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変わる部活動 学校単位から地域クラブに 指導内容も充実

変わる部活動 学校単位から地域クラブに 指導内容も充実

2022/1/25 【産経新聞】

中学校の部活動が変わり始めている。これまで教師が休日返上で指導してきた学校単位の部活動から地域単位の「地域クラブ」に変わりつつあるからだ。山形県天童市では昨年11月、市立中学4校の野球部が合同で「天童市中学生軟式野球クラブ(天童軟式野球クラブ)」をスタート。指導する町田真裕(まさひろ)代表(55)は「少子化、教師の働き方改革から生まれた新しい部活動の形。野球を通して人間育成を目指す場にしていきたい」と話す。

4中学が一つに
昨年11月、天童市立第二中学校のグラウンドには、市立の全4中学校の野球部員45人が集まった。指導者は町田代表を含めて10人。ユニホームはバラバラだが、活気のある声が一斉に響く。

夏の県大会後、3年生が引退し、各校の部員は9~14人になった。部内での練習試合はおろか、連携プレーの練習もおぼつかない状況になった。「一番少ない天童一中の部員は9人。硬式野球にいく生徒もいるが、これでは中学校で野球ができなくなる」

危機感から町田代表が中心となり天童市野球連盟などと調整し、4校の野球部を合わせた同クラブを始動させた。毎週日曜に4校の部員が1校に集まり、合同で練習する。校庭を雪が覆うようになってからは、体育館や武道場で練習を続けている。

人数が40人規模になったことで練習の幅が広がった。チーム編成が容易になり対抗戦ができるようになった。試合を運営するため、部員はルールを勉強し直し、塁審の目線を学んだ。天童市立一中1年の小座間綾士(あやと)さん(13)は「審判講習は難しかったけど、勉強になった。これからも野球をしたい」という。

幅広い指導者
同クラブには、高校野球で活躍した人ばかりでなく大学野球経験者や陸上競技経験者もいる。陸上競技経験者の天童市立一中の教諭、鈴木友輔コーチ(36)は「野球は総合スポーツ。私は走塁面で指導できますから」という。

「野球の方程式」と書いたホワイトボードを持って指導する大学野球経験者の今田(こんた)昌揮コーチ(40)は、野球と他の球技との違いを部員に丁寧に説明する。今田コーチは「試合に勝つために教えていますが勝利至上主義ではない。むしろ『勝利志向主義』です」とほほ笑む。

練習後、大勢の部員の前で「あの時のプレーだけど、どうすればよかったのかな」と今田コーチが質問する。手を上げた部員の答えに「そうだっ、その通り。それでいいんだ」と部員自らが考え気付いたことをたたえる。

部活動の意味
教師の「働き方改革」を進めるため、文科省は令和2年、「5年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を図る」との方針を示した。スポーツ庁は昨年10月、休日の部活動の外部委託に向けた検討を始めている。町田代表には最近、陸上やバレ―ボールなど他部や他校からも問い合わせが相次いでいる。地域クラブの取り組みが必要なのは、野球だけではないからだ。

同クラブでは雪解けを待って3月末にも、クラブ内でリーグ戦を始める予定だ。できるだけ全員が試合に出られるように工夫する。将来的には全国中学校軟式野球大会の出場も目指す。「天童市の野球をやりたい中学生に野球を続けさせたいという思いで作ったクラブ。互いに競い合い、練習試合を重ねていけば技術もきっと向上していく。野球を通して学んだことを生かせる人間になってほしいんです」と町田代表は言う。(柏崎幸三)

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前に元陸上選手の為末大さんの記事で、教師にとっても生徒にとっても地域クラブの方が主体性が高まると言う内容を掲載しました【部活動の地域移行…為末大さんが推す2つの理由:2021/12/02】。先日、教員に一律にクラブ指導を命じるのは違法だという裁判も始まりましたが、いやいや顧問をさせられている教師のもとで活動する生徒も迷惑な話です。今回は、部員が集まらない学校でやるよりみんながあちこちから集まって入部し、少年スポーツ文化を維持したいと言う強い思いを持った人たちが運営するクラブの記事です。

広いエリアをカバーすれば優秀な選手もコーチも集めやすいです。もちろん、優秀なコーチは短時間でも指導成果を上げられますし、指導される生徒も的を射たアドバイスがもらえます。クラブと学校と切り離すことで、だらだらと休みの日も一日中、学校の中でクラブをするのではなく、スポーツも遊びも勉強も、合理的に切り替える生活が期待できるのではないでしょうか。何より、自分がやりたくて集まってきていると言う点で、先の裁判の話のような、やりたくないのに職場の同調圧力でさせられている指導者はいなくなります。生徒も、学校内の関係性を引きずらずに参加したり辞めたりできるのは精神衛生上良いことです。

また、学校文化からクラブ指導のウェイトが軽くなることで、教科指導以外のところで教員能力が評価される事もなくなります。生徒指導も然りで、強いクラブの顧問が生徒指導部長を引き受けるという本末転倒な人事も減少していきます。学校職員の労働時間を減らすことが目的の地域クラブへの移行ですが、実は古い学校体質や教育体質を変えていくには最も近道の手段かも知れません。

愛着障害

虐待された子どもにとって世の中は、どこに危険が隠れているかわからない恐ろしい場所であり、彼らには見るものすべてが災いの種に映ると言われます。子ども時代、愛と慰めに満ちた安全な家庭で育つことは、健全な心を持った大人になるために大変重要なのですが、残念ながら現実はそうはいかない場合が多いようです。

自分ではまだ何もできない子ども時代に、基本的欲求を満たしてくれ、呼べば助けてくれ、心が傷ついたら愛を持って気持ちをなだめてくれる大人が、もし周りに一人でもいれば、その子どもは大きくなって、「困難な状況に遭遇してもなんとかなるものだ。人生を思うとおりに変えて、切り開いていく力を、自分は持っている。」という、自己肯定感を抱き、自己コントロール力を持てるようになります。自分の意志や欲求に沿って反応してくれる大人が周りにいるということは、周囲の環境と共鳴して生きるということで、これを経験した子どもは、たいてい、自己認識力や共感力を身につけ、人と調和し、社会に適応して生きていくことができるようになります。

虐待やネグレクトのある環境に育ち、自分の基本的欲求や感情的なニーズが満たされず、親または世話をしてくれる大人が自分に合わせてくれない場合、子どもは周りの大人の「子どもはこうあるべき」という概念に自分を合わせる以外なくなります。つまり、大人のニーズに自分を合わせることになり、これによって、「ありのままの自分ではいけないのだ、自分はどこか間違っているのだ」という観念を抱くようになります。虐待された子どもは、周りの人たちの声や表情にとても敏感ですが、それに共鳴するというより、そのサインを脅威とみなして反応する傾向があります。そのため、虐待された子どもは、防衛的になったり怯えたりしやすいといえます。そういう子どもは、やがて、強いふりをして内心の恐怖感を隠すようになったり、心を閉ざしてコンピューターゲームに一人で没頭するようになったりすることもあります。

回避型愛着(avoidant attachment)と呼ばれるタイプの子どもは、母親がいなくなっても泣かず、戻ってきても無視して、一見、何が起こっても知るもんか、というそぶりを見せます。けれども、実際のところ、子どもの身体の方は過覚醒(神経過敏で緊張が高まっている)状態にあります。このタイプの子どもの親は、子どもを触ったり抱いたりするのを嫌がる傾向が強いようです。回避型愛着タイプの子どもは、学校に行くようになると、しばしばいじめる側にまわり、大人になってからも、自分や相手の気持ちに無頓着である場合が見受けられます。

不安型愛着(anxious attachment)、またはアンビバレント愛着(ambivalent attachment)と呼ばれるタイプの幼児は、泣いたり、わめいたり、しがみついたりして、常に自分に注意を引こうとします。母親の姿が見えなくなると非常に取り乱しますが、かといって母親がそばに戻ってきてもあまり満足しません。不安型愛着タイプの幼児の不安傾向はしばしば大人になっても継続し、学校ではしばしばいじめられる側(=犠牲者)になります。

上記の二つの愛着型に加えて、世話をしてくれる大人自体が自分に苦しみや恐怖をもたらす原因である場合、子どもは混乱型愛着(disorganized attachment)という第三タイプに分類されることがあります。混乱型愛着の子どもは、生きるために依存しなければならない相手が、同時に身を脅かす危険な人物であるというジレンマに置かれます。逃げることもできず、つながることもできない、という手立てのない状態にあるわけです。結果として、誰が安全で誰に愛着を示していいかわからないこのタイプの子どもたちは、知らない人に過度に愛情深く接したり、または誰も信じなかったり、といった極端な愛着のしかたを見せるようになります。混乱型愛着を引き起こす要因はなにも虐待ばかりではありません。親自身が、家庭内暴力やレイプ、深刻な喪失などのトラウマを抱えている場合、自分の感情が不安定なために、親は子どもと向き合って安定した保護や慰めを与える場合ができないことがあります。親が感情的に引きこもってしまい、子どものニーズにこたえられない場合、しばしば役割の逆転が起こり、子どもの方が親のニーズを満たそうと懸命になります。こうして親の世話をせざるを得なかった子どもは、大きくなってからしばしば自分や他者に対して攻撃的になり、自分や人を傷つけるようになることがあります。

ただ、理想通り完璧な子育てができなくても、基本的部分で愛情がありさえすれば、子どもは親と適切なつながりを維持して育つものです。感情にまかせて怒ったり、思い通りに世話をできないことが時々あったとしても、本当は愛するわが子にそんなふうにしたくなかった、という思いがあれば、子どもが親に対する信頼を失うことはありません。そもそも「理想通りの完璧な子育て」というもの自体、存在しないです。誰しも、時折迷ったり後悔したりしながら、子どもを育てています。また、仮に、虐待やネグレクトにあって、辛い子ども時代を送ったとしても、その後社会に出て、愛情を感じる経験をしたり、本人の生まれつきの回復力(レジリエンシー)が強い場合、心の傷を自ら癒やして、健全な心をもった大人へと成長することは十分可能です。 

一斉休校は要請せず

政府、一斉休校は要請せず 部活動に中止・縮小の動き―緊急事態宣言

2021年01月07日20時59分【時事通信】

新型コロナウイルス感染急拡大を受けた4都県に対する7日の緊急事態宣言で、政府は小中高校に対し、昨春のような一斉休校は要請しない。学校で感染者が発生しても、校内で広がっていなければ休校せずに教育活動を継続するよう求めた。部活動は身体接触がある運動など感染リスクが高い活動を制限し、警戒を強化するよう呼び掛けており、学校現場では中止や縮小を決める動きが出ている。

都立や県立高校などへの対応では、東京都が全ての部活動の中止を要請。感染状況に応じて、対面指導と家庭でのオンライン学習を組み合わせた分散登校を実施する。埼玉県も部活動を原則中止し、電車・バス通学の生徒の感染リスクを下げるため、始業時刻の繰り下げや短縮授業を行う。

千葉県は部活動のうちリスクの高い活動を中止し、実施時間も放課後の90分以内に制限。神奈川県は部活動を週3日、1回90分程度に縮小する。千葉、神奈川両県は今後の感染状況次第で分散登校などにも取り組む。

政府は16日から始まる大学入学共通テストについては予定通り実施する。各大学や高校などの入試も感染対策を講じた上で行うよう求めた。

一方、全国の保育所や認定こども園、学童保育(放課後児童クラブ)は、医療従事者をはじめ、社会機能を維持するために就業が必要な親の子どもを確実に預かるため、原則として開所するよう各都県と市区町村に通知。昨年4月からの前回宣言時には、全国で一時約200カ所の保育所が休園するなどしていた。
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東京埼玉千葉神奈川の緊急事態宣言でも関西に影響は与えてきます。明日は我が身と自治体の長や役人は考えるからです。せめて、学校は休校にしないでと政府は宣言発出前からアナウンスしますが、東京ではすでに大学がリモート授業に戻すように動き出しています。学校は陽性者が判明しても休校は必要ないと政府は言うけれど、様々なクレーム圧力に学校が耐えきれるのか心配です。

緊急事態宣言とはいうけれど、外国からの入国検疫も気になります。ビジネス目的であれば、中韓はじめ11か国は自国の陰性証明があれば検査なしで入国でき、民間アプリの「LINE」で体調の報告をするのみで良しとする我が国の防疫はザルと言わざるを得ません。空港検疫で少なくない感染者が外国籍(中韓11か国除く)であることを考えれば、緊急事態宣言は頭隠して尻隠さず宣言です。

さらに、昨年のGOTOトラベルは、これで移動した人数は総人口の1%以下で、感染増加に影響を与えた根拠もないのに休止しました。今回は、感染の原因が家庭と施設で6割、会食と接待は1割にすぎないのに飲食店に時間制限を加えています。家庭や施設に制限を加えるわけにいかないが、何もしないのはまずいのでGOTOと同じく飲食店をスケープゴートにあげたのではないかと思います。エビデンスのない制限は効果が上がらないばかりか、信頼感を喪失していくだけなので、これまた感染予防には効果がなかったと総括されている休校措置は、自治体の長や役人の見栄だけ実施しないでほしいものです。

障害ある子どもにオンライン家庭教師を 津田塾大プロジェクトがCF

障害ある子どもにオンライン家庭教師を 津田塾大プロジェクトがCF

2022年1月26日 【朝日新聞】

障害や学びにくさを抱えた子どもたちの学習を支援する津田塾大学(東京都小平市)のプロジェクトが、無料で利用できる「オンライン家庭教師」の実現を新たにめざしている。4月の本格的な開始に向け、クラウドファンディング(CF)で運営費を募っている。

準備を進めているのは、同大インクルーシブ教育支援室の柴田邦臣教授(48)が代表を務める「学びの危機プロジェクト」(通称・まなキキ)。2020年春から、コロナ禍の中で学習意欲がそがれたり、急速に進んだオンライン学習についていけなかったりする子どもたちに、ネット上の教材などを紹介するサイトを開設(https://learningcrisis.net/別ウインドウで開きます)している。有志の学生や院生らによる活用方法のガイドもあり、平易に、楽しく取り組めるように工夫してきた。

オンライン家庭教師を企画したのは、同大院生の浜松若葉さん(26)を中心とする大学生たち。子どもたちとオンラインでつながって学びを支えると同時に、コロナ禍で教える経験を積む場を失った学生たちにその機会をつくり、運営費からアルバイト代も出す計画という。

利用者として想定するのは、発達障害や学習障害があったり、不登校など学びにくさを抱えていたりする小学1年~中学3年生。学習を支える学生は、同大生を中心に他大学からも募集し、4月の本格的なサービス開始を予定している。

浜松さんは「障害のある子どもたちの学びを守るという趣旨に賛同いただけたらうれしい」と話す。

CFでは、障害者らの就労支援をする沖縄県の自家焙煎(ばいせん)コーヒーを主な返礼品に選んだ。CFへの出資を通して、子どもと学生、障害者の就労支援と幅広い社会貢献につながる形だ。

CF(https://www.makuake.com/project/manakiki/別ウインドウで開きます)は2月27日まで。問い合わせは同プロジェクト(050・6878・2585)。(井上恵一朗)

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一般家庭で学習塾に費やされる費用は、2018年の文科省調査では公立小学校在籍児童の平均で13万6000円です。約4割の家庭が月1万円を出費しています。公立中学校在籍生徒の平均では29万3000円。約7割の家庭が月2万5千円を出費します。もちろん発達障害の子どもたちもこの中に入っているはずですが、集団での学習では成果が上がりにくい人は家庭教師を使う家庭もあります。

しかし、そもそも学習障害があったり不注意や興味の限局などの問題があって、その障害特性を教える側が知っていないと時間の無駄になりお互いに嫌な気分になってしまう場合も少なくありません。このサービスがどれほどの支援の質を保障するかは分からないですが、少なくとも個別対応でオーダーメイドの対応をしてくれるなら素晴らしいです。オンラインでの家庭教師は増えましたし、発達障害に対応すると言うふれこみの塾もありますが、その実情はよくわかってはいません。

クラウドファンディングで資金を集め、利用者には無償で対応するとのことです。ただ、学生も経験の場として位置付けるので、必ずしもプロフェッショナルな支援ではなくその支援の質は今のところ分かりません。ただ、少なくとも先輩たちが積み上げてきたこれまでの経験を生かして学生が中心になってやろうとしていることはとても良いことだと思います。

学生の家庭教師アルバイト賃金は平均時給1800円くらいですが、返礼品のコーヒー代金も考えるとバイト料はもっと安いのだと思いますが、CFは目標額の倍以上集まっています。これで何名の志のある学生支援者を集め、延べ何時間の支援を考えているのか分かりませんが、面白いプロジェクトになりそうです。失敗は恐れないで、なんでもやってみたらいいと思います。取組んだ時間は生徒も学生もきっと貴重な財産になるはずです。

学級崩壊

行く逃げる去る。3学期はあっという間です。来年こそはクラス替えをと思う子どもや保護者の声が大きくなってきます。その1番の要因は先生です。先生が子どもと性分が合うかどうかのこともありますが、保護者はそんなに深くは付き合わないので、クラスが安定して運営されているかどうかが評価基準です。安定してとは、学級崩壊の兆しがないかどうかが最低限の基準ということです。

学級崩壊が起きるクラスは、「教師が話を聞かせられないから、学級崩壊が起きた」のか、「学級が崩壊気味であるから、教師が話を聞かせられない」のかは、ケースバイケースです。けれども「子どもに話を聞かせられない教師」は、学級を確実に崩壊させてしまいます。学級での指導は、全て「教員の話」から始まります。学級でのルールを決めていくのも、良い行動を評価するのも、悪い行いを正すのも、まずは教師の言葉です。その言葉が子どもに通らない状態では、クラス全体をまとめていくことはできません。

「優しい先生」も「厳しい先生」も、学級崩壊を起こします。なぜなら、ルールが明確ではないからです。「優しい先生」は、優しすぎるあまり子どもの行動を全て認めてしまいます。「厳しい先生」は、厳しすぎるあまり子どもの行動を全て否定してしまいます。どちらも「先生目線」で事に対象しているので、その場限りの対応になってしまいます。結果、どちらの先生も子どもから見たら「気分によってルールが変わる人」と映ります。そうなれば、後は簡単。先生の目を盗んで、自分たちのやりたいことを通すだけです。一人一人の子が気分で事を通し始めていき、気付けば全体がバラバラになっています。

言っている事がその場限りで一貫性が無い場合、クラスは簡単に崩壊します。子どもたちは、自分が関わっている教師に対して、絶えず値踏みをしています。この人は信頼できるのか、この人は甘いのか、この人は自分のことをどこまで見ているのかなどです。その様々な価値規準の中で「この先生の前では嘘をつけない」と思われない限り、学級の安定は成り立ちません。指導に一貫性がない教師には、子ども信頼が集まりません。信頼されない教師は、あっとう間に子どもに見限られます。それは先生一人に限られたことではないです。その学年全体の先生の一貫性、その学校の枠組みの明確化、子どもに関わる全ての大人のチームワークが問われます。

これは別に、学級に限ったことではなく、放課後デイでも学童保育クラブでも、スポーツチームでも子どもが組織されているものならなんでも同じだと思います。まず枠組みをしっかり示して、その中で個性を認めて引き出してくれる指導者の存在が子どもたちの願いです。

息子たちに働く選択肢を

自閉症の息子たちに働く選択肢を山添利也さん

2021年1月10日 10時00分【朝日新聞】西岡矩毅

レモンやミカンなど和歌山産の食材を使った菓子をプロデュースする山添利也さん(46)。県内の生産者、パティシエ、デザイナー、福祉事業所メンバーらと一緒にスイーツブランド「KANOWA」を2014年に立ち上げた。「それぞれの得意を持ち寄って、お菓子でつながる輪を広げたい」

昨年12月に販売したのは、ミカンのパウダーをまぶしたクッキーなど。パウダーは、えぐみを抑えた果汁を濃縮して作った。障害者福祉施設の利用者がミカンの外皮と薄皮を一つずつ丁寧に取り除いた果肉を搾ってできたもの。利用者の集中力のたまものだ。

和歌山市出身で、関西大学卒業後、大手経営コンサルタント会社に就職。2001年に高校時代の友人に誘われ、和歌山市内にパスタとケーキが自慢のカフェをオープンさせた。

障害者福祉施設を自分事として考えるようになったのは09年。当時3歳だった長男が自閉症と診断されたことだった。市立幼稚園に通っていたが、知的障害などがある子どもたちがそれぞれのペースで過ごす児童発達支援センターに移った。

父親たちが集まれば、決まって話すのは10年以上先のこと。特別支援学校に入れば、小中高等部までは過ごすことができるが、卒業後の進路は決められていない。「息子を受け入れてくれる所はあるのだろうか」と心配になった。

「将来、自分の長男も通うことになるだろう障害者福祉施設の価値を高められたら」。カフェの運営から退き、菓子の企画開発などをする会社を経営。そこの事業の一つとして、福祉施設などと一緒に菓子を作る「KANOWA」を立ち上げた。注文が1カ月以上先まで埋まっている「生レモンケーキ」など人気商品を生み出してきた。

現在、14歳になった長男は、言葉を話すことが難しい。それでもタブレット端末で画像編集をしたり、地図を使って行きたいところを素早く探して見せてくれたりする。

「息子はできないこともあるが、できることだってある。息子と同じ境遇の人たちが、仕事をして楽しく暮らせる環境を作りたい」。得意の菓子プロデュースで輪を広げている。(西岡矩毅)
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施設商品の販売ネックは、販路です。ご近所と知り合いの善意だけでは販路もなかなか拡大しません。また、善意の購入は商品の良しあしが現場で把握しにくいので商品開発の足かせになります。最近は、ネット販売が容易になってきたので商品さえヒットすれば売上も期待できるようになってきました。おいしければ売り上げが増え飽きられれば売り上げが減るという売り上げと商品の人気が連動しているところもよいと思います。

昭和の頃も、10年先20年先を見越して共同作業所作りが保護者の手で展開されました。ただ、その頃は資金を集めて我が子の卒業後の居場所を確保するだけで精一杯でした。先にも述べたように「善意で買ってもらう」「安かろう悪かろう」の商品も少なくなかったし、施設側も商品販売で勝ち残ろうとは考えていませんでした。その結果、商品の質が良くならない、販路が少なくて撤退する現象があちこちの福祉現場で起こりました。

今は、記事のように一般企業とも共同で行う仕事の中身を考えていくという時代に変わってきたのかもしれません。そのためにも付加価値の高いもの、持続性が長いものをどう開発していくのが問われているのだと思います。福祉だから市場競争が免除されるわけではありません。福祉だろうとなんだろうと、そこで商品を作り販売する人たちのプライドを持続するには、様々な経営のノウハウが必要なのだと思います。

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〈独自〉濃厚接触は学校判断、休校減へ 大阪府教育庁

〈独自〉濃厚接触は学校判断、休校減へ 大阪府教育庁

2022/1/26 【産経新聞】

新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大を受け、大阪府教育庁は26日、府立学校の生徒らの感染が確認された際、濃厚接触者の判断を保健所ではなく学校で行う対応に切り替えることを決め、各学校に通知した。保健所の判断を待つための休校措置を減らし、学校活動を継続しやすくする。27日から運用する。

従来は感染が確認されると、学校で濃厚接触の可能性のある生徒や教員を調べて保健所に報告した後、保健所が濃厚接触者を特定するまでは休校としていた。保健所によっては特定に時間がかかるほか、明らかに濃厚接触者がいない場合でも、保健所の判定まで休校しなければならなかった。このために何度も休校を繰り返す学校もあり、現場から改善を求める声が上がっていた。

27日からは、陽性者に加え、学校が濃厚接触者と特定した生徒のみを出席停止とした上で、休校せずに学校活動を継続する。その上で、直近3日間で陽性者と濃厚接触者が学級の15%以上に及ぶ場合は学級閉鎖▽複数の学級が閉鎖するなど、学年内で感染が広がっている可能性が高い場合は学年閉鎖▽学校内で感染が広がっている可能性が高い場合は臨時休校-とする。府立学校だけでなく、府内各市町村や私立学校にも参考として通知する。

府教育庁の担当者は「生徒の行動を一番把握しているのは学校。各学校はこれまでの保健所とのやりとりで、濃厚接触の判断のポイントもよく分かっている」としている。(藤井沙織)

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感染者より長い濃厚接触者の待機期間「なくすことも検討を」

2022/1/26 【産経新聞】

新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」が急拡大する中、感染者の濃厚接触者の待機期間について、見直しを求める声が強まっている。感染者と最後に接触したタイミングによっては、感染者の療養期間より長い最大20日間の隔離が求められるためだ。医療や介護、保育など社会機能の維持が困難になっているとして、大阪府の吉村洋文知事は26日、待機措置そのものの撤廃も検討すべきだとの考えを示した。

最大20日の隔離
厚生労働省によると、感染者は発症翌日から原則10日目まで療養。最後の3日間で回復していれば10日目をもって解除される。

一方、濃厚接触者は感染者の陽性判明後に自宅待機となり、感染者との最終接触後10日間の隔離が原則。例外として医療従事者は毎日の陰性確認を条件に出勤でき、医療従事者以外のエッセンシャルワーカー(社会機能維持者)は最終接触後6日目にPCR検査で陰性となれば解除される。

全国の新規感染者は連日、過去最多を更新し、濃厚接触者も膨大な数に上る。保育所の休園が相次ぐなどして社会活動の継続は困難になりつつある。岸田文雄首相は25日の衆院予算委員会で「科学的な知見を尊重し、社会経済活動を回す観点から待機期間の短縮を検討することが大事だ」と述べたが、吉村氏は26日、「濃厚接触者が仕事に行けず、医療機関や高齢者施設で人員が不足している。早く決断してもらいたい」と危機感をあらわにした。

府内では療養先を調整中の事例を含め、自宅待機患者が26日時点で5万6千人を超える。吉村氏は「数が増えてきたときは、濃厚接触者の待機期間をなくすことも考えるべきだ。緊急の対応として医療や介護、保育(従事者)は仕事ができる環境(を整えること)が必要だ」と述べた。

子が感染、親の待機は・・・
現行の新型コロナウイルス対策上、感染者と濃厚接触した人は検査での陰性確認を条件に、最後の接触から最短で6日目をもって自宅待機解除となる。感染者の陽性判明直後に接触を断てば早期の出勤も可能となるが、子供が感染した場合、同居する親の待機期間は長期化を余儀なくされるケースが少なくない。

「感染した娘より、濃厚接触者の親のほうが待機期間が長いなんて」。大阪市福島区の男性会社員(44)はこう憤る。

男性は妻と小学3年の長女(9)、保育園児の次女(5)の4人暮らし。17日朝に長女と次女が39度台の高熱を出し、近くの診療所の検査で陽性が判明。担当医から家族全員が自宅で待機し、保健所の連絡を待つよう指示された。

夫妻はともにエッセンシャルワーカー。娘2人は順調に回復すれば27日に療養解除、翌28日から学校や保育園へ通える。だが濃厚接触者である夫妻は27日を最終接触日として、さらに6日間の待機を求められる。2月2日の陰性確認後、翌3日に出勤できる計算だ。

区役所からは、男性か妻のいずれかが娘2人と厳密に部屋を分けて生活すれば最終接触日を前倒しできると助言された。しかし男性は「小さい子は関係なく部屋に入ってくるし、狭い家での隔離にどれだけの意味があるのか。感染したほうが早く社会復帰できる運用は、ちぐはぐに感じる」と疑問を呈す。

その後、待機を続けた男性は今月21日にのどの痛みなどを感じ、翌22日に陽性者となった。2月1日から出勤できることになり、結果的に復帰の見通しは早まった。

社会機能まひのおそれ
なぜ濃厚接触者の待機期間は感染者より長く設定されているのか。大阪健康安全基盤研究所(大安研)によると、感染者は発症後10日目までは他人にうつす可能性が捨てきれないため、濃厚接触者は感染者との最終接触日を起点にさらなる隔離が必要になるという。

大安研の朝野(ともの)和典理事長は「感染者数がインフルエンザ並みに増えており、現行の運用では社会機能がまひする」と指摘し、重症化しにくい若者と高齢者らリスクの高い人とで措置内容を変えるなど、メリハリのある対応が必要との見解を示した。

濃厚接触した医療従事者は毎日のPCR検査で陰性となれば出勤可能だが、大阪市立総合医療センター感染症内科の白野倫徳(しらの・みちのり)副部長は「検査に時間がかかり、現実的に難しい」と話し、3回目のワクチン接種を終えた医療従事者は隔離の対象外とすべきだとした。

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子どもが濃厚接触者として特定されたとき、家族全員が「濃厚接触者の濃厚接触者」だから園や学校に来てくれるなという管理者の判断は間違いだと、昨日ブログに書きました。二つ目の記事は感染したほうが濃厚接触者より復帰が早くなると言う矛盾を書いていますが、保健所の言う筋は通っているのでまだましです。一つ目の記事で、吉村知事が濃厚接触者が多すぎて保健所業務の肝心なところが止まってしまうので、学校で判断すれば済むことは学校に任せようと合理化したのは理解できます。しかし、学校に判断を任せなくとも先のような保健所でもできない規制を「協力」の名のもとに強いている様子を見ていると少し不安になります。

二つ目の記事は、エッセンシャルワーカーが濃厚接触者になるたびに休んでいては社会機能が止まってしまうという記事です。首相は「検討する」ばかりを繰り返し、混乱の根本になっている感染症類型の政令変更を行わないまま、小出しに規制を緩めるだけなので、このままで日本社会は大丈夫かと訝る人が増えているという話です。インフルエンザ相当の5類に引き下げて、ワクチン接種の推進だけに力を注げば事態は一気に改善できます。トップが間違いを正さないのですから下々の間違った判断が正されることはありません。

そんな、大人の話の中で、子どもの教育権が理不尽な「協力」の名のもとに奪われているのです。そしてこの間違いはだれも責任を取りません。「正義」のためにやったのだから、免罪されていいという理屈です。しかし、科学的でないことは正義ではありません。感染力が強いという事は、無症状の感染者が多いと言うことです。感染感受性のある人は症状が出ますが、感染感受性の弱い人は症状が出ません。しかし、症状がなくても感染させることはできます。こうして、感染感受性の高い人だけ隔離しても症状のない人は隔離しないのでどこまでも感染は増え続けると言うのが今回の感染急上昇の仕組みです。中国のように無症状の人も全て検査し陽性者を全て隔離するなら話は別ですが、社会機能がマヒする事には目をつぶらなければなりません。

コロナウィルス予防

中華人民共和国湖北省武漢市において、昨年12月以降、新型コロナウイルス関連肺炎の発生が複数報告されており、必要な情報の収集を感染症センターでは行っているところですが、800人以上肺炎感染して30名程死亡していること以外はまだ詳しい情報が中国から得られていません。コロナウイルスとは、人や動物の間で広く感染症を引き起こすウイルスです。人に感染症を引き起こすものはこれまで6種類が知られていますが、深刻な呼吸器疾患を引き起こすことがあるSARS-CoV(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)とMERS-CoV(中東呼吸器症候群コロナウイルス)以外は、感染しても通常の風邪などの重度でない症状にとどまると言われています。

地元の保健所からは、コロナウィルス予防には入り口で手のアルコール消毒をと呼びかけてますが、これはインフルエンザなどの予防策と変わりません。当事業所では空気清浄機をフル稼働していますが、接触感染には効果がありませんので明日から入室時にアルコール消毒を実施します。ちなみに乙訓のインフルエンザ流行は昨年と同じような増加傾斜で、あと少しで警報が発令されるレベルに達しています。手洗いの感染予防に努めましょう。

 

校医が高齢化、感染不安

学校の健康診断、相次ぐ簡略化校医が高齢化、感染不安

2021年1月12日 20時18分【朝日新聞】

小学校や中学校などでの健康診断が、新型コロナウイルスの影響で一部地域で簡略化されている。問診票で所見がない場合は医師による対面での検診をなくしたり、対象学年を絞ったりしている。学校医に高齢の医師が多く、感染を懸念する声があるという。

学校保健安全法や同法施行規則によると、健康診断は公立や私立学校の毎学年が6月末までに受けることになっている。昨年、新型コロナの感染拡大を受け、文部科学省の通達で実施時期が「今年度中」に延期されていた。

健康診断では栄養状態のほか、視力や聴力、眼、耳鼻咽頭(いんとう)、歯、心臓の疾患の有無など11項目を検査する。文科省によると、疾患の有無については、医師による検診を受けることが前提となっているという。

福岡市は昨年7月下旬、健康診断を11月末までに例年通り実施するよう全学校に通知した。しかし、市医師会が8月、今年度の健康診断の延期や縮小を求める要望書を市に提出。「感染のリスクを減らすことにつながる」とし、必要性が高い学年や問診票で判断した選抜者などに対象を限定することや、感染防止策として口腔(こうくう)内の検診はせず、耳・鼻のみの検診とすることなどを要望した。

これを受け市教委は9月、今年度に限っては「学校医が認めた場合、問診票などの確認によって検診を行ったものとして差し支えない」と通知。市教委によると11月末時点で、225校の市立学校のうち、約3割の学校で内科、耳鼻科、眼科のいずれかで保健調査票で所見がある児童・生徒だけを抽出。抽出された児童・生徒が医師による検診を受けたという。うち16校は、どの科目でも対面による検診をしなかった。

抽出の方法をとった市立小学校と、通常通りの健康診断を行った中学校それぞれに息子を通わせる市内の男性(42)は「感染リスクを考えれば、今年度に限っては致し方ないかもしれないが、これが続くと不安もある」と話す。

市医師会によると市内の学校医の平均年齢は60・5歳。耳鼻科の学校医は66人いるが、うち60~80代が30人と約半数を占める。高齢の学校医から、健康診断によって自身が新型コロナに感染するリスクを不安視する声が出ているという。市医師会の担当者は「本来は全員の対面での健康診断が望ましいが、やむをえない対応だった」と話す。

市教委は「苦渋の決断で、ベストな方法だとは思っていない。でもそれだけコロナ感染への不安が大きいということ。医師による検診が必要な子どもはちゃんと診てもらうようにしている」と説明する。

新潟市でも耳鼻科に関して、学校医からの要望で、保健調査票をもとに対面での検診の対象者を抽出する方法をとっているという。

福岡県糸島市では耳鼻科について、小学1年と5年、中学1年に絞ることを決めた。元々全学年が対象ではなかったが、耳鼻科の学校医から「対象者を半分以下に減らしたい」という意向があったという。通常なら対象は約5700人のところ、今年度は約2900人になった。

大阪市教委には複数の学校医から学校を通じて「問診票で所見がある子どもだけを診るようにできないか」と相談があったという。市教委はこれに対し、今年度中に全員を診ればいいということを伝え、通常通りの健康診断を要望した。このほかにも札幌や仙台、川崎、名古屋、神戸市教委にも同様の相談が学校医などから寄せられたという。

東京都教委は、眼科について検診の方法を変えた。通常なら医師が目の周りや粘膜を触ることがあるが、なるべく触れないで診るようにしたという。

文科省の担当者は疾患の有無について「医師による対面の検診があることが前提」とし、各地域で事情があることを踏まえても「感染対策をした上でなるべく法律に基づいて健康診断を実施してほしい」と話す。

一方、耳鼻咽喉科の医師らでつくる「一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会」は、健康診断の実施方法に地域差が出ることについて「各地域の感染状況や感染予防対策の違いがあるため、当然想定される」とする。例年以上に健康相談や保健指導を充実させて補っていく必要があるとしている。(島崎周)

専門家「地域差出ないよう診断実施を」
東京大の衞藤隆名誉教授(小児科学・学校保健)は、健康診断で簡略化された事例があることについて「あくまで例外的な対応で、認めていいことではない」と指摘する。心臓の音で異常を発見したり、体を見ることで虐待に気づいたりする可能性があるという。

「子どもたちを1年に1回直接診る機会をつくるという意味で、健康診断は地域によって大きな差が出ないよう、感染対策をした上で実施するべきだ」とする。学校医の確保については「都道府県レベルの医師会の力を借り、環境整備をしていく必要がある」と話す。

学校における健康診断の検査項目
※基本的に小中高のほぼ全ての学年で実施。聴力などについては一部の学年で省略可(学校保健安全法施行規則や健康診断マニュアルから)
①身長、体重②栄養状態③脊柱(せきちゅう)、胸郭の疾病及び異常の有無、並びに四肢の状態④視力、聴力⑤眼の疾病及び異常の有無⑥耳鼻咽頭(いんとう)、皮膚の疾患の有無⑦歯、口腔(こうくう)の疾病及び異常の有無⑧結核の有無⑨心臓の疾病及び異常の有無⑩尿⑪その他の疾病及び異常の有無

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医師の高齢化で思い出したのは、「もりかけ」の加計学園問題でした。獣医を増やすと獣医の収入減につながるという獣医師会の鉄板規制を改革しようと50年ぶりに獣医学部を作ろうとしたことに、反対派が横槍を入れたという構図でした。医学部の新規開設にも医師会からの規制要望が強く、思うように医学部は作れないと言います。

世界第3位の生産力を誇る日本の医師数は、人口千人当たり2.30人、OECD先進国35か国中30位です。(2017年WHO統計)武漢風邪で医療パニックを起こしたイタリアの約半分です。診療所の医師の平均年齢は60歳で、60歳以上が半数を占めます。学校医のほとんどが地域の診療所の医師で複数校の掛け持ちも少なくないので、高齢医が武漢風邪を敬遠しているというより、そもそもの校医業務が負担になってきた医師が増えてきたのかもしれません。

従って、医師の絶対数を増やさない限りは高齢医の負担を減らすことはできません。小児科医や産婦人科医も負担やリスクが高いわりに収益が少ないという理由で医師が少ないと言いますが、これもOECD諸国平均くらいに絶対数が増えれば少なくない課題が解決されるのではないかと思います。

この際に懸念されるのが医師数の増加が医師の収入減につながると言う理由で、医学部新設の障壁になることです。ただ、サービスの提供側と利用側の利益が相反するのは、我が福祉業界でも起こっていることです。いつの時代もどんな所でも既得権益が改革のブレーキになるのは世の常ですが、OECD30位はさすがにいただけません。

ドキュメンタリー映画「帆花(ほのか)」 重い障害児と家族の日常

ドキュメンタリー映画「帆花(ほのか)」 重い障害児と家族の日常

2022年1月28日 【中日新聞】

生後すぐに「脳死に近い状態」と告げられた西村帆花さん(14)。人工呼吸器やたんの吸引などの医療的ケアを受けながら、さいたま市の自宅で両親と暮らしている。「帆花がいること自体が喜び。生活は幸せに満ちている」と母親の理佐さん(45)。そんな家族の日常を描いたドキュメンタリー映画「帆花」が、全国で順次公開されている。(佐橋大)

今月中旬、理佐さんがオンラインで取材に答えてくれた。画面に映る理佐さんの後ろで、人工呼吸器を付けた帆花さんが横になっている。ベッドの周りにはたくさんのぬいぐるみも。ヘルパーがせわしなく帆花さんのたんを吸引したり、体を拭いたりする。吸引は多いときで約十分おきに必要という。

「一日は、あっという間。その間に、帆花はサチュレーション(血中の酸素飽和度)のアラームを鳴らしたり、表情を変えたりして、いろいろなことを伝えてくれる。お互いに分かり合おうとするコミュニケーションの広がりが楽しい」。理佐さんはほほ笑む。

帆花さんは生後九カ月から自宅で生活してきた。現在は障害福祉サービスにより、三人のヘルパーが交代で週に約四十時間、帆花さんのケアに対応。残りの百二十時間以上は、理佐さんと夫の秀勝さん(45)が分担している。週三日は帆花さんが在籍する特別支援学校の先生が訪れ、一回百分の授業を実施。別の場所で訪問教育を受けている友達とオンラインを通して一緒に学習することも。帆花さんは週二回の訪問入浴サービスや、体を動かすリハビリも受けている。

厚生労働省によると、日常的にたんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な子どもは推計約二万人。昨年九月に親の負担を減らすため、医療的ケア児が通う学校に看護師を置くことなどを自治体などの責務とする医療的ケア児支援法が施行された。

しかし、帆花さんのような重い障害児のケアは誰でも簡単にできるわけではなく、ヘルパーや看護師など支える担い手が不足している。帆花さんの場合、熟練したヘルパーでないと、帆花さんが求めることが正しく理解できず、逆に体調を崩してしまうこともある。そのため、短期入所など施設でのサービスは使えない状態という。

「医療的ケアが必要な子も一人一人違う。その子がどう生きていくかという子ども側の視点で考えて、ケアに関わってくれる人が増えてほしい」と理佐さん。「帆花も一人の子ども。自分の望む生き方を普通に選べ、実現できるような世の中になればいい」と願う。

命の喜び かみ締めて
映画では、帆花さんが三歳の時から特別支援学校小学部に入学するまでの家族の歩みが映し出される。両親は、言葉を発しない帆花さんの表情などから“思い”を感じ取り、帆花さんを喜ばせたいとプレゼントを買い、動物園に連れて行き、誕生日を祝う。

理佐さんは「帆花がいてくれることで生まれる出会い、さまざまな経験を共有できる喜びもある。『いのちがある』ということのありがたさを常に感じ、ささやかな幸せを毎日かみ締めている」と話す。

※映画「帆花」は72分で、東京都中野区のポレポレ東中野で上映中。名古屋市千種区の名古屋シネマテークでは2月5~11日に公開予定。その他の上映スケジュールは映画の公式サイトへ。

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支援学校の訪問教育は、移動させることが生命のリスクになる子どもたちの教育も担っています。在宅の子どもの場合、訪問してくる教員と在宅ケアをする看護師とヘルパーくらいしか外部の人との接触はありません。見過ごされがちなのは介護する家族も子どもから離れる事が出来ないので、外部の人との接触は限定されています。まして、感染症が流行し始めると感染症が命取りになる子どもたちも多いので、訪問する人も極力制限せざるを得ません。もちろん、家族も同じです。

そんな中で、訪問教育の教員は早い時期(10年以上前)からリモートで学校の教室と子どもと家族をつないできました。今、感染症でリモート授業が当たり前になることで、様々な子どもと交流する時間は逆に増えているとも言えます。教室のモニターに映し出される訪問を受ける子どもや家族の姿を多くの人が知るようになったとは言え、まだまだ一般には知られてはいません。コロナ感染が収束して大勢で鑑賞できるようになって、この映画上映が成功することを祈ります。

ドキュメンタリー映画『帆花』

京都みなみ会館 2/25(金)~

南海トラフ地震確率推計結果

政府の地震調査委員会は24日、南海トラフ地震による津波が今後30年以内に起こる確率を推計した結果を発表した。大津波警報の発表基準に相当する3メートル以上の津波は、太平洋側の10都県71市区町村に及ぶ広範囲で26%以上の非常に高い確率で襲来すると予測。5メートル以上は、静岡、三重、高知など7都県29市町村で26%以上の確率で起こるとした。今回の想定で津波の高さが最も大きい10メートル以上は、静岡、三重、和歌山、高知などの6県21市区町で6~26%の確率だが、26%以上の市区町村はなかった。

100~200年間で繰り返し発生しており起きる可能性が高い大地震を中心に想定した。政府が津波の被害想定を「確率」の形で示したのは初めて。調査委は今後、日本海溝・千島海溝周辺や日本海側の地震についても同様の手法で津波想定を行う予定。調査委によると、日本の太平洋沖に延びる海溝「南海トラフ」では、30年以内にマグニチュード(M)8~9の大地震が70~80%の確率で発生する恐れがある。政府の中央防災会議などは2012年、M9・1で最大級の「南海トラフ巨大地震」が起きた場合、津波は高知県黒潮町と土佐清水市で最大34メートルとなるほか、東海から四国の太平洋岸に20~30メートル級が来るとする被害想定を発表した。最悪のケースの死者数は最新のまとめで23万1000人に上るとしている。

しかし今回は、このような最大級の地震は「最近2000年間で起きていないまれな現象で、確率が計算できない」として対象から外した。1361年以降に発生した宝永地震(1707年)などM8~9の地震の記録を基に、起こりやすさを考慮して評価した。

その上で、30年以内に南海トラフ沿いで大地震が発生し、海岸の津波高が▽3メートル以上▽5メートル以上▽10メートル以上――になる確率を算出。それぞれの高さの津波が襲来する可能性について▽26%以上▽6%以上~26%未満▽6%未満――の3段階に分けて、津波が来る可能性が高い24都府県352市区町村について推計した。津波高は地形などの影響を受けるため、市区町村によっては区域で分けたり複数の確率を示したりした。調査委によると、26%は「100年に1回」、6%は「500年に1回」起きる確率に相当し、「26%以上は非常に高い。6%未満でも決して安全ではなく注意する必要がある」という。気象庁によると、津波高3メートルで木造家屋が流失し始め、5~6メートルで全壊の被害が急増するとされる。

平田直(なおし)委員長(東京大教授)は「最大級でなくても大きな被害が出る津波が高い頻度で起きることを認知してほしい」と話している。

1/24(金) 17:00毎日新聞【信田真由美】

今後30年間に7~8割の確率で大地震発生と言われても、「???」ですが、1年間で起きる確率は 5.263%、5年間で起きる確率は 23.687%、10年間で起きる確率は 41.764%、15年間で起きる確率は 55.559%。と確率計算すると、小1の子が成人したころまでに地震発生していなければ、発生確率は五分五分以上になっており流石に無視できなくなります。今後1年以内は5%ですから、人間5%くらいはまぐれにしか感じないのでまじめに考えません。また、内陸部なら津波が3mだろうが10mだろうが関心がなかなか向きません。ただ、海岸部に広がる工業地帯が破壊されるという事は、生産や輸送、送電や配管が大ダメージを受けることになります。その影響が被害の少なかった地域にも及びますから、どうしても長期戦が予想されます。保存のきく備蓄品は事業所でもできるだけ買いそろえようという話になっています。

過剰な反応が招く「検査拒否」

子供が発熱、親は「検査は困る」…新型コロナ周囲の過剰な反応が招く「検査拒否」

2021年1月14日【読売新聞】

家族が検査…即、連絡網
30歳代後半のTさんが、小学校低学年のお子さんを連れて来院された。お子さんは2日前に38度の発熱があり、喉の痛みと鼻汁があるという。来院時はすでに36.8度で解熱していたが、喉は赤く鼻汁もつらそうだった。そのせいで少しせきもある。元気に話はできるし、食事も食べられるとのことでお薬を処方することになった。

Tさんと家族の体調を伺うと、他に風邪の症状、体調を崩している人はいないという。それでも現在のコロナ感染拡大を考えると、コロナ検査は必要だと考えた。そのことをTさんに告げると、コロナ検査を受けるのは困るのでやらないでほしいと言われた。

Tさんの会社では、従業員本人はもちろんであるが、家族がコロナ検査を受けた場合も、24時間対応で電話とメールによる連絡網を回さなければいけないのだという。仕事上も周囲に甚大な迷惑をかけるため検査は拒否するとのことだった。Tさんのお子さんは、元気があるので、いずれにしても自宅で様子を見ましょうということになった。

歴史は繰り返す
最近、医療現場で困っている問題の一つが、このようなコロナ検査拒否だ。検査を拒否するには、たいがい社会的理由がある。周囲の過剰な反応ゆえだ。

会社などの組織としては、できる限り厳重な態勢をとらねばと考えるのは理解できるが、こうした対応に感染拡大を抑える効果がどれほどあるだろうか。弊害の方が大きかったり、Tさんのケースのように、感染症対策としてはむしろ逆効果になる場合もあるのではないか。

この事態は2009年の新型インフルエンザ(A/H1N1型)の流行期の反応を思い起こす。A/H1N1型インフルエンザは今や通常のインフル予防接種にも組み込まれ、治療薬もある弱毒型インフルエンザだ。しかし当時は今と同じように、過剰な反応や感染者を 誹謗ひぼう 中傷するような行為が横行した。

今は必要な検査を円滑に
コロナは世界で感染力の強い変異型が報告されている。ワクチンは軽症化させる期待が持てるが、最終的には薬が開発され、インフルエンザのような日常的な感染症となるまでに数年はかかるだろう。

誰でも感染しうる今は、適宜検査を受け、拡大を避けていくことが大切だ。まずは、感染した可能性があることを隠さずに済むようにする必要があるだろう。社会に大きな影響を及ぼす会社組織においては、産業医と十分相談しながら過剰な対応は避け、マスクの着用やテレワーク活用・スタンバイ配置など、実効性の高い対策を日常化することで、コロナ検査・診療を円滑にできるようご協力願いたい。(常喜眞理医師)

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このケースは氷山の一角です。子どもに症状がなくても子どもが濃厚接触者ならその家族に疑いがかかり、家族全員がいらぬ心配をしなければならないのが今の日本の現状です。しかし、子どもに症状があるのに検査はやめてくれと言うのは同調圧力への強い恐怖反応と言えます。同調圧力というのは、目に見えるものではないので厄介です。

「そんなのお互い様なんだから」とほとんどの人が思っていても、思っているだけでは当事者によってはわからない場合もあります。職場の責任者や組織の長が「社員やその家族の感染や検査はお互い様なので、隠さないで知らせてください。家族の陰性がわかるまで社員は安心して休んでください」と明示してくれれば少しは楽になるかもしれません。

「家族がコロナ検査を受けた場合も、24時間対応で電話とメールによる連絡網を回さなければいけない」ことが負担だと書かれていますが、接触関係のない人や深夜でも連絡しろというなら異常ですが、常識の範囲の時間帯なら接触した人にできるだけ早く連絡するのは大切なことです。接触した方が連絡前に感染判明した場合は、「お互い様」の信頼が崩れるからです。本来、家族の風邪ひきの「疑い」の業務連絡などは無用だと思います。しかし、メディアがこれだけ煽って人心がコロナ脳に感染している今は、速やかな連絡は社会生活の潤滑油だと割り切ればいいと思います。

 

 

 

校休園で仕事休む保護者の支援相談窓口 体制強化検討 厚労省

校休園で仕事休む保護者の支援相談窓口 体制強化検討 厚労省

2022年1月28日 【NHK】

新型コロナウイルスによる休校や休園で仕事を休まざるをえない保護者を支援する助成金について、厚生労働省は電話相談の窓口を設置しています。しかし、感染の急拡大で相談が急増し、時間帯によってはつながりにくくなっていて、厚生労働省は体制の強化を検討しています。

厚生労働省は、新型コロナウイルスによる学校の休校や保育所の休園で仕事を休まざるをえない保護者を支援しようと、「小学校休業等対応助成金」を設けています。助成金は原則、企業が労働局に申請し、法律上の年次有給休暇とは別に有給の休暇を所得させた場合に賃金相当額を企業に支給します。

厚生労働省は、電話相談の窓口を設置し相談を受け付けていますが、感染の急拡大で休校や休園が相次ぎ相談も急増していることから時間帯によってはつながりにくくなっているということです。このため、ダイヤル回線を増やすなどの体制強化を検討しているほか、多く寄せられている質問や相談について、その回答などをLINEで確認できるようにしました。

また厚生労働省によりますと、保護者から助成金を利用したいと企業に相談しても「手続きが面倒だ」などとして申請を拒まれたという相談も寄せられているということです。企業が申請をしない場合、労働局が企業に直接、申請を促しそれでも応じない時は、個人で申請することができます。

厚生労働省は、労働局に設置された相談窓口などに相談してほしいと呼びかけるとともに、ホームページでも申請の方法などの情報を発信しています。

「小学校休業等対応助成金」とは
「小学校休業等対応助成金」は、労働基準法上の年次有給休暇とは別に有給の休暇を取得させた企業に、1人当たり
▽1月と2月は一日1万1000円を上限に
▽「まん延防止等重点措置」の対象地域では
一日1万5000円を上限に支給されます。

非正規雇用で働く人も対象です。
厚生労働省は全国の労働局に「特別相談窓口」を設置して、対応しているほか、電話相談の窓口を設けて相談を受け付けています。

電話相談の窓口は午前9時から午後9時までで、電話番号は「0120-60-3999」です。

“登園自粛”でも利用可
厚生労働省によりますと、「小学校休業等対応助成金」は保育園などが休園しなくても、行政や施設から登園の自粛を求められた場合も利用できるということです。対象には保育園のほかにも放課後児童クラブや放課後等デイサービスなども含まれます。ただ、保護者の判断で登園させなかった場合は助成金の対象になりません。

会社に相談しても「対応できない」の反応
保護者からは、助成金を利用したいと会社側に相談したところ、対応できないと言われたという声が聞かれます。

埼玉県に住む40代の女性は、パート従業員として事務の仕事をしています。夫が単身赴任のため、6歳と3歳の子どもの子育てや家事を1人でしています。感染の急拡大で、3歳の子どもが通う保育園は、今週に入ってから新型コロナウイルスの感染者が出たため休園が続いています。

離れて暮らす両親は、介護施設に入っていて、子どもを預けることができず、パートの仕事を休まざるをえなくなりました。女性が勤務先の社長に状況を説明し、助成金を利用したいと話したところ、労働基準法上の年次有給休暇を取得するように言われたといいます。

女性は、「“休まれると困る”とまず言われ、“助成金の話は後にしてくれ、出勤してから言って”という話しでした。忙しい時期で従業員が少ない会社なので、出勤できる人が減ってしまうことで頭がいっぱいだったのかもしれませんが、制度のことを知らないと感じました」と話していました。

保育園がいつ再開されるのか見通しもたっていないということで、「会社の言うように年次有給休暇を取得してしまうと、今後、何かあった時に休むことが難しくなってしまうと思います。6歳の子どもが通う幼稚園もいつ休園になるかわからないです。出勤できるようになったら会社に制度を利用したいと改めて伝えたいです」と話しています。

女性は、個人で労働局に申請はできるものの、最終的には会社が手続きをすることに変わりはなく制度を利用できるのかわからないと感じています。女性は、「義務までは難しいと思いますが、保護者の希望があれば企業が制度の申請の手続きをしなければならないということになれば制度が活用されると思います。制度がきちんと利用できるようになってほしい」と話していました。

また厚生労働省の電話相談の窓口については、「制度で聞きたいことがあり、何度も電話しましたが、つながりませんでした。問い合わせをしようとした企業がつながらないと申請をやめようということになってしまう可能性があるので改善してほしい」と話しています。

SNSには「労働局に連絡したらクビ」などの投稿も
「小学校休業等対応助成金」について、SNS上でも「助成金を会社にお願いしたら申請が面倒くさいって逆に怒られた」などといった投稿が相次いでいます。助成金は、個人でも労働局に申請できますが、その場合も出勤状況や直近の給与の確認などのために、労働局から企業に問い合わせがあります。

SNS上では、「労働局に連絡したらクビにする的な事を言われました。有給も無くお金がありません。助けて」といった切実な投稿もありました。実際に助成金を利用したいと会社に伝えたところ、対応が難しいと言われたという人に話を聞きました。

40代の介護福祉士の男性は、5歳の息子と2歳の娘を保育園に預けて、妻と共働きをしています。保育園で陽性者が確認されたために来月3日まで休園になり、妻と交代で仕事を休まざるをえなくなったということです。

男性は勤務先に相談したところ、「同じように休園になっても出勤している人がいる中で、助成金制度を使うと不公平になるので使わない」と言われたということです。また、名古屋市の30代のシングルマザーの女性は、小学校2年生の娘のクラスで感染者が出たために学級閉鎖になり、会社を休まざるをえなくなりました。会社に相談したところ、労働基準法上の年次有給休暇を取得するように求められ、「拒否するなら欠勤扱いにする」と言われたといいます。

女性は、「休校などで同様に休まざるをえなくなったら、有給休暇が足りなくなるかもしれないと怖さを感じています。困っている保護者が制度を使えるように、利用方法の周知と企業の理解を進めてほしいです」と話していました。日本労働弁護団「支援必要とする保護者に届くように」助成金を利用できないという保護者からの声が相次いでいることを受け、労働問題に詳しい弁護士でつくる「日本労働弁護団」は、「支援を必要とする保護者に届くようにすべきだ」と指摘しています。

弁護団は、今月19日に「小学校休業等対応助成金」の個人申請の拡充を求める声明を発表し、厚生労働省に提出したということです。この制度では、有給の休暇を取るために助成金を利用したい保護者が企業に申請の手続きを断られた場合に労働局に直接相談したうえで、労働局が企業に利用を促し、それでも拒まれた場合に個人の申請ができることになっています。

保護者が、個人の申請を行う時には企業に必要な書類に署名してもらい、休んだことを確認できる書類などを出してもらう必要があるとしています。弁護団の声明では、申請した保護者はこの間、労働基準法上の年次有給休暇を取ることができず、経済的な負担が大きいため個人で申請できるケースは極めて少ないとみられるとしています。

そのうえで、企業の署名を要件とすべきではなく、休業を確認できる書類も状況に応じて、タイムカードなども認めると個人申請の要件を緩和すべきだと指摘しています。「日本労働弁護団」の長谷川悠美弁護士は、「制度は休校や休園で生活がままならない保護者を救うものなのに企業がそれに対応できていないという実態がある。保護者が簡単に申請できるようにしてほしい。企業に申請を断られるケースがあれば労働弁護団に相談してほしい」と話していました。

「日本労働弁護団」が設置している窓口では
▽月曜日、火曜日、木曜日は午後3時から午後5時まで
▽土曜日は午後1時から午後3時まで
無料で電話相談を受け付けています。
電話番号は「03-3251-5363」です。
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非正規職員にも有給休暇は条件によって付与されます。子育てしながらのパート労働で多い1週間の所定労働時間が30時間未満で、1週間の所定労働日数が4日の場合なら半年たてば7日間の有給休暇が付与されます。しかし、パートの立場で有給休暇を申請する人は実際には少ないです。

急にシフトに穴を開けたのに有休までは申請しにくいという心理的な抵抗があります。会社も申告もないのに敢えて有給を取るように言いません。こうした悪しき慣習もあって、今回の制度をわざわざ会社にお願いして申請する人は非正規雇用の場合言いにくい人が多いのは想像がつきます。

ただ、会社にしてみれば、子どものコロナ休校でパートが休むときは国から助成金が出るのですから会社の自腹を切るよりは有利なはずですが、一人数万円以下の事であれこれ事務量が増えるくらいなら有給休暇にして自腹を切った方がましという感覚なのでしょう。しかし、労働者側にしてみれば、コロナだけで少ない有給休暇を取得してしまえばもしもの時に有給で休めなくなるのも困ります。

原因の元を作っているのは、決められない変えられない日本の政治の癖です。感染症法の分類を季節性インフルエンザ並みの「五類」に引き下げればインフルエンザ時と同じ2割感染が学級閉鎖や休校基準になるので少なくとも濃厚接触での自宅待機や少数感染者での休校はなくなります。

反対者は引き下げたら医療費の負担が生じて病院側も対応できないなど出来ない理由を並べます。しかし、そのために政治家がいるのですから、激変緩和として政府の医療費負担を始めとする財政支援は今のまま続けると政令を出せばいいのです。

それもできないなら、せめて事業者があれこれ悩まないように簡単な請求ですぐに仮払いする仕組みや、申請漏れを違反として罰金を科すか、申請したら企業が有利になるようなポイントを与える等手続きがスムースになる工夫をすれば良いのですが、これまた決められない変えられない政治の癖が前に立ちはだかります。

温度差があった?

障害児がいじめられて転校 学校は当初認めず、後に謝罪 

宮崎市立小学校の特別支援学級に通い、軽い知的障害のある5年生男児(11)が通常学級の複数児童からいじめられて不登校となり、今月転校したことが分かった。2年生の頃からいじめられていたという。学校は当初いじめと認めなかったが、父親の訴えを受けた市教委の指導後、事実関係を認めて謝罪した。
 
市教委や学校によると、男児は理科や社会などの教科を通常学級で学ぶ「交流学級」に参加。2年生の交流学級で複数児童から「キモい」と言われた。3年生では顔をつねられたり上履きを隠されたりし、4年生では上履きを水でぬらされた。5年生では理科の授業中に実験材料のマメを食べるよう迫られたという。
 
2年生時から父親が担任らに対応を求めた。だが、学校は加害児童からのみ聞き取り「児童間のトラブル」として、いじめと認識せず、加害児童への注意にとどめた。昨年4月、父親の訴えを受けた市教委が、いじめが疑われる事案として丁寧に対応するよう学校を指導。学校は5月、男児が2年生時からいじめを受けていたと認め、父親に謝罪した。だが、男児はその後不登校になり、今月、近隣の小学校に転校した。
 
昨年4月に就任した校長は「早い段階で真摯(しんし)に向き合っていじめを解消していれば、ここまでの事態にはならなかった。転校になって申し訳なく、残念だ」と述べた。市教委の押川幸広・学校教育課長は「2年生当時から、いじめを前提とした指導がされていれば長引くことはなかった。いじめ防止基本方針を2014年度に策定した市教委と学校現場の間に、いじめの認識で温度差があった」と述べた。

朝日新聞社 2020/01/26(伊藤秀樹)

教育委員会の認識が「いじめの認識で(学校と)温度差があった」などと平然と言っているから、2017年度の法改正後も訴えがあるのに学校が握りつぶす状況が後を絶たないのです。教育長や自治体の長そのものがこの法改正の趣旨と「温度差」のある認識だったと言うべきなのです。配下の職員が問題を起こしているのはトップの責任だという感覚の欠如こそ一番の問題です。

「いじめの防止等のための基本的な方針」は、いじめ防止対策推進法(2013)に基づいてすべての学校で決められている方針です。これは、2011年に大津市の男子生徒がいじめを受け自殺したことをきっかけに制定されました。いじめ防止対策推進法で定めている主なこの法律は3年後に見直すことになっており、2017年に改訂されました。「いじめの防止等のための基本的な方針」の改定のポイントは、学校のいじめ対策・いじめの情報共有の義務化、いじめの未然防止・早期発見できるよう指導の強化・変更、いじめへの対処の変更、重大事態へ対応できるよう組織の設置でした。

これは法律は初めて「いじめ」の定義を設け、児童等のいじめを明確に禁止しました。行為の対象となった児童が心身の苦痛を感じるものが「いじめ」とされ、被害者の主観によって判断されることが明確にしました。また、いじめが見つかったら、被害者と被害者の保護者のケアをすることが義務になっています。例えば、カウンセラーとの相談機会を設ける・いじめ加害者に別の教室で勉強させる・生命や身体の安全が危ないときは警察に通報するなどです。こうした取り組みによって、被害者や保護者のサポートをする義務を定めています。

いじめ防止対策推進法の第19条・第20条では、SNSなどインターネットを介して行われるいじめに対しても学校・親が指導し、防止に努めるよう定められています。また、実際にいじめに遭ってしまった場合、発信された情報の削除や発信者を特定するための協力を法務局または地方法務局に求めることができることも記載されています。

いじめの相談があったり、いじめが疑われるようなことがあったりした場合は、学校側がいじめの事実を調査することが義務としています。また、一定の重大事態に該当する場合には、教育長や学校長の下に組織を設け、調査を行うことが義務付けられています。実際には、調査の公平性・中立性の観点から、第三者委員会が立ち上がっています。また、調査結果は、いじめを受けた被害者や保護者に対して情報提供されます。ただ、いじめの調査方法が具体的に定められていないという問題点があります。

学校側は、いじめの重大事態があった場合、教育委員会を通じて地方公共団体の長に報告し、地方公共団体の長は、いじめの再調査を行ったり、また、地方公共団体の長や教育委員会は、再発防止のための措置を取ったりすることが決められています。いじめの加害者に対する処分として、停学処分や出席停止などが認められています。しかし、処分をするかどうかについては、第一次的には、校長や教員、教育委員会の判断となるため、加害者が厳重な処罰を受けないことが多いです。

いじめ防止のために、いじめの定義や、「いじめは犯罪である」、「人としていけないことである」ということを教え、「やさしさ」や「思いやり」を育むような道徳教育が義務になっています。弁護士が学校に出張して、いじめ防止授業を行うなどの取り組みも増えています。改正前は、「けんかやふざけ合い」がいじめの対象ではありませんでしたが、被害者がいじめだと感じる「けんかやふざけ合い」をいじめの対象に含めるようになりました。これにより、いじめの定義が以前より広がり、今まで「ただのけんかだった」「ふざけていただけ」と対象外になっていたいじめも対象になり、今まで対応できていなかったいじめについても、対応できるようになりました。

学校の教職員がいじめを発見した場合などは、学校内で情報を共有し、学校全体で対策を取ることが原則になりました。教師全体でいじめ問題の解決に取り組み、複数人による状況判断からの支援が可能になりました。これに伴い、学校では教職員が情報を共有しやすい環境を整えることが重要です。また、報告・情報共有を怠った場合、教育委員会から懲戒処分を受けることもあります。

いじめの未然防止として、未就学児・幼児期においても相手を尊重した行動が取れるよう指導を行うことや、授業においていじめを題材に取り上げ、生徒ひとりひとりが考え、議論できるような取り組みを行うことが定められました。早期発見に関する改定では、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーの配置、いじめに関するアンケートの実施、子どもに周囲に相談することの重要さを理解させる取り組みなどが定められました。

いじめの再発確認期間を延ばしたり、いじめ後の被害者との面談などを実施したりすることも義務化されました。そのほかにも、被害者が、発達障害者や帰国子女・性同一性障害者・避難民などの場合に応じて、個別の対応をすることや、いじめ問題に対応するために、弁護士や教育委員会から派遣されるカウンセラーとの連帯を強めていく方針などが決められました。重大ないじめ問題が発生した場合、調査・判断できるように学校や地方自治体では、専門組織を設置することを推奨しています。また、学校だけではなく、地方自治体や教育委員会が連携できるような体制を整えることが重要です。

いじめ防止対策推進法に関して、2017年の基本方針の改正後も問題点が多いという指摘があります。実際、改正後もいじめはなくなっていません。以下は、いじめ防止対策推進法の主な問題点です。いじめ防止対策推進法では、加害者に対する任意の処分は規定されていますが、教員や学校に対する罰則が定められていません。そのため、いじめへの取り組みが甘くなってしまうというという難点があります。現場の教職員がどこまで責任を負うべきか議論が必要であり、必ずしも一教員だけの問題とは限りませんが、現にいじめを放置されている事案もありますので、改正論議が行われています。

いじめ防止対策推進法では、学校や地方公共団体が連携していじめ問題へ対処することが取り決められていますが、地方公共団体によっては、いじめ問題への取り組みが甘いという指摘があります。そのため、いじめが発生、放置されやすい地域があると言わざるを得ません。いじめ防止対策推進法では、いじめの調査を義務化していても、調査方法を具体的に決めていないので、地域によっていじめの認知数に差が出てしまいます。

いじめとは、特定の子どもが心理的・物理的に攻撃される行為のことです。周囲がいじめと感じないような行為であっても、加害者がいじめと感じたらいじめになります。しかし、前述した通り、加害者への処分が義務化されていなかったり、教員・学校への処分が明確に定められていなかったりするので、いじめが単なるトラブルとして扱われ、十分な対応をしてもらえないこともあります。実際、2019年3月には、広島の学校で重大ないじめがあったにもかかわらず、学校側が重大事態として半年も扱わなかったことが問題とされた事案もあります。

これらは学校や担任の責任ではありません。こうした学校や担任を生み出しているトップの責任です。傷ついた子どもに謝って済むようなことではないと思います。子どもに正義を示すべき大人はどうすればいいのか考えて欲しいものです。法律に罰則がなくとも、自治体の長に責任をとる決意さえあれば、誰も責任を取らないお役所天国は脱却できるものだと思います。

 

 

熱海市、全小中学校に端末配備

タブレット授業、慣れてみよう熱海市が全小中学校に端末配備児童「一気に分かり勉強になる」

2021年1月15日 07時12分【東京新聞】

小中学生に1人1台の情報端末を用意する国の「GIGA(ギガ)スクール構想」に基づき、熱海市内の学校ではすべての児童生徒にタブレット端末が配備された。今月から準備の整った学校から順次、授業での活用が始まっている。現場の様子を取材した。(山中正義)

十四日、桃山小三年生の教室。算数の授業を受ける児童たちの机には筆記用具とタブレット端末が置かれていた。児童たちは筆算の問題をノートで解き、端末で撮影。送信すると、教室の大型モニターに全員の解答が映し出された。
互いの解答を見比べたり、先生の説明を受けたり。端末に入った学習ソフトで計算問題にも取り組んだ。

「答えが(モニターに)出るから説明しやすく、いろんなことが一気に分かって勉強になる。操作は分からないこともあるけど慣れてきた」。高須瑚子(ここ)さん(8つ)はうれしそうに話した。
担任の植松仁教諭も「児童の答えを比較するなど、今までできなかったことができる。時間の節約にもなり、児童への個別対応や子どもの考える時間も増える」と可能性に期待した。

市教育委員会によると、端末は市内の小中学校十二校に計千四百六十四台を配備。活用に向けては、全校の教職員を対象に研修会を開くなどして準備してきた。
端末は現在、学校で保管しているが、携帯電話のように場所を選ばず使えるため、将来的には持ち帰りできるようにする方針。休校時などでも学習を継続できるためだ。市教委の担当者は「今後も情報を現場から吸い上げたり、他市町の取り組みや民間の知見をもらったりしながら活用を進めたい」と話す。

ギガスクール構想では文部科学省は当初、二〇二三年度までの配備完了を計画していたが、新型コロナウイルスの感染拡大でオンライン学習への対応が急務となり、前倒しして本年度中の実現を目指している。
県内では東伊豆町のように一部の学年で配備を先行し、活用している自治体もある。

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十二校に計千四百六十四台を配備ということは1校あたり122台。学校配備という事は、家庭には持って帰らないので、この100台ほどの充電はどうするのか、アップデートはどうするのか、外部へのアクセス制限や外部からの侵入のセキュリティーは誰が監視するのか、学年に応じた教材のインストールは自動化されているのか、児童が自由に使える時間は与えるのか、ゲーム制限はどの程度どんな方法でかけるのか?知りたいことがいっぱいです。(上記のことはルールさえ決めればほとんど自動化できるシステムが販売されています)

教育委員会が言うように家に持ち帰らせるのがいいと思います。小学生に6年間、中学生には高校までの6年間を貸与してしまうのです。6年も経てばほとんどの端末は新しいソフトウェアに対しての機器の性能が追いつかなくなるのでそれで廃棄します。要は、担任に端末の管理義務を負わさせないことが重要です。

端末の管理は充電だけではなく、細々としたことが端末ごとに必要になります。放デイの事業所は10台程度の端末ですから一人でもなんとかなりますが、これが20台30台となるとメンテナンスが大変です。

メンテナンス責任の基本(充電・アップデート・家庭WIFI設定)は保護者責任とし、その他のメンテナンスを業者に任せるならGIGAスクールはスムースに開始できると思います。これまで学校が躊躇しICT教育が遅れた主要な原因は端末の管理です。どんなことでも新しいことができない理由はいくらでも並べられるので、ある程度の見切り発車は必要ですが、メンテナンスの外注とその予算獲得は必須です。

休校中のタブレット持ち帰り 徳島市の特別支援学校は実施せず 保護者「いつ使うのか」 県教委、対...

休校中のタブレット持ち帰り 徳島市の特別支援学校は実施せず 保護者「いつ使うのか」 県教委、対応のまずさ認める

1/30(日) 【徳島新聞】

新型コロナウイルス感染拡大に伴う臨時休校の間、自宅学習などに役立つとされるタブレット端末。県教委は児童生徒に端末を持ち帰らせるよう各学校に指示しているが、国府支援学校(徳島市)では情報モラル教育の不十分さなどを理由に実施していない。徳島新聞「あなたとともに~こちら特報班」には、「せっかくの端末なのに、いつ使うのか」と保護者から疑問の声が寄せられた。

保護者によると、国府支援学校では今月中旬、コロナ禍で3度目となる休校となった。子どもは外出もできずに自宅でだらだらと過ごしたという。保護者は「休校中、学校は子どもを放ったらかし。毎朝、学校と自宅をオンラインでつないで健康確認をしてもらうだけでも規則正しい生活を送れるのに」と憤る。

これに対し、橋本敦子校長は「インターネット上のトラブルや、家庭での情報通信技術(ICT)環境などクリアすべき問題も多く、検討を重ねている」と説明する。国府支援学校では以前、学校で撮影した写真を生徒が会員制交流サイト(SNS)に投稿するケースがあったという。

県内の学校で新型コロナ感染が相次いだことから、県教委は20日、臨時休校に備えてタブレット端末の持ち帰りを指導するよう県立学校長らに要請している。国府支援学校については「情報モラル教育が不十分だという理由で学校が慎重になり過ぎた」と対応のまずさを認める。

全児童生徒に1人1台の端末を配備する国のGIGAスクール構想は、新型コロナ感染拡大に伴って計画が前倒しされたという経緯がある。県内の他の特別支援学校では、端末を操作できない生徒を除いて持ち帰りが既に始まっている。

県教委特別支援教育課は、子どもたちにとって着替えなど学校でできたことを家庭で再現する「般化」は喜びにつながっており、端末は般化にぴったりのツールだとする。同課は「トラブルを恐れていては家庭学習にも遅れが生じる」と強調する。

この保護者から指摘を受け、国府支援学校は早速、保護者全員に「臨時休校中に自宅で取り組めることを考える」と通知した。近日中にもタブレット端末の持ち帰りを始めるという。保護者は「授業でも朝礼でもいいので、休校中も学校とつながることで子どもは安心できる」と、今後の学校の取り組みに期待を寄せた。

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みなさんの学校では学校配布のタブレットが有効に使われているでしょうか。特別支援学校の関係でタブレット利用が言われたのは、私たちが知る限り昨年の休校中に学校が作ったYoutube動画教材だけでした。リモートの授業がされたとは聞いていません。もちろん、小中学校の特支級も同じです。別にコロナの臨時休業を想定したからタブレットが配布されたわけではありませんが、それにしても配布完了してからもうすぐ1年です。

特支校や特支級なら人数も少ないですし、個別対応も簡単ですから、こちらのほうが担任さえその気になればリモート授業はすぐにでもできるはずです。超法規的に濃厚接触者の濃厚接触者まで出席辞退を求めるならせめてリモートで健康観察をしたり保護者に様子を聞くようなリモート対応があってもよさそうなものです。

記事の校長の弁明は言い訳にもなっていません。ネットトラブルは、ネットを使う限りつきものですし、家庭のネット環境が様々なことは配備前から分かっていたことです。しかし、全てが揃うまで何もしないのではないのではなく、できるところから実施し、実施しながら課題を解決するように指示を出せばいいのです。特別支援の教員は通常教育より人員が多いのですから、生徒が休んでいればICT教育に割く時間は容易にひねり出せます。

またSNSへの不適切利用への対策については、高等部の就学奨励費でタブレット購入が認められた何年も前から各地で取組まれていて、管理システムで解決できる事がわかっています。「学校が慎重になり過ぎた」のは、ICT教育がどうのこうのという以前に、学校管理職自身がデジタルツールを自在に使えないし経験すら少ないという、学校管理職自身のICTリテラシーが弱いことが原因です。知らないものを異常に警戒をするのは新型コロナの過剰対応と同種の心理作用です。それを知りながら、物だけ渡してあとは丸投げと言う自治体の教育行政の姿勢にも問題があります。丁寧なリモート教育の導入支援を期待します。

保護者等向け放課後等デイサービス評価表

保護者の皆さんに、先週「保護者等向け放課後等デイサービス評価表」を配布しました。これは年に一度事業内容を振り返って次年度計画に生かすものです。締め切りは今週末となっています。ご協力よろしくお願いします。以下に、今回の取り組みの意義を示しましたのでお読みください。

「事業者向け放課後等デイサービス自己評価表」及び「保護者等向け放課後等デイサービス評価表」について

厚労省が作成した「放課後等デイサービスガイドライン」は、放課後等デイサービス事業所における自己評価に活用されることを想定して作成されたものです。事業者が自己評価を通してガイドラインに示された各サービスの内容を向上させる仕組みです。さらに、放課後等デイサービスを利用する子どもの保護者等による、ユーザー評価を活用することになっています。上記の2つの評価表は、事業所等でガイドライン項目に適時加筆削減して活用することになっています。2つの評価表の基本的な活用方法としては、以下の手順を想定しています。
ステップ1 保護者等による評価
○事業者から保護者等に対して、「保護者等向け評価表」を配布してアンケート調査を行う。保護者等からの回答は集計し、特記事項欄の記述を含めてとりまとめる。
ステップ2 職員による自己評価
○事業所の職員が「事業者向け放課後等デイサービス自己評価表」を用いて自己評価を行う。その際、「はい」「いいえ」などにチェックするだけでなく、各項目について「課題は何か」「工夫している点は何か」について記入する。
ステップ3 事業所全体による自己評価
○職員から回収した評価表を集計の上、職員全員で討議し、項目ごとに課題や工夫している点について、認識をすり合わせる。
○職員間で認識が共有された課題については、改善目標を立てる。討議の結果は書面に記録し、職員間で共有する。
○討議に際しては、保護者等に対するアンケート調査結果も十分に踏まえ、支援の提供者の認識と保護者等の認識のずれを客観的に分析する。
ステップ4 自己評価結果の公表
○自己評価結果の公表の仕方については、基本的には「改善目標」や「工夫している点」の主なものについて、できるだけ詳細に発信する(「はい」「いいえ」の数の公表を想定しているものではない)。
○保護者等のアンケート調査結果は、保護者等にフィードバックする(対外的に公表することまでは前提としない)。
ステップ5 支援の改善
○立てられた改善目標に沿って、支援を改善していく。
○業務改善に真摯に取り組む事業所ほど、公表される自己評価結果には、改善目標に関する記述が多くなされるものと想定しています。
○また、(地域自立支援)協議会や事業者団体において、これら評価表を使った自己評価結果の事例発表を行う機会を設けるなどにより、自己評価の取組が広がっていくことが期待されています。

放課後等デイサービスガイドライン

自己評価表

 

 

 

就労継続支援B パラeスポーツ

パラeスポーツに夢追う秩父の男性ら、技術磨き群馬・太田、就労支援事業所/埼玉
2021年1月16日【毎日新聞】

コンピューターゲームの腕前を競う「eスポーツ」に特化した障害者向け福祉作業所が群馬県太田市に開設された。選手の育成、ゲーム動画の配信や、関連イベントでの活躍を目指す上で必要な技術を習得する機会を提供。拡大するeスポーツ市場で夢をつかみたいという利用者を後押しする。

太田市の就労継続支援B型事業所「ワンゲーム」で2020年10月下旬、動画配信イベントが開かれた。ゲーム大手セガのプロデューサーをオンラインで招き、利用者がパズルゲーム「ぷよぷよ」で勝負。「おっと、この場面はつらい」「圧巻の勝利です!」。別の利用者が実況で盛り上げ、白熱した雰囲気に包まれた。

イベントの司会を務めたしんじさん(24)=秩父市=は難病で手足の筋力低下と感覚障害があり、14歳から車いすに乗っている。指が動かないため、手のひらでコントローラーを操作し、ゲームを楽しむ。「趣味を仕事につなげたい」と20年8月、ワンゲームに通い始めた。目標は技術を高めて動画を配信し、プロの大会に出ること。「早く実力を上げたい」と熱っぽく語る。

eスポーツは全国で競技大会が開かれ、選手や観客が増えて市場規模が拡大。ワンゲームは20年6月に開設し、選手を養成するほか、実況や解説、映像・音響などeスポーツ関連で求められる技術を磨くコースが用意されている。

同じく選手を目指す太田市の男性(25)は約5年前、発達障害と診断された。当時通っていた専門学校で、一部の課題に向き合えずに苦しんだが、ゲームや小説には夢中で取り組めた。「できないことを欠点と捉えるのではなく、視点を変えて長所を伸ばしたい」。男性は集中して物事に向き合う特性を仕事に生かしたいと考える。

ワンゲームを運営する「ワンライフ」(前橋市)最高経営責任者(CEO)の市村均弥さん(33)は「何かに挑戦して成功体験を得ることで自信につなげてほしい。100人いれば100通りの選択肢がある社会にしたい」と話した。
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なるほど、目からうろこでした。障害者就労支援制度にゲーマー養成とは、時代は変わるものです。確かにパラスポーツの選手養成があるのですから、パラeスポーツの選手養成は不思議ではないです。プロ選手なのですから就労という枠組みに入るのも頭ではわかります。しかし、そんな理屈で就労支援のB型をと開設した運営者には脱帽です。就労Bと言えば、施設内で生産作業をしている障害者を思い浮かべていた既存イメージを彼らは軽々と乗り越えていったのです。

実際にここからどんな選手や、イベンター、解説者が出てくるのか楽しみです。子どもたちともう少し詳しくeスポーツを調査してみたいと思います。

 

教員が燃え尽き症候群にならないために

教員が燃え尽き症候群にならないために(今村裕の一筆両断) 

1/31(月) 【産経新聞】

大阪北区のメンタルクリニックへの放火事件で25人もの人が亡くなった事件は記憶に新しいことでしょう。犠牲者の中に、学校の先生がおられたことも話題となりました。これは氷山の一角で、隠れるようにクリニックなどに通院され、診療、カウンセリングを受けておられる方も多いことでしょう。院長を含め、犠牲者の方には心よりご冥福をお祈りします。

「バーンアウト(シンドローム)」という言葉をご存じでしょうか。日本語では「燃え尽き症候群」ともいわれています。1970年代に米国で医療、福祉の現場に携わる、人と直接関わることを主な方法として人を援助する仕事(以下、対人援助職)などに従事する方々に生じる現象として話題にされ始めました。「人を相手に働く過程で、援助者が心身のエネルギーを失い、患者さんをはじめ、同僚に対しても否定的な態度を向けたり、自分自身に否定的な評価をしたりする現象」とも言われます。これ以上専門的なことはここでは触れませんが、ヒューマン・サービスともいわれる対人援助職の方々ご自身が疲弊してしまっていることが特徴です。

日本では看護師にバーンアウトが多いことから、耳にされた方もいらっしゃることと思います。ほかに介護職、保育士からも「心身の不調で長く勤務が続かない」などの声が聞こえてきます。放火で亡くなられた教員経験者も、その傾向があったとの報道がありました。鬱(うつ)病などの精神疾患で病気休暇となった教員の数は、公立学校で令和元(2019)年度に5478人と過去最多になっています。ここ10年以上毎年5千人前後の人が精神疾患で病気休職となって高止まりしているのが現状です。

この春から、学校の教員を含め看護師など対人援助職となられる若い方にとっては夢を壊す内容になるかもしれませんが、こういう現実もあることも知ったうえで、新しい職場に向かってもらいたいと思います。

昭和41(1966)年度と平成18(2006)年度、さらに28(2016)年度に文部科学省による大規模な教員勤務実態調査が行われました。残業時間について、昭和41年度では約8時間(平日休日を含め)だったものが、平成18年度では平日は約34時間に増加、休日は8時間に増加となっています。28年度の調査では、10年前の18年度の調査と比較して、教諭については1日あたり、小学校の平日で34分、土日は49分、中学校の平日で32分、土日は1時間49分の増加が明らかになりました。残業時間だけの問題ではありません。

最近でも、さらに業務量は増え続けています。例えば令和2年度から新しく実施されている小学校新学習指導要領において、プログラミング教育の必修化、これまで5、6年生が行っていた外国語活動が3、4年生から週1~2時間で導入され、5、6年生では「外国語」として正式に教科化、週3時間程度行うようになりました。「働き方改革」と銘打たれているさまざまな動きがあるものの、逆に教員の忙しさに拍車をかけているのかもしれないと思えてくるほどです。

「チーム学校」「令和の日本型教育」「GIGAスクール構想」「アクティブ・ラーニング」「プログラミング教育」「ICT活用」「オルタナティブ教育」「グローバル化対応の教育」「SDGsに対応した教育」…。ここ10年ほどの間に学校現場で取り組むようにと、声高らかに喧伝(けんでん)されてきた言葉です。すでに消えかけているものもあります。「いじめ」や「不登校」などへの対応、さらには理不尽だと思われるような要求をする保護者との対応などはそれ以前から、喫緊の課題とされています。

肝心なことを忘れていました。毎日5~6時間分の授業の教材研究や教材作成、採点や添削、学級経営、学校行事、校務分掌、日常的な保護者対応、子供のトラブル対応、お便りや資料作成、職員会議、研修など多方面にわたり取り組んでいるのです。

おっと、これもあります。中学校には「部活動」と呼ばれる究極のボランティア活動がありました。現在はこれに「武漢コロナウイルス対応」が加わっています。

「子供たちの教育をよりよく」と考えての改革はわかりますが、それを実施する教員の業務はすでに飽和状態です。何かを増やすのであれば何かをなくさなくては、メンタルの不調を訴える教員はさらに増加することでしょう。

平成30年の春に、NHKで学校が舞台のドラマがありました。内容は「いじめ、体罰、モンスターペアレンツ、教員のブラック労働」などにスポットを当て、崩壊寸前の学校現場にスクールロイヤー(学校弁護士)が立ち向かうというものでした。ドラマだとつい脚色が過剰になり、現実との乖離(かいり)を感じますが、このドラマはなかなか現実感があったと記憶しています。ひとつ印象に残った台詞(せりふ)を紹介します。スクールロイヤーが「学校の先生方は何を求めているのか?」と尋ねたことに対し、教務主任の先生が「教師の数を増やしてほしい。ただそれだけです」というシーンがありました。もっと他に方法があるだろうと考える方もいるでしょうが、教員の問題を考えたとき最終的にたどり着くのは「人を増やしてほしい」の一言に尽きるのかもしれません。

「これだから学校の教師は甘えているといわれるんだ」と別の業界から声が聞こえてきそうです。

【今村裕(いまむら・ゆたか)】昭和31年、福岡市生まれ。福岡県立城南高校、福岡大学、兵庫教育大学大学院修士課程、福岡大学大学院博士後期課程。公立小学校教諭、福岡市教育センター、同市子ども総合相談センター、広島国際大学大学院心理科学研究科、大分大学大学院教育学研究科(教職大学院)を経て、現在開善塾福岡教育相談研究所代表。純真短期大学特任教授。臨床心理士、公認心理師。

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現代の若者には、公立学校の教師は働きがいがないと見えているようです。先の文科省調査では全国の公立学校で、2000人以上の教員が不足しているとし、公立の小中高校で1860人、特別支援学校で205人の教員が不足しているそうです。教師が配置できず、授業を実施できない中学校は16校、高校は5校にのぼっているそうです。産休や育休の取得者数や、特別支援学級の数が増えたことが主な要因と考えられるといいます。また、2021年度に全国で採用された公立小学校の教員の採用倍率は2.6倍で、3年連続で過去最低となっています。

バーンアウトする前に学校を離脱する若手教師も多いです。記事にもあるように次から次に新しい教科を増やす割には教員は緩やかにしか増えません。小学校で6時間授業をすれば一体その準備はいつやるのか、昭和までは準備もそこそこに教科書どおりに自分の知っていることを話して、子どもの出来不出来は自己責任と言うシステムで良かったのですが、情報社会は閉じた学校システムを許さず、働きの悪い教員や管理職をあぶり出すようになりました。その結果、教員同士がお互いを守ることがなくなり、孤立化させられ弱い教師は精神を病むという結果になっています。

チーム学校等と当たり前のことを言わなければならないほど、教員は孤立化し追い詰められているとも言えます。バーンアウトと言うと一生懸命頑張って燃料切れで落ちていくイメージですが、最近の傾向は、頑張る前に落ちていく教員が多いようにうかがえます。人手を増やすことは、仕事量を減らして多忙感を減らす意味では有効かもしれませんが、働き甲斐がない職場は人を育てません。管理職も先輩職員もパワハラだけを気にしていると、思ったことが言えず、結果、面倒なことは蓋をするようになっていき、若手教員を引き付ける力も失っていきます。しかし、あれこれ足りないことを言っても、余裕がなければ職場の再生は難しいですから、教員の働き方改革が焦眉の課題であることは間違いないです。

第62回グラミー賞

『第62回グラミー賞』の授賞式が、日本時間27日に行われ、米シンガー・ソングライターのビリー・アイリッシュが、主要4部門の「年間最優秀アルバム」「年間最優秀レコード」「年間最優秀楽曲」「最優秀新人賞」を独占する快挙を成し遂げました。同アワードで主要4部門を独占したのは39年ぶりだそうです。前回、「ビリー・アイリッシュ1/11」の記事で、彼女がトゥレット障害でカミングアウトしているシンガーとして紹介したところです。

ティーンを中心に絶大な人気を誇る18歳のビリーは、昨年3月29日に発売したデビューアルバム『WHEN WE FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』が英米を含む11ヶ国で1位を獲得。米シングルチャートでは14曲同時チャートインを果たし、カーディ・B、ビヨンセ、アリアナ・グランデらが持つ女性アーティストの同時チャートイン記録を更新しました。代表曲「Bad guy」は2000年以降に生まれたアーティストとして史上初の全米シングルチャート1位に輝き注目されています。

■主要4部門 受賞作/受賞者&ノミネーション
▽「年間最優秀レコード」部門
★Bad Guy/ビリー・アイリッシュ
▽「年間最優秀アルバム」部門
★WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?/ビリー・アイリッシュ
▽「年間最優秀楽曲」部門
★Bad Guy/ビリー・アイリッシュ
▽「最優秀新人賞」部門
★ビリー・アイリッシュ