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みんなちがってみんないい

ネットフィルター

【2020年2月8日(土)京都新聞】
インターネットを通じて性犯罪被害に遭う子どもが増えている。被害の予防やネット時代の性教育を考えるため京都新聞社は昨年12月、子どもの性と会員制交流サイト(SNS)などの問題について意見や保護者からの悩みを双方向型報道「読者に応える」の友だち登録者などを対象にアンケートした。SNSなどの利用に大人の目が行き届かないことへの不安や氾濫するゆがんだ性情報との向き合い方に戸惑う声が目立った。

アンケートは子どもの性とネットに関する悩みを5項目から選択する1問(複数回答可)と、意見や疑問を記述する1問。京都府内を中心に345件の回答が寄せられ、内訳は64%が保護者、2%が教員、34%がその他だった。

記述は130件の回答があった。「ネットの法規制をしてほしい」(中1女子生徒らの母親)「過激な性情報に触れなくて済むよう子ども専用の端末を作るべき」(年長女児と小4女児の母親)など規制を求める声がある一方、「臭いものにふたをするのではなく、性情報との向き合い方を教える方が大切」という意見も複数あった。

 性教育に携わっているという回答者は「大人が十分な性教育を受けていない」と指摘。50代教員は「幼児期から年齢に応じた性教育が必要」と記していた。
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すてっぷの利用者もスタッフもネットは毎日利用していますが、Webや動画のフィルタリングシステムが稼働しています。性描写や暴力描写等を自動的にカットしてアクセスできない仕組みです。

フィルタリングシステムは事業所設置のルーターを管理する「i-フィルター for BUFFALO」が稼働しています。2年間で6千円程ですから1日10円もかかりません。他にもアイ・オー・データの「ファミリースマイル」があります。料金はルーター購入後最長5年無料です。これらのシステムはネットの時間制限もできます。外出先での通信キャリアも利用する子どもの端末管理がしたい場合は「i-フィルター 6.0」(端末一台1日12円)等があります。

親や地域施設はこうしてインフラを整備しますが、一方で、プログラミングや道徳の時間を使って、教育を進めるのは学校の役割です。学校職員が良く知らないから教えられませんというのは、もう時代に通用しません。

学校苦慮・・・緊急事態延長で見通し立たず

<新型コロナ>校外学習や修学旅行はどうなるの?学校苦慮・・・緊急事態延長で見通し立たず

2021年2月2日 06時00分【東京新聞】

新型コロナウイルス対策で緊急事態宣言が3月上旬まで延長される見通しとなったことで、学校現場では校外学習や修学旅行が実施できない可能性が高まり、頭を悩ませている。宣言解除を一つの目安と考えている学校もあり、コロナ禍での感染防止対策と学びの保障との両立に苦慮している。(奥野斐)

「宣言の期間が延びると校外行事は難しい。対応をどうするか悩む」。東京都江東区の区立小学校に勤務する男性教諭(46)はため息を漏らす。同校では毎年、近隣企業の協力を得て、校外で英語を学んだり職業体験をしたりする機会を設けてきたが、今年はコロナ禍で延期になった。

江東区教委は、区立学校向けガイドラインで、遠足や社会科見学などは原則中止とし、修学旅行の代替として行う「想い出に残る行事」は宣言解除後にするよう明記している。男性教諭は「今年はコロナで何もできなかっただけに、6年生だけはなんとか実施させてあげたい」と話した。

緊急事態宣言に伴い、1月から分散時差登下校をしている豊島区立仰高小では、宣言延長でこの態勢をしばらく続ける予定。各クラスを2グループに分け、それぞれの登校時間を決めており、新井裕校長は「仲の良い友達と自由に登校したい子もいると思うが、もう少し我慢」と理解を求める。

今月に行う「6年生を送る会」は、感染防止対策から他学年の出し物などは離れた教室から同時中継したり、事前収録したりする。新井校長は「宣言が解除になれば多少やり方を緩めることも考えたが、できる範囲でやりたい」と話す。

修学旅行の中止を決めている地域も多い中、対応に苦慮するのは墨田区。区立中10校の約半数は昨秋に修学旅行を実施したが、残る学校は2月下旬から3月上旬に予定している。区教委の担当者は「教育的な意義と安全性をふまえて再度検討する」と話した。

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今回の宣言や延長は世論に押された政権のリスク回避の判断ともいわれます。すでに1月緊急宣言前に陽性者のピークアウトは過ぎていたという事実や、結果論だが緊急宣言を出した自治体だけでなくすべての自治体で同じような減少カーブを描いていることからも、宣言発出の根拠が薄いという見解もあります。その結果、飲食業に関わる流通業や生産者も含めて店を閉める事態になり、そこに関わる就労者も失業して行き場を失っています。失業者の増加は自殺者を増やし、明確な統計値で死亡数が示されています。

政府は様々な失業防止策を講じているとは言われますが、GDP予測はすでに前年度にはるかに届かないというのですから、需要そのものが落ち込んでおり、品物を減らす生産調整をしないと値崩れが起こります。生産調整とは簡単に言えば人手を減らすことで失業者が増えるというわけです。武漢肺炎の日本の死亡者は10万人あたりで5人で、ほぼ高齢者ですが、完全失業率が1%上昇すると、10万人あたり約25人の自殺者増加につながり、多くは働き盛りの方が自殺するのです。

子どもが困るのは、大人の事情で行われる学校の感染防止策です。先日も鹿児島の学校で、感染情報から差別が生じないようにと気遣いをして、身内にも知らせないように担任が保護者に要請した報道がありました。昨年は、感染予防と称してクレーム回避を意識したような運動会や修学旅行が報道されました。風評被害対策に学校と子どもが巻き込まれていると言う図です。

該当地域や校内に感染者がでて対策を講じる状態があるなら様々な自粛や予防策が講じられるのはわかります。しかし、感染者もいないのに転ばぬ先の杖として行事や校外活動を中止するのは、今の政権と同じように、感染者が出たとき学校側の責任が問われるリスクを回避をしているように見えます。子どもには風邪程度の実害しかない感染症なのに、お年寄りのためだと言って過剰な自粛を強いるのは教育的にも良いこととは思えません。こうなっては、早い時期に繰り上げ解除が実現するように願うばかりです。

「だいじょうぶ3組」 (2013配給:東宝)

5年3組の担任としてやってきたのは、生まれつき手足のない先生、赤尾慎之介。「フツーって何?」「1番を目指す意味は?」個性豊かな28人の子どもたちと先生は、様々な出来事を通して生きていくために本当に大切なことに気づいていきます。
「五体不満足」で多くの人の共感を呼んだ乙武洋匡さんの初の小説「だいじょうぶ3組」が映画化されたものです。赤尾先生役は実際に3年間の小学校教員経験もある乙武さん本人です。しかし、決してドキュメンタリー風ではなく、役者になりきって懸命に“演じている”ところがとてもいいです。赤尾先生の補助教員・白石優作にはTOKIOの国分太一さんです。教師の仕事を1度挫折したという役柄ですが、赤尾先生とともに子どもたちの問題に関わりながら、自分自身も成長していきます。

撮影場所が滋賀県にある豊郷小学校の旧校舎、ヴォーリスが設計した「東洋一の小学校」。京都アニメーション制作のアニメ「けいおん!」でも舞台なったモデルです。その美しさと格調の高さには目を見張ります。広い廊下、公園のような前庭、ウサギとカメのいる階段の手すり、教会のような講堂etc。そこで繰り広げられる、オーディションで選ばれた子どもたちの自然体の演技が、何ともほほえましく見る者の心を温めてくれます。

金子みすゞの詩「わたしと小鳥とすずと」の学習で、赤尾先生の配ったプリントにはこう書かれていた。「私は〔  〕だ(できない)けど、〔  〕なん(できるん)だよ。」自分はそれなりの能力とよい面を持った大切な存在なんだという自尊感情の確認。現代の日本の子どもたちはこの自尊感情がとても低い傾向にあるといいます。みんなちがって、みんないい。「感動ポルノ」に気をつかうより、このメッセージのほうが百倍説得力があります。

授業の詰め込み

内田樹「コロナによる授業の詰め込みで、学校が“荒れている”のではないか」

2021.2.3 07:00【AERA】

高校生の自殺者が増えている。厚生労働省は進路の悩みや学業不振が要因だと説明しているが、主因はコロナによる学校生活の変化だと私は思う。高校生たちはこの1年間修学旅行も運動会も文化祭も部活も、学業以外のほとんどの活動の自粛を余儀なくされてきた。そして、全国一斉休校の余波で遅れた授業時間数を取り戻すために、学校によっては6限を超えて7限まで授業を行っていると聞いた。

学習指導要領に定められた内容を教え切るために、詰め込めるだけ詰め込むタイプの授業をしていると子どもたちは壊れてゆく。「ゆとり」以前の、学習内容が最多であった時期にどれほど学校が荒廃したかを多くの日本人はまだ記憶しているはずである。教えることが多すぎて、教師は生徒たちが授業内容を理解するまで時間をかけることができなかった。授業についてゆけない生徒たちは自分が教室にいることの意味がわからなくなった。周りからはまるで「存在しない人間」のように扱われた。自尊感情を深く傷つけられた生徒たちは「私はここにいる」と訴えるように「荒れた」。

今それと似たことが起きているのではないか。短期間に学習指導要領どおりの内容を教え切ろうと無理をしているせいで、教員たちには生徒一人ひとりをケアするだけの余力がない。授業が理解できず脱落する生徒たちを支援する手立てがない。先日友人が「何年ぶりかに暴走族を見た」と驚いていた。「荒れる」高校生と「自殺する」高校生は同じ教育環境の産物であるように私には思われる。

大学ではオンライン授業で、教師と学生との個人的なメールのやりとりが制度的に担保され、対面授業のときよりもむしろていねいな個別指導ができるようになったそうである。これまでだったら早い時期に授業から脱落したはずの学生が学期最後まで受講して、きちんと課題を出し、試験に通るようになったと聞いた。

ことは子どもたちの命にかかわることである。一斉休校と詰め込み授業のせいで中高の生徒たちがいま味わっている苦しみについて、教育行政の担当者はもう少し本気で想像力を働かせて欲しい。

内田樹(うちだ・たつる)/1950年、東京都生まれ。思想家・武道家。東京大学文学部仏文科卒業。専門はフランス現代思想。神戸女学院大学名誉教授、京都精華大学客員教授、合気道凱風館館長。近著に『街場の天皇論』、主な著書は『直感は割と正しい内田樹の大市民講座』『アジア辺境論これが日本の生きる道』など多数

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大人の都合で、ゆとりで学習内容が少ないと言われたり、多いから想像力が育たないと言われたり、挙句感染症で休校だからと内容は減らさず行事を減らして詰め込んだりおおよそ児童中心とは言い難いです。人間性の育ちに大事なものは人との良い関係性です。多様な人から教えてもらったり教えたりの関係はゆとりがなければできないことです。

知識はこの関係性を通して伝わるのです。確かにAIなら一定の教え方で授業者に合わせて教えてくれるでしょう。それは様々な学習者の情報から解析されて最もマッチするものを提供するのですから、そこらの駆け出しの教員にはできないことでしょう。しかし、それでも生活の中にAIは存在することはできません。

悲しみや迷い困惑や恥じらいなど微妙な学習者の感情や理由を解析するAIが今後開発されたにしても、バーチャルな関係性と生身の関係性は違います。学びの場所は従来の学校に固定する必要はないにしても、学び合う関係性はそう簡単に置き換えられるものではないと思います。学び合う関係にはゆとりが必要だと思います。追い立てても良い結果にはなりません。何しろ日本中の事なのですから、文科省が休校の分だけ後学年に回す判断をすれば済む話です。良いものを創り出すには余裕と「遊び」が必要です。

「ADHD」は6倍「学習障害」は5倍…「発達障害の子」10年で急増のワケ

「ADHD」は6倍「学習障害」は5倍…「発達障害の子」10年で急増のワケ

2022.1.26【幻冬舎ゴールドオンライン】

現在,日本において「発達障害」とされる子どもが急増しているといわれています。そこにはどのような理由があるのでしょうか。みていきましょう。

発達障害のある人への支援は国民の責務
発達障害とは,発達障害者支援法において「自閉症,アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害,学習障害,注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」とされています。また「その他」には,厚生労働省の省令で定められている,吃音やトゥレット症候群,選択性緘黙が含まれるとされています。

この法律ができる2004年より前は,発達障害のある人への支援を定める法律はなく,発達障害の明確な定義もありませんでした。この法律ができたことで,自閉症,アスペルガー症候群,注意欠陥多動性障害(ADHD),学習障害(LD)などが「発達障害」といわれるようになったのです。

発達障害者支援法では,障害特性やライフステージに応じた支援を行うことが国や自治体だけでなく,国民の責務として定めています。もはや「発達障害なんてよく分からない」と知らないふりをするわけにはいかないわけです。

発達障害は「社会の問題」とした発達障害者支援法。さらに発達障害の早期発見とともに,「切れ目のない支援」を行うことが明記されています。つまり就学前に始まり,小学校,中学校,高校,大学,そして職場……それぞれ独自の支援を行うだけでなく,情報共有のもと継続的に支援を行うことをうたっています。

さらに各都道府県と指定都市には,発達障害のある人に対し,総合的な支援を行う「発達障害者支援センター」の設置が義務付けられました。自治体が運営しているもののほか,社会福祉法人や特定非営利活動法人などによる事業所など,運営主体はいくつかあり,事業内容も少々異なります。どのような形態であれ,発達障害者支援の地域の中心的な役割を担い,「自分は発達障害かもしれない……」と思っている人でも相談できるところでもあります。

小中高「通級」に通う子どもは右肩あがり
障害やグレーゾーンの子どもをもつ親にとって,就学に関しては大きな不安を抱いていることでしょう。現在,小・中学校では,比較的障害の程度が軽い子どもに対して,「通級による指導」が行われています。

通級とは「通級指導教室」のこと。そこに通う子どもは,通常学級に籍を置き,学校生活のほとんどを“ほかのみんな”と一緒に過ごし,週に何時間かある通級による指導の時間だけ通級指導教室に移動して支援や指導を受けます。

通級による指導とは,小学校又は中学校の通常の学級に在籍している軽度の障害のある児童生徒に対して,主として各教科等の指導を通常の学級で行いながら,障害に応じた特別の指導を特別の指導の場で行う指導形態です。
出所:学校教育法施行規則第73条の21及び同施行規則第73条の22

通級で行われるのは,「自立活動」。障害による学習や生活上での困難を改善・克服するためのもので,指導内容はさまざま。担当教師が子ども一人ひとりに合わせて最適なことを行います。障害の程度や状態はさまざま。緩い指導のカタチが“ちょうどいい”というわけです。

文部科学省『令和元年度通級による指導実施状況調査』によると,国公私立小学校,中学校,高等学校で通級による指導を受けている児童生徒数は13万4,185人。前年から1万1,090人,10%弱の増加でした(図表)。

そのうち,発達障害(ADHD,学習障害,自閉症)は7万2,733名で,通級に通う児童生徒の半数以上が発達障害です。

さらに細かくみていくと,注目すべきは増加率。10年で,ADHDは4,013人から2万4,709人と約6倍,学習障害は4,726人から2万2,389人と約5倍,自閉症は8,064人から2万5,635人と約3倍にも増えています。

少子化が進むなか,確実に発達障害の子どもは増えています。これは前述の発達障害者支援法がつくられたことで,それまで「落ち着きのない子」などと括られていた子どもに,しっかりと診断がつけられるようになったことが大きいと考えられます。つまり「増加した」というよりも「認知が進んだ」といったほうが正しいといえるでしょう。

「発達障害」。当事者でなければ関係ないと思うかもしれませんが,その支援は国民の責務とされています。まずは知ること。それは私たちの責任です。

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発達障害への認知は年々広まっています。「普通学級の中にも支援の必要な子どもはいる」ということは当たり前になっていると思います。そのような子どもたちが安心して学習に取り組めるよう,様々な工夫がされています。

記事の中にもあるように発達障害支援センターは府と市に一つずつ設置されています。しかし,人口の1割を占める発達障害をカバーするには,260万人の京都府なら26万人となり,とても二つのセンターで背負える数ではありません。そこで,各保健所地域にも発達障害者圏域支援センターを設けていますが,この乙訓地域だけでも1万5千人のニーズがあることになりその相談機能の実効性は危ういと思います。教育にも京都府では各支援学校に相談支援センターが設置され各学校を巡回していますが,支援するのは各学校に任されているので,学校による支援のばらつきは大きいと言われます。

相談支援を行うところが多いに越したことはありませんが,大事なのは家庭,学校,支援機関と連携をすることです。案外子どもの状況を共有するだけ,ということも少なくありません。それぞれの場所で子どもが安心して過ごすことが出来るよう,支援の方法を一緒になって考え,それぞれの場所で実践する必要があります。未だに,親の子育ての責任にして自分たちが子どもたちに与えている不適切な対応に気が付かない園や学校,職場は少なくありません。少なくとも,教育機関や福祉機関では,行政が正しい支援知識を提供し現場はそれを学び,正しく支援して欲しいと思います。