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1. 発達障害に優しい日用品

投稿日時: 2020/09/25 staff3

ノートやTシャツ、発達障害に優しい日用品登場
2020/9/25 10:51【日本経済新聞電子版】

白地を避けて装飾を排したノート、着替えが苦手な子どものためのTシャツなど、発達障害者が使いやすい製品が相次いで登場している。当事者の声から生活の中でのストレス、違和感に注目し、色彩や設計に工夫を凝らしているのが特徴だ。支援団体は「発達障害者に優しい商品が普及すれば暮らしやすい社会になる」と期待を寄せる。(三浦日向)

薄紫色の紙にグレーの網掛けが1行おきに配置され、日付やページ番号を書く欄もない――。紙製品メーカーの大栗紙工(大阪市生野区)が開発したノート「mahora(まほら)」は通常と異なる変わった色合いや装いが特徴だ。

「発達障害者は普通のノートを使いづらく感じている」。大栗康英社長が取締役を務める妻から聞いた一言が開発のきっかけだった。同社は大手文具メーカーの大学ノートを製造。使い勝手について発達障害者100人から意見を聞いたところ、「ノートの白色がまぶしい」「日付やページの数字などの装飾は気が散る」といった違和感が次々と寄せられた。

紙の色合いや線の配置、行の幅を1ミリ単位で調整するなどし、今年2月にインターネットを通じてノートの販売を開始。3千冊が売り切れ、増産分の8千冊も既に半分が売れた。8月から全国の雑貨店や文具店でも展開している。大栗社長は「ノートを使いづらいと思っている当事者の方の悩みが予想以上に大きかった。驚いた」と話す。

発達障害のある家族との生活をヒントに商品を開発したケースもある。

和歌山市の前田香さん(36)は発達障害の長男(10)が着替えに苦労する様子を目の当たりにしてきた。場所の把握がうまくいかず袖から頭を通してしまうなど一人で着替えることが難しく、これらの問題を解決する発達障害の子ども向けの衣服の開発に乗り出した。

前田さんが工夫したのは「どう着ても正解になる」設計だ。ロゴを表裏で同一にし、タグを付けず縫い目を目立たなくして表裏と前後に関係なく着ることのできる「オールフロントT」を開発。裾に手のひら型のプリントを施し、着るときにつかんで利用してもらう「タッチdeきるんT」も作製した。

クラウドファンディングで資金を集めて4月からサイト「fukufuku312」で販売する。「一人で着脱できるようになってありがたい」といった声が寄せられたといい、前田さんは「発達障害者だけでなく認知症や視覚障害の方にも役立つのでは」とみる。

相次ぐ商品開発の背景には、発達障害の認知度が高まってきたことがある。日本では1980年代ごろから医療と教育の分野で発達障害の研究が本格的に進んだ。2005年4月に発達障害者支援法が施行し、発達障害のある子どもへの支援を制度化した。近年は発達障害を抱える大人の存在も知られるようになり、当事者であることを公表する著名人が出ている。

発達障害の当事者で「mahora」の開発に協力した支援団体代表の元村祐子さん(50)は「発達障害者が使いやすい商品はすべての人にとって使いやすい。日常生活の違和感を解消する商品が普及すれば様々な立場の人が暮らしやすい社会になる」と強調する。

■診断は48万人、特性の個人差大きく
厚生労働省によると、発達障害者は脳の一部機能の障害により、行動や言語表現、社会的関係を築く上で困難を抱える。
自閉症やアスペルガー症候群などの自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習症(学習障害、SLD)などがある。聴覚などの感覚が敏感、集中力の低下、こだわりが強い、読み書き計算が難しいなど、特性は多様で個人差も大きい。
2018年に厚労省が公表した調査によると、医師から発達障害と診断された人は推計で約48万1千人。12年の文部科学省の調査では、公立小中学校の通常学級でも6.5%の児童や生徒に発達障害の可能性があるとの推計がある。
京都教育大の小谷裕実教授(特別支援教育)は発達障害のある子どもの学習について「一人ひとりで得意不得意が異なり、必要な支援も多岐にわたる」と指摘。「当事者自身が不得意なことや必要な手助けを周囲に発信できるようにし、学習面の選択肢を増やしていくことが望ましい」と話している。

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ノート地の色と読み書きについての科学的な関連性は知りませんが、米国での読字障害と網膜細胞の研究があります。透明な青いカラーシートを紙面に被せると80%、読字能力が上がることが報告されています。原因は解明されていませんが、光の中の赤の光がマグナ細胞に拡散することが細胞の処理速度を落としており、青のフィルターが赤の光を取り除くことで、マグナ細胞を正常に機能させるのではと推定されているそうです。

表裏と前後に関係なく着ることのできる「オールフロントT」は、コロンブスの卵的発想で驚きました。ユニバーサルデザインもここまで行けばすごいです。まずは自分だけの力で着衣できれば自尊感情は100倍高まります。「また反対着ている。また裏側着てる」と着るたびにやり直しをしている子どもには朗報です。

着脱時につかむ場所をわかりやすく工夫した「タッチdeきるんT」をもつ前田香さん