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みんなちがってみんないい

ミラーニューロン

ミラーニューロンとは、自分が行動する時だけでなく、他人が行動するのを見ている時にも活動電位を生じさせるニューロン(神経細胞)です。鏡のような反応を示すことから、「ミラー」ニューロンという名前がついています。ミラーニューロンは、視覚情報に反応しているだけでなく、他人の行動の意味や意図を理解する機能を果たしていると考えられています。

ミラーニューロンは、1996年、イタリアのパルマ大学のジャコーモ・リッツォラティによって発見されました。リッツォラティは、対象物を掴んで操作する手の運動に関する神経細胞を研究するために、マカクザルの下前頭皮質に電極を設置して、マカクザルがエサを取ろうとする時の神経細胞の活動を記録していました。その途中で、実験者(人)がエサを拾い上げるのを見た時に、マカクザル自身がエサを取ろうとする時と同じ活動を示す神経細胞を発見しました。これがミラーニューロンです。つまり、まったく別の研究をしていて偶然発見されたのです。実験を重ねた結果、マカクザルの下前頭皮質と下頭頂皮質のうち、約10%の神経細胞が、マカクザル自身が手を動かした時と、自分以外が手を動かすのを見た時の両方で同じ反応を示すことを明らかになりました。

人の脳にミラーニューロンが存在するという確実な証拠は得られていません。ただし、MRIを利用して脳の血流動態反応を視覚的に見る方法(fMRI)により、自分の手や指を動かす時と、他人が手や指を動かすのを見る時の両方で、下前頭回が活動することは確認されています。また、自分の口を動かす時、他人の口の動きを見る時、他人の口の動きを真似する時のいずれでも下前頭回と下頭頂小葉が活動することも分かっています。そのため、人の場合、下前頭回にミラーニューロンシステムが存在していると考えられています。

人の場合、新生児から生後12ヶ月頃までに発達すると考えられています。ただし、ミラーニューロンがどのようにして「自分が行動する時にも、他人の行動を見る時にも反応する」機能を備えるのかについては、明らかにされていません。ミラーニューロンが発見されて以降、その機能についてたくさんの研究結果が発表されています。現在、ミラーニューロンの機能と考えられている主なものは、次のとおりです。
他人の意図の理解:他人の意図を理解して、次の行動を予測する機能
共感:他人の動作を見て、自分のことのように感じる機能
模倣の獲得:他人の行動を真似する機能を得ること
言語:言語を獲得する機能
心の理論:他人の心を推測する(感情を察する、目的や意図を見透かす、信念や疑いの心を感じ取る)機能

ミラーニューロンの欠如とASDの関係を指摘する研究者はいます。また、ASDの人の脳は、健常な人の脳に比べてミラーニューロンに関わる脳の領域が薄いという解剖学の研究結果もあります。しかし、ミラーニューロンの欠如が自閉症の原因の一つだと言えるだけの根拠はなく、今後の研究の進展を待ちます。ニューロン(神経細胞)は、単体で特定の反応を生じさせるのではなく、ニューロンネットワーク全体が、ある行動を行う時に活性化すると考えられています。そのため、ミラーニューロンが存在するとされている下前頭回のニューロンを活性化させて、神経回路をつなげることが重要ということになります。

しかし、下前頭回の鍛え方(ニューロンを活性化させる方法)は確立されていないのが現状です。一般的には、色々な経験をさせてあげることや、相手の気持ちを察して行動すること、モデルとなる人を見つけて真似することなどが効果的だと言われていますが、そうした方法で下前頭回のニューロンが活性化するかどうかは推測の域を出ません。知育分野でも、「ミラーニューロンを鍛える」という文言をよく耳にします。ミラーニューロンの鍛え方として紹介されている方法は、子どもの共感性や社会性を育む上では役に立つこともありますが、ミラーニューロンを鍛えているかどうかは不明です。

『ケーキの切れない非行少年たち』新書部門年間1位

『ケーキの切れない非行少年たち』が3冠達成! 2020年の新書部門年間1位・・・累計65万部

2020年12月02日14時30分【J-CASTニュース】

昨年は第3位
本のベストセラーは、おおむね前年の11月から翌年の11月までのおよそ1年間の累計で算出している。そのため毎年12月初めにベストセラーランキングが発表される。

同書は児童精神科医である著者の宮口幸治さんが、医療少年院で出会った「非行少年」たちの衝撃的な実態を明かしたもの。「丸いケーキを3等分してみてください」と言って丸い紙を少年に渡すと、普通は円の中心から放射状に線を引くが、それができない子どもたちが少なくないことをタイトルにしている。

19年7月に発売され、すでに昨年の年間ベストセラーランキングで新書(ノンフィクション)部門の3位にランクインしていた。20年2月に発表された「新書大賞2020」でも、大賞となった『独ソ戦』(岩波新書)に次いで2位。その後も売れ行きが落ちず、今年のトップになった。オリコンのデータによる同書の期間累計部数(2019年11月18日~2020年11月22日)は 44万4815部。これまでの発行総部数は約65万部。新書としては驚異のロングセラーになっている。

「境界知能」がテーマ
本書は、人口の14%程度いるとされる「境界知能」をテーマにしている。「境界知能」とは、IQが70~84程度で、いわゆる「知的障害」(IQ69以下)とまでは言えないが、現代社会で生きていく上では相当程度の困難に直面していると考えられている人たちのことだ。「丸いケーキの3等分」ができないのは、境界知能ゆえなのだという。

いわゆる「非行少年」たちの中には、境界知能なので物事の認知能力が低く、幼少期からさまざまな困難に直面して「傷ついた子どもたち」がかなりの数含まれているという。本書は、「『僕はやさしい人間です』と答える殺人少年」「非行少年に共通する特徴」など7章からなる。彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドも公開している。
価格は720円+税。

受刑者の2割は知能指数が69以下
ちなみに、大人の犯罪者と「知能」の問題は、以前から指摘されていた。『刑務所しか居場所がない人たち――学校では教えてくれない、障害と犯罪の話』(大月書店)は、実際に服役し、出所後は高齢者や障害者の受刑者の社会復帰に取り組んでいる元衆議院議員の山本譲司さんの報告。刑務所に入るときは必ず知能検査を受けるそうだが、2016年に新たに入った受刑者約2万500人のうち、約4200人は知能指数が69以下、知的障害があるとみなされるレベルだったという。

ある知的障害者の場合、神社の賽銭箱から200円を盗み執行猶予。外に出られたんだから悪いことをしたんじゃないと思って、また100円盗んで今度は実刑判決。裁判では「まだ神様に700円貸している」と主張した。どういうことかというと、むかし母親と一緒に神社に行ったとき、母が1000円を賽銭箱に入れたことをしっかり覚えていた。だから差し引き700円の貸しがあると思い込んでいる。

「少年」よりもさらに低年齢層に目を向けた本では『漂流児童』(潮出版社)がある。社会から切り捨てられ置き去りにされた低年齢層の子どもたちを扱っている。中学校を長期欠席している生徒は全国で約20万人、生徒の15人に1人が発達障害・・・。著者のノンフィクション作家、石井光太さんは、「レールからこぼれ落ちた人々を社会がきちんと支えてこなかったことが、今の社会問題を生んでいる側面があるのだ」と強調している。

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境界知能に固定されてしまうかどうかは、小学校中学年から高学年までに本人の特性に合わせた学習アプローチが重要だと言われています。そういう意味では、生まれつきの知能ではなく環境要因が大きいと言えます。学習障害は、知的遅れを伴わない認知のゆがみだと言われてはいますが、適切な支援を行わないことで境界知能として扱われている子どもは少なくありません。

また、ここでいわれるIQが70~84程度というのは全検査IQと言って知能を構成する各領域の数値の平均値であり、知識の数値が高くても、ワーキングメモリーの数値や、書字の速さや正確さの数値が著しく低くければ平均値としては境界知能域を示します。つまり発達障害の子どもがここに入りやすいのです。知識は知的好奇心と関係がありますが、字が読みにくければ知識欲も削がれてきます。境界知能は小学校時代の周囲の大人の気づき次第で大きく変わる子どもも少なくないという事を忘れてはならないと思います。

 

障害者のスポーツ取り上げて

障害者のスポーツ取り上げて

2021/12/18 【産経WEST】

東京パラリンピックでお世話になったNPO法人「アダプテッドスポーツ・サポートセンター(ASSC)」の高橋明さんに誘われ、大阪市舞洲障がい者スポーツセンター(大阪市此花区)で開かれた「i-ボッチャ ぷっちょ杯2021」をのぞいた。

改めて簡単に説明すると、ボッチャはジャックボールと呼ばれる白い目標球に向けて赤と青のボールを投げ合い、より近づけた方が勝者となるルール。もともとは欧州で、脳性まひなどの比較的重度の障害者向けに考案されたが、年齢や障害の有無に関係なく誰でも参加できるインクルーシブ(包括的)なスポーツとして注目されている。

大会は今回が4回目。インクルーシブを示す「i」が大会名の冒頭についている通り、障害者だけで編成したチーム以外にも、健常者のチームや混成チームも参加。選手3人の合計年齢が約250歳のチームもあり、東京パラで脚光を浴びたボッチャの盛況ぶりを肌で感じることができた。ASSC副理事長で「愛ボッチャ協会」代表の岡田良広さんは「東京パラが終わってから、学校や自治体からの問い合わせが増えている。協会の審判を派遣し、体験学習会などを開催している」と話す。

今年話題になった言葉に贈られる「現代用語の基礎知識選 2021ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞には、米大リーグ、エンゼルスで活躍した大谷翔平選手の「リアル二刀流/ショータイム」が選ばれたが、東京パラのボッチャ個人で金メダルを獲得した杉村英孝選手の必殺技「スギムライジング」もトップテン入りした。

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オリパラ開催の効果で、全国各地でパラスポーツの普及が大々的に言われ始めています。ボッチャの金メダリスト杉村選手の活躍も国民にスポーツが引き出す人間の可能性を見せつけてくれました。先ごろは京都府議会で京都府ボッチャ協会のプレゼンテーションが行われ、いわゆる障害者のスポーツではなく障害のある人もない人も一緒に取り組めるユニバーサルスポーツとして普及を議会に説明がされました。

スポーツを国を挙げての取組にすると、スポーツを政治利用する危惧が言われますが、一方でスポーツにアクセスしにくい障害者や身体の弱い方にも参加できるようにすることは、公共の福祉の役割でもあります。ボランティアはどんなスポーツにも必要ですが、障害者が参加するスポーツにはたくさんのボランティアが必要です。

しかし、ボランティアや個人寄附だけでは競技場や競技場への移動支援の整備までは資金的に手が届きません。欧米では、資金力のある企業や篤志家がスポンサーになって障害者スポーツは支えられていますが、企業が巨額の寄付をして民間団体を支援する土壌は我が国には十分育っておらず公的な支援がもっと必要で議会や各自治体の力量が問われています。

障害者スポーツは民主主義の花開く中でこそ育つものです。冬季五輪の北京開催について、民族弾圧やジェノサイドを隠す中国共産党に民主主義国から批判が続いています。誰もが公平にスポーツに参加するためには思想信条、性別や民族、障害のあるなしで政治的に差別されることがあってはなりません。いったい、中国政府は北京冬季五輪のパラリンピックをどんな思いで開催するのでしょう。パラリンピックの開催で人権弾圧を覆い隠すようなことは許されません。障害者スポーツは民主主義の最高レベルの到達点でもあるからです。

 

ワーキングメモリトレーニング

コグメドジャパンのHPに、ADHD等のワーキングメモリーは、彼らが開発したトレーニングによって改善される旨を書いた文章があったので少し読みやすくして掲載します。-----------------------------------

ワーキングメモリは、情報を数秒間くらいまでの短い時間保ち、処理する能力で、多くの高次の認知機能の鍵となる、誰もがいつも使っている重要な能力です。読んで理解する、計算をする、相手や文脈に即して会話する、作業に集中する、衝動に対して状況を見て抑制する、いくつもの料理を同時に作ることや電話にでながらメールに目を通すなどの同時作業や、最後までの段取りを考えながらひとつひとつの作業をしたり、多くの諸条件の中で最適な答えを見つけるのにワーキングメモリは不可欠です。

知能の中心である一般知能のなかでも、記憶に頼らない問題解決能力または流動性知能や、学校の成績とワーキングメモリについてこれまで多くの研究がなされ、強い関係が明らかになっています。特に注意や集中力とワーキングメモリの関係について従来から多くの研究報告がありました。認知心理学においては、ワーキングメモリの容量をみると、通常群とADHD群でおよそ標準偏差1つ分の差があることが報告されています(Westerberg et al. (2004) Child Neuropsychology)。これは、脳科学的に活動部位が重なっていることや、ドーパミンシステムの関与が示されています。

しかし、従来は、ワーキングメモリは個人の固定した能力として、自然成長以外の方法で改善したり、個人差を解消することはできないと思われてきました。

ところが、スウェーデン、カロリンスカ大学のクリングバーグ教授をはじめとするコグメド(WISC等の版権を持つ英国ピアソン社の子会社)とその創業者メンバーは、ワーキングメモリは伸ばすことが出来るか、そして能力を増したワーキングメモリはそれによって、知能、問題解決力や集中力など関係する能力や行動・症状に影響を及ぼすか(汎化)という研究課題に取り組みました。

このチームは、1999年から2001年まで、脳科学と心理学の知見と、ゲームの芸術を結集してワーキングメモリトレーニングを開発し、ワーキングメモリの改善と脳のネットワークに起きる変化(可塑的変化)を科学的に証明し、結果はNature Neuroscienceに掲載されました。さらに、このトレーニングがワーキングメモリの改善とともに、知能など他の認知機能の改善や、不注意や多動など行動・症状面の改善効果があることを科学的・臨床的に証明し、結果はJournal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatryに発表されました。こうして、クリングバーグ教授らは、ワーキングメモリは伸ばすことができ、知能(一般知能、流動性知能)、問題解決能力や集中力・不注意・多動などへの効果があるという答えをだしました。

読み書き障害向けデジタル教材

Switch『読むトレGO!』1980円の月額レンタル版がスタート。ゲーム形式で学習ができるトレーニングアプリ

2020.12.02 17:30【ファミ通.com】

サムシンググッドは、2020年12月2日より、医学博士平岩幹男監修のトレーニングアプリ『読むトレGO!』の月額レンタル版の展開を1980円でスタートした。本作は、ゲーム形式でトレーニングができるため、勉強に抵抗がある子どもも苦手意識なく取り組めるとのこと。
以下、リリースを引用

ディスレクシア(読み書き障害)、学習障害向け【読むトレGO! for Nintendo Switch】1,980円の月額レンタル版を開始
Edtech企業のサムシンググッド(東京都港区、代表取締役 脇坂龍治)は、2020年12月2日に、ディスレクシア、学習障害向けトレーニングアプリ【医学博士平岩幹男監修 読むトレGO!】の月額レンタル版を1,980円で発売開始致します。

文字を読み書きするのが困難な「ディスレクシア」。日本で小1の段階で100人に2人、小2以上では100人に7〜8人の確率で発覚している、身近な学習障害(LD)のひとつです。

月額レンタルの仕組み
読むトレGO!公式ページからお申し込み頂くだけで、ソフト、チケット、マイクがご家庭に到着。家にいながら平岩先生の「読み」トレーニングメソッドを気軽に受ける事ができます。月額料金は1,980円(税込)。解約はいつでも自由。解約に伴う手数料などもありません。

読み書きトレーニングのベストセラー著者が監修
ディスレクシア向け書籍のカテゴリーでベストラセラーの「ディスレクシア 発達性読み書き障害トレーニングブック」の著者である医学博士・平岩幹男先生がNintendo Switchで行えるゲームタイプのトレーニングを開発したのが「読むトレGO!」です。

理論に沿ったトレーニング
平岩幹男先生が実際の治療でも行っている、1:文字を見て声に出して読む、2:文字を音のまとまりとして認識、3:音を聞いて文字を選ぶという3つのトレーニングの理念がベースとなっています。

すべてのトレーニングを平岩先生が監修。病院の診断を受けるのを迷っている方でも、購入した日からトレーニングが始められます。

音声認識エンジンでゲームのように取り組めます。
テレビに接続し出題される文字を音声で答えます。机に向かうのが苦手なお子様や、教科書やトレーニングブックが苦手なお子様でも、Nintendo Switchで音声クイズのように取り組めるので、苦手意識なく取り組んでいただけます。

実際のユーザーの声を元に開発
普段から平岩先生からアドバイスをもらい文字を読む練習をしているお子様方に、テストユーザーとなっていただき開発。テストは実証実験として行われ論文として発表されました。参加した67%のお子様が1.25倍も読みの速度が向上した結果が出ました。

トレーニングアプリ
トレーニングはゲーム形式なので、勉強っぽくなくスタートできます。Nintendo Swithcなので、寝転びながらや、テレビの前で立ちながらなど、自由なスタイルでトレーニングできるのも特徴です。

教科書やトレーニングブックなどに抵抗があるお子様でも積極的に取り組んでいただけています。

学び直しもしっかり行えます。
ひらがなの読みから漢字まで学びの度合いに沿ってトレーニングができます。

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学習は自学自習が一番効果が上がります。人についてもらって学習が進んでいるように見えますが、違う見方をすれば人がいなければ学習ができない姿です。学習に興味があるというより、人に励ましてもらうことが利得となって学習をしているのです。自学自習が成立するのは学習内容そのものに利得があるからです。デジタル教材のいいところは自学自習です。もしも、自学自習ができないデジタル教材を大人が励ましてやらせているなら、その教材自身は少なくともその子にとってはあっていないのです。

放課後デイ再編 子ども本位のサービスに

社説:放課後デイ再編 子ども本位のサービスに

12/19(日) 【京都新聞】

障害のある子どもが通う「放課後等デイサービス」などの通所支援について、厚生労働省が事業所のタイプの再編など制度の見直しを進めている。保護者のニーズの高まりを受け、事業所数、利用者数は近年、ともに急増している。半面、質が低かったり、習い事のような特定のプログラムに偏ったりしたサービスも問題となっている。

支援を受ける子どもの視点に立った見直しとなるよう議論を深めてほしい。

障害児通所支援サービスには、未就学児向けの「児童発達支援」と、小中高生向けの「放課後等デイサービス」がある。関連法の改正で2012年度に制度化された。療育手帳や身体障害者手帳が必須ではなく、発達障害などの子どもも受け入れる。全国で計約40万人が利用している。事業所の設置基準が緩やかで株式会社など営利法人も参入し、子どもが身近な地域で支援を受けられるようになったのは歓迎されよう。

一方で、利益優先の事業者や不適切なケアが後を絶たない。給付金の不正受給や、職員による子どもへの虐待行為も発覚している。サービスの質の向上に向け、厚労省は、事業所のタイプを、運動や認知、コミュニケーションなど多様な面で発達を促す「総合支援型」と、理学療法士によるリハビリなど専門性の高い「特定プログラム特化型」の二つに再編する方針だ。

テレビを見せるだけなどの単なる預かりや、塾やピアノなどの習い事のような支援は公費の支給対象から外すという。ただ、事業所からは「サービスからの除外の線引きはどうするのか」「必要とする保護者もいる」などと困惑の声も上がっている。ジム機能や音楽療法など独自の特徴を打ち出したサービスを提供し、子どもの発達支援につなげている施設もある。適切な支援の在り方について、現場の実態や専門家の意見も踏まえて判断する必要があろう。

国や自治体による継続的な監視、指導も求められる。

今回の見直しでは、サービスの利用上限日数に自治体間でばらつきがあるのを是正する方向だ。現在は、障害の状態などに応じて市町村が判定しているが、平均で月5日しか認めない自治体もあれば、20日以上のケースもあり、不公平感が出ている。このため、全国共通の判定の指標やガイドラインを新たに設けるという。

負担額は、児童発達支援が19年10月から無料化され、放課後デイサービスも原則1割で上限が決められている。学校や自宅との間の送迎を行っている事業者も多く、利用しやすい。そうした背景もあってサービスの需要が高まっているとみられるが、保護者の意向だけでサービスを多く利用することは子どもの主体性を損ねてしまう、との指摘もある。子どもの利益のため、家庭と事業所、計画作成の担当者が連携をより深められる制度を目指してもらいたい。

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地元紙も社説で取り上げるくらいですから、先日の厚労省の検討会議の報告は通常の改定を通り越えた提言だったのだと思います。しかし、まず改定ありきという焦りが見え具体性に乏しいので、地方行政にしてみれば、類型をどこで線引きするのかはっきりしません。放デイ利用者の中に占める理学療法士を必要とする肢体不自由児の絶対数そのものは少なく、最も多いのは発達障害の子どもです。ここへの、専門的なプログラムができるのは理学療法士ではありません。行動療法士や言語聴覚士も必要な職種だとは思いますが、子どもに対応する人材を育てる養成学校は少なく、そもそも児童に対応するにも、教育や保育の専門性に対応した経験をもつ人材は少ないです。いったい何を想定して専門的プログラムと言っているかはっきりしないままです。

放課後デイは、小規模ですから何人も専門家は雇用できないので大きな発達療育センターのように先輩からノウハウを教えてもらう機会もありません。検討会の言っていることは理想的ではありますが、絵に描いた餅とも言えます。専門的な療育を提供するうえで資格は確かに必要ですが、資格があれば適切な療育が提供できるわけではないからです。こうした、専門家周りの環境も同時に考慮していく丁寧さが必要です。そして何よりも、給与が低すぎる事が、専門性の高い人材が集められない理由でもあります。

学習塾と学習障害支援の違いをどう見極めるのかも不明です。そもそも、学習の問題は学校に任せるべきだと言う、発達障害に学習障害が明記されていることも知らないような自治体職員もいる中でこの区別が科学的な視点で行えるとは思えません。学習障害支援は、自前で知能検査や発達性読み書き障害の検査を行ったアセスメントを前提にして、個別に療育の支援計画が実施されていることが最低条件だと思います。こうした障害支援のルーティンを踏まえたうえでの適切な線引きが行われることを期待します。

一番の問題は、9割は税金を使う公的な支援なのに、サービス利用回数があまりにも違う不公平と、その違いについて地方行政が説明責任を果たさないことです。利用者増が先か新規事業者参入が先かは鶏卵の堂々巡りですが、質の良い支援ならニーズに応じてどんどん提供すれば良いのです。児童期の質の良い投資は必ず未来に納税で返ってくるからです。

大事なことは監督する行政が低品質な放デイを認めず、質の高い放デイを優遇する方略を持つことです。国のレベルで言えることはせいぜい専門資格を持つものがいるかどうかまでしか言えません。しかし、現場を知る行政なら、何が適切な支援かどうかは見ればわかるはずです。現場に足を運びマニュアルの字面に頼らない確かな視点が行政に求められています。質が低い放デイがあるのは民間参入が原因ではなく、行政に見抜く力が不足していたと言うべきです。

体力低下

2019年度の全国体力テストでは、小学5年と中学2年の「体力合計点」が低下に転じたことが明らかになった。スポーツ庁はスマートフォンなどに時間を取られ、運動不足の傾向が強まる可能性を指摘し、「さらに体力が落ちるのではないか」と危機感を募らせている。

スポーツ庁はスマホやゲーム機、パソコンなどの画面を見ている時間を調査。平日に1時間以上使っている子どもの割合は、小5は男子83.3%、女子73.1%、中2は男子90.3%、女子87.6%に上った。いずれも16年度より多く、中2女子は6.3ポイント増加していた。同庁では、子どもが運動していた時間が、スマホなどに費やされている可能性を指摘。「小さいうちから使用時間が長くなり、幼児期からの累積の運動時間が減ってきたのではないか」と話し、長期的な影響が及んでいるとの見方を示した。

運動やスポーツの好き嫌いと、スマホ使用時間の相関関係も浮き彫りとなった。小5男子では「嫌い」と答えた児童のスマホ使用時間は「5時間以上」が33.7%で最も多かったが、運動好きな児童で5時間以上は13.7%にとどまった。中2男子もそれぞれ31.4%、9.1%で、女子も同様の傾向が見られた。同庁は運動の楽しさを味わってもらうよう体育の授業を改善する必要性を強調する。授業以外でも「仮想現実(VR)技術で疑似体験しながら体を動かす」といった例を挙げ、運動時間の増加につながるスマホなどの活用を模索すべきだとした。【時事】

運動の楽しさとは、小学生の場合は友達と遊びで身体を動かすことです。大人みたいに、マシーンで筋力アップとか、ランニングして健康度アップして楽しいという子はいません。放課後や休日のわずかな時間、みんなで走り回るから楽しいのです。だから本事業所では、お天気さえよければ、外に出かけます。部屋の中にいてはPCやらタブレットやらの誘惑が強すぎるからです。

本事業所でも山は嫌だ公園は飽きたという子どもは少なくありません。本当は落ちている枝だって楽しい工作物になるし、穴掘りだって遊びになります。水の流れは冬でも惹きつけられるし、堰止めしたりものを流したりして関わりたくなります。そこに仲間がいれば外はなんだって楽しいのですが、そのことを伝えるのは簡単そうで難しいです。

はやぶさ2カプセル帰還

カプセル 7日夜にも日本へ出発

12月07日 07時43分

日本の探査機「はやぶさ2」の、小惑星の砂が入っているとみられるカプセルが地球に帰還し、オーストラリアで回収されました。JAXA=宇宙航空研究開発機構によりますと、カプセルは早ければ7日夜遅くに飛行機でオーストラリアを出発して日本に向かうことになっています。

探査機「はやぶさ2」のカプセルは、日本時間の6日未明、オーストラリアの上空で流れ星のような火球として観測され、地球に帰還しました。カプセルはパラシュートを開いてオーストラリア南部の砂漠地帯に着地し、現地に入っていたチームが回収しました。

カプセル回収を受けて、JAXAは記者会見を開き、「はやぶさ2」の津田雄一プロジェクトマネージャは「ただいま帰ってきました。カプセルは完全な状態でパーフェクトだった。100点満点で1万点だ」と喜びを語りました。カプセルには小惑星の砂が入っているとみられ、JAXAは7日、カプセルの中のガスを現地の本部に設置した装置で分析することにしています。

そして、早ければ7日夜遅くに、カプセルは飛行機でオーストラリアを出発し日本に向かうということです。オーストラリアから日本まで10時間以上かかると見込まれていて、到着後は神奈川県相模原市のJAXA宇宙科学研究所に運び込まれることになっています。

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6年の歳月をかけて帰ってきたはやぶさ2カプセル。オーストラリアの夜空にその一筋の閃光が流れる動画に胸が熱くなりました。先日のスペースX の感動とはまた違うものでした。別に日本びいきと言うわけではないのですが、あの巨体70mの一段目ブースターロケットが帰還した時よりも、直径40㎝のカプセル帰還のほうがはるかに感動したのは、宇宙ファンとしてはやぶさ2スタッフのチームワークをスペースXよりはよく知っていたからかもしれません。

スペースXは15トン=バス一台分を宇宙に荷揚げしますが、はやぶさ2のカプセルは16㎏。この56万キロかなたの玉手箱と言われるカプセルの中に何が詰まっているのか楽しみです。

発達障害の子が相談に回答…ネットで開設、悩む親に

発達障害の子が相談に回答...ネットで開設、悩む親に「当事者の思い」代弁

2021/12/20 【朝日新聞】

発達障害がある子どもが「先生」となって、同じ特性の子を育てる親の悩み相談にネットで応じる「でこぼコ・ラボ」が、今秋始まった。我が子には聞けない当事者の思いを知ることで、特性への理解を助け、親子間の関係をさらに深めてもらう狙いがある。

「ゲームがやめられず、取り上げるとけんかになる」。発達障害の息子を持つ親が「でこぼコ・ラボ」のウェブページに投稿すると、「先生」から「ちゃんと勉強した時間の分、ゲームができるルールを作る」「取り上げるのではなく、他のもので興味を引く」などの助言が返ってきた。

回答するのは、発達障害の子どもの学習支援教室「よつばCOLORS」(奈良市)に通う児童・生徒約100人。教室のスタッフだった 綾(あや) 美津子さん(53)らが今年10月、親が子どもの気持ちを理解するのを支援しようと、会員制ウェブサービスとして始めた。

背景にあるのは、発達障害のある子どもが周囲の理解が得られにくく、親も孤立しがちという現状だ。綾さんは「親は我が子の特性を自分で何とかしないといけないと、思い詰めてしまう」と指摘する。

全国の自治体では、発達障害の子を育てた経験がある親らが相談を受け付ける「ペアレントメンター」制度を導入しているが、綾さんは「子どもから思いを聞くことで、納得できることもある」と、サービスを思いついたという。

多く寄せられるのは、宿題や不登校など、学校や日常生活に関する悩み。子どもたちの回答は、それぞれの心情や経験に基づいたもので、利用した親たちからは「元気が出た」などの声が上がっている。

回答する子どもは、学習支援教室の言語能力トレーニングの一環として、質問に答えている。回答に「いいね!」と反応を返す機能もあり、「人の役に立てた」という達成感から自信を得る効果もあるという。

 綾さんは「子どもたちもしっかりと考えていることを知ってもらい、子どもの主体性に任せてみようと思ってほしい」と期待。発達障害に詳しい楠凡之・北九州市立大教授(臨床教育学)は「子どもの意見を聞くことで、我が子への見方や関わり方を冷静に振り返る機会になる」と評価している。

会員登録は無料。問い合わせは「でこぼコ・ラボ」を運営する「アンラベル」(06・6136・5609)。

発達障害  脳機能の障害で、対人関係を築くのが苦手な「自閉症スペクトラム障害」、衝動的に行動しがちな「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」、読み書きや計算が難しい「学習障害(LD)」などがある。「こだわりが強い」「順番を待つのが難しい」などが特性。文部科学省の2012年の調査では、公立小中学校の通常学級に通う児童生徒の6.5%が、発達障害の可能性がある。

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事業所の中でも、大人にとって困った子ども行動の原因を、あれこれ大人の立場から話し合うのではなく、本人はどう思っているのか聞いてみるようにしています。とても、いい取り組みだと思います。もちろん、回答する子どもは当事者ではないので確実な答えではないけれども、子どもがどう考えるのかという視点に立ち戻れるので、とても参考になると思います。

回答する子どもは子どもで、親と言うものはそんなことを心配したり、考えたりするものかと第3者的な支援で考える事ができます。普段は自己フィードバックの弱い子どもで、家ではうまく行かない事でも、このサービスでは上手く回答できるかもしれません。そういう意味で双方で学び合えると言う対等の関係がとても素敵だなと思います。

こうした関係は、事業所内でも作れたら良いなと思います。利用者の親子の考えていることが全然違う事は良くあることです。これは別に障害のありなしは関係ないことですが、親同士で話すと少し客観的に子どもが見られたり、子ども同士で話し合うと「うちの母親もいっしょや」という共感も得られます。それが他人の子だが、よく似た特性の子どもならその論理は参考になるし、腹を立ててばかりいたのが冷静に見られるなと思います。こんな素敵なシステムを考え出した綾さんも素晴らしいと思います。

記憶障害

発達障害の記憶の問題をあれこれ書いてきましたが、老化していく人にも個人差はあるけど記憶の問題が横たわっています。名前が思い出せず、事物の現象を概念化した言葉がなかなか思い浮かばず、「あれこれそれ」と指示代名詞が多くなってきます。厄介なのは、物忘れによる思い違いです。これは周囲の人も巻き込むので影響が大きいです。記憶が衰えないという人は数少なく、多くの人は記憶の問題が年齢とともに進行します。

これを予防するのは難しいですが、記憶障害の被害を最小限に抑える方法はあります。IT機器が記憶の代行をしてくれるように自分の生活や作業パターンを変えることです。自分の記憶を信用せずデジタルデバイスに記録されたものを頼りに生きていくのです。こう書くと味気ないですが、若年層で記憶の課題を抱える高次機能障害の方等で、うまく生きている方はこの方法を多用して生きています。ただ、老化によって思考の柔軟性も落ちてきているので、これまでのやり方が変えられない方がいますが、それは周囲の方の構造化支援によってIT機器を使わざるを得ない環境に仕向ける協力が大事です。

一般的に、「記憶障害=物忘れ」だと思われがちですが、記憶障害には物忘れ以外にもたくさんの種類があります。記憶とは、外からの刺激(経験)を情報として脳にインプットし、脳内に残しておいて、必要に応じて思い出すことです。記憶には、短時間だけ覚えておく記憶、長期間保持される記憶、出来事に関する記憶、知識に関する記憶、運動や技術に関する記憶など、様々な種類があります。

記憶は、主に記憶のプロセス、記憶する期間、記憶の内容によって分類されます。
記憶のプロセスによる分類:記銘、保持、想起
記憶する期間による分類:感覚記憶、短期記憶、長期記憶
既往の内容による分類:陳述記憶(エピソード記憶、意味記憶)、非陳述記憶

記憶は、記銘、保持、想起という3つのプロセスに分類され、それぞれの段階で記憶障害が起こります。記銘とは、外からの刺激(経験)を感覚器官で知覚し、情報として脳に送ってインプットする段階です。記銘が障害されると、情報が脳へインプットされないため、脳内に記憶が残らず、思い出すこともできません。つまり、「経験そのものを覚えていない」という状態です。認知症を発症すると、新しいことを記銘することが困難になり、経験そのものを忘れてしまう(そもそも情報を脳にインプットしない)ようになります。保持とは、送られてきた情報を脳内に保存しておく段階です。記憶は、想起されないままだと時間の経過によって薄れていき、思い出しにくくなります。また、他の記憶とごちゃ混ぜになって保持している記憶が変容し、元の刺激とは異なる情報が想起されることもあります。想起とは、脳内に保存された情報にアクセスし、その情報を思い出す段階です。想起が障害されると、脳内に保存された情報にうまくアクセスできず、思い出すことができなくなります。一般的な物忘れは、覚えていたことを思い出せなくなるという現象で、想起の段階がうまくいかないことで起こります。加齢による物忘れで多いのが想起の障害です。

記憶は、記憶する期間によって感覚記憶、短期記憶、長期記憶の3つに分類されています。
また、長期記憶については、記憶の内容によってさらに陳述記憶(エピソード記憶、意味記憶)と非陳述記憶(手続き記憶)に分類されます。いずれの段階でも記憶障害が起こります。

感覚記憶とは、目、鼻、耳などの感覚器官に刺激が入力された時に一瞬だけ保持される記憶です。感覚記憶のうち、注意が向けられた情報だけが短期記憶に保持され、他の記憶は意識すらされないまま消失します。感覚記憶が障害されると、そもそも周囲の刺激に気づかず、注意を向けることがなくなります。

短期記憶とは、感覚器官に刺激が入力された後、数秒から数十秒間だけ保持される記憶です。最近は、作業に必要な間だけ覚えておく記憶という意味で、ワーキングメモリー(作業記憶)と呼ばれる記憶も含めていうようです。短期記憶は、短時間だけ記憶されるという時間的な制限に加え、短期記憶として一度に保持できる容量にも制限があることが分かっています。例えば、計算途中の数字を記憶しておいたり、電話番号を確認してダイヤルするまで番号を覚えておいたりして、必要なくなったら忘れるのが短期記憶です。短期記憶が障害されると、計算や料理など複数のことを頭の中に留めながら作業することも困難になります。

長期記憶とは、数分間から一生まで長期間にわたって保持される記憶です。短期記憶と違い、容量制限がないことが特徴です。なお、神経学上は、記憶を保持する期間が数分から数日程度の近時記憶と、それ以上の遠隔記憶に分類されることもあります。長期記憶は、記憶の内容によって、エピソード記憶、意味記憶、手続記憶に分類されます。

エピソード記憶とは、経験した出来事に関する記憶です。エピソード記憶は、経験した出来事そのものに加え、時間、空間的文脈、身体や心の状態も記憶しているという特徴があります。例えば、「昨日、○○のことで、△△の、メモをした」、「普段は○○だけど、今回は△△に変えた」などの記憶が、エピソード記憶です。エピソード記憶が障害されると、経験したこと(エピソード)を忘れて行動してしまいます。ひどくなると自分の家族との思い出などをエピソードに付随する情報と一緒に忘れてしまい、話がかみ合わなくなります。

意味記憶とは、物や言葉の意味、対象同士の関係性、社会のルールなどに関する記憶です。意味記憶は、同じ経験を繰り返し積み重ねることでできあがり、エピソード記憶のように記憶した時間や場所などの情報は残りません。例えば、キュウリという単語の意味に関する記憶(大きさ、色、形、味、野菜に分類されるという知識など)が、意味記憶です。意味記憶が障害されると、人や物の名前や意味などを忘れてしまうため、「これ」、「それ」、「あれ」などの指示代名詞が多くなり、会話による意思疎通も難しくなります。

手続記憶とは、学習や練習を繰り返して身につける技術などの記憶です。手続記憶は、一旦記憶ができると無意識のうちに機能するようになる上、長期間にわたって保持されるという特徴があります。例えば、サッカーをする、泳ぐ、ギターを弾く、絵を描く、自動車を運転するなどの記憶が、手続き記憶です。認知症による記憶障害では、手続記憶が失わることはあまりなく、失われたとしても軽度に留まる傾向があります。

認知症による記憶障害は、まず、近い時期の出来事に関する記憶から障害されていきます。新しいことを記銘できなくなって、つい先ほどの経験したことを「まるで経験していないかのように」忘れるようになり、症状が進行するにつれて、過去にさかのぼってエピソード記憶や意味記憶が障害されていきます。手続記憶については比較的維持されますが、加齢による運動機能の低下により、「覚えていても実行できない」ことが増えていきます。

認知症による記憶障害への対応は、薬物療法による治療と、家族や周囲の人の関わりが重要です。認知症の記憶障害は進行性であり、症状を完全に治療する方法は見つかっていませんが、薬物療法によって症状の進行を遅らせることはできます。医師が処方した薬を用法用量を守って正しく使用できるように周囲の人が協力します。

認知症の人は、記憶障害の自覚はありません。周囲と話がかみ合わなくなるにつれて「何となく変だ。」という感覚を抱くようになりますが、自分の認識している世界が周囲の人と違うことには気づかないため、周囲の人が客観的な事実を伝えても受け入れようとしません。それどころか、「周囲の人が嘘をついている」、「自分をだまそうとしている」、「自分のことを否定された。」などと感じ、被害感や不満を募らせていきます。そのため、一旦は客観的事実を置いておいて、本人の意見や気持ちを受け止めてあげることが大切です。また、毎日のスケジュールを紙に書いて目立つ場所に貼っておく、新しいことを覚えてもらうときは何度も繰り返し伝える、身振り手振り、図示など、本人が記憶障害によって日常生活に支障を感じずに済むよう配慮することも欠かせません。

ユニセフ 各国に学校再開求める

ユニセフ 各国に学校再開求める「感染拡大証拠ほとんどなし」

2020年12月8日 12時08分【NHK】

ユニセフ=国連児童基金は8日、学校が新型コロナウイルスの感染の拡大を招いているという証拠はほとんどないとして、学校の再開を優先させるよう各国政府に求める声明を出しました。

声明では、今月1日時点で児童や生徒の5人に1人、3億2000万人が休校措置の影響を受けていて、先月1日時点に比べておよそ9000万人増えたとしています。

一方で、各国のデータを用いた最新の研究では、学校の状況と地域の感染率には何の関連性も示されておらず、学校が感染の拡大を招いているという証拠はほとんどないとしています。

そのうえで、あまりにも多くの学校が不必要に休校になっている懸念があるとして、各国政府に学校の再開を優先させ、安全を確保するための措置を可能なかぎりとるよう求めています。

また、学校の再開計画にはリモート学習を利用できるようにすることなども盛り込むよう求めています。

ユニセフのジェンキンス本部教育グローバルチーフは「最後の手段ではなく、最初の手段として休校措置をとるという、憂慮すべき傾向が再び見られるようになってきている。子どもたちは学習、心身の健康と安全に深刻な影響を受け続けている」としています。

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武漢風邪第3波襲来と、またメディアが賑やかになってきました。冬に風邪が増えるのは当たり前で、夏前には必ず冬に第三波が来ると誰もが言っていたのに、予算があったのに何も準備もせずに数兆円の予備費を余らせて、今になって医療崩壊だと大騒ぎしています。そして、感染が増えたのはGOTOのせいだと根拠もなく責任転嫁しています。

そもそも、人口100万人当たりの死者数は、欧米では500~700人であり、日本は12人です。日本は欧米に比べて死者は五十分の一なのです。その理由が何かはいまだにはっきりは分かりませんが事実であることは確かです。そして、解決策は、症状のない人は自宅で安静にして、症状のある人を病院で治療しましょうという極めてまっとうな考えです。ところが、これが気に食わない識者が少なくないのです。社会全体の往来を止めるべきだと言いますが、学校を閉鎖し東京や大阪を封じ込めよとでもいうのでしょうか。

武漢ウィルスが猛威を振るう欧米ですら、根拠のない学校閉鎖をやめよとユニセフが警鐘を鳴らしているのに、メディアが煽るポピュリズムと、役人や政治家のパフォーマンスに付き合わされているとしか言いようがありません。ほとんどの子どもに症状もないのに、同調圧力に負けて根拠もなく学校を休校にしないでほしいと思います。

 

「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」四国新聞のメッセージ広告が話題

「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」四国新聞のメッセージ広告が話題 「最高にロック」「凄い勇気」

2021/12/21【神戸新聞】

「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」。香川県の地元紙、四国新聞の12月20日付朝刊にこんなメッセージ広告が掲載されました。子どものスマートフォンやゲームの利用時間を制限するとした香川県独自のネット・ゲーム依存症対策条例(ゲーム条例)を念頭に置いたもので、広告出稿元のゲムトレ(東京都渋谷区)は「子どもたちがサンタさんに欲しいものを「ゲーム」とお願いできるように、ゲームが障害ではなく、教育としての魅力があることを伝えたいと考えました」「ゲームを障害と考える一側面だけではなく、クリアすることで育まれる自己肯定感や世界中のユーザーとつながり感じる多様性など、正しくゲームと向き合うことで生まれる学びがあります」としています。

同社の小幡和輝代表が広告にふれたツイートには「最高にロックですね!」「かなり挑戦的な広告だなぁ」「香川県で広告出す勇気も凄いです」など賛同の声が上がり、いいね!は1万5千超。香川県民はこのメッセージ広告をどう受け止めたのでしょうか。

ゲムトレはゲームを使った教育事業を手掛け、主力事業の「ゲムトレ」では、ゲームを「楽しく脳を鍛える習い事」と位置づけ、子ども向けのゲームのオンライン講座を提供しています。同社サイトによると、例えばオンラインゲームの「FORTNITE」(フォートナイト)では、過度なグロテスク表現がなく、認知力や情報処理能力が向上するとしています。

話題になった15段の新聞広告は、文豪夏目漱石が東京帝国大学(現在の東京大学)を卒業後、当時、低俗と見られていた小説家としてデビューし、代表作『吾輩は猫である』などで文化人になったことに触れ「ゲームの捉え方も変わりはじめた」と述べています。続けて、ゲームのプレイを通じて得られる試行錯誤や仮想空間上での達成感の分かち合いを挙げ、「ゲームは人生を豊かにする力がある」と訴えています。小学低学年も読めるよう漢字にふりがなも打っています。

香川県のゲーム条例は家庭内でのゲームの利用時間を制限する全国初の条例として2020年4月施行。罰則規定はありませんが、18歳未満のゲーム時間は平日1日60分、休日90分、スマホの利用は中学生以下が午後9時まで、それ以上は午後10時までという目役を定め、保護者にルールを守らせる努力義務を課しています。報道によると、この条例の内容や制定過程に問題があるとして、県内外から反対の声が上がっており、香川県弁護士会は廃止を求める会長声明を出している他、県内の大学生が「条例は憲法違反」として、県を相手に損害賠償を求めて提訴しています。

ゲムトレのサイトによると、小幡代表は10年間の不登校を経験しましたが、その間、ゲームを通じて多くの友人に恵まれ、大会への出場を通じて自己肯定感を高められたといい、それが起業につながったと記しています。今回のメッセージ広告については、「ゲーム好きならば誰もが一度は言われたであろう、この言葉を反転させました。伝えたいメッセージは、世代間の価値観や文化の違いにより子どもたちが苦しめられているということ。子どもは野球を頑張ることと同じようにゲームを頑張っています。なぜ、野球は評価されるのに、ゲームは悪とされるのでしょうか」などとコメントしています。

メッセージ広告は、東京メトロ丸ノ内線新宿駅メトロプロムナード内でも12月26日まで掲示されています。

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<広告掲載文 全文>【ゲムトレHP

「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」
と言われる未来があるかもしれない。

かつて、小説や漫画は毒と捉えられていた時代があった。あの夏目漱石も、小説家デビュー当時は「帝大出身のエリートが低俗な職業に就いたもんだ」と嘲笑されたと言う。しかし、今はどうだろう。人々の心を掴み、人生の糧となっている。

同様にゲームの捉え方も変わりはじめた。プレイしながら試行錯誤を繰り返して、自分の成長を実感。難しいステージをクリアすることで、自己肯定感が高まる。仮想空間上で世界中のユーザーと分かち合う。ゲームは、人生を豊かにする力がある。

日本初のゲームのオンライン家庭教師「ゲムトレ」では、特別な体験で子どもの成長をサポート。楽しみながら、力を伸ばせるように心がけています。成長の新しいステージへ一緒に進みませんか。

②東京メトロ丸ノ内線新宿駅メトロプロムナード内
掲載期間:2021年12月20日(月)~12月26日(日)
※駅係員へのお問い合わせはご遠慮ください
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香川県のゲーム条例は、昨年大阪市も巻き込んで話題になりました。大阪市松井市長がすでに規制を始めるかのような報道内容でしたが、松井市長は「現場からの声はあるけど、まずは専門家を交えてエビデンスを検証してから」と答えており、記事のミスリードだったようです。「ゲーム障害」が国際診断基準に収載される予定ですが、最近になって国際的にも、その妥当性に疑義が投げかけられています。現実に治療介入が必要なゲーム依存の患者もいれば、問題なくゲームと共存する人が圧倒的多数であることも事実で、「障害」の原因だと煽ることで新たな差別・偏見の起源になる恐れもあります。

しかも、この広告自身はゲムトレ社の学習ソフトの宣伝なのですから目くじらを立てるような話ではありません。しかし、コロナ禍の下、ゲームに向かう時間が増え運動時間や学習時間が減ってて困っている家族がいることもまた現実です。引きこもりのトレードマークのようにゲームが受け止められているのは問題ですが、一概にゲーム万歳とは言えない人たちもいることは忘れてはいけないと思います。

とは言え、ゲムトレ社の社長自身も10年間の不登校経験者ですから、彼の言う事にも説得力があります。なんでも新しい娯楽は批判されるけど、確かな文化や職業になっているものは小説だけではありません。高速大量印刷社会から、世界を駆け巡るデジタル情報社会の中で、遊びもまた、テクノロジーによって高度化し、時代の人々のモノになっていきます。テレビの見過ぎが自閉症や微細脳損傷を誘発すると真面目にいわれた昭和の頃を思い出します。

昭和の子どもたちにテレビは害だと言ってきた今の高齢者かつての親たちが、毎日テレビ漬けで、テレビの垂れ流す情報を鵜呑みにしてコロナ禍で煽り報道の片棒を担がされたのも事実です。その結果、公園遊びも野外活動も、競技場でのオリパラの観戦すら否定され家籠りを余儀なくされた子どもたちに、今度は「ゲーム障害」だとエビデンスもなく煽るこの循環はどこかで断ち切る必要があります。そういう意味でゲムトレ社のメッセージは、子どもたちへの救いの言葉にも読めるのです。

ワンダー 君は太陽(映画)

「ワンダー 君は太陽」という映画が2017年に上映されました。先天性の疾患で顔立ちが人と異なるオギーは、生まれた時から何度も顔の手術を繰り返してきました。10歳になって学校へ通い始めたオギーは、勇気を出して同年代の子どもたちの中へ入っていきますが、オギーの顔をじろじろ見たり、避けたりするクラスメートばかりです。ある日、勉強が得意なオギーは、理科の授業でクラスメートのジャックに自ら話しかけ、二人は仲良くなる。オギーは持ち前の強さと家族の温かい支援によって、学校を楽しみ、居場所を作りつつありました。しかし、ハロウィンの日、オギーとジャックの仲を裂く出来事が起きます。

オギーの姉・ヴィアは、オギーにかかりっきりの両親が自分を見てくれないことに、ずっと寂しさを感じていました。さらに親友ミランダとも上手くいかず、孤独な日々を感じています。「オギーは太陽。私たちは皆、その周りを回る惑星」と、ヴィアは自らを形容します。オギーの友達・ジャックや、ヴィアの親友・ミランダの思いや悩みついても、語られます。この映画は障害を持つ人だけでなく、周囲の人々にもスポットを当てた映画の構成になっています。

本作は評価が高い一方で、一部「障害者を利用した感動の押し付け」といった批判もあるようですが、群像劇という形で、多角的な見方を提示する映画です。邦題の「君は太陽」は、オギーだけを指すのではなく、周囲の人たち一人一人も、それぞれの人生においては太陽である…という意味のような気がします。

この作品は、障害者が障害を持っているというだけで、あるいは持っていることを含みにして、「感動をもらった、励まされた」と言われる場面を描いているという批評があります。そこでは、障害を負った経緯やその負担、障害者本人の思いではなく、積極的・前向きに努力する(=障害があってもそれに耐えて・負けずに頑張る)姿がクローズアップされているというのです。「清く正しい障害者」が懸命に何かを達成しようとする場面を取り上げることを「感動ポルノ」というそうです。

日本においては、2016年8月28日にNHK Eテレが『バリバラ 障害者情報バラエティー』「検証!『障害者×感動』の方程式で感動ポルノを取り上げ、裏番組に当たる24時間テレビを批判しました。英国BBCは1996年、障害者の「困難に耐えて頑張る」姿ばかりが描写されがちなことに対する抗議運動を受けて「障害者を“勇敢なヒーロー”や“哀れむべき犠牲者”として描くことは侮辱につながる」というガイドラインを制定しています。日本社会においても一般にもこの「困難に耐えて頑張る」ことで納得するような、隠された安易な差別意識があり、これは「覗き見」への興味であり「人の不幸」見たさのことであるというのですが、それはあまりにもひねくれた見方ではないかと思います。良いものは感動できるし、そうでないものは感動できない。表現の受止めはそれだけでいいと思うのです。

おちょやん

家族近況聞いた千代は。。。/おちょやん10日あらすじ

2020年12月9日8時16分【日刊スポーツ】

11月30日にスタートしたNHK連続テレビ小説「おちょやん」(月~土曜午前8時)。前作「エール」も評判でしたが、それに劣らず、話題となっているようです。女優の道を生き抜き「大阪のお母さん」と呼ばれた、女優浪花千栄子さんをモデルにした女性の物語で、主演は杉咲花(23)。3週目から本格登場する杉咲に代わって主人公を演じる子役の毎田暖乃(まいだ・のの=9歳)の芝居を見てると、自然と顔がほころんできます。まさに天才子役といってもいいのではないでしょうか。次回のあらすじを紹介します。

 女優・高城百合子(井川遥)の美しさと情熱的な演技に、魅了された千代(毎田暖乃)は、手に入れた台本で、文字の勉強を少しずつ始める。そんなとき、一平の父、天海が突然、亡くなってしまう。劇場では盛大な葬儀が行われた。鶴亀株式会社の社長、大山鶴蔵(中村鴈治郎)は、一平に2代目を継がせるよう一座の面々に伝える。一方、千代は隣近所だった小林と道頓堀で遭遇。父テルヲ(トータス松本)たち家族の近況を聞かされる…。
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子役の毎田暖乃の芝居はまさに天才子役と言われる通り感心します。毎田暖乃演じる千代ちゃんが、大阪に奉公に出るため小学校を辞めると先生に告げるシーンがあります。千代ちゃんが「自分は普通の子みたいになられへん」と言ったことに対して、先生は最高の言葉をかけます。

 「それで、ええと思いますよ。むしろ、普通の子なんていません。いろんな子がいて、みんなそれぞれ頑張っているんです。しいていえば、それが普通です。竹井さんは学校に行くことができなくても、それが普通ですよ」と言葉をかけます。大正時代の話ですが、今こんな気の利いたことを子どもに言う先生いるやろかと思いました。

 

「不登校の子が学校に関心」 eスポーツの教育活用、米領事館が発信

「不登校の子が学校に関心」 eスポーツの教育活用、米領事館が発信

2021年12月22日 【朝日新聞】

eスポーツと聞くと、テレビゲームのプロが高額賞金の大会で技を競うイメージがある。だが、米国の高校や大学では、チームスポーツとして採り入れ、教育ツールにしているという。この取り組みを紹介するウェブセミナーを開いた名古屋米国領事館EducationUSAアドバイザーの田中里佳さんに聞いた。

――eスポーツと教育。どう結びつくのですか。

eスポーツはテレビゲームと思われがちですが、デジタルコンテンツと考えれば教育とつながるのではないかと思います。

教育ツールとしてのeスポーツは、チームスポーツであることが前提です。生徒や学生がチームを組み、コンピューターゲームでどう攻略して成果を上げるか、ほかのチームとどう競うかを考え、議論しながら取り組む。先生やコーチがサポートします。野球のような、ふつうのスポーツと一緒です。

例えば、米国務省と北米教育eスポーツ連盟(NASEF)によるプログラム、ファームクラフト2021では、子どもたちは農場をつくるゲームに挑戦します。土地を整備し、種や苗を育て、収穫までを競います。農業生産技術をゲームで疑似体験をしながら、アグリビジネスの進め方を学ぶことができます。その他にも文化遺産を保護しながらゲームスキルのレベルアップも出来るような国際ビデオゲーム開発競技大会「ゲームジャム」なども開催されました。

ゲームに挑戦することで、チームの仲間やサポートする大人たちと関わりながら、論理的な思考(クリティカル・シンキング)やコミュニケーション能力、協調性、自分の感情をコントロールする自律や自己管理能力を育てていく。さらには、プログラミングなどのITに触れる入り口になればと考えています。

――ウェブセミナーでは米国の大学や高校が積極的にeスポーツを採用していることが紹介されました。どんな効果を期待しているのですか。

一つの例ですが、不登校の子どもがeスポーツのチームに参加することで、学校生活に関心が持てるようになりました。ふつうのスポーツや勉強が得意でなくても、ゲームなら入りやすい。家にいてもできるし、学校へ行く動機付けにもなる。チームで人間関係も学べるし、自信も持てるようになり自己肯定感が高まる。北米にはeスポーツの公認クラブがある大学も多く、奨学金もありますから、ITやAIに携わるデジタル技術者、ウェブのデザイナー、ゲームの開発者など、キャリア選択や自分自身の可能性を広げることにつながります。

一人で引きこもってテレビゲームをやっているのではなく、社会に積極的に関与できる人材を育てることが狙いです。

――なぜ名古屋米国領事館がeスポーツと教育のセミナーを開いたのですか。

米国政府はeスポーツを進める目標として「世界的な共感を高め、地域や国のつながりや理解を築き、深める」「クリティカルシンキングのスキルを奨励することで民主主義の原則を強化する」ことなどを掲げています。eスポーツが、民主主義の根幹を支える能力を育むという考え方です。

日本ではセミナーが最初の取り組みですが、米国政府はすでに台湾、インド、韓国、ニュージーランド、メキシコなど多くの国で教育eスポーツの交流に取り組んでいます。

教育eスポーツは、これまで紹介してきた効果にとどまらず、英語を習得するのにも役立つことも強調しておきます。今回のセミナーは学校の先生向けに教育eスポーツを知ってもらうことが目的でしたが、今後は日本と海外の学生がeスポーツで交流する機会をつくっていきたいと思っています。(聞き手・鈴木裕)

◇教育ICTツールとしてのeスポーツ・ウェビナー

9~11月に計3回、教員や教育行政の担当者らを対象に開かれた。名古屋米国領事館と北米教育eスポーツ連盟(NASEF)日本本部が主催。米国の高校や大学での教育eスポーツの現状や可能性、eスポーツのフィジカルとメンタルケアなどについて専門家が話した。

11月14日には、米国大使館が後援して「eスポーツ国際教育サミット2021」(主催・北米教育eスポーツ連盟日本本部)が開催された。国内の高校での教育eスポーツの取り組みの紹介のほか、高校生たちが現代社会が抱える様々な課題をeスポーツを活用し解決するアイデアを発表する「eスポーツ・クリエイティブ・チャレンジ」があった。
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デジタル王国のアメリカは百歩先の感があります。日本も半導体産業が伸びている頃は、破竹の勢いでコンピュータ産業もあらゆる分野に伸びて米国ゲーム界まで進出していました。ところが、30年前頃を境目にして、貿易摩擦の名のもとに米国に開発や進出を阻まれ、国内産業は日銀の異常な金融引き締めと政府の借金キャンペーンで産業活動そのものが30年間足踏みしました。その結果、日本の未来を背負うデジタルベンチャー企業は息の根を止められたと言っても過言ではありません。

その証拠に、日本に圧力をかけた米国はGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)というベンチャー巨大企業を登場させ中国を除いて世界制覇を成し遂げようとしています。キャッシュレス化をはじめとしたデジタル化をいつまでたっても先導できなかった役所にも責任があります。従来通りこれまで通りの役人根性が、既得権益を結果として擁護してしまい、社会のデジタル化を遅らせてしまいました。未だに、デジタルゲームの善悪を論じているのも、デジタル先進国から三十年間遅れをとった証拠とも言えます。

そんな日本でアメリカ大使館による教育eゲームのサポートとは、何とも情けない気もしますが、気を取り直して追い付け追い越せの大和魂と言うと古臭いですが、ここは日本の教育界とeスポーツ界に奮起してほしいと思います。「クリティカルシンキングで民主主義を育てたい」とすっと表現し、民主主義は論理的なものというのも言い得て妙です。ちょっと日本の教師には真似できそうにない台詞ですが、次世代の子どもたちが表現してくれることを期待して、学校公認のeスポーツクラブがあちこちに誕生すればいいなと思います。

大晦日

「大晦日(おおみそか)」は12月31日を指す言葉ですが、もとは「晦日(みそか)」からきています。晦日は旧暦の月の動きと大きく関係しています。「晦」は月の満ち欠けの様子を表わす言葉の一つで、月が隠れることを意味しています。また、晦日は別名「つごもり」とも呼ばれ、同じく「月が隠れる」という意味の「月隠り(つきごもり)」が転じた読みです。旧暦は月の満ち欠けで暦が決まっていました。新月を1日とし、月が隠れる「晦」の頃がおおよそ30日であったことから、30日を晦日と呼ぶようになりました。今でも30歳を「みそじ」ということがあるように、「みそ」がもともと30の読みです。ところが新暦に変わると、ひと月が30日(または29日)で終わらず、31日まである月も出てきて、晦日は、「月の最終日」という意味に変化しました。

実際の日付が30日でなくとも毎月の末日を「晦日」と呼び、晦日の中でも1年を締めくくる12月には大をつけて「大晦日」と呼んでいるのです。大晦日は歳神様(としがみさま)を迎え入れる準備をし、来訪を待つ日でした。大晦日の歴史はかなり古く、平安時代まで遡ります。歳神様とは、稲の豊作をもたらすとされている神様のことで、農作物が豊かに実り、食べるものに不自由することなく暮らせるようにと、昔から大切に扱われてきた神様です。また、歳神様は各家庭にやってくることから、家を守ってくれる祖先の霊とも考えられていたようです。

昔は1日が夜から始まって朝に続くとされており、大晦日の日暮れからすでに新年の始まりでした。そのため、大晦日の夜は歳神様を待ち、一晩中寝ずに起きておくという習わしです。うっかり早く寝てしまうと、白髪になる、シワが寄るなどという女性にとっては恐ろしい言い伝えもあったそうです。新年を気持ちよく迎えるため、大切なお客様である歳神様を迎えるにあたって、家の掃除は不可欠です。大掃除は、地域によって異なりますが、12月13日から始め大晦日までに終わらせるのが本来です。ただし12月29日は9という数字が苦に繋がることから縁起が悪いとされていて、掃除をしません。また、その年最後の掃き掃除のことを「掃き納め」と呼びますが、元日に掃除をしてしまうとせっかく招いた歳神様を掃き出してしまうことになるため、新年に掃除は行いません。

昔は新年を迎えると、数え年で一つ歳をとります。そのため新年に変わる大晦日の夜から、お頭付きの魚や雑煮などの縁起のいい食事を囲んで、一年の無事を感謝し、共に祝いながら家族団欒の時間を過ごしていました。昔の大晦日は家族全員が集まることが当たり前でしたが、今はカウントダウンなどのイベントが行われるようになり、友人や恋人と過ごすという人も増えています。でも、一年の節目となる日だからこそ、大晦日は家族でゆっくりと過ごし、家族揃って一年を振り返り、新年の抱負などを語り合うのも、家族の絆を深める良い機会だと思います。

ICT導入で学び広がる発達障害児の学習支援

ICT導入で学び広がる発達障害児の学習支援

2020年12月10日 05時00分 【中日新聞】

小中学生に一人一台ずつタブレット端末などを整備する「GIGAスクール構想」が加速する中、発達障害のある児童生徒らの学習支援に、情報通信技術(ICT)を活用する動きも少しずつ進んでいる。機器に少し頼るだけで、見違えるように学びを進める子も。障害のある子もない子も共に学ぶ「インクルーシブ教育」の一助になると期待されている。(北村希)

十一月下旬、愛知県常滑市大野小の特別支援学級。一年の男子児童はタブレット端末のアプリで黙々と漢字や九九の問題を解き、満点を取るとガッツポーズを見せた。別の五年男児は、慣れた手つきで「音声ペン」を国語の教科書にタッチ。紙に特殊な加工がされており、ペンが文章を情感豊かに読み上げた。

この五年男児は文字を目で追うことが苦手。教員と一緒に音読をしても文章の理解が難しかったが、昨年、音声ペンを使い始めると、みるみる正しく読めるようになった。物語に入り込み「もっと読みたい」と本が大好きに。国語のテストで八十点以上を取るようになった。特別支援教育士で担任の公文(くもん)美貴教諭(57)は「自分で読みたい所を自分のペースで読めるのが大きい。音声ペンは『自分の意思で』がかなう」と話す。

大野小の特別支援学級には自閉症や学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などの十三人が在籍。紙とICT機器を併用し、それぞれに合った方法で学ぶ。タブレット端末は現在、学校のパソコン室に配備された端末の一部を使っている。公文教諭は「アプリ学習はすぐに正誤が分かり、点数も出るから、子どものやる気や集中力が持続する」と効果を語る。

音声ペンとそれに対応した教科書は茨城大が国の委託を受けて製作し、全国の申請者に提供している。一昨年に学会で知った公文教諭は学校から申請して導入。ペンの費用五千円が各家庭の負担となるが、現在特別支援学級で八人、通常学級で三人が活用し効果があるという。

自治体を挙げて取り組む京都市では、音声ペンや専用教科書、ノートと連動するアプリなど支援機器・グッズ四十四種類を市で所有し、試したい児童生徒に貸与。本年度は、延べ九十四の小中学校に貸し出している。

同市教育委員会によると、読み書きなどが困難な子の通常学級での使用も進む。特に音声ペンはイヤホンでつなげば音も漏れず見た目が自然で、周りの目を気にせず使う子が多い。「今後全員がタブレット端末を使う風景が普通になれば、より気にせず機器に頼れる子が増えるのでは。ほんの一歩だが、インクルーシブ教育につながる」と話す。

通級指導、20年で5倍に
障害のある子どもの学び場として、文部科学省は「特別支援学校」、一般の学校に設置される「特別支援学級」、一般の学校で通常学級に在籍しながら一部特別な指導を受ける「通級指導」、「通常学級」の四種類を挙げている。

二〇一三年の制度改正で、それまで「一定程度障害のある子は原則特別支援学校に就学」としていたのを、「本人・保護者の意見を最大限尊重し、総合的に決定する」ことになり、幅が広がった。

一九年度の特別支援学校の在学者は約十四万人。特別支援学級に在籍する児童生徒は約二十八万人、通級指導を受ける児童生徒は約十三万人。少子化の中、それぞれ二十年前と比べると一・六倍、三・九倍、五・一倍に増えている。

増え幅が大きい通級指導を受ける児童生徒のうち、言語障害が29%と一番多く、自閉症が19%、注意欠陥多動性障害(ADHD)が18%、学習障害(LD)が16%。

インクルーシブ教育障害のある子とない子が多様性を尊重し合い、共に学ぶ教育。2006年の国連総会で採択された障害者権利条約で示された考え方。日本では12年、中央教育審議会で推進がうたわれた。インクルーシブは「包括的」の意味。欧米などでは主流となっている。

音声教材の普及状況文科省は2014年度から大学やNPO法人に委託し、音声ペンなど教科書の理解を促す「音声教材」を製作し、一部を除き無償で希望者に提供。本年度は関連経費約1億700万円を計上し、茨城大を含む6団体が参加する。音声教材の全国の利用者は19年度で約1万3500人で、15年度(約4000人)の3倍超。ただ、通級指導を受けるLDの児童生徒だけでも約2万2000人。文科省の担当者は「必要な子に行き渡っていない。学校では教員の裁量が大きく、自治体単位でも温度差がある。普及に力を入れたい」と話す。

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インクルーシブ教育を進めるには工夫が必要です。ICT機器はその代表的なものです。人手だけでなんとかしようとしても、何ともならなかったわけですから、とりあえずは導入すればいいのです。しかし、学校は教師が良くわかってないとか、他の子どもと平等性が担保できないとか言ってサボタージュしてきました。

いくら共生を声高に主張しても、モノ・カネ・ヒトが投入されなければ絵にかいたもちです。このブログでは何度も主張しているように、自学自習がもっとも学習効果が上がるのです。ICT機器の導入に力を入れてほしいものです。

 

浦安市議会「手洗い条例」可決 コロナ禍長引く中で環境整備を

浦安市議会「手洗い条例」可決 コロナ禍長引く中で環境整備を

12月23日【NHK】

千葉県浦安市の市議会は、コロナ禍が長引く中、効果的な手洗いの習慣と環境を整えたいと今月、「手洗い条例」を可決しました。

浦安市の「より良い手洗い環境づくりの推進に関する条例」では、「手洗いは誰もが容易に実践できる効果的な感染症などの予防策」だとして市や学校の役割などを定めています。

具体的には、小中学校の手洗い場で直接、手で触れずに水道が使える「自動水栓」が現在は38%の普及にとどまっているのを拡大させていくことや毎月15日を「手洗いの日」と定めて手洗いへの関心を高めることなどに市が取り組んでいくとしています。

そして、条例をつくる際の調査の中で、遊びたい気持ちが先立って手洗いがおろそかになったり、見ていないときちんと手洗いをしなかったりする子どもたちがいることがわかったとして、学校などが感染症や食中毒を防止するための手洗いの重要性を伝えていくことで、学級閉鎖などにより学びの場が失われることを防ぐとしています。

手洗いに特化した条例は全国初とみられるということで、提出者の西川嘉純議員は、「新型コロナの影響が長引く中であらためて市全体で手洗いへの意識を高め、感染拡大防止につなげたい」と話しています。

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さらっと聞けば、ごく普通のニュースに聞こえますが、よく考えてみると市議会で議決して地方の法律にするようなことだろうかと思いました。予防のため手洗いはエチケットなのだからそんな大げさにと言われるかもしれません。しかし、この2年間、感染予防をめぐっての建前と本音の乖離が政治とメディアの中に何度も見られました。オリパラの観戦では千葉県は教育的な意味で積極的に児童に観戦を進めてきましたが、スタジアムなど屋外観戦に近い状態でも、児童が感染したら責任が取れるのかとメディアは世論を誘導し、結局途中で感染源は分からないままですが感染者が出て断念した経緯があります。そのオリパラの取材打ち上げで報道クルーが酒場で騒ぎ批判を浴びると言う事件がありました。

また、同じ千葉で副知事をはじめ県会議員らがスポーツ懇親会の忘年会で、酒場に長居した事が発覚してわざわざ陳謝する報道がありました。オミクロン型の拡がりはあるが重症化例はないし、感染は収まってきたと言うのが大方の本音だからという向きもあるでしょうが、公の建前に晒されると本音は言えない状況です。このように、建前と本音がかけ離れた状況で、建前をさらに突き進めるような条例制定は相応しくないと考えるのが政治の役割だと思います。

予防啓発を推進すること自体に異存はありません。しかし、エチケットやマナーに属する事柄が「地方の法律」と言える条例になじむのかということです。手洗いは予防のためのエビデンスもあり、建前とは言いませんが、家庭や学校での躾に関する内容まで、議会で条例化する必要があるのかどうか考えた議員はいたのでしょうか。啓発するだけなら、役所や学校のトップダウンで十分ですし、水栓の自動化の予算は議会で議論すればいいことです。罰則はないから良いという事ではなく、条例はそれなりに市民の意識や行動を拘束する法律であることは間違いないです。

条例制定は地方自治の権限ですが、だからと言ってなんでも条例化すればよいと言うものでもありません。先日否決となった外国人投票条例も、公平や平等という建前ばかりが前に出ていますが、外国人を入れて国防を左右する意見決議を地方議会に要請されてはまずいと、本会議になってはじめて気が付くと言う頼りない地方議会もあるのですから、市民の監視は欠かせません。政治家は市民にばかりあれこれお願いするのではなく、どこの病院でもワクチン接種ができるように医療に働きかけ、行政はその施策が速やかにできるようにすることこそ、最も予防効果があがるのではないかと思います。

米津玄師

米津玄師作詞作曲のパプリカは2018年にリリースされてから、老いも若きも幼児までこの歌を口ずさんでいます。Foorin team Eの「Paprika」はこの1月22日にリリースされます。世界中にこの歌は広がっていく兆しです。この大ヒットは、NHKのプロデュース力にもありますが、やはり楽曲がずば抜けて素晴らしいからだと思います。

スーパーヒットを飛ばし続ける米津玄師さん。彼は自分が自閉症であることをカミングアウトしています。米津玄師さんが自身が高機能自閉症(HFASD)だと知ったのは20歳のときでした。自分が高機能自閉症だとわかってから、かえって気持ちが楽になったそうです。人と違う自分に、何か常に感じる違和感の原因にとても腑に落ちたと言います。同時に鬱病も抱えていたこともあり、そのときの感覚を以下のように語っています。「時間のながれるスピードが死ぬほど早くなって、気がついたら半袖じゃ暮らせない気候になってたり、近所のスーパーに行く決心をしてから帰ってくるまで1時間くらいかかったり、1日20時間くらい寝てたり。」と言います。

また、彼は、父親とほとんど会話することがなかったそうです。感覚としては、親戚のおじさんとか、そこまで近くない知り合い程度だったそうです。彼は絵が好きだった母親の影響で、自分も絵をかくようになったのだ、と語っていました。しかし、そんなお母さんとも、あるきっかけで会話をほとんどかわすことがなくなったそうです。そのきっかけというのは、母と姉が小競り合いするようになって、違和感を感じて孤独な感覚に陥って無口になってしまったと言います。高機能自閉症の影響で、家族にも違和感を感じて、バリアーを張ったのかもしれません。彼の場合、自閉症がわかったのが20歳のときということですから、周りの両親や家族も、本人の辛さを理解できないことや、育てにくさを感じていたのかもしれないし、彼と同じような傾向を持っていたのかもしれません。巷では「親子の断絶」という表現もありますが、私たちが想像している「断絶感」とは違うのかもしれません。現在は年末に実家の徳島に帰って過ごすなど、両親との関係は改善しているといいます。

米津玄師さんの名前は、「よねづ けんし」と読みます。一見芸名のようですが本名です。1991年生まれ徳島出身。小学5年生の時、Web上で流行っていたFLASHアニメーションを視聴したことからDTM(デスクトップミュージック=PCでの曲作り)に興味を持ったそうです。中学3年の時、MTR(マルチトラックレコーダー)を使用してオリジナル曲を制作したそうです。MTRの一人で1パートづつ録音して音楽が作れるところにはまったと言います。高校では「ハチ」というアカウント名で30曲ほどのオリジナル曲をニコニコ動画に投稿していました。高校卒業後は大阪の美術専門学校に通学する傍ら、バンド活動を行っていましたが、自身が個人主義的な人間の為、人とものを作ることができなかったとバンド活動が低調だった旨を語っています。

彼は、メディアに出ない為、なかなかその姿を目にしないかもしれません。時々、テレビ番組でインタビューされることはあっても、ミュージックステーションのような音楽番組で楽曲を披露することは控えているようです。彼自身、インタビューの中で、メディアに出ることが苦手で、出来る事なら出ない方がいいと言っています。彼のキャラクターには合っているように感じます。

LGBT 学校のトイレ問題

米最高裁、「学校のトイレ問題」で反LGBT団体の訴えを棄却

2020/12/09 14:30【Forbes JAPAN】

米国の最高裁は12月7日、オレゴン州の学区が定めたLGBTの生徒が男女どちらのトイレを使用するべきかという規則に対して起こされた訴えを退けた。学区は、「トランスジェンダーの生徒が、自らの性的アイデンティティに応じたトイレを使用する権利を認める」との規則を定めたが、反対派はこれに異議を唱えていた。

最高裁の判断は、LGBTの権利を主張するグループにとって勝利と言える。
この訴訟は2017年にオレゴン州の親たちによって起こされたものだ。親たちは、性的マイノリティに対してインクルーシブなトイレの使用規則は違法で、タイトル・ナイン(教育改正法第9編)に違反するものであり、「子育てに関する親の権利」や「身体的プライバシーの権利」、宗教の自由を妨害すると述べていた。

この訴訟では下級裁判所が、「オレゴンの学区の規則は差別を回避し、トランスジェンダーの学生の安全と幸福を守るものだ」として、訴えを棄却していた。最高裁は下級裁判所の判決を支持した。

下級裁判所は、学区のトイレポリシーは宗教的行為を対象としておらず、性別に基づく差別ではないと述べた。さらに、「トランスジェンダーの人々との関わりから生じる可能性がある、全てのリスクを避けるための基本的なプライバシー上の権利は存在しない」と結論づけていた。

LGBTグループや人権団体は最高裁の判断を歓迎した。トランプ政権が保守派のエイミー・コーニー・バレットを最高裁判事に任命した結果、現在の最高裁は6対3で保守派が多数を占めており、LGBTに対して敵対的になると考えられていたからだ。

バレットは2016年のコメントで、トランスジェンダーの女性を「生理的な男性」と表現し、公教育における性差別の撤廃を定めたタイトル・ナインの適用範囲に、トランスジェンダーが含まれることに疑問を呈していた。

「今回の訴訟は酷いものだったが、今後も類似した訴訟は増えるだろう。さらに、もっと危険な反トランス法を通過させるための準備を進めている州もある」と、ACLUのトランスジェンダー担当ディレクターの、チェイス・ストランジオはツイートした。

共和党は2016年と2017年に反トランス的なトイレの使用に関わる法案を可決させようとしたが、反対運動やボイコット、裁判所の判決などを受けて、その努力は失敗に終わっていた。

学校のトランスジェンダーの生徒の扱いをめぐる論争で、次の争点となるのはスポーツ選手の扱いだ。ルール上、トランスジェンダーの女子生徒は、女子競技に参加が許されるはずだが、トランプが任命したベッツィ・デヴォスの指揮下にある教育省は、トランスジェンダーのスポーツ選手に対し肯定的な立場をとる州への、資金援助を差し止めると脅しをかけている。

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LGBTQについての差別の解消はとても難しいです。カミングアウトしなければ誰が対象かもわからないからです。そして仮にカミングアウトされても、本人の主張の内容、周囲の受け入れ感情はその場その場で違うからです。見えない違いであるLGBTQはその人たちだけの問題ではなくみんなの問題です。特に公共トイレの問題は双方でナーバスになりやすいです。

見かけの性別が異なる人がトイレに入ってきても、その人の自由だからと許容できるかどうかは確かに生徒だけの問題ではないです。文化の問題を法律で白黒つけるのも違うような気がします。性別のトイレが何世紀に始まったかは知らないけれど長く慣習としてきたものを急に変えるのが苦痛な人もいるはずです。

LGBTも利用できると虹のマーク付きの多目的トイレを作ったらブーイングを受けた自治体がありました。専用トイレに入ればカミングアウトしたことになり嫌だという人がいたからです。自分では男だとか女だとか思っていて男子トイレがいいとか女子トイレがいいとか思っている人から、どっちでもないなとか黙っていたいと思っている人までいます。ただ、何もしない自治体よりも、どんなに批判されようが動き出す自治体のほうが100倍素晴らしいとは思います。

LGBTQを理解しないものは差別者だと言うのはたやすいですが、人は誰もが様々だという事を認識することも忘れてはならないのです。有色人種差別の問題でも社会的に差別しないという中身は、公民権が中心でした。しかし、意識の問題から派生する排除や暴力は、BLM(ブラック・ライブズ・マター)の暴動のようにどんどんもつれていきます。同じようにLGBTQの問題に早急に白黒をつけようとすれば、どちらの側も強引にならざるを得ず対立をあおりやすくなります。その結果、市民が距離を置きたいという気持ちになってしまっては逆効果だと思います。

そして、トイレを権力闘争の具にして、この両者を煽って対立させ漁夫の利を得ようとしているものも見抜く必要があります。この両者が手を繋ぐのは簡単です。全ての学校・公共トイレをパウダーコーナも含めて個室にしようというムーブメントを起こせばいいのです。こちらを法制化してまともに取り組めば「トイレニューディール政策」として、各国のGDPを引き上げる大事業になるかもしれません。ユニセックストイレも防犯の観点からはいろいろ意見はありますが、対立点や違いをアピールするよりも手を結べる共通の目標を見つけることが大事だと思います。