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再任用教員ツイッターに差別投稿

「障害者の子、いない方がまし」特別支援学校教員が投稿

2021年1月21日 18時53分【朝日新聞】

群馬県西部の特別支援学校に勤務する60代の女性教員が、ツイッターに障害者を差別する内容の投稿をしていたことがわかった。県教育委員会も事実を把握し、女性教員の処分も含めて検討している。

県教委によると、女性教員は昨年10月中旬にツイッターのアカウントを開設。「障害者や犯罪者が子供でいたらいない方がまし」「労災にならないように気をつけます。いきなり強くつかんだり殴ったりする障害のある人」などと投稿。校内の取り組みにも触れ、上司や同僚の実名を挙げて批判していた。

問題の投稿が発覚したのは今月中旬。女性教員の同僚が、知人からの指摘で投稿を知ったという。学校側は勤務記録や投稿内容などから女性教員を特定した。学校や県教委の調査に対し、女性教員は投稿の事実を認め、県教委の指導で問題の投稿を19日に削除した。「個人的な記録として投稿していた」「誰でも読める認識がなかった」と話しているという。

女性教員は定年退職後に再任用され、2019年からこの特別支援学校で勤務しているという。県教委学校人事課の鈴木佳子課長は「指導する教員の立場にある者が差別的な内容の投稿をしたことは非常に不適切であり、あってはならないことだ」と述べた。県教委は今後、SNSでの投稿について注意喚起をするとしている。(中村瞬)

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この再任用教員が特別支援学校経験者なら論外ですが、経験がないなら採用に無理があったのかもしれません。支援学校には行動障害のある子どももいますし、言葉が通じない子どももいますから、通常学校の指導方法では通用しない場合もあります。それなのに、通常学校でクラス指導がうまくできない教員が支援学校に異動してくることも少なくないですから、再任用でも同じことがあるのかもしれません。現場での指導能力がなく毎日の仕事が不安な人なら、障害者を要らないものとする思いが生じるのかもしれません。

モラルの問題としてはあってはならないことですが、行動問題のあるの子どもを見てこんな認識になる教員でも支援学校に再任用されていることの方が深刻です。おそらく周りの職員も管理職も気が付いていたと思われます。再任用は年金制度支給年齢の改定とあわせ、無年金期間を補完する役割で民間会社をまねて作られたものです。

でも、この採用制度は競争がなく希望すれば採用しなければならないのです。採用競争にも耐えられない教員でも再び学校に戻す可能性を残している制度といわれても仕方がありません。わいせつ教員に対する教員免許の再交付を、実質無期限にしようとする教員免許法改正ですら断念・見送りとなるくらいの国ですから、この程度はどうしようもないという事かもしれません。

就労移行支援

子どもに発達障がいを始めとする障害がある場合には、早い時期から自立が気になります。発達障害に限らずその子にとっての人生最初の仕事を選ぶために、大人と子ども自身が把握しておくべきことは、
1 子どもは何に興味があるか?(興味)
2 子どもに元々ある程度備わっている仕事をやる上での特徴とはなにか?(適性)
3 興味と適性の両方がある仕事があったとして、どうやってその仕事をやるか?(実現可能性)
何に興味があるのかを知るためには、世の中にはどんな仕事があるのか知る必要があります。多くの場合、自分の親の仕事とか、学校の先生とか、比較的自分の身近なところにある仕事に対して興味をもつようになります。それはそれで入り口としてはいいことですが、もっと広く仕事を知ることが必要です。手軽に仕事を知るための素材として「13歳のハローワーク 村上龍 幻冬舎 2010-03-25」があります。ドラマ化されたビデオ「13歳のハローワーク DVD-BOX 出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2012/07/25」もあります。30種類くらいの仕事を経験できるアドベンチャーゲーム「13歳のハローワークDS posted with カエレバ デジタルワークスエンターテイメント 2008-05-29 」もあります。このような素材を使いながら、子ども自身が「自分の興味の方向性」を知ることが大事です。
興味があるからと言って、その仕事に向いているかどうかはわかりません。向き不向きを表すのが「適性」です。具体的に適性というのがどのようにして表されるかというと、こんな感じに分類されています。
①知的能力:推測する、数を応用して考えるなどの力
②言語能力:語彙の多さ、前後の内容から推測する力
③数理能力:足す引く掛ける割るの計算力、応用的な算数
④書記的知覚:書いてある文字の意味を理解する正確性&速さ
⑤空間判断力:平面図、立体図を理解する力
⑥形態知覚:形や図柄を区別する力
⑦運動共応:見て手を動かすことの正確性&速さ
⑧指先:指先を細かく動かす器用さ
⑨手腕:腕全体を動かして作業する器用さ
これらが一般職業適性検査(略してGATB:General Aptitude Test Battery)で分かる内容です。この検査は比較的多くの発達障害当事者の方が「けっこう使える」と言う、主にハロワークで実施している適性検査です。これらの能力の組み合わせによって、様々な種類の仕事への適性が分かるようになっています。例えば、「電気設備の保守管理の仕事」には①知的能力、④書記的知覚、⑨手腕の3つが中程度のレベルで必要になる、というようなことが分かるようになっています。このようなやり方で、全部で40の仕事に対する適性が確認できるようになっています。GATBプラスコース(中学・高校生向け)があり、得点や他者との比較にとらわれすぎることなく、自分の強み、能力特徴に注目します。本人自身の各能力を比較してどの能力が優れているかを把握できるようになっており、将来を見据えた進路選択に役立ちます。(1名分420円)。障害の重い人ならTTAPというASD向けの就労移行支援テストが14歳からあります。

「13歳のハローワーク」に紹介されているような仕事だと、なりたいと考える子どもが多いケースが有るでしょう。例えば、パイロットになりたい子は多いでしょうが、実際の雇用の枠は、志望者の数よりもずっと少ないでしょう。性質として似ている仕事、その子の興味の方向性にあっている仕事、その子の適性に合っている仕事について調べてみます。そして、そういったもののなかで比較的仕事につきやすそうなものがないかどうか調べてみるというやり方があります。仕事のやりがいは、仕事を一緒にやる仲間との相性、仕事環境の文化、といったものも大きく影響してきます。まずは具体的に何かやってみることが大切だと思います。仕事選びには、「第一志望に入るためにがんばる」という受験勉強のような考え方はあまり適しません。実際に試行錯誤してみることが大切になります。

大人になってから発達障がいがあることがわかった方は「苦手なことをやった方がいい」と考えて頑張ってこられた方が少なからずおられます。そして結果的に体調を壊してしまうようなことも起こります。仕事をやっていくにあたって大切なのは、ここまでに説明してきた興味と適性がマッチしていることです。苦手なことより得意なことを軸に仕事を選ぶことは「逃げ」ではありません。そのようなことを含めて、子どものうちから教育していくことが大切なのだと思います。

外出自粛でゲーム依存の相談急増

外出自粛でゲーム依存の相談急増「成績下がり、学校に行けなくなった」

2021/01/26 10:43【読売新聞】

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛の影響で、パソコンなどのゲームにのめり込む子供らが増えてゲーム依存症が拡大する懸念が高まっている。依存症患者の支援組織には親からの相談も相次ぐ。

大阪市の主婦(43)は、昨春の一斉休校を機に小学1年の次男(6)がゲームをする時間が増えたと心配する。兄が使わなくなった携帯ゲーム機で遊ぶようになり、学校再開後も毎日1~3時間ほど必ず手にとる。

外で遊ばせるのが心配な上、現在は学校や習い事に行く前にゲームをやめ、宿題も真面目にこなすため、静かに見守るが、「将来スマートフォンを持ち始めると親のコントロールができなくなるかも、と考えてしまう」と不安を漏らす。

ゲーム依存症からの回復支援などに取り組む「MIRA―i(ミライ)」(東京都)ではコロナ禍の影響で昨夏以降、子供のゲーム依存に悩む親の相談が2倍ほどに急増した。「ゲームから離れられず、生活リズムが戻らない」「成績が下がり、学校に行けなくなった」などの声が寄せられる。

国民生活センターによると、オンラインゲームの課金絡みのトラブルも増加。2020年4~12月の関連相談は4544件と前年同期比で1・3倍に増えた。

ゲームやネット依存の専門外来がある国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県)が昨年5~6月、通院患者80人(12~44歳)を対象に実施した調査によると、感染拡大前の昨年2月に3・9時間だった1日平均のゲーム時間(オンライン)が5・4時間になり、半数前後は「ひきこもり」や「睡眠障害」などが悪化したという。

厚生労働省研究班の17年度の調査では、ゲームやネットに依存しているとみられる中高生は93万人と推計される。センターの樋口進院長は「依存症患者の実態は不明だが、外出自粛で在宅時間の増加が続けば、患者数はさらに増える可能性がある」と指摘する。

世界保健機関(WHO)は19年5月、ゲームにのめり込んで生活や健康に深刻な影響が出た状態を「ゲーム障害」と名付け、ゲーム依存を、アルコールやギャンブルなどの依存症と同じ精神疾患と位置づけた。▽時間や頻度を制御できない▽他の生活上の関心事よりゲームを優先する――などが主な症状の特徴だ。

「MIRA―i」でカウンセラーを務める臨床心理士の森山沙耶さんは「子供の頑張りに目を向け、コミュニケーションをとりながらゲームの時間を決めるなど、一緒にルールを作ることが大切」と助言する。

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ここ数年PCゲームをあまり見ていなかったので`久々に見てみました。とてもおもしろいです。描画や動きも超リアルになっています。大人でもなかなかやめることは難しいなぁと感じるゲームも多いです。親の言い分はいろいろあるかもしれませんが、オンラインゲームの無料提供で一度体験してみると子どもがはまってしまうわけも分かると思います。

オンラインゲームに火をつけたのは、2017年リリースのフォートナイトです。世界で3億5000万のユーザーがいると言われる世界規模の巨大ゲームです。スイッチにもプレステにも移植されダウンロードさえすれば基本プレイは無料なので子どもたちが群がるわけです。

子どもの外遊びは誰も自粛せよなどとは言っていません。むしろ外に出て外気に触れましょうと文科省も学校も進めています。今回の自粛ではさすがに公園の大型遊具を禁止する自治体もなくなりました。家籠りをあおっているとすればテレビをはじめとするマスメディアです。

また、ほとんどのオンラインゲームはWiFi環境が必要なので家庭用Wifiルーターを保護者がコントロールすることは可能です。子ども用の端末にはWiFiが通じないようにもできます。こういうことを全く知らずに子どもにネットワーク環境を提供してしまっている保護者は少なくありません。

子どもネット環境の管理は保護者の責任だという前提のもとに、大人向けのWiFi管理講座などを無料で学校や自治体が主催してゲーム管理は大人の責任であることをリードして伝えていくべきだと思います。デジタルネットワーク社会に対応する保護者や大人の課題であるのに、子どもの成績や生活態度が乱れる原因までもがデジタルゲームの責任にすり替えられているように思えます。

体を動かすことが楽しい、発達障害のある子どもたちのスポーツ実施率の向上

体を動かすことが楽しい、発達障害のある子どもたちのスポーツ実施率の向上

2022年1月17日【DEPORTARE】(デポルターレ)

発達の遅れが原因で、運動の苦手・不器用な子どもたちがいます。運動は「できる」「できない」がはっきりし、相手にも見えてしまうため、彼らにとって運動の場面というのは自分のできなさを披露する「失敗の連続の場」になる可能性があります。そのため、彼ら一人ひとりの動きの特性を見極め、その子に合ったレベルで、スモールステップでの練習を楽しく続け「できる体」を作ることが大切です。また、それらを達成するために指導者の育成・保護者の理解を併用して行うことで、彼らが楽しく運動ができる環境を整えていくことにつながります。

スポーツ庁では、一人でも多くの方がスポーツに親しむ社会の実現を目指して「Sport in Lifeプロジェクト」に取り組んでいます。今年度は、スポーツ参画人口拡大のための取り組みとして、「スポーツ実施を阻害する課題解決のための実証実験」および「ターゲット横断的なスポーツ実施者の増加方策事業」の2つの委託事業の実施団体を募集しました。今回、実施団体の中から、発達障害のある幼児・小学生を対象とした運動・スポーツ意欲向上のための取り組みを行う、横浜YMCAの活動を紹介します。

段階を踏んだ指導でわかりやすく
YMCAとは、世界120の国と地域でおよそ6500万人の会員を有する、国際的非営利団体(NGO/NPO)です。今回お邪魔した施設は、「湘南とつかYMCA」。スポーツクラブやプール、英会話スクールなどを通じて社会教育を行っています。

体育館で行われたのは、横浜YMCAの主催する発達障害児のスポーツを通じた教育支援クラスです。集まったのは、およそ10名の子どもたちとその保護者。下は幼稚園の年少さんから、上は小学2年生までです。この日は、地元・横浜で活動するBリーグ所属のプロバスケットボールチーム「横浜ビー・コルセアーズ」のコーチらを招いて、バスケットボール教室が行われました。

前半の1時間は、神奈川県立保健福祉大学リハビリテーション学科の笹田哲先生(作業療法士)が指揮を執り、「からだの使い方教室」がスタート。集まった子どもたちは、先生の動きを見ながら楽しそうに動いています。

例えば、スクーターボードを使った手押し車は、「手首や体幹を鍛えることにつながります」と、笹田先生は周りで見ている保護者への説明も怠りません。どの運動にも、保護者を巻き込んで一緒に参加してもらい、親子そろっての運動機会をつくっていました。

その後、フラフープを使って、ドリブルやジャンプといった動作につなげたり、縛ったタオルを投げることで、シュートの動作につなげたりと、後半のバスケットボールの動きを取り入れた運動遊びを行いました。

「発達障がいの子どもたちに対しては、こうして動作の段階を踏んでいくことがとても重要です。とにかく、体を動かすことが楽しいと思ってもらえるように、たくさん褒めることを心がけています。ここへ来るだけで地域参加になりますし、“できた!”という体験を積んで、さらなるスポーツを通じた社会参加へつなげていきたいですね」(笹田先生)

 将来スポーツ好きな子になってもらいたい
一度休憩をはさんで、いよいよバスケットボール教室のスタートです。主に指揮を執ったのは、横浜ビー・コルセアーズの山田光佑コーチ。普段は、横浜ビー・コルセアーズが運営するスクールに通う小学5・6年生の指導を担当しています。「去年はコロナの影響でできませんでしたが、クラブで幼児クラスもやっています。その経験を少し生かして、子どもたちの発育や能力に合わせたプログラムを持ってきました」と話します。

ボールを触る前に、まずは遊びを兼ねた運動を行います。ジャンプして手をたたく、保護者とペアになってじゃんけんをして、負けたら走るなどです。基本的な動作を体に覚えさせます。

次に、実際にボールに触れてみます。座った状態でボールをたたくなどして、ボールに慣れてきたら、いよいよドリブルの練習です。子どもたちは、先ほどから段階を踏んで徐々に本動作に入ってきたので、全員が驚くほど上手にボールを扱っています。「手のひらをパーにしないで、少し指を曲げておわん型にすると、もっと上手にドリブルできるよ」と、山田コーチも子どもたちの様子を見て、的確にアドバイスします。

その後は、2チームに分かれて、リレー形式でドリブルをしながら走る練習をします。決して、チームで競っているわけではありません。あくまで子どもたち個々のペースを見守りながら、「速いね!」「うまい!」と、肯定的な声がけをしていきます。

最後は、みんなでゴールに向かってシュート練習をしました。通常のゴールでは届かない子のために、子ども用のゴールも用意。子どもたち自身が「入った!」「できた!」と、喜びながら夢中でゴールに向かってボールを投げていました。こうして、あっという間の1時間が終了。「楽しかった」と言う子が多くいました。

教室を担当した山田コーチは、「こういった教室は、子どもたちが体を動かすいい機会になるだけでなく、保護者のストレス軽減、さらには僕たちクラブで指導するコーチの指導の幅を広げることにもつながります。子どもたちに体を動かすことの楽しさを知ってもらい、将来はバスケットボール好き、ひいてはスポーツ好きになってもらうことが何よりの願いです」と話しました。

 たくさんのいい“勘違い”をさせてあげたい
教室を終えて、保護者にも話を聞きました。横浜YMCAのプールに通っており、メールでこの教室を知って参加したというお母さんは「いろんな運動も、それぞれどんな意味があるのかまで先生に教えていただきながらできたのが、とてもよかったなと思います。息子が楽しそうにしているのが何よりですが、どんなことでも経験させたいので、また通いたいです」と話してくれました。

教室を主催した横浜YMCAオルタナティブ事業本部長の山中奈子さんは、やはり子どもたちへの「成功体験」が、発達障害児支援のカギになると話します。
「この教室を通して、子どもたちにだんだん自信がついてきたことを実感しています。私たちはよく、たくさん“勘違い”して欲しいという表現をしますが、いい意味で『僕はできるんだ』『私は上手なんだ』と思い込んでもらうこと。実際にはできなくてもいいんです。『やればできるかもしれない』と思ってもらうことが大事なので、そのために私たちはたくさん褒めて、成功体験を積み重ねるようにしています」
実際、保護者からの反響もよく、リピーターが多いのだそう。

さらに、今後はバスケットボール観戦も予定していると言います。山中さんいわく、発達障害の子は、大人になってから趣味をもたず、仕事場と家との往復のみになりがちなのだそうです。そこで、子どものうちから趣味ができるように、「スポーツ観戦」に活路を見出しています。

「たとえ自分ではできなかったとしても、見ることはできますよね。それは一般の大人も同じです。それで世界がひとつ広がることにつながりますから、運動教室と並行して、スポーツの観戦会も定期的に開いていけたらなと思っています」

今回は、発達障害児への取り組みを紹介しましたが、子どもへのスポーツ指導において、「成功体験を積む」ことの大切さは共通しているといえるでしょう。今後、こうした取り組みが広がることで、より多くの子どもたちがスポーツに親しむことが期待されます。

 Sport in Life プロジェクト(その他の取り組み事例は当ホームページ内にて紹介しておりますので、是非ご覧ください)https://sportinlife.go.jp/

【DEPORTARE】(デポルターレ)=スポーツ庁広報マガジン
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素晴らしい取り組みだと思います。学校の体育の時間で「運動嫌いになった!」という話はよく聞きます。1年生の「体遊び」の単元まではどのような子どもも楽しく参加できますが,「ゴール型ゲーム」や「マット運動」の単元になると難しいと感じる子どもが増えてきます。特に自閉症の子どもは気持ちを考えることや自分で見通しを持って行動することが苦手なのでチームで協力するスポーツになると途端に緊張をしてしまいます。本人に悪気はないのですが,迷惑をかけた,と思って自己肯定感の低下にも繋がってしまうケースが多いです。

「湘南とつかYMCA」さんではスモールステップでバスケットボールを教えていく,とのことでした。初めは遊びを兼ねた体運動,次にボールに慣れるための遊び…といったように少しずつ進んでいきます。そして指導は子どもたちの様子を見ながら肯定的な声掛けをしていると書いていました。子どもたちが「楽しい!」と思える工夫を凝らしていることがよく分かります。

筆者も教員時代,「楽しい!」と思えるように体育の授業を工夫したつもりでしたがついつい「ここはこうした方がいいよ」「そうじゃなくてもっと周りを見て…」等,子どもたちを否定する言葉が多かったな,と反省しています。こういった活動が広まり,どのような子どもでも「体動かすのって楽しいね!」と思えるようになればいいな,と思います。

ディスレクシア

ディスレクシアは「字を読むことに困難がある障害」を指す通称で、ギリシャ語で「困難」を意味する「dys(ディス)」と、「読む」を意味する「lexia(レクシア)」が複合した単語です。日本では難読症、識字障害、読字障害など、他にも様々な名称で呼ばれてきました。読むことができないと書くことも難しいことから、読み書き困難、読み書き障害と呼ばれることも多いです。

発達期の特異的な読字障害は先天性のものであり「発達性ディスレクシア」(developmental dyslexia)と言われています。医学的な分類では学習障害(LD)に含まれることが多く、アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5では読字の障害を伴う限局性学習症・限局性学習障害とも呼ばれます。ICD-11では発達性学習症の読字不全の症状です。

日本ではディスレクシアの割合を示す統計は発表されていません。日本におけるディスレクシアの発現率に一番近いものとしては、障害者白書内にある「児童生徒の困難の状況」のうち「知的発達に遅れはないものの学習面で児童生徒の割合」の4.5%だと言われています。日本語にはひらがな・カタカナ・漢字があり、詳細な発現率は分かっていません。また、知的な遅れが伴わないことや、海外に比べると日本はディスレクシアの認知度が低いことから、大人になるまで気づかないままでいた人もいます。

「文字を読む」というのは一見単純に見える行為ですが、まず文字を目で追い、その一文字一文字をまとまりにしてつなげ、音に変換し、それを脳で記憶している意味と結び付けて理解するという複雑なプロセスを経ています。つまり、文字を音と結び付けて読み上げる音韻処理や、文字の形を認識したり語句のまとまりを認識し意味と結び付ける視覚的な処理などが必要になります。ディスレクシアの人の場合、一人一人の偏りや特性は異なりますが、それらの処理をするための脳の部位に何らかの機能障害や偏りがあり、そのために読むことが難しいのではないかと言われています。

音韻機能とは最小の音単位を認識・処理する能力を指しますが、ディスレクシアの人の脳の特性として、音韻の処理に関わる大脳基底核と左前上側頭回という領域の機能異常があるという説が主流となっています。そのため音を聞き分けたり、文字と音を結びつけて「読む」ことが難しいと言われています。
■文字と音の変換が苦手
ひらがなの文字と音を結びつけて読むのが難しいことがあります。また小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」や音を伸ばす「-」などの特殊音節が認識できず読めないこともあります。
■単語のまとまりを理解するのが困難
たとえば「み」「か」「ん」などのひらがなやカタカナの一音ずつは読めてもそれを「みかん」というひとまとまりの言葉として理解するのが難しいことがあります。
■聴覚記憶が苦手
言葉を音として記憶しながら読んだり話したりしますが、ディスレクシアの人の中にはこの音韻認識が弱く聴覚的な記憶が苦手な人がいます。このように処理と記憶を同時に行うことが難しいことから読むことに困難な場合があります。

ディスレクシアの人の中には、視覚認識や眼球運動に偏りがあり、普通の文字の見え方とは違った見え方をしている人もいると言われています。全く読めないのではないけれど、読むスピードが遅いというディスレクシアの人もいます。周りから怠けていると勘違いされることも多くありますが、本人の努力不足などではなく、先天性の障害であるということを理解することが大切と言えます。

学校では板書が必須ですが、文字を読むのも書くのも苦手なディスレクシアの子どもにとっては困難な作業です。作文や漢字の書き取り、音読なども苦手なため、学校の宿題に時間がかかったり、できないことも多々あります。先生や本人、家族も気づいていない場合、注意不足などと叱られる子どももいます。

仕事においても、書類作成など文字を扱う業務が苦手で、何度間違いを指摘されてもミスを繰り返してしまうことがあります。また、素早くメモを取ることができないため、上司の指示を聞いたり、電話を受けた場合に困ることもあります。短期記憶も苦手な傾向にあるため、誰から電話が来たか忘れてしまったり、人の顔と名前を覚えられなかったりします。