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みんなちがってみんないい

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このページは、福祉・医療・教育の分野でトレンドになっているトピックを取り上げて、スタッフの私見も含めて紹介していきます。引用先を掲載するので読者の皆さんの参考にしてください。

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保育所等訪問支援事業

すてっぷでは保育所等訪問支援事業を実施しています。

障害児が障害児以外の児童との集団生活に適応することができるよう障害児の身体及び精神の状況並びにその置かれている環境に応じて適切かつ効果的な支援を行うものです。支援には当事業所のスタッフ(訪問支援員)が当たります。

すてっぷの利用者の方でも外部の方でも利用できます。保育所等とありますが、児童の利用するところなら、保育所・幼稚園・小学校、特別支援教室、放課後教室等で実施できます。詳しくはスタッフまで。 

AI医療

【2月12日 AFP】検査結果やカルテ、手書きの診断書などを学習して、子どもの病気を医師と変わらない精度で診断できる人工知能(AI)プログラムの開発に成功したと、中国や米国の研究者らのチームが発表した。医師のような仕方で患者を診断するAIは世界初としている。論文が11日、医学誌「ネイチャー・メディシン(Nature Medicine)」に掲載された。

 AIはデータ量勝負です。医療情報を多く取り込めば取り込むほど診断確度が上がリます。そのうち、病院の代わりにスマホで病気診断してもらう日が来るのでしょうか?残るは対人交渉の暖かさと対人摩擦ですが・・・あなたはどちらを選びますか。

すてっぷは何処?

注文していた机を運送屋さんが運んできました。近所の人にホップすてーしょん知ってますか?と聞いたけど誰も知らないので探すの苦労したとのこと。備品の発注はNPOの名前「ホップすてーしょん」を使うので迷ったみたいです。育ちの広場すてっぷは、NPOホップすてーしょんが展開する事業所の一つです。まだ事業所は、「すてっぷ」だけですが、地域の期待に応えて事業拠点を増やした行けたらいいなと考えています。

 

ダンボール廃棄

みんなの教材用にとダンボール箱をストックしていましたが、教材室に溢れかえっていたので倉庫を購入しました。倉庫にも入らないダンボール箱は廃棄しようと近くのエコゲートという回収業者の回収ステーションに持って行きました。回収用のコンテナはすでに溢れかえっており、コンテナ周りにダンボール箱が所狭しと放置されて、これを片付ける業者さんは大変だなぁと思いました。人手不足の中ここに人を雇い入れることははできないようですが、障害者雇用のチャンスも感じました。箱は規格品ですからいくつかの大きさのトレイを準備すれば構造化した仕事になるかもしれません。回収ステーションを回る「モービルクルー」(車で巡回するスタッフ)の仕事が開発できるなと思うのですが、どこかの会社でこのアイデア使ってくれないでしょうか。

コミュニケーションスキルとPECS

PECS(Picture Exchange Communication System)は代替・拡大コミュニケーションシステムで、1985年にアンディ・ボンディ(Ph.D.)とロリ・フロスト(MS. CCC-SLP)によってアメリカで考案され、最初にデラウェア自閉症プログラムの自閉症の未就学の児童に実践されたことから始まりました。それ以降、PECSは世界中、年齢関係なく、様々な障がいを持つ(認知、身体、そしてコミュニケーション)沢山の学習者に実践されてきました。

人は自ら伝えることで社会との調和を図っていきます。他者が言っていることが分かるだけでは人は社会や環境の奴隷です。自ら表現をし、折り合いをつけることで他者と対等の参加となるのです。

 

絵カード交換コミュニケーションシステムの導入とトレーニングをお望みの方はスタッフまでご連絡ください。

https://eikaiwa.weblio.jp/mirai-junior/column/developmental-disorders/pecs/

https://pecs-japan.com/絵カード交換式コミュニケーションシステム/

アマゾンでPECSのスタータキットを売っていました

 

 

 

インクルージョン??エクスクルージョン??

インクルージョンとは、 ラテン語の語源によれば、 中に招き入れて入口を閉めるという意味があります。 包摂と翻訳されることもあるようです。 エクスクルージョンは、 戸を閉ざして建物の外に締め出す、 排除するという意味です。

ダイバーシティー社会は異質な人々が共存する社会の姿であり、これをさらに進めて皆が貢献参加するのがインクルージョンな社会だと言います。

どんなことでも分け始めるとキリがありません。合理的で効率的だと思っていてもいつの間にか排他的になってそれが日常に変わってしまうこともあります。

うまくいかないから、合理的でないからと環境の工夫や支援の方法を顧みず、場所を分けてしまおうとするエクスクルージョン志向に陥るのではなく、昨日より少しでもうまくいくように、コツコツ工夫していく地道なスタイルこそインクルージョンを進める王道なのかもしれません。

連休と好きなこと

子どもにとって、学校はしんどいことも多い場所でもあります。じっと先生のお話を聞いたり、一時間机に向かって勉強したり。家に帰れば苦手な宿題をしたり。

新学年からひと月。子どもたちは新しい環境に慣れようと頑張っています。この連休は学校で疲れた子どもたちがほっとリラックスしたり、自分の好きなことに向き合えるようになったらいいですね。

子どもたが好きなことをすれば、気持ちが上向きます。パワーアップのチャンスです。

子どもの好きなことは得意につながります。子どもを育てていると、得意なことと苦手なことの差に驚かれる親御さんも多いと思います。

得意なことはどんどん伸ばしたい!他に得意なものはないだろうか?1つでも多くの「得意」を身につけさせてあげたいです。

「好きこそものの上手なれ」という言葉の通り、好きなものは得意なものになっていきます。好きだからこそ繰り返し、繰り返すからこそ習得が早いのです。

1つの好きなものを起点に、好きなものがどんどん増えていくこともあります。大好きな電車を起点に、好きなものがどんどん広がっていく方もあります。

電車が好きだから、車体の名前を覚える。鉄道会社を覚える。路線図を覚える。プラレールで線路を作ってみる。線路を立体化してみる。

電車は乗り物だから、他の乗り物も気になる。飛行機を覚える、船も覚える。船は海を走るから海も好き。だから海水浴も大好き!

好きな遊びをとことんできる環境を作れば、子どもは自分からどんどん興味を広げていきます。ぜひ、ゴールデンウィークは子どもが好きそうななことをどんどん提供して、1つでも多く興味を広げてあげましょう。もちろん親御さんに無理のない程度にです…。

 

鉄道ファンと子育て

 親たちから絶賛され、オンリーワンの強さを誇る雑誌『鉄おも!』(ネコ・パブリッシング)をご存知でしょうか。名前の通り「鉄道」に特化した5万部を誇る児童向け月刊誌です。

親にはイベントや商品情報、「新型列車が出た」とか子どもに伝えて喜んでもらえる情報に人気があります。実際、大抵の鉄道関連企業のホームページは情報量がとても多いので、あまりネットにふれない方には大人でもわかりにくい面があります。本にまとめた旬の鉄道情報が人気の秘密のようです。

インドア派の親や子どもにも、好きなことなら行ってみようかということになります。先日も書きましたが好きなことから世界が広がり興味を広げ知識を広げる契機となります。一度読んでみてください。もちろん鉄オタのお父さんは、とっくに把握済みの情報でしょうけど。

平成から令和へ

平成最後の日がやってきました。テレビでは「平成を振り返って」特集をあちこちでやっています。
昭和生まれにとっては、平成よりも昭和の方に懐かしさを感じてしまいます。平成は30年、昭和は60年余と2倍の長さがあり、敗戦から高度経済成長そしてバブルと、実にドラマのような展開でした。

平成はというとバブルがはじけ「失われた20年」という言葉が日本の衰退と没落の代表語のようにも使われます。けれども、私はそうは思いません。平成は、驚くべき勢いで日本の福祉が進んだ時代であったと思います。共同作業所という成人障害者の進路先ですら親がお金を出し合って細々と経営していた昭和。放課後等デイサービスは、学童保育所ですら全国にいきわたらなかった昭和では思いも及ばない公的サービスの実現でした。
文明は進化する。考えてみれば人口減少だ、少子高齢化だ、デフレだ、財政破綻だといっても、平成の日本の労働者1人あたりのGDPは2000年から15年間で約20%も伸びているのです。経済を支える舞台裏で日本人が頑張り続けた結果です。もちろんブラック企業が大きな顔をしたりする時もありましたが人手不足の今では影を潜めています。福祉が目に見えて進んだ平成時代が終わりをつげ、明日から始まる令和がどんな時代になっていくのかは誰にも分かりません。わかっているのは、時代を作っていくのはその時代を生きていく人たちだということです。昭和や平成を生きた人々と同じように。

令和元年

テレビのどこのチャンネルも令和元年の報道ばかりです。そもそも天皇一代で元号一つは明治からの話です。むかしは案外簡単な理由で元号が変わっていたそうです。明和は、1764年から1772年までの8年間施行されました。この時代の天皇は後桜町天皇、後桃園天皇。江戸幕府将軍は徳川家治でした。何故明和9年がなかったのか?「めいわく年」は良くないという理由で8年で終わり 安永(1772-1781)に続いたというのです。案外簡単な理由で変えているのです。日本古来の元号は面倒ですが世界に一つのオンリーワン、と思えば誇らしくもあります。

高文脈型コミュニケーションと低文脈型コミュニケーション

日本人と米国人のミックスの子どもで使う主言語がどちらかによって、行動や心理発達まで変わってくるといいます。

『すてっぷを見に行くね。』と言うと、日本人だったら言ってる本人が行くのだろうとすぐ想像がつきます。しかし、英語を母国語に持つ人は、『誰が行くの?』と聞き返してきます。食後『テーブルを片付けといて。』と頼むと、『テーブルは重くて動かせない。』と返事されます。端折った日本語表現も悪いのですが、テーブルは誰でも重くて動かせませんし、その上にあるものだと分かるはずです。また、『そこ、拭いといて。』と言うと、『そこじゃ分らん。』と返事が返ってきますし、『テーブルだ。』と返事をすると、近くにあったティッシュで拭き始めました。『テーブルは台布巾で拭くものだ。』と話すと、『言わないと貴方が考えていることは分らない。』と反論されます。英語圏人には、とにかくいちいち説明する必要があるのです。
コミュニケーションには、"HC" High Context Communication(高文脈型コミュニケーション)と"LC" Low Context Communication(低文脈型コミュニケーション)があり、日本語は高文脈型に属します。

高文脈型は、集団主義的な考えを持つ文化で生まれ、非言語のコミュニケーションが多いことが特徴です。人間関係が密接で情報が共有されるため、言葉以外の文脈や状況までコミュニケーションの前提としています。また、全体との協調や調和を大事にするため、主体的でない間接表現が多く、遠まわしで曖昧な言い回しが多いのです。
英語は低文脈型に属します。低文脈型は個人主義的な考えを持つ文化から生まれており、個性を重視した主体的なコミュニケーションに価値をおく言語です。よって、伝達される情報は言葉の中にすべて入っており、逆に語られない言葉にはメッセージが存在しない事になります。

自分の考えを言葉にはっきり出すため、分りきった内容でもいちいち言葉として表現する必要があり日本人にはストレスに感じる部分も多くあります。英語はお互いの意思を一つ一つ言葉で確認し合う低文脈型の文化圏で発達した言語であることを意識する必要があります。

このように文化が先か言語が先かは今となっては卵と鶏で、どちらが先と言えないですが、言語スタイルと思考パターンやコミュニケーションパターンはセットとなるということです。だったらバイリンガルの人はどうなるんでしょう?どちらかの言葉を主で考えているという答えが多いようです。

文脈のとらえ方が使用言語によって違うというのは、子どもたちとのコミュニケ―ションでも考えさせられることです。子どもは低文脈型ですからいちいち言語(シンボルやサイン含む)にする必要がありますし、いちいち表出させないとそれで伝わったと勘違いして育つ可能性もあります。

 

子どもの疲労回復力

小学生ぐらいの子どもの日常を知っている人にはさほど驚きのない研究結果がフランスから報告されました。

小学校高学年の子どもにはプロのトライアスロン選手ぐらいの体力があり、しかも肉体疲労からの回復力がハンパなく早いことが科学的に実証されたそうです。

「ママになって体力が落ちた」
「パパも、もう歳かな……。」

なんて今まで思っていたのは間違いで、そもそも子どもと体力を比較しても一般の大人が勝てるわけがなかったのです。

小学生と20歳過ぎの成人男性とプロのアスリートに、同じ量の激しい運動をしてもらい、体に残った疲労感(乳酸の分泌によって引き起こされる)がどのぐらい早く回復するかを心拍数、酸素摂取量と、血中の乳酸の濃度を量って調べたそうです。

すると子どもたちとプロアスリートたちはほぼ同格の数値だったのに対し、一般の成人男性は、疲労からの回復が遅いという結果が出たのです。それどころか、子どもたちのほうがプロのアスリートたちよりも疲労からの回復が早かったそうです。

「なぜ子どもたちは一日中遊んで、遊んで、大人たちが疲れてダウンしてしまった後にもひたすら遊び通せるのか、ようやく解明されたかもしれません」との報告でした。どおりで親が子どもより先に寝落ちするわけです…。

福祉用具の選定・適用のできる事業所

質の高い福祉用具を効果的に使うことで、自力での生活行動の範囲を広げることが可能になりますが、福祉・介護従事者の中には、その十分な知識とスキルが不足するために、福祉用具による介護を人の温かみがないと否定したり、機器の操作を覚えることを苦手とする人が多く、介護現場でなかなか福祉用具が活用されていないのが現状です。

自立とは、何でも自分でできることを意味する訳ではありません。何らかの障害があっても、何をしたいか、どうしたいか、自分が主体的に望むことの選択ができることです。そのために、他人の助けや協力を得ることがあっても、また福祉用具を使用することであったとしても、主体的に選択し行動できることが自立を意味するのです。福祉用具はそうした自立生活を確保するためにきわめて重要なものです。

たとえどんな障害があっても、主体的に生きることができる環境を用意し、それぞれが希望するスタイルを実現することが大切だという理念をもち、福祉用具の選定・適用のできる専門職がいるすてっぷでありたいものだと思っています。ただし、資本力がものを言いますが・・・。

 

児童福祉司と虐待対策

子どもの虐待を防ぐため、児童相談所で相談、調査、指導をする「児童福祉司」を、2019年度から2022年度までの4年間で「約2000人増員」することになりました。度重なる子どもの暴行死亡事件を受けての緊急対策です。

児童相談所の業務は、「養護相談」「保健相談」「心身障害相談」「非行相談」「育成相談」など、多岐にわたっています。児童福祉司」を増員することは、いいことだと思いますが、「虐待対応」には、高度な専門性と知識・技術が必要で、そのスキルを得るためには、最低5年から10年かかると言われています。

ところで「児童福祉司」になるには、自治体の公務員試験を受けて採用され、所定の資格を持つ人が「児童相談所」に配置されて1年で任用資格が出来ます。だから、異動等で配置された職員が、よくわからないまま対応に当たることも少なくないと思います。

この状況を打開するには「児童福祉司」を専門職にし特別に育成していくことが急務です。また、「児童福祉」に関係する機関との密な連携をすることで、関係機関とも協力でき、「虐待」だけでなく、総合的に対応ができるシステムが構築できると思います。

「虐待」に関しては、「早期発見・早期対策」「児童の保護」が必要ですが、目に見える体罰など物理的な虐待のすそ野にはその何千倍ものネグレクトや心理的虐待が存在します。見えない虐待は氷山モデルで見ていきます。「育児スキルの低下」や「子どもへの愛着欠如」の本質は世代間で繰り返される「貧困」と「被虐待」が少なくありません。

表面化された虐待への保護は欠かすことはできませんが、この水面下の問題に取り組むには、今回の増員では少なすぎます。今できることは、業種を超えたチーム支援ですが、このチーム支援も曲者で、指揮権や責任が曖昧なので「船頭多くして舟山のぼる」様子が散見されます。児童福祉司の専門職化に加えチーム指揮権の付与が求められていると思います。

ワーキングメモリー

ワーキングメモリーは、情報を脳内で一時的に保持する能力・また保持した情報を選択して処理する能力のことです。
ワーキングメモリーは、日常生活における会話や読み書き・計算・仕事・勉強などを行っていくにあたって欠くことのできない能力です。私たちは、無意識のうちにワーキングメモリーを働かせています。

会話能力
人と話をしている時に、話しかけられた内容を脳内に記憶して、的確な返事をすることにワーキングメモリーは関わってきます。会話能力に長けている人は、人から言われた話やその場の雰囲気を瞬時に判断して、その場に適した言葉を選択することができています。これは、ワーキングメモリーが効果的に働いているからです。

物事の優先順位選択力
同じタイミングでいくつかのことをこなさなければいけない時、ワーキングメモリーが上手く働かないと、何を先にすれば良いのか分からなくなり、パニック状態に陥ってしまいます。仕事をするようになると、優先順位付けというのがとても大切で、これができないと職場や家庭生活で様々なトラブルを起こします。

スポーツでの判断力
ワーキングメモリーの、短期的な記憶と情報の選択という機能は、スポーツとも深く関わってきます。特に、チームスポーツのように、プレーの中にいくつかの選択肢があるような場面で、的確な判断をできる人は、ワーキングメモリーが強い人と言えます。子供が行うドッチボールなど単純なスポーツにおいても、「どこに投げればいいか」・「どっちに逃げればいいか」などの判断には、ワーキングメモリーが働いています。


発達障害のある人には、ワーキングメモリーが上手く働いていない人が多いようです。発達障害のある子供たちが日常生活において感じている様々な困難は、ワーキングメモリーの働きと関係していることもあります。

ただ、ワーキングメモリーが上手く働かないということは、言葉で上手く説明することが難しいので、子供も周囲に自分の状況を上手く説明できずに辛い思いもしています。
親や周囲も子供の置かれている状況を上手く想像するのは、難しく、つい叱ってしまうという場合もあります。

ワーキングメモリーを鍛える方法は様々ですが、まずはワーキングメモリーが弱くても、メモを取る、IT機器を使うなど弱さを補完する方法を当事者と一緒に開発することが支援の第一歩です。

iPecs

iPecs(あいぺくす)とは、従来のPECS®コミュニケーションブックからハイテク拡大代替コミュニケーション(AAC)へと進化したiPadのアプリを駆使するコミュニケーションスタイルを意味します。絵カード交換式コミュニケーション®(略してPECS®)のフェーズIからIVまで従来のPECS®のコミュニケーションブックを使用して熟達している方にはPECS®IV+(ぺくすふぉーぷらす)を使うことで、もっと幅広く自由に自発のコミュニケーションの可能性が広がります。

PECS®IV+はどの様な環境でも使用できるようにデザインされており、PECS®IV +の利用者の方々はアプリ内の音声出力装置で話すのに述語カード専用のページを含む、最大20ページものPECSブックのページから何個もの絵カードを使用し文カードを作成できます。
絵カードライブラリで利用可能な言語は、英語、スペイン語、日本語、フランス語、ドイツ語、ギリシャ語と6か国語使用ですから旅行でも使えますよ。ただしiOS(iPad)用のアプリだけです。

自発のコミュニケーションに革命がおこります!!

詳しくはスタッフまでお問い合わせください。

https://pecs-japan.com/アプリ/

放課後等デイサービス支援とバランス感覚

放課後等デイサービスで一番大事なことは、学校と放課後等デイサービスのコンセプトを混同をしないことが重要です。学校は勉強するところ、放課後等デイサービスは余暇を過ごすところです。ただ以下の3点が放課後等デイサービスのミッションなので支援者の勘違いもおこります。

★ひとりひとりに合わせた療育を提供
放課後等デイサービスの特徴の1つは「ひとりひとりに合わせた療育」を提供することです。保護者との面談をとおして個別支援計画を作成し、お子さんの発達段階や特性に応じて課題を設定します。
これは学童保育にはない特徴ですが、学校では同じことが掲げられていますので学校教育と混同されやすいですし区別もつきにくいところです。ただ、この分野では応用行動分析に基づく支援等は多くの学校ではまだまだ導入されていない場合があるので、福祉分野が先導してもいいものはあると思います。

★小集団の中で社会性を身につける
特徴の2つ目は「小さな集団」であることです。学童保育の定員が40~70人なのに対して、放課後等デイサービスの定員は10人ほどの小さな集団です。小さな集団のメリットは、スタッフの目がとどく中で自由にすごせることです。ひとり遊びなら家でもできますが、他のお子さんと一緒にすごすので「自分の思いどおりにならないこと」もおきます。集団の中で人を傷つけず、自分も傷つかない距離でお友達と関われるようにスタッフが支援していきます。しかし、これも学校の中でも日常的に行われている指導でしょう。では、学校とどう違うのか、ほっこりする場であるという前提をスタッフが心得ていることが大事です。

★家族のサポーターとしての役割
放課後等デイサービスの3つ目の特徴は、家族のサポーターとして「レスパイト(respite)」の役割を担っていることです。レスパイトとは、「休息」「息抜き」「小休止」という意味です。福祉サービスなどを利用している間に、介護をしている家族などが一時的に介護から解放され、休息をとれるようにする支援のことです。放課後等デイサービスを利用して、ご家族が自分のための時間を過ごしたり、家事やきょうだいの育児ができます。お母さんが息抜きできることは、お子さんにとっても良い効果があります。

このようにして、三つ目のサポーター以外の役割は学校と区別がつきにくいですが、子ども目線では「ほっこりする余暇の場」であることが重要です。社会性を育てるために支援することは大事ですが、一方でゆったり見守るというバランス感覚がスタッフに最も求められるところです。

 

マインクラフト

放課後等デイサービスで不動の地位を得ているマインクラフト。子どもたちはみんなマインクラフトで新しい世界を作ることに夢中になります。これをプログラミング教育の一環として売りにしている事業所も出てきました。

マインクラフト(minecraft)とは、3Dのレゴ風のブロックで構成された世界で、最近のゲームのリアルなグラフィックと比較すると、レトロな雰囲気ですが、ブロックでできた世界を自由に探検したり、採掘して、自由な世界を組み立てることができます。  

「視覚的なフォーマットの情報と構造や、ある程度の予測可能性を与えてくれる」ことが、子どもを混乱させずに、課題に取り組みやすくしてくれるのです。

 マインクラフトが提供する環境で、子どもたちは、コミュニケーションを学んだり、明確なゲームのルールのなかで遊ぶといったような社会的な相互作用を促すことができます。

マルチプレイヤーモードで子どもたちがいっしょに遊ぶときには、お互いに会話して、アイデアや計画をシェアする方法を学びますす。マインクラフトで学んだことを、実際の生活でも応用することができるようになれるかもしれません。

他のゲームのようにストーリーにそって何かしなきゃいけないのではなくて、好きなものを好きなように作ることができるというのも、マインクラフトの魅力です。

何を創造してもいいという自由度があるというのも、マインクラフトが好まれる理由です。自閉症スペクトラムの人で、あまり一般的ではないことに熱中して詳しくなることがありますが、マインクラフトはそうした好奇心を満たしてくれるゲームでもあります。

マインクラフトは「サンドボックス型のゲーム」というジャンルに分類されていますが、箱庭療法(サンドプレイセラピー)に似たところがあると思います。

 

 

才能開発


発達障害の症状は、一つのことに異常にこだわることや、普通なら気が付かないことに気が付く特徴があります。

これを長所とし、才能にまで開花させて、天才と呼ばれるようになった発達障害の人は大勢います。

むしろ、世界中で天才と呼ばれている人の多くは、発達障害であったのではないかとされています。

★アインシュタイン

天才といえばアインシュタインですが、アインシュタインはアスペルガーとLD=学習障害だったといわれています。

 ・5歳までほとんど話すことができなかった
・読み書きが苦手で、時間がかかった
・数字と自然科学には興味があり集中した
・興味がないことには集中できなかった
・仕事が長続きせず転々としていた
・コミュニケーションをとるのが苦手だった
・部屋がいつも散らかっていた。整理整頓が苦手だった
・汚い布で顔を拭いたり、服の汚れを気にしない無頓着さがあった
・簡単な数字すら覚えるのがたいへんだった

アインシュタインはLD=学習障害もあったため、子どものころは勉強ができずに苦労していたようです。大学に入学するのも、行きたかった大学にはおちて、なんとか滑り止めの大学に受かっているほどです。

そんなアインシュタインには、よき理解者の父親がいて、父親がアインシュタインの個性を認めのばしていたそうです。

LDは、知的障害はなくIQが高い場合が多いのです。このような凹凸ある才能が、天才を生み出します。

★野田あすか

人気マンガでドラマにもなった「のだめカンタービレ」のモデルではないかと噂をされる(年齢から考えると違うと思われますが)、天才ピアニストの野田あすかさん。野田さんは、自閉スペクトラム症、解離性障害であることをカミングアウトしています。 

子どものころから発達障害の症状のせいでいじめをうけて、そのせいで何度も転校することになります。そんないじめを受けるなか、夢中でとりくんでいたのがピアノ。でも、大学にもなじめず大学を中退してしまいます。そして22歳の時「広汎性発達障害」と診断されました。

それでもピアノへの想いは捨てきれず、宮崎学園短期大学に入学し、ピアノ講師の田中幸子さんとであったことで、野田あすかの才能は開花し、数々の賞を得ました。

発達障害の「興味があることには過集中する」「強いこだわりをもつ」という症状は天才の王道でもあります。

 ★黒柳徹子

「徹子の部屋」でおなじみの黒柳徹子さん。どんなゲストがきても徹子流に見事にさばいてその人となりを表現していく天才トーク。

芸能界という移り変わりが激しい世界で、トークの力だけで長年テレビに出続ける。天才パーソナリティと言われる所以です。

 黒柳さんも自らの著書「小さい時から考えてきたこと」で、自分が「読書障害」「計算障害」であり、発達障害ではないだろうかと語っています。 

 レオナルド・ダ・ビンチ エジソン ガリレオ ベンジャミン・フランクリン ウィンストン・チャーチル ネルソン・ロックフェラー ヘミングウェイ アンデルセン アガサ・クリスティー ロダン スティーブン・スピルバーグ ウォールト・ディズニー ビル・ゲイツ スティーブ・ジョブズ 天才の多くはこだわり続ける変人=偉人として紹介されます。

しかし、発達障害の少なくない人たちは学校で勉強につまずき、友達を作るときのコミュニケーションにつまずき、就労でも躓いている方が少なくはありません。 周囲が良かれと思って普通を求めれば求めるほどそのつまずきは必然となっているようにも見えます。

とびぬけたこだわりを発見したのなら、その時代の「普通」とされるレールを走る必要はないという身近な誰かの気づきが重要です。こだわりを追求できる環境があってこそ、こだわりは長所となり才能は開発されます。つまり、才能の開花は、その才能のつぼみを見つけ水をやり肥料を与え、太陽の光をあてるファン=サポーターが必要なのだと思います。

 

熱中症

いつでもどこでもだれでも条件次第で熱中症にかかる危険性がありますが、熱中症は正しい予防方法を知り、普段から気をつけることで防ぐことができます。基本は無理をしないこと。急激な温度上昇。急激な運動。あとは「この程度は大丈夫」という過信の禁物です。水分補給だけでは予防にはならないという知識も必要です。

5月から7月にかけての気温は、広い範囲で平年並の見込み。5月は、晴れると気温の高くなる日があり、6月以降は、湿度が高く蒸し暑い日がある。

と気象庁…。なのに、まだ5月なのに今日は警戒レベルです。

熱中症指数とは、温度と湿度の関係で度数を出します。気温が30度でも高地など湿度の低いところでは汗が乾いていくので暑さを強く感じませんが、気温28度でも京都のような湿度の高い盆地では汗が乾かず暑くてしかありません。この温度と乾燥の関係を度数化したものが暑さ指数(WBGT=湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)です。

英文を読んでわかった方もいると思いますが、湿った布を巻いた温度計と球のまんま(実際は黒球)の温度計のことです。球が湿った温度計は周囲の湿度が低ければ気化熱で温度が下がります。黒球は太陽の光が強ければ温度が上がります。この二つと通常の温度との関係を度数で表したのが暑さ指数です。

暑さ指数をみて上手に熱中症を予防したいものです。

右のページに向日市の暑さ指数を新たにリンクしました。ご覧ください。

ニュース

今週末にはすてっぷ通信5月号が配布されます。昨年は2回の発行でしたが、今年は毎月発行にしようと頑張っています。ニュースというのは文字通り新しい情報です。古くなっては意味がありません。

ということで、今年は情報量は少なくても毎月発行して、利用者の保護者の方に取り組みや私たちが考えていることを発信しようと通信だけでなくブログも精力的に発信していきます。

すてっぷ通信は、webにアクセスしてもらうきっかけとして読んでもらえればということです。またwebにアクセスする環境にない方にも1か月に一度くらいは様子を知ってもらうためです。

すてっぷ通信もこのブログもどうぞごひいきにお願いします。

eスポーツ

「eスポーツ」とは「エレクトロニック・スポーツ(electronic sports)」の略称で、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使ったスポーツ競技のことを指します。 つまり、複数のプレイヤーで対戦するゲームをスポーツと認め「eスポーツ」と呼びます。

アメリカではすでに、国が「eスポーツ」を「スポーツ」として認めており、「プロゲーマー」が「スポーツ選手」であることを認めています。また、韓国や中国でも「eスポーツ」が非常に発展していて、市場規模も日本とは桁違いのようです。
日本はアーケードゲームでは世界に名を轟かしているのに、「eスポーツ」では後進国と呼ばれていて、「eスポーツ」という単語すら広がっていません。
「eスポーツ」が盛んな国ではプロゲーマーがサインを求められるほどその地位は確立されています。日本では、もう少し時間がかかるようですが、「eスポーツ」には他のスポーツよりインクルージョン社会を推進する可能性があるのではないかと思います。

eスポーツは他のスポーツに比べ、年齢や性別、障害の有無など気にしなくて済む可能性があると思うのです。コントローラーを工夫すれば重度の運動障害のある方でも参加の可能性が開けるし、対人関係の障害でもディスプレーの向こう側の対戦相手なら試合ができます。そんなわけで、学校の部活動・サークル活動への支援や、障害者の社会参加などに取り組む企業も出てきました。
高校生のeスポーツ大会では、知的障害を持つ生徒と健常者の混成チームが参加しました。2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、障害者も参加できる大会など、機運がさらに高まっています。

「たかがゲーム」と考えてしまうのは、もったいない話です。今NHKで「韋駄天」というオリンピックドラマが放送されていますが、陸上競技ですらかつての日本では「たかがかけっこ」とされていたのを、嘉納治五郎をはじめとする人達が何十年も取り組んで昭和の東京オリンピック開催にこぎつけたのです。「eスポーツ」もきっと同じ道をたどるでしょう。ゲーム好きが世界を極める時代がすぐそこまで来ています。

ペアレントトレーニング

ペアレントトレーニングとは、知的障害や自閉症などの子どもをもつ保護者を対象に、アメリカで開発されたプログラムです。
はじめは、「親は子どもの最良の治療者である」という考えのもとに、支援機関で取り組んでいる子どもへの療育を家庭でもおこなうことで、療育の効果を上げたり、維持させたりすることが目的でした。

ペアレントトレーニングは現在、発達障害を持つ子どもの親を対象とした、子どもの行動を変えるテクニックを身につけるためのトレーニングとして普及しています。
ペアレントトレーニングでは、子どもの好ましい行動を増やし、好ましくない行動を減らすためのテクニックを、親が修得します。そして、子どもの困った行動や親子関係のこじれた状況に対して、まず親が関わりを変えることで子どもの変化を促し、子どもが変わることで親がさらに変わるという好循環を生み出すことを目指します。
また、トレーニングを続ける中で、親が抱えていた悩みや不安を軽減させることも、ペアレントトレーニングの重要な効果です。
ストレスで余裕をなくすと、子どもの行動を冷静に受け止められず、つい頭ごなしに叱りつけるといった不適切な関わりをしてしまうことがあります。
そして、親の不適切な関わりが続くと、子どもは「親に受け入れられていない。」などと落ち込んだり、反発して問題行動に拍車がかかったりし、親はさらに不適切な関わりを繰り返すという悪循環に陥ってしまいます。
ペアレントトレーニングは、親の関わり方を変えることで子どもの行動を変え、子育てへの悩みや不安も軽減させようというトレーニングです。

トレーニングを続けることで、親子の関係性の悪循環を解消し、より良い関係性を築いていくこともできるということで、京都府では現在保健所を中心にペアトレの講座が紹介されています。講座は短いもので5回長いもので8回程度ありますが、1か月ほど間をあけてトレーナーと2~3人の保護者のチームを形成して約半年間続けていきます。

ペアトレを受けたいとお考えの方はスタッフまでご連絡いただければご紹介できると思います。

忘れ物

「○○さーん、帰るけど忘れ物ないですかー?」「ハーイ完ぺきでーす。」5分後に帰宅の車中に連絡。「○○さーん、二階に筆箱と連絡帳忘れてますから帰ってきてくださーい」「あっちゃー( ;∀;)」

忘れ物。私も子どものころからしょっちゅう忘れます。人生のかなり多くの時間忘れ物に振り回されています。以前ワーキングメモリーの話題を掲載しましたが、相当前に経験したエピソードなんかはひとつ残らず覚えているのに、わずか1分前の記憶の保持が難しいのです。二つ以上のことを同時にやっているとものの見事に一つ以上忘れます。これは記憶する脳の場所が違うそうです。

ワーキングメモリーは長くは保持されないのですが、作業台のようなものでこっちの材料とあっちの材料をちょっとだけ置いておいて、もう一つの材料と一緒に加工するための仮置きのような感じです。ところがワーキングメモリーが弱い人はこの作業台が小さく、置いておいても狭いので机の下に落ちてしまう感じです。

無理やりこの作業台を広げようとしたり、狭いところに無理に高く積んで置いておくのは可能ですが、大変不安定ですし、その分パワーを使うので結局ほかに使うべきエネルギーがなくなって、早く疲れてしまうのです。解決策はひとつづつこなす癖をつけること、記憶を脳の外に保存する、すなわち目で見えるように視覚化することです。視覚支援とは実はワーキングメモリーの弱い人への支援の一つなのです。

「注意しようね」だけでは解決しないのです。あら?また車の中に取りに行った連絡帳を忘れていますよ。

 

読み書き障害


「読み書き障害=全く読み書きができない」ではなく、「読み書きを正確かつ流ちょうに行うことができない」状態のことです。知的な障害とは異なるため、文章の意味を理解できないわけではありません。

 「文字を見て認識することは難しいが、音を聞いて意味を理解することはできる」、「文字を拡大したり、行間を広げたりといった調整で意味の理解が助けられる」という児童生徒も少なくありません。


そうした読み書き困難を見つけ出すためには、学校でよく行われる発達検査では、読み書きの能力を測ることができません。 そこで、適切な読み書きのアセスメントを行う必要があります。 アセスメントは、子どもたちに音声教材支援を実施する根拠にもなります。

読み書きの困難
• 読むことが遅いと?
– 理解が不十分なままに教科書の学習が進んでいく可能性が生じます。 
– テストの問題文を読むことに時間がかかり、理解できていても解答できていない可能性もあります。

• 書くことが遅いと?
– 黒板をノートに全部写す前に消されてしまったり、書くことに極端な苦痛を感じていることもあります 。
– 試験の途中で時間切れになってしまうことも考えられます。

• その結果として?
– 理解できており、書きたいことはあるけど表現ができない、評価されない状態かもしれません。
– 学習が遅れたり、意欲をなくしてしまっている可能性もあります。

• 読み書きの速度や正確性を確認する
– 学年ごとの平均値と比べることで、個々の児童生徒の読み書き困難の状態を客観的に把握することが必要です。
– 極端に読み書きの困難がある場合、「自分の目で文章を読む」、「鉛筆を使って文字を書く」以外の 別の方法を使うこともあります。

すてっぷ では読み書き検査と発達検査を実施することができます。ご希望の方はスタッフまでお問い合わせください。

★STRAW-R(ストロウ-改訂版)小学生の読み書きスクリーニング検査
小学1年生から高校3年生までの(本事業所は小6まで)音読速度を調べることのできる速読課題や、漢字の音読年齢が算出できる漢字音読課題を検査します。本邦で唯一ひらがな、カタカナ、漢字の3種類の表記について比較できる検査であり、どの表記から練習したらよいのかの指標が得られます。さらに速読課題は文章課題を含んでおり、入試で試験時間の延長を希望する際の客観的な資料にもなっています。(1時間程度の検査)

★K-ABC II
認知尺度と習得尺度の2つの尺度からなる検査。認知面での障害や得意な部分の状況と、学力の習得の状況の両方の側面を、同時に調べて比較することができます。小学生から高校生程度までを対象にすることができます。(1時間程度×2回の検査)

読み書き障害は二つある「視覚系」「音韻系」

発達性読み書き障害のお子さんには「知的には問題がない」ため、知能検査を行い、知的発達に問題がないことを確認することが前提ということを以前書きました。

ただ、読み書き障害と簡単に言いますが、その原因メカニズムは大きく二つに分かれます。(両方あるときも稀にありますが…。)

それは、字は見えているけど読めない場合、音は聞こえているけど音のつながりが読めない場合の二つです。今回は前者の視覚系に課題のある場合について述べていきます。

「視覚情報処理に問題がある」子どもの場合、視覚認知機能や視覚性記憶を要する方法で読み書きの指導をすることは有効ではありません。例えば字を何度も書くトレーニングは効果が上がらないのです。やってもやっても覚えられないからです。

視覚的な入力での指導は困難ですが、知的には遅れがないのですから、聴覚的な入力で代償するとうまくいくことがあります。例えば、“動く”という漢字を覚えるとき、「重いものに力を入れると動く」と文字の形態を言語化して覚え、言いながら書くことで習得することが容易になります。

視覚系に躓きがあるお子さんはノートに何度も“動く”と書く通常の教育方法は、書くのが遅い上に、他のお子さんと比べると字が下手。その上、何度書いてもなかなか覚えることができません。字が汚いと怒られ、書くのが遅いと怒られ、覚えられないと怒られ、それでは文字を書くことがどんどん嫌いになってしまいます。

足に障害があり歩けない人に、何度も歩く訓練をすれば障害のない人と同じように歩けると言っているのと同じです。分からなかったとは言え全く科学的根拠がないトレーニングを私たち大人は特定の子どもたちに強いてきたかもしれないのです。

確かにトレーニングすることできれいな字が書けたり早く書けるようになる子どもはいます。しかし、考えてほしいのです。視覚系に躓きのない子が今の能力量の3割で文字を書いたり読んだりしているとしましょう。ところが視覚系に躓きのある子は8割の力を使って同じ作業をしているとすれば余力はあと2割しか残りません。学習の大事なことは得た情報から推測したり考えたりすることですが、書くことにエネルギーの大半を消費した子には、考えたり推測に充てるパワーが残っていないのです。

次は音韻系で躓く読み書き障害について書きます。

 

 

音韻系の読み書き障害

前回は「文字の形の認識が難しい」など視覚情報処理の不全について述べました。これはどちらか言うと視覚入力はしているが処理(文字認知段階)や出力(字を書く段階)に課題がある場合です。
しかし、中には、入力段階で眼球運動に偏りがあり、普通の文字の見え方とは違った見え方をしている人もいると言われています。水に浸したように文字がにじんで見えたり、目が悪い状態のように文字が二重になったり、ぼやけて見える方。文字がらせん状にゆがんだり、3Dのように浮かんで見えたりする方もいます。鏡に映したように文字が左右反転して見える方もいます。

さて、今回は「文字の音のつながり方の認識が難しい」音韻処理の不全についてです。

音韻機能とは最小の音単位を認識・処理する能力を指しますが、ディスレクシアの人の脳の特性として、音韻の処理に関わる脳の領域に機能異常があるという説が主流となっています。そのため音を聞き分けたり、文字と音を結びつけて「読む」ことが難しいと言われています。

※文字と音の変換が苦手
ひらがなの文字と音を結びつけて読むのが難しいことがあります。また小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」や音を伸ばす「-」などの特殊音節が認識できず読めないこともあります。

※単語のまとまりを理解するのが困難
たとえば「み」「か」「ん」などのひらがなやカタカナの一音ずつは読めてもそれを「みかん」というひとまとまりの言葉として理解するのが難しいことがあります。

※聴覚記憶が苦手
言葉を音として記憶しながら読んだり話したりしますが、ディスレクシアの人の中にはこの音韻認識が弱く聴覚的な記憶が苦手な人がいます。このように処理と記憶を同時に行うことが難しいことから読むことに困難な場合があります。

こうした場合は、「活字を読めばわかる」ということにはなりませんから、聞いたり見たりしてわかる状態に持っていくことです。マルティメディア(iPadやPC)を用いて文章を読んでくれる教材やデジタル教科書(無料配布されています)を使って、読むことにかかるエネルギーをできるだけ少なくして、推論したり考えることに学ぶエネルギーが使えるようにします。記録は音声記録に残したり、キーボード入力を早くから教えていきます。ローマ字打ちは音声表現の規則性が高く、最近のデバイスは入力を予測したり読んでくれたりするのでひらがな打ちよりも教えるのが容易です。

また、読み書き障害の中には記憶力の良い子もいて、最初は教えられたことのなんでもかんでも記憶したり物事の法則性を見出したりして小学校時代をしのいでいく子がいます。しかし、中学校の時期に危機が来ます。英語の発音と綴りには簡単な法則性がありません。「A」を「ア」「アイ」「エイ」と前後につく文字でいくつも変化するからです。撥音や拗音等の日本語発音表記の法則性よりはるかに複雑です。それでも記憶力の高い子は法則性ではなく英単語や英語文書を丸ごと記憶して中学英語をしのぐ人がいます。

それでも、とうとう高校内容の記憶量は半端ではないのでここで、英語だけがガクンと急降下します。それではじめて読み書き障害が発見されるケースが少なくありません。
高校生の彼は言います。
「みんなは、僕以上に頑張っているからできるのだと思っていた」と。
「もっと早く読み書き障害のことを教えてほしかった」とも言いました。

読み書き障害の子の他者への認識は、「みんなは僕より頑張っているから読める」「僕は馬鹿だ」と勘違いしています。ちょうど目の悪い子が、「みんなも同じように見えている」と勝手に思い込んでいるのと同じです。眼鏡をかけたら「なーんだみんなはこんなに見えていたのかと」気が付きます。だから「視力検査」があるのです。
何故「読み書き検査」はないのでしょう?視力が悪くてその子だけが眼鏡をかけていやがる先生はいませんが、読み書き障害の支援にデジタル教科書などをその子だけに使うのをためらう先生は少なくありません。令和の時代こそ、読み書き障害への支援が眼鏡と同じように広まり認められる世の中に早くなってほしいです。

うちの学校では読み書きの検査をしてくれないという方は、スタッフまでご連絡ください。可能な限り読み書き検査のご要望にお応えしていきたいと思います。

空気を読む

日常生活において、他者の心を理解する能力は大切です。他者の心を理解する能力は、心理学分野においては「心の理論 (Theory of Mind)」 研究として、数多く行われてきました。文化による多少の違いはあっても、定型発達児は4歳頃にこのような能力を獲得することが現在の統一見解となっています。
また、自閉スペクトラム症児は心の理論の発達が倍ほど遅れるということもあるそうです。近年は、研究対象となる年代が広がっており、広義における他者の心の理解の学術用語としてマインドリーディングという言葉が使われます。
「空気を読む」ことについて、自閉スペクトラム症のマインドリーディングに関わるエピソードが引用されることもあります。わざとじゃないけど相手の嫌がることを言ってしまう。全体としての暗黙の意向は決まっているのに蒸し返す。空気を読むとは、相手の考えていることを読む、あるいはその集団の意図の方向性を読むと同義です。是か非か程度なら人の顔色で読めそうなものですが、相手の表情を読むのもASDの方は苦手です。欧米では空気を読めという慣用句は見かけませんが、米国の、"Read the room!"「雰囲気を読め!」という表現があるそうです。「身の回りの雰囲気を把握してから行動や発言をして」ということだそうです。以前、高文脈型コミュニケーションと低文脈型コミュニケーションについて掲載しましたが、英語という「低文脈型コミュニケーション」であっても、雰囲気というASDの方には大変むつかしい、見えも聞こえもしない他者の意図を感じ取れという言葉があるのです。

どうすればいいか?話し合って情報を共有するのが一番です。正確な情報もないのに勝手に想像するなんて、双方の誤解を作ってしまうだけです。「低文脈型コミュニケーション」でも行き違いはたくさんあるのですから、誤解が生じても、「空気を読め」なんて言わずに説明して許し合う寛容さも大事になります。

レジリエンス

レジリエンスは“Resilience”と書き「困難や苦境からの回復力、復活力」という意味です。逆境に置かれたときに早く復活できる人をResilient(レジリエント)な人と表現します。同じ状況に置かれても、すぐに回復する人もいれば、長々と引きずってしまう人もいます。
立ち直りが早い人と遅い人、何が違うのでしょうか?
誰でも、しんどい環境の中にいたら、気が滅入るものですが、「動き出せば好転するはず」と思えるポジティブな思考ができるかどうかが大事です。

このポジティブ発想やネガティブ発想は生まれつきではありません。小さい頃の身近な大人の関わりが大きく影響することが分かっています。
大人がポジティブな関わりをすると、その子もポジティブ発想を学びやすく、大人が、ネガティブな関わりをしてしまうと、ネガティブ発想を身につけてしまうのです。

「大丈夫、なんとかなる」
「この程度で済んでよかった」
「長引かせない+否定的に考えすぎない」発想を優先し、それを言葉で伝えていきます。
一方で、「もうダメだ」「最悪だ」のような言葉を慎むことです。「○○すると怖いよ」「○○したら大変なことが起こるよ」と脅さないことも大事です。
「学習性無力感」と言って、すでに“無力”を学んでしまっていると、「どうせダメだ」「ムリに決まっている」と最初から決めつけてしまうことがあります。
「無力感」は失敗経験の繰り返しで学習されます。
子どもの思考スタイルは、大人の関わりで変わります。意識的に、ポジティブになる働きかけが大事です。

身近な人間関係が励まし合う関係だと、人は強くなれます。家族の絆や友だちとのつながりが前向きだと、もし傷ついたり落ち込んだりするようなことがあっても立ち直りは早くなります。
相手の痛みや悲しみが理解できる力が身につくように、人を励ます言葉が持てるように、大人自ら、共感力を示すと、子どもの学びにつながります。

大人は先回りして、あれこれと子どもにしてあげたくなります。本当に大人がしてあげるべきことは、そこそこ失敗しない方法は教えるけれども、重要なことはつまずいてしまったときにどう対処したらいいかを教えることです。
怖いのは、失敗することではなく、その後の解決法を知らぬまま育ってしまうことです。先回りして学ぶべきリカバリーの経験を回避することではないということです。

もし大人が、子どもの行動を管理しすぎてしまうと、その子の自立力はなかなか育ちません。子どもの頃、自分で決断をする機会が多い子は、自立度が早いということも分かっていますので、大人が先導しつつも、子どもにできる判断や決断は子どもに委ねます。

自己管理が上手になると、レジリエンスが向上するだけでなく、スランプやストレスを未然に回避する力にもつながっていきます。まずは、何で遊ぶか、何を着るか、何を持っていくかなど、自分の身の周りの簡単なことから決める習慣をつけていきます。

レジリエンスは、コツコツと積み重ねていくものです。積み上げは今からでも可能です。

ラーニングピラミッド

学習方法と平均学習定着率の関係は「ラーニングピラミッド」という図で表すことができます。学習時間が限られていて状況では、より効率の良い方法での学習がスムーズに学習内容を身につけることにつながります。学習方法を見直すだけで思わぬ効果が出ます。

ラーニングピラミッドを見ると、ピラミッドの下に行くほど定着率が高いことがわかります。では、各段階の内容について見てみると(下図)

講義を受ける(5%)
読書する(10%)
視聴覚〔ビデオ・音声による学習〕(20%)
実演を見る(30%)
他者と議論する(50%)
実践による経験・練習(75%)
他人に教える(90%)

物事を他人に教えるためには、自分でしっかりと内容を理解していなければなりません。「他人が書いた文章を読み上げるだけ」「書籍・ネットの文章をツギハギしただけ」では突っ込んだ質問をされると返答に詰まります。いろいろな方法で何度も実践経験を積み、時には失敗も経験することで教えることができるようになります。
定着率の高いラーニングピラミッド下方の学習法ほど、より自発的・能動的な働きかけが必要です。能動的に学習するためには、まず知識や興味を高め、その後話し合って理解を深めてから発表したり教えたりすれば限られた時間を上手に使った学びが進みます。

ラーニングピラミッドの中でもより能動的な「他者と議論する」「実践による経験・練習」「他人に教える」を重視した勉強方法「アクティブラーニング」が新しい学習指導要領の中で注目されています。でも、昔から「人に教えることが一番の勉強」と言われ続けているのですからいまさらという気にはなりますが、やっと公教育が注目し始めたということが重要です。

視覚支援

視覚支援は、1960年代の半ばに、米ノースカロライナ大学のエリック・ショプラー教授のグループによって始められたTEACCHプログラムで提唱された「構造化」と同じ意味です。
視覚支援の代表例はスケジュール表であり、毎日の生活や学校での学習時間割を作成し、視覚的なスケジュール表として前もって示すと、ASDの子どもは不安や混乱が少なくなります。
ASDの子どもはいつもと違う予期しない状況になると、恐怖や困惑を示すことが多いです。スケジュール表を、いつも使うリビングの壁や学校の自分の机の上などに掲示しておくと安心して次の予定に向かえます。言葉や文字が理解でいない自閉症児の場合、スケジュール表ではイラストや写真を使った絵カードが用いられます。
自閉症児者の用いるスケジュール表では、個々の行動予定は、認知レベルによって文字だけで書かれたものから、文字カードや絵カードのようにカード化されています。また、工程のある作業を行うときはワークシステムという名前でスケジュール表を作業や仕事の一部分で使うこともあります。これはワーキングメモリーという短期記憶が弱い人にも有効です。音声は消えてしまいますが、文字や絵は消えません。「何回言えば覚えるの?」と言い続けたが一回書いて示せば忘れなくなったというケースはたくさんあります。

また、「声かけ、表情や表現」を大事にしたいと思うばかりに、絵カード支援や視覚支援をためらわれる方がおられます。でも、聴覚に障害がある方と知れば視覚支援も使うでしょうし、視覚障害のある方に白杖や点字ブロックが必要ないという方もいません。ASDをはじめとする発達障害は即座に理解してもらいにくい障害です。発達期の子どもならなおさらです。発達はできないことができるようになる過程ですから、今できないことが未来にできないとは言いにくいからです。

それでも、誰が発信しても本人が理解できているかどうか、子どもの発信していることが誰でも理解できるかどうかは子どもの普段の生活に寄り添っていれば、わかることです。子どもの時期に、分からないことが長く続いたり、言いたいこと言えない状況が長く続くと、レジリエンス(逆境からの復元力)は低下していきます。

このような視覚的なスケジュールを用いることで自閉症の子どもは、「今何をすべきか」「次は何をすべきか」「最後までにはどれだけ残っているか」を理解しやすくなります。求められていることを達成したとき提示した大人も受け止めた子どもも嬉しい気持ちを交流し合います。スケジュールカードやワークシステムはあくまでも成功を支えるツールでありそれ自体が目的ではありません。

絵カード支援でいつもとても気になることがあります。大人のしてほしいことは絵や文字でしつこく示すのに、子ども側から発信する方法を与えていない場合がとても多いのです。つまり一方通行の視覚支援です。言っていることはわかるけど言いたいことが言えない状況が続くと自立することができません。自分は自分、人は人、みんなちがってみんないいを実現するにも理解と発信は一体なのだということです。

ASDの人たちが周囲の人たちと「やったね・いいね」をたくさん積み上げられるように視覚支援を利用していきたいものです。

スヌーズレン

すてっぷでは空気清浄機を稼働しています。この清浄機の正面パネルはコバルトグリーンの水流が渦巻いている様子が見えるようになっています。この輝く水流をいつまでもいつまでも楽しむ子どもたちがいます。引き込まれてうっとりするようです。私も小さいとき水道の流れに見とれたり洗濯機の渦巻きをいつまでも見ていた記憶があります。心が穏やかかになるのです。これを最近ではスヌーズレン効果というそうです。

スヌーズレンとは、オランダ語で「クンクン匂いを嗅ぐ」、「うとうとする」という用語を組み合わせた造語で、外界を探索することや心地よくまどろむ状態を示すものです。もとは1970年代にオランダで重い知的障害がある人の余暇活動として始まりました。
この活動を行う空間スヌーズレンルームには、光・音・匂い・振動・触覚の素材等、感覚を優しく刺激するものが効果的に配置してあります。
利用者はこの空間で、自ら好きな感覚を楽しみ、誰からも指示されない特別な時間を過ごします。

アロマセラピー、タッチングケア、音楽療法等の温かな治療が注目され始めた1980年代、それらを一つにまとめようという動きの中でスヌーズレンはヨーロッパを中心に発展してきました。
昨今では、世界30カ国以上に広がり、その人にとって心地よい感覚刺激を通じたアプローチをすることで、思考・感情・行動を変化させていく治療的なものとしても用いられています。
スヌーズレンを構成する要素は、(1)利用者、(2)ケアする人、(3)環境の3つです。
現在ヨーロッパでスヌーズレンルームはこのような目的で使用されています。
●重い障害や病気がある人の余暇活動
●精神障害者・発達障害児へのプレイセラピー
●認知症の老人へのケア
●心理的に不安定な人の情緒安定のため
●自発性・コミュニケーション力を養う探索活動として
●子どもたちがゆったりしたペースで過ごせる時空間として

このような使用目的でコミュニティセンターや保育園にも広がっており、日本でも様々な場所での活用が期待できます。

かたずけられない


子どもが自分の部屋を片付けられなくて、部屋がいつも物で散乱していて困っておられる方は少なくありません。散らかっている部屋にいるのに平気でいるというのは、どうしても心配になりますし、部屋を片付けて生活してほしいと思うのは当たり前です。
部屋を散らかす子どもは片付けが苦手で、言われて部屋を片付けても、あっという間にまた散らかってしまうものです。
あまりにも汚い部屋で暮らしている子どもは、もしかして病気なのではないだろうかと不安に思われる方もおられると思います。
病気でなかったとしても、部屋を片付けられない子どもは、いつまでたっても片付けられないままなのだろうかと心配になり、どうすればよいのか悩んでいる方も少なくありません。
部屋を片付けられないという病気や障害は確かに存在します。
しかしきちんと観察して、ひとりひとりの子どもに合った対応をしていくことで、片付けられない子どもも、片付けられるような方法がみつかります。
また、病気や障害とまで言えなくても、片付けられない子供に寄り添って、片付けられるようになるまで親が教えたり手助けしたりすることで、多くの子どもは片付けられるようになるものです。

なぜ子供が片付けられないのか考えてみると以下の理由が考えられます。

★必要性を感じていない
片付けをしない子どもたちの中には、『部屋が散らかって汚くなっていても気にならない』という子どもがいます。
片付けられない子どもたちは、部屋がおもちゃやゴミ袋が散乱しているような状態でも気にならず、片付けをする必要を感じていません。親が『片付けて』とか『掃除をして』と言っても、家族みんなが気持ちよく暮らすという他者の視点がわからないので掃除や片付けをしなくても良いと考えています。
★片づけ方がわからない
または、ただ単に面倒くさくて掃除が大嫌いなので、片付けができないという子ども達もいます。片付けをしなくてはいけないと感じながらも、どうやって片付ければ良いのか分からないで、結局散らかった部屋のままでいる子どもたちもいます。片付け方が分からない子どもには、大人が丁寧に片付け方を教えることで、うまく片付けられるようになります。

★ストレスが原因になっているケース
子どものストレスが原因になっているケースも考えられます。子どもの生活の中の、学校生活、家庭環境、親子関係、夫婦関係、友人関係などの中で大きなストレスを感じている場合、心に抱える問題が大きくて、その子どもの中では片付けをしている場合ではない、片付けをする気も起きないような心理状態になっているケースです。ストレスによって片付けができない子どもの場合、やはり片付けよりもその子どものストレスの原因となっている問題を、解決していく必要があります。

★病気や発達障害などによるもの
『片付けられない症候群』と言われるADHDやADDという発達障害がありますが、この障害を持っている場合、その子どもは片付けがとても苦手です。ADHDである場合は、脳の機能的な障害に原因があり、『不注意』『多動性』『衝動性』と言う特徴を伴っています。
ADHDの特徴である、うっかりミスがとても多かったり、少しもじっとしていられない性格だったり、衝動性を抑えられないなどコントロールがしにくい性質を感じられる場合は、正しく診断をしてもらう必要があります。
発達障害と診断されたら、その障害に合った支援や薬の力で、片付けられないことも含め、生活の不自由さを和らげることができます。
片付けられない子どもの中には『ため込み症候群』といわれる強迫性障害のひとつ、ホーディングという障害を持っている場合もあります。『物を集めすぎて困る』とか『捨てられない』という特徴があります。ADHD、強迫性貯蔵症のほか、ASDのこだわり等柔軟性の欠如が原因の場合もあります。
そのほか、うつ病、セルフネグレクト、統合失調症、認知症。これらの病気は、ストレスが原因で引き起こされる病気です。

片付けられない子どもが片付けられるようになるには、大人の助けが必要です。言葉を教えるように、子どもに片付けを教えていきます。
一緒に片付けを始めることで、片付けに対する重要性に気が付く機会となります。
部屋での探し物が多かった子どもなら、一緒に分類したり、整理したりする作業を通して、部屋を片付けることは生活を快適にし、物の置き場所を把握することが、便利で心地よいことであるということが分かってくると思います。一緒に片付けをしていく中で、片付けられない理由や行動の癖が分ってくると思います。つい散らかしてしまう癖を解消するための対策を一緒に工夫することで、散らかさないためには『具体的にこんな工夫をしたい』という、対策の意図も理解してくれます。
例えば、ゴミ箱の置き場所ひとつとっても、ゴミを入れやすい場所へ移動するだけで、ゴミ箱へゴミを入れる行動がかなり増えると思います。脱いだ服を床へ置きっぱなしにされないように、サッとひっかけられるフックを壁に取り付けたり、かけやすいハンガーラックを用意したりすればよいかもしれません。帽子やかばんなども、簡単にかけられるようポールハンガーやハンガーラックがあると、簡単にひっかけるだけで片付けられる仕組みを作ることができます。

部屋が汚いと怒るのに、部屋をきれいにしても褒めないでいるという事も多いです。怒られて仕方なくする片付けと、片付けたら褒められるという片付けだと、片付けをした時の気分がよいものになるか悪いものになるか、ずいぶん違ってきます。『片付けを始めた時』『片付けをしている時』『片付けが終わった時』など、こまめにほめて、子どもの片付けへのやる気を引き出していきましょう。
逆に、もし片付けが上手くいかなくても、怒ったり嫌味を言わないことが重要です。ほめるという大人の行動は、片付けが嫌いな子どものやる気を引き出していきます。みんなの一員として、子どもに『お手伝い』として役割分担を与えましょう。お手伝いのご褒美としては、『褒めること』が最もよいのですが、なかなかお手伝いをしてくれない子どもには、お手伝いの分担をこなしたら、例えば何か好きなことをしてよいというご褒美などを与えると、お手伝いも続けられるようになります。
片付けられない子どもには、それぞれ違った理由や原因があります。
親が子どもを見守り、必要な時に必要な助けをタイミングよく差し出し、子どもに寄り添っていくことで、片付けられない子どもも少しずつ片付けられるようになります。
片付けは教えていかなければならないものであると意識して、ひとつひとつ褒めながら教えてあげるとうまくいきます。

 

学童保育のありかた

学童保育(乙訓では留守家庭児童会)は「地域で子育てする」制度で、「子どもは放課後に育つ」視点を持った地域事業とも言えます。嘱託職員や派遣労働の職員が人材となる中で、子どもが自ら通いたくなる学童保育にするためには、教育福祉家庭の連携以前に学童保育の運営方法を検討する必要があると言われています。
「子ども主体の学童保育」の理念を掲げ、地域の指導員会議や研修会をもち、理念をどう具体化するかに腐心する中で、親も子も次第に学童保育に好感を寄せ始め大型の学童保育所も好評を得ているという報告もあります。その中身は、保護者の多くが、「外遊びが多く」「手づくりおやつは美味しく」「子どもは楽しく通えている」、「子どもの気持ちを大切にしてくれる職員」が多く、「楽しい行事が増え」、「家庭との連携」も「トラブルへの対応」も適切にされていると評価しています。ステークホルダー(利用者)を大切にする方法を抜きにしてどんな組織も発展はありません。
良い学童保育は、①学童保育運営に責任を持つ法人等の正規職員の採用で学童保育実践の持続可能性を図ること、②正規職員を核にした責任ある運営体制を創出すること、③保育内容をお仕着せのものから子どもと共に作り出すものに転換すること、そのために、④職員間の連携を深めること だとしています。
学童保育を「子どもの生活」を守るための地域拠点として位置づけ、家庭と深く連携し、学校との連携も図る、「福祉と教育をクロスボーダー」できる位置に置くことによって、居心地のよい子どもの居場所を創出し、親子関係の修復、家庭や地域の再生にも寄与できるのではないかといわれています。そのためには、利用者=ステークホルダーの意見聴取や運営への参加は欠かせません。

8050問題

8050問題とは1980、90年代頃にひきこもりの子を持った家庭が、年月を経て、高齢化し、80代の親が50代の子を養う現象の事を言います。
8050問題が深刻化してしまったのは原因を若者問題・しつけ問題と浅薄にとらえてしまった政策の誤りだといわれています。
ひきこもりは、「社会復帰させる」「更生させる」事として捉えられたこと。そして、ひきこもりは単なる、「親のしつけ不足」や「若者に良くある心理」として考えられたからです。だから、ひきこもりの本人やその家庭は恥ずかしくて、悩みを打ち明けられず、改善する場所を見いだせずに現在に至ったのです。自治体や研究者はひきこもりの年齢が40歳以上にも調査結果がでていたのに、「若者自立・挑戦プラン(2003年)」という若者政策を出してしまい、修正しなかったのです。これらが結果的に8050問題につながるひきこもりの長期化をもたらしたと言われます。
ひきこもりは職場や学校での精神的なトラウマから起こる病気といっても過言ではありません。国の政策は実質、そのトラウマのある場所に戻そうとするのですから成果が上がらなかったのです。
8050問題の状況下にある家庭に良くある特徴は、ひきこもりを恥だと感じて、他者の協力を得る事が出来ない事です。その為、一向に子どもが現状から何もできない状況に陥ります。まずは、ひきこもり本人と、その家族がその悩みを打ち明けられる場所を全国的に設ける事が必要です。そして、「どこかに就労しなければならない」という事にこだわらず、働かなくても人はつながれるし生きていけるという選択肢を増やすことが重要です。現在、働く事は企業に勤める事だけではなく、支援を受けながら働く可能性は広がっています。その様な選択肢をひきこもりで悩む人に合わせて考えていける場を作る事こそが重要だと言えます。

 

 

発達障害のある子どもの家庭教師

発達障害のある子ども専門の家庭教師が増えています。「教育を十分に受けさせたい」という保護者は多いのですが、学校の現場には、特別支援教育の知識や経験がある教師の数が十分ではないことも背景にあるようです。

例えば、注意が散りやすい子どもには、上手な家庭教師なら90分の授業の間、教材を次々と変えていきます。集中力を途切れさせないための工夫です。ASDの場合こだわりが強い子が多いので、じっくりと向き合って、潜在能力を引き出すことが大事です。

発達障害の診断を受ける子どもが増え、保護者のニーズも高まり「発達障害コース」を設けた塾は次第に増えてきています。授業では生徒ごとの特性に合わせて、視覚優位を生かしたカラフルな教材を使ったり、歴史をうまく覚えられない子には歴史上の人物が載ったカードでゲームをさせたり、計算の苦手な子には教材に玩具のブロックを使ったりします。

教える側には、大学で心理学や特別支援教育を学んだ人や、身内に発達障害の人がいて育てた経験がある人などがいるところが信頼できるでしょう。料金は1時間あたり6千円~1万円ほど。教材をたくさんそろえ、個人にあった教え方が必要ですから市販の教材では間に合わないことも少なくないからです。環境が変わると混乱する子が多いので、同じ先生が担当することが多いです。

作文を一行も書けなかった小学生が原稿用紙一枚書けるようになったり、漢字が書けなかった中学生が漢字テストで平均点を取れるようになったり、通信簿がオール2だった中学生の生徒が2年間でオール4以上になって進学校に進んだケースが紹介される一方、うまくいかなかったケースはなかなか拡散されないので、どこのどの先生の指導がいいかどうかは何とも言えません。

全国展開をしているアークスタイル(大阪市)は派遣する専門の家庭教師の数は都市部でも足りず全国的に不足しているのではないかと言います。また、関係者は、家庭教師はただ遅れを取り戻すだけでなく、その子どもが何が得意で何が苦手かを正しく理解し、自尊心を尊重する指導を目指すことが大事だといいます。

学校では一律に授業を進めなくてはならず、カバーしきれない部分もあります。個別の対応を必要とする子がいる中、こうした家庭教師や塾の重要性はますます高まるのではないかと感じます。

学習性無力感

「学習性無力感」は、失敗や嫌な経験をしたことが原因で何をしてもうまくいかないとあきらめてしまい、仕事や勉強に対してやる気がおきない無気力状態に陥る状態を指す言葉で、以前このブログにもレジリエンス=「困難や苦境からの回復力、復活力」で掲載しました。

さまざまな失敗経験をする中で、大きなストレスや苦痛を感じたことが原因で意欲が低下していきます。「自分にはできない」「何をしても無駄」だというあきらめの意識が芽生えて、仕事や勉強に取り組むことができない学習性無力感に陥ります。周囲からは「だらだらしている」「さぼっている」などと思われていますが、本人はなんとかやる気を出そうと葛藤しています。そのため、周囲に理解されにくくますます無力感が強くなるといわれています。

学習性無力感の原因は大きく4タイプに分けられるそうです。
1 完璧主義の人は何事にも100%で取り組むためエネルギー切れしやすく、ケアレスミスでさえ気にする傾向が高いため、負のループにはまりやすく、学習性無力感になると考えられます。
2 やる気や達成感に関係する脳内物質のドーパミン・アドレナリン・セロトニンは睡眠中に調整されます。そのため、睡眠時間が少なくなったり眠りが浅いと脳内物質の調整が不十分で、ささいなきっかけで学習性無力感に陥るといわれます。
3 幼い頃から大人の言うがままで、自分で意思決定をせずに大人になった人は、大人になっても現実の自分と向き合えず、学習性無力感に陥りやすくなります。このタイプは人生の節目(就職・結婚・子育てなど)ごとにつまずく人がいるそうです。
4 幼児期に虐待や過酷なイジメにあった、恋人や配偶者からDVを受けたなど自己否定をされ続けたことがあるタイプの方は、潜在意識で「何をしても無意味」「自分が認められることはない」などと考えているために学習性無力感に陥ります。この4番目のタイプには学習障害など発達障害の子どもたちが支援のない学習環境で苦手を強いられる状況に置かれていても同じように無力感に陥ります。
タイプ別に示しはしましたが、簡単に分けられない事も事実です。無力感が続けば生活リズムも乱れるでしょうから睡眠も不十分になる事もあります。また、環境変化に柔軟に対応しにくい自閉症圏の方なら1番も関係しやすいし、過集中のADHD圏の方なら2番もあてはまるというように発達障害の方はこの学習性無力感にハイリスクで陥りやすいということです。

回復の手立ては簡単ではありませんが、確実に達成可能な小さな目標を持たせ、一歩ずつ少しずつ実行させていくことです。本人に「できることがある」ということを認識させることで、自己肯定感を強めます。これを繰り返していくことで自己肯定感を持たせ、自信を取り戻してもらうことで学習性無力感を改善することができます。周囲にはサボっているように見えていても本人は一生懸命闘っているので「がんばれ」は激励にはならないので、温かく見守ることが大事です。

自閉症圏の方をはじめとする完璧主義タイプはすべてのことに対して100%を求めます。考え方として「70%達成できれば合格」と大人が誘導することで、「ほどほどの感覚」を学んでもらいます。
「何がしたいのかわからない」という悩みを持っている人は今後の目標を考えることが苦手です。今後の目標もなく学習や仕事に向き合っていればいつか行き詰まります。目標を持って学習や仕事に向き合ってもらうために、好きなことを実現する短期中期の目標や見通しを構築する支援をしましょう。
やる気や達成感の源である脳内物質のドーパミン・アドレナリン・セロトニンは睡眠によって調整されるので、睡眠時間を確保する手立てが必要です。最初は薬の力を借りて睡眠をしっかりとり生活リズムを整えることも可能なので、医師に相談してみましょう。

学習性無力感の原因は完璧主義、生活の乱れ、目標の未確立、つらい経験の4タイプがあります。また、学習性無力感になると意欲が低下して挨拶や発言をしなくなり、周囲からだらだらしていてサボっているように見えます。学習性無力感の人には、叱咤や激励よりも成功体験を積み重ねられるように工夫し支援しましょう。

プログラミング教育

2020年から小学校でプログラミング教育の必修化が発表されました。
プログラミング教育の必修化を推進する背景として、Webエンジニアをはじめとする情報技術(IT)者の人材不足があります。調査によると、2020年に37万人、2030年には79万人のIT人材が不足すると予測しています
2015年に総務省の調査研究によると、2013年以降から子ども向けのプログラミング教室が増えているそうです。
そして、IT人材の不足に対応するため、総務省は2025年までにIT人材を新たに100万人育成する方針を発表しており、プログラミング教育が推進されています。保護者の反応としては、プログラミングを実際に勉強した人はプログラミング教育の必修化に賛成し、自分の子どもにもプログラミングを勉強させたいと思っているようです。
このブログでも書きましたが、マインクラフトもプログラミング教育として役立つと掲載しましたが、他にも実際にロボットを動かしたりと様々な企業が参入して面白い教材を開発しています。少なくない放デイの事業所もマインクラフトやプログラミング教育を導入しています。今後10~20年で、私たちの知っている半分の職種がAIで動く機械にとってかわられ、新しい職種が生まれるといいます。私たち大人も産業再構成に柔軟に対応していく必要がありそうです。

保育所等訪問支援事業ーその2

かなり前に保育所等訪問事業を当事業所で実施しているとアナウンスしました。先日も連携先の施設参観や懇談を行いました。保育所・小学校・中学校と大きくなればなるほど支援関係先が増え、お互いに情報をいきわたらせるだけでもかなりの労力を割きます。というか、同じ情報を共有していなければ連携などできないといっても過言ではありません。そして、大勢の方たちのスケジュールを合わせて会議設定をして支援の方向性を出していきます。会議というのは結構コストがかかる代物です。人件費×人数×時間ですから多ければ多いほどコストがかさみます。保護者のオーダーで訪問事業者には支出されますが、残りの部署の各自は全額持ち出しですから、受け手の善意で成立しているといってもいいでしょう。もちろん訪問を受けることで各部署にも専門的な知見や技術が提供されるメリットがあるというのがこの事業の建前です。

さて、保育所や施設の場合は直接介入して「こんなふうに工夫します」と構造化支援や視覚支援ツールを使ったりや感覚統合アプローチなどを実際の子どもにやらせて、スタッフに見てもらって理解を促すことができますが、大きくなるとなかなか他の現場に実際に介入することがむつかしくなっていきます。第一に、当事者の思いがあります。また周囲の子どもや職員の理解や感情にも配慮していくことになります。そういうわけで高校までの支援ではありますが、だんだんお互いの情報を共有してベターな支援策をお互いに見つけていく支援会議の比重が重くなっていきます。このシステムは福祉だけでなく教育分野で準備しているところが多いですが、地域によって格差があります。

もともと、保育所等訪問支援事業は年齢の小さな子や障害の重い人でも工夫によって通常の環境に適応させていくというインクルージョン志向から始まったものです。つまり、児童発達支援事業や放デイを推進することはエクスクルーシブ(障害者の囲い込み)じゃないのかという声にバランスをとった政策と言えなくもないのです。実際には子どもを預かっているところが発達支援のイニシアティブをとるのは当然です。従って支援に必要な経費もスタッフの専門性維持の何もかも相談支援事業者には執行の権限がないなかでどれくらいのパフォーマンスが実現するのかは、双方の相性や条件次第というところかもしれません。

ただこの事業のいいところは業種を超えて知恵を集めてチームで子どものために頑張ろうというところだと思います。当然家族も含めてです。

声のメータ表


不必要に大きい声で話したり、または逆に全く聞こえない声で話したりする子が少なくない当事業所では声のメータ表を掲示しています。
事業所100m前から来たな!とわかる声もあれば。1m隣でもこちらの耳の老化のせいもあり聞き取れない小さな音量もあります。
でも、視覚で確認できれば自分はどのくらいの声で話したら良いのかがわかるようです。イラストにしていまの声はこれくらいかなと示せるようにしてあります。
「0」が心の中
「1」が隣の人
「2」が4、5人のグループ
「3」が部屋全体
「4」が屋外
数字で表すととても具体的で子どもにも分かりやすいです。実はこの課題に取り組んでいる方は結構いて、「アリからライオンの声」までで表現したり「円の面積の大小」示したりいろんな工夫があります。筆者が困るのは声の大きさは丁度よくても、早口で声のトーンが上がってしまいキーキー声になる方がいるのです。これにはどんなレベルメータがいいか思案中です。

 

対人関係を調整することの難しさ

ASDの人たちに共通する特性の一つに対人関係を調整することの難しさがあります。特性の強さや現れ方は子どもによって違いがあり、ある特性が特に強い場合や、成長に従って特性が変化することもあります。

ASDの子どもは、他者との関わり方やコミュニケーションの取り方が変わっていることがあります。相手の気持ちや状況といったあいまいなことを理解するのが苦手で、字句どおりや状況に関係なく理屈だけで判断したり行動をとる傾向にあり、臨機応変な対人関係を築くことが難しく、誤解されたり相手を誤解したりすることが少なくありません。

表情や話しぶり、視線などから相手の気持ちをくみ取ることができにくいので「暗黙のルール」がわからず孤立しやすいです。受け身過ぎたり、一方的過ぎるなど、双方向の対人関係がうまくとれない人もいます。
表面的な会話だけでは問題はないのですが、場の空気を読めないなどの特徴のために周囲の人のひんしゅくを買ったりすることがあります。普通に話しているつもりなのに相手を不愉快にさせたり、怒らせてしまったりするので友達ができにくい人もいます。

この特性のために本人は「生きづらさ」を感じることもあります。一方で、「人の意見にぶれずに課題を遂行する」などの形で、特性がむしろその人の強みになることもあります。「高い記憶力」や「好きなことへのこだわり」といった特性を発揮して仕事や趣味で充実した生活を送っている方もたくさんいます。だから、その子がもって生まれた個性と理解して、「生きづらさ」を軽減しながら得意なことを伸ばす支援が大切です。

筆者がよく経験するのは、ASDの方が緊張をされている環境の中では対人理解に誤解がよく生じます。先生から、友達から、上司からひどいことを言われたというものです。また、誤解された相手は「そんなひどいことは言った覚えがない」と憤慨されます。相手方の言われた内容をよく聞いてみると、通常の関係なら善意の励ましや激励、正確な理解を促すための説明となるのですが、聞き言葉をうまく処理できにくい方や中心的な趣旨をつかみにくい方なら、誤解するかもしれないなと思うことはよくあります。

こんな時に言った言わないについて第3者が介入すると、水掛け論どころか火に油の場合もあります。言った言わないは保留して、あの環境下では誤解が生じやすかったのだという認識を双方が持つことが大事ではないかと思います。どちらも悪意はない。善意で話しあったけれども、双方の真意は届かなかった。届かなかったものは今届ければいい。今後はこういう解決方法を取ればいい。と未来志向で向かい合って話し合うことが必要です。第3者はどちらの肩も持たず、誤解があったこと、誤解ならば解く必要があること、次回はこうすればうまくいくという支援が大事だと思うのです。

 

慣れる?

うまくいかずに困っている子どもを見て、よく大人は「そのうち慣れるでしょう」と言います。慣れるとは、大辞林を引くと

①たびたび経験した結果、当たり前のこととして受けとめるようになる。なれっこになる。 
② 何度も経験してうまくできるようになる。習熟する。 
③ 接触する機会が多く、心理的な隔たり・距離感がなくなる。
④ 体になじんで具合がよくなる。
⑤ 動詞の連用形や名詞の下に付いて、何度も経験して具合がよくなる意を表す。 
⑥ なじんで打ち解ける。
⑦ 着物が着古されてよれよれになる。 

つまり時間が解決するということでしょうか。けれども時間をかければなんでも慣れるでしょうか。嫌なことが毎日毎日繰り返されたり、意味のわからないことが繰り返されたりすることに人は慣れるでしょうか。

仮に今努力が必要だとしても、将来の見通しがあれば頑張れます。でも慣れるというのは努力した結果とは少しニュアンスが違いませんか。慣れるというのは、自然にだんだんと適応していく意味合いが強い言葉です。でも、自然にと言うのはいずれ誰が説明しなくてもわかるとか、いずれ普通にできると言う意味合いで。いつまでたってもかなりの努力を必要とし、持てるパワーの半分以上を消費してしまう様子ならそれは普通の状態では無いです。

ここらを混同して使う大人が結構います。意味がわからなくて混乱状態の子どもを前にして慣れるだろうと根拠ないことを言ったり、かなりの努力をしていつバッテリー切れを起こすかわからない状態なのに、できているから「慣れてきただろう」と言うのです。要するに子どもの内面が見えていないのに、「慣れた」という言葉を使って子どもの内面に関する思考を停止してしまうのです。

子どもは子どもで、みんなは自分よりはるかに努力をしているからできるんだ、自分はダメな人間だと思ってしまうのです。他の子は自然にできていくだけなのです。すなわち慣れたのです。その子にとって特別な努力をしないとできないようなことに慣れるという言葉は使ってはいけないですね。

宿題と学習時間

筆者が小学校の頃は先生によって宿題の量はまちまちだったみたいです。「みたいです」というのは、最後まで宿題をやったためしがないのでおそらくそうではなかったかという話です。今はほぼマニュアル化されていて先生によって大きく違うことはないようです。文科省が出している宿題の目安として(引用資料探せませんでした)、「学年×10分」です。1年生なら10分、6年生で60分です。はっきり言って短いです。でも、平均より学力の低い子を目安にこの程度と言われています。小学生段階だと、家庭学習の「習慣」を身につける練習にはこれくらいということでしょうか。

ただ、学力は量だけで決まるものではなく質だと言われる向きもあります。平均的高学年の子どもが学習を持続できる時間は50分程度といいます。そのうち完ぺきに集中できる時間は平均15分程度らしいです。だとすると、集中できる15分間に何の学習をもってきて、それ以外の時間にはどんな学習を持ってくるのか考えておく必要があります。漫然とドリル学習をさせるだけではもったいないということです。

ここまで読んでお気づきの方もいると思います。同じ子どもが向かっている学習時間ですら時間帯によって質が違うとすれば、違う子どもならさらに違いが生じるはずだということです。子どもの特性をよくつかんで宿題を開始する時間、内容の順番、今の宿題の学習量や質が子どもに適しているかどうかは家庭で組み立てたり見てあげるしかありません。小学校の宿題は子どもが大きくなって家庭で自学自習の習慣とその自信を子どもにつけるために行うものだということです。

 

アセスメント

当事業所が発達検査を実施しているのは「読み書き障害」のところで掲載したところです。当事業所が実施しているのはKABC2という最新の理論に基づいた検査です。この検査は子どもの認知力と学力の両方を見る検査です。WISC4などほかの検査は認知力しか見られないので実際の読み書き計算の力がはかれません。ただ、認知と学力の両方を検査するので2回に分けないと子どもが疲れてしまうという課題はあります。

アセスメントは、医師がおなかが痛いのに頭痛薬を出さないように、療育者もどこが課題か把握してから療育を進めた方が最短距離で結果に到達できるからです。もちろん検査なんかしなくても、長年の勘で子どもの課題を見つけて支援を考える方もおられますが、今はチームで支援するのがあたりまえですので、誰もが根拠に納得をして支援を進める必要があります。誰もがというのは支援を受ける本人も家族もさしています。

検査はするけど、検査結果を口頭でしか報告しないとか、報告すらしないという検査者がいるそうです。こういう方は、病院で検査をして結果表を病院が見せてくれなくても、医師が数値をもとに診断しなくても大丈夫なんでしょうか。みなさん「数値が独り歩きする」と言って「親が数値だけで子どもを見てしまう」と報告されないのですが、それならあらゆる統計値で構成された天気予報も保険料も認めないのでしょうか。天気予報が外れたと訴える人はいないでしょうし、保険の生存率や事故率を認めない人もいません。統計値を確率として了解しているからです。

とういうことで検査根拠に基づいた支援をしてほしいとご希望される方はスタッフまでお知らせください。

 

みんなでお出かけしたい。福祉車両が欲しい

当事業所は職員の自家用車を事業対応車として保険に入り送迎の運用をしています。自宅の送り迎えはそれでいいのですが、みんなでお出かけするときは小さな車だと分乗となり車内指導がむつかしかったり運転手が余計に要ったりで効率が悪いのです。10人乗り車なら子どもを一気に乗車させてみんなで移動できます。車内指導も容易です。

さらに、福祉車両なら車いすも乗ったままでそのままリフトやスロープ・ウィンチで乗車できるのでみんなでお出かけできます。また、車いすの方の乗降介助は窮屈な姿勢で介助されるので、精神的にも肉体的にも当事者が一番負担なのです。

でも福祉車両は例えばワゴン車なら400万近くしますし軽自動車でも150万を突破します。これを2台買うとかなり厳しいなと唸っています。そこで、あちこちの助成団体を見て申し込もうと思っています。だいたい価格の6割程度は助成してくれるそうです。しかし、車屋さんに聞くと当選の確率はこの地域では1~2割だそうです。でも申し込まなければ何も始まらないので書類の山と格闘することにします。がんばります。

西陣麦酒プロジェクト

昔、作業所で作ったアクセサリーを買ってほしいと会合で現物が回ってきたことがありました。皆さんは好意的に購入されていましたが、現物は販売品質のレベルには達していませんでした。材料費だけでも回収したいというスタッフの気持ちはわかるのですが、それなら正直にカンパをお願いしたらどうかと思ったことがあります。これは作業所の利用者のスキルの問題ではありません。経営者や職員がこの商品から製作に関わった利用者がどのように購買者にイメージされるか想定できたかどうかの問題だと思うのです。

前回(4/20)掲載した「西陣ビール」の続報が京都新聞6/11に掲載されました。「おいしい」「かわいい」「背景ストーリに共感」と言われ他の地ビールより割高でも取引されているそうです。商品は欲しいと思われてなんぼだと思うのです。おいしい!かわいい!がバズり(流行り)、そのことで製作にかかわった人たちが身近に感じられるように、経営戦略を立てることは会社だけでなく福祉の事業所にも求められていることだと思いました。

https://www.762npo.jp/

家事労働

子どもたちにお家で何のお手伝いしてると聞くと、たいがい「ふろそうじ」とか「食器下げ」です。昔は新聞取りとか牛乳取りとかあったのですが時代の変化で廃れたようです。

子どもは、お手伝いから多くのことを学び成長します。でも、お手伝いをやらせればいいというわけではないし親がどのように対応するのかが重要です。子どもは基本お手伝いをするのが好きです。子どもがお手伝いしたいと思う気持ちは、子どもが心身ともに成長しているからです。自分の力を試してみたいという意欲の表れでもあります。
自分からやりたいと言わない子どももやりたいと思っているかもしれません。「これをするの、一緒に手伝ってくれる?」と、声をかけてみましょう。一度にたくさんのお手伝いを頼まないように気をつけてください。お手伝いが嫌いになります。子どもによって、また、内容によって、子どもだけに任せる場合や、お母さんやお父さんと楽しんで一緒にやることもあると思います。


お手伝いは基本ほめましょう。子どもはお手伝いしたことをほめられると、また頑張りたくなります。失敗しても決して叱ってはいけません。少々のことには目をつぶり、大目に見て、やってくれている気持ちを尊重しましょう。たとえば浴槽洗いで子どもの洗い方が不十分な場合でも、その場で注意し、スポンジを奪い、親が子どもの目の前で洗い直すということは決してしないでください。子どもの自尊心を傷つけます。まずは感謝の気持ちを述べ、洗い直したければ、あとで子どもに気づかれないようにこっそりすればいいのです。次の機会に、親子で一緒に洗いながら「この角っこのところ、とくに注意して洗おうね。ヌルヌルが残っていないか、指でキュッキュッと、確かめてみるといいよ、そうそう上手上手」と教えてあげましょう。


子どもは、お手伝いしたことを感謝されることにより、人の役に立ててうれしい気持ちを実感し、また、最後までやり終えた達成感から、自分に自信を持つようになります。そして自分の判断で行動できる子どもになります。子どもはお手伝いからたくさんのことを学びます。どうやったら早くできるのか、どうやったらうまくいくのかを考え、工夫します。家族の一員として何か役割を与えられると責任感が芽生えます。
お手伝いは、子どもに任せるお手伝いもありますが、親がやっていることを一緒に手伝ってもらう場合もあります。親と同じことをすることで一体感が生まれ、いつもは話さないことも語ってくれるものです。子どもの方からあまり語らない場合は、親の方から子どもの頃の話など色々と話すと、子どもは共感し、心を開き自然と語るようになります。お手伝いをさせないで育ててきた子どもに、大きくなってから急に手伝わせようと思っても難しい話です。幼稚園や小学校など小さな頃からお手伝いの習慣をつけると自然に仕事が好きな子どもに育っていきます。

花粉症

昨日、すてっぷに来てから鼻水がずるずる出てくしゃみ連発なのでこりゃなんかのアレルギーだと思っていたのですが今日は何ともないのです。周囲を見回してみるとヒノキがありました。隣の庭のヒノキの花粉が風で飛んできて1本だけなので全部飛び散ったのかしらと推測しています。この時期はブタクサというイネ科の花粉とヒノキ花粉のアレルギーが多いといいます。

花粉アレルギーでアナフラキシーショック(アレルギー反応によって急速に、皮膚、呼吸器、消化器など複数の臓器と全身性の症状で生命にかかわるような状態)になる人もいるのでアレルギーといえども侮れません。最近はDNAレベルで治療するDNAワクチンが治療用にならないかと研究が進められています。

アレルギーには花粉だけでなく食物やペットの毛、化学物質、ホコリ、金属と挙げればきりがないです。なぜこんなにアレルギーが増えてきたのかは、ざっくりいうと人間の文明が進化したためです。古来人体が防護してきた微生物や細菌の防御機能が、清潔環境では感染がおこらず他のもので反応するようになるからだ(1989年イギリスStrachan博士)と言われます。

同じようなことはいろんなことで言えそうです。社会性の発達についても失敗がない子は後でしんどい目に合うと言われるようにです。ただ、だからと言って重篤な感染症にかかるのは予防する必要がありますし、病弱者なら些細な感染症でも防ぐ必要があります。同じように、重大な失敗体験が予測できるなら予防する必要があるし、子どもの特性によっては些細な失敗も重大なトラウマになってしまうこともあります。

要は一人一人の子どもの的確な見立て(どの程度の失敗なら大丈夫か)と、明確な支援策(失敗のリカバリー方法)を大人が持っているかどうかにかかわっています。これって、最近のアレルギー治療、つまり的確なアレルゲン特定と減感作療法(徐々に慣らす治療)によく似ています。