保護者の大事な選択肢の一つ」としたうえで、「教室不足への対応として学校を新設するのはあくまで緊急対処。通常の学校にも、一人ひとりの個性や特性に応じた授業ができる少人数学級を設けるなど、保護者が安心して子どもを預けられる態勢を整えるべきだ」と話す。(渡辺元史、玉置太郎)

<特別支援学校>盲・ろう・養護の各学校が07年に一本化され、幼稚園から高校にあたる各部ができた。少人数の学級編成で、障害に応じた専門的な教育や就労・自立支援を行う。学校教育法施行令に基づき、重い障害を持つと判定された子が対象だが、高校生にあたる生徒が学ぶ高等支援学校は、比較的軽度の知的障害の生徒も受け入れている。

特別支援学校の新設状況
北海道3校(2):岩手県1校:宮城県2校(1):福島県1校(1):茨城県1校:埼玉県6校(6):千葉県1校(1):東京都10校(6):神奈川県2校:山梨県1校:岐阜県1校:静岡県2校(2):愛知県3校(1):三重県1校:滋賀県1校(1):京都府1校(1):大阪府2校(2):兵庫県1校(1):香川県1校(1):愛媛県1校(1):福岡県3校(3):佐賀県1校:長崎県1校(1):熊本県3校(2):大分県2校(2):沖縄県1校(1):
※2018年度以降の開校数と、来年度以降の新設予定数の合計。()はうち予定数

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特別支援学校、開校相次ぐ深刻な教室不足、背景通う子ども、10年で2割増

2020年8月24日 5時00分【朝日新聞デジタル】

少子化で子どもの数が減り、学校の統廃合も進むなか、障害のある子どもらが通う特別支援学校が次々に開校している。朝日新聞の取材では、2018年度以降の3カ年に全国で17校が開校し、さらに今後、全国で36校の新設計画がある。専門的な支援教育を望む保護者が増えたことなどで、支援学校に通う子どもはここ10年で約2割増加。深刻な教室不足が背景にある。

47都道府県の教育委員会に取材したところ、支援学校は18年度から今年度までに東京や愛知など12都道県が17校を開校。さらに来年度以降、埼玉、東京各6校、福岡3校など、19都道府県に36校の新設計画がある。ほとんどが教室不足への対応だった。昨年度、教室が足りず、会議室などを教室に転用した支援学校は、すべての都道府県にあった。

文部科学省によると、全国の小中高校に通う児童生徒数は1985年度の2226万人をピークに、昨年度は1280万人にまで減少し、学校も約4万2千校から7千校減った。一方、支援学校に通う子どもは2009年度に11万7千人だったのが、昨年度までに2万7千人増えて14万4千人に。知的障害のある子が約9割を占める。学校数は116校増え、1146校となった。昨年5月の文科省の調査では、全国の支援学校で計3162教室が不足していた。国の有識者会議は支援学校が最低限備えるべき施設などの設置基準をつくるよう求め、文科省が検討中だ。

国は障害がある子とない子がともに学ぶ「インクルーシブ教育」を進めようと、13年に学校教育法の施行令を改正。通常校か、支援学校か、子どもの就学先を決める際に保護者の意見が反映されるようにした。就学時の健診で障害を見つけやすくなったこともあり、通常校に通いながら校内の特別支援学級で学ぶ子どもも、この10年で倍増した。ただ、17年度の調査では、どちらにも入学できる障害の重さと判断された約1万人の7割が支援学校を選んだ。また、支援学校では高校にあたる高等部で特に生徒が増えている。

背景について、支援学校6校を新設する埼玉県教委の担当者は「子どもの特性にあわせた、より専門的な教育に期待する保護者が増えた」とみる。2校を新設する大阪府教委の担当者は「就労を想定した専門の授業もあり、福祉事業所などへの就職に期待する保護者もいる」と言う。こうした状況について、特別支援教育に詳しい都留文科大学の堤英俊准教授は「支援学校も保護者の大事な選択肢の一つ」としたうえで、「教室不足への対応として学校を新設するのはあくまで緊急対処。通常の学校にも、一人ひとりの個性や特性に応じた授業ができる少人数学級を設けるなど、保護者が安心して子どもを預けられる態勢を整えるべきだ」と話す。(渡辺元史、玉置太郎)

◆キーワード

<特別支援学校>盲・ろう・養護の各学校が07年に一本化され、幼稚園から高校にあたる各部ができた。少人数の学級編成で、障害に応じた専門的な教育や就労・自立支援を行う。重い障害を持つ子が対象だが、高校生にあたる生徒が学ぶ高等支援学校は、比較的軽度の知的障害の生徒も受け入れている。

京都府井手町で建設中の特別支援学校2022年4月開校予定

クワイエットアワー

薄暗い店内で静かに買い物 欧州のスーパーが導入、発達障害者に優しい「クワイエットアワー」

2020年08月25日(火)19時25分【Newsweek】
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

<ちょっとした配慮でこれまで来店できなかった人たちも買い物ができるように──>
BGMなし、薄暗いスーパー
8月から、スイスのスーパーに「クワイエットアワー」という時間帯が試験的に初導入された。クワイエットアワーは、音や光やにおいに敏感で日常的に困っている発達障害(自閉性障害やアスペルガー障害など)の人たちに配慮し、音楽やアナウンスをなくし、照明の明るさを下げるといった調整で買い物がしやすいようにした時間帯だ。ヨーロッパを中心に広がるスーパー、スパーの一部(4店舗のみ)で週2日午後1~3時までの2時間実施している。

発達障害者専用ではなく、それ以外の人たちも買い物できるというので4店舗のうちの1つに行ってみた。音楽はなく(スイスのスーパーは、元々BGMがないところが多いが)、確かに薄暗かった。レジでバーコードを読み取る際のピッという音はしていたが、この音を当事者はどう感じるだろうか。

スイス国内の報道によると、2年前はクワイエットアワーに関心がなかった大手スーパーのコープも、現在、試験導入の準備を進めていることがわかった。

クワイエットアワーは、日本でも導入してほしいと思っている人はいる。一般社団法人日本発達障害ネットワークと明治大学建築環境計画研究室が共同で実施したアンケートでは、よく買い物に行く店でクワイエットアワーが実施されれば、その時間に利用したいと答えた人が41%いた。51%はどちらともいえないと答え、「その時間帯に行けるかわからないから」「デジタル音ではなく人が多いことや人の声が困るから」といった理由が挙がっていた。

イギリス、アイルランドなどが先行実施
クワイエットアワーは、スイスに先駆け、自閉症者が約70万人いるイギリスで2017年に大々的に実施された。イギリス自閉症協会が1週間「自閉症の時間(1時間)」を設けるキャンペーンを呼びかけ、4500以上のスーパーやショッピングセンターが参加した。このキャンペーンは継続中で、昨年は 1万4500以上の店(公共施設も含)が参加し、クワイエットアワーへの関心が徐々に高まっている。

同協会は、キャンペーンを機に自閉症者への理解が深まることを願い、企業が定期的にこの時間帯を取り入れることを目指している。実際、キャンペーン参加企業の多くが簡単に実施できたと感想を述べ、自主的に実施するようになっているという。他の国でもこの時間帯を設ける動きが広がっている。アイルランドでは独系ディスカウントスーパーチェーンのリドルが、全国の店舗で週1回クワイエットアワーを実施、ポーランドでは仏系スーパーのオーシャンが全国にあり、各店舗でクワイエットアワーを実施している。

これらのチェーン店は国境を越えて同じ方針を取っているとは限らず、リドルはスイスにも広がっているがスイスでは導入の計画はなく、スイス・ドイツ語圏自閉症協会は遺憾を表明している(地方紙アルガウワー・ツァイトゥング)。冒頭のスパ―も世界展開しているが、他国の店舗では未導入のようだ。また日本でも一部で報道されたように、ニュージーランドでは、試験期間を経て、昨秋から大手スーパーのカウントダウンが全国的にクワイエットアワーを導入した。隣国オーストラリアでも昨春から、コールスが全国250以上の店舗に取り入れた。

オンラインショップよりいい 当事者の声
店内の音楽や明るさが気になるならオンラインショップがあるではないかと、発達障害をもたない人なら思うかもしれない。しかし、オンラインショッピングには短所もあることを忘れてはならない。ある自閉症者が、イギリスの消費者団体フィッチ?でこう主張していた(2018年寄稿)。彼女はオンラインで買い物を済ませることが多いが「オンラインでは店頭と同じ特売がないことがあるし、店員との交流はないし、店頭と同じサービスも受けられない」という。香水が大好きな彼女は店頭で芳香を嗅ぎ比べるのが好きなのに、オンラインで買い物すれば当然それはできない。

そしてクワイエットアワー以外の時間に店頭で買い物しても、不利な点があると説明する。店内で緊張してしまうと、よい判断ができずに買い物してしまうそうだ。商品を比較する余裕がなくていつもと同じ物を買ったり、特売のサインがある物をサッと買ったり、とにかく最初に見た物(買おうとしていたのとは別の物)をつかみ買ってしまったりするという。つまり、買い物する楽しみも味わえないのだ。

障害者、高齢者、妊婦、小さい子ども連れなど、誰もが暮らしやすい環境を作るためには少しの工夫でよい場合もある。それがすぐに浸透することは難しいとは思うが。

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日本でもイオンが神奈川で試験実施したり大阪ではトレーニングジムで実施したりしています。賑やかな人には申し訳ないけど、職場や公共の場で、「たかがおしゃべりや喧噪」で苦しんでいる人もいるという想像力が大切です。

eスポーツ、障害者施設や企業で新しい交流の機会

eスポーツ、障害者に人気コロナで外出制限、リハビリ効果も―対戦通じ交流機会増

2020年08月21日07時16分【時事ドットコム】

新型コロナウイルス感染予防のため、外出や面会制限が続く障害者や長期入院者の間で、対戦型コンピューターゲームで勝敗を競う「eスポーツ」が人気だ。施設や病院にいながら外部とゲームで交流できるほか、プレーで体を動かすことのリハビリ効果も期待されている。

ゲームメディア事業を展開する「KADOKAWAGameLinkage」によると、今年の国内eスポーツの市場規模は76億円。各地で大会が開かれるなど盛り上がりを見せており、3年後には153億円へと急成長が見込まれる。

昨年、国民体育大会で初採用されたeスポーツの全国大会では、障害者も参加しやすいように改造コントローラーの使用が認められた。障害者限定の全国大会も開かれるなど、参加の垣根は低くなりつつある。北海道八雲町の国立病院機構八雲病院では、国内外のプレーヤーがチームを組み、敵地を攻略するゲームが入院患者に人気だ。

徐々に筋力が衰える難病で、10歳から入院を続ける吉成健太朗さん(24)は「eスポーツは誰かとつながる懸け橋」と目を輝かせる。オンラインでリモート参加できる大会も増えており、「病院からでも出場できる可能性が見えてきた」と歓迎する。今年からゲーム機材を導入し、入所者が格闘ゲームや運転ゲームを楽しむ秋田市の「障がい者支援施設ほくと」では、eスポーツによるリハビリ効果にも注目している。

同施設の作業療法士若狭利伸さん(30)は「普段、腕が上がらない人がゲームでハンドルを回すと自然と上がるようになった」と強調。ゲームがコミュニケーションの機会となり、入所者の笑顔も増えたという。

半身まひを抱える入所者の成田久さん(50)は格闘技ゲームをプレーする際、敵を倒すため、技ボタンを勢いよく連打する。ビデオ会議システムでの取材に対し、「外出できずつらいが、息が上がるほど運動になる」と充実した表情を見せる。脳性まひで体が不自由な小笠原順一さん(60)は日々、ゲームの腕を磨いているといい、「eスポーツは(障害という)ハンディを克服できる手段。全国大会に出て、一緒に戦った人と交流したい」と話している。

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eスポーツで社会人交流企業対抗戦、リーグ設立―コロナ禍、オンライン活路

2020年08月20日07時05分【時事ドットコム】

コンピューターゲームで競い合う「eスポーツ」の社会人による活動は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンライン対戦に活路を見いだしている。プレーヤーや観客が一堂に会する形式の大規模イベントは開催できなくなったが、オンラインの企業対抗大会が開かれ、新たに社会人リーグも設立。社内外の交流に役立てる取り組みが広がっている。

コロナ禍で前進、eスポーツオンライン増えファン拡大
日立製作所のIT子会社、日立システムズ(東京)は社内交流の活性化を掲げ、2018年に「eスポーツ部」を設立。若手社員からベテランまで約35人が所属し、終業後に集まって飲食しながらゲームを楽しむことが多かった。しかし、コロナ流行で集合してプレーできなくなり、オンライン形式の大会参加や社内対戦で活動を続けている。
オンラインによる企業対抗戦の場をつくろうと、大日本印刷(DNP)や、NTT東日本の子会社でeスポーツの施設運営を手掛けるNTTe―Sports(東京)などが6月から大会を開催。在宅勤務や外出自粛で減った社内外の交流を促す試みで、地方や自宅など場所を問わず参加できるメリットもある。過去5試合には富士通やヤフーなどのチームが参戦。「普段つながりのない企業人と接点ができ、視野が広がる」(DNP広報)のが魅力だ。

凸版印刷などは7月、企業チーム向けの「アフター6(シックス)リーグ」を立ち上げ、10月から対戦を始める。試合の前後にビデオ会議による顔合わせや意見交換を行い、ビジネスのアイデア創出やマッチングの場としても活用したい考え。社会人のeスポーツに対する関心は高まっており、20年度中に50社ほどのリーグ参加登録を見込む。凸版の担当者は「コロナとの共存が求められる中、交流の一つの形として定着させたい」と意気込む。

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たかがゲームと思うなかれ、eゲームはスポーツです。コロナ禍でこれまでスポーツを通じた交流も自粛され、オンラインゲームで交流する企業間交流や障害者団体も増えてきたと言います。

少年野球チーム「レアーズ北九州」

発達障害の子どもだけの野球チーム、リーグ加盟目指して
2020年8月28日 6時00分【朝日新聞デジタル】

発達障害がある児童だけのチーム
北九州市の少年野球チーム「レアーズ北九州」では現在14人がプレーする。いずれも発達障害がある。他人とのコミュニケーションや社会性を築くことに不安があり、かつては野球のルールの理解もおぼつかなかったという。

学校の部活などに代わる新たな受け皿として、放課後等デイサービスを運営する社会福祉法人「青雲会」の山本大介さん(34)が中心となってチームを立ち上げ、2018年1月に始動した。練習はミーティングから始まる。守備練習のグラブさばきはなめらかで、打てば鋭い打球を飛ばす。練習試合を通して、試合勘も磨いてきた。そこで「新しい挑戦。次の段階に」と、地元リーグへの参加を目指すことにした。同年代の児童がいるチームとの試合を通じて「仲間と協力しあうことの大事さなど、社会で必要なことを学んでほしい」と山本さんは話す。

当初は三塁に走り出す子も
山本さんによると、船出は難航したという。当初は「打つ、投げる」以外の具体的なルールを理解している子どもは少なかった。打てば三塁に走り出す子どもがいれば、どこにも走らないような子もいた。外野の守備範囲を教えようと白線でラインを引くと、線の外に出ようとしなくなった。投手はストライクを取れず、5ストライク制を導入するなど、試行錯誤しながら成長してきた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響でリーグ加入は来年度に持ち越されたが、7月に活動を再開してからは感染防止策をとりながら練習を重ねる。

子どもたちは対外試合ができることを心待ちにする。小学5年生の男子児童は、かつては人と話すことが苦手だったが、今は初対面でも堂々と語る。「野球が楽しい。将来はギータ(プロ野球ソフトバンク・柳田悠岐外野手)みたいになりたい」

チームで活動する難しさ
文部科学省によると、発達障害の程度に応じた個別指導を受けながら、小中学校の普通学級に通う児童・生徒は、2016年で約9万8千人と、10年間で2倍以上に増えた。それでも学校の部活動など集団で活動する組織体に参加することにはまだまだハードルがあるという。一般社団法人「全日本知的障がい者スポーツ協会」の斎藤利之会長は、発達障害の児童が健常者のみのチームに加わって活動することについて「周囲によき理解者がいなければ参加が難しい側面はある」と指摘する。

一方、発達障害のある児童に、スポーツは好影響をもたらすという。かつて文科省で特別支援教育調査官を務めた丹野哲也・東京都教育委員会特別支援教育課長は「スポーツで何かを達成することで自己肯定感を持てるようになるケースも多い。日常生活にもいい影響を与えるのではないか」と話す。(河野光汰)

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スポーツをしている方のほとんどは、プロを目指している訳ではありません。スポーツを「楽しむ」ことを目的にしていると思います。スポーツを楽しむことを第一に考えた場合、発達障害児がスポーツに向いていないとは思いません
子どもたちは定型発達の小学生・中学生と同じチームで野球をすることは、叶わないかも知れません。しかし、心から楽しんでスポーツをしている限り、そのスポーツに向いていると言え、それは「環境」さえ整えられれば、発達障害であるかどうかは関係ないと感じています。そして、子どもがスポーツをする「環境」を整えてあげるのが、大人の役目なのだと思います。

 

東京パラへ「チャンス増えた」

競泳の木村、1年後の東京パラへ「チャンス増えた」

2020年8月31日 3:00【日経電子版】

「障害を持っている人たちって自分ではどうしようもないことが多いので、仕方ないって言い慣れてるんです」と木村。東京パラ延期にも明るさは失っていない。

開幕まで1年を切った東京パラリンピック。競泳日本男子のエース格で、100メートルバタフライ(視覚障害S11)代表に内定している木村敬一(29、東京ガス)は「(大会が)いつ来てもいいかなって感じ。1年後だろうとあしただろうといける状態ですね」と自信に胸を膨らませている。新型コロナウイルスの影響で練習拠点を置く米国からの帰国を余儀なくされたが、本番までに与えられた時間を充実させるべく、楽しみながらできることと向き合っている。

■低酸素プールで自ら追い込む
「めちゃくちゃきつい……」。東京都内で報道陣に練習を公開した8月20日。アシックスの低酸素トレーニングジム内のプールで、木村はぷかぷかと浮かびながら何とか言葉を吐き出した。プール内は標高2000メートルの場所と同じ酸素濃度になっており、ハードな練習で上がった心拍数はなかなか戻らない。だが、その言葉とは裏腹に満面の笑みを浮かべている。「きょうは100メートルバタフライの後半を想定しました。酸素も少ないし、乳酸もたまるので、レースよりもきつい状態をつくり出せた」。練習の充実感が表情にも表れていた。

2018年4月から米メリーランド州で武者修行に励んでいたが、新型コロナの影響で住んでいた寮も練習拠点も閉鎖。生活自体が回らなくなり、3月に帰国した。「夏には(米国に)戻れるんじゃないかなとちょっと思っていた」。だが帰国してまもなく、東京パラの延期が決定。「しょうがないなと。スポーツって平和なときにしかできないものですし。障害を持っている人たちって自分ではどうしようもないことが多いので、仕方ないって言い慣れていますよね」


8月20日に報道陣に公開した練習では、標高2000メートルと同じ酸素濃度に設定された施設で自らを追い込んでいた
帰国してしばらくは東京・西が丘の味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)で練習していたが、緊急事態宣言でNTCも利用停止に。滋賀県の実家に戻ることになった。約1カ月間は水から離れ、筋トレや懸垂、自転車型トレーニングマシンに励み、5月に緊急事態宣言が解除されてから近くのスイミングスクールのプールで練習を再開した。泳げない時間や限られた練習環境に直面し「スポーツそのものは人間の生活には不要不急なものなんだなと。オリパラがあれば選手は意味のある存在として認識してもらえるけれど、大会がなくなると必要のない人間になってしまう」。自分の存在価値すら疑う時間の中で、木村には別の気づきもあった。

「自分は水泳を通していろんな経験ができたんだなと気づいた。米国へ練習に行けたのも、いろんな大会に出ていろんな人に会えたのも、水泳をしていたから。その瞬間(ステイホーム期間)には不要なものだったけれど、水泳があってよかったなと」。2008年の北京パラリンピックに初出場してから、金メダルのためにがむしゃらに泳ぎ続けてきた。リオデジャネイロ大会は最有力候補として挑んだものの、結果は銀メダル。新たな刺激を求めて渡米し、表彰台の一番上だけを目指してきた。

■実戦遠ざかるも前向きに
水泳選手として必死にもがいてきた経験が人生をも豊かにしてくれた。「(米国では)呼吸をしているだけでもいろんな学びがあって、水泳を軸にいろんな経験をさせてもらえた。もし東京パラがなくなったとしても、いい4年間だったなと思えると思う。パラリンピックで金メダルを取るのは目標ですけど、それも僕の人生を彩るパーツ。(米国に行ったことで)それと同じような人生のパーツが増えたなと思う」

6月下旬からNTCで本格的に練習を再開した。年内は試合の予定がなく、次の大会は来年3月になりそうだ。1年以上実戦から遠ざかることになるが、「新しい刺激を得られるチャンスが増えた。大会がなくても、きょうみたいにいろいろ練習してみて自分の体がこうやって反応するんだと発見できるのが面白い」とポジティブ思考は健在だ。本番までの1年は「せっかくの1年なので楽しくというか、引き続き自分の人生が豊かになる1年にしたい」。自分の思い描いていなかった環境でも楽しんで吸収していく。そして1年後には金メダルという人生のパーツも付け加えるつもりだ。(田原悠太郎)

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白血病で長期休養していた競泳の池江璃花子(20)=ルネサンス=が29日の東京都特別水泳(東京・辰巳国際水泳場)の女子50メートル自由形で594日ぶりにレースに復帰。26秒32で55人中5位の結果を残したことがメディアを賑わせています。

「世界中のアスリートに諦めないことを伝えていた」と自分を追い込む姿は痛々しいという感想もありますが、「人間万事塞翁が馬」です。人生の幸・不幸は予測しがたく、幸運も喜ぶに足らず、不幸もまた悲しむにあたらないとのたとえの通り生きていく彼らの姿は、清々しい感動を与えてくれます。

ADHDと睡眠障害

ADHDと睡眠障害遺伝的に関連浜松医大研究グループ発見
2020年8月27日 05時00分 【中日新聞】

発達障害の一つである注意欠陥多動性障害(ADHD)に見られる症状と、場所や状況を問わず強い眠気に襲われる睡眠障害「ナルコレプシー」。この二つが遺伝的に関連していることを、浜松医科大子どものこころの発達研究センターの高橋長秀客員准教授、土屋賢治特任教授らの研究グループが、世界で初めて発見した。研究成果は、英医学誌「TranslationalPsychiatry」に掲載された。

ADHDを有する人が、思春期前後から日中に強い眠気を感じることが多いことは傾向として知られていたが、その原因については分かっていなかった。高橋客員准教授らは、ADHDとナルコレプシーの治療にメチルフェニデートという「中枢刺激薬」が共通して用いられることに着目。ナルコレプシーに関連する遺伝子の変化が、ADHD症状のなりたちに影響するのではないかと考えた。

研究では、八~九歳の子ども七百二十六人の口腔(こうくう)内からDNAを抽出。全ゲノム遺伝子解析をしてナルコレプシーの「遺伝的傾向」を数値化して算出し十段階に分類した。ADHDについては、世界的に用いられる質問紙を使い、保護者に回答してもらうことで、落ち着きなく、思いついたまま行動する「多動・衝動性症状」、忘れっぽさや見落としの多さに現れる「不注意症状」の傾向を測定した。

この二つのデータを組み合わせ関連を分析したところ、ナルコレプシーの「遺伝的傾向」の数値が高いほど、多動性・衝動性症状、不注意症状のいずれも点数が高くなる傾向があることが分かった。
土屋特任教授は「ナルコレプシーは遺伝的な背景がある程度分かっているが、ADHDの原因は分かっていないことが多い。今回の成果はADHDの原因を理解する手がかりとなる可能性がある」と話す。両障害の関連性については「遺伝的傾向と病気のなりやすさは別物で、誰もがADHDやナルコレプシーになる可能性があるということでない」と説明する。

今回の結果は、ADHD症状を持つ人が日中に強い眠気を感じるのは、生活リズムの乱れなどだけでなく、遺伝子に由来する体質の影響がある可能性が高いことを示しているとし「ADHD症状を持つ方や、関わる人、サポートする人が、この視点を持ってもらえたら」と呼び掛ける。

<メチルフェニデート>「中枢刺激薬」と呼ばれ、神経と神経の間の情報伝達を担う物質ドーパミンの量を間接的に増やす作用があるとされる。ADHDに対しては、ドーパミンが増えることで脳の「前頭葉」を活発化させ、多動・衝動症状にブレーキをかけ、不注意症状も集中力を高めて改善すると考えられている。ナルコレプシーに関しては、脳のどの部位への作用が効果をもたらしているのか分かっていないが、ドーパミンが増えることで眠気を改善するのではないかと考えられている。

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眠気と注意集中は誰だって関係があります。考えてみればうとうとした状態で生活するのは大変です。そんな中で生活をしている子がいるとすれば、「よく聞きなさい」とか「よく見なさい」とか「努力しなさい」というワードがいかに過酷なものか想像ができます。

障害者雇用率 企業2.2%役所等2.5%へ

障害者雇用率 新型コロナで当初案より遅く 来年3月引き上げへ

2020年8月21日 21時05分【NHK】

障害のある人の雇用を増やすために、企業などに義務づけられた障害者の雇用率が、来年3月に0.1%引き上げられることになりました。厚生労働省の審議会は、新型コロナウイルスの影響を踏まえ引き上げを、当初の案よりも2か月遅らせることを決めました。

障害者雇用促進法では現在、従業員45.5人以上の企業には2.2%、職員40人以上の国の機関や地方自治体には2.5%の障害者の雇用を義務づけています。

厚生労働省の審議会では障害のある人の雇用を増やすために、来年3月に雇用率を現在より0.1%引き上げる案を21日、了承しました。

当初の案では来年1月からとしていましたが、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、引き上げを2か月遅らせることにしました。

来年3月からの障害者の法定雇用率は企業では2.3%、国の機関や地方自治体では2.6%となります。

厚生労働省によりますと、全国の企業で働く障害者の数は去年6月の時点で56万人余りにのぼり、これまでで最も多くなっていますが、法定雇用率を達成している企業は48%にとどまっています。

また、新型コロナウイルスの影響で解雇された障害者は、先月までに1300人余りに上っていて、厚生労働省は再就職や雇用率を達成できるよう、企業の支援などを検討しています。

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ユニクロやマクド、スターバックスも障害者雇用に熱心です。ワタミなどチェーン店展開しているところは全国で一店一名を目標に雇用を進めています。メディアでも問題になりましたが国や自治体の雇用が進んでいません。また、障害者雇用というと肢体障害や視覚障害がイメージに上がりやすいですが、知的障害や発達障害の雇用をどう伸ばすかが課題となっています。

おいしく飲んで障害への理解に

「好きな酒のためなら」西成で障害者ら造るビール人気

2020年8月27日 15時00分【朝日デジタル】

大阪市西成区産のクラフトビールが人気を集めている。障害のある人らが醸造し、ビアパブで提供もする。「西成ライオット(暴動)エール」「新世界ニューロマンサー」。地域にちなんだビールが、暑い夏ののどを潤し、就労支援にも一役買っている。

西成区花園北のビール醸造所「ディレイラブリューワークス」。大人の背丈より高さがある500リットルタンクが6台並び、約1カ月の間、熟成を待つ。

同区を拠点に高齢者の介護や障害者の就労支援を手がける「シクロ」が2018年春に開いた。仕込み、瓶詰め、ラベル貼りから配送までを同社の社員とともに、主に精神疾患がある人らが担う。製造に携わる上園広海さん(65)は「みんなビールが大好き。好きなものを仕事にできるから、一生懸命になれる」と胸を張る。

シクロが、畑違いとも思えるビール製造に乗り出したのは、就労支援事業の利用者と社員らが席を共にした飲み会がきっかけだ。

「楽しくない」「もっとやる気になれる仕事はないのか」。ネジの袋詰めや封筒ののり付けといった単純作業への文句が出た。長く西成で暮らし、こよなく酒を愛する面々は「酒のことなら本気出すで」。

「僕がポケットマネーを出した飲み会でした。そこで説教されて悔しくて」と山崎昌宣(あきのり)社長(43)は苦笑いで振り返る。ならば、とラベルだけを自社製作したビールを800本仕入れると、利用者たちはつてを頼るなどしてすぐに売り切った。もう一度仕入れても同じ結果だった。

「自分たちで造れば、もっと誇りを持てるはず」。17年末に市内の醸造所を間借りしてオリジナルビールを造り始め、翌春「ディレイラ」をオープン、近くにビアパブ「アビタイユモン」も開いた。こちらも就労支援の場として、障害のある人を中心に運営している。

醸造長の伊藤将広さん(27)は「ビアパブの瓶ビールを見て『おれが貼ったラベル』と話す利用者さんもいる。商品が喜んで消費されるのを間近で見られることが、やりがいにつながっている」と話す。

看板商品の「西成ライオットエール」は、甘い香りが鼻先をくすぐり、飲み口にはくせがない。

同区にある日雇い労働者の街・あいりん地区でかつて暴動があった頃、「西成で酒が密造されていた」。うそかまことか、利用者たちがそんな話をしているのを聞いた山崎社長が命名した。「アビタイユモン」ではSサイズ税込み600円、Mは同800円で販売する。

大阪名物・ミックスジュースをヒントに、桃の缶詰やバナナを仕込みに使ったビール「新世界ニューロマンサー」も人気だ。

商品はオンラインショップでも購入できるが、醸造が間に合わず、欠品になることもある。生産量を増やすために、年末には別の醸造所を稼働させる予定だ。

山崎社長は「新商品を作るたびに利用者のおっちゃんたちと品評会をすると、みんな真剣に意見を出してくれる。『暴動』の名を商品名に付けてはいるが、過去のマイナスのイメージだけではない、西成のこれからを代表する商品にしたい」と意気込んでいる。

京都市でも取り組み「障害の理解につながれば」
障害者の就労の場でビールを造る取り組みは、京都市でも進められている。
NPO法人「HEROES(ヒーローズ)」(同市上京区)は2017年に「西陣麦酒(ばくしゅ)」を設立、ユズの香りがする「柚子(ゆうずう)無碍(むげ)」などのクラフトビールを製造している。

知的障害のある人や、自閉症などの発達障害がある人たち15人が関わり、瓶ビールには1本ずつ「自閉症の人とともに」と書いた飾りをつけて販売する。

法人理事長の松尾浩久さん(41)は「『清く正しく』と思われがちな福祉就労のイメージとアルコールは合わないかもしれないが、より一般の人に届きやすい市場性を意識してビールを造っている。おいしく飲むことが、障害への理解につながればうれしい」と話す。(松尾由紀)

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地ビール・クラフトビール流行りで、福祉も醸造に参入してくることが珍しくなくなりました。乙訓にもサントリービール工場がありますが、あそこで何人の障害者が働いているのでしょうか。最近、アルミ缶のビールではなく瓶ビールが復活しつつあります。あそこにラベルを張ったり瓶を洗ったりはおそらく全自動です。でも、大阪の施設のように「わしが貼ったラベルやねん」と誇らしげにビールを勧める姿が、この地にあってもいいよなと思います。

 

 

障害者就労施設でスマート農業導入

障害者就労施設でスマート農業導入/板柳

2020/9/4 金曜日【陸奥新報】

障害者が農業に携わる農福連携事業に取り組む板柳町横沢の障害者就労継続支援A型事業所にじのいろが今年度から、情報通信などハイテク技術で作業の高品質化、省力化を図るスマート農業を取り入れている。精神障害を持つ人の特性と作業がマッチし、収益もアップしており、ハイテク技術を活用したさらなる規模拡大で障害者の生活安定を目指していく考えだ。

JR林崎駅(藤崎町)近くにある事業所の畑にはビニールハウスが三つある。中で栽培しているのはピーマン。8月下旬、ハウス内部は40度に達していたが、従事者たちは収穫作業の手を休めることはなかった。次々とコンテナがいっぱいになり、4時間ほどで300キロ以上を収穫した。以前、労働環境からうつを患った男性(49)は「ここに来てから、仲間と協力し合い、作業に集中できるようになった」と汗を拭った。

「皆さん、いい顔でしょう」と白川恵代表取締役。充実感の裏には、同事業所が今年度整備した、全自動で水、肥料を与えるロボットとハウスの導入がある。
「精神障害を持つ人はアバウトな指示への対応が苦手」(白川代表取締役)。昨年度まで露地栽培のみ行っていたが、「天候や気候を考えると難しかった」と別の男性(34)が語るように、作物に与える水・肥料の量や頻度はマニュアル化が難しかった。悩んで、夜眠れなくなった従事者もいたという。

5年ほど前、リンゴ栽培への派遣などを開始したが、経験がない従事者にはどれぐらい葉取りをやればいいのか分かりにくく、精神的な負担が生まれた。農家とのミスマッチもあったため、すべて自前でやろうと考え、あいまいな作業を肩代わりするロボット「ゼロアグリ」を今年度から導入した。ゼロアグリと相性のよいハウス栽培も導入。費用は約1000万円で、農水省の「農山漁村振興交付金」を活用した。農地面積と収量はほぼ倍になり、農協や産直施設に出荷している。

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なるほど、苦手なところはAIロボットに任せるのは名案です。算数障害の子どもが電卓を使って数学に取り組むのと同じ感じです。百姓はそんなものではないと憤慨される農家の方もいるかもしれませんが、農家の担い手の少ない中、農業は人工衛星に制御されたAIトラクターが稲を栽培し脱穀までして収穫する時代になっています。文明はどんどん進みます。馬力から蒸気へ、活版印刷からデジタル情報網へ。この流れは障害をも乗り越えていきます。人しかできないことを人がやればいいと思います。

 

 

映画「咲む」上映へ

神奈川)映画「咲む」上映へ聴覚障害の女性が主人公

2020年9月4日 10時30分【朝日新聞デジタル】

聴覚障害者などで作る「全日本ろうあ連盟」が、創立70周年を記念して製作した映画「咲(え)む」の全国初の上映会が8月、横浜市で開かれた。生後5カ月から78歳まで幅広い年代のろう者が出演し、秦野や小田原、相模原でも撮影が行われた。今月から各地で上映が始まる。

物語の主人公は、看護師の国家試験に合格した、聴覚障害のある女性・瑞月(みづき)。ある過疎の村の診療所で看護師として採用されるはずが見送られ、代わりに役場の地域おこし協力隊として働くが、様々な壁にぶつかる。だが、高齢化が進む村の課題に全力で向き合う瑞月の姿はやがて、住民たちを変えていき……。

笑顔になる、花が咲く、実が熟す。万葉集から取った作品名「咲む」には、そんな三つの意味を込めたと監督・脚本の早瀬憲太郎さん(47)=横浜市西区=は言う。自身もろう者で、聴覚障害者への差別がテーマの「ゆずり葉」(2009年)、東日本大震災で被災した障害者を描いた「生命のことづけ」(13年)に続く3作目。今作について「差別がテーマではない。マイノリティーの障害者でも、地域を変える力があることを描きたかった」と語る。

主演の藤田菜々子さん(23)もろう者だ。上映会後の会見では「大切にしたのは必ず相手の気持ちを一回受け止めること。自分なりに解釈した表現が伝わったらうれしい」と話した。

終盤のある場面で、スクリーンから波が引くように音が消える。それまでどんな時も笑顔を絶やさなかった瑞月の顔は曇り、「なにを話しているのかわからないよ」と同僚に手話で伝えるがうまく伝わらない。音のない世界を少しでもわかって――。早瀬監督のそんな思いが伝わってきた。

早瀬監督は言う。手話言語条例が各地で広がり、聴覚障害者や手話への理解は進む一方、差別や偏見はまだある。ただそれは「知らない」「気づいていない」ゆえの場合もあると。「僕はそれを差別だと怒るのではなく、気づいてもらう働きかけをしていく」

出会いで人は成長し、変わると映画を通じて伝えたいという。「聞こえる、聞こえないに関係なく、顔を見て目を合わせることの大切さを伝えたい。コロナ禍の今だからこそ、よりその思いを強くしています」

日本語字幕付き。上映会は6日午前11時(完売)と午後2時のほか、12月12日に横浜市健康福祉総合センター(中区)で開かれる。チケット購入など問い合わせは、同市聴覚障害者協会(FAX045・475・2112またはYokochokyo2@hamashinren.or.jp)で。今後の予定は公式ホームページ(https://emu-movie.jp/別ウインドウで開きます)へ。(松沢奈々子)

マスク着用強制しない

発達障害、マスク困難56% 意思疎通に課題

2020/9/7 8:59【日経電子版】

肌に触れるのが不快、相手の表情が分からない――。新型コロナウイルスの感染予防のためのマスクについて、発達障害がある人のうち56%が「我慢して着用している」「着用が難しい」と感じていることが、国の発達障害情報・支援センターの調査で分かった。嗅覚や触覚が過敏だったり、意思疎通が苦手だったりする特性があるため。

世界保健機関(WHO)などは8月下旬公表の指針で、発達障害がある子どもは年齢を問わずマスク着用を強制しないよう推奨。一方、厚生労働省は同月末、「2歳未満は着用を推奨しない」との見解を出したが、発達障害には触れておらず、対応が求められそうだ。

調査は7~8月、ウェブ上で実施。コロナ禍の「新しい生活様式」について、全国の発達障害の当事者352人、家族ら500人が回答した。

マスク着用が困難な理由は臭いのほか、肌に触れたり水滴が付いたりすることが不快との意見が多かった。相手がマスクをしている場合の課題(複数回答)は「表情が分からない」44%、「言われたことを理解するのに時間がかかる」40%など。一方で、抵抗なくマスクをしているという人も全体の44%に上り、調査担当者は「不快感は人それぞれ。どうしても着用が難しい人には強制せず、柔軟に対応することが求められる」と話す。

家族が工夫した点は「本人が心地よいマスクを手作りした」「落としてもパニックにならないよう予備を持たせた」などで、自由記述には「感染対策ができない事情を周囲に理解してほしい」との声が寄せられた。

マスク以外の困り事は、オンラインの会話で「雑音や画面の明るさに疲れてしまう」「3人以上だと誰が話しているのか分からない」、外出などで「『控える』『慎重に』と曖昧な表現に困惑する」「人との十分な距離がどのくらいか戸惑っている」などが挙がった。〔共同〕

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武漢風邪のおかげで、感染症とマスクについては、科学的な根拠に基づいた世界標準が失われています。マスクは、飛沫の拡散は防げるが、空気中を浮遊するウィルスはマスクの網目の50分の1なので予防には効果がないというのがWHOの定説でした。ところが、日本のマスク習慣と感染率の低さを見て、WHOは根拠のはっきりしないままこの定説を変えたのです。

おそらく、口をマスクでふさぐので接触感染には効果があるのかもしれませんが、これもはっきりした根拠は示されていません。スウェーデンでは、これまでの原則的な感染予防策に基づき、マスクは予防根拠なしと勧めず個別的な自粛とクラスター対策で乗り越えました。スウェーデン政府は、ストックホルムで4割の人間が抗体免疫を持つというデータを得て集団免疫を獲得したと発表しました。

先日、マスクをつける意味についての国際的なアンケートが実施された結果、海外では「予防のため」が圧倒的に多かったのですが、日本では「周囲の目を気にして」が最も多かったそうです。つまり、予防になるかどうかはっきりしなくても同調圧力を感じてマスクをしている人が多いそうです。

こうした、根拠がはっきりしないけど周囲の目があるからという風習は、百害あって一利なしです。結論を先に持ってきて、理由を後付けするやり方は「いつか来た道」です。

 

神戸市放課後等デイサービスで虐待

障害ある女子中学生の顔を殴った疑い放課後デイサービスの施設長ら2人逮捕

2020年9月7日 20時49分【毎日新聞】

障害のある子が授業終了後などに通う放課後等デイサービス施設内で、通所していた女子中学生(14)を殴ったり蹴ったりしたとして、兵庫県警神戸北署は7日、施設長の戸嶋清容疑者(45)=神戸市須磨区横尾6=と、児童指導員の長谷川聡容疑者(51)=同市兵庫区本町1=を暴行容疑で逮捕した。日常的な虐待がなかったかなどについても調べる。

逮捕容疑はいずれも施設「HOALOHA(ホアロハ)」(同市北区)内で女子中学生に対し、戸嶋容疑者が6月25日午前9時20分ごろ顔を両手で数回殴り、長谷川容疑者は5月14日午後4時10分ごろ足を蹴ったなどとしている。戸嶋容疑者は「はっきりと覚えていない」、長谷川容疑者は「暴力は振るっていない」と容疑を否認しているという。

市は7日、児童福祉法に基づき、関連施設を立ち入り調査した。神戸北署によると女子生徒には身体障害と重度の知的障害があり、被害を訴えるなどのコミュニケーションを取ることが困難という。9月4日に市福祉局から「施設の職員が暴力を振るっている」と相談があり、事件が発覚。同署が裏付け捜査を進めていた。

施設は戸嶋容疑者が代表理事を務める一般社団法人が運営。市によると、2014年に放課後や長期休暇中に障害のある子どもたちを預かるサービスを開始し、小学生から高校生まで十数人が利用していたという。現場近くの自営業の男性(70)は「知り合いが『施設の中から大声や荒っぽい声が聞こえた』と言っていた。厳しくしているのだろうと思っていた」と話した。【韓光勲、反橋希美】

邪魔だと思う人は手を挙げて

「邪魔だと思う人は手を挙げて」支援学級の子に不適切発言 先生怖いと休む子も

2020年9月8日 09:54【沖縄タイムス+】

沖縄本島中部の小学校のクラス担任を務める女性教員が、普通学級と一緒に授業を受けていた特別支援学級の児童が騒いだ際「うるさいと思う人、邪魔だと思う人は手を挙げてください」と普通学級の児童に挙手を求めていたことが7日、分かった。手を挙げない児童に「あなたも支援学級に行きなさい」とも発言。教員の言動を受け、普通学級の児童一人が4日間、学校を休んだ。

■合同で授業
小学校を所管する教育委員会は教員の言動を処分の対象としていないが、不適切だったと認めている。教員は現在、体調不良を理由に休職している。

関係者によると、教員の不適切な言動があったのは今年6月。同じ教室で支援学級と普通学級の児童らが合同で授業を受けていた際、支援学級の児童が騒いでいたことを受け「うるさいと思う人、邪魔だと思う人は手を挙げてください」と挙手を求めた。

教員は手を挙げない児童に「あなたも支援学級に行きなさい」などと発言し、手首をつかまれた子もいた。騒いでいた児童は教室の後ろに立たされた。

■不適切な言動
挙手せず注意された児童の中には「先生が怖い」と話し、学校を4日間休んだ児童もいた。

児童から話を聞いた保護者が学校に連絡し、教委が事実を確認。教委は「教員に不適切な言動があった。教育委員会に呼び、指導を行った」としている。

保護者の一人は「子どもは特別支援学級の児童に対する不適切な扱いをおかしいと感じ、親に相談した。別の日には、教員が騒いだ児童の手を引っ張り、教室の外に出そうとしたこともあったようだ」と指摘している。

教員の言動3つの問題点
【丹野清彦琉球大学教授の話】

特別支援学校の児童に関する不適切な教員の言動があった。この出来事には光と影があるように思える。

影の部分の問題点は3点ある。1点目は支援が必要な子がなぜ騒ぐか、教員が理解しようとしていない。支援が必要な子が騒ぐ理由はさまざまで、うれしさがあったりする。教師は子どもの行為を理解する目が必要だ。

2点目は周囲の子に「うるさいと思う人は手を挙げて」と同意を求めたこと。同じ価値観や考えを押し付ける、行き過ぎた行為だ。

3点目は支援が必要な子のサポート体制が十分だったか。サポートがなければ学級担任に過度な負担がかかり、冷静さを失うこともあるだろう。学校や教育委員会は先生を追い込まない体制を考えてほしい。

光の部分は、教員の行動をおかしいと感じ、親に話をした子どもがいるということだ。こうした行動は人権感覚があることを意味する。子どもが声を上げたことで周囲の大人の人権感覚が磨かれ、学校の自浄にもつながることになる。

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特別支援学級の児童を「邪魔だと思う人は手を挙げて」…小学教員、一緒の授業の場で

2020/09/09 08:55【読売新聞】

沖縄本島中部の小学校の女性教員が6月、授業中に特別支援学級の児童が騒いだ際、「うるさいと思う人、邪魔だと思う人は手を挙げてください」と発言していたことがわかった。教育委員会は「不適切な言動」として教員を口頭で注意指導した。教員と校長は児童の保護者に謝罪した。

教委によると、問題の発言は、特別支援学級の児童と普通学級の児童が一緒に授業を受けていた際に起きた。発言に対し、手を挙げなかった普通学級の児童に「あなたも支援学級に行きなさい」とも発言し、手首をつかむなどしていた。その後、恐怖心から4日間学校を休んだ児童もいたという。児童から話を聞いた保護者が学校に連絡した。教委の聞き取りに、教員は「指導の一環で、悪意を持ってやったわけではない」と説明し、現在は体調不良を理由に休職しているという。

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支援学級の子「邪魔だと思う人は手を挙げて」 教員が不適切発言 ショックで休む児童も

2020年9月9日 11:08【琉球新報】

本島中部にある公立小学校クラス担任の女性教員が6月、普通学級と一緒に授業を受けていた特別支援学級の児童らが騒いだため「うるさいと思う人、邪魔だと思う人は手を挙げてください」と児童らに呼び掛けていたことが、8日までに分かった。地元自治体の教育委員会や学校などによると、同教員は、特別支援の児童1人の頭をたたいた事例があったという。教育委員会と学校は7月までに「不適切な言動があった」として教員を口頭注意した。

「先生が怖い」「学校に行きたくない」などとして4日間休んだ児童もいた。教員は学校で6月、頭をたたいた児童の保護者と面談し謝罪した。現在、体調不良で休職している。学校は近日、学級にいる児童の保護者向けの説明会を開く。

授業中に支援学級の児童らが騒ぎ、教員が発言して挙手を求めた。教員は、手を挙げなかった普通学級の児童に「あなたも支援学級に行きなさい」と言い、手をつかんだという。別の授業中、教室の後ろに児童を立たせる事例もあった。

学級にいる児童の保護者からの訴えで、学校は事案を把握し、6月に教委へ報告した。

ある保護者は「今の世の中、暴言や暴力は時代錯誤だ。学校は安全な場所であってほしい」と話した。教委は「適切な指導をするよう、ほかの学校にも注意喚起していきたい」と述べた。

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この教師の暴言はどんな理由をつけても許されません。こんな言動をあいまいにしてきたから、学校は子どものいじめに真摯に向かい合えないのです。何かあれば病気休暇というのもあいかわらずの公務員対応です。面倒になると職員を休ませてしまうのです。間違いがあったら、すぐに親や子どもたちに謝罪をして再発防止策を約束するのが、社会人としての最低限の責任です。当事者には謝罪したといいますが、影響が大きいのはそれを見ていたクラスの子どもです。「先生が間違っていた」と担任が言わないと子どもの不信は募るばかりです。

これは教育の問題ではなく大人として常識の問題です。コメントした教授は、学校は常識が通らないと言っているに等しいです。教授が述べている理由程度のことは学校や教委でもすぐにわかることで、事後策としてすぐに発表できたはずです。

6月の事件が9月に保護者説明会という遅れも、武漢ウィルス感染防止を理由にするのでしょうが、文書でも何でも学校の姿勢は早々に表明できたはずです。これが「古い学校」の体質です。これまでも責任者が責任者としての常識を果たしてこなかったから、当事者の教員も「指導の一環、悪意はない」と常識のない自分を守っているように思えてなりません。

 

「障害は個性」、それ本当?

「障害は個性」、それ本当?当事者が感じる違和感とは

佐藤仙務 2020年9月10日 9時00分【朝日新聞デジタル】

「普通って何ですか。僕たちは障がい者だから普通じゃないってことですか」
私の隣に座る車椅子の男の子が、教室の黒板を真っすぐに見つめている。今にもこぼれ落ちそうな涙を必死にこらえながら、彼は授業中の先生に向かって、そう言い放った。

今から約20年前、私がまだ小学生で名古屋の養護学校(現在の特別支援学校)へと通っていたころの話だ。この日は授業の一環で交流会の準備をしていた。交流会というのは、養護学校の近くにある小学校から児童を招き、お話やレクリエーションなどをするイベントのことだ。私が子どものころは今のように、まだインクルーシブ教育といって、障害児が一般学校に通学するケースはほとんどなかった。もちろん、私も例外ではない。

そんな理由で、学生時代は養護学校と一般学校同士による交流会がたびたび企画されていた。ただ、このイベントをとても楽しみにしている子もいれば、一方で、あまり興味のなさそうな子もいた。

「普通」ってなに?
それが私の隣の席の車椅子の男の子だった。交流会に興味がないというと聞こえが悪いが、彼の理屈によると「たった数時間会うだけで友達になれるわけがない」というのだ。実際、こういった交流会は毎年あるが、交流会が終わったあとに養護学校と一般学校の児童が友達になって遊んでいるといった話は聞いたことがない。私は彼と仲良くはなかったものの、彼の言うことはなんとなく理解できた。そしてこの後、ある先生のなんてことのない一言で、彼の表情が一変した。

「明日はいよいよ交流会です。普通学校の子どもたちと楽しく遊びましょう」
先生がそう話した瞬間、彼が先生の話の続きを遮って、「普通って何ですか。僕たちは障がい者だから普通じゃないってことですか」と涙ぐみながら言った。もちろん、先生も悪気があったわけではないだろう。言葉の便宜上、何げなく使った“普通”という二文字が彼を傷つけた。私は隣で涙ぐむ彼を見て、心のなかで「そんな揚げ足取りで、わざわざかみ付くなんて本当に馬鹿らしい」と思った。だが、私も次の先生のせりふにより、自分の中の何かが変わり始めた。

「ごめんね。でも大丈夫だよ。障害は個性なんだから」
障害は個性。それは私が子供のころから散々言われていた言葉だった。今の時代の障がい者も同じかもしれないが、多くの障がい者は子どものころから健常者の大人たちに「障害は個性である」と教えられる。私自身もそうであったが、それをずっと信じてきた障がい者は多い。

使うのは健常者
だが私も少しずつ大人になっていき、一つの疑問が生まれた。それはそもそも個性とは何なのか。そして、障害は個性であるという言葉は、なぜ健常者は使いたがり、障害者はあまり使わないのか。

まずはじめに、私たちが日常生活の中で個性という言葉を使う場面を考えたい。障害は個性というと、一見ポジティブに聞こえるかもしれないが、例えば、私に好きな女性がいたとして、「君は顔も性格も個性的だね」と言ったとしよう。どうだろうか。私はほめているつもりでも、女性はバカにされていると思うだろう。一方、「君は顔も性格も魅力的だね」と言えば、悪い気はしないだろう。

また、私自身、これまでの人生で男女問わず、友人から「君の障害の個性がいいね。友達になりましょう」と言われたことはいまだかつてない。

だったら、「障害は魅力と言えばいいのでは?」と思う人がいるかもしれないが、障害が魅力というのはちょっと無理がある気がしてならない。

言葉のマジック
だからこそ、障害は個性という言葉は良くも悪くも完成度が高い。普段はなかなか使わない“個性”という言葉を“障害”という明らかにマイナスな言葉と組み合わせることで、ちょっと良い言い回しに思わせてしまうマジックがここにある。

人によっては私の言っていることはへりくつに聞こえるかもしれない。ただ、実際問題、私の周りの多くの障がい者たちは健常者から「障害は個性である」と言われ、困り顔になっている。仮に障害は個性だったしても、それは、周りの人が障がい者に言うべきことではなくて、自分の障害を受け入れた障がい者が「私にとっては個性です」と言っているときに同調してあげるぐらいがちょうど良い。

ちなみに、私が経営する会社「仙拓」でも障がい者のスタッフが働いているが、彼らに「障害は個性だと思うか?」と尋ねたところ、彼らは「障害は障害です」と悲壮感なく答えた。

私も同じ意見である。障害は、障害なのだ。

でも一つ勘違いしていただきたくないのが、仙拓で働く障がい者は決してネガティブではないし、一人ひとり社会人として自分の役割を全うしようとしている。障害は障害だと言う彼は、何か壁にぶち当たったときに「障がい者だから仕方ない」ということは決して言わない。

理由は一つ。障害は個性だという言葉で自分を美化しなくても、彼らは障がい者以前に、自分自身の役割と価値を信じ、懸命に生きているからである。


佐藤仙務(さとう・ひさむ)
1991年愛知県生まれ。ウェブ制作会社「仙拓」社長。生まれつき難病の脊髄性筋萎縮症で体の自由が利かない。特別支援学校高等部を卒業した後、19歳で仙拓を設立。講演や執筆などにも注力。著書に「寝たきりだけど社長やってます―十九歳で社長になった重度障がい者の物語―」(彩図社)など。ユーチューブチャンネル「ひさむちゃん寝る」では動画配信も手がける。

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「俺は障害(者)なんか?」と聞く発達障害の子どもたちに、「できることの凸凹が激しい人」と答えています。障害は、不自由に感じる本人と、不自由だなと思う周囲の方の主観の交わるところにあります。その人を取り巻く環境が凸凹の凹を埋めたり手伝ってくれる環境があり自由に生きられるなら障害はありません。

ある視覚障害者が「光のない世界では、我々から見れば晴眼者が障害者です」といいました。光を頼らない生活をしている人には、晴眼者ほど生活は不自由でないというのです。でも、不自由のないところまで支援したのは晴眼者だけどなぁという矛盾があるのですがそれは置いておきます。障害は主観的なものだという例えとしてのお話です。

手足が動かない・話せない・見えない・聞こえない・見えるけど読めない・手は動くが書けない・計算できない・難しい話が分からない・・・・。そのハンディは若さや老いが原因ではなく、平均的な努力をしても平均的な「できる人」には追い付かない能力差は、背丈や体形や皮膚の色の違いと同じだと言えばそうなのでしょう。しかし、「それは個性だよ」と子どもにいうには、まだ私には躊躇があります。

 

 

特別支援教育支援員

教育支援員足りず「権利利益侵害」の恐れ 市民団体が市町村実態調査

9/11(金) 11:40配信【NEWSつくば】

通常学校に通う、障害のある子供たちの学校生活を支援する「特別支援教育支援員」の配置実態を明らかにしようと、市民団体「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」(事務局・水戸市)がこのほど、茨城県内の各市町村教育委員会にアンケート調査を行った。教育支援員が足りない市町村があったり、足りていても保護者に付き添いを求める市町村があるなどの実態が浮き彫りになった。

学校生活において、平常の授業日や校外学習時に支援員が付き添えないからと、保護者の付き添いを障害児だけに求め、できない場合は参加を拒否することは、2016年施行の障害者差別解消法が禁止する「権利利益の侵害」にあたる。同つくる会では今後、各市町村教育委員会に対し、今回の調査結果を情報提供すると共に、支援員の研修機会を提供するなど、支援員の充実に協力していく考えだ。

6割が「足りていない」
支援員は、学校生活での食事や排せつなどを介助したり、授業や学習で個別的な支援が必要な児童生徒を支援する。アンケートには全44市町村のうち41市町村が回答した。「支援員が足りているか」という質問には、6割超の27市町村が「足りていない」と回答した。

さらに、1人の児童生徒が1日に支援を受けられる時間についても尋ねた。支援員が支援できる時間が限られていて、その時間では支援が不足する場合、保護者が付き添っていると8市町村が回答した。

支援員が足りていないと回答した市町村の方が、保護者が付き添っている割合は高いが、足りている市町村でも「平常の授業日に保護者が付き添っている場合がある」と回答したところが1市町村あった。

一方、支援員が足りていない市町村でも、「1日の支援時間に上限はない」と5市町村が回答した。「支援時間に上限はあるが、支援員の勤務時間を前後させたり、空いている職員を計画的に配置したりすることで、保護者の付き添いはないようにしている」と回答した市町村もあり、支援員の人材不足が、必ずしも保護者の付き添いを求めることにつながらないことが分かった。

校外学習時に支援員が付き添えるかという質問には、「日帰りの校外学習に支援員が付き添える」と35市町村が回答し、「宿泊を伴う校外学習に支援員が付き添える」と5市町村が回答した。「支援員が足りていない」市町村でも、「宿泊を伴う校外学習に支援員が付き添える」と回答したところが3市町村あった。

さらに校外学習時に保護者が付き添っているかという質問には、支援員が足りている市町村の方が付き添っている割合は58%と低いが、それでも約6割の市町村が校外学習に保護者が付き添っていることがわかった。

つくば市、修学旅行に付き添えず課題残る
修学旅行に支援員が付き添えないために、保護者が付き添えなければ、障害のある児童生徒が修学旅行への参加をあきらめる事態がつくば市内で起こったことが、2016年12月の市議会一般質問でも指摘されている。

同年に施行された障害者差別解消法では、障害を理由として、各種機会の提供を拒否する、または提供にあたって、障害者ではない者に対して付さない条件を付すことは、障害者の権利利益の侵害として禁止されている。

五十嵐立青つくば市長は、支援員の大幅増員を公約に掲げ、2016年度から2019年度にかけて支援員の数を倍増した。しかし、宿泊を伴う校外学習には支援員は付き添えないなど課題は残っている。

同市によると、市内の小中学校や義務教育学校では平常の授業日は支援時間に上限はないため、学校側から保護者の付き添いを求めることはない。一方、日帰りの校外学習に支援員が付き添えることもあるが、宿泊を伴う校外学習には支援員は付き添えず、保護者に付き添いを求める場合があるという。

今後、宿泊を伴う校外学習にも支援員が付き添えるようにする方針はあるかをつくば市に聞いたところ「勤務条件外になってしまうため、難しい」という回答だった。障害のない子供なら無条件に参加できる修学旅行に、障害があるからと、保護者の付き添いが参加の条件になってしまう実態は解決されないままだ。(川端舞)

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特別支援教育支援員は国からこの名目だけに使う財源ではなく、地方交付税といって、市町で道路や焼却所などに使ってもいい一括財源として交付されるものです。したがって、土木関係などにお金がかかるときは支援員の財源は使えなくなる場合もあります。だから市町によって支援員が多かったり少なかったりしているようです。

ただ特別支援教育支援員は、採用時にレクチャーは受けますが資格はなく教員ではないので権限が制限されています。また、クラスの子どもにしてみれば「○○ちゃん付きの先生」のような位置づけになりやすいので、運用には工夫が必要となります。

 

起立性障害

朝は体調悪い…起立性調節障害の子らに、居心地良い場を

2020年9月13日 10時00分【朝日新聞デジタル】

朝、体調不良で起き上がれず、学校に行けない――。若年層に多いとされる「起立性調節障害」(OD)で学校に通えなくなった子どもらを支えようと、大阪人間科学大学(大阪府摂津市)の学生たちが、居心地のよい場所づくりに取り組んでいる。

一昨年6月に立ち上がったボランティアサークル「Lico(リコ)」。メンバーは月2回、夕方から約2時間、八尾市の公共施設で、ODに悩む中高生6人ほどと一緒に時間を過ごしてきた。冒頭、体を使ったゲームなどで緊張をほぐし、趣味やテレビ番組について話したり、絵を描いたり。昨年12月にはクリスマスパーティーも開いた。

Licoのメンバーは、社会福祉や心理、子ども保育を学ぶ大学1~3年生約30人。ODの子どもだけでなく、障害児の支援などにも取り組んでいる。

〈起立性調節障害〉自律神経の働きの不調により、起立時に脳や体への血流が低下するなどして、立ちくらみやめまい、倦怠(けんたい)感、動悸(どうき)などの症状が出る。小学校高学年から中学生で増える。軽症も含めると小学生の約5%、中学生の約10%が該当し、不登校の子どもの3~4割がODを伴っているともいわれる。午前中に体調が悪くても午後に回復することが多い。

Licoを作った大阪人間科学大3年の神野佑介さん(22)は自らもODの影響で中学校に通えなかった経験がある。昨年2月ごろ、ODの子らを持つ家族の会に参加した時、「ODの子は朝体調が悪くて学校に行けず、午後に元気になっても夕方から行けるのは塾ぐらいしかない。居場所が少ない」という声を聞いた。

神野さんは自らの経験を思い起こし、「同世代と交流できる居場所があると、ODの子たちにとって大きい」と思った。Licoのメンバーとともに、昨年2月ごろから、ODの子どもらが居心地良く過ごせる場所づくりを始めた。

参加する中高生たちは当初、「次にやりたいことは?」と尋ねても「別に」「ない」と言葉少なだった。大学生たちが寄り添い、グループで話すうちに子どもたちは打ち解け、輪になって話すようになった。「ゲームがしたい」「休憩スペースがあったらいい」と意見を言うようにもなった。Licoメンバーで大学3年の香西優希奈さん(20)は「私たちも中高生たちもお互いに心を開ける信頼関係ができた」と話す。

娘が中学時代にODを発症し、学校に通えなくなったという母親は、友達とのつながりも希薄になり、不安が募る毎日だったという。集いに参加した娘に付き添い、別室で待っていた時、娘の笑い声が聞こえた。「こんなふうに笑っていたんだと気づかされました。活動はありがたい」

新型コロナウイルスの影響で、Licoの活動も今年3月ごろから休止に追い込まれた。8月になって、メンバー3人と中高生6人ほどがオンラインでつながり、再開後にしたいことや好きな映画などについて語り合った。

Lico副代表で大学2年の安在侑輝さん(19)は「交流の場がなくなり、体調や心の面が心配でしたが、元気な姿を見てほっとしました。素の自分が出せる居場所があることで、少しでも前向きになってもらえれば」と話す。(瀬戸口和秀)

〈起立性調節障害〉自律神経の働きの不調により、起立時に脳や体への血流が低下するなどして、立ちくらみやめまい、倦怠(けんたい)感、動悸(どうき)などの症状が出る。小学校高学年から中学生で増える。軽症も含めると小学生の約5%、中学生の約10%が該当し、不登校の子どもの3~4割がODを伴っているともいわれる。午前中に体調が悪くても午後に回復することが多い。

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起立性障害の診断は難しいと聞きます。朝起きられないという不登校には、家族力動(親子関係)が関わる心因性のものから、ASD等発達障害が関わるものや、それらが複合的に絡まることが少なくありません。

従って、正しい診断がまず必要となります。「新起立検査」等を行い診断をしていきます。検査もせずに起立性障害の治療を行うと様々な問題がすべて本人のフィジカルな問題に置き換えられてしまう危険性があります。不登校全般を扱う医療機関から起立性障害を検査する専門医に紹介を得たほうが良いかもしれません。

感染公表

クラスター発生校名、なぜ非公表?公立と私立で分かれる対応、京都府「意向尊重」

2020年9月13日 14:00【京都新聞】

京都市内の私立高校で部活を契機にした新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生したことを受け、京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」に「どうして校名が公表されないのか」との投稿が寄せられた。これまでに市立学校では校名が発表されているケースもある。疫学調査を担っている市などに取材した。

今回のクラスターは今月2日、最初の感染者3人が発表され、現在は生徒計36人(10日現在)とその家族13人に上っている。

感染症法では、国や都道府県、政令指定都市は情報を積極的に公表しなければならないとする一方、個人情報の保護に留意すべきとも明記されている。京都府や京都市による毎日の感染状況の発表でも、個人の特定につながる情報は公表されない。

施設名が公表される場合はあるが、いずれも施設側の自主判断や同意が基本となっている。これまで市内のクラスターでは京都産業大や市立病院(中京区)が会見を開いて明らかにしたほか、企業や福祉施設などがホームページで発表することも多い。

学校のケースはどうか。京都市立の小中学校などで児童生徒、教職員に感染者が出た場合、学校名が公表されることもある。公立学校の場合、公表するかどうかを決めるのは設置者の行政側で、市教育委員会は「地域住民の出入りがあるため、周知の必要がある場合は公表している」(総務課)という。京都府内でも「原則、学校名は公表してない」とする教委もあり、対応が分かれる。

一方、私立学校では、学校側の判断や同意が重視される。クラスターが起きた今回の私立高校について、私立学校を所管する府文教課は「学校名を公表することで、生徒や学校への誹謗(ひぼう)中傷などの人権侵害が起きる可能性があると、学校側から報告を受けている」とする。また、市によると、現時点では生徒らの感染経路を把握できており、公表を強く求める必要性はないという。

私立高の感染を巡っては、サッカー部でクラスターが発生した松江市の高校名が8月に公表されると、会員制交流サイト(SNS)上などで誹謗(ひぼう)中傷が相次いだ。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は「差別とプライバシー侵害に当たる恐れがある」として問題視している。

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公表の影響で支障があるのは個人のプライバシーだけではありません。自治体がわざわざ公表することで、この感染が「とても恐ろしいもの」という印象を与えやすいのです。

感染症法の中でも超怖いサーズや鳥インフルエンザと同じ2類感染症相当としたのは1月末の閣議決定です。感染の実態がほぼ明らかになったのに指定感染症決定をそのままにしているから、いつまでも間違った評価が訂正されないのです。日本の行政は、決めるのも遅いですが決めたことの変更が遅いのも、昔から変わらないです。

武漢風邪を5類感染症に訂正し、インフルエンザと同じ扱いにすれば、武漢風邪に対する偏見や感染者や所属先への差別や風評被害をなくすことができます。同調圧力によるマスクの強要も軽減されるはずです。

スウェーデンでは、誰もマスクをしていないのに、すでに収束に向かっています。世界中の人々がネットワークで繋がっているのですから、同じウィルスの場合、民主主義国家なら感染防止策は同じはずです。しかし、残念なことに、どこかの国のように、戦前のように、間違った情報が広がるとなかなか修正できないのが現状のようです。

 

 

だってしょうがないじゃない

大人の発達障害者、自立を考える ドキュメンタリー映画上映

2020年09月16日 10:23【岐阜新聞】

大人の発達障害をテーマにした映画「だってしょうがないじゃない」が上映された会場=岐阜市司町、みんなの森ぎふメディアコスモス
大人の発達障害を描いた映画「だってしょうがないじゃない」(2019年)の自主上映会が、岐阜市司町のみんなの森ぎふメディアコスモスで開かれ、知的障害がある子を持つ家族ら約50人が親亡き後の障害者の自立の難しさや、引きこもりの50代と80代の親が生活に困窮する「8050問題」に伴う住居問題について理解を深めた。

上映会は知的障害者やその親たちでつくる県手をつなぐ育成会(岐阜市)が、当事者やその家族だけでなく地域全体で支援の在り方を考えてもらおうと企画した。

映画は、発達障害を抱えながら独居生活を送る60代の伯父の日常を、発達障害と診断された坪田義史監督が3年間撮り続けた長編ドキュメンタリー。障害年金や福祉サービスの支援を受け、住み慣れた借家で暮らす伯父が直面する現実などが描かれており、参加者が見入っていた。上映後は、同会の社会福祉士ら専門家による相談会も行われた。

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坪田義史監督の言葉

まことさんと出会ってから約三年の月日があっという間に過ぎました。

こだわりが強く偏った僕の視線は、まことさんのどこまでも純粋な感性に触れ、フレームに収まりきらないありのままの姿に惹かれました。

まことさんを撮りたい。 当時、鬱や不眠に悩み、精神科を受診して注意欠如多動性障害と診断を受け、破れかぶれの状態で撮影に及ぶ僕を、まことさんは「義史さん」と呼び、穏やかな表情で受け入れてくれました。 取材を終えた別れ際の玄関先では、必ず「またね」と言って自ら手を差し出して握手をしてくれるまことさん。

本作「だってしょうがないじゃない」は、まことさんの協力なしでは、成立しえなかった作品です。僕は、これからも、まことさんに会いに行きます。

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京都シネマではもう上映していました。こういうマイナーな映画はなかなかヒットしないのですが、「カメラを止めるな」のように口コミとSNSで大ヒットする場合もあります。でもドキュメンタリーはなかなか難しいです。時間経過を追うので、どうしても平たんになってしまうのですが、それをカバーするのが編集力と言われています。5080問題は発達障害者の場合が少なくありません。ぜひ見てみたい作品ではあります。もう一回京都シネマやってほしいなぁ。

 

 

スペシャルズ!

映画は“世界の見方”を変えられる。「最強のふたり」監督コンビの最新作「スペシャルズ!」

2020.09.11【朝日新聞デジタル】

大ヒット作「最強のふたり」を生んだ、フランスの2人組監督エリック・トレダノ&オリビエ・ナカシュの最新作「スペシャルズ! ~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~」が公開中だ。長~い副題が示す通り、フランスに実在するケア施設の奮闘を臨場感たっぷりに描いたヒューマンドラマ。四半世紀かけて実現にこぎつけた作品への思いを、トレダノ監督に聞いた。(文・深津純子)

    ◇

自閉症の子供たちのケア施設を手弁当で運営するブリュノは、助けを求められるとノーと言えない男。受け入れ先が見つからない重度の子供たちを次々と預かり、日夜その対応に奔走する。外出先で介助者を振り切って駆け出す少女、駅の非常ベルを鳴らして電車を止めてしまう青年……相次ぐ非常事態も、彼にとっては日常の一部だ。

そんなブリュノの頼れる相棒が、ドロップアウトした若者の自立を支援するマリク。施設は若者たちの職業訓練の場にもなっている。社会からはじき出された若い世代を一手に救おうとする2人だが、無認可で赤字経営、しかもスタッフの多くが無資格ということで、監査局から厳しい査察を受けることになる。

駆け出し時代の運命的な出会い
息つく間もない施設の日常に圧倒されるうち、いつしか緊密な人間関係に引き込まれていく。モデルになった2人の福祉活動家と監督たちが初めて出会ったのは、まだ学生だった1990年代半ば。献身的な活動に共鳴し、資金集めのためのPR映像作りを引き受け、監督デビュー後にはテレビのドキュメンタリー番組も制作した。

「でも、僕らが本当にやりたかったのは彼らをフィクションで描くこと。2人の立場になって人々と寄り添い、そこから見える世界をじっくり考えたいと思っていました」とトレダノ監督は語る。

「私自身もいとこが自閉症なので、支える家族の苦労はよく知っているつもりです。だから、関係する人々の人生に映画でオマージュを捧げたかった。とはいえ、深刻な題材だけに、ひるむところもありました。映画はコミュニケーションの言語ですが、駆け出し時代の我々は語彙(ごい)も文法もまだ不十分。試行錯誤しながら足りない部分を補い、やっとできると思えるまで20年以上かかったというわけです」

脚本完成の1年前に出演交渉
ブリュノを演じるのはハリウッドでも活躍するスター俳優ヴァンサン・カッセル。クールでゴージャスなイメージから一転、情に厚いが女性とは縁の薄いブリュノの悪戦苦闘を見事に演じ、新境地を開いた。

マリクに扮したのは、「涙するまで、生きる」や「永遠のジャンゴ」で知られるレダ・カテブ。ともにフランスのアカデミー賞にあたるセザール賞の受賞歴もある名優コンビと、自閉症の当事者や本物の介助者ら素人キャストが織り成すアンサンブルもこの作品の大きな見どころだ。

「先週まで別の作品に出ていた俳優が、いきなり現場に来て演じられる役ではありません。自閉症の子供たちや介助の人々と実際に触れ合い、学んでもらうことが不可欠。なので、ヴァンサンとレダには脚本完成の1年前に、実際に施設を見学してもらった上で出演交渉しました。『脚本はこれからなんだけど……』と切り出すと、異口同音に『脚本なんか無くてもいいよ。一緒にやろう』。その後も何度も施設に通って、本当に熱心に準備してくれた。レダはアフリカの施設まで足を運んでくれました。そんな人たちが演じてくれたからこそ、真実味が出たのだと思います」

コミュニケーションが困難な現実だからこそ
ブリュノは野球帽の下にキッパという小さな帽子を被ったユダヤ教徒。一方のマリクは敬虔(けいけん)なイスラム教徒。文化や宗教、立場の違いを超えた信頼や連帯の力は、この監督コンビが過去作でも繰り返し描いてきたモチーフだ。

「フランスには様々な宗教や文化的背景の人々がともに暮らしています。経済格差もあるし、社会からはみ出てしまう人もいる。健常者同士でもうまく意思疎通できないのが現実です。だからこそ、コミュニケーションに困難を抱える自閉症の人々と、様々な困難を抱えた健常者が力を合わせて前に進もうとする姿を描きたかった。そこから学ぶことがきっとあると思うのです」

「マクロン大統領がエリゼ宮(大統領官邸)で上映会を開き、施設への支援を呼び掛けてくれたことも、自閉症の人々が抱える問題を広く知ってもらういい機会になりました。当事者の家族から『今までは閉ざされた世界で孤立していると思っていたが、この映画で救われた』などの反響をいただいたのもうれしかった。私たちは世界を変えることはできないけれど、世界の見方を変えることはできると信じています」

「スペシャルズ! ~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~」
出演:ヴァンサン・カッセル、レダ・カテブ
監督・脚本:エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ

9月11日から、TOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー
配給:ギャガ
公式サイト

     ◇
エリック・トレダノ
1971年パリ生まれ。共同監督のオリヴィエ・ナカシュとは、95年に短編映画の監督・脚本を共同で手掛けて以来、コンビを組んで活動する。2005年に長編劇映画デビューし、11年の「最強のふたり」で東京国際映画祭グランプリを受賞。無職の黒人青年と障害がある白人富豪の友情を描いた同作はフランスで歴代観客動員数3位を記録し、日本でも大ヒット、19年にはハリウッドでもリメイクされた。主な作品に国外退去を命じられたアフリカ系移民と白人女性の連帯を描く「サンバ」(2014年)、引退目前のウェディング・プランナーの最後の仕事を追った「セラヴィ!」(18年)などがある。

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昨日から映画ネタですが、これはメジャーな監督と俳優で作った自閉症映画です。とはいいつつも、京都のTOHOシネマズではやらず小規模劇場の京都シネマで上映しているので、そんなに収入は見込んでいないのかもしれません。ハリウッド発の自閉症映画というと、レインマンを筆頭にアイアムサム、フォレストガンプやマーキュリー・ライジング、最近だとリチャード・ジュエルとたくさんあります。韓国映画ではマラソン、中国映画では海洋天堂、邦画ならぼくはうみがみたくなりました・山田洋二の学校3等です。フランスはフロイトの精神分析が主流だったので自閉症の理解がうまくいかず、2次障害としての行動障害が昔は少なくなかったそうです。このドキュメンタリー風映画は、私たちが自閉症の人に初めて接したときの「あるある」がたくさん描かれているといいます。

 

 

とても敏感な子ども(HSC:Highly Sensitive Child)

すららネット「子どもの発達支援室」主催<不登校生徒の出席扱い><HSCの子の関わり方講座>を9月9日にWEB開催
220名の参加者のお悩みに回答

【株式会社 すららネット】2020年9月11日 10時00分

株式会社すららネット(本社:東京都千代田区 代表取締役社長:湯野川孝彦)は、9月9日に<不登校生徒の出席扱い><HSC*の子のかかわり方講座>をWEB会議システムにて開催しました。小中学生のお子様を持つ保護者約約220名へ、説明と質疑応答を行いました。

すららネットは、「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を企業理念とし、アダプティブな対話式 ICT 教材「すらら」と「すららドリル」を、国内では 約 1,400 校の塾、学校等に提供しています。全国の有名私立中高、大手塾での活用が広がる一方で、発達障がいや学習障がい、不登校、経済的困窮世帯を含む生徒に学習の機会を提供するなど日本の教育課題の解決を図ることで成長を続け代表的な EdTech スタートアップ企業として2017年に東証マザーズに上場しました。

AI×アダプティブラーニング教材「すらら」は小学校から高校までの国語、算数/数学、英語、理科、社会 5教科の学習を、先生役のアニメーションキャラクターと一緒に、一人一人の理解度に合わせて進めることができるアダプティブな eラーニング教材です。レクチャー機能、ドリル機能、テスト機能により、一人一人の習熟度に応じて理解→定着→活用のサイクルを繰り返し、学習内容の定着をワンストップで実現できます。初めて学習する分野でも一人で学習を進めることができる特長を生かし、小・中・高校、学習塾をはじめ、放課後等デイサービス等においても活用が広がっています。

すららネット 子どもの発達支援室では、主に家庭学習で「すらら」を活用しているお子さまとその保護者を対象に、日々学習サポートを行っています。子どもの発達支援室宛には毎日、家庭学習における親子の関わりに関する問い合わせが寄せられています。学力を上げる方法は「すらら」で解決できるものの、勉強に気持ちを向かせる方法は心理面から紐解く必要性を感じ、すららネットでは2018年より、社内臨床心理士を中心とし「子どもの気持ち」へ目を向けることに力を入れています。 2019年は親子の関わり方について行動分析学、教育学、認知行動療法を中心とした保護者向けサービスやイベントを開催し約1,000名の保護者が参加しました。今年は新型コロナウイルス感染拡大による休校や、休校の影響による授業の遅れを取り戻すための夏休みの短縮など、子どもたちを取り巻く状況が例年と大きく異なる中、すららネットには保護者からの悩みが多数寄せられています。

第一部では、子どもの発達支援室長佐々木から、不登校生徒の出席扱いについて紹介しました。文部科学省が公表している「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導揚力上の出欠の取扱いについて」通達の説明や、出席扱いを認めれた児童生徒数の推移、出席扱いになる7つの要点、具体的なアクションや流れについて説明し、事前に寄せられた質問への回答を行いました。平成30年度文部科学省調査によると、全国に約16万人いる不登校児童・生徒のうち、出席扱いを認められた児童・生徒は年間286人であり、出席扱いの制度は認知も活用も依然高いとは言えません。通っている学校とのコミュニケーションが必要であること、担任の先生が制度について知らない場合でも、まずは相談することが重要であると伝えました。

第二部では臨床心理士 道地より、HSCの子とのかかわり方について事例を交え紹介しました。HSCならびに不安症のチェックリストについて、HSCであることをきっかけとして不安症の症状が出た子どもの事例、HSCや不安症に対する保護者や子ども本人の正しい認識・理解の重要性、認知行動療法の知見に基づく思春期の子どもとのかかわり方について紹介し、事前に寄せられた質問への回答を行いました。保護者から寄せられた悩みは多岐にわたり、ほめ方、不登校の子どもへの介入の仕方、カウンセリング専門機関の選び方、他者とのかかわり、睡眠について、勉強について、やる気や集中力について、漢字の読み書きが苦手な場合のアプローチ、ゲームとのかかわり方等について回答しました。大切なのは、学ぶ楽しさを知れるかどうかであるということ、学校での学びにとらわれず子ども自身に合った学習方法を見つけることだと強調し締めくくりました。

参加した保護者からは「現在の状況では、不登校への対応のニーズが増えていると思います。学校側の理解も進めてもらえるように、学校にかけ合ってみようと思います。」「この講座に参加して、同じような悩みを持っている方が沢山いて色々な話しが聞けて良かったです。先生からのアドバイスやHSCについて聞けて参考になりました。」「不登校になり学業に関して悩むことが多く、また心のケアについても何か行っていけないかと気になっていました。我が家の項目が当てはまるかどうかと思いつつ参加しましたが、全体を通して気づかされることも多く、参加してよかったと思います。非常に有意義な時間を過ごすことができました。開催いただきありがとうございました。」といった感想が寄せられました。

すららネットは今後も、新しい学習体験を届ける事業活動と同時に「子どもの気持ち」へ目を向ける活動に引き続き注力し、子どもと保護者双方に向けたサポートを続けていきます。

*HSC:とても敏感な子ども(Highly Sensitive Child)
 HSP:大人の場合の呼称

■イベント概要
テーマ: <不登校生徒の出席扱い><HSCの子の関わり方講座>
日時:9月9日(水)19:00~21:00
対象:「すらら」で学習中または「すらら」学習を検討いただいた小中学生のお子さまを持つ保護者

講座内容:
<不登校生徒の出席扱い>
・出席扱いを満たす3つのポイント、出席カウントの要件、具体的なアクション
<HSCの子のかかわり方講座>
・HSCと不安症について、思春期の子どもとのかかわり方、学習方法の見つけ方

講師:
すららネット 子どもの発達支援室 室長 佐々木章太
すららネット 子どもの発達支援室 臨床心理士 道地真喜

■スピーカープロフィール
すららネット 子どもの発達支援室室長 佐々木章太

グロービス経営大学院 経営学修士
「すらら」家庭学習部門 事業責任者
家庭学習の保護者サポーター「すららコーチ」統括マネージャー
すらら総合窓口として毎年500名以上の保護者から相談を受ける。
放課後等デイサービス(1)の学習支援、自身も生徒指導を行う。
ペアレントトレーニング講師。KABC-Ⅱ検査官。
子どもの発達科学研究所 学びの発達アテンダントアドバンスコース受講終了。KABC-Ⅱアドバンスト講習会受講修了。

すららネット 子どもの発達支援室 臨床心理士 道地真喜

San Diego State University(アメリカ・カリフォルニア州)教育学修士
Allliant International School(アメリカ・カリフォルニア州)心理学博士
カリフォルニア州臨床心理士免許
カリフォルニア州での臨床経験約10年
ASD(2)のお子様向けのABAセラピー(3)、3歳から18歳を対象とした心理検査、認知行動療法、プレイセラピー、大人の鬱、不安症のカウンセリングを主に実施。アメリカでの臨床経験を活かし、(株)すららネットにて発達障がい児への心理検査、カウンセリング、保護者向けのペアトレーニングなどに従事。

(1)障がいのある就学児向けの学童保育サービス。
(2)自閉症スペクトラム・アスペルガーといった発達障がいの一種。
(3)応用行動分析学(ABA)を用いたセラピー。障がい児療育方法の一種

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HSCやHSPは発達障害や不安障害の特徴との類似します。例えば、すぐに驚く▽チクチクする布地の服を嫌がる▽興奮した経験の後なかなか寝付けない▽細かいことに気づく▽うるさい場所を嫌がる――などです。発達障害の一つである自閉スペクトラム症はこだわりが強く、感覚過敏がある人もいます。「空気が読めない」と言われがちですが、他者の気持ちが分かる人もいます。HSCの子どもの中には、知的水準が高く、軽い(発達障害の)自閉傾向がある子どもも含んでいるようです。

また、親に不安が強いと、子どもも敏感になりやすいです。母親が「頭痛いんじゃない? 大丈夫?」と何度も聞くと、子どもは頭痛がなくても親に気に入られようと「痛い」と答え、本当に頭が痛くなることもあります。HSCの概念に当てはまる子どもの話を聞くと子どもよりも母親へのアプローチが必要なこともあります。

何故このようなあいまいなカテゴリーが作り出されたか考えると、発達障害の診断技術が未熟であることを示しているようにも思います。ASDの診断条件に全てはあてはまらないグレーゾーンの人をHSCと呼ぶのかもしれません。定まった診断基準がない中では、かえって子どもの理解を混乱させないか懸念されます。

ただ、あいまいさがあっても、本人や親が訴えている過敏さについて良く耳を傾けて、しっかり受け止めていくことで、発達障害やその他の問題を明らかにするきっかけになる場合もあります。新しいカテゴリーの流行はいつの時代にもありますが、科学の進歩と共に淘汰されていきます。大事なことは子どもの困り感を正しく理解することだと思います。

 

ロービジョンフットサル

弱視の子にもサッカーをロービジョンフットサル、ソルアが出前授業「可能性信じ、楽しさ伝えたい」/東京

毎日新聞2020年9月22日地方版

視覚障害のある子にもサッカーを楽しんでほしい――。ロービジョンフットサルのチーム「CASOLUA(ソルア)」(葛飾区)は毎年、都立葛飾盲学校で出前授業をするなどしてサッカーの楽しさを伝えている。【五十嵐朋子】

ロービジョンフットサルは、弱視の選手4人と弱視または視覚障害のないゴールキーパーでプレーする。パラリンピック競技のブラインドサッカーでは、アイマスクを着けて戦い、音の鳴るボールを使うが、ロービジョンフットサルは自分の視力でプレーし、ルールは健常者のフットサルとほぼ同じ。選手たちは視力や見え方の特徴を伝え合いポジションや戦略を決める。

ソルアを立ち上げた岩田朋之さん(34)は26歳の時、視神経の病気「レーベル病」で視力が急激に低下した。その後、視覚や聴覚に障害のある学生に特化した筑波技術大に進学し、ロービジョンフットサルを始めた。2015年に日本代表に選ばれ、主将も務めた。

茨城県のクラブチームに所属していたが、18年にソルアを作った。きっかけは葛飾盲学校へオリンピック・パラリンピック関連の出前授業に行った時に、先天的な障害で盲学校に通う子どもたちはサッカーの経験がほとんどないのを知ったことだ。接触プレーのあるサッカーは危険と判断されていたためだ。「視覚障害者サッカーの裾野を広げるためにも子どもたちに競技の魅力を知ってほしい」。社会人フットサルチーム指導者の古川将士さん(現ソルア監督)と出会った縁もあり、チームを立ち上げた。

葛飾盲学校での出前授業は毎年1回。ボールを持って歩くことから始め、徐々にサッカーに近い動きを取り入れていく。「子どもたちの可能性を信じて、工夫しながら楽しさを伝えたい」(岩田さん)。ソルアが別の学校で開いた体験会をきっかけにチームに入った高校生もいるという。

現在、選手10人、スタッフ4人。篠瀬翔平さん(24)は「この競技を知らずにブラインドサッカーを始める弱視の人もいるが、この競技は見える状態を生かしてプレーできる」と魅力を話す。大平英一郎さん(32)は「同じ弱視の人と出会えた。世界大会もあり、チャレンジできる環境がある」と手応えを語った。チームは昨年の日本選手権で2位と実績も重ねている。

作文コン作品募集
ソルアは、視覚障害のある小中学生を対象にした作文コンクールの作品を募集している。新型コロナウイルスの影響で普及活動に影響が出たため、代わりとなる企画を考えた。テーマは「この夏、私が挑戦したこと」。点字か活字で書く。入選者はオンラインで表彰する。10月31日締め切り。詳しくはソルアのホームページ(http://casolua.com/2020/07/26/summer?step?challenge/)または電話(048・982・7177)。

〔都内版〕

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昨日は、事業所でボーリングに行きました。ボーリング場は早い時期からガーターレスといって溝にボルーが落ちない仕組みが子ども用に作られています。ルールが難しければ難しくないようにして万人が楽しめるスポーツにすることがユニバーサルスポーツの観点です。

もう一つは、パラリンピックのように、障害の程度によって公平に試合ができるように対戦メンバーを均質にする方法があります。ルールはそのままなのでそのゲームの醍醐味が楽しめるというわけです。

そうはいっても、昨日のボーリングゲームでは、初めて参加した子が他の子に比べれば成績が振るわず「二度とやらない」とへそを曲げていましたが、練習をしてだんだん上手になっていく自分に自信が持てるようにするにも、スポーツは万人に取り組めるようにする工夫が必要だと思います。

障害者差別解消に証明のデジタル化を

障害者差別解消条例10月施行横藤田教授に聞く

2020年9月23日 10時00分【朝日新聞デジタル】

障害を理由とした差別のないまちに――。そんな理念を掲げ、市の相談体制なども定めた広島市障害者差別解消条例が10月1日、施行される。条例案を検討した協議会で会長を務めた、障害当事者の横藤田誠・広島大大学院教授に条例の意義について尋ねた。(宮崎園子)

障害を理由とした差別を禁じ、できる限りの配慮を国や自治体に義務づけた「障害者差別解消法」の施行から4年。その実効性を高めようと、広島市は今年3月、条例を制定した。

条例を機に、障害者自身の意識が変わることも必要だと思います。というのも生まれてからずっと差別されてきて、差別を特別におかしいと思わない障害者もいる。私は生まれつきの障害者ではないけど、できないことから始まっているから「できない」ことについて周りの健康な人が思うほど大変じゃないんです。

だから、障害者差別を禁止し、障害者の社会参加を権利として認めた米国の法律(ADA法、1990年制定)で「合理的配慮」の考えを知ったとき、びっくりしました。「これって差別なん?おれ、毎日こんな感じじゃん」と。

合理的配慮とは、社会のバリアーを取り除くために何らかの対応が必要と障害者が表明した場合、過度な負担にならない範囲で対応すること。障害者差別解消法は国や自治体に合理的配慮を義務づけたが、事業者に対しては努力目標とした。

私が本屋に行き、好きなミステリー小説が2階にあるとき、階段に物が置いてあって手すりをつかめず、上がれない。こんなとき、「障害者のことを考えていない」と腹が立つわけじゃなく、「ああ上がれんのう」って何も買わずに帰る。でも、商品を持って下りてくれたら絶対に買う。だから、合理的配慮はウィンウィンなんです。今まで客じゃなかった人が客になるわけだから。

差別解消法には、今は大して影響がなくても、長期的には日本の障害者施策を変える大きな意味がある。社会に障害者の平等・差別というものの新しい概念を訴える、それ自体に意味がある。

2016年の法施行を受け、広島市は協議会を設置。相談事例を共有するなどして、市条例案の骨格を議論した。横藤田さんは、協議会の会長を務めた。

初めて協議会に参加したとき、障害者がほぼいないことに驚きました。市は何回も障害者団体と意見交換の機会を持ち、委員の皆さんも障害者の立場を踏まえて議論してくれましたが、今後はもっと当事者の参加する場で行われることを期待します。

相談や紛争処理についてはある程度、専門家や障害当事者が入り、市の対応が問題になった場合でも忖度(そんたく)せずにちゃんとできる体制かどうかが重要。条例施行時にある程度しっかりした体制を用意し、市民や当事者の声を踏まえてよりよく改善されることを望みます。

10月施行の条例は、付則で「社会環境の変化等を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」と定める。

残念ながら世の中から差別はなくならない。でも差別することが恥ずかしい社会にはできる。一定数以上の人が、差別に反対するとか違和感を持つような社会が僕の目標。一歩でも前進したらいいと思います。

車いすユーザーはわかりやすくて世間の人が気づきやすいけど、精神障害者に対して何が合理的配慮か、具体的なことは分かりません。それは本人に聞く必要があります。その辺の違いを無視してはいけません。

障害がある人、ない人、いろんな事情を抱えた人がいる。それが多様性だと少しでも思いを致すきっかけになればと思います。

よこふじた・まこと1956年、福山市生まれ。生後7カ月でポリオ(小児まひ)となり、両足に障害がある。中学まで養護学校(現在の特別支援学校)で学び、県立府中高、広島大を卒業。広島国際大学医療福祉学部教授を経て2006年に広島大へ。広大大学院人間社会科学研究科教授。

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差別を解消してほしいと思うのは、障害者手帳です。顔写真と氏名年齢住所の表記と、ICチップに公共交通割引やら受給者証やらと紐づけてくれたら、様々な手続きで後ろの人を待たせたり長々と時間をかけなくてすみます。

障害があるのにあれこれ書かされて証明させられる時、障害を強く感じさせられ、人とは違うと感じさせらるときだと言う人は少なくありません。この手続きはデジタル社会には必要のないものです。

障害者手帳など廃止して、マイナンバーカードに障害者証明や受給証明、税控除証明などをデジタルで紐づけてくれたら、さっさと手続きは終わります。そして、マイナンバーカードは誰もが所持するカードですから、年齢証明から所得証明まで使えて、障害だけを証明するカードではなくなります。様々なゲートを通る時、障害証明のための渋滞はおこらなくなります。

多様性を認める社会とは人との違いを際立たせることではありません。誰もが公平な社会です。障害があることを証明するために、健常者より待たされて当たり前の社会ではもうないはずです。平井卓也デジタル改革担当大臣!よろしくお願いします。

発達障害に優しい日用品

ノートやTシャツ、発達障害に優しい日用品登場
2020/9/25 10:51【日本経済新聞電子版】

白地を避けて装飾を排したノート、着替えが苦手な子どものためのTシャツなど、発達障害者が使いやすい製品が相次いで登場している。当事者の声から生活の中でのストレス、違和感に注目し、色彩や設計に工夫を凝らしているのが特徴だ。支援団体は「発達障害者に優しい商品が普及すれば暮らしやすい社会になる」と期待を寄せる。(三浦日向)

薄紫色の紙にグレーの網掛けが1行おきに配置され、日付やページ番号を書く欄もない――。紙製品メーカーの大栗紙工(大阪市生野区)が開発したノート「mahora(まほら)」は通常と異なる変わった色合いや装いが特徴だ。

「発達障害者は普通のノートを使いづらく感じている」。大栗康英社長が取締役を務める妻から聞いた一言が開発のきっかけだった。同社は大手文具メーカーの大学ノートを製造。使い勝手について発達障害者100人から意見を聞いたところ、「ノートの白色がまぶしい」「日付やページの数字などの装飾は気が散る」といった違和感が次々と寄せられた。

紙の色合いや線の配置、行の幅を1ミリ単位で調整するなどし、今年2月にインターネットを通じてノートの販売を開始。3千冊が売り切れ、増産分の8千冊も既に半分が売れた。8月から全国の雑貨店や文具店でも展開している。大栗社長は「ノートを使いづらいと思っている当事者の方の悩みが予想以上に大きかった。驚いた」と話す。

発達障害のある家族との生活をヒントに商品を開発したケースもある。

和歌山市の前田香さん(36)は発達障害の長男(10)が着替えに苦労する様子を目の当たりにしてきた。場所の把握がうまくいかず袖から頭を通してしまうなど一人で着替えることが難しく、これらの問題を解決する発達障害の子ども向けの衣服の開発に乗り出した。

前田さんが工夫したのは「どう着ても正解になる」設計だ。ロゴを表裏で同一にし、タグを付けず縫い目を目立たなくして表裏と前後に関係なく着ることのできる「オールフロントT」を開発。裾に手のひら型のプリントを施し、着るときにつかんで利用してもらう「タッチdeきるんT」も作製した。

クラウドファンディングで資金を集めて4月からサイト「fukufuku312」で販売する。「一人で着脱できるようになってありがたい」といった声が寄せられたといい、前田さんは「発達障害者だけでなく認知症や視覚障害の方にも役立つのでは」とみる。

相次ぐ商品開発の背景には、発達障害の認知度が高まってきたことがある。日本では1980年代ごろから医療と教育の分野で発達障害の研究が本格的に進んだ。2005年4月に発達障害者支援法が施行し、発達障害のある子どもへの支援を制度化した。近年は発達障害を抱える大人の存在も知られるようになり、当事者であることを公表する著名人が出ている。

発達障害の当事者で「mahora」の開発に協力した支援団体代表の元村祐子さん(50)は「発達障害者が使いやすい商品はすべての人にとって使いやすい。日常生活の違和感を解消する商品が普及すれば様々な立場の人が暮らしやすい社会になる」と強調する。

■診断は48万人、特性の個人差大きく
厚生労働省によると、発達障害者は脳の一部機能の障害により、行動や言語表現、社会的関係を築く上で困難を抱える。
自閉症やアスペルガー症候群などの自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習症(学習障害、SLD)などがある。聴覚などの感覚が敏感、集中力の低下、こだわりが強い、読み書き計算が難しいなど、特性は多様で個人差も大きい。
2018年に厚労省が公表した調査によると、医師から発達障害と診断された人は推計で約48万1千人。12年の文部科学省の調査では、公立小中学校の通常学級でも6.5%の児童や生徒に発達障害の可能性があるとの推計がある。
京都教育大の小谷裕実教授(特別支援教育)は発達障害のある子どもの学習について「一人ひとりで得意不得意が異なり、必要な支援も多岐にわたる」と指摘。「当事者自身が不得意なことや必要な手助けを周囲に発信できるようにし、学習面の選択肢を増やしていくことが望ましい」と話している。

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ノート地の色と読み書きについての科学的な関連性は知りませんが、米国での読字障害と網膜細胞の研究があります。透明な青いカラーシートを紙面に被せると80%、読字能力が上がることが報告されています。原因は解明されていませんが、光の中の赤の光がマグナ細胞に拡散することが細胞の処理速度を落としており、青のフィルターが赤の光を取り除くことで、マグナ細胞を正常に機能させるのではと推定されているそうです。

表裏と前後に関係なく着ることのできる「オールフロントT」は、コロンブスの卵的発想で驚きました。ユニバーサルデザインもここまで行けばすごいです。まずは自分だけの力で着衣できれば自尊感情は100倍高まります。「また反対着ている。また裏側着てる」と着るたびにやり直しをしている子どもには朗報です。

着脱時につかむ場所をわかりやすく工夫した「タッチdeきるんT」をもつ前田香さん