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みんなちがってみんないい

障害者のスポーツ取り上げて

障害者のスポーツ取り上げて

2021/12/18 【産経WEST】

東京パラリンピックでお世話になったNPO法人「アダプテッドスポーツ・サポートセンター(ASSC)」の高橋明さんに誘われ、大阪市舞洲障がい者スポーツセンター(大阪市此花区)で開かれた「i-ボッチャ ぷっちょ杯2021」をのぞいた。

改めて簡単に説明すると、ボッチャはジャックボールと呼ばれる白い目標球に向けて赤と青のボールを投げ合い、より近づけた方が勝者となるルール。もともとは欧州で、脳性まひなどの比較的重度の障害者向けに考案されたが、年齢や障害の有無に関係なく誰でも参加できるインクルーシブ(包括的)なスポーツとして注目されている。

大会は今回が4回目。インクルーシブを示す「i」が大会名の冒頭についている通り、障害者だけで編成したチーム以外にも、健常者のチームや混成チームも参加。選手3人の合計年齢が約250歳のチームもあり、東京パラで脚光を浴びたボッチャの盛況ぶりを肌で感じることができた。ASSC副理事長で「愛ボッチャ協会」代表の岡田良広さんは「東京パラが終わってから、学校や自治体からの問い合わせが増えている。協会の審判を派遣し、体験学習会などを開催している」と話す。

今年話題になった言葉に贈られる「現代用語の基礎知識選 2021ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞には、米大リーグ、エンゼルスで活躍した大谷翔平選手の「リアル二刀流/ショータイム」が選ばれたが、東京パラのボッチャ個人で金メダルを獲得した杉村英孝選手の必殺技「スギムライジング」もトップテン入りした。

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オリパラ開催の効果で、全国各地でパラスポーツの普及が大々的に言われ始めています。ボッチャの金メダリスト杉村選手の活躍も国民にスポーツが引き出す人間の可能性を見せつけてくれました。先ごろは京都府議会で京都府ボッチャ協会のプレゼンテーションが行われ、いわゆる障害者のスポーツではなく障害のある人もない人も一緒に取り組めるユニバーサルスポーツとして普及を議会に説明がされました。

スポーツを国を挙げての取組にすると、スポーツを政治利用する危惧が言われますが、一方でスポーツにアクセスしにくい障害者や身体の弱い方にも参加できるようにすることは、公共の福祉の役割でもあります。ボランティアはどんなスポーツにも必要ですが、障害者が参加するスポーツにはたくさんのボランティアが必要です。

しかし、ボランティアや個人寄附だけでは競技場や競技場への移動支援の整備までは資金的に手が届きません。欧米では、資金力のある企業や篤志家がスポンサーになって障害者スポーツは支えられていますが、企業が巨額の寄付をして民間団体を支援する土壌は我が国には十分育っておらず公的な支援がもっと必要で議会や各自治体の力量が問われています。

障害者スポーツは民主主義の花開く中でこそ育つものです。冬季五輪の北京開催について、民族弾圧やジェノサイドを隠す中国共産党に民主主義国から批判が続いています。誰もが公平にスポーツに参加するためには思想信条、性別や民族、障害のあるなしで政治的に差別されることがあってはなりません。いったい、中国政府は北京冬季五輪のパラリンピックをどんな思いで開催するのでしょう。パラリンピックの開催で人権弾圧を覆い隠すようなことは許されません。障害者スポーツは民主主義の最高レベルの到達点でもあるからです。

 

放課後デイ再編 子ども本位のサービスに

社説:放課後デイ再編 子ども本位のサービスに

12/19(日) 【京都新聞】

障害のある子どもが通う「放課後等デイサービス」などの通所支援について、厚生労働省が事業所のタイプの再編など制度の見直しを進めている。保護者のニーズの高まりを受け、事業所数、利用者数は近年、ともに急増している。半面、質が低かったり、習い事のような特定のプログラムに偏ったりしたサービスも問題となっている。

支援を受ける子どもの視点に立った見直しとなるよう議論を深めてほしい。

障害児通所支援サービスには、未就学児向けの「児童発達支援」と、小中高生向けの「放課後等デイサービス」がある。関連法の改正で2012年度に制度化された。療育手帳や身体障害者手帳が必須ではなく、発達障害などの子どもも受け入れる。全国で計約40万人が利用している。事業所の設置基準が緩やかで株式会社など営利法人も参入し、子どもが身近な地域で支援を受けられるようになったのは歓迎されよう。

一方で、利益優先の事業者や不適切なケアが後を絶たない。給付金の不正受給や、職員による子どもへの虐待行為も発覚している。サービスの質の向上に向け、厚労省は、事業所のタイプを、運動や認知、コミュニケーションなど多様な面で発達を促す「総合支援型」と、理学療法士によるリハビリなど専門性の高い「特定プログラム特化型」の二つに再編する方針だ。

テレビを見せるだけなどの単なる預かりや、塾やピアノなどの習い事のような支援は公費の支給対象から外すという。ただ、事業所からは「サービスからの除外の線引きはどうするのか」「必要とする保護者もいる」などと困惑の声も上がっている。ジム機能や音楽療法など独自の特徴を打ち出したサービスを提供し、子どもの発達支援につなげている施設もある。適切な支援の在り方について、現場の実態や専門家の意見も踏まえて判断する必要があろう。

国や自治体による継続的な監視、指導も求められる。

今回の見直しでは、サービスの利用上限日数に自治体間でばらつきがあるのを是正する方向だ。現在は、障害の状態などに応じて市町村が判定しているが、平均で月5日しか認めない自治体もあれば、20日以上のケースもあり、不公平感が出ている。このため、全国共通の判定の指標やガイドラインを新たに設けるという。

負担額は、児童発達支援が19年10月から無料化され、放課後デイサービスも原則1割で上限が決められている。学校や自宅との間の送迎を行っている事業者も多く、利用しやすい。そうした背景もあってサービスの需要が高まっているとみられるが、保護者の意向だけでサービスを多く利用することは子どもの主体性を損ねてしまう、との指摘もある。子どもの利益のため、家庭と事業所、計画作成の担当者が連携をより深められる制度を目指してもらいたい。

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地元紙も社説で取り上げるくらいですから、先日の厚労省の検討会議の報告は通常の改定を通り越えた提言だったのだと思います。しかし、まず改定ありきという焦りが見え具体性に乏しいので、地方行政にしてみれば、類型をどこで線引きするのかはっきりしません。放デイ利用者の中に占める理学療法士を必要とする肢体不自由児の絶対数そのものは少なく、最も多いのは発達障害の子どもです。ここへの、専門的なプログラムができるのは理学療法士ではありません。行動療法士や言語聴覚士も必要な職種だとは思いますが、子どもに対応する人材を育てる養成学校は少なく、そもそも児童に対応するにも、教育や保育の専門性に対応した経験をもつ人材は少ないです。いったい何を想定して専門的プログラムと言っているかはっきりしないままです。

放課後デイは、小規模ですから何人も専門家は雇用できないので大きな発達療育センターのように先輩からノウハウを教えてもらう機会もありません。検討会の言っていることは理想的ではありますが、絵に描いた餅とも言えます。専門的な療育を提供するうえで資格は確かに必要ですが、資格があれば適切な療育が提供できるわけではないからです。こうした、専門家周りの環境も同時に考慮していく丁寧さが必要です。そして何よりも、給与が低すぎる事が、専門性の高い人材が集められない理由でもあります。

学習塾と学習障害支援の違いをどう見極めるのかも不明です。そもそも、学習の問題は学校に任せるべきだと言う、発達障害に学習障害が明記されていることも知らないような自治体職員もいる中でこの区別が科学的な視点で行えるとは思えません。学習障害支援は、自前で知能検査や発達性読み書き障害の検査を行ったアセスメントを前提にして、個別に療育の支援計画が実施されていることが最低条件だと思います。こうした障害支援のルーティンを踏まえたうえでの適切な線引きが行われることを期待します。

一番の問題は、9割は税金を使う公的な支援なのに、サービス利用回数があまりにも違う不公平と、その違いについて地方行政が説明責任を果たさないことです。利用者増が先か新規事業者参入が先かは鶏卵の堂々巡りですが、質の良い支援ならニーズに応じてどんどん提供すれば良いのです。児童期の質の良い投資は必ず未来に納税で返ってくるからです。

大事なことは監督する行政が低品質な放デイを認めず、質の高い放デイを優遇する方略を持つことです。国のレベルで言えることはせいぜい専門資格を持つものがいるかどうかまでしか言えません。しかし、現場を知る行政なら、何が適切な支援かどうかは見ればわかるはずです。現場に足を運びマニュアルの字面に頼らない確かな視点が行政に求められています。質が低い放デイがあるのは民間参入が原因ではなく、行政に見抜く力が不足していたと言うべきです。

発達障害の子が相談に回答…ネットで開設、悩む親に

発達障害の子が相談に回答...ネットで開設、悩む親に「当事者の思い」代弁

2021/12/20 【朝日新聞】

発達障害がある子どもが「先生」となって、同じ特性の子を育てる親の悩み相談にネットで応じる「でこぼコ・ラボ」が、今秋始まった。我が子には聞けない当事者の思いを知ることで、特性への理解を助け、親子間の関係をさらに深めてもらう狙いがある。

「ゲームがやめられず、取り上げるとけんかになる」。発達障害の息子を持つ親が「でこぼコ・ラボ」のウェブページに投稿すると、「先生」から「ちゃんと勉強した時間の分、ゲームができるルールを作る」「取り上げるのではなく、他のもので興味を引く」などの助言が返ってきた。

回答するのは、発達障害の子どもの学習支援教室「よつばCOLORS」(奈良市)に通う児童・生徒約100人。教室のスタッフだった 綾(あや) 美津子さん(53)らが今年10月、親が子どもの気持ちを理解するのを支援しようと、会員制ウェブサービスとして始めた。

背景にあるのは、発達障害のある子どもが周囲の理解が得られにくく、親も孤立しがちという現状だ。綾さんは「親は我が子の特性を自分で何とかしないといけないと、思い詰めてしまう」と指摘する。

全国の自治体では、発達障害の子を育てた経験がある親らが相談を受け付ける「ペアレントメンター」制度を導入しているが、綾さんは「子どもから思いを聞くことで、納得できることもある」と、サービスを思いついたという。

多く寄せられるのは、宿題や不登校など、学校や日常生活に関する悩み。子どもたちの回答は、それぞれの心情や経験に基づいたもので、利用した親たちからは「元気が出た」などの声が上がっている。

回答する子どもは、学習支援教室の言語能力トレーニングの一環として、質問に答えている。回答に「いいね!」と反応を返す機能もあり、「人の役に立てた」という達成感から自信を得る効果もあるという。

 綾さんは「子どもたちもしっかりと考えていることを知ってもらい、子どもの主体性に任せてみようと思ってほしい」と期待。発達障害に詳しい楠凡之・北九州市立大教授(臨床教育学)は「子どもの意見を聞くことで、我が子への見方や関わり方を冷静に振り返る機会になる」と評価している。

会員登録は無料。問い合わせは「でこぼコ・ラボ」を運営する「アンラベル」(06・6136・5609)。

発達障害  脳機能の障害で、対人関係を築くのが苦手な「自閉症スペクトラム障害」、衝動的に行動しがちな「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」、読み書きや計算が難しい「学習障害(LD)」などがある。「こだわりが強い」「順番を待つのが難しい」などが特性。文部科学省の2012年の調査では、公立小中学校の通常学級に通う児童生徒の6.5%が、発達障害の可能性がある。

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事業所の中でも、大人にとって困った子ども行動の原因を、あれこれ大人の立場から話し合うのではなく、本人はどう思っているのか聞いてみるようにしています。とても、いい取り組みだと思います。もちろん、回答する子どもは当事者ではないので確実な答えではないけれども、子どもがどう考えるのかという視点に立ち戻れるので、とても参考になると思います。

回答する子どもは子どもで、親と言うものはそんなことを心配したり、考えたりするものかと第3者的な支援で考える事ができます。普段は自己フィードバックの弱い子どもで、家ではうまく行かない事でも、このサービスでは上手く回答できるかもしれません。そういう意味で双方で学び合えると言う対等の関係がとても素敵だなと思います。

こうした関係は、事業所内でも作れたら良いなと思います。利用者の親子の考えていることが全然違う事は良くあることです。これは別に障害のありなしは関係ないことですが、親同士で話すと少し客観的に子どもが見られたり、子ども同士で話し合うと「うちの母親もいっしょや」という共感も得られます。それが他人の子だが、よく似た特性の子どもならその論理は参考になるし、腹を立ててばかりいたのが冷静に見られるなと思います。こんな素敵なシステムを考え出した綾さんも素晴らしいと思います。

「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」四国新聞のメッセージ広告が話題

「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」四国新聞のメッセージ広告が話題 「最高にロック」「凄い勇気」

2021/12/21【神戸新聞】

「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」。香川県の地元紙、四国新聞の12月20日付朝刊にこんなメッセージ広告が掲載されました。子どものスマートフォンやゲームの利用時間を制限するとした香川県独自のネット・ゲーム依存症対策条例(ゲーム条例)を念頭に置いたもので、広告出稿元のゲムトレ(東京都渋谷区)は「子どもたちがサンタさんに欲しいものを「ゲーム」とお願いできるように、ゲームが障害ではなく、教育としての魅力があることを伝えたいと考えました」「ゲームを障害と考える一側面だけではなく、クリアすることで育まれる自己肯定感や世界中のユーザーとつながり感じる多様性など、正しくゲームと向き合うことで生まれる学びがあります」としています。

同社の小幡和輝代表が広告にふれたツイートには「最高にロックですね!」「かなり挑戦的な広告だなぁ」「香川県で広告出す勇気も凄いです」など賛同の声が上がり、いいね!は1万5千超。香川県民はこのメッセージ広告をどう受け止めたのでしょうか。

ゲムトレはゲームを使った教育事業を手掛け、主力事業の「ゲムトレ」では、ゲームを「楽しく脳を鍛える習い事」と位置づけ、子ども向けのゲームのオンライン講座を提供しています。同社サイトによると、例えばオンラインゲームの「FORTNITE」(フォートナイト)では、過度なグロテスク表現がなく、認知力や情報処理能力が向上するとしています。

話題になった15段の新聞広告は、文豪夏目漱石が東京帝国大学(現在の東京大学)を卒業後、当時、低俗と見られていた小説家としてデビューし、代表作『吾輩は猫である』などで文化人になったことに触れ「ゲームの捉え方も変わりはじめた」と述べています。続けて、ゲームのプレイを通じて得られる試行錯誤や仮想空間上での達成感の分かち合いを挙げ、「ゲームは人生を豊かにする力がある」と訴えています。小学低学年も読めるよう漢字にふりがなも打っています。

香川県のゲーム条例は家庭内でのゲームの利用時間を制限する全国初の条例として2020年4月施行。罰則規定はありませんが、18歳未満のゲーム時間は平日1日60分、休日90分、スマホの利用は中学生以下が午後9時まで、それ以上は午後10時までという目役を定め、保護者にルールを守らせる努力義務を課しています。報道によると、この条例の内容や制定過程に問題があるとして、県内外から反対の声が上がっており、香川県弁護士会は廃止を求める会長声明を出している他、県内の大学生が「条例は憲法違反」として、県を相手に損害賠償を求めて提訴しています。

ゲムトレのサイトによると、小幡代表は10年間の不登校を経験しましたが、その間、ゲームを通じて多くの友人に恵まれ、大会への出場を通じて自己肯定感を高められたといい、それが起業につながったと記しています。今回のメッセージ広告については、「ゲーム好きならば誰もが一度は言われたであろう、この言葉を反転させました。伝えたいメッセージは、世代間の価値観や文化の違いにより子どもたちが苦しめられているということ。子どもは野球を頑張ることと同じようにゲームを頑張っています。なぜ、野球は評価されるのに、ゲームは悪とされるのでしょうか」などとコメントしています。

メッセージ広告は、東京メトロ丸ノ内線新宿駅メトロプロムナード内でも12月26日まで掲示されています。

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<広告掲載文 全文>【ゲムトレHP

「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」
と言われる未来があるかもしれない。

かつて、小説や漫画は毒と捉えられていた時代があった。あの夏目漱石も、小説家デビュー当時は「帝大出身のエリートが低俗な職業に就いたもんだ」と嘲笑されたと言う。しかし、今はどうだろう。人々の心を掴み、人生の糧となっている。

同様にゲームの捉え方も変わりはじめた。プレイしながら試行錯誤を繰り返して、自分の成長を実感。難しいステージをクリアすることで、自己肯定感が高まる。仮想空間上で世界中のユーザーと分かち合う。ゲームは、人生を豊かにする力がある。

日本初のゲームのオンライン家庭教師「ゲムトレ」では、特別な体験で子どもの成長をサポート。楽しみながら、力を伸ばせるように心がけています。成長の新しいステージへ一緒に進みませんか。

②東京メトロ丸ノ内線新宿駅メトロプロムナード内
掲載期間:2021年12月20日(月)~12月26日(日)
※駅係員へのお問い合わせはご遠慮ください
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香川県のゲーム条例は、昨年大阪市も巻き込んで話題になりました。大阪市松井市長がすでに規制を始めるかのような報道内容でしたが、松井市長は「現場からの声はあるけど、まずは専門家を交えてエビデンスを検証してから」と答えており、記事のミスリードだったようです。「ゲーム障害」が国際診断基準に収載される予定ですが、最近になって国際的にも、その妥当性に疑義が投げかけられています。現実に治療介入が必要なゲーム依存の患者もいれば、問題なくゲームと共存する人が圧倒的多数であることも事実で、「障害」の原因だと煽ることで新たな差別・偏見の起源になる恐れもあります。

しかも、この広告自身はゲムトレ社の学習ソフトの宣伝なのですから目くじらを立てるような話ではありません。しかし、コロナ禍の下、ゲームに向かう時間が増え運動時間や学習時間が減ってて困っている家族がいることもまた現実です。引きこもりのトレードマークのようにゲームが受け止められているのは問題ですが、一概にゲーム万歳とは言えない人たちもいることは忘れてはいけないと思います。

とは言え、ゲムトレ社の社長自身も10年間の不登校経験者ですから、彼の言う事にも説得力があります。なんでも新しい娯楽は批判されるけど、確かな文化や職業になっているものは小説だけではありません。高速大量印刷社会から、世界を駆け巡るデジタル情報社会の中で、遊びもまた、テクノロジーによって高度化し、時代の人々のモノになっていきます。テレビの見過ぎが自閉症や微細脳損傷を誘発すると真面目にいわれた昭和の頃を思い出します。

昭和の子どもたちにテレビは害だと言ってきた今の高齢者かつての親たちが、毎日テレビ漬けで、テレビの垂れ流す情報を鵜呑みにしてコロナ禍で煽り報道の片棒を担がされたのも事実です。その結果、公園遊びも野外活動も、競技場でのオリパラの観戦すら否定され家籠りを余儀なくされた子どもたちに、今度は「ゲーム障害」だとエビデンスもなく煽るこの循環はどこかで断ち切る必要があります。そういう意味でゲムトレ社のメッセージは、子どもたちへの救いの言葉にも読めるのです。

「不登校の子が学校に関心」 eスポーツの教育活用、米領事館が発信

「不登校の子が学校に関心」 eスポーツの教育活用、米領事館が発信

2021年12月22日 【朝日新聞】

eスポーツと聞くと、テレビゲームのプロが高額賞金の大会で技を競うイメージがある。だが、米国の高校や大学では、チームスポーツとして採り入れ、教育ツールにしているという。この取り組みを紹介するウェブセミナーを開いた名古屋米国領事館EducationUSAアドバイザーの田中里佳さんに聞いた。

――eスポーツと教育。どう結びつくのですか。

eスポーツはテレビゲームと思われがちですが、デジタルコンテンツと考えれば教育とつながるのではないかと思います。

教育ツールとしてのeスポーツは、チームスポーツであることが前提です。生徒や学生がチームを組み、コンピューターゲームでどう攻略して成果を上げるか、ほかのチームとどう競うかを考え、議論しながら取り組む。先生やコーチがサポートします。野球のような、ふつうのスポーツと一緒です。

例えば、米国務省と北米教育eスポーツ連盟(NASEF)によるプログラム、ファームクラフト2021では、子どもたちは農場をつくるゲームに挑戦します。土地を整備し、種や苗を育て、収穫までを競います。農業生産技術をゲームで疑似体験をしながら、アグリビジネスの進め方を学ぶことができます。その他にも文化遺産を保護しながらゲームスキルのレベルアップも出来るような国際ビデオゲーム開発競技大会「ゲームジャム」なども開催されました。

ゲームに挑戦することで、チームの仲間やサポートする大人たちと関わりながら、論理的な思考(クリティカル・シンキング)やコミュニケーション能力、協調性、自分の感情をコントロールする自律や自己管理能力を育てていく。さらには、プログラミングなどのITに触れる入り口になればと考えています。

――ウェブセミナーでは米国の大学や高校が積極的にeスポーツを採用していることが紹介されました。どんな効果を期待しているのですか。

一つの例ですが、不登校の子どもがeスポーツのチームに参加することで、学校生活に関心が持てるようになりました。ふつうのスポーツや勉強が得意でなくても、ゲームなら入りやすい。家にいてもできるし、学校へ行く動機付けにもなる。チームで人間関係も学べるし、自信も持てるようになり自己肯定感が高まる。北米にはeスポーツの公認クラブがある大学も多く、奨学金もありますから、ITやAIに携わるデジタル技術者、ウェブのデザイナー、ゲームの開発者など、キャリア選択や自分自身の可能性を広げることにつながります。

一人で引きこもってテレビゲームをやっているのではなく、社会に積極的に関与できる人材を育てることが狙いです。

――なぜ名古屋米国領事館がeスポーツと教育のセミナーを開いたのですか。

米国政府はeスポーツを進める目標として「世界的な共感を高め、地域や国のつながりや理解を築き、深める」「クリティカルシンキングのスキルを奨励することで民主主義の原則を強化する」ことなどを掲げています。eスポーツが、民主主義の根幹を支える能力を育むという考え方です。

日本ではセミナーが最初の取り組みですが、米国政府はすでに台湾、インド、韓国、ニュージーランド、メキシコなど多くの国で教育eスポーツの交流に取り組んでいます。

教育eスポーツは、これまで紹介してきた効果にとどまらず、英語を習得するのにも役立つことも強調しておきます。今回のセミナーは学校の先生向けに教育eスポーツを知ってもらうことが目的でしたが、今後は日本と海外の学生がeスポーツで交流する機会をつくっていきたいと思っています。(聞き手・鈴木裕)

◇教育ICTツールとしてのeスポーツ・ウェビナー

9~11月に計3回、教員や教育行政の担当者らを対象に開かれた。名古屋米国領事館と北米教育eスポーツ連盟(NASEF)日本本部が主催。米国の高校や大学での教育eスポーツの現状や可能性、eスポーツのフィジカルとメンタルケアなどについて専門家が話した。

11月14日には、米国大使館が後援して「eスポーツ国際教育サミット2021」(主催・北米教育eスポーツ連盟日本本部)が開催された。国内の高校での教育eスポーツの取り組みの紹介のほか、高校生たちが現代社会が抱える様々な課題をeスポーツを活用し解決するアイデアを発表する「eスポーツ・クリエイティブ・チャレンジ」があった。
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デジタル王国のアメリカは百歩先の感があります。日本も半導体産業が伸びている頃は、破竹の勢いでコンピュータ産業もあらゆる分野に伸びて米国ゲーム界まで進出していました。ところが、30年前頃を境目にして、貿易摩擦の名のもとに米国に開発や進出を阻まれ、国内産業は日銀の異常な金融引き締めと政府の借金キャンペーンで産業活動そのものが30年間足踏みしました。その結果、日本の未来を背負うデジタルベンチャー企業は息の根を止められたと言っても過言ではありません。

その証拠に、日本に圧力をかけた米国はGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)というベンチャー巨大企業を登場させ中国を除いて世界制覇を成し遂げようとしています。キャッシュレス化をはじめとしたデジタル化をいつまでたっても先導できなかった役所にも責任があります。従来通りこれまで通りの役人根性が、既得権益を結果として擁護してしまい、社会のデジタル化を遅らせてしまいました。未だに、デジタルゲームの善悪を論じているのも、デジタル先進国から三十年間遅れをとった証拠とも言えます。

そんな日本でアメリカ大使館による教育eゲームのサポートとは、何とも情けない気もしますが、気を取り直して追い付け追い越せの大和魂と言うと古臭いですが、ここは日本の教育界とeスポーツ界に奮起してほしいと思います。「クリティカルシンキングで民主主義を育てたい」とすっと表現し、民主主義は論理的なものというのも言い得て妙です。ちょっと日本の教師には真似できそうにない台詞ですが、次世代の子どもたちが表現してくれることを期待して、学校公認のeスポーツクラブがあちこちに誕生すればいいなと思います。

浦安市議会「手洗い条例」可決 コロナ禍長引く中で環境整備を

浦安市議会「手洗い条例」可決 コロナ禍長引く中で環境整備を

12月23日【NHK】

千葉県浦安市の市議会は、コロナ禍が長引く中、効果的な手洗いの習慣と環境を整えたいと今月、「手洗い条例」を可決しました。

浦安市の「より良い手洗い環境づくりの推進に関する条例」では、「手洗いは誰もが容易に実践できる効果的な感染症などの予防策」だとして市や学校の役割などを定めています。

具体的には、小中学校の手洗い場で直接、手で触れずに水道が使える「自動水栓」が現在は38%の普及にとどまっているのを拡大させていくことや毎月15日を「手洗いの日」と定めて手洗いへの関心を高めることなどに市が取り組んでいくとしています。

そして、条例をつくる際の調査の中で、遊びたい気持ちが先立って手洗いがおろそかになったり、見ていないときちんと手洗いをしなかったりする子どもたちがいることがわかったとして、学校などが感染症や食中毒を防止するための手洗いの重要性を伝えていくことで、学級閉鎖などにより学びの場が失われることを防ぐとしています。

手洗いに特化した条例は全国初とみられるということで、提出者の西川嘉純議員は、「新型コロナの影響が長引く中であらためて市全体で手洗いへの意識を高め、感染拡大防止につなげたい」と話しています。

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さらっと聞けば、ごく普通のニュースに聞こえますが、よく考えてみると市議会で議決して地方の法律にするようなことだろうかと思いました。予防のため手洗いはエチケットなのだからそんな大げさにと言われるかもしれません。しかし、この2年間、感染予防をめぐっての建前と本音の乖離が政治とメディアの中に何度も見られました。オリパラの観戦では千葉県は教育的な意味で積極的に児童に観戦を進めてきましたが、スタジアムなど屋外観戦に近い状態でも、児童が感染したら責任が取れるのかとメディアは世論を誘導し、結局途中で感染源は分からないままですが感染者が出て断念した経緯があります。そのオリパラの取材打ち上げで報道クルーが酒場で騒ぎ批判を浴びると言う事件がありました。

また、同じ千葉で副知事をはじめ県会議員らがスポーツ懇親会の忘年会で、酒場に長居した事が発覚してわざわざ陳謝する報道がありました。オミクロン型の拡がりはあるが重症化例はないし、感染は収まってきたと言うのが大方の本音だからという向きもあるでしょうが、公の建前に晒されると本音は言えない状況です。このように、建前と本音がかけ離れた状況で、建前をさらに突き進めるような条例制定は相応しくないと考えるのが政治の役割だと思います。

予防啓発を推進すること自体に異存はありません。しかし、エチケットやマナーに属する事柄が「地方の法律」と言える条例になじむのかということです。手洗いは予防のためのエビデンスもあり、建前とは言いませんが、家庭や学校での躾に関する内容まで、議会で条例化する必要があるのかどうか考えた議員はいたのでしょうか。啓発するだけなら、役所や学校のトップダウンで十分ですし、水栓の自動化の予算は議会で議論すればいいことです。罰則はないから良いという事ではなく、条例はそれなりに市民の意識や行動を拘束する法律であることは間違いないです。

条例制定は地方自治の権限ですが、だからと言ってなんでも条例化すればよいと言うものでもありません。先日否決となった外国人投票条例も、公平や平等という建前ばかりが前に出ていますが、外国人を入れて国防を左右する意見決議を地方議会に要請されてはまずいと、本会議になってはじめて気が付くと言う頼りない地方議会もあるのですから、市民の監視は欠かせません。政治家は市民にばかりあれこれお願いするのではなく、どこの病院でもワクチン接種ができるように医療に働きかけ、行政はその施策が速やかにできるようにすることこそ、最も予防効果があがるのではないかと思います。

ハンディある人の夢かなえたい 日本科学未来館館長・浅川智恵子さん

ともに・共生社会めざして
ハンディある人の夢かなえたい 日本科学未来館館長・浅川智恵子さん

2021/12/28【毎日新聞】

日本科学未来館(東京都江東区)の館長、浅川智恵子さん(63)=IBMフェロー=は全盲の研究者だ。今春に就任し、未来館を「アクセシブル(利用しやすい)なミュージアム」として世界のロールモデル(模範)にすることを目標にする。障害者などマイノリティー(少数者)の生活に科学技術がどう貢献するのか。ダイバーシティー(多様性)との関連について、浅川さんに聞いた。【聞き手・明珍美紀】

――日本科学未来館は、新館長のもと、2030年に向けたビジョンに「あなたとともに『未来』をつくるプラットフォーム」を掲げました。

◆一方的に科学技術を享受するだけではなく、利用する方それぞれが、テクノロジーの進歩によって実現される新しい生活を想像し、社会実装に向けた活動に関わっていく。そんな思いが込められています。

――利用者自ら、実用化のために参加するのですね。

◆どんなに素晴らしい技術が発明されても利用されなければ、価値が失われてしまいます。私自身、長い間、視覚障害を中心に、アクセシビリティーの分野で研究開発に従事してきました。研究者という立場だけでなく社会実装を促進するために未来館の館長を引き受けようと決意しました。

――障害者にとって科学技術とは?

◆できなかったことを可能にするツール(道具)です。視覚障害を例に取ると、音声合成という科学技術がなければ、本を読む時は点字か録音されたものを聴く、あるいは人に読んでもらうことになります。実際にそういう時代が長く続いていました。それが、インターネットの普及でコミュニケーションの手段が変わりました。パソコンの画面の情報を音声で読み上げるソフトが開発され、目が見えなくてもキーボードを操作して文章を書き、メールで送ることができます。

また、携帯電話で写真を撮れるようになった時、それまでは周囲の人に聞くしかできませんでしたが、周りの風景を撮影して友人に送り、自分がいる場所を教えてもらうことができるようになりました。これからは、センサーを駆使することで、街を一人で歩くことが可能になるかもしれない。その一歩手前まで技術が進んできました。

――ご自身が開発中の「AIスーツケース」はその一つですね。

◆これは、視覚障害者の移動を補助するスーツケース型のロボットで、スマートフォンの専用アプリケーションを使って、目的地や途中経路を音声で案内します。ロボットにはセンサーが付いていて、危ない場所を回避したり、周囲の人と適切な距離を保って移動したりする機能を備え、未来館でも実装する準備を進めています。

年齢や国籍、障害の有無にかかわらず、まずは未来館が誰でも楽しめるアクセシブルなミュージアムとなり、展示を見に来た来館者が交流し、議論するような場にしたいと思っています。

多様性支える科学技術
――かつては日本では、女性の研究者は少なかったのではありませんか。

◆私がプログラミングの専門学校を経て日本IBMで学生研究員として研究を始めた1980年代半ばは、女性の研究者はごくわずかでした。仕事と生活の調和を図る「ワーク・ライフ・バランス」や女性の視点はほとんどなく、女性の管理職も少ない。そうした環境で、点字のデジタル化などの開発に取り組んでいたところ、当時にすれば(会社側も)大変な決断だったと思いますが、正式な研究員として採用されました。

入社後、米国IBMに出張する機会が多くありました。米国で驚いたのは、管理職に女性がいるのは当たり前だったこと。同僚には、さまざまな障害者やLGBTQなど性的少数者がいたので、視覚障害者の私が仕事に加わることを当然のように受け入れてくれました。ダイバーシティーに関しては日本よりはるかに先を行っているという印象を受けました。

――未来館は、国立研究開発法人の科学技術振興機構が運営しています。今回は、国が関わる施設のトップに女性が就いたことでも話題を呼びました。

◆女性であるというよりは、目の見えない自分が館長を引き受けることの方が大変ですし、新たなチャレンジです。見えない分を補うためには、周囲とのコミュニケーションを図り、多くの人々から意見を聞く。これらは同時に、これからの研究に役に立つことです。

――どのような未来を求めますか。

◆国連がSDGs(持続可能な開発目標)に掲げる「誰一人取り残さない」という理念のように、誰もが社会の一員として、自分らしく生きる権利を保障されることです。

私は目が見えないことは、自分の個性だと受け止めています。世の中にはいろいろな人がいて、そうした多様性によって社会が成り立っていることを理解してもらいたい。

科学技術は、ハンディキャップのある人の自立生活に役立つだけでなく、さまざまな困難を抱えた人の夢を実現できるツールになる可能性があります。その意味で、科学技術とダイバーシティーは密接なつながりがあるのです。

■人物略歴

浅川智恵子(あさかわ・ちえこ)さん
1958年大阪府生まれ。プールでの事故がもとで14歳の時に視力を失う。追手門学院大、専門学校を経て85年日本IBM入社。92年日本語デジタル点字システムを開発。97年視覚障害者向けにウェブページを読み上げる「ホームページ・リーダー」を開発し、世界の視覚障害者の情報アクセス向上に寄与。2004年東京大大学院修了、博士号(工学)取得。09年IBMの最高技術職であるIBMフェローに就任。14年米国赴任。19年全米発明家殿堂入り。21年4月に日本科学未来館の初代館長だった宇宙飛行士、毛利衛さんに続く2代目館長に就任。

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我が国は古から海外の文化を吸収して、日本風にアレンジしてその文化を我が国のものとして長く後世に伝えると言う文化スタイルをとり続けてきました。遣隋使や遣唐使は今から1500年も前に当時の中国へ派遣されました。隋や唐の先進技術や優れた社会制度を求めて、西暦600年頃から894年のおよそ300年間、計23回に渡り日本から遣わされたのです。帰ってきた彼らは、大和政権で古来の八百万神に仏教を同居させた「神仏」を文化とし、農耕・土木・加工技術をはじめとする当時の我が国にとってのハイテクを発展させたのです。

先日終了した大河ドラマ『青天を衝け』の渋沢らが駆け抜けた時代もまた、わが国独自の社会体制に西洋の民主化の流れを輸入して和製立憲君主制と言う独自の政治スタイルを作り上げました。他国の侵略を防衛するために海外技術を取り入れ生産力を高め、国防に多くの国家予算をつぎ込んで、アジアで唯一植民地化を免れて主権を守り抜きました。明治維新を前後する我が国の歴史に多くの人が共感を寄せるのは、古いものを変えていくために必要なものを吸収しアレンジして独自のものにして新しいパワーにしていく姿を分かりやすく表現しているからだと思います。

1980年代の日本のデジタルテクノロジーは国内でWindowsと競り合っていたトロンOSが開発され、日本が世界に先駆けてネットワーク化したマルチプラットホームOSの花開かせるはずの時代でした。残念ながら国防力の弱い我が国は米国との同盟関係強化と引き換えに、米国経済覇権の政治圧力に負けてしまいます。しかし、そんな時代にも米国に渡って多様性社会の洗礼を受け障害者のためのAIプログラミングを学んでいた若き研究者がいました。先進国に渡り多様性を活かす社会制度とそれを支える最先端技術を学んだ浅川館長をはじめとする現代の遣唐使が子どもたちに伝えてくれるものは、我が国の古からの伝統であり未来の可能性だと思います。

学校でのいじめ厳罰化へ 自殺なら禁錮10年 仏

学校でのいじめ厳罰化へ 自殺なら禁錮10年 仏

2021/12/29(水) 【時事通信】

フランスのマクロン大統領=17日、ブリュッセル(AFP時事)
【パリ時事】フランスで、学校でのいじめを厳罰化する動きが進んでいる。

国民議会(下院)は11月、いじめ被害者が自殺または自殺未遂した場合に最大で禁錮10年と15万ユーロ(約2000万円)の罰金を科すことなどを定めた法案を可決。来年1月には上院の審議が始まる。

現行法では、いじめ加害者が13~17歳の場合は最大で禁錮2年6月と7500ユーロ(約100万円)の罰金、18歳以上の成年なら最大で禁錮5年と7万5000ユーロ(約1000万円)の罰金が定められている。被害者が自殺または自殺未遂した場合に刑が最も重くなる。刑事責任を問われない13歳未満の加害者は罰則の対象外。

教育省報道官は時事通信の取材に対し、今回の法案について「罰則の適用年齢など詳細は今後の審議で決定される」と説明した。

ここ数年はインターネットを通じたいじめが増加している。政府は来年2月、いじめ被害者のスマートフォンに届いた嫌がらせメッセージの画面内容を保存した「スクリーンショット」などを送信できる通報アプリの運用を開始予定。子供のパソコンやスマホなどを親が管理できるようにする措置も検討している。

教育省の発表によると、フランスでは全児童・生徒の6%に当たる年間約70万人がいじめの被害に遭っている。報告されていないケースも多く、今回の法案によると、実際の被害者は80万~100万人に上るとみられている。

10月には、東部アルザス地方で14歳の少女がいじめを苦に自殺した。地元メディアによれば、同性愛者であることやモロッコ人の母親を持つ人種的ルーツに関して、女友達のグループから2年にわたり暴言を受けていた。

マクロン大統領は事件を受け、11月にインターネット交流サイト(SNS)上に投稿した動画で「いじめの被害に遭っている全ての若者へ。われわれは君たちの味方だと知ってほしい」と支援を表明した。

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日本のいじめ認知件数が50万人でフランスは70万人ということは、人口比で考えると日本の3倍近い認知率となります。フランスの深刻さはそれが移民に向けてのものが多いという事です。多様性社会のトップランナーともてはやされるフランスですが、社会の鏡と言われる学校でこの有様ですから、現実にはさらに深刻ないじめや差別が存在することは容易に推察されます。

中世から近世にかけて経済でも芸術でも世界に影響を与えたフランスのプライドは今でもフランス人の中に息づいています。未だにパリでは英語が話せてもフランス語でしか応えない年配のパリジャンは少なくありません。フランス語も話せないくせにパリに来るなと言葉では言わないかわりに、こうしたイケズをするのです。こうした古い慣習の滓と、大量の移民問題を抱えているフランスの政治的な課題が合わさって差別やいじめが起こっていることが深刻なのです。

その政治的課題が学校生活にまで及んでいるゆえに、日本からすれば考えられない量刑が課されようとしているわけです。中2(コレージュ3年)で禁固2年半ですから在学中は塀の中となります。それが少年院なのか刑務所なのかはこの記事ではわからないですが、多様性社会を守り抜くためとは言えフランスの民主主義への向かい方は半端ではありません。

中国共産党によって思想弾圧や女性の凌辱という人権弾圧が今起こっているのに、糾弾する「タイミングではない」と言う政党幹部や国会議員を見ていると情けなくなります。人権侵害を知ればその非難はタイミングで発言するようなものではなく、リスクを背負ってでも声を上げるべきものだと子どもにも教えるのが人の道です。

凍える心、温め解かした感謝の言葉 駿府学園で矯正教育を受ける少年

凍える心、温め解かした感謝の言葉 駿府学園で矯正教育を受ける少年 高齢者と交流【幸せまでの距離③】

2022年1月5日(水)【静岡新聞】

「自分はずっと社会の邪魔者だと思っていた」。県内唯一の少年院「駿府学園」(静岡市葵区)で矯正教育を受ける少年(17)は、高齢者からの感謝の手紙と写真を見て自らを振り返った。他人のために尽くし、感謝されたのは初めての経験。「自分もこの社会で生きていける」。更生を信じる周囲の支えが、凍り付いていた少年の心を解き放った。

同学園で暮らす少年たちが週1回ほど、食事介助やリハビリの手伝いなどに通っているのは、近くの特別養護老人ホーム「楽寿の園」。コロナ禍が拡大してからは訪問活動を休止している。寝たきりや障害のあるお年寄りらは、少年たちを孫のように思い、再会を待ちわびている。

交流を始めたのは43年前、高齢者との関わりが更生の手掛かりになればと、学園側から相談したことがきっかけ。力仕事も快く引き受ける少年たちに、言葉がままならない入所者が「ありがとう」を伝えようと涙を浮かべて声を震わすこともあった。今では互いになくてはならない存在になっている。

少年(17)は幼い頃に両親が離婚し、父の下で育った。兄妹はそれぞれ障害を抱え、少年自身も発達障害がある。高校までバスケットボールに打ち込んでいたが、コロナ禍で部活動が思うようにできず中退し、不良仲間と一緒に知人を殴って逮捕された。

「どんな顔をして生きていけば良いのか分からない」。目標を失って自暴自棄だった少年を変えたのは、楽寿の園の利用者との交流だった。「自分を必要としてくれる人がいる」と実感し、前を向くことができた。

敬老の日に合わせ、少年は学園内のグループ7人でプレゼントする貼り絵を制作した。デザインや色使いを決め、仲間と協力して仕上げた作品のタイトルは「支え合い」。コロナ禍で閉められたカーテンが開き、少年とお年寄りが再び交流する姿を表現した。

貼り絵を受け取った有馬良建理事長(64)は「お年寄りに心を寄り添わす彼らは、純粋な心を持っている。犯した罪の痛みを知っているからこそ、他人の痛みが分かるはず」と更生に期待を込める。

少年は2021年11月、ハローワークでとび職の仕事が見つかった。内定を出した建設会社の会長が身元引受人になってくれる。「楽寿の園のみなさんを裏切りたくない。人に役に立つことができた喜びを忘れず生きていきたい」。進むべき道は開けた。困難があっても、今度は逃げないと誓う。
(社会部・崎山美穂、写真部・小糸恵介)

<メモ>駿府学園は関東甲信越と静岡県の家庭裁判所で短期間の処分を受けた、主に14歳から17歳3カ月未満までの少年が暮らす。2021年12月24日現在、定員90人に対して入院する少年は14人。多くは窃盗や傷害・暴行、詐欺容疑で、高齢者をだました特殊詐欺の受け子もいる。

少年犯罪の背景にはさまざまな要因が複雑に絡む。学園が力を入れるのは、再犯・再非行を防ぐための居場所づくり。地元企業を招いた資格取得授業などを展開する。「楽寿の園」での職業体験は矯正教育の最終段階。43年間でトラブルはなく、連携して少年の立ち直りを支えている。
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少年犯罪を繰り返す子どもの多くが発達障害を持つと言われています。吟味しないで行動してしまう。感情のコントロールができない。何度も同じ失敗を繰り返して学習効果があがらない。相手の感情がわからない。いずれも発達障害のADHDやASDに見られる特徴です。低学力の原因が文章がすらすら読めないことで学習が苦痛になるLDの子どももおり、やってもやっても成果が上がらないので学習性無力感を持つ子どもや自尊感情の低い子どもが多いです。

そして、これまでの研究では安心できない家庭環境が、幼い子どもの脳にダメージを与え、感情をコントロールする前頭葉・言葉や文字を認識し変換する部位の機能等が著しく低下し発達障害の脳と同じようになってしまうという報告がされています。この研究は脳画像の研究から明らかになったものですが、古くはチャウシェスク症候群として知られています。

1960年代後半、ルーマニア社会主義共和国の国家元首となったチャウシェスクは人工妊娠中絶や離婚を禁止した結果、貧困と育児放棄によって産後間もなく貧困な環境の養護施設に引き取られる子どもが増えました。1989年社会主義政権崩壊後、子ども達は先進国で育てられますが、その多くは発達障害と診断されました。6カ月以上施設にあずけられた子どもには自閉症のような症状がみられ、見知らぬ人にまったく警戒心を抱かずに接近する、不注意で多動といった症状が成人期まで一貫してみられたといいます。

逆に、親子分離が6カ月以内であり、里親が育児を引き継げば、子どもは問題なく育ち、失業率も10%でした。愛着に関するもっとも感受性の高い時期は、子どもが安定した情緒的関係を築きつつある時期で、およそ6カ月から2歳頃までです。この時期に母親(養育者)との関係が断ち切られてしまうと、その影響は後々まで外傷体験として残ることは多くの専門家が知るところです。幼少期に負った心的外傷=脳機能の低下で触法行為に至った子どもたちが治療的教育で回復するのは大変険しい道のりです。しかし、駿府学園のような取組の成功例を見ると、子どもの可塑性とそれを信じて長年こつこつと実践を積み上げる関係者の愛情の深さに感動をおぼえます。

伴走者が陸上トラックの内側を走る理由 ~パラ陸上伴走者・中田崇志

伴走者が陸上トラックの内側を走る理由 ~パラ陸上伴走者・中田崇志

1/5(水) 【ニッポン放送】

黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(12月29日放送)にパラ陸上伴走者・パラスポーツメッセンジャーの中田崇志が出演。伴走者として走る楽しさ、また気を付けていることについて語った。

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。12月27日(月)~12月31日(金)のゲストはパラ陸上伴走者・パラスポーツメッセンジャーの中田崇志。3日目は、伴走者として走る楽しさ、また気を付けていることについて―

黒木)伴走者としての楽しさはどういうところにありますか?

中田)「選手が力を出し切れるように走れたな」と思えたときは嬉しいです。自分1人であれば、自分がいま苦しいかどうかは自分でわかります。でも選手が苦しいかどうかは外から見るだけなので、難しいです。「いまここでスパートしても、選手は最後まで持つかな」などと思うのですけれど、そこをいつもの練習のなかで、「こうなれば選手が苦しい」ということが感じ取ることができると、本番でもうまく行きます。

黒木)そのときの阿吽の呼吸みたいなものはどうやって培うのですか?

中田)伴走ロープが2人の呼吸を合わせてくれるのです。伴走ロープが、あるとき「グッ」と固くなることがあります。選手が疲れて来ると、腕の振りが小さくなり、「あれ、いつもと変わった」ということが、その瞬間に感じるのです。

黒木)固くなったときに。

中田)伴走ロープはただの「もの」ではなく、2人の間をつないでくれるものなのです。

黒木)走っているとき、中田さんの場合は、選手の内側に入るというころです。選手が縁石を踏むのが怖いと伺いましたが、それはどういう意味ですか?

中田)400メートルの陸上競技場のトラックは、内側に10センチくらい出っ張っている縁石があるのです。

黒木)10センチもあるのですか。

中田)そうなのです。踏んでしまうと転倒する可能性もあります。だから視覚障害の選手をあえて外側にして、私が縁石のギリギリを走るようにしています。そうすると選手は安心して一歩を踏み出せるのです。内側を走る方が距離は短くなるのですが、外側であれば安心して走れます。どちらがいいかは、選手によって異なります。

黒木)縁石は10センチもあるのですか、怖いですね。

中田)私たちがメダルを獲ったアジア大会でも、1位の選手が最後の200メートルで内側に一歩入ってしまって失格になりました。

黒木)そういうこともあるのですね。

中田)ですので、私たちは伴走者が内側を走ることにしています。

黒木)日本では、伴走者が内側を走ることが多いのですか?

中田)世界では半々くらいです。意外なことに、短距離の選手は伴走者が内側の方が多いです。ものすごいスピードで走るので、一緒にコントロールするのが難しいのですね。

黒木)そうでなくても危険を伴う、早さを競い合う陸上競技ですからね。

中田)早さも大切ですが、何よりも選手が安心して安全に走れるということが最も求められることです。

黒木)中田さんはいろいろな経験をなさったアスリートでいらっしゃるのですけれど、どなたでも伴走者になれるのですか?

中田)伴走者に資格はありません。黒木さんもいま、視覚障害の人と走ろうと思えばすぐに走れます。大会も出られます。

黒木)具体体に、どういうことを声かけなさっているのですか?

中田)走るときには大きく2つあります。まずは安全面。コースで、「30メートル先、右90度カーブです。20メートル、10メートル、5、4、3、2、1。はい曲がります。はい曲がり終わりました」というような声かけが1つです。

黒木)コースの状態ですね。

中田)もう1つは、周りの選手の状況を伝えています。「ケニアの選手があと10メートルまで迫って来ましたよ。ちょっとずつ迫って来ました。もう少し、ジワジワ追いかけて来ますよ」というように実況する場面もあります。


中田崇志(なかた・たかし)/ パラ陸上伴走者・パラスポーツメッセンジャー

■1979年・宮城県仙台市出身。
■中学時代に陸上競技を始め、大学時代には日本インカレ・3000m障害で7位入賞。
■東京学芸大学卒業後、NTTデータに勤務しながら、陸上競技を継続。
■2003年にパラ陸上長距離の伴走に取り組む。
■2004年、高橋勇市選手と共にアテネパラリンピックに出場。マラソンで優勝。
■2012年、ロンドンパラリンピックでは、和田伸也選手と共に出場。5000mで長距離立位初となる銅メダルを獲得した。
■2021年の東京パラリンピックでは、パラ陸上にかかわるきっかけとなった髙橋勇市とともにパラトライアスロンの伴走者として出場を目指した。
■パラ陸上における百戦錬磨の伴走者であり、パラ陸上のスペシャリストである。

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この記事を読んだとき、聴覚的支援も視覚的支援も同じだなと感じました。聴覚的支援は視覚に比べ聴覚が相対的に優れた方に、視覚的支援は聴覚に比べ視覚が相対的に優れた方に行う支援です。感覚的には真逆の支援ですが、認知的には同じ支援です。声掛けをするとありますが、要するに周囲の状況や今後の見通しを聴覚で伝えるか視覚で伝えるかの違いで、伝えていることは同じです。

伴走者が内側を走って縁石で躓かないようにというのも、環境の調整として構造化したり嫌な刺激を少なくする配慮を支援者が先回りしているASD支援に似ています。視覚障害者への伴走ロープの役割は、ASD者にとっては支援者への発信です。表出コミュニケーションの絵カードであったり感情表出であったりするのかもしれません。ASD者の表現で支援者は適切な支援が提供できます。逆に言えば、伴走ロープや表出コミュニケーションツールがなければ相手の体調や思いを知る術もないということです。

「伴走者に資格はありません」「視覚障害の人と走ろうと思えばすぐに走れます。大会も出られます」とは言いますが、それは中田崇志さんが縷々説明したように、支援を提供する人に適切な支援ができ、伴走ロープがあってこそだという事を忘れてはならないと思います。もちろんその他の障害の支援でもこれは同じ事です。誰でも支援はできますが、前提条件は個性に合わせた環境調整と支援を受ける側に表出手段があることです。

国立に立ち上がったスカイツリー パラ閉会式「多様性の象徴」に

国立に立ち上がったスカイツリー パラ閉会式「多様性の象徴」に[連載・ツリーとともに](2)

2022/01/07 【読売新聞】

昨年9月5日午後8時、新宿区の国立競技場。13日間にわたって世界中の人々を魅了した障害者アスリートたちによる祭典・東京パラリンピックの閉会式が始まった。

国旗の掲揚や君が代の斉唱が厳かに終わった後、各国選手団の旗手が入場。横たわった東京スカイツリーのオブジェに近づき、手のひらサイズの円形の鏡を次々に貼り付けていく。

無数の鏡でキラキラ光るスカイツリー。パフォーマーたちが引っ張り起こそうとするが、あえなく倒れてしまう。多くの人たちが加わり、さらに選手たちの声援が後押しとなって、スカイツリーはついに立ち上がった。全ての違いが輝く街「ダイバーシティー」の完成。それを祝うように、スタジアムから一斉に花火が打ち上がった。

鏡は大会で輝きを放った選手たちの象徴で、選手たちが東京の街に輝きを与える――。総合演出を手がけた小橋賢児さん(42)は式を見届けると、「あらゆることをやりつくした。みんなの願いが通じたようだ」と感涙にむせんだ。

考え抜き行き着いたのは「調和のとれた不協和音」
パラリンピック閉会式の演出依頼は突然だった。本番まで1年もない時期、スマートフォンに大会関係者からメッセージが届いた。「まさか自分が……」と鳥肌が立った。

子役の頃から俳優として活躍してきた。ただ、俳優業をこのまま続けることに不安を抱き、27歳で休業。米国へ留学した。大陸を横断中、フロリダ州で野外コンサートに出掛けた時のこと。みすぼらしい服装の人もそうでない人も、いろんな肌、いろんな国の何万という人たちが体を揺らしてともに音楽を楽しんでいた。「違いを持つ人たちも、互いに共鳴しあえる場が作れるんだ」。演出の世界へ進み、10年あまりの歳月が過ぎていた。

パラリンピックという、異なる障害を持つ選手たちが競い合う場をどう表現するか。数週間考え続け、たどりついたテーマが「調和のとれた不協和音」だった。強さや速さを追い求めるだけではなく、個々の違いをありのままに出すことで、人々が感動を共有できる場になるはず、とのメッセージを込めた。

東京スカイツリーなら国立のフィールドで
このテーマを国立競技場のフィールドで形にする方法は、大道具の職人にいたるまですべての制作スタッフから意見を募った。

あるスタッフが口にした「東京スカイツリーなら、高いところから広く選手の活躍を届けられる」というアイデアに思わず膝を打った。

新型コロナウイルス感染防止のため、海外からやってくる選手たちは、競技以外は選手村から出ることさえ許されない。閉会式で東京の街並みを出現させれば、選手たちをそこへ案内できる。ツリーの白いフォルムは、何色にも染まる「多様性の象徴」にも見えた。ツリーのオブジェの周りにカラフルな毛糸やフリル、バルーンでビルや花々、橋を作り、個性を表現した。

本番を迎えるまで、ゲストの出演交渉が決裂したり、コロナ禍で出演者が大勢集まる機会が減ったりと多くの困難に直面した。それでも「楽しむことが大切」という信念は曲げず、現場のスタッフたちには笑顔で接することを心がけた。

スタッフや出演者らは、障害者のために振り付けを工夫し、夜遅くまでパフォーマンスの練習を繰り返すなど、要求に応えてくれた。「違いを認め合い、心からやりたいことができるのは素晴らしい」と心の底から感じた。

大会後、3年後に催される大阪・関西万博のイベント統括を任せられた。「また人生を豊かにするような、出会いが生まれるといいな」。どうやってもう一度、世界に日本をアピールしようか、心を躍らせている。

歌舞伎にも 絵本にも
東京のシンボルとなったスカイツリーは、イベントにとどまらず、舞台や書籍など幅広い分野で登場するようになった。

ツリー開業を前に、浅草の隅田川沿いに仮設された芝居小屋「平成中村座」では、歌舞伎の演目中、舞台奥の大扉が開くと、隅田川越しにスカイツリーが借景になる演出が行われた。

また、2012年出版の絵本「ゆめのスカイツリー」(金の星社)では、子どもたちが夢で見たという、パリのエッフェル塔を肩車したり、月に届くほど背が伸びたりするツリーが描かれている。16年リオデジャネイロ五輪の閉会式では、東京をPRするショーでツリーの模型が登場した。

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オリパラ閉幕からほんの3か月程しかたたないのに、遠い過去のように感じます。それでも、競泳男子100平山口の世界新金メダルやボッチャ杉村の金メダル、メダリストにはならなかったけどパラアスリートの奮闘に対する感動は鮮明に覚えています。パラの開会式も閉会式も世界的に高い評価を得たのも嬉しいことです。

裏舞台で懸命に働いていた関係者の方々の思いもこの記事で知ることができました。オリパラ開会前は、障害者いじめに関与していたという演出者の話で炎上して開催そのものが危ぶまれていましたが、パラのイベントでしっかりリカバリーできて胸をなでおろした関係者は少なくなかったと思います。

思えば開催を前にして、オリパラの開催を危ぶむような報道が続きました。森会長の不適切発言も議事録をよく読むと、女性は優秀な方が多いので、今度も女性理事を入れてほしいという趣旨の発言でした。女性の話が長いという旨が趣旨ではないことは全文を読めば分かることですが、メディアはこれを切り取って書き立て、オリパラ反対の政治家たちも後に続きました。

気になるのは、フェミニズムや少数民族擁護、少数者の権利擁護の看板が大きな政治家ほど、20世紀にあり得ない女性権利の侵害や民族弾圧、人権侵害について批判の発信が弱いことです。たかがオリパラの会長発言とは言いませんが、森会長を罵ったメディアや政治家が、アフガンのアクンザダ師や中国の習近平について執拗に批判している姿は見たことがありません。タリバーンや中国共産党の人権侵害を暴き非難しても視聴率や支持率向上にはつながらないからだと思います。こうして、同じ事でも一方を非難し、他方は非難しないことを二重基準=ダブルスタンダードとか二枚舌とかいいます。

オリパラをはじめとするスポーツ競技は多様性社会を保障する民主主義の象徴でもあります。冬季北京五輪は来月ですが、パラ開催式に中国がどんな演出をするのか見てみたいものです。片方で人権蹂躙や国際法を平気で破りながら、もう片方で民族自決と国際平和などと嘯く二枚舌は共産主義国家や独裁国家のお家芸です。多様性社会を映し出したスカイツリーはこうした二枚舌の言動も包み隠さず映し出します。

ボードゲームの「先生」に転身 元小学校教員が専門店

ボードゲームの「先生」に転身 元小学校教員が専門店 三郷

2022年1月11日 【朝日新聞】

大人も子どもも楽しめるボードゲームの魅力を発信する店が埼玉県三郷市にある。店主の小野貴弘さん(48)は元小学校教員。クラス活動にボードゲームをとり入れたことがきっかけで「どっぷりはまって店まで出してしまった」。各地の愛好者が店に集まり、交流の場にもなっている。

みさと団地センターモール商店街の一角にある「さいころテーブル」。棚には約300種類の国内外のボードゲームやカードゲームが並び、購入したり有料で遊んだりできる。「ゲームというと勝敗を競うイメージが強いけど、一緒にミッションを達成する全員協力型もある。自分に合ったゲームを案内します」と小野さん。

2019年6月に開店する前は、約20年間、都内の小学校に勤めていた。ボードゲームとの出会いは8年前。発達障害などのある子どもが通う少人数学級を担任した時、ボードゲーム好きの同僚に勧められてクラス活動にとり入れてみた。すると、「子どもたちが見違えるように生き生きしたんです」。

推理系のカードを使って駆け引きする「ハゲタカのえじき」では、勝ち負けで驚くほど盛り上がる。それだけでなく、感情の起伏の激しい子どもでも、ルールを学んで気持ちを抑えられるようになる。コミュニケーション力と社会性を育む効果を実感し、「こんな面白いものがあったのか」と小野さん自身が夢中になった。

やがてボードゲームを紹介するブログを開設し、豊富な知識と解説がネットの話題に。「自分のやりたいことを追求したい」と思い切って19年3月に教員を辞め、3カ月後には自宅近くの団地の空き店舗を見つけて開店にこぎつけた。

異例の転身から2年半余り。この間、コロナ禍で休業した時もあったが、看板に「3さいから99歳まで」と掲げた通り、客層はじわじわと拡大しているという。

土日祝日は親子連れ客が多いが、平日の夜は大人の客が中心となる。いつしか愛好者が連絡を取り合って毎週金曜日に集まるようになった。

昨年12月17日の夜は30~40代の男女11人が参加。小野さんお勧めのボードゲームを楽しんだ。

話をやりとりしながら違うお題のカードを持つ人を当てるコミュニケーション型ゲーム「ワードウルフ」では、プレーヤー同士の心理を探り合うスリリングな会話が熱を帯びた。

春日部市から参加した30代男性は「初めてのゲームでも、店主がわかりやすく説明してくれる。気配りも上手で、さすが元小学校の先生です」と話す。

小野さんにとっても、店が小さな社交場となることは想定外だったそうだ。「ボードゲームは人が顔を合わせてはじめて成立する。ある意味でぜいたくな時間を提供しているのかもしれませんね」

店は通常、火・水定休。詳細はホームページ(https://saikoro-table.com/別ウインドウで開きます)。(米沢信義)

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良い先生だったのだろうという事がよく分かります。40代前半で教員に見切りをつけて店を出すあたりがかっこ良すぎます。ボードゲームやカードゲームにはまり込む大人は結構いますが、感心したのはボードゲーム屋一本で店を開いたところです。場所代一人15分100円で20席程、平日は16時から22時までの6時間、席稼働率が3分の1なら1日2万円の売上です。20日間営業で40万円、固定経費と新しいボードゲームを仕入れたら一人でギリギリ生活の勘定です。教員時代の収入は得られません。それでも店を開くなんてかっこいい!

放デイで、ボードゲームをたくさん用意して社会性を育みますというキャッチはあちこちで見かけますが、ボードゲームだけで社会性が育めるなら苦労はないです。ただ、子どもが自発的に興味を持つ遊びは学びが多いというのは事実です。そして最も必要なのは、子どもが興味のあることを度真剣に取組んでいる大人の存在です。子どもは遊びでも仕事でも真剣な大人が好きです。ジャンルはそれがボードゲームだろうがサッカーだろうがなんでもいいのです。その大人がやる事喋ることが全て憧れになります。

こうした大人の存在をカリスマティックアダルトと呼びます。ちょっと性格変だけど岩石にめちゃくちゃ詳しい先生や、Nゲージを語らせると一日中しゃべっている爺さんや、野山に行くと滅茶苦茶元気になる野外親父とか、引きこもっているけどファイナルファンタジーの生き字引と言われるおっちゃんなどはその道の子供の絶大な支持を受けています。そうですか小野先生やっぱり学校やめて道を究めますか。そうだろうなぁ。

「助言しない」意識変革を

「助言しない」意識変革を

2022/1/12 【産経WEST】

「私は臨床心理士なので、具体的なアドバイスはしない」。困難を抱える子供や保護者の支援を担う心理の専門職、スクールカウンセラー(SC)への取材を重ねる中で、何度も聞いたセリフだ。だが文部科学省は問題解決のため、SCに対して保護者に助言をするよう明確に求めている。それが、なぜそうなるのかと驚いた。

SCという名称の固有の資格はなく、文科省によると、現在のSCの大半は臨床心理士の有資格者だ。臨床心理士が心療内科などで行うカウンセリングでは、相談者が自分の考え方のクセといった問題に自ら気づけるよう、本人の話に傾聴して共感を示し、内省を促す手法が主体とされる。この一面においては、「臨床心理士はアドバイスはしない」のだろう。

だが臨床心理士の資格は個人的な背景にすぎず、自治体から採用されてSCになったのなら、「SC」としての責務を全うしてもらわなければならない。文科省の有識者会議によるガイドラインは、子供にはカウンセリング、保護者には助言をするよう明記している。このガイドラインを基に各自治体が作成する活動指針も、同様のはずだ。

保護者は悩みや不安を抱え、すがる思いで相談に訪れる。それなのに、カウンセリング手法で話を聞いて共感されるだけでは、解決の糸口すらつかめない。中学生の長女が不登校になった愛知県の女性(53)は、SCから「本人が登校する気になるのを待ちましょう」と言われるばかりで、何をして待てばいいかの助言もなく不安を募らせたという。だが、取材に「臨床心理士として言えるギリギリが、『待ちましょう』だ」と答えたSCもいた。

もちろん取材では、子供の抱える問題の原因を見立て、積極的に助言するSCにも出会った。メールで連載への感想を寄せてくれたSCの女性(56)も、保護者との面談のたびに必ず助言をするといい、「子育て期はあっという間。保護者の悩みに今、対応して解決しなければならない」と話した。だが、そんなSCはむしろ少数派だとの声もあった。

SCには心理分析の知識だけでなく、教員と連携するためのコミュニケーション能力などさまざまな資質が求められる。財務省は今年度、各省の事業の有効性や効率性を調べる「予算執行調査」で、SCについて「資質の向上が最需要事項」と指摘した。

だが、「うまく助言できない」のではなく「助言しない」と決めているのであれば、資質以前の問題だ。文科省と自治体は今一度、SCの職務内容を周知徹底してほしい。SC側も、学校にかかわる専門職として求められている役割が何かを改めて考え、意識を変える必要があるのではないか。(藤井沙織)

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傾聴して指示はしない、カウンセリング理論の基本です。ただ、保護者は生徒と親子関係にあり保護者が影響を与えている場合があるとは言え当事者ではないですから、「助言しない」という理由が不明です。「子どもに助言しない」と言う助言はありですが、親にも教員にも助言しないと頑なに拒むカウンセラーがいるとすれば、その方自身が社会性の課題を抱えていると考えるべきです。そもそも導入時から臨床心理士を学校に迎え入れるのに、傾聴だけするカウンセラーで教育相談に役に立つのかと言う議論がありました。

この懸念を抑えて押し切ったは、かつての文化庁長官河合隼雄さんの力が大きいです。不登校や引きこもり相談のパイオニアであった河合さんが臨床心理士会をてこにSCを定着させたという経緯があるのです。秘密を守ることは子どもとの信頼関係を築く第一歩ではありますが、全てではありません。他の大人とも情報共有することを子どもが安心して理解できるようにするのもSCの仕事です。

SCには生徒のカウンセリング業務以外にコンサルテーション(助言)業務が課されています。対象は保護者と学校関係者です。ところが、この人たちに向かって「助言しない」と言ったら業務放棄です。一度決めたら修正できない「お役所仕事」で全ての公立学校にSCを文科省は置いたのですが、とうとう現場の不満が爆発し、財務省の経費削減路線と合わさって「SCは役に立たない」大合唱が始まったわけです。

SC採用の際に臨床心理士会の心理士ならフリーパスと言う採用の仕方にも問題があります。今は少なくなりましたが、子どもの特性によっては傾聴が役に立たないことを知らない臨床心理士もいるのです。そして、子どものカウンセリングと関係者への助言はセットにして効果が上がるのは当たり前のことです。助言しないと言うSCは辞めてもらえばいいのです。制度そのものと運用(採用方法)の問題をすり替えないでほしいと思います。

感染再拡大 新学期迎えた学校 感染対策を徹底して授業再開

感染再拡大 新学期迎えた学校 感染対策を徹底して授業再開

01月12日 【NHK】

新型コロナウイルスの感染が再拡大するなか、東京都内の学校では新学期を迎え、受験を控える6年生の児童もいることから、感染対策を徹底して授業を再開しています。

このうち、東京・大田区の区立出雲小学校では11日から3学期が始まりました。学校では、登校時の感染対策として、昇降口で教師がサーモグラフィーを使って児童の体温を測定し、発熱している人がいないか確認しています。

また、中学受験を控えた児童がいる6年生をはじめ、各教室では担任が1人1人、児童とその家族の体調に問題がないかどうか聞き取ったあと、児童は消毒して入室していました。12日は毎年この時期に行われている学校の開校記念の催しもありましたが、リモートでの開催となり、児童たちは教室の前の大画面を通じて校長の話を聞いていました。

また、毎年恒例の新年の書き初めの授業は、日にちを分散したうえで、スペースを確保しやすい体育館を活用し、できるだけ間隔を空けて行われていました。

学校行事にも引き続き影響が及んでいて、去年9月からことし3月に延期された6年生の1泊2日の校外学習も今後の感染状況を見ながら実施の可否を判断したいとしています。

中学受験を控えた6年生の男子児童は「受験まで1か月を切っているのでコロナだけでなく風邪などをひかないように引き続き気を引き締めて感染予防に努めたいです。行事が開かれない可能性もありますが、日頃からの友達と過ごす今の時間を大切にしていきたいです」と話していました。

関眞理子校長は「オミクロン株は感染力が強いとのことなので、小さな症状でも配慮するよう家庭に声かけしています。コロナ禍の生活に子どもたちも不安を感じているのでケアをしていきたい。健康で安全安心な学校生活を送れるよう、先生を含め、健康管理や感染対策をしっかり行うことを心がけています」と話しています。

文部科学省は厚生労働省とともに大学受験を控える受験生向けに作成した「受験生のみなさんへ」という文書をホームページに掲載していて、感染リスクをできる限り減らすための対策を紹介しています。

このなかでは体調がおかしいときには外に出ない自主的に検温をする外出は最小限にとどめるこまめな消毒といった受験生本人がとる基本的な感染対策のほか、受験生がいる家庭内で心がけることも掲載されています。

まず、家庭内で普段から心がけることとしてはお互いに体調を確認しあって症状がある場合は早めに医療機関を受診すること受験生の家族は会食など、外出先で感染リスクのある行動をできるだけ減らすこと家族での食事の際にも可能な範囲で距離を確保することなどをあげています。

また、もし、体調が悪い家族がいる場合には同じ部屋での食事や睡眠を避け、難しい場合は距離を保つ工夫をすること家族での会話の際にもマスクを着用することなどをあげています。

そのうえで文書では新型コロナウイルスは誰でも感染する可能性があり、感染した人を責めることなくみずからを守る行動を心がけるよう呼びかけています。

首都圏の1都3県の私立中学高等学校協会などによりますと、埼玉県では今月10日から千葉県では今月20日以降、東京都と神奈川県では来月1日以降、それぞれ私立中学の一般入試が行われます。

中学受験の模試や受験情報のとりまとめを行っている「首都圏模試センター」の調べによりますと今月6日の時点で、首都圏の1都3県の私立中学校の少なくとも70校以上が、新型コロナウイルスに感染するなどして試験を受けられなくなった人のため、追試を予定しているということです。

また、およそ18校は追試などの対応が可能かどうか学校に相談してほしいとしているということです。

首都圏模試センターは「今後の感染状況によっては、追試などの対応をとったり、入試について変更する学校も出てくると思うので志望校のホームページをこまめに確認してほしい」と話しています。

今月15日からは2日間の日程で「大学入学共通テスト」が行われるなど、首都圏では今後、高校入試や大学入試もピークを迎えます。

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中学受験まで感染リスクの管理を行う、これが今の東京の実情だと言う事がよくわかる記事です。東京では平均2割程度ですが文京区や港区では4割ほどの子どもが私立中学に行くので中学受験は珍しいことではありません。全国平均で1割程度ですから、乙訓地域では各クラスで3~4名が東京港区のクラスでは15名以上が私学に進学する感じです。

大学入試では、感染や濃厚接触で共通テストが受験できなければ各大学で試験をするように通達した事が不公平になるのではないかという議論が起こっています。理由は共通テストの点数で各大学は足きりをするのに対象者はそれをスルーできるからだそうです。筆者も含め昭和生まれの約半数は試験一発勝負の世代なので事態の重大さがわからないのですが、平成生まれの人たちはすぐに気づいたようです。

それにしても、オミクロン株の症状は風邪引きと酷似していると症例も集まってきているのに、感染者数ばかりを強調しNHKも事実上他のメディアと同じく煽っている感があります。一気に広がると入院施設が対応できないからと言いますが、次の山が来ると専門家も政治家も一様に表明していたのに、以前と全く同じ発言をして無策に悪びれる様子もありません。

そもそもエボラ出血熱と同じ扱いの2類相当を、インフルエンザ並みの5類相当に修正すれば通常の対応に戻せたはずでした。結局、重症化しないという症状に関係なく制限を強くすればするほど支持率が上がるというポピュリズムがそれも許さなかったということです。沖縄はオミクロン拡大で緊急事態宣言の要請をしていましたが、重症者は僅かでした。この騒ぎ方も、世界中で広がっている感染を米軍基地の責任にして政治的に煽っている感じがします。必要以上の制限をして必要のない休校休所で子どもを巻き込まないで欲しいと思います。

学校ができることは手洗いうがいを励行することです。重症例がほとんどないのに、新しい株が出るたびに行事を止めたり特別な措置をしていては、この先教育も福祉も成り立ちません。メディアの取り上げ方も、感染者が増えた増えたと騒いで不安を煽るのは、そろそろ終わりにしてほしいと思います。大事なのは症状と予防法をデータを示して正しく説明することだと思います。

若者が帰りたくなるまちを作る...0歳~100歳まで“ごちゃまぜ”の世代間交流を実現させた

若者が帰りたくなるまちを作る...0歳~100歳まで「ごちゃまぜ」の世代間交流を実現させたある病院の挑戦【群馬】

2022/01/14【FNNプライムオンライン】

群馬県の人口約5万人の小さな自治体で、地域の病院が子どもから高齢者、障がいのある人まで一体的にケアする取り組みが行われている。政府が進めようとする「地域包括ケアシステム」を先駆けて実践するこの病院とは?現地を取材した。

「0歳から100歳まで地域で支えるんです」
「ここでは0歳から100歳、すべての年齢を地域で支えるんです」

群馬県沼田市で2021年11月に開設した地域共生型施設「SONATARUE(以下ソナタリュー)」。筆者に施設を案内してくれた担当者はこう語った。

ソナタリューは1階に足湯や温泉、レストランにカフェ、アスレチック公園があり、一見アミューズメント施設のようだが、実は障がいのある人の生活や就労の拠点であり、障がいのある子どもたちの学童クラブもある。

この施設を開設したのは、沼田市にある医療法人大誠会内田病院(以下内田病院)だ。内田病院はいまから30年以上前に来るべき高齢社会を見据えて、当時としては珍しかった医療と介護の連携を開始した。

その後内田病院は福祉の分野にも進出し、いま医療・介護・福祉を一体化させた取り組みを行っている。ソナタリューもその1つであり、内田病院は人口5万人足らずの沼田市で、子どもから高齢者まで安心して暮らせるまちづくりの拠点となっている。

学童保育が足りないなら自分たちでつくる
安心のまちづくりにチャレンジしているのが、内田病院グループの理事長を務める田中志子さんだ。田中さんの父親は内田病院の創始者であり、当時としては珍しく介護分野に乗り出した。そのきっかけを田中さんはこう語る。

「父は1976年に有床のクリニックを開業したのですが、10年ほど経つと入院患者さんの年齢層が上がって長期入院になり、軽度の介護施設みたいな感じになりました。そこで父は1988年に当時始まったばかりの老健施設(※)を建てたのです」

(※)介護老人保健施設。介護が必要な高齢者の自立支援などを行う、病院と施設等との中間施設

父親を継いで理事長に就任した田中さんは、「誰もが生きがいをもって安心してくらせるまちづくりを」と福祉の分野にも進出した。

「2006年にNPO法人をつくりました。当初は自宅にいる一人暮らしの高齢者に配食をしていたのですが、子育て中の病院の職員が『学童保育が足りなくて働けない』というので、『では学童を作ろう』と。そのうち外部の子どもも預かるようになり、障がいのある子どもが大変そうだとこちらも預かることになりました。当初は公費が頂けず赤字続きでしたね」

居場所のない高齢者と子どもが”ごちゃまぜ”に
その後保育園やデイサービスも始めた田中さんは、高齢者から子ども、障がいのある人へのサービスを同じ施設内で行うことを決めた。こうして2017年に開設した「いきいき未来のもり」には、保育園、学童クラブのほか、障がいのある子どもを対象とした児童発達支援事業と放課後等デイサービス、要介護認定された高齢者のデイサービスが混在している。

田中さんはこう語る。
「施設は保育園の子どもがデイサービスを通らないと園庭に行けないような設計にしました。そうすると子どもはおじいちゃん、おばあちゃんに1日2回は会えて挨拶もできる。こうして“ごちゃまぜ”にすると、家で居場所がなくなっていたおばあちゃんが子どもたちの運動会のお花を作ったり、認知症の人が赤ちゃんと交流したり。また重い自閉症の子どもが健常者と交わる中で、普通クラスに通えるようになったりもしました」

“ごちゃまぜ”な世代間交流が生まれる施設
そして2021年11月に開設したのが前述のソナタリューだ。田中さんがソナタリューを作ろうと思ったのは、初めて障がいのある子を預かったときだ。

「お母さんたちがとても感謝してくれたのですが、『特別支援高校卒業後に住むところや働くところが無い』と言われて。それから16年が経って、障がいのある人のグループホームとショートステイをやっと始めることができたのですが、商業施設のように誰もが行きたがる施設にしようと考えたのです」

ここでは障がいのある人が健常の人と一緒にパンを焼き、足湯には園児もリハビリの人も、地域の人も観光客も来る。

「結果的に本当に“ごちゃまぜ”な世代間交流が自然と生まれるのです」(田中さん)

人口約5万人のまちが国に先駆ける地域ケア
いま政府は「地域包括ケアシステム」の構築を進めている。これは高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしをおくることを目的としたものだ。

内田病院は、医療だけにとどまらず介護や福祉の分野まで取り組み、まさに子どもから高齢者、障がいのある人が安心して暮らせるまちづくりを行っている。

ではなぜ田中さんは、これまで難しいと思われていた包括ケアに挑戦するのか?

「沼田市は人口が5万人程度、うちも10年前は職員300人規模の医療法人グループでした。しかし現在は600人を超える職員がいます。だからこそ『こういうやり方をすると人が集まってきて、満足度が高いエリアになる』という発信ができれば、同じ規模の自治体のモデルになれるんじゃないかと。私たちは地域への反映に約20年かかりましたけど、このノウハウがあれば他の地域でも2年くらいでやって頂けるかのではないか思っているんです」

若者が帰りたい、残りたいまちづくりとは
さらに田中さんは「実はもう1つ理由があって」と続ける。

「これは本当にエゴでしかないのですが、私には子どもが3人いますが、赤ちゃんの時にとにかく可愛くて手放したくなかった。だから子どもたちが仮に都会に行っても帰ってきたい、残りたいまちを20年かけてでもつくろうというのが発端だったんです(笑)。だから誰もが楽しく働く場所があって、子どもを育てやすい環境があって、住みたくなるまちをつくろうと。おかげさまで子どもたちは皆、ふるさとに帰る予定です」

田中さんは若い職員に「要介護者を増やさないことは社会保障費を必要以上に上げないことになる。それは自分たちの未来のためなのだから、我が事としてやりなさい」と言っているという。

医療・介護・福祉を一体化させ、子どもから高齢者まで安心して暮らせるまちをつくる。そんなまちになれば、若者が帰りたいふるさとが日本中に生まれるだろう。

【執筆:フジテレビ 解説委員 鈴木款】
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医療から出発して老人介護や精神医療から就労支援にまで拡張していくケースはよく見ますし、学童保育や放デイにまで拡大していくのは、発達障害医療から放デイと言う形で最近ちょくちょくあります。町ごと丸抱えというのは地方ならではの取組だと思います。云わば地方でこうした芋づる式に必要だから作ろうと考えて実現できるかどうかは経営者次第だということです。

医療が福祉分野に拡大していくのは穿った見方をすれば、医療ニーズが変わってくる中で顧客(患者)を離さない取組とも言えますが、それが職員の新しい職域を開発し地域の雇用ニーズを作り出し地方を活性化することにつながるなら良いことです。本来なら行政や議会が動いて地域インフラの設計図は描くことが理想ですが、既得権益にがんじがらめの政治家や今まで通り路線の役所に任せていたらいつまでたっても実現しません。

医療法人が一定の資本力を得て、地域に資本投資して地域のインフラを整備していく話は、テレビでは地元の事など目もくれず合理主義を持ち込んだ儲け主義の理事らが画策していくというドラマ展開が多いのですが、田中理事長のような方もいるのだと強く発信してほしいと思います。

しかし、その起点が医療法人である必要はありません。地域で大きくなった企業は地域にたくさんの従業員がいます。その従業員の家族には子どもや老人もいれば障害のある人もいます。乙訓地域は世界に知られる資本力の強い大企業も多いです。地元の大企業が必要な地域インフラを拡大して持続可能な地域社会を作るように動き出せば、新しい共生社会のモデルを作ることも可能です。重要なのは法人トップの事業理念だということを田中理事長は教えてくれています。

「あ~、ムリムリ」「重度障害児に眼鏡つくる意味ある?」 受診を敬遠される障害児たち

「あ~、ムリムリ」「重度障害児に眼鏡つくる意味ある?」 受診を敬遠される障害児たち〈AERA〉

1/16(日) 【AERA dot.】

障害児こそ医療が必要なのに、受診を断られるケースもあるという。適切な医療を受けるには、医療関係者や保護者たちの配慮や準備が重要になる。AERA 2022年1月17日号の記事で取り上げた。

*  *  *
「あ~、うちではムリムリ」
男性医師が明らかに嫌そうな顔を見せた。都内の女性(49)の長女(14)が幼児期に自宅で転び、おでこを切って、地元の「形成外科・皮膚科」クリニックに連れていったときのことだ。長女は知的な遅れのある自閉スペクトラム症。女性はこう振り返る。

「落ち着きがないからか、『こういう子は縫えない』と言われました。健常児だったらやってくれたと思いますが、障害児はまともな治療を受けさせてもらえないことが多いんです」

眼科も診てもらえるところが見つからず、長女が11歳のときに初めて問題なく見えていることがわかった。いま一番困っているのは歯科。近所で評判のクリニックに長女を連れていったが、嫌々診療している感じが伝わってきた。器具を口に入れて少しでも体が動いたら、即終了。2、3週間に1度のペースで通っていたのに虫歯も見逃され、長女は歯の痛みで一時食事ができなくなった。別の歯科医院に相談すると、男性歯科医は「人手は足りないし、治療中に動いて口の中を切ったら責任を持てない」と本音を明かしてくれた。

■フリーアクセスなのに
日本の医療制度の特徴の一つは、「フリーアクセス」。日本医師会のホームページには、「何の制限も受けずにどこの医療機関でも、どの医師にも自由に診てもらえて医療サービス(治療)が受けられる」とあるが、現実は、障害児はその特性から医療機関での診察や治療が難しく、受診を断られるケースもある。

脳性まひの小学3年の娘(9)がいる横浜市の女性もこう話す。
「医師の中には差別的な考えの方が多くて閉口します。娘の友人は、眼科医に『こんな重度障害児に眼鏡をつくる意味あるんですか』と言われました」

娘は脳性まひのアテトーゼ型のため、自分の意思によらない「不随意運動」があるが、理解のある医療機関は少ないという。歯科には「障害者歯科」があるので、歯並びが気になって受診したが、「障害児の中ではまだいいほうですから」と暗に矯正を断られ、通うのをやめた。

■時間とエネルギー必要
「障害のある子どもこそ、医療が必要です」
と話すのは京都市の「まさみ眼科クリニック」院長、朴真紗美医師だ。眼科領域では障害児は健常児に比べて、網膜上にピントが合わない遠視や近視などの「屈折異常」が約5倍多く、はっきりと見えていない可能性が高いため、受診がより必要だと強調する。

以前に朴さんは3年間、数カ月に1度、鹿児島の奄美大島に飛び、障害児の眼科診療をしていた。眼鏡を処方した子たちは、再診時に表情が明るくなり、言葉も増え、さまざまなことに興味を持つようになっていた。
「適切な眼鏡一つでその子の人生が変わり、家族の人生も変わる。このような医療があることを学びました」

一方で、障害児の診察を敬遠する医師たちの事情も理解する。
「障害児者の診療は何倍もの時間とエネルギーを要する上、個々の特性に合わせた技術や多くのスタッフの理解も必要です」
例えば3年前に知的障害と自閉症のある20歳の男性の白内障手術を、非常勤医として勤務する音羽病院アイセンター(京都市)で行ったときのこと。男性は大柄で片目は自傷のため失明していた。自閉症の特性で新しい場面を苦手とするため、診察室や手術室、入院病棟の様子を事前に写真で説明し、全身麻酔の導入練習だけでも数回の受診が必要だった。また、術後の感染予防対策のため、通常1泊2日の入院期間を2週間にし、病棟の看護師らは自閉症の勉強会を開くなど、病院側も受け入れ態勢を整えた。

障害者支援に詳しい川崎医療福祉大学准教授の諏訪利明さんはこう話す。
「肢体不自由の場合とは違って、障害が周囲に見えづらい自閉症や知的障害だと配慮もなく、『普通の人の基準に合わせなさい』となりがちです。障害特性として、言葉での説明が理解しづらく、自分の症状もうまく伝えられない。見通しが持ちにくいので我慢できずに待合室や診察室で騒いでしまう。感覚の過敏がある場合は治療にも配慮が必要です。治療前の準備にも診療報酬点数をつけるなど制度を整備すれば受け入れる医療機関も増えるのではないでしょうか」
(編集部・深澤友紀)
※AERA 2022年1月17日号より抜粋
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以前、新型コロナワクチンを障害者に接種する医療機関の報道で、患者を押さえつけた動画を報道側が削除したことについてコメントしました【神奈川・相模原市で障害者専用のワクチン接種会場:2021/09/28 】。治療しようとしても適切に対応できなかったとことだけが取り上げられて社会のバッシングを受けるかもしれないと考えると、積極的な治療を躊躇してしまう気持ちは理解できます。治療しないことを、医師個人の資質の問題とステレオタイプに決めつけるのも考えものです。

医師だけが、治療目的で身体を切り異物を与える権限があります。しかし、そこには効果のある治療をすることが前提なので治療をするかどうかは医師の判断によります。医師法19条で「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければこれを拒んではならない。」と、診察に応じなくてはならない応召義務が定められていますが、これには罰則はなく倫理規定だというのが定説です。

もちろん、先のワクチン接種時のように、当事者が嫌がっているのに押さえつけて注射をするのは現段階のオミクロン型の感染症状を見ていると過剰医療と言えます。しかし、半年前の世間の通説はワクチンを打てばデルタ型までは重症化せずに済むというものでした。医師が押さえつけてでも接種した際の心的外傷のリスクと重症化を防ぐベネフィット(効果)の比較では重症化を防ぐことが優先されたのだと思います。このようにわずか半年間でも、症状や世間の通説が変わってしまえば、リスクと効果の比率は変わってしまいます。

障害者の医療は通常よりコストがかかります。これは子どもや乳幼児、周産期医療にも言える事です。諏訪さんが言うように、コストがかかる医療を正当に評価して診療点数を決めればいいと思います。リスクはあるし人手もかかり診療点数も実態に見合わないとなれば、医師が敬遠しても無理もないと思います。社会の根本的な課題を明らかにせずに、誰かを悪者にして叩いていても社会は変わらないと思います。そして、リスクを取ってでも真剣に障害者医療に取組んでいる朴さんのような医師たちこそをもっとメディアに取り上げてほしいと思います。

「牛乳は体にいいのか」150年論争 学校給食での提供を停止した自治体も

「牛乳は体にいいのか」150年論争 学校給食での提供を停止した自治体も

2022年1月17日【週刊ポスト】

昨年末、岸田文雄首相はコロナ禍の影響で消費が落ち込んでいる生乳の大量廃棄を回避するため、「牛乳の消費拡大」を求める異例の呼びかけに踏み切り、話題を呼んだ。牛乳というと、真っ先に思い浮かぶのが「成長や健康にいい」というイメージだ。昭和の時代には、多くの栄養を補えるといった印象が定着し、学校給食でも広く親しまれてきたが、振り返ってその“効果”を疑問視する声もある。

「母親から“背が伸びるから飲みなさい”と言われたけど、全然伸びなかった」(50代男性)
「“骨が強くなる”と言われて中学時代に毎日1リットルの牛乳を飲んでいたが、お腹がいつも緩かった」(40代男性)
「“よく噛んで飲め”と言われていたので牛乳を噛んでいたけれど、意味があったのか、いまだに分からない」(50代男性)

「牛乳は完全栄養食」と位置付けられてきた一方で、昨今は「牛乳を飲むと不健康になる」という話を耳にする機会も出てきた。都内在住の50代男性が語る。

「年末に実家に帰ったら、80代の親に『牛乳を飲むとがんになるから、孫には飲ませるな』と注意されました。コロナで健康に気を遣うようになり、『牛乳不健康説』に感化されたようです」

「骨粗しょう症になる」「がんになるリスクがある」といった牛乳不健康説も出回っている。さらに、3回目のコロナワクチン接種が近づくなかでの岸田首相の消費拡大の呼びかけに対し、「ワクチン接種後に牛乳を飲むと、免疫機能に異常が出る」といった陰謀論めいたインターネット上の書き込みまでみられた。一体、牛乳は体にいいのか、悪いのか。

「ここ15年くらいの間で論争が盛り上がり、繰り返されています」

そう指摘するのは、小田原短期大学食物栄養学科の平井千里准教授。

「近年の論争のきっかけの一つは、2005年頃から度々出版される牛乳有害説を唱える書籍の影響と言えます。それまで体にいいとされてきた牛乳に対して、“牛乳が逆に骨を脆くする”といった論がセンセーショナルに打ち出されるようになった。対する乳製品業界なども黙ってはおらず、多くの異議が唱えられて論争に発展しました」

2015年には、お笑いタレントの松嶋尚美が「牛乳を飲むと体内のカルシウムが尿で排出される」「乳製品を多く摂る欧米人は骨粗しょう症になりやすい」などの説をテレビで語り、炎上する騒ぎもあった。

学校給食でも牛乳の扱いに変化が起きている。15年、新潟県三条市は学校給食での牛乳の提供を停止した(給食時間と別に牛乳を飲む「ドリンクタイム」を設けたが、現在は停止)。

「最近では“米飯や麺類に牛乳が合わない”“そこまでして飲まなければならないものなのか”といった保護者からの意見も少なくありません。1954年に施行された『学校給食法施行規則』では牛乳の提供が定められていますが、三条市独自の判断が優先されたかたちです。論争の影響は学校給食にまで及んでいるのです」(平井氏)

遡ると、乳製品に対する論争は明治期から存在したとの視座もある。梅花女子大学食文化学科の東四柳祥子教授の研究によると、富国強兵策の一環として乳製品の摂取が注目され始めた1870年代の明治初期の段階で、安全性への疑いを持つ声もあったという。150年に及ぶ論争だが、前出の平井氏はこう見る。

「牛乳の栄養価の高さを疑う余地はありません。カルシウムやタンパク質にミネラルといった栄養素を豊富に含みます。ただし、飲み過ぎるとカロリー過多やカルシウムの過剰摂取で結石ができやすいといった不具合が起こることも考えられます。完全栄養食とは言えないが、適量を摂る分には体に悪いものではありません」

※週刊ポスト2022年1月28日号
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ここでは、牛乳が栄養食かどうかと言う議論と給食でも嗜好が大事にされてもいいのではないかという議論がごちゃ混ぜになっています。日本人の背が伸びたのが給食牛乳の成果だと言う根拠はありません。給食牛乳をしても現代の子どもの方が骨折しやすくなっているわけですからカルシウム云々の根拠にはならないです。日本の子どもの給食で牛乳を提供するという法律のおかげで、日本の畜産業が息をつないでいると言う業界の意向に押されて給食牛乳の法律は70年近く続いているのです。子どもの健康問題ではなくこの既得権益をどう考えていくかが事の本質と言えます。

筆者が給食で一番違和感を感じたのが、米飯メニューに牛乳です。食文化としてどうなのかと同僚に聞くと牛乳で米飯を炊くメニューもあるから気にしないとのことでした。世界では牛乳で米を煮るのは珍しい事ではなく、イギリスではライスプディング、ドイツはミルヒライス、インドではキール等とどれもミルク粥風で、材料は牛乳と米以外に各国様々、作り方にも違いはあれど、共通しているのは「甘い」ということです。

世界では「牛乳+米」という式には「=おやつ」という答えを出している国が多いようなので、つい米を主食にする者として、反射的に非難がましい想いがわいてきます。しかし、我が国も米にあんこをまとわせて食べていますから米に甘い味付けは日本ではありえないとは言えないなと批判はあきらめましたが、米飯メニューに牛乳が出るのと牛乳で調理するのでは意味が違うではないかと密かに思っています。

子どもの感染拡大 募る不安…受け入れ続く「放課後施設」 発熱外来も急増…3分の1が15歳未満

子どもの感染拡大 募る不安…受け入れ続く「放課後施設」 発熱外来も急増…3分の1が15歳未満

2022年1月18日【長野放送】

子どもへの感染が急拡大し、休校なども相次いでいます。長野県松本市の放課後に子どもを預かる施設は現在も受け入れを続けていて、不安を募らせています。

病院に並んだ車。発熱外来の受診者です。こちらの医師が往診しているのは子ども。病院では年明けから受診者が増えていますが、特に急増しているのが15歳未満です。15日は1人でしたが、17日は65人中22人とおよそ3分の1を占めました。

病院も対応で負担が増しています。
子どもたちへの感染拡大。新学期が始まったことが要因と考えられ、県によりますと17日時点で県内の小中高校41校が休校や学年閉鎖などの対応をとっています。

病院では「発熱やのどの痛みなど少しでも違和感を感じたら学校には行かず検査を受けてほしい」と呼びかけています。

こちらは松本市の高宮児童センターです。現在も受け入れを続けていて18日も60人が利用しました。
高宮児童センター・太田武志館長:
「学年を超えてたくさんの子どもが集まりますので、非常に危険なリスクの高い状況と心配している」
第5波では市が保護者に対し施設の「利用の自粛」を呼びかけましたが、今回はそうした要請は出ていません。センターは市に「人数を減らすなどの対応をしてほしい」と考えていますが、今は消毒や換気などこれまで通りの対策を徹底するしかないと話します。
高宮児童センター・太田武志館長:
「(学校に比べ)センターの場合、どうしても密な状態ができてしまう。子どもたちの感染のリスクが高いことを肝に銘じて職員一同、基本的な感染防止対策をやっていかないといけない」

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感染報道の典型かなと思いました。施設側が子どもを預かって不安と表現することで、「自粛の呼びかけがない」としながらも暗に利用を控えて欲しいという誘導になります。「60人が利用」と言いますが、学校ははるかに多い子どもが活動していますし、「感染リスクが高い」といいますが、子どもの集まるところの感染リスクが高いのはこの2年間ずっと変わりません。病院の発熱外来で自家用車が長蛇の列で待機して医師が巡回してくる様子を報じる事で、この感染力の強力さを表現していますが、実際にどの程度の症状なのか医師のインタビューはせず、素人の不安インタビューを報じて印象操作をします。

今回は上気道での炎症が中心なので風邪の症状です。子どもの重症者はおらず僅かに高齢者の重症例があると言う話です。ワクチン接種者にもブレークスルー感染すると言いますが、接種者の症状例に入院を必要とする重症例はありません。大阪府では、従来の2類相当の感染として扱うと、濃厚接触者の特定や措置までしなければならないのですが保健所はもう手が回らず、学校や老人施設だけにすると決めました。政府も濃厚接触者の自宅待機期間を2週間から十日に縮めました。エッセンシャルワーカーは陰性証明を前提に更に3日縮めました。今回の感染症状の多くは軽いですが子どもが多く感染するので、施設や学校の仕事では職員が濃厚感染になる可能性が高く、子どもが感染する度に濃厚接触者扱いされるとサービスはできなくなっていきます。

症状が重いなら仕方がありませんが、重症例が極めて少なく全てのエッセシャルワーカーが接種を済ませているのに接種前と対応が変わらないのは、政治家のエクスキューズ(言い訳)のためです。厳しめに対応しておけば失敗してもクレームは少ないが、規制を緩めて感染が拡大すれば因果関係がはっきりしなくても政治生命に関わると判断しているからです。これまでの制限について科学的な効果は確認されていないのに、教育関係では再び県をまたぐ修学旅行や試合などを中止し始めました。

それをならってか、飲食関係も再び規制対象になる「まん延防止等重点措置」で客足が遠のきます。ワクチン接種証明アプリで飲食や旅行をスムースにしようと言う話も雲散霧消し政治家は誰も言わなくなっています。本当のリスク管理とは子どもが受ける社会的なリスクと感染リスクの比較によって判断する施策のはずです。大は小を兼ねるというような施策なら誰にでもできる話で政治家は必要ありません。ピークアウトする2月半ばくらいまでまた我慢の季節がやってきます。

【図.知見のまとめ:子どもの COVID-19 関連健康被害 (日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会作成)子どもは多くの場合、家庭で感染しているが、幸いほとんどの症例は軽症である。しかし、COVID-19 流行に伴う社会の変化の中で様々な被害を被っている。】

台湾の教育制度や病に苦悩した、天才オードリー・タンの軌跡

台湾の教育制度や病に苦悩した、天才オードリー・タンの軌跡【書評】

2022.01.19【Pen】文:今泉愛子

『オードリー・タン 母の手記「成長戦争」自分、そして世界との和解』
近藤弥生子 著 KADOKAWA ¥1,980 
近藤弥生子●1980年、福岡県生まれ。編集者、ノンフィクションライター。日本語と繁体字中国語でのコンテンツ制作を行う草月藤編集有限公司代表。おもな著書に『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』(ブックマン社)。

台湾のデジタル担当大臣として活躍するオードリー・タンは、10代の頃から天才プログラマーとして知られ、15歳で友人と会社を設立。学校教育を中学で終えている。

タンはどんな風に育ち、その天才ぶりをどのように発揮してきたのだろうか?

本書の著者、台湾在住のライターの近藤弥生子は、タンの母親である李雅卿(リー・ヤーチン)が1997年に出版した手記『成長戦争』をもとに、自身の見解、タンへのインタビューを加えて、タンの軌跡を詳細に追った一冊をつくった。

近藤は、タンの核となっているものは3つあると語る。

「心臓病を克服したこと、学校教育の場で自殺願望をもつほど追い込まれたものの、教育者や協力者との出会いによって立ち直ったこと、そして、両親が自分を受け入れ支持してくれたことです」

本書には、団体生活に馴染めなかったタンが、3つの幼稚園、6つの小学校を経験し、中学校で学校教育を終えた経過が克明に記されている。

11歳で心臓手術を受けた後、体調が大きく改善したタンは、著者のインタビューに対して「体調が改善したことから始まる“身体が弱くない”人生で、自分が過去に受けた仕打ちに対して、なにか未来に向けて貢献できないかと考えた」と答えている。

タンの幼少時代、台湾では体罰が横行し、子どもたちは競争にさらされていた。

「これからの台湾を担う若い世代は、タンの両親が我が子を守ったことが、教育の現場に風穴を開けたと感じています。これまで教育によってどれだけコントロールされてきたか、わかっている人が多いのです」と近藤。

学校生活における苦難を、社会構造の問題と捉えていたタン。本書で描かれるその姿は、自身の才能を社会に役立てようとする現在のタンと見事につながっている。

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天才プログラマーを大臣に起用する台湾ってかっこいいというのが、日本のメディアの反応でした。コロナ禍の中、マスクが買い占められないようにプログラムを開発した大臣として一躍有名になりました。2016年10月にデジタル担当の政務委員に就任して、35歳での閣僚就任は台湾史上最年少と言います。

「デジタル技術とシステムによって政府の問題解決を補佐し、民間と政府のコミュニケーションの促進と強化を行う。自分の役割は特定の団体の利益のために動くことでも、政府のために政策の広報を行うことでもなく、より多くのアイデアと力を結合させる『パイプ』となることだ。」と言うのがオードリー・タンのマニフェストです。

幼い頃からコンピューターに興味を示し、12歳のときにプログラム言語を学び始めたそうですが、学校が性に合わず何度も転校しています。14歳のとき、中学を中退して自分を支えてくれる父母や教育者らの力を借りて自学自習を始めます。19歳のときに、シリコンバレーでソフトウェア会社を起業した彼(女)は、トランスジェンダーとしてカミングアウトしている世界で唯一の大臣でもあります。

彼を登用した政府の本音はわかりませんが、少なくともビニール袋の有料化で2酸化炭素が削減できると言う若手大臣の登用とは筋が違うと思います。そして、この本が、不登校でも出世できるというような単純な立身出世本ではないことは確かです。

巨大中国に飲み込まれようとしている台湾が生き残るには、強権的なものから決別して民主主義を旗印に掲げる必要があります。台湾は民主主義のシンボルとしてオードリー・タンを登場させているようにも思えます。教育の自由は民主国家の存続と市民の自由の上に成り立ちます。「自分が過去に受けた仕打ちに対して、なにか未来に向けて貢献」したいというメッセージは広く台湾の若者に広がっているはずです。

小中学校の不登校児童が過去最多の19万人超え!コロナで学校に行けなくなった

小中学校の不登校児童が過去最多の19万人超え!コロナで学校に行けなくなった子どもたちのSOS

01/21 【週刊女性PRIME】

長引くコロナ禍のもと、子どもたちが強いストレスにさらされている。その結果、いじめや自殺として異変が現れるケースもあれば、不登校という形でSOSが出される場合もある。文部科学省によると、全国の小中学校で不登校の児童生徒数は2020年度に19万人を超え、過去最多となった(国立、私立を含む)。

不登校が増えた背景として、’20年3月の一斉休校措置から続く影響を指摘するのは、NPO法人『フリースペースたまりば』の代表・西野博之さんだ。神奈川県川崎市を拠点に、コロナ以前から子どもたちに安心して過ごせる居場所を提供してきた。

「最初に緊急事態宣言が出された’20年4月当時、学校が閉まっていました。そこへ新入学や進級の時期が重なった。一斉休校が明けてからも、友達がいないという子どもが少なくない。子どもたちにとってみれば学校がおもしろくないんです。常にマスクをしなければならず、声を出してはいけないと注意される。給食も黙って食べる“黙食”。友達と遊ぶときも、触れ合えません」(西野さん、以下同)

外出自粛が叫ばれるなかで家庭環境も様変わりした。

リモートワークで増えた夫婦ゲンカ
「リモートワークになったことで父親が家にいるようになりました。もともと不登校の子がいる家庭では、父親が仕事に行く中で不登校を気づかれずにすんだ。ところが父親が家にいると“朝、起きない”“ゲームばかりしている”子どもの姿を見て、“おまえの態度は何だ”と怒鳴ったりするわけです。さらに矛先を母親に向け、“おまえが甘やかすからだ”などと罵倒するようなケースが増えました」

混乱し、不安を感じていたのは大人たちも同じ。飲食業や宿泊業を中心に失職したり、休業に追い込まれた人もいた。親のストレスがたまると家庭内で緊張が走りやすい。

「子ども1人ではなかなか勉強しないし、オンライン授業への対応は難しいので、親が隣にいることが多く、気が抜けない。もっと“勉強しろ”と言われる。暴言を吐かれたり、手を出されることもある。そのためコロナ禍であっても、フリースペースを閉めないことにしたんです」

子どもを置いて仕事に行けない
実際、一斉休校要請が出された翌日、若い母親からこんな電話があった。

「子どもを置いて仕事に行けない。子どもとずっと一緒で、しかも3食を作らなければならない。イラついて、手が出てしまいそうだ、と」

子どもの目の前で夫婦ゲンカをすることは『面前DV』という心理的虐待にあたり、児童相談所に保護されることもある。DVまでいかなくても、「夫との関係がうまくいかない」という女性たちの相談が増えているそうだ。

厚生労働省によると、’20年度の虐待対応件数は20万5029件と前年度比で5・8%増加。初めて20万件を超え、過去最多を記録した。

「夫婦ゲンカが激しさを増し、警察が介入するケースが増えていると聞いています。こうした中で、子どもの安全を確保するための一時保護が増え、保護所がいっぱいになってしまっているのが現状です」

不登校の子どもたちを取り巻く環境にも変化が生じている。フリースクールなどに通うことで、出席扱いになるケースも増えてきた。自宅でのタブレット学習も、出席と同様にみなす学校がある。

「校長裁量ですが、出席日数が不足していても中学を卒業できるケースがほとんどです。その後、通信制高校やサポート校へ進学する子どもがとても増えました。ただし、本人がその気になっていないのに、親が先回りして手続きをあせらないことが大事。親の言いなりで入った高校を中退したり、卒業後に再びひきこもる相談が急増しています」

一方、学校現場で子どもたちと日々対峙する教師は、どう感じているのだろうか。

「マスクを着用しているので、子ども同士も、子どもと先生の間でも、相手がどんな表情をし、感情を出しているのかわかり合えないんです」

そう話すのは、小学校で講師として授業を行う渡邉信二さんだ。長年にわたり公立小学校の教諭を務めたほか、教育委員会でいじめ自殺の調査に関わった経験も持つ。

渡邉さんは、「コロナ禍で不登校が増えるのは当たり前」と言い切る。

「コロナ疲れで週に何度か学校を休むケースが目立ちます。ストレスが強まり、いじめを生むこともあります。私が関わった学校でもいじめがあり、対応に追われた担任は休職しました」(渡邉さん、以下同)

文科省の定義によると、不登校とは、年間30日以上の欠席をした児童や生徒(病気や経済的理由を除く)を指す。前述のとおり不登校の数は過去最多を更新、今では1クラスに1人以上、不登校の子どもがいる状態だ。

「それだけ子どもたちは疲れているし、コロナ禍で不安を覚えています。しかも、不登校になると、学校側は再登校させることばかりを考えてしまいがちです。問題を担任や学年任せにせず、学校として対応しないといけません」

現在、渡邉さんはいくつかの学校を回って講演をしたり、講師として小学校で授業も行ったりしている。マスクで表情が隠れ、コミュニケーションが難しい状況であっても、さまざまな工夫を凝らす。

「例えば、子どもたちは机を教卓のほうに向けて授業を受けることが多いのですが、私は子ども同士が対話をしながら授業を行うのが好きで、以前は円形に机を配置していました。現在は感染対策のためV字形に机を並べ、ほかの子の表情や息遣いがわかるようにしています」

高校の不登校は約4万人
相手の表情がわかると、子どもたちは活発に発言し始めるという。コロナ以前からの取り組みが今に生きている。

「教師が精神的な距離感や関係性を縮めようとしたら、子どもたちにはそれが伝わります」

コロナ禍では教師と子どもたちの会話の量も減っている。そこで渡邉さんはノートを有効活用する。話したいことや伝えたいことを、子どもたちに書いてもらうのだ。

「ノートを読み、子ども各自に合わせたアドバイスを書きます。どうやって1対1の関係をつくっていくのかが重要なんです。大変ですが、時間をかけます。ノートに1行しか書かれていなくても、子どもたちから読み取ったことをコメントとして書く。すると、2行に増えたりしますね」

高校の状況はどうか。文科省によると、不登校は4万3051人。特に単位制の高校で1万4175人と多い。都内を中心に、高校で出張授業や相談を行うNPO法人『若者就職支援協会』理事長の黒沢一樹さんはこう話す。

「いまやオンラインで授業を受けることがスタンダードになりつつあります。そのためなのか、友達同士での会話が減っています。さらに文化祭や体育祭などの行事を中止したり、規模を縮小して開催する高校が多かった。コロナ感染拡大で学校に行けない期間が長かったことと、みんなで一緒に何かをする体験がないまま1年が過ぎたことが不登校に影響しているのではないでしょうか」

黒沢さんは「生徒がリアルにコミュニケーションできる場が減り、孤立しやすくなっている」として、不登校や中退対策の必要性を強調する。子どもの発するSOSをどう受け止め、つらい状況を改善させるのか、大人たちの真剣さが問われている。

取材・文/渋井哲也 ジャーナリスト。長野日報を経てフリー。若者の生きづらさ、自殺、いじめ、虐待問題などを中心に取材を重ねている。『学校が子どもを殺すとき』(論創社)ほか著書多数
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一昨日は出さないと言っていたまん防ですが、昨日の感染者の増え方に腰を抜かした知事は今日にも、京都大阪兵庫で政府に要請すると言います。どんな措置をしようと増える時は増え、減る時は減るというのがこれまでの経過で明らかになっていますので感染抑制の効果は期待できません。もう、蔓延しているのだから今更防止しても意味がないという人も多いです。これを措置することで、自粛に応じ店を閉めた業者への収入補填などが政府資金で可能になると言いますが、飲食店に食材を供給する業者も周辺で店を開く飲食以外の店にも支援はないままです。

大人は、腹をくくって明けない夜はないと思えば済むのかもしれませんが、子どもは違います。その年齢にしかないイベント、その学年でしかやらない取組、子ども時代にしか楽しめない集団遊びや友達とのやり取りがあります。これらは、全て子どもの精神発達に大きな影響を与えていきます。表情のわからないマスクで対応する子どものコミュニケーションがどれほど疲れるか、少し考えれば想像がつきそうなことですが、政府はそんなことより風邪程度の感染が広がる事の方が重大なのです。半年後に迫っている選挙でやるべきことをやらなかったと言われるのが怖くて仕方がないのです。

日本は世界の中で感染率も重症率も極めて低いのに未だに欧米と同じような措置を追いかけています。世界はもう1年も前から自粛から踏み出して景気対策に切り替え、日本を残して多くの先進国は景気を回復させています。実現するはずのないゼロコロナを求めて経済を停滞させ子どもの発達の場を奪っているのに、新型コロナと「しっかり」向き合っていくと大臣は言います。変化に対応できずに決断が遅く、一度決めたら変えられない癖、我が国の稚拙な政治は戦前と何も変わっていないではないかと言われても仕方がないような気がします。願わくば子どもたちが受けたダメージが最小限になるように私たちができることは、毎日戸外で走り回って遊ぶ支援を大事にしていくしかありません。

変わる部活動 学校単位から地域クラブに 指導内容も充実

変わる部活動 学校単位から地域クラブに 指導内容も充実

2022/1/25 【産経新聞】

中学校の部活動が変わり始めている。これまで教師が休日返上で指導してきた学校単位の部活動から地域単位の「地域クラブ」に変わりつつあるからだ。山形県天童市では昨年11月、市立中学4校の野球部が合同で「天童市中学生軟式野球クラブ(天童軟式野球クラブ)」をスタート。指導する町田真裕(まさひろ)代表(55)は「少子化、教師の働き方改革から生まれた新しい部活動の形。野球を通して人間育成を目指す場にしていきたい」と話す。

4中学が一つに
昨年11月、天童市立第二中学校のグラウンドには、市立の全4中学校の野球部員45人が集まった。指導者は町田代表を含めて10人。ユニホームはバラバラだが、活気のある声が一斉に響く。

夏の県大会後、3年生が引退し、各校の部員は9~14人になった。部内での練習試合はおろか、連携プレーの練習もおぼつかない状況になった。「一番少ない天童一中の部員は9人。硬式野球にいく生徒もいるが、これでは中学校で野球ができなくなる」

危機感から町田代表が中心となり天童市野球連盟などと調整し、4校の野球部を合わせた同クラブを始動させた。毎週日曜に4校の部員が1校に集まり、合同で練習する。校庭を雪が覆うようになってからは、体育館や武道場で練習を続けている。

人数が40人規模になったことで練習の幅が広がった。チーム編成が容易になり対抗戦ができるようになった。試合を運営するため、部員はルールを勉強し直し、塁審の目線を学んだ。天童市立一中1年の小座間綾士(あやと)さん(13)は「審判講習は難しかったけど、勉強になった。これからも野球をしたい」という。

幅広い指導者
同クラブには、高校野球で活躍した人ばかりでなく大学野球経験者や陸上競技経験者もいる。陸上競技経験者の天童市立一中の教諭、鈴木友輔コーチ(36)は「野球は総合スポーツ。私は走塁面で指導できますから」という。

「野球の方程式」と書いたホワイトボードを持って指導する大学野球経験者の今田(こんた)昌揮コーチ(40)は、野球と他の球技との違いを部員に丁寧に説明する。今田コーチは「試合に勝つために教えていますが勝利至上主義ではない。むしろ『勝利志向主義』です」とほほ笑む。

練習後、大勢の部員の前で「あの時のプレーだけど、どうすればよかったのかな」と今田コーチが質問する。手を上げた部員の答えに「そうだっ、その通り。それでいいんだ」と部員自らが考え気付いたことをたたえる。

部活動の意味
教師の「働き方改革」を進めるため、文科省は令和2年、「5年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を図る」との方針を示した。スポーツ庁は昨年10月、休日の部活動の外部委託に向けた検討を始めている。町田代表には最近、陸上やバレ―ボールなど他部や他校からも問い合わせが相次いでいる。地域クラブの取り組みが必要なのは、野球だけではないからだ。

同クラブでは雪解けを待って3月末にも、クラブ内でリーグ戦を始める予定だ。できるだけ全員が試合に出られるように工夫する。将来的には全国中学校軟式野球大会の出場も目指す。「天童市の野球をやりたい中学生に野球を続けさせたいという思いで作ったクラブ。互いに競い合い、練習試合を重ねていけば技術もきっと向上していく。野球を通して学んだことを生かせる人間になってほしいんです」と町田代表は言う。(柏崎幸三)

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前に元陸上選手の為末大さんの記事で、教師にとっても生徒にとっても地域クラブの方が主体性が高まると言う内容を掲載しました【部活動の地域移行…為末大さんが推す2つの理由:2021/12/02】。先日、教員に一律にクラブ指導を命じるのは違法だという裁判も始まりましたが、いやいや顧問をさせられている教師のもとで活動する生徒も迷惑な話です。今回は、部員が集まらない学校でやるよりみんながあちこちから集まって入部し、少年スポーツ文化を維持したいと言う強い思いを持った人たちが運営するクラブの記事です。

広いエリアをカバーすれば優秀な選手もコーチも集めやすいです。もちろん、優秀なコーチは短時間でも指導成果を上げられますし、指導される生徒も的を射たアドバイスがもらえます。クラブと学校と切り離すことで、だらだらと休みの日も一日中、学校の中でクラブをするのではなく、スポーツも遊びも勉強も、合理的に切り替える生活が期待できるのではないでしょうか。何より、自分がやりたくて集まってきていると言う点で、先の裁判の話のような、やりたくないのに職場の同調圧力でさせられている指導者はいなくなります。生徒も、学校内の関係性を引きずらずに参加したり辞めたりできるのは精神衛生上良いことです。

また、学校文化からクラブ指導のウェイトが軽くなることで、教科指導以外のところで教員能力が評価される事もなくなります。生徒指導も然りで、強いクラブの顧問が生徒指導部長を引き受けるという本末転倒な人事も減少していきます。学校職員の労働時間を減らすことが目的の地域クラブへの移行ですが、実は古い学校体質や教育体質を変えていくには最も近道の手段かも知れません。

障害ある子どもにオンライン家庭教師を 津田塾大プロジェクトがCF

障害ある子どもにオンライン家庭教師を 津田塾大プロジェクトがCF

2022年1月26日 【朝日新聞】

障害や学びにくさを抱えた子どもたちの学習を支援する津田塾大学(東京都小平市)のプロジェクトが、無料で利用できる「オンライン家庭教師」の実現を新たにめざしている。4月の本格的な開始に向け、クラウドファンディング(CF)で運営費を募っている。

準備を進めているのは、同大インクルーシブ教育支援室の柴田邦臣教授(48)が代表を務める「学びの危機プロジェクト」(通称・まなキキ)。2020年春から、コロナ禍の中で学習意欲がそがれたり、急速に進んだオンライン学習についていけなかったりする子どもたちに、ネット上の教材などを紹介するサイトを開設(https://learningcrisis.net/別ウインドウで開きます)している。有志の学生や院生らによる活用方法のガイドもあり、平易に、楽しく取り組めるように工夫してきた。

オンライン家庭教師を企画したのは、同大院生の浜松若葉さん(26)を中心とする大学生たち。子どもたちとオンラインでつながって学びを支えると同時に、コロナ禍で教える経験を積む場を失った学生たちにその機会をつくり、運営費からアルバイト代も出す計画という。

利用者として想定するのは、発達障害や学習障害があったり、不登校など学びにくさを抱えていたりする小学1年~中学3年生。学習を支える学生は、同大生を中心に他大学からも募集し、4月の本格的なサービス開始を予定している。

浜松さんは「障害のある子どもたちの学びを守るという趣旨に賛同いただけたらうれしい」と話す。

CFでは、障害者らの就労支援をする沖縄県の自家焙煎(ばいせん)コーヒーを主な返礼品に選んだ。CFへの出資を通して、子どもと学生、障害者の就労支援と幅広い社会貢献につながる形だ。

CF(https://www.makuake.com/project/manakiki/別ウインドウで開きます)は2月27日まで。問い合わせは同プロジェクト(050・6878・2585)。(井上恵一朗)

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一般家庭で学習塾に費やされる費用は、2018年の文科省調査では公立小学校在籍児童の平均で13万6000円です。約4割の家庭が月1万円を出費しています。公立中学校在籍生徒の平均では29万3000円。約7割の家庭が月2万5千円を出費します。もちろん発達障害の子どもたちもこの中に入っているはずですが、集団での学習では成果が上がりにくい人は家庭教師を使う家庭もあります。

しかし、そもそも学習障害があったり不注意や興味の限局などの問題があって、その障害特性を教える側が知っていないと時間の無駄になりお互いに嫌な気分になってしまう場合も少なくありません。このサービスがどれほどの支援の質を保障するかは分からないですが、少なくとも個別対応でオーダーメイドの対応をしてくれるなら素晴らしいです。オンラインでの家庭教師は増えましたし、発達障害に対応すると言うふれこみの塾もありますが、その実情はよくわかってはいません。

クラウドファンディングで資金を集め、利用者には無償で対応するとのことです。ただ、学生も経験の場として位置付けるので、必ずしもプロフェッショナルな支援ではなくその支援の質は今のところ分かりません。ただ、少なくとも先輩たちが積み上げてきたこれまでの経験を生かして学生が中心になってやろうとしていることはとても良いことだと思います。

学生の家庭教師アルバイト賃金は平均時給1800円くらいですが、返礼品のコーヒー代金も考えるとバイト料はもっと安いのだと思いますが、CFは目標額の倍以上集まっています。これで何名の志のある学生支援者を集め、延べ何時間の支援を考えているのか分かりませんが、面白いプロジェクトになりそうです。失敗は恐れないで、なんでもやってみたらいいと思います。取組んだ時間は生徒も学生もきっと貴重な財産になるはずです。

〈独自〉濃厚接触は学校判断、休校減へ 大阪府教育庁

〈独自〉濃厚接触は学校判断、休校減へ 大阪府教育庁

2022/1/26 【産経新聞】

新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大を受け、大阪府教育庁は26日、府立学校の生徒らの感染が確認された際、濃厚接触者の判断を保健所ではなく学校で行う対応に切り替えることを決め、各学校に通知した。保健所の判断を待つための休校措置を減らし、学校活動を継続しやすくする。27日から運用する。

従来は感染が確認されると、学校で濃厚接触の可能性のある生徒や教員を調べて保健所に報告した後、保健所が濃厚接触者を特定するまでは休校としていた。保健所によっては特定に時間がかかるほか、明らかに濃厚接触者がいない場合でも、保健所の判定まで休校しなければならなかった。このために何度も休校を繰り返す学校もあり、現場から改善を求める声が上がっていた。

27日からは、陽性者に加え、学校が濃厚接触者と特定した生徒のみを出席停止とした上で、休校せずに学校活動を継続する。その上で、直近3日間で陽性者と濃厚接触者が学級の15%以上に及ぶ場合は学級閉鎖▽複数の学級が閉鎖するなど、学年内で感染が広がっている可能性が高い場合は学年閉鎖▽学校内で感染が広がっている可能性が高い場合は臨時休校-とする。府立学校だけでなく、府内各市町村や私立学校にも参考として通知する。

府教育庁の担当者は「生徒の行動を一番把握しているのは学校。各学校はこれまでの保健所とのやりとりで、濃厚接触の判断のポイントもよく分かっている」としている。(藤井沙織)

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感染者より長い濃厚接触者の待機期間「なくすことも検討を」

2022/1/26 【産経新聞】

新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」が急拡大する中、感染者の濃厚接触者の待機期間について、見直しを求める声が強まっている。感染者と最後に接触したタイミングによっては、感染者の療養期間より長い最大20日間の隔離が求められるためだ。医療や介護、保育など社会機能の維持が困難になっているとして、大阪府の吉村洋文知事は26日、待機措置そのものの撤廃も検討すべきだとの考えを示した。

最大20日の隔離
厚生労働省によると、感染者は発症翌日から原則10日目まで療養。最後の3日間で回復していれば10日目をもって解除される。

一方、濃厚接触者は感染者の陽性判明後に自宅待機となり、感染者との最終接触後10日間の隔離が原則。例外として医療従事者は毎日の陰性確認を条件に出勤でき、医療従事者以外のエッセンシャルワーカー(社会機能維持者)は最終接触後6日目にPCR検査で陰性となれば解除される。

全国の新規感染者は連日、過去最多を更新し、濃厚接触者も膨大な数に上る。保育所の休園が相次ぐなどして社会活動の継続は困難になりつつある。岸田文雄首相は25日の衆院予算委員会で「科学的な知見を尊重し、社会経済活動を回す観点から待機期間の短縮を検討することが大事だ」と述べたが、吉村氏は26日、「濃厚接触者が仕事に行けず、医療機関や高齢者施設で人員が不足している。早く決断してもらいたい」と危機感をあらわにした。

府内では療養先を調整中の事例を含め、自宅待機患者が26日時点で5万6千人を超える。吉村氏は「数が増えてきたときは、濃厚接触者の待機期間をなくすことも考えるべきだ。緊急の対応として医療や介護、保育(従事者)は仕事ができる環境(を整えること)が必要だ」と述べた。

子が感染、親の待機は・・・
現行の新型コロナウイルス対策上、感染者と濃厚接触した人は検査での陰性確認を条件に、最後の接触から最短で6日目をもって自宅待機解除となる。感染者の陽性判明直後に接触を断てば早期の出勤も可能となるが、子供が感染した場合、同居する親の待機期間は長期化を余儀なくされるケースが少なくない。

「感染した娘より、濃厚接触者の親のほうが待機期間が長いなんて」。大阪市福島区の男性会社員(44)はこう憤る。

男性は妻と小学3年の長女(9)、保育園児の次女(5)の4人暮らし。17日朝に長女と次女が39度台の高熱を出し、近くの診療所の検査で陽性が判明。担当医から家族全員が自宅で待機し、保健所の連絡を待つよう指示された。

夫妻はともにエッセンシャルワーカー。娘2人は順調に回復すれば27日に療養解除、翌28日から学校や保育園へ通える。だが濃厚接触者である夫妻は27日を最終接触日として、さらに6日間の待機を求められる。2月2日の陰性確認後、翌3日に出勤できる計算だ。

区役所からは、男性か妻のいずれかが娘2人と厳密に部屋を分けて生活すれば最終接触日を前倒しできると助言された。しかし男性は「小さい子は関係なく部屋に入ってくるし、狭い家での隔離にどれだけの意味があるのか。感染したほうが早く社会復帰できる運用は、ちぐはぐに感じる」と疑問を呈す。

その後、待機を続けた男性は今月21日にのどの痛みなどを感じ、翌22日に陽性者となった。2月1日から出勤できることになり、結果的に復帰の見通しは早まった。

社会機能まひのおそれ
なぜ濃厚接触者の待機期間は感染者より長く設定されているのか。大阪健康安全基盤研究所(大安研)によると、感染者は発症後10日目までは他人にうつす可能性が捨てきれないため、濃厚接触者は感染者との最終接触日を起点にさらなる隔離が必要になるという。

大安研の朝野(ともの)和典理事長は「感染者数がインフルエンザ並みに増えており、現行の運用では社会機能がまひする」と指摘し、重症化しにくい若者と高齢者らリスクの高い人とで措置内容を変えるなど、メリハリのある対応が必要との見解を示した。

濃厚接触した医療従事者は毎日のPCR検査で陰性となれば出勤可能だが、大阪市立総合医療センター感染症内科の白野倫徳(しらの・みちのり)副部長は「検査に時間がかかり、現実的に難しい」と話し、3回目のワクチン接種を終えた医療従事者は隔離の対象外とすべきだとした。

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子どもが濃厚接触者として特定されたとき、家族全員が「濃厚接触者の濃厚接触者」だから園や学校に来てくれるなという管理者の判断は間違いだと、昨日ブログに書きました。二つ目の記事は感染したほうが濃厚接触者より復帰が早くなると言う矛盾を書いていますが、保健所の言う筋は通っているのでまだましです。一つ目の記事で、吉村知事が濃厚接触者が多すぎて保健所業務の肝心なところが止まってしまうので、学校で判断すれば済むことは学校に任せようと合理化したのは理解できます。しかし、学校に判断を任せなくとも先のような保健所でもできない規制を「協力」の名のもとに強いている様子を見ていると少し不安になります。

二つ目の記事は、エッセンシャルワーカーが濃厚接触者になるたびに休んでいては社会機能が止まってしまうという記事です。首相は「検討する」ばかりを繰り返し、混乱の根本になっている感染症類型の政令変更を行わないまま、小出しに規制を緩めるだけなので、このままで日本社会は大丈夫かと訝る人が増えているという話です。インフルエンザ相当の5類に引き下げて、ワクチン接種の推進だけに力を注げば事態は一気に改善できます。トップが間違いを正さないのですから下々の間違った判断が正されることはありません。

そんな、大人の話の中で、子どもの教育権が理不尽な「協力」の名のもとに奪われているのです。そしてこの間違いはだれも責任を取りません。「正義」のためにやったのだから、免罪されていいという理屈です。しかし、科学的でないことは正義ではありません。感染力が強いという事は、無症状の感染者が多いと言うことです。感染感受性のある人は症状が出ますが、感染感受性の弱い人は症状が出ません。しかし、症状がなくても感染させることはできます。こうして、感染感受性の高い人だけ隔離しても症状のない人は隔離しないのでどこまでも感染は増え続けると言うのが今回の感染急上昇の仕組みです。中国のように無症状の人も全て検査し陽性者を全て隔離するなら話は別ですが、社会機能がマヒする事には目をつぶらなければなりません。

ドキュメンタリー映画「帆花(ほのか)」 重い障害児と家族の日常

ドキュメンタリー映画「帆花(ほのか)」 重い障害児と家族の日常

2022年1月28日 【中日新聞】

生後すぐに「脳死に近い状態」と告げられた西村帆花さん(14)。人工呼吸器やたんの吸引などの医療的ケアを受けながら、さいたま市の自宅で両親と暮らしている。「帆花がいること自体が喜び。生活は幸せに満ちている」と母親の理佐さん(45)。そんな家族の日常を描いたドキュメンタリー映画「帆花」が、全国で順次公開されている。(佐橋大)

今月中旬、理佐さんがオンラインで取材に答えてくれた。画面に映る理佐さんの後ろで、人工呼吸器を付けた帆花さんが横になっている。ベッドの周りにはたくさんのぬいぐるみも。ヘルパーがせわしなく帆花さんのたんを吸引したり、体を拭いたりする。吸引は多いときで約十分おきに必要という。

「一日は、あっという間。その間に、帆花はサチュレーション(血中の酸素飽和度)のアラームを鳴らしたり、表情を変えたりして、いろいろなことを伝えてくれる。お互いに分かり合おうとするコミュニケーションの広がりが楽しい」。理佐さんはほほ笑む。

帆花さんは生後九カ月から自宅で生活してきた。現在は障害福祉サービスにより、三人のヘルパーが交代で週に約四十時間、帆花さんのケアに対応。残りの百二十時間以上は、理佐さんと夫の秀勝さん(45)が分担している。週三日は帆花さんが在籍する特別支援学校の先生が訪れ、一回百分の授業を実施。別の場所で訪問教育を受けている友達とオンラインを通して一緒に学習することも。帆花さんは週二回の訪問入浴サービスや、体を動かすリハビリも受けている。

厚生労働省によると、日常的にたんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な子どもは推計約二万人。昨年九月に親の負担を減らすため、医療的ケア児が通う学校に看護師を置くことなどを自治体などの責務とする医療的ケア児支援法が施行された。

しかし、帆花さんのような重い障害児のケアは誰でも簡単にできるわけではなく、ヘルパーや看護師など支える担い手が不足している。帆花さんの場合、熟練したヘルパーでないと、帆花さんが求めることが正しく理解できず、逆に体調を崩してしまうこともある。そのため、短期入所など施設でのサービスは使えない状態という。

「医療的ケアが必要な子も一人一人違う。その子がどう生きていくかという子ども側の視点で考えて、ケアに関わってくれる人が増えてほしい」と理佐さん。「帆花も一人の子ども。自分の望む生き方を普通に選べ、実現できるような世の中になればいい」と願う。

命の喜び かみ締めて
映画では、帆花さんが三歳の時から特別支援学校小学部に入学するまでの家族の歩みが映し出される。両親は、言葉を発しない帆花さんの表情などから“思い”を感じ取り、帆花さんを喜ばせたいとプレゼントを買い、動物園に連れて行き、誕生日を祝う。

理佐さんは「帆花がいてくれることで生まれる出会い、さまざまな経験を共有できる喜びもある。『いのちがある』ということのありがたさを常に感じ、ささやかな幸せを毎日かみ締めている」と話す。

※映画「帆花」は72分で、東京都中野区のポレポレ東中野で上映中。名古屋市千種区の名古屋シネマテークでは2月5~11日に公開予定。その他の上映スケジュールは映画の公式サイトへ。

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支援学校の訪問教育は、移動させることが生命のリスクになる子どもたちの教育も担っています。在宅の子どもの場合、訪問してくる教員と在宅ケアをする看護師とヘルパーくらいしか外部の人との接触はありません。見過ごされがちなのは介護する家族も子どもから離れる事が出来ないので、外部の人との接触は限定されています。まして、感染症が流行し始めると感染症が命取りになる子どもたちも多いので、訪問する人も極力制限せざるを得ません。もちろん、家族も同じです。

そんな中で、訪問教育の教員は早い時期(10年以上前)からリモートで学校の教室と子どもと家族をつないできました。今、感染症でリモート授業が当たり前になることで、様々な子どもと交流する時間は逆に増えているとも言えます。教室のモニターに映し出される訪問を受ける子どもや家族の姿を多くの人が知るようになったとは言え、まだまだ一般には知られてはいません。コロナ感染が収束して大勢で鑑賞できるようになって、この映画上映が成功することを祈ります。

ドキュメンタリー映画『帆花』

京都みなみ会館 2/25(金)~

校休園で仕事休む保護者の支援相談窓口 体制強化検討 厚労省

校休園で仕事休む保護者の支援相談窓口 体制強化検討 厚労省

2022年1月28日 【NHK】

新型コロナウイルスによる休校や休園で仕事を休まざるをえない保護者を支援する助成金について、厚生労働省は電話相談の窓口を設置しています。しかし、感染の急拡大で相談が急増し、時間帯によってはつながりにくくなっていて、厚生労働省は体制の強化を検討しています。

厚生労働省は、新型コロナウイルスによる学校の休校や保育所の休園で仕事を休まざるをえない保護者を支援しようと、「小学校休業等対応助成金」を設けています。助成金は原則、企業が労働局に申請し、法律上の年次有給休暇とは別に有給の休暇を所得させた場合に賃金相当額を企業に支給します。

厚生労働省は、電話相談の窓口を設置し相談を受け付けていますが、感染の急拡大で休校や休園が相次ぎ相談も急増していることから時間帯によってはつながりにくくなっているということです。このため、ダイヤル回線を増やすなどの体制強化を検討しているほか、多く寄せられている質問や相談について、その回答などをLINEで確認できるようにしました。

また厚生労働省によりますと、保護者から助成金を利用したいと企業に相談しても「手続きが面倒だ」などとして申請を拒まれたという相談も寄せられているということです。企業が申請をしない場合、労働局が企業に直接、申請を促しそれでも応じない時は、個人で申請することができます。

厚生労働省は、労働局に設置された相談窓口などに相談してほしいと呼びかけるとともに、ホームページでも申請の方法などの情報を発信しています。

「小学校休業等対応助成金」とは
「小学校休業等対応助成金」は、労働基準法上の年次有給休暇とは別に有給の休暇を取得させた企業に、1人当たり
▽1月と2月は一日1万1000円を上限に
▽「まん延防止等重点措置」の対象地域では
一日1万5000円を上限に支給されます。

非正規雇用で働く人も対象です。
厚生労働省は全国の労働局に「特別相談窓口」を設置して、対応しているほか、電話相談の窓口を設けて相談を受け付けています。

電話相談の窓口は午前9時から午後9時までで、電話番号は「0120-60-3999」です。

“登園自粛”でも利用可
厚生労働省によりますと、「小学校休業等対応助成金」は保育園などが休園しなくても、行政や施設から登園の自粛を求められた場合も利用できるということです。対象には保育園のほかにも放課後児童クラブや放課後等デイサービスなども含まれます。ただ、保護者の判断で登園させなかった場合は助成金の対象になりません。

会社に相談しても「対応できない」の反応
保護者からは、助成金を利用したいと会社側に相談したところ、対応できないと言われたという声が聞かれます。

埼玉県に住む40代の女性は、パート従業員として事務の仕事をしています。夫が単身赴任のため、6歳と3歳の子どもの子育てや家事を1人でしています。感染の急拡大で、3歳の子どもが通う保育園は、今週に入ってから新型コロナウイルスの感染者が出たため休園が続いています。

離れて暮らす両親は、介護施設に入っていて、子どもを預けることができず、パートの仕事を休まざるをえなくなりました。女性が勤務先の社長に状況を説明し、助成金を利用したいと話したところ、労働基準法上の年次有給休暇を取得するように言われたといいます。

女性は、「“休まれると困る”とまず言われ、“助成金の話は後にしてくれ、出勤してから言って”という話しでした。忙しい時期で従業員が少ない会社なので、出勤できる人が減ってしまうことで頭がいっぱいだったのかもしれませんが、制度のことを知らないと感じました」と話していました。

保育園がいつ再開されるのか見通しもたっていないということで、「会社の言うように年次有給休暇を取得してしまうと、今後、何かあった時に休むことが難しくなってしまうと思います。6歳の子どもが通う幼稚園もいつ休園になるかわからないです。出勤できるようになったら会社に制度を利用したいと改めて伝えたいです」と話しています。

女性は、個人で労働局に申請はできるものの、最終的には会社が手続きをすることに変わりはなく制度を利用できるのかわからないと感じています。女性は、「義務までは難しいと思いますが、保護者の希望があれば企業が制度の申請の手続きをしなければならないということになれば制度が活用されると思います。制度がきちんと利用できるようになってほしい」と話していました。

また厚生労働省の電話相談の窓口については、「制度で聞きたいことがあり、何度も電話しましたが、つながりませんでした。問い合わせをしようとした企業がつながらないと申請をやめようということになってしまう可能性があるので改善してほしい」と話しています。

SNSには「労働局に連絡したらクビ」などの投稿も
「小学校休業等対応助成金」について、SNS上でも「助成金を会社にお願いしたら申請が面倒くさいって逆に怒られた」などといった投稿が相次いでいます。助成金は、個人でも労働局に申請できますが、その場合も出勤状況や直近の給与の確認などのために、労働局から企業に問い合わせがあります。

SNS上では、「労働局に連絡したらクビにする的な事を言われました。有給も無くお金がありません。助けて」といった切実な投稿もありました。実際に助成金を利用したいと会社に伝えたところ、対応が難しいと言われたという人に話を聞きました。

40代の介護福祉士の男性は、5歳の息子と2歳の娘を保育園に預けて、妻と共働きをしています。保育園で陽性者が確認されたために来月3日まで休園になり、妻と交代で仕事を休まざるをえなくなったということです。

男性は勤務先に相談したところ、「同じように休園になっても出勤している人がいる中で、助成金制度を使うと不公平になるので使わない」と言われたということです。また、名古屋市の30代のシングルマザーの女性は、小学校2年生の娘のクラスで感染者が出たために学級閉鎖になり、会社を休まざるをえなくなりました。会社に相談したところ、労働基準法上の年次有給休暇を取得するように求められ、「拒否するなら欠勤扱いにする」と言われたといいます。

女性は、「休校などで同様に休まざるをえなくなったら、有給休暇が足りなくなるかもしれないと怖さを感じています。困っている保護者が制度を使えるように、利用方法の周知と企業の理解を進めてほしいです」と話していました。日本労働弁護団「支援必要とする保護者に届くように」助成金を利用できないという保護者からの声が相次いでいることを受け、労働問題に詳しい弁護士でつくる「日本労働弁護団」は、「支援を必要とする保護者に届くようにすべきだ」と指摘しています。

弁護団は、今月19日に「小学校休業等対応助成金」の個人申請の拡充を求める声明を発表し、厚生労働省に提出したということです。この制度では、有給の休暇を取るために助成金を利用したい保護者が企業に申請の手続きを断られた場合に労働局に直接相談したうえで、労働局が企業に利用を促し、それでも拒まれた場合に個人の申請ができることになっています。

保護者が、個人の申請を行う時には企業に必要な書類に署名してもらい、休んだことを確認できる書類などを出してもらう必要があるとしています。弁護団の声明では、申請した保護者はこの間、労働基準法上の年次有給休暇を取ることができず、経済的な負担が大きいため個人で申請できるケースは極めて少ないとみられるとしています。

そのうえで、企業の署名を要件とすべきではなく、休業を確認できる書類も状況に応じて、タイムカードなども認めると個人申請の要件を緩和すべきだと指摘しています。「日本労働弁護団」の長谷川悠美弁護士は、「制度は休校や休園で生活がままならない保護者を救うものなのに企業がそれに対応できていないという実態がある。保護者が簡単に申請できるようにしてほしい。企業に申請を断られるケースがあれば労働弁護団に相談してほしい」と話していました。

「日本労働弁護団」が設置している窓口では
▽月曜日、火曜日、木曜日は午後3時から午後5時まで
▽土曜日は午後1時から午後3時まで
無料で電話相談を受け付けています。
電話番号は「03-3251-5363」です。
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非正規職員にも有給休暇は条件によって付与されます。子育てしながらのパート労働で多い1週間の所定労働時間が30時間未満で、1週間の所定労働日数が4日の場合なら半年たてば7日間の有給休暇が付与されます。しかし、パートの立場で有給休暇を申請する人は実際には少ないです。

急にシフトに穴を開けたのに有休までは申請しにくいという心理的な抵抗があります。会社も申告もないのに敢えて有給を取るように言いません。こうした悪しき慣習もあって、今回の制度をわざわざ会社にお願いして申請する人は非正規雇用の場合言いにくい人が多いのは想像がつきます。

ただ、会社にしてみれば、子どものコロナ休校でパートが休むときは国から助成金が出るのですから会社の自腹を切るよりは有利なはずですが、一人数万円以下の事であれこれ事務量が増えるくらいなら有給休暇にして自腹を切った方がましという感覚なのでしょう。しかし、労働者側にしてみれば、コロナだけで少ない有給休暇を取得してしまえばもしもの時に有給で休めなくなるのも困ります。

原因の元を作っているのは、決められない変えられない日本の政治の癖です。感染症法の分類を季節性インフルエンザ並みの「五類」に引き下げればインフルエンザ時と同じ2割感染が学級閉鎖や休校基準になるので少なくとも濃厚接触での自宅待機や少数感染者での休校はなくなります。

反対者は引き下げたら医療費の負担が生じて病院側も対応できないなど出来ない理由を並べます。しかし、そのために政治家がいるのですから、激変緩和として政府の医療費負担を始めとする財政支援は今のまま続けると政令を出せばいいのです。

それもできないなら、せめて事業者があれこれ悩まないように簡単な請求ですぐに仮払いする仕組みや、申請漏れを違反として罰金を科すか、申請したら企業が有利になるようなポイントを与える等手続きがスムースになる工夫をすれば良いのですが、これまた決められない変えられない政治の癖が前に立ちはだかります。

休校中のタブレット持ち帰り 徳島市の特別支援学校は実施せず 保護者「いつ使うのか」 県教委、対...

休校中のタブレット持ち帰り 徳島市の特別支援学校は実施せず 保護者「いつ使うのか」 県教委、対応のまずさ認める

1/30(日) 【徳島新聞】

新型コロナウイルス感染拡大に伴う臨時休校の間、自宅学習などに役立つとされるタブレット端末。県教委は児童生徒に端末を持ち帰らせるよう各学校に指示しているが、国府支援学校(徳島市)では情報モラル教育の不十分さなどを理由に実施していない。徳島新聞「あなたとともに~こちら特報班」には、「せっかくの端末なのに、いつ使うのか」と保護者から疑問の声が寄せられた。

保護者によると、国府支援学校では今月中旬、コロナ禍で3度目となる休校となった。子どもは外出もできずに自宅でだらだらと過ごしたという。保護者は「休校中、学校は子どもを放ったらかし。毎朝、学校と自宅をオンラインでつないで健康確認をしてもらうだけでも規則正しい生活を送れるのに」と憤る。

これに対し、橋本敦子校長は「インターネット上のトラブルや、家庭での情報通信技術(ICT)環境などクリアすべき問題も多く、検討を重ねている」と説明する。国府支援学校では以前、学校で撮影した写真を生徒が会員制交流サイト(SNS)に投稿するケースがあったという。

県内の学校で新型コロナ感染が相次いだことから、県教委は20日、臨時休校に備えてタブレット端末の持ち帰りを指導するよう県立学校長らに要請している。国府支援学校については「情報モラル教育が不十分だという理由で学校が慎重になり過ぎた」と対応のまずさを認める。

全児童生徒に1人1台の端末を配備する国のGIGAスクール構想は、新型コロナ感染拡大に伴って計画が前倒しされたという経緯がある。県内の他の特別支援学校では、端末を操作できない生徒を除いて持ち帰りが既に始まっている。

県教委特別支援教育課は、子どもたちにとって着替えなど学校でできたことを家庭で再現する「般化」は喜びにつながっており、端末は般化にぴったりのツールだとする。同課は「トラブルを恐れていては家庭学習にも遅れが生じる」と強調する。

この保護者から指摘を受け、国府支援学校は早速、保護者全員に「臨時休校中に自宅で取り組めることを考える」と通知した。近日中にもタブレット端末の持ち帰りを始めるという。保護者は「授業でも朝礼でもいいので、休校中も学校とつながることで子どもは安心できる」と、今後の学校の取り組みに期待を寄せた。

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みなさんの学校では学校配布のタブレットが有効に使われているでしょうか。特別支援学校の関係でタブレット利用が言われたのは、私たちが知る限り昨年の休校中に学校が作ったYoutube動画教材だけでした。リモートの授業がされたとは聞いていません。もちろん、小中学校の特支級も同じです。別にコロナの臨時休業を想定したからタブレットが配布されたわけではありませんが、それにしても配布完了してからもうすぐ1年です。

特支校や特支級なら人数も少ないですし、個別対応も簡単ですから、こちらのほうが担任さえその気になればリモート授業はすぐにでもできるはずです。超法規的に濃厚接触者の濃厚接触者まで出席辞退を求めるならせめてリモートで健康観察をしたり保護者に様子を聞くようなリモート対応があってもよさそうなものです。

記事の校長の弁明は言い訳にもなっていません。ネットトラブルは、ネットを使う限りつきものですし、家庭のネット環境が様々なことは配備前から分かっていたことです。しかし、全てが揃うまで何もしないのではないのではなく、できるところから実施し、実施しながら課題を解決するように指示を出せばいいのです。特別支援の教員は通常教育より人員が多いのですから、生徒が休んでいればICT教育に割く時間は容易にひねり出せます。

またSNSへの不適切利用への対策については、高等部の就学奨励費でタブレット購入が認められた何年も前から各地で取組まれていて、管理システムで解決できる事がわかっています。「学校が慎重になり過ぎた」のは、ICT教育がどうのこうのという以前に、学校管理職自身がデジタルツールを自在に使えないし経験すら少ないという、学校管理職自身のICTリテラシーが弱いことが原因です。知らないものを異常に警戒をするのは新型コロナの過剰対応と同種の心理作用です。それを知りながら、物だけ渡してあとは丸投げと言う自治体の教育行政の姿勢にも問題があります。丁寧なリモート教育の導入支援を期待します。

教員が燃え尽き症候群にならないために

教員が燃え尽き症候群にならないために(今村裕の一筆両断) 

1/31(月) 【産経新聞】

大阪北区のメンタルクリニックへの放火事件で25人もの人が亡くなった事件は記憶に新しいことでしょう。犠牲者の中に、学校の先生がおられたことも話題となりました。これは氷山の一角で、隠れるようにクリニックなどに通院され、診療、カウンセリングを受けておられる方も多いことでしょう。院長を含め、犠牲者の方には心よりご冥福をお祈りします。

「バーンアウト(シンドローム)」という言葉をご存じでしょうか。日本語では「燃え尽き症候群」ともいわれています。1970年代に米国で医療、福祉の現場に携わる、人と直接関わることを主な方法として人を援助する仕事(以下、対人援助職)などに従事する方々に生じる現象として話題にされ始めました。「人を相手に働く過程で、援助者が心身のエネルギーを失い、患者さんをはじめ、同僚に対しても否定的な態度を向けたり、自分自身に否定的な評価をしたりする現象」とも言われます。これ以上専門的なことはここでは触れませんが、ヒューマン・サービスともいわれる対人援助職の方々ご自身が疲弊してしまっていることが特徴です。

日本では看護師にバーンアウトが多いことから、耳にされた方もいらっしゃることと思います。ほかに介護職、保育士からも「心身の不調で長く勤務が続かない」などの声が聞こえてきます。放火で亡くなられた教員経験者も、その傾向があったとの報道がありました。鬱(うつ)病などの精神疾患で病気休暇となった教員の数は、公立学校で令和元(2019)年度に5478人と過去最多になっています。ここ10年以上毎年5千人前後の人が精神疾患で病気休職となって高止まりしているのが現状です。

この春から、学校の教員を含め看護師など対人援助職となられる若い方にとっては夢を壊す内容になるかもしれませんが、こういう現実もあることも知ったうえで、新しい職場に向かってもらいたいと思います。

昭和41(1966)年度と平成18(2006)年度、さらに28(2016)年度に文部科学省による大規模な教員勤務実態調査が行われました。残業時間について、昭和41年度では約8時間(平日休日を含め)だったものが、平成18年度では平日は約34時間に増加、休日は8時間に増加となっています。28年度の調査では、10年前の18年度の調査と比較して、教諭については1日あたり、小学校の平日で34分、土日は49分、中学校の平日で32分、土日は1時間49分の増加が明らかになりました。残業時間だけの問題ではありません。

最近でも、さらに業務量は増え続けています。例えば令和2年度から新しく実施されている小学校新学習指導要領において、プログラミング教育の必修化、これまで5、6年生が行っていた外国語活動が3、4年生から週1~2時間で導入され、5、6年生では「外国語」として正式に教科化、週3時間程度行うようになりました。「働き方改革」と銘打たれているさまざまな動きがあるものの、逆に教員の忙しさに拍車をかけているのかもしれないと思えてくるほどです。

「チーム学校」「令和の日本型教育」「GIGAスクール構想」「アクティブ・ラーニング」「プログラミング教育」「ICT活用」「オルタナティブ教育」「グローバル化対応の教育」「SDGsに対応した教育」…。ここ10年ほどの間に学校現場で取り組むようにと、声高らかに喧伝(けんでん)されてきた言葉です。すでに消えかけているものもあります。「いじめ」や「不登校」などへの対応、さらには理不尽だと思われるような要求をする保護者との対応などはそれ以前から、喫緊の課題とされています。

肝心なことを忘れていました。毎日5~6時間分の授業の教材研究や教材作成、採点や添削、学級経営、学校行事、校務分掌、日常的な保護者対応、子供のトラブル対応、お便りや資料作成、職員会議、研修など多方面にわたり取り組んでいるのです。

おっと、これもあります。中学校には「部活動」と呼ばれる究極のボランティア活動がありました。現在はこれに「武漢コロナウイルス対応」が加わっています。

「子供たちの教育をよりよく」と考えての改革はわかりますが、それを実施する教員の業務はすでに飽和状態です。何かを増やすのであれば何かをなくさなくては、メンタルの不調を訴える教員はさらに増加することでしょう。

平成30年の春に、NHKで学校が舞台のドラマがありました。内容は「いじめ、体罰、モンスターペアレンツ、教員のブラック労働」などにスポットを当て、崩壊寸前の学校現場にスクールロイヤー(学校弁護士)が立ち向かうというものでした。ドラマだとつい脚色が過剰になり、現実との乖離(かいり)を感じますが、このドラマはなかなか現実感があったと記憶しています。ひとつ印象に残った台詞(せりふ)を紹介します。スクールロイヤーが「学校の先生方は何を求めているのか?」と尋ねたことに対し、教務主任の先生が「教師の数を増やしてほしい。ただそれだけです」というシーンがありました。もっと他に方法があるだろうと考える方もいるでしょうが、教員の問題を考えたとき最終的にたどり着くのは「人を増やしてほしい」の一言に尽きるのかもしれません。

「これだから学校の教師は甘えているといわれるんだ」と別の業界から声が聞こえてきそうです。

【今村裕(いまむら・ゆたか)】昭和31年、福岡市生まれ。福岡県立城南高校、福岡大学、兵庫教育大学大学院修士課程、福岡大学大学院博士後期課程。公立小学校教諭、福岡市教育センター、同市子ども総合相談センター、広島国際大学大学院心理科学研究科、大分大学大学院教育学研究科(教職大学院)を経て、現在開善塾福岡教育相談研究所代表。純真短期大学特任教授。臨床心理士、公認心理師。

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現代の若者には、公立学校の教師は働きがいがないと見えているようです。先の文科省調査では全国の公立学校で、2000人以上の教員が不足しているとし、公立の小中高校で1860人、特別支援学校で205人の教員が不足しているそうです。教師が配置できず、授業を実施できない中学校は16校、高校は5校にのぼっているそうです。産休や育休の取得者数や、特別支援学級の数が増えたことが主な要因と考えられるといいます。また、2021年度に全国で採用された公立小学校の教員の採用倍率は2.6倍で、3年連続で過去最低となっています。

バーンアウトする前に学校を離脱する若手教師も多いです。記事にもあるように次から次に新しい教科を増やす割には教員は緩やかにしか増えません。小学校で6時間授業をすれば一体その準備はいつやるのか、昭和までは準備もそこそこに教科書どおりに自分の知っていることを話して、子どもの出来不出来は自己責任と言うシステムで良かったのですが、情報社会は閉じた学校システムを許さず、働きの悪い教員や管理職をあぶり出すようになりました。その結果、教員同士がお互いを守ることがなくなり、孤立化させられ弱い教師は精神を病むという結果になっています。

チーム学校等と当たり前のことを言わなければならないほど、教員は孤立化し追い詰められているとも言えます。バーンアウトと言うと一生懸命頑張って燃料切れで落ちていくイメージですが、最近の傾向は、頑張る前に落ちていく教員が多いようにうかがえます。人手を増やすことは、仕事量を減らして多忙感を減らす意味では有効かもしれませんが、働き甲斐がない職場は人を育てません。管理職も先輩職員もパワハラだけを気にしていると、思ったことが言えず、結果、面倒なことは蓋をするようになっていき、若手教員を引き付ける力も失っていきます。しかし、あれこれ足りないことを言っても、余裕がなければ職場の再生は難しいですから、教員の働き方改革が焦眉の課題であることは間違いないです。

「いじめ受けていた」「お金は8割以上が先輩たちに」…凍死の中2投稿、学校側は本人聴取せず

「いじめ受けていた」「お金は8割以上が先輩たちに」...凍死の中2投稿、学校側は本人聴取せず

2022/02/02 【読売新聞】

北海道旭川市の公園で昨年3月、中学2年の広瀬 爽彩(さあや)さん(当時14歳)が凍死体で見つかり、いじめが疑われている問題で、広瀬さんがSNSでいじめ被害を訴えていたことがわかった。学校側は、トラブルの有無を調べた際に広瀬さん本人への聞き取りを行っておらず、道教育委員会は学校側の調査手法を問題視していた。

遺族側の代理人弁護士によると、広瀬さんがSNSに投稿したのは、入学した中学校を転校して9か月後の2020年5月。ツイッターに「私は前の学校でいじめを受けていました。私の中に深く残っている」と書き込んだ。

また、わいせつ行為を強要されたことを明かし、「先輩たちに 奢(おご)るお金は塾に行った際のご飯と飲み物代だった」「八割以上は先輩たちへのお金になってました」とも記していた。遺族側は、広瀬さんの自宅パソコンからログインできたことなどから、本人の投稿と判断した。

広瀬さんは19年6月、ほかの生徒と言い争いになった後、川に飛び込み、学校に電話で「死にたい」と訴えた。市教委によると、学校側はトラブルがあったとみて調査を開始したが、広瀬さん本人に聴取せず、「関係生徒への聞き取りなどから、いじめとの認知には至らない」と判断した。

道教委は同10月、「学校は被害生徒の聞き取りについて、保護者に協力を求める必要がある」などとする市教委向けの指導事項をまとめていた。

市教委の第三者委員会は、いじめの有無などに関する調査を進めている。
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旭川いじめ自殺事件の記事は昨年8月に一度掲載しましたが、その後も続報が続いていました。結局、学校や教委を守ろうとする主流派勢力(旧民主党等)と事実関係を明らかにしようとする勢力で市長選が戦われて、反主流派(自民党等)が市民に選ばれて、少しづつ事実が報道されるようになっています。

この事件の裏側を想像するだけで息苦しくなります。旧民主党や日教組が前西川市長を支えていました。その在職期間中にこの事件が起こっているのに、前西川市長は昨年の衆議院議員選挙に立候補するために市長を辞職してこの問題を途中で投げだします。流石にこんな無責任な政治家が当選するはずもなく落選はしましたが、この人を選挙で担いでいる日教組が先生の労働組合だというのが腹立たしいです。

そして、新市長の今津市長が、市議会代表質問で「資料を精査し、いじめがあったと認識した」と答弁したことについて、教育への政治介入だと野党の議員たちがこの発言を問題視したのです。旭川の元市長派は根性まで腐っているとしか言いようがないです。自分たちの推してきた市長が問題を途中で投げ出して辞職した責任については何一つ触れず、現市長の極めてまともな発言を政治介入と言うレッテルを張って権力濫用だと印象操作をしているのです。

元はと言えば、日教組も支えてきた元市長派が旭川の学校や教委を不当に擁護していたから、この事件が複雑化したと思われます。日教組に支えられた市の体制がある限りは自分達の地位は安泰だと、保護者から批判されても横柄な態度を関係者が取り続けたのかも知れません。今となっては元市長派も一緒になって、学校と教委が悪いと口をそろえますが、トカゲのしっぽ切りでは根本問題は解決しません。不祥事の最後は政治家が責任をとり、トップまでの関係者を処分をすることで、関係者の襟を正させるしかないと思います。

「福祉×オシャレで世の中を変える」 身体障害者の声から生まれたブランド「ボトモール」

「福祉❌オシャレで世の中を変える」 身体障害者の声から生まれたブランド「ボトモール」 

2021/04/09【WWD】川井 康平

障害があってもなくても誰でも着られるファッションを提案する「ボトモール(BOTTOMALL)」が、パリ・コレクション参加に向けて着々と準備を進めている。同ブランドを2019年に立ち上げたのは、日本障がい者ファッション協会(以下、JPFA)の平林景代表理事だ。JPFAはファッションの力で福祉を明るくするためにさまざまな活動を行い、同氏は、自他ともに認める"福祉業界のオシャレ番長”。「福祉×オシャレで世の中を変えることが生涯をかけた使命」と断言するほど、ファッションの力で福祉業界の課題や世の中の偏見に熱く立ち向かっている。「ボトモール」は、なぜパリコレを目指すのか。平林に話を聞いた。

WWD:これまでの経歴を教えてください。

平林景(以下、平林):20代のころ美容師として働いていました。ヘアスタイルが変わることで自分に自信を持てるようになったお客さまを見るうちに、“オシャレ”が持つ力を強く感じるようになっていきました。でも徐々に手荒れが悪化し、最終的にはハサミを持つこともできなくなって25歳のときに美容師を辞める決心をしました。退職後は美容専門学校の教員として10年ほど働いたのち、福祉と出合って現在に至ります。

WWD:福祉業界に携わるきっかけは?

平林:身近に発達障害を抱える人がいて、不得意なことはてんで駄目でも、得意なことには突き抜けた能力を発揮しています。そんな人たちの長所を子どものころから伸ばせれば、障害を持つ人の人生や社会全体を変えられるんじゃないかと思いました。そこで勤務先の美容専門学校を運営する学校法人に掛け合い、1年間に渡る交渉の末、2014年に個別学習塾「東京未来大学こどもみらい園」を開き、副園長を務めました。

WWD:JPFAを設立した経緯は?

平林:知人から過去に「パリコレでは、車椅子の人たちを中心にショーが行われたことがないらしい」と聞いたのがきっかけです。美容師時代に感じていた、"オシャレ"の持つ力で福祉業界も変えられるんじゃないかと思ったんです。ニューヨーク・ファッション・ウイーク(現在はアメリカン・コレクションズ・カレンダーに改称)で義手やダウン症のモデルなどがランウエイを歩いているので、パリコレでも実現できると考えました。

WWD:なぜそのような事例がないと考える?

平林:車椅子は着座しなければいけないので、立位姿勢を前提としたコレクションではファッションとして成り立ちにくいではという先入観や、障害に対するネガティブな考えもあるからではないでしょうか。障害に対する偏見はまだまだ根強い。“車椅子だからこそ格好いい”を表現できれば、そういった世間の偏見や考えが覆せるのではないかと思っています。

「オシャレのために誰かの手を煩わせたくない」
WWD:どうして福祉×ファッションにこだわる?

平林:車椅子に乗る人とお会いした時に、「若いときはファッションを楽しんでいたが、車椅子に乗る今は、お洒落を諦めてしまっている」と話していました。その理由を尋ねると「車椅子では入れない試着室がある。仮に入れたとして服を一人で着れないときは、誰かにサポートしてもらわなければいけない。『オシャレがしたい』という自分の欲求を満たすために、誰かの手を煩わせることが心苦しくなった」という答えに心を強く締め付けられました。

もし車椅子の人が簡単に着られるお洒落な服があればそんな気持ちを抱くこともなくなるんじゃないかーー。そう思い立って教育系大学の生徒や教授、福祉の現場で職員などに相談したところ、座席に広げて座るだけで着脱できる巻きスカートのアイデアが出てきたんです。本格的に製品化するにあたりファッションブランド「ボトモール」を立ち上げました。


WWD:スカートを履くことに抵抗を感じる男性も多いのでは?

平林:そもそも障害を持つ人のための服を作っているわけではありません。「ボトモール」は“障害の有無や性別、年齢なども問わず誰もが着られる機能的な服”がコンセプトです。ブランド名は「ボトム」と「オール(全員)」を組み合わせた造語に由来しています。

WWD:一般的な巻きスカートと異なる点は?

平林:車椅子に座ったときに一番きれいに見えるように前と後ろの長さをアシンメトリーにしています。また足が動かしづらいと血流が悪くなり冷えやすくなるので内側の生地を起毛素材にしたり、着脱がより楽になるようにセンターにジップを施したりしています。

WWD:巻きスカートのほかにアイテムは?

平林:両サイドにジップを施してスムーズに着脱できるパンツや、片麻痺(体の左右どちらかが麻痺する症状)の人でも、腕を通さず着られるトップスなどを作っています。また車椅子を使用するとき、一般的なジャケットでは丈が長すぎてしわがつきやすいという声を聞き、丈の短いジャケットを作りました。巻きスカートと同じ素材でセットアップとしても着用できます。

行政を巻き込んでパリコレ出展に尽力
WWD:パリ・コレクション参加に向けて具体的にどういった活動をしている?

平林:JPFAの拠点がある大阪・茨木市の福岡洋一市長と共に、経済産業省のクールジャパン政策課に出向いてパリコレ参加についてお話をしました。現在はその取り組みを“パリコレプロジェクト”と題して、正式に茨木市後援事業としてサポートとしてもらっています。また大阪府の吉村洋文知事にはフランス大使館の大使を紹介してもらい、現地での支援をお願いするなどたくさんの方々に援助していただきながら、少しずつ実現に向けて前進しています。デジタルショーも視野に入れ来年の参加を目標にモデルオーディションも進行中です。

WWD:ショーの構想は?

平林:“If…(もしも)”がテーマです。もしも世界が車椅子を乗ることに当たり前だったら、どんなデザインや未来が生まれていたのかを表現したいんです。「車椅子の方でもお洒落ができる」とうたった、障害者のためのファッションショーをするつもりは全くありません。マイナスをゼロにするのではなく、マイナスをプラスに変える「車いすだからこそ格好良いファッションは何か」を世界に向けて提示したいです。

WWD:今後の課題と展望は?

平林:障害に対する世の中のイメージを変えたいです。福祉業界の意識だけを変えても何も変わりません。世の中を変えるためにはまず地域を、地域を変えるためには市長や知事などのトップの意識が変わらないといけないんです。また「ボトモール」の認知拡大も今後の課題です。例えばファーストリテイリングなどのファストファッションの大企業と一緒に取り組むことができれば、ファッションに悩む人たちにも一気に認知を拡大できると考えています。

WWD:福士業界の課題は?

平林:福祉業界はまだまだ“きつい”“汚い”“危険”の「3K」のイメージが強い。福祉業界は、団塊世代が後期高齢者に達し、近い将来、現場の人材が大幅に不足する問題を抱えています。若者が福祉や介護に憧れて業界に入ってもらえたら、それを解決できるはず。だからこそファッションと掛け合わせて福祉業界を盛り上げたいんです。

PROFLIE:平林景(ひらばやし・けい) 一般社団法人日本障がい者ファッション協会代表理事 / 美容師を経て、美容専門学校の教員として10年間従事。その後個別学習塾「東京未来大学こどもみらい園」の副園長、東京未来大学みらいフリースクール・副スクール長を兼務し2017年1月に独立。放課後等デイサービスを運営するとっとリンクの代表取締役を務める傍ら、ファッションブランド「ボトモール」を手がける

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共生社会,インクルーシブ教育と言われている昨今,このように教育や福祉業界のみならず様々な業界の方が発達障害に目を向けています。平林さんは小学校時代,「授業中、落ち着きがない」と6年間延々と言われていた,と話しています。社会人になり,ファッション業界に関わる中で発達障害のある方も楽しめるオシャレを追求するようになったそうです。

最近はユニクロやGU等,様々なブランドから「ジェンダーレス」(男女兼用)の服が発表されるようになりました。これは世界が「性別」について社会問題にし,それに影響を受けたファッション業界が提案を始め,トレンドになっていきました。

それに続いて障害のある方でも楽しめるファッションが流行ればいいな,と思います。日本では知的障害者の方のアートを服にデザインしている「HERALBONY(ヘラルボニー)」というブランドもあります。

このように社会が多様化していくにつれ,発達障害のことをもっと社会的に知ってほしい,と思います。平林さんが出しているLOOK BOOKを見ると,まるで「Yohji Yamamoto (ヨウジヤマモト) 」や「COMME des GARCONS(コムデギャルソン)」の様で皆から愛されるかっこいいファッション,となるのではないかと筆者は思います。

タブレット使わないの? 自宅待機、オンライン授業進まず

<ユースク> タブレット使わないの? 自宅待機、オンライン授業進まず

2022年2月4日 【中日新聞】

新型コロナウイルスの感染が市内の小中学校でも広がる中、自宅待機となった中学生の保護者から「ユースク」に「学校がオンライン授業をしてくれない」という投稿があった。「第六波」に向け準備を進めた学校がある一方、急激な感染拡大に混乱する現場からは「オンライン授業どころではない」との悲鳴も上がる。 (森若奈、宮崎厚志)

「何のために税金を使ってタブレット端末を全員に配備したのか。実際の有事には活用できていない」緑区の三十代女性は、国の「GIGAスクール構想」で小中学生に配備された学習端末に触れつつ、こう訴えた。

一月下旬、中学生の娘の部活で陽性者が出て、娘は約一週間の自宅待機となった。学級閉鎖ではないので娘のクラスでは対面での授業が続いていた。オンライン授業を期待したが、学校からは「テスト勉強をしておいて」と伝えられただけという。

このほか、学級閉鎖になった二人の孫と同居する南区の主婦(64)からも「以前の休校ではタブレット端末やプリントを活用した宿題が出たが、今回はそれもない。親が勉強を見られない家庭は、だらだら過ごすだけの待機期間になりそう」という声が寄せられた。

市教育委員会は一月末、コロナの影響で学校に来られない子ども向けに「タブレット端末も活用して学習指導をする」という方針を各校に通知した。ただ、実際にオンライン授業をするかどうかは各校の判断で、どのくらいの学校で実施できているかは「把握していない」(指導室)という。

感染拡大を見据え、独自に準備を進めていた学校は実際にある。市のモデル校でもある東区の矢田小学校では「第五波」の昨年九月時点で、学年ごとに交代でオンライン授業を試した。市教育センター(熱田区)でも、学校から要請があれば、専門講師がオンライン授業についての研修を行っている。

一方、市内のある市立中学校の教頭は「周辺には、同時に三、四学級で閉鎖が起きた学校もある」と話す。中学では一学級で複数の教員が授業をするため、一度生徒に陽性者が出れば、三、四人の教員が濃厚接触者とみなされ、在宅勤務になることもある。「そうなると正直、学校内の授業もままならないだろう。オンラインどころではない」と厳しい現状を明かした。

この学校でも学級閉鎖は起こっており、閉鎖しているクラス向けのオンライン授業は何とかできている。ただ、コロナ感染に関して保護者の問い合わせが相次いでいるほか、子どもの保育園の休園で在宅勤務をせざるをえない教員も増えており、出勤している教員も疲弊し始めているという。

教頭は「濃厚接触者も自宅待機する現在のやり方では、教育を止めないというのは無理なのでは」と訴えた。

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学校ばっかり責めないでよと、教頭先生の言いたいことは良く分かります。濃厚接触者は現場に来てはいけないのですから、授業はできません。でも、濃厚接触となった教員の自宅待機はお休みなのでしょうか勤務なのでしょうか。勤務だとすれば自宅からリモート授業は可能ですから、もう少し考えて欲しいとは思います。そもそも軽微な症状なのに感染者の半分が死亡するエボラ出血熱と同等の2類感染症相当の政令をいつまでも変えないから、濃厚接触を特定しなければならず、こんなにややこしいことになっているのです。

岸田首相は、政令変更しない理由を、新たな変異ウィルスが強毒性をもったら元に戻す必要があるから変えないと言うのですが、強毒性のある変異ウィルスの感染が新たに分かれば、元に戻す政令を出せばいいだけじゃないのと、小学生でもおかしな答弁をしているとわかります。頑なに変えない理由は、検査会社や薬メーカーなど、2類にしておくことで都合の良い人たちが岸田首相の周りにいるのではないかと勘繰りたくなります。

現在は、保健所はもうパンクしていて、濃厚接触者は各校・事業所で判断してほしいということに変わってきているそうです。つまり、感染者は隔離だが濃厚接触者まではとやかく言わないということです。感染法上違法な感じがするけど、いいのかなぁと思いながらも、保健所長が言うのだからいいんでしょという変なことになっています。優柔不断なリーダーの元で学校も親も困っています。

体を動かすことが楽しい、発達障害のある子どもたちのスポーツ実施率の向上

体を動かすことが楽しい、発達障害のある子どもたちのスポーツ実施率の向上

2022年1月17日【DEPORTARE】(デポルターレ)

発達の遅れが原因で、運動の苦手・不器用な子どもたちがいます。運動は「できる」「できない」がはっきりし、相手にも見えてしまうため、彼らにとって運動の場面というのは自分のできなさを披露する「失敗の連続の場」になる可能性があります。そのため、彼ら一人ひとりの動きの特性を見極め、その子に合ったレベルで、スモールステップでの練習を楽しく続け「できる体」を作ることが大切です。また、それらを達成するために指導者の育成・保護者の理解を併用して行うことで、彼らが楽しく運動ができる環境を整えていくことにつながります。

スポーツ庁では、一人でも多くの方がスポーツに親しむ社会の実現を目指して「Sport in Lifeプロジェクト」に取り組んでいます。今年度は、スポーツ参画人口拡大のための取り組みとして、「スポーツ実施を阻害する課題解決のための実証実験」および「ターゲット横断的なスポーツ実施者の増加方策事業」の2つの委託事業の実施団体を募集しました。今回、実施団体の中から、発達障害のある幼児・小学生を対象とした運動・スポーツ意欲向上のための取り組みを行う、横浜YMCAの活動を紹介します。

段階を踏んだ指導でわかりやすく
YMCAとは、世界120の国と地域でおよそ6500万人の会員を有する、国際的非営利団体(NGO/NPO)です。今回お邪魔した施設は、「湘南とつかYMCA」。スポーツクラブやプール、英会話スクールなどを通じて社会教育を行っています。

体育館で行われたのは、横浜YMCAの主催する発達障害児のスポーツを通じた教育支援クラスです。集まったのは、およそ10名の子どもたちとその保護者。下は幼稚園の年少さんから、上は小学2年生までです。この日は、地元・横浜で活動するBリーグ所属のプロバスケットボールチーム「横浜ビー・コルセアーズ」のコーチらを招いて、バスケットボール教室が行われました。

前半の1時間は、神奈川県立保健福祉大学リハビリテーション学科の笹田哲先生(作業療法士)が指揮を執り、「からだの使い方教室」がスタート。集まった子どもたちは、先生の動きを見ながら楽しそうに動いています。

例えば、スクーターボードを使った手押し車は、「手首や体幹を鍛えることにつながります」と、笹田先生は周りで見ている保護者への説明も怠りません。どの運動にも、保護者を巻き込んで一緒に参加してもらい、親子そろっての運動機会をつくっていました。

その後、フラフープを使って、ドリブルやジャンプといった動作につなげたり、縛ったタオルを投げることで、シュートの動作につなげたりと、後半のバスケットボールの動きを取り入れた運動遊びを行いました。

「発達障がいの子どもたちに対しては、こうして動作の段階を踏んでいくことがとても重要です。とにかく、体を動かすことが楽しいと思ってもらえるように、たくさん褒めることを心がけています。ここへ来るだけで地域参加になりますし、“できた!”という体験を積んで、さらなるスポーツを通じた社会参加へつなげていきたいですね」(笹田先生)

 将来スポーツ好きな子になってもらいたい
一度休憩をはさんで、いよいよバスケットボール教室のスタートです。主に指揮を執ったのは、横浜ビー・コルセアーズの山田光佑コーチ。普段は、横浜ビー・コルセアーズが運営するスクールに通う小学5・6年生の指導を担当しています。「去年はコロナの影響でできませんでしたが、クラブで幼児クラスもやっています。その経験を少し生かして、子どもたちの発育や能力に合わせたプログラムを持ってきました」と話します。

ボールを触る前に、まずは遊びを兼ねた運動を行います。ジャンプして手をたたく、保護者とペアになってじゃんけんをして、負けたら走るなどです。基本的な動作を体に覚えさせます。

次に、実際にボールに触れてみます。座った状態でボールをたたくなどして、ボールに慣れてきたら、いよいよドリブルの練習です。子どもたちは、先ほどから段階を踏んで徐々に本動作に入ってきたので、全員が驚くほど上手にボールを扱っています。「手のひらをパーにしないで、少し指を曲げておわん型にすると、もっと上手にドリブルできるよ」と、山田コーチも子どもたちの様子を見て、的確にアドバイスします。

その後は、2チームに分かれて、リレー形式でドリブルをしながら走る練習をします。決して、チームで競っているわけではありません。あくまで子どもたち個々のペースを見守りながら、「速いね!」「うまい!」と、肯定的な声がけをしていきます。

最後は、みんなでゴールに向かってシュート練習をしました。通常のゴールでは届かない子のために、子ども用のゴールも用意。子どもたち自身が「入った!」「できた!」と、喜びながら夢中でゴールに向かってボールを投げていました。こうして、あっという間の1時間が終了。「楽しかった」と言う子が多くいました。

教室を担当した山田コーチは、「こういった教室は、子どもたちが体を動かすいい機会になるだけでなく、保護者のストレス軽減、さらには僕たちクラブで指導するコーチの指導の幅を広げることにもつながります。子どもたちに体を動かすことの楽しさを知ってもらい、将来はバスケットボール好き、ひいてはスポーツ好きになってもらうことが何よりの願いです」と話しました。

 たくさんのいい“勘違い”をさせてあげたい
教室を終えて、保護者にも話を聞きました。横浜YMCAのプールに通っており、メールでこの教室を知って参加したというお母さんは「いろんな運動も、それぞれどんな意味があるのかまで先生に教えていただきながらできたのが、とてもよかったなと思います。息子が楽しそうにしているのが何よりですが、どんなことでも経験させたいので、また通いたいです」と話してくれました。

教室を主催した横浜YMCAオルタナティブ事業本部長の山中奈子さんは、やはり子どもたちへの「成功体験」が、発達障害児支援のカギになると話します。
「この教室を通して、子どもたちにだんだん自信がついてきたことを実感しています。私たちはよく、たくさん“勘違い”して欲しいという表現をしますが、いい意味で『僕はできるんだ』『私は上手なんだ』と思い込んでもらうこと。実際にはできなくてもいいんです。『やればできるかもしれない』と思ってもらうことが大事なので、そのために私たちはたくさん褒めて、成功体験を積み重ねるようにしています」
実際、保護者からの反響もよく、リピーターが多いのだそう。

さらに、今後はバスケットボール観戦も予定していると言います。山中さんいわく、発達障害の子は、大人になってから趣味をもたず、仕事場と家との往復のみになりがちなのだそうです。そこで、子どものうちから趣味ができるように、「スポーツ観戦」に活路を見出しています。

「たとえ自分ではできなかったとしても、見ることはできますよね。それは一般の大人も同じです。それで世界がひとつ広がることにつながりますから、運動教室と並行して、スポーツの観戦会も定期的に開いていけたらなと思っています」

今回は、発達障害児への取り組みを紹介しましたが、子どもへのスポーツ指導において、「成功体験を積む」ことの大切さは共通しているといえるでしょう。今後、こうした取り組みが広がることで、より多くの子どもたちがスポーツに親しむことが期待されます。

 Sport in Life プロジェクト(その他の取り組み事例は当ホームページ内にて紹介しておりますので、是非ご覧ください)https://sportinlife.go.jp/

【DEPORTARE】(デポルターレ)=スポーツ庁広報マガジン
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素晴らしい取り組みだと思います。学校の体育の時間で「運動嫌いになった!」という話はよく聞きます。1年生の「体遊び」の単元まではどのような子どもも楽しく参加できますが,「ゴール型ゲーム」や「マット運動」の単元になると難しいと感じる子どもが増えてきます。特に自閉症の子どもは気持ちを考えることや自分で見通しを持って行動することが苦手なのでチームで協力するスポーツになると途端に緊張をしてしまいます。本人に悪気はないのですが,迷惑をかけた,と思って自己肯定感の低下にも繋がってしまうケースが多いです。

「湘南とつかYMCA」さんではスモールステップでバスケットボールを教えていく,とのことでした。初めは遊びを兼ねた体運動,次にボールに慣れるための遊び…といったように少しずつ進んでいきます。そして指導は子どもたちの様子を見ながら肯定的な声掛けをしていると書いていました。子どもたちが「楽しい!」と思える工夫を凝らしていることがよく分かります。

筆者も教員時代,「楽しい!」と思えるように体育の授業を工夫したつもりでしたがついつい「ここはこうした方がいいよ」「そうじゃなくてもっと周りを見て…」等,子どもたちを否定する言葉が多かったな,と反省しています。こういった活動が広まり,どのような子どもでも「体動かすのって楽しいね!」と思えるようになればいいな,と思います。

話した言葉を文字で表示してくれる「字幕表示ディスプレイ」 静岡県庁で試験導入

話した言葉を文字で表示してくれる「字幕表示ディスプレイ」 静岡県庁で試験導入 英語や中国語など60か国語の翻訳機能も 聴覚障害のある人や外国語を使う人の手助けに

2/7(月) 【静岡朝日テレビ】

こちらは最新技術の話題。会話をそのまま自動的に文字で表示してくれるディスプレイが静岡県庁で試験的に導入されました。聴覚障害のある人や外国語を使う人とのコミュニケーションを手助けします

聴覚障害者や聞き取りに不安のある高齢者の助けに
根方ゆき乃記者:「県庁の広聴広報課の窓口に設置されたこちら。ただの透明なアクリル板ではありません。『こんにちは。きょうは天気がいいですね』このように話した言葉を文字で表示してくれます」

県広聴広報課の窓口にきょう登場したのがこちら…。「字幕表示ディスプレイ」です。

会話の音声を自動で文字にしてくれるという近未来的な道具です。マスクの着用が日常となり会話の口元が見られない中、聴覚障害者や聞き取りに不安のある高齢者を助けてくれる優しいアイテムです。

広聴広報課
横石久美子主事:「県庁には様々な県民の方が来る。そうした時にその方々に応じてきめ細やかな誰にでも優しい対応をしたいということで設置を決めた」

翻訳機能は60か国語対応
さらに、翻訳機能も備えています。

職員使い方説明:「こちら側が話している音声の言語を選択できてこちら側がマイクで拾った音声を何語に翻訳するか選択できる。言語の種類がこの中から選択できるようになっていて…」

対応言語は、英語や中国語などおよそ60カ国!翻訳機能も兼ね備えるなど賢い頭脳を持っています。

韓国語と日本語やり取り
(韓国語で尋ねる)
回答:「会議室は出口を出て右側にまっすぐ行くとあります」

筑波大学×ジャパンディスプレイの共同開発
きょうはさっそく職員らが外国語を話す県民が窓口に訪ねてきたと想定し、使い方を確認していました。このアイテムの開発は、情報学などの分野で活躍する筑波大学の落合陽一准教授らによる研究グループと、日本の液晶ディスプレイメーカー・ジャパンディスプレイが共同で行い、価格はおよそ17万円。

現在、焼津市や東京都葛飾区など全国4つの市や町で試験的に導入されていて、都道府県では静岡県が初めてです。県は、来月7日まで窓口での業務や、ミーティングなどで試験的に活用した上で、今後は県民サービスセンターなどへの設置を検討しています。

広聴広報課
横石久美子主事:「いろいろな所でこういうものが活用されるとどこの窓口でも丁寧な窓口対応ができるようになるので広がっていけばいいなと思う」
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スマホなどではすでに10年程前から音声翻訳機能は搭載されていますが、ここ数年のうちに翻訳精度が飛躍的にあがっています。数年前から海外の格安ホテルで、チェックインする際に外国人だとわかったらiPadを差し出されて双方の翻訳に使っているのを見た時は驚きましたが、とうとう役所の窓口に登場したということです。

ただ、透明液晶ディスプレーが17万と高額ですが、透明なので対面して表情を見ながら話すことができるので、ただの液晶パネルでは得られない質の高い双方向性が得られると思います。通訳者一人雇うことを考えれば安いものですし、60か国語対応ですから知らない言葉の外国人が来ても対応するために職場中が右往左往することも少なくなり効率的に業務ができると思えば安い買い物かも知れません。

また、音声を記録すると記録容量が大きいですが、音声認識したテキストにすればわずかなデータ容量で記録できますし、情報の所有権さえ双方の所有物と法的に位置づけられるなら、使い方を広げて通訳テキスト記録を様々な用途に生かせる可能性もあります。聴覚機能に障害があったり聴覚モード処理の苦手な人でも視覚的に示してくれれば、コミュニケーションもスムースになると思われます。是非、役所と言わずお店なども含めパブリックな窓口に置けば、誰にでも役立つはずです。

ベネッセが品川区と読み書きの発達特性に配慮したICT学習の実証試験を実施

ベネッセが品川区と読み書きの発達特性に配慮したICT学習の実証試験を実施

2022/02/08 【塾ニュース】

株式会社ベネッセコーポレーション(岡山市、小林 仁 代表取締役社長)は、東京都品川区と、区内公立小学校・義務教育学校11校にて、2021年9月2日(木)~2021年12月24日(金)の期間で、子どもの読み書きの発達特性に配慮したICT学習を活用した実証試験を行った。

この取り組みは、対象校で通常学級を含めて読み書きに関する困りのチェックテストの一斉実施を行ったうえで、ベネッセで開発している発達障害児や読み書きに困りを抱える児童向け学習アプリを、各小学校と各児童の家庭で任意に利用してもらうもの。

今後も、ベネッセで開発中の発達障害児向け学習アプリが、学校現場でより良い学習支援につながるように、品川区そのほかの自治体の協力を得ながら、機能改善を目指す。また、小学校の児童の多様性を考慮して、このたびの取り組みに加えて、首都圏のみならず、さらに多くの児童についての効果検証していくことで、より良い学習支援につながることを目指す。

【実証試験の概要】
○実証試験期間
2021年9月2日(木)~2021年12月24日(金)
※一部学校においては引き続き利用継続
○実施校・学年・人数
品川区内の公立小学校・義務教育学校37校中11校
通常級2年生児童675名、特別支援教室1~4年生児童163名、特別支援学級1~4年生児童69名
○実証試験内容
ベネッセで開発している発達障害児や読み書きに困りを抱える児童向け学習アプリを、各小学校と、各児童の家庭(任意)で利用頂く。

・品川区から各児童に配布している1人1台デバイス(iPad)を利用
・学習アプリには、チェックテストとそれに合わせて最適化されたレッスンが含まれる
・児童向け学習アプリはWEBブラウザで作動するため、各児童のデバイスからご利用いただけるように設定。教師向け機能はWEBブラウザで作動するため、各学校のデバイスからアクセスできるように設定

【実証試験の背景とねらい】
現在、通常級に在籍する児童のうち、読み書きに困りを抱えているお子さんは6.5%(*注)とされ、さらに何らかの問題を抱える子供も合わせるとより多く居るといわれている。また、学級運営と個への支援を両立することに悩む教員も多く居ると考えられている。

ベネッセでは、一人ひとりの子供の多様な特性に合わせることにより、「学び」を支え、未来を切り開く力を伸ばすために、最新の発達研究に基づいた支援技術を活用したICT教材の研究開発を進めてきた。

今回の実証試験においては、品川区で各児童に配布されているiPadを用いながら、チェックテストによって見過ごされている読み書きにおける問題を抱える児童を早期に見つけ、さらにそのテスト結果の特性に基づいたレッスンを提供することで、それぞれの児童の読み書きスキルの向上や学習意欲の向上、指導者の労務負荷の軽減や指導効果の実感、そしてそれによって保護者含む多くの支援者の安心を醸成することを目指している。

*注:知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合(『通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について』平成24年12月5日 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/__icsFiles/afieldfile/2012/12/10/1328729_01.pdf

【自治体向けモニター募集】
○モニターで利用する学習アプリ
読み書きの発達特性に合わせた児童向け学習アプリ「MARUG Land」(マルグランド)
※提供教材は小1-4 の範囲の「読み」「書き」「読解」となる。
○モニター期間
2022年4月1日~ 7月末を想定(要ご相談)
○対象児童
通常級、通級指導教室、特別支援学級在籍の1~3年生
※GIGA標準仕様のタブレットで利用可能。Webブラウザでアクセス可能で、インストール等は不要。
○利用お申込み
まずは教育委員会より、accessible@mail.benesse.co.jp へメールにて相談。
※本モニターは2023年度有償導入を見据え、導入可否のご判断をいただくことを前提としたモニター募集となる。(1自治体当たり1~2校を想定しております)。モニター数に上限があり、相談頂いた後にモニター実施ができない場合もある。

<教材の特長>
1.発達特性に合わせた調整機能
児童の学習意欲を削がないよう、問題文の読み上げ機能や問題の分量・難易度など、学年を意識することなく、特性に合わせた学習環境の調整ができる。

2.チェックテストから学習内容を自動オススメ
まずは児童の認知特性、読み書きの困りをチェックテストで確認。豊富な読み書きトレーニングから、最も子供に合っている「学び方」を自動提案する。

3.児童の取り組みを客観データとして共有可能
チェックテスト結果からの児童の特性・指導方針に加え、取組状況などを見ることができる。学習状況を学校の先生方や保護者と共有することで、共通認識ができたり、褒め励ましによって子供の自己肯定感を育んだりする。

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現在、発達障害対応の学習アプリはいくつかありますが、カスタマイズができないので何通りもある発達障害の状況に必ずしもマッチングしているは言えません。学習障害と一言で言っても、「読み」の問題か「書き」の問題か、「数量・計算」の問題なのか、そのいずれかの組み合わせかその程度も合わせると、その傾向に合わせた支援は一つや二つではないのです。

しかし、AIならビッグデータから特性集団を見つけ出し、本人が一番パフォーマンスを発揮しやすい学習内容と入出力関係をカスタマイズしてくれるはずです。すでに通常教育では、新米教師が教えるよりもネットにつながった端末でAIが学習支援したほうが学習効果が上がると言われています。

デジタル機器の得意技は膨大なデータ処理ですから、様々な苦手のある人の情報をたくさん集めて、最も効果のあがる結果を選び出すのは簡単です。もちろん、その日の気分感情や意欲までは数値化できませんが、いずれ、体温や発汗、酸素飽和度、心拍数や脳波等を集めて身体コンディションを測りながら最適な学習変数を導き出すかもしれません。ぜひ、様々な自治体で試験導入に取組んでほしいものです。

「経済を回すのと同時に、子どもの教育もしっかりまわしていくことを考えるべき」東京都医師会・川上...

「経済を回すのと同時に、子どもの教育もしっかりまわしていくことを考えるべき」東京都医師会・川上理事が話す「子どもとワクチン」

2月9日(水)【TBS】

東京都医師会の川上一恵理事(小児科医)は8日に都内で行われた東京都医師会の記者会見で、新型コロナウイルスによる学級閉鎖や保育園休園、学校行事の中止などが相次いでいることを受け、感染の実態を説明するとともに「経済を回すのと同時に、子どもの教育もしっかり回していくことを考えるべき」などと話しました。

(会見の概要は以下)
■子どもの新型コロナウイルス感染 “症状”や“感染経路” 実際のところは?

川上一恵 東京都医師会理事:
小児のコロナはどんな感じなのでしょうか。これはデルタ株のときまでのデータで、日本小児科学会の「コロナ対策」のメンバーがまとめた論文から引っ張ってきました。子どものコロナは、デルタの時ですら、大多数が軽症でした。たまに、中等症、酸素が必要かな、という子が出てくるような状況です。ただ中には重症になる子が、本当に少ないがいて、それは2歳未満だったり、基礎疾患を持っている子だったということです。今回でいうと、0歳児の発症を私も沢山見ています。ただ、皆さんほとんど自宅療養できるくらいに軽くなっています。

「軽い」とはどのくらいかと言うと、子どもの場合は38~39度くらいの熱で発症します。その熱も長くは続かず、1日から長くても3日で皆さん解熱してしまいます。小学生くらいだと、喉の痛みを訴える子、熱が高い時に頭痛を訴えるお子さんが多いです。そのあとに咳がどのくらい出るかというと、軽い咳を訴える子が少しいるが、ほとんどの場合、10日間の待期期間の大半は暇を持て余して、家に閉じ込められて、その相手をする親が大変という状況で過ごしています。

では、先行感染者はどうなのか?というと、これも小児科学会のデータで2021年11月までのものだが、ほとんどはやはり70%が家族から、お父さん、お母さん、あるいは大きいお兄ちゃんやお姉ちゃんが学校や会社で貰ってきてしまって、それを家庭内でちびちゃんたちがもらっているというパターンがあって、今もほとんどがそれです。

今も、よく「保育園が閉鎖になった、保育園でうつっているんじゃないか」とか、「学校で広まっているんじゃないか」と言われるんですが、保育園や学校は対応がとても早いので、私が見ている限り、一人目の(陽性者の)発見が早ければ、それほどクラスターにはなっていません。ただ、学校とか保育園は、幼児のために濃厚接触者をしっかり見出して、濃厚接触者の指定をして、休園にしてしまうとか、学級閉鎖にしてしまうという結果で報道にあるような学級閉鎖が多発している、保育園もクラスごとに閉めているということが起きている。

■「コロナは風邪だと言い切れない疾患」まれだが血管炎の症状も

川上理事:
小児でたまに重症化があるということで、なめてかかってはいけないと思うんですね。「ただの風邪でしょ」とは言えないのは、「小児多系統炎症性症候群」という全身性の血管炎が起こります。ただ、これは発症当初ではなく、発症から2~6週、平均では28日前後経った頃に起きる、「お腹が痛い」とか熱の再燃という形で始まる全身の血管炎であると。

ここでステロイドを使われたりという治療を受ける子どもがいる。ただ、これに関しても米国のデータと比べて日本は、米国でさえ発症率は0.08%と言われる中で、日本はその25分の1である0.003%前後しかいない。いないけれども、無視はしてはいけないという意味で決してコロナは風邪だと言い切れない疾患です。

■本来、小児期に学ぶべきことが出来ていない子どもが増えている

川上理事:
このコロナ、流行が丸2年続いた。そうした中で子どもたちはどう過ごしているのかというと、臨時休校措置から始まり、学級閉鎖、濃厚接触者としての登校停止。さらに家庭内では親が家にいることで、家庭内で居場所がないとか。家にいても東京ですから、なかなか豪邸ではないです。狭い家に親子ともに一緒にいる中で、「うるさい」とか、親がリモートで会議をしているときは「だまってろ」とか、あと「勉強なぜしない」などと叱られる子が沢山いて、静かにしていればゲームしちゃうとか、生活リズムが崩れちゃうというようなお子さんが多々見られています。それから学校ではさまざまな行事が中止されています。

この2年、修学旅行も行っていない、運動会も文化祭もやっていないというような学校、保育園が多発しています。中学校高校だと3年間しか行かないのに、2年間行事が全くなくなってます。それから乳幼児それから学校でもマスクをしているために友だちの顔を全く分かっていません。人の表情を見て、人の心を読んで行動するというような本来、小児期に学ぶべきことが出来ていない子どもが増えています。

それから臨時休校措置後に分かったことですが、子どもは2か月、3か月家に閉じ込めただけで体力運動能力が落ちてしまい、すぐに座り込んでしまったり、学校が再開されたら転びやすくなってしまったりと顔にケガをする子が増えました。それから視力が低下しているというデータも上がってきています。さらにこういった状況、大人ですら、「いつになったらこの状況が終わるんだ」と思って生活している。子どもたちはその状況すら良くわからないで生活している分、鬱っぽくなったり、やる気がなくなったり、すぐちょっとしたことでキーっと感情のコントロールが出来ない子が増えたり、中高生になると自殺する子もここに来てぐっと増えています。

■5~11歳へのワクチン接種 基礎疾患ある子は「自分の身を守るため」

川上理事:まもなく5~11歳のワクチン接種が始まるが、「子どものコロナは風邪なんだからワクチンするメリットはないんじゃない?」という声もあるが、さきほど言ったように重症化しやすい、リスクのある子がいるなど、基礎疾患がある子に関してはワクチンをすることは一つ朗報。そして、これによって、学校行事の中止がもし今までのようなことが変化できるなら、行事をやってもらえるようになるのであれば、やるメリットはあるかもしれません。

ただここは国が考えることですから、保証の限りではありません。同居する家族に高齢者がいたら、その人たちを守れるじゃないかという説もあります。しかし、まずは大人は自分で自分の身を守る。その中に付随して子どもたちが、おじいちゃん、おばあちゃんのためにも自分はワクチンを接種したいという、自ら希望する子にとっては、ワクチン接種で心の安定も得られるでしょうし、本人の免疫をつけられるというメリットもあると思います。

ワクチン接種のデメリットに関して言えば、やっぱり痛いです。筋肉注射に日本の子どもは慣れていないので、特に5歳児、6歳児は初めて筋肉注射を打つことになりますから、その痛みに対する対応をどうするのか。それから接種の意義に関して、どのように説明していくかということが課題だと思います。

子どもに関して、今、オミクロンがこれだけ流行っている中ですぐに「接種しろ」とは言いません。しかし、これから先も変異株が次々出てくる可能性を考えた場合に、いつまで子どもたちが行事も出来ず、マスクをしたままの状態で生活をし続けなければいけないのか。どうやったら子どもたちの健やかな育ちを保証してあげられるのかということを、そろそろ私たち大人は考えていかないといけないのではないかと思います。今、一番の課題はここではないでしょうか。

(以下質疑)
ーー子どものワクチンについて基礎疾患を持つ子どもへ推奨しているが、基礎疾患を持たない子が打たないと学校でクラスターが発生するなど、現状とあまり変わりないようにも思うが?

川上理事:
質問の論点が2つごっちゃまぜになっている。基礎疾患のこどもにワクチンを打つのはその子自身が自分で守らせるため。それはそれで意義がある。他の子に関しては、ワクチン接種をやるか、やらないか、と言ったときに、やったらクラスターが避けられるのか、というと、大人の世界もそうだが、2回接種してもかかっている人がかなりいる状況において、今のような子どもたちの「1人発生したら濃厚接触者を10人くらい洗い出して、みんなまとめて休ませて」ということをやっていたらば、それは避けられない。

今現在も確かに、中にはクラスターというくらい陽性者が多発し学校閉鎖になっているところもあるが、かなり多くのところは1人、2人しか陽性者が出ていなくても、「濃厚接触者の子たちも10日間休ませると、学級が成り立たなくないから、じゃあ結構学級閉鎖にしよう」とか言うところが結構多い。だから学級閉鎖の基準も「こうなったら学級閉鎖です」という基準がないので、各学校の管理者と学校医の間で相談をして、「ここらへんは学級閉鎖しておいた方がまん延しなくていいかな」という形で決めていますので、基準が全く違います。ですから、今の状況を持って、学校がクラスター化していると捉えるのはちょっと違うと思う。

それからワクチンの件だが、子どもによって「やりたい」と思っている子もいます。健常児でも「接種したい」と思っている子もいるので、そういう子にはワクチン接種をさせてあげればいいと思いますが、やりたくない子にまで「やらなけれないけない」という同調圧力をかけてまでやる必要はないのではないかというのが、多くの小児科医が考えていることだと思う。

■経済回すのと同時に子どもの教育も回すことも今しっかりと考えるべき

川上理事:子どもたちがいかに、心身ともに豊かな子どもとして育っていく場にするためには、私たちは経済を回すのと同時に、子どもの教育もしっかり回していくかということを考えなければ、10年後20年後、この抑圧された状態で育った子どもたちが、大人になった時にどういう社会人になるかということも考える必要があると危惧しているところです。


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感染が減少したとは言え日本より感染者が多いイギリスやスウェーデンの政府では、すでに事実上の終息宣言をしました。国民の7割以上がワクチンの2回接種を終了していることでオミクロン株の感染があっても重症化は極めて少ないとして、社会を正常化する方向に舵を切りました。同時に、全国民に室内マスクの義務も解除しました。一体、この違いは何でしょうか?イギリスやスウェーデンのオミクロン株は我が国のものと同じものだし、症状もほとんどが無症状か軽症というのも同じです。違うのは国民の気質と政治家の姿勢です。

東京医師会の記者会見で小児科医が出てくるのは初めてだと言います。それほど、子どもの感染予防をめぐって不確かな情報が錯綜しているという事です。学級閉鎖の基準がなく判断がバラバラなのは学校医によって考え方が違うからだと、医師会の担当理事が言い出すのですから驚きです。おそらく全国の学校でも、ここ乙訓でも同じ事が起こっているはずです。もっと、びっくりするのは感染の多くは学校ではなく家庭で大人から子どもがもらっていると発表していることです。それならば学級閉鎖などしても感染防止には意味がありません。

子どものワクチン接種は同調圧力でするものではないときっぱり言い切る本音は基礎疾患のない子どもは打つ必要すらないと文脈からは読み取れますが、そうは言わないのは製薬会社に気を使っているかもしれません。川上理事の考えはほぼ英国やスウェーデンと同じなのだろうと思います。今後も変異株は出てくると思うが、それを心配して戸外に出ずにマスクを2年も3年もつけていて心身の発達に良いわけがないと言いたいのだと思います。それでも、政治家は「テレビ感染」した「コロナ脳」の有権者に媚びて、経済も子どもの教育も後回しにしていきます。

「ADHD」は6倍「学習障害」は5倍…「発達障害の子」10年で急増のワケ

「ADHD」は6倍「学習障害」は5倍…「発達障害の子」10年で急増のワケ

2022.1.26【幻冬舎ゴールドオンライン】

現在,日本において「発達障害」とされる子どもが急増しているといわれています。そこにはどのような理由があるのでしょうか。みていきましょう。

発達障害のある人への支援は国民の責務
発達障害とは,発達障害者支援法において「自閉症,アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害,学習障害,注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」とされています。また「その他」には,厚生労働省の省令で定められている,吃音やトゥレット症候群,選択性緘黙が含まれるとされています。

この法律ができる2004年より前は,発達障害のある人への支援を定める法律はなく,発達障害の明確な定義もありませんでした。この法律ができたことで,自閉症,アスペルガー症候群,注意欠陥多動性障害(ADHD),学習障害(LD)などが「発達障害」といわれるようになったのです。

発達障害者支援法では,障害特性やライフステージに応じた支援を行うことが国や自治体だけでなく,国民の責務として定めています。もはや「発達障害なんてよく分からない」と知らないふりをするわけにはいかないわけです。

発達障害は「社会の問題」とした発達障害者支援法。さらに発達障害の早期発見とともに,「切れ目のない支援」を行うことが明記されています。つまり就学前に始まり,小学校,中学校,高校,大学,そして職場……それぞれ独自の支援を行うだけでなく,情報共有のもと継続的に支援を行うことをうたっています。

さらに各都道府県と指定都市には,発達障害のある人に対し,総合的な支援を行う「発達障害者支援センター」の設置が義務付けられました。自治体が運営しているもののほか,社会福祉法人や特定非営利活動法人などによる事業所など,運営主体はいくつかあり,事業内容も少々異なります。どのような形態であれ,発達障害者支援の地域の中心的な役割を担い,「自分は発達障害かもしれない……」と思っている人でも相談できるところでもあります。

小中高「通級」に通う子どもは右肩あがり
障害やグレーゾーンの子どもをもつ親にとって,就学に関しては大きな不安を抱いていることでしょう。現在,小・中学校では,比較的障害の程度が軽い子どもに対して,「通級による指導」が行われています。

通級とは「通級指導教室」のこと。そこに通う子どもは,通常学級に籍を置き,学校生活のほとんどを“ほかのみんな”と一緒に過ごし,週に何時間かある通級による指導の時間だけ通級指導教室に移動して支援や指導を受けます。

通級による指導とは,小学校又は中学校の通常の学級に在籍している軽度の障害のある児童生徒に対して,主として各教科等の指導を通常の学級で行いながら,障害に応じた特別の指導を特別の指導の場で行う指導形態です。
出所:学校教育法施行規則第73条の21及び同施行規則第73条の22

通級で行われるのは,「自立活動」。障害による学習や生活上での困難を改善・克服するためのもので,指導内容はさまざま。担当教師が子ども一人ひとりに合わせて最適なことを行います。障害の程度や状態はさまざま。緩い指導のカタチが“ちょうどいい”というわけです。

文部科学省『令和元年度通級による指導実施状況調査』によると,国公私立小学校,中学校,高等学校で通級による指導を受けている児童生徒数は13万4,185人。前年から1万1,090人,10%弱の増加でした(図表)。

そのうち,発達障害(ADHD,学習障害,自閉症)は7万2,733名で,通級に通う児童生徒の半数以上が発達障害です。

さらに細かくみていくと,注目すべきは増加率。10年で,ADHDは4,013人から2万4,709人と約6倍,学習障害は4,726人から2万2,389人と約5倍,自閉症は8,064人から2万5,635人と約3倍にも増えています。

少子化が進むなか,確実に発達障害の子どもは増えています。これは前述の発達障害者支援法がつくられたことで,それまで「落ち着きのない子」などと括られていた子どもに,しっかりと診断がつけられるようになったことが大きいと考えられます。つまり「増加した」というよりも「認知が進んだ」といったほうが正しいといえるでしょう。

「発達障害」。当事者でなければ関係ないと思うかもしれませんが,その支援は国民の責務とされています。まずは知ること。それは私たちの責任です。

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発達障害への認知は年々広まっています。「普通学級の中にも支援の必要な子どもはいる」ということは当たり前になっていると思います。そのような子どもたちが安心して学習に取り組めるよう,様々な工夫がされています。

記事の中にもあるように発達障害支援センターは府と市に一つずつ設置されています。しかし,人口の1割を占める発達障害をカバーするには,260万人の京都府なら26万人となり,とても二つのセンターで背負える数ではありません。そこで,各保健所地域にも発達障害者圏域支援センターを設けていますが,この乙訓地域だけでも1万5千人のニーズがあることになりその相談機能の実効性は危ういと思います。教育にも京都府では各支援学校に相談支援センターが設置され各学校を巡回していますが,支援するのは各学校に任されているので,学校による支援のばらつきは大きいと言われます。

相談支援を行うところが多いに越したことはありませんが,大事なのは家庭,学校,支援機関と連携をすることです。案外子どもの状況を共有するだけ,ということも少なくありません。それぞれの場所で子どもが安心して過ごすことが出来るよう,支援の方法を一緒になって考え,それぞれの場所で実践する必要があります。未だに,親の子育ての責任にして自分たちが子どもたちに与えている不適切な対応に気が付かない園や学校,職場は少なくありません。少なくとも,教育機関や福祉機関では,行政が正しい支援知識を提供し現場はそれを学び,正しく支援して欲しいと思います。

女子スノボで超大技 縦3回転挑戦の岩渕選手に各国ライバルからも称賛続々

女子スノボで超大技 縦3回転挑戦の岩渕選手に各国ライバルからも称賛続々

2/15(火) 【日テレNEWS】

北京五輪スノーボードの女子ビッグエア決勝(15日)で日本の岩渕麗楽選手が3回目の滑りで超大技を披露。惜しくも着地が乱れましたが、演技直後に各国のライバル選手も駆け寄って抱擁。日本のみならず海外からも称賛の声が集まっています。

■最後の滑走で驚きのチャレンジ

2回目までの滑りを終えて、岩渕麗楽選手は4位。メダルを目指した最終滑走、そこで繰り出したのが"縦3回転"の超大技。公式記録では「トリプルアンダーフリップ」とされる、超高難度の大技で、大会で成功すれば世界初となる挑戦でした。

■実況も絶句 滑走後はライバル選手が続々と駆け寄る

この超大技チャレンジに実況も思わず「縦に2回…3回入れてきたー!」と驚きを口にし、その後も「いやあ…」と、しばし言葉を失う場面も。そして滑走直後には、岩渕選手に各国のライバルたちが駆け寄り、取り囲んで抱擁しそのチャレンジをたたえました。

■海外から称賛の声続々

日本だけでなく、世界に驚きを与えた岩渕選手の挑戦。各国のメディアもすぐさま反応しています。オーストラリアの7+は競技映像とともに「スクロール厳禁!」とツイートし、岩渕選手の大技挑戦を速報。カナダの放送局CBCは「日本の岩渕麗楽選手が女子選手としてオリンピックで初めてトリプルアンダーフリップに挑戦しました」と速報で伝えました。

■実は骨折も・・・挑戦の舞台裏

果敢に挑んだ岩渕選手ですが、競技後のインタビューで、前日の予選で左手の甲のあたりを骨折していたことを明かしました。

また、各国のライバルが集まって抱擁してくれたシーンについては「転んだショックで何を言われたか覚えていない」とコメント。涙を流し、結果への悔しさをにじませたものの、「悔しい気持ちの方が大きいが、最後チャレンジできて良かった」と前を向きました。この前人未到のチャレンジに世界中から称賛の声が集まっています。

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スポーツっていいなぁ。若いっていいなぁ。岩淵選手のトリプルコーク(公式には「トリプルアンダーフリップ」)の後、各国のトップ選手が集まってきて岩淵選手のトリックを讃えて抱擁している映像には世界が感動しました。これは、同じ女子ビッグエアの村瀬心椛選手が銅メダルを獲得した事がかすんでしまうほどのスーパートリックだったということです。村瀬選手も日本選手としては浅田真央さんを抜いて日本で史上最年少のメダリストとなり、夏のオリパラのスケボ―と同じく10代の活躍を見せつけてくれました。

ゲレンデの友情シーンは、アイススケートでドーピング疑惑のワリエワ選手について、インタビューで一切コメントしないSP上位3位の選手達の関係とは好対照の出来事です。そもそも、フェアプレーの中でしか友情は芽生えないのだということを、不正審判続きの北京五輪に突きつけた二つのシーンでした。そして、共産主義とフェアプレーは無縁であることを、選手たちのひたむきさが教えてくれています。

10代を主力とするスノボ世代が日本から次々に育っていることが今回の冬季五輪でも証明されました。悲願の金メダルをとった平野歩夢選手の3回全てのジャンプでトリプルコークを成功させた偉業は日本のボーダーアスリートを奮い立たせたと思います。そして、オリンピックの大舞台でメダルを獲得できることは素晴らしいですが、それ以上に大切なことをアスリートは挑戦を通して私たちに、そして子どもたちにも教えてくれています。

 

スノーボード・岩渕麗楽の大技 一斉に世界の選手が駆け寄った!!

発達障害ある弟伝える 作文入賞の高2 「みんな同じ」意識持って

発達障害ある弟伝える 作文入賞の高2 「みんな同じ」意識持って

2022年2月17日 【朝日新聞】

内閣府と宮崎県などが募集した「心の輪を広げる体験作文」に、県立妻高校2年の川崎海晴(みはる)さん(17)が発達障害のある弟について書いた「すべての人々が幸せでありますように」が県内で唯一入賞した。家族を題材にすることにためらいはあったが、「読んだ人が変わってくれたら」という願いを込めた。

作文はこうつづられる。

私が初めて弟を「普通ではない」と感じたのは小学校2年生の時だった。

友だちから特別支援クラスに通う弟のことを「障がい者なの?」と聞かれた。5年生のときにはやんちゃな同級生から「お前も同じ障がい者なんじゃないの?」と言われ、自分のことがわからなくなる。

私はそれから時々、自分は「普通の人」ではないのかもと思うようになった。

その複雑な感情は親にも友だちにも話せなかった。高校に進学し、弟のことを友だちに打ち明ける。友だちは思いを受け止め、理解してくれた。この友だちを一生大事にしたいと思った。そして、「普通の人」について考える。

私は幸せを十分に感じて過ごしている。弟も同じだ。毎日、たくさんの思い出を作って、成長している。私たちに何の違いがあるだろう。

川崎さんは誰かとかかわる時、最初から障がいの有無で区別するのではなく、まず「みんな同じだ」という意識を持ちたいという。そう思ってくれる人が増えることで世界はもっと美しくなると訴え、作文は終わる。

川崎さんは昨年12月20日に県庁で河野俊嗣知事から入賞の盾をもらった。授賞式のあと、「作文が障がいをもつ人や回りの人たちのためになればと思って書きました。読んでくれた人が心にとどめてくれたら」と話した。将来は看護師のような、人のためになる仕事に就きたいという。

作文の高校生部門には全国から436編の応募があり、9編が入賞した。入賞作品は内閣府のホームページで読むことができる。(大畠正吾)
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令和3年度「心の輪を広げる体験作文」 「障害者週間のポスター」入賞作品集

すべての人々が幸せでありますように 川﨑 海晴(宮崎県立妻高等学校2年 宮崎県)

私は五人家族だ。父、母、姉、私、そして普通とはちょっと違う弟。弟は生まれつき心臓や精神面において、人より少し気を遣わなければならない。毎朝毎晩、薬を服用しなければならない。
私が初めて弟を「普通ではない」と感じたのは小学校二年生の時だった。

「弟って障がい者なの?」
友達が放ったこの一言に、私がどのような反応をしたのか、今では全く覚えていない。弟は私と同じ小学校の特別支援クラスに通っていた。だから友達はそのような発言をしたのだろう。また幼さゆえに、相手に対する配慮も悪気もなく、思ったことを口にしたのかもしれない。私が友達の立場だったら、同じことを言ってしまったかもしれない。ただ、今回は私が言われる立場だった。そして小学五年生になった頃、私は「普通」がわからなくなっていた。

あれは私が友達と仲良く、教室でおしゃべりをしていた時だった。クラスメートのやんちゃな男子が突然こう言った。

「お前も弟と同じ障がい者なんじゃないの?。」

この言葉を聞いた瞬間、私は石のように固まってしまった。友達は私に気にしちゃダメだよと声をかけてくれた。先生はその男子を叱った。その時私は思った。言われたように私は普通ではないのではないだろうか。混乱して、自分のことが自分でもよくわからなくなってしまった。このような感情が生まれたのは初めてだった。

私はそれから時々、自分は「普通の人」ではないのかもと思うようになった。親にも姉にも友達にも、もちろん弟にも話すことはできなかった。自分がわからなくなる小学生なんているのだろうか。その時の私は、とにかく怖くてしかたなかった。

中学校を卒業し、高校に進学した。高校では私の周りは一変した。知っている人がほとんどおらず、新しい環境になった。私は楽しい毎日を送っていく中で、弟のことを極力友達に話さなかった。弟が「普通の人とは少し違う」ということを知られるのが怖かった。けれども二年生に進級した時、友達に弟がどこの高校に通っているのかと聞かれた。私はあまり話したくはなかった。しかし大切な友達に嘘はつけないし、つきたくなかった。弟のことを他人にこんなに話したのは初めてだったと思う。話した後の沈黙が恐ろしかった。もうダメだと思った時、友達は笑い出した。彼女は私に「変わらないさあ」と言った。そして私のことを大好きだと言ってくれた。私のことをいたわってくれた。これまでの私の思いを受け取って理解してくれた。私はこれまで毎日毎日怯えながら生きていたわけではない。ただ、私や弟のことを、誰かに受け止めてほしかった。私はこの友達を一生大事にしたいと痛いほど強く思った瞬間だった。

私は今、この機会に、私をこれまで大切に育ててくれた母に、初めてこのことを打ち明けたいと思っている。この文章を読んでもらいたい。母はどんな気持ちになるだろう。けれども私がずっと重く悩んでいたというように深く考えないでほしい。娘のいつものおみやげ話として読んでくれたら嬉しい。

そして私は「普通の人」って何だろうと思うようになった。私ははたして「普通の人」なのか、そうではないのか、今でも私にはよくわからない。ただ思うのは、人に障がいの有無を決定づけるのは、おそらくとても難しいということだ。私は今、生活に支障もなく毎日幸せを十分に感じて過ごしている。弟も同じだ、弟も毎日、たくさんの思い出を作って、成長している。私たちに何の違いがあるだろう。隣にいる友達や先輩と、車椅子で電車に乗っている人とどんな違いがあるだろう。皆同じように、日々喜怒哀楽を感じながら、自分の人生を一生懸命に生きている。誰かとかかわる時、最初から障がいの有無で区別するのではなく、まずは皆同じだという意識から始めたいと思う。少なくとも私はそうしたい。生きている誰しも同じ人間だから。そう考える人が増えることで、少しでも一人一人が平等である世界を築けたら、その世界はもっと美しくなるだろう。

すべての人々が幸せでありますようにと私はいつも願っている。

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障害児のきょうだいの事はこのブログでも扱いました。
障害を持つ子どもの「きょうだい児」 2020/04/02
不登校になった「きょうだい児」 2021/07/08
そこでも書いたことですが、一般的に言うきょうだい児問題は幼少期の問題ですが、障害のあるきょうだい児の問題は成人になっても続き、親亡き後の問題や、結婚問題なども深刻にとらえている人は少なくありません。家族だけで支え合うのは困難で、公的な相談支援や同じ境遇のきょうだい同士のピアカウンセリングなどをすすめていく必要があるということです。

川﨑海晴さんは、親友に話してやっと心に閉じ込めた弟の秘密を解放しました。きょうだいは、当事者と自分の関係性のことだけを考えているのではないという事が、この作文からわかります。普通とは何か、自分は普通なのかとういう問いから、もう一方で皆ぞれぞれの人生があり、それぞれに生きているという事においては全て同じでそれ自身が尊いことだと、違う事が同じだと言う多様性社会や共生概念にたどり着きます。障害者のきょうだいだからたどり着けるチャンスがあったとも言えます。

ワリエワが涙する奥で号泣「みんな金メダルを持っている! だけど、私は…」

ワリエワが涙する奥で号泣「みんな金メダルを持っている! だけど、私は...」

2022.02.18【THE ANSWER】

北京五輪は17日、フィギュアスケート女子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)4位の17歳アレクサンドラ・トルソワ(ROC)は自己ベスト177.13点も及ばず、合計251.73点の銀メダル。競技後は涙を流し、大荒れに。「もう二度とリンクに戻らない!」「私はこのスポーツが大嫌い!」などと言い放ったという。その詳細をロシアメディアが伝えている。

17歳の感情は堪え切れなかった。最終滑走のSP1位カミラ・ワリエワ(ROC)にミスが相次ぎ、まさかの4位。トルソワの銀メダルが確定した。しかし、リンクサイドでワリエワがエテリ・トゥトベリーゼに抱きついて涙する後ろで、トルソワも涙ながらに何やら叫んでいる。声をかけたコーチのセルゲイ・ドゥダコフ氏に促された手を振り払う素振りも見せ、感情をむき出しにした。

中継シーンに映り、海外メディア関係者らも驚かせたシーン。ロシアメディア「championat.com」はその内容を詳報し、大荒れの理由を伝えている。ワリエワは「大嫌い!」とコーチの手を振り払いながら叫び、「人生で二度とリンクに戻らない! 私はこのスポーツが大嫌い! もうすべてが大嫌い!」と言い放ったという。

さらに「このスポーツが嫌い!」と繰り返しながら、セレモニー出席を拒否。「みんな金メダルを持っている! だけど、私は持っていない。私はこのスポーツが大嫌い。人生でもう二度とやらない」「こんなのありえない、そんなのダメよ! そんなのダメよ!」などと怒りを露わに。声をかけようとしたコーチのエテリ・トゥトベリーゼ氏に対しても「いやよ! あなたはすべて知っていた。あなたはすべて知っていた」と遮ったという。

トルソワは4回転ジャンプ5本という異次元の構成に挑戦し、自己ベストを更新。しかし、金メダルのアンナ・シェルバコワ(ROC)に次ぐ2位だった。「みんな金メダルを持っている!」との発言の心中を察すると、19-20年シーズンのシニアデビュー以来、トルソワはグランプリ(GP)ファイナル、世界選手権、ロシア選手権など主要大会は2、3位続き。ワリエワ、シェルバコワらに先を越され、悔しさが爆発したことが涙の理由のようだ。

記事では「トルソワが2位になって激しく泣いた。フィギュアスケートをやめるぞと脅し、トゥトベリーゼ氏を非難していた」と紹介。「アレクサンドラ・トルソワは信じられないことをした――完全に五輪の記録となる5本の4回転ジャンプを跳んだ。しかし、そのような達成をもってしても彼女は2位だった」とシェルバコワに及ばなかったことを伝えている。

トルソワは一度は拒否したセレモニーにしっかりと出席。冷静さを取り戻し、出席した会見では5本の4回転ジャンプを跳んだことに満足した一方、結果が及ばなかったことの怒りと失望があったことを明かしたという。

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同じ17歳のメダリストでも、「アイスや、梅干し、いかの天ぷらなどが好きなので食べたい。あとは家族と一緒にたこ焼きパーティーをして、友達にメダルを掛けてあげたい」とインタビューに応えた、スノーボード女子ビッグエア銅の村瀬心椛(ここも)選手とは大違いです。まぁ、そこまで勝ち気でないとあのロシアスケーター勢の軽やかな滑りは会得できないとも言えますが、同じ選手団の仲間までディスるとは潔さがなく興覚めです。

しかし、この言動の背景にロシアの金まみれのメダル至上主義が垣間見えます。ロシアは金メダル一つで数億の金がスポンサーから約束されています。そこにコーチや監督が群がり、若いアスリートはその道具のような扱いを受けているから、こんな発言が出てくるのだろうと思います。ドーピング違反のワリエワは競技に参加できても受賞は暫定なのでその結果如何で、スポンサーは離れ、今後どんなバッシングが続くか15歳でも十分にわかるのがロシアのスポーツ界なのでしょう。演技に失敗するほどの動揺があるのは十分に理解できます(それでも十分に美しい滑りですが・・・)。

先日のスノーボード女子ビッグエア4位の岩淵選手の、渾身のトリックへの勇気を讃えて皆が駆け寄って抱き合う光景はロシアのフィギュアスケート界にはあり得ないのだろうなとも思います。五輪アスリートは若者だけではありませんが、それでも若者の祭典には違いありません。一瞬の技に賭ける清々しいアスリート像というと傲慢な視聴者目線だと言われそうですが、岩淵選手に集まったアスリートの行動こそ子どもたちに伝えたいオリンピアン精神だというのは間違いないです。

ワリエワ問題は防げなかったのか…「周りの大人たち」に批判殺到

ワリエワ問題は防げなかったのか...「周りの大人たち」に批判殺到

2/18(金) 【女性自身】

北京五輪フィギュアスケート女子で4位に終わったロシア五輪委員会(ROC)のカミラ・ワリエワ(15)。15日のショートプログラムでは首位となり優勝候補と目されていたが、フリーでは転倒が続きメダルを逃す結果となった。

今大会でドーピング問題を抱えながら出場したワリエワは、演技後に号泣する一幕もあった。
「昨年12月に行われたドーピング検査で、ワリエワに陽性反応が確認されました。禁止薬物に指定されている狭心症の治療薬『トリメタジジン』が検出されたのです。他にも禁止薬物ではありませんが、『ハイポキセン』『Lーカルニチン』も検出されました。一方でこれらの薬を組み合わせた服用は、疲労の軽減や持久力を上げるといった効果もあると言われています。

このことについてワリエワの弁護士は、『心臓病の薬を服用する祖父と同じグラスを使った』と説明。いったんは五輪出場の停止処分を受けましたが、一転してスポーツ仲裁裁判所(CAS)は彼女の出場を認めました。国際オリンピック委員会(IOC)はワリエワが3位以内に入った場合は、メダル授与式を大会期間中に実施しないと発表していました」(スポーツ紙記者)

■バッハ会長もトゥトベリーゼ氏を批判
様々なプレッシャーを抱えながらも、演技をやり遂げたワリエワ。だが、コーチのエテリ・トゥトベリーゼ氏は彼女を暖かく迎え入れなかったという。AFP通信によると、トゥトベリーゼ氏はワリエワに「なぜ諦めたの? なぜ戦いを止めたの? 説明して」と迫ったと報じている。

トゥトベリーゼ氏の対応に、ネット上では《思いやりに欠けるコーチだな》《コーチとしてどうかなと思う》と非難の声が相次いだ。

バッハ会長も18日の会見で、「テレビで選手が非常に冷たく迎えられるのを見て寒けがした。カミラの周辺は、あまり信頼できない印象を持った」とトゥトベリーゼ氏を批判。さらにドーピング問題についても、「15歳の未成年の体内に禁止薬物があることは事実。彼女に投与した者が有罪だ」とアントラージュ(周囲の関係者)が関与している可能性を指摘したという。

コーチとしての厳しさが目立つトゥトベリーゼ氏だが、一体どのような人物なのだろうか? 前出のスポーツ紙記者は言う。

「シングル選手の経験もある彼女は、’13年にロシアのアスリート養成学校『サンボ70』のコーチとなりました。’14年ソチ五輪では、団体戦金メダルを獲得したユリア・リプニツカヤ選手を育成したことで脚光を浴びることに。その後もエフゲニア・メドベージェワ選手やアリーナ・ザギトワ選手といったメダリストを輩出し、ロシアのフィギュア界に貢献しました。

その一方で過酷な指導法でも知られ、“氷の女王”とも呼ばれています。10代半ばの選手たちが摂食障害や怪我を理由に、短い期間でキャリアを終えていることも問題視されています」

ワリエワを取り巻く大人たち
そんなトゥトベリーゼ氏は、選手たちの健康管理にも細心の注意を払っているという。

「練習だけでなく、体重や健康状態も徹底管理しています。トゥトベリーゼ氏の元では、選手たちの体重は100グラム単位で管理されているといいます」(フィギュア関係者)

しかし、過去には薬物に関して疑わしい発言もあったというトゥトベリーゼ氏。テレビ朝日の報道によれば’16年に使用禁止された薬物「メルドニウム」について、’19年に行われたインタビューで「メルドニウムが使えなくなる日は分かっていた」「アスリートの疲労回復に役立つビタミンのようなものが必要だった。私たちは何か他の薬を探さなければならなかった」と語っていたという。

「ロシアでは過去に『ドーピングをすることで、安定した演技ができる』と明言したフィギュア選手もいました。さらに今大会ではROC選手団には、専属医としてフィリップ・シュベツキー氏が同行しています。

彼は’08年の北京五輪でロシアボート連盟の医師も務めていましたが、大会前に選手達に不正輸血を行ったため6選手が資格停止処分に。さらにロシア代表は国際ボート連盟主催の試合に、1年間の出場停止となりました。シュベツキー氏も’07年から’10年まで、反ドーピング規則違反で資格停止処分を受けたのです。

このような背景もあることから、今後、ワリエワを取り巻く“大人たち”の責任が追及されることになるでしょう」(五輪関係者)

ネット上では、15歳のワリエワを取り巻く“大人たち”に批判の声が上がっている。
《ワリエワたんの問題については彼女自身の責任もあるかもしれないけれどそれ以上に大人の責任を明確にしてほしい。 15歳がこんな針の筵に晒されるような対応もするべきではなかったと思う》
《ワリエワの栄光と将来をこんな形で潰した大人たちは本当に反省してほしいです、、、二度と取り戻せない取り返しのつかないことをしてしまった、普通の大人なら何も思わないわけがないです、、、》
《周りの大人はワリエワちゃんの人生を本当に大切に扱って欲しい》
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大人の責任を糾弾する声は当然だろうと思います。そして、今回のドーピング騒動は仕組まれたような気もします。12月末に採血されたサンプルがロシアのサンクトペテルブルクから検査機関のスウェーデンのストックホルムまで運ばれ『トリメタジジン』陽性反応発表に1か月以上要しています。馬車や帆船の時代ならまだしも、飛行機なら90分の距離です。

そもそも、ロシアの政治をはじめとする権力機構の裏側はソ連崩壊から30年以上たつのに未だに共産主義時代の謀略や陰謀の存在が日常茶飯に語られます。反プーチンを掲げて政治活動すると暗殺や毒殺が公然と企てられる国です。かつてのソ連領だったウクライナの東側国境に10万を超える兵力を動員して、ヨーロッパの覇権を暴力でもぎ取ろうとする国です。

ロシアの若年アスリートの人権や人生など考えているはずもないと言えば言いすぎでしょうか。ROCがフィギュア団体で金メダルを取ったタイミングでワリエワの陽性問題を発表して、得をする勢力が同じロシア内にいたのではないかと勘繰られても不思議ではありません。トゥトベリーゼ氏の冷酷さの報道は、アンフェアーなロシアスポーツ界の本質を覆い隠すためのものかもしれません。今日明日にでもウクライナに侵攻しようとするロシアの全てが信用できないというのが、世界の見方ではないでしょうか。

<リト>“葉っぱ切り絵”でフォロワー40万人超 発達障害と診断され退職、引きこもった過去も 「...

<リト>「葉っぱ切り絵」でフォロワー40万人超 発達障害と診断され退職、引きこもった過去も 「情熱大陸」で明らかに

2022年02月13日【毎日キレイ】

葉っぱ切り絵作家のリトさんが、2月13日午後11時から放送されるドキュメンタリー番組「情熱大陸」(MBS・TBS系)に出演する。会社員時代にADHD(発達障害)の診断を受け、独自のアートで生きていく道を選んだリトさんの姿に迫る。

“葉っぱ切り絵”という新たなアートを創造したリトさんは、1986年、神奈川県生まれの35歳。現在SNSのフォロワーは40万人を超える。人気の中心は30代、40代の女性。その優しい世界観がファンを増やし、作品展では涙する人も。

リトさんの作品には主に擬人化したカエルやウサギなどの動物が登場する。日常の何気ない場面を1枚の葉っぱから影絵のように切りだし、近所の公園で額縁代わりの空をバックに写真を撮れば作品は完成。SNSに投稿すると瞬く間に“いいね”がつけられていく。

ほぼ毎日、1作品を発表しているリトさん。癒やしの作品とは裏腹に意外にも毎日、苦闘していた。構想で悩み、下絵を何度も書き直す。しかしいざ、葉っぱを切り抜く段階になると一心不乱。デザインナイフ1本で1ミリに満たない穴や線を辛抱強く、確実に切り取っていく。

リトさんはここ1年でSNSの世界を飛び出し、作品展やイベントなどリアルの世界へも活動の場を広げてきた。メディアの取材も殺到し、芸能人ばりにポートレートを撮られることも。実は数年前まではサラリーマンで、失敗ばかりのダメ社員だったが、病院で診てもらうとADHD(発達障害)と診断された。退職して自分を見つめ、集中すると他のことは目に入らなくなるという短所をアートに生かそうとした。家に引きこもる彼を非難せず、支えたのが母。自分の道を見つけてほしいと、静かに見守り続けたという。

番組では、人々に癒やしと勇気を人々に与えているリトさんの姿を追いかけた。

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「大人の発達障害」に関するニュースや本が昨今多く出ています。それだけ発達障害についての認知が広まり,「自分ってもしかして…」と感じる人が増えたということでしょうか。

記事の中のリトさんはサラリーマンとして働いても失敗ばかりで,病院で診てもらった所ADHDと診断された,とのことでした。自分の集中力をアートに活かし,葉っぱ切り絵をInstagramに投稿すると様々な方の目に触れ,評判になりました。(SNS上では"バズった"というのでしょう。)

リトさん程大きく職を変えることは勇気がいるかもしれませんが,自分に合った働き方を見つけることと,それを支援する周りの存在は本当に大きいものなのだ,と感じました。それと同時に企業側もそれぞれの長所を生かし,障害のある方もそうでない方も一緒に働く工夫をする必要がある,と感じています。

リトさんの作品を見ながら,「そういえば半年くらい前は子どもが撮った写真をすてっぷのInstagramに投稿していたなぁ。」と思い出しました。子どもたちは写真を撮ることに飽きているようですが,また声をかけてみようと思います。

障がいは“異彩” アートで社会を問い直す「ヘラルボニー」【ネクストリーダー2022】

障がいは「異彩」 アートで社会を問い直す「ヘラルボニー」【ネクストリーダー2022】

2/14(月)【WWD】

双子の松田崇弥代表と松田文登副代表が率いるヘラルボニーは、知的障がいのあるアーティストの作品をアパレルやインテリアに生かすブランド事業と、アート作品のデータを幅広い用途に転用するライセンス事業を行っている。立ち上げから3年が経ち、売り上げを順調に伸ばす一方で、「障がいを“異彩”と捉える新しい価値観を広げるのが目的だから、まだスタート地点にさえ立てていない」と口をそろえる。強い意志で動く彼らの背景には、自閉症の兄の存在と、兄に向けられる視線に覚える“違和感”があった。

WWD:ヘラルボニーを立ち上げた経緯は?

松田崇弥ヘラルボニー代表(以下、崇弥):僕たちには、重度の知的障がいを伴う自閉症の兄がいる。自分のリズムが乱れるとパニックを起こすこともあるが、それが欠陥とは思わず、一緒に遊び、ときには喧嘩をして、人生を共にしてきた。でも親戚からは、「かわいそうだね」「君らは兄貴の分まで生きろよ」と言われ、冷ややかな視線を向ける人がいた。そういった、障がいを“欠陥”だと捉える反応に直面するたび、いつも気持ち悪さを抱いていた。そんなある日、障がいのある人の作品を展示する岩手の「るんびいに美術館」を訪れた。障がいを持つ人のアート表現に衝撃を受けた僕は、「こういう人と何か一緒にできないか」とすぐさま弟に連絡した。互いに別の仕事をやりながら、副業として小さなブランドを始めた。

ブランド名は「ムク(MUKU)」。最初は、障がいのある人のアート作品を柄にしたネクタイを作った。そこから、ハンカチや傘などアイテムの幅を広げ、3年前に企業としてヘラルボニーを立ち上げた。

WWD:アート作品の展示ではなく、なぜブランドから始めたのか?

崇弥:作品を展示するだけでは、“アール・ブリュット”(美術の専門教育を受けず、思いのままに創作するアート)に興味がある人にしか届けられない。僕たちは“社会の目をどう変えるか”にチャレンジしている。“障がい”や“福祉”と聞いた瞬間に耳を塞いでしまう人や、自分とは関係ないと思う人にこそ届けたい。ブランドという傘があれば、間口が広がる。

文登:ブランド以外にも、約2000点のアート作品のライセンス事業も行っている。アートデータをアパレルやノベルティに活用してもらったり、建設現場の仮囲いに使われたり。美術館やギャラリーを飛び出して、イベントや街、人々の生活にまで徐々に浸透している。

WWD:作家はどのように見つけている?

崇弥:見つけるというよりも、出会っている感覚だ。福祉施設から紹介されて出会うパターンと、自社サイトの問い合わせページで作品が送られてきて、その中で素敵だと思った人と直接やりとりして契約するパターンがある。僕らは、「障がいのある全員がアーティストだ」と発信したいわけじゃない。個性はさまざまあり、その中にすごく素敵な作品を描く人がいるだけ。その人たちを社会とコネクトさせるのが僕らの役割だ。今は153人と契約している。

文登:作品が面白くても、障がいの重さからビジネスにするのは困難だと思われている人もいる。たしかに半年に一度個展を開き、売買で利益を得るのは難しいが、データとして保管し、それを貸し出してライセンスフィーが入る仕組みなら、社会と無理なくつながることができる。

WWD:ライセンスや建設事業など、ビジネスの目のつけどころが鋭い。

崇弥:僕はかつて、小山薫堂さんの元で働いており、キャラクターライセンスの可能性を感じていた。文登は新卒でゼネコンに入社し、「仮囲いに勝機がある」と常々語っていた。どちらも前職の強みが生きている。

文登:でも、最初から順調だったわけじゃない。toB向け事業としてライセンスの話をしても、「素晴らしいことをされていますね」で終了し、受注はほとんどなかった。それでも諦めず、銀行から融資を受けて地元の百貨店に実店舗を作ったり、商品を拡充したりと、toCに振り切って活動するうちに、露出が増えてライセンスの依頼も届くようになった。

WWD:ビジネス規模が拡大し、メディアで見る機会も増えているが、“異彩を、放て。”という企業ミッションが本当の意味で伝わっている実感はあるか?

崇弥:正直、まだまだだ。今はサステナビリティやダイバーシティー、インクルージョンといった波に乗らせてもらっているだけ。この波がなくなったときに“異彩を、放て。”のメッセージが浸透しているかどうかだ。それでも、今の環境が好機であることは事実。ブームではなく、文化になれるよう、粛々と活動を行う。

WWD:今後の展望は?

崇弥:今はアートを軸にしているが、その外にも飛び出したい。究極は、障がいのある人との出会いを創ること。「ヘラルボニー」のファブリックやインテリアに包まれたカフェで、障がいのある人が働き、そこにお客さんがくる。挨拶はできないかもしれないけど、こだわりがあるからサーブや皿洗いはすごい。それを目の当たりにすれば、障がいへの考えは大きく変わる可能性がある。何かが便利になるわけでも、誰かが楽になるわけでもない。でも、生活者の思考や価値観をアップデートできたら、それこそ本当のイノベーションだ。

(WWD 美濃島 匡)
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以前も障害とアパレルに関する話題を取り上げました。今回は障害のある人の作品を社会全体に出していこう,と行動している方々です。

記事の中にもある通り,ヘラルボニーの松田崇弥代表と松田文登副代表の兄が重度の知的障害を伴う自閉症とのことでした。2人はその兄と当然のように一緒に過ごし,それが普通だと捉えていましたが周りからは冷ややかな視線を受けることがあったようです。そんな中障害のある方のアート作品に衝撃を受けた2人はそれらをハンカチ等のデザインに落とし込み,ブランドを立ち上げたそうです。

「社会の目を変える」とありますが昨今は様々な自治体や企業がインクルーシブ社会を実現するため努力をしています。しかしまだまだ「身近なこと」と感じる人は少ないようです。様々な人に目を向けてもらうため,服や小物等に障害のある方の作品を落とし込むことでより身近に感じることが出来る,と考えたそうです。

「異彩を、放て。」のキャッチコピーにある通り,障害のある方の強みを社会の中で活かし,世間にもっと浸透すればいいな,と筆者も感じます。いずれカフェを立ち上げようとしているようです。お店が出来たら,私も足を運ぼうと思います。

(右)松田崇弥(まつだ・たかや):ヘラルボニー代表。小山薫堂が率いる企画会社オレンジ・アンド・パートナーズでプランナーを経て独立し、ヘラルボニーを設立。同社のクリエイティブを統括する。“異彩を、放て。”をミッションに掲げ、福祉領域のアップデートに挑む。社名は、4歳上の兄・翔太が小学校時代に記していた謎の言葉“ヘラルボニー”から採用した。(左)松田文登(まつだ・ふみと):ヘラルボニー副代表。ゼネコンで被災地の再建に従事し、双子の崇弥代表とともにへラルボニーを設立。ヘラルボニーの営業を統括する。 PHOTO:KENTARO YOSHIDA

いじめストップ!ワールドアクション「ピンクシャツデー2022 in 神奈川」

いじめストップ!ワールドアクション「ピンクシャツデー2022 in 神奈川」

2/23(水) 【ヨコハマ経済新聞】

横浜駅東口地下2階の新都市プラザ(横浜市西区高島2)で「ピンクシャツデー2022 in 神奈川~いじめストップ!ワールドアクション」のパネル展示・チャリティーグッズ販売イベントが、2月23日に開催される。(ヨコハマ経済新聞)

ピンクシャツデーは、ピンクのシャツを着ることで「いじめ反対」のメッセージを送るキャンペーン。運動は2007年にカナダで始まり、バンクーバーがあるブリティッシュ・コロンビア州知事が2月の最終水曜日を「ピンクシャツデー」と宣言したことで、世界各国で活動が行われている。今年は2月23日がピンクシャツデー。

主催は、ピンクシャツデー2022 in 神奈川推進委員会と認定NPO法人「神奈川子ども未来ファンド」。キャンペーンを通して、人々の中にある「偏見や差別」と向き合い、多様性を認め合い、いじめをなくす姿勢を発信する。

カナダの2人の高校生の行動をきっかけに、2008年に始まったいじめ防止の取り組み「ピンクシャツデー」は、ピンクのシャツを着て登校した男子生徒がホモセクシュアルとからかわれ、いじめにあい、それを知った2人の上級生が、50枚のピンク色のシャツを買い込み、友人たちに配布。翌日、呼びかけに賛同した多くの生徒がピンクのシャツやピンクの小物を身に着け、学校中がピンク色に染まり、いじめは自然となくなったというエピソードから始まった。現在、SNSなどで世界中に広まり、180カ国以上で「いじめストップ!」に関するさまざまな活動が行われている。

いじめは、学校に認知された件数だけで年間54.4万件(2020年内閣府子ども・若者白書)が報告されている。気づかれなかったり、見過ごされるなどで認知にいたらない数を含めると数倍になると言われている。

そごう横浜店8階特設会場と横浜タカシマヤ1階婦人洋品売場では、2月1日から23日までピンクシャツデーのチャリティーグッズ販売が行われている。横浜ランドマークタワー、コスモクロック21、横浜市庁舎、横浜税関クイーンの塔などで、施設をピンク色にライトアップする関連イベントも行われる。

主催者は「ピンクのシャツや小物を身につけて、あなたも『いじめストップ!』の意思表明を」と参加を呼びかけている。

問合せは、ピンクシャツデー神奈川推進委員会事務局「神奈川子ども未来ファンド」(TEL 045-212-5825)まで。

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同調圧力を逆手に取ったピンクシャツムーブメントです。学校でこうしたムーブメントができたのは、私服が自由な欧米の学校の風潮もありますが、欧米の学校の人権感覚の高さがなせる業と思います。もしも日本の学校で制服の下にピンクのシャツやカッターを着たら生徒指導の先生が飛んできそうです。民主的な感覚を育てたり公正さを求めたムーブメントを起こす力は一朝一夕に成せるものではありません。世界に発信したカナダの一学校での取組も、きっとその背景にはこの二人の生徒の取組を温かく見守り続けた大人たちの姿があったに違いありません。

登別市議会本会議に、市議や市長らがピンク色のTシャツとマスクを着用していじめに臨んでいます。これは高校生が24日に市内で企画する、いじめ反対の意思を示す運動「ピンクシャツデー」に賛同したものです。また、昨年、台湾の閣僚らがピンクのマスクを着ける男の子を応援し、一大ムーブメントになったニュースがありました。このニュースはいじめの内容がピンクは女の子色だということでいじめられた男の子の訴えを政府が受け止めて議員や閣僚らがピンクマスクはかっこいいと宣伝した話です。台湾は未だに同調圧力の強い国ですが、蔡英文総統をはじめ政府官僚たちの意識が高い系です。

台湾は、中国からの侵略をいつ受けるかわからないと、香港民主化デモを中国政府が制圧してから緊張感が高まっています。その分、中国とは価値観が全く違うと、台湾の民主主義をあらゆるところでアピールして中国本土に民主主義はないと喧伝します。今、ウクライナにロシアが侵攻して占領する事実を作ってしまうと、中国の台湾侵攻も時間の問題と言われます。そして、中国の台湾侵攻は日本の領土保全や安全保障に大きく影を落としてきます。ピンクシャツムーブメントとは言え、民主主義の課題は平和の問題と大きく連動していると思います。

特別支援教育「全教員が2年以上の経験を」 文科省検討会議教育「全教員が2年以上の経験を」 文科...

特別支援教育「全教員が2年以上の経験を」 文科省検討会議

2/24(木) 【毎日新聞】

特別支援教育を担う教員をどう育成するかについて議論している文部科学省の検討会議は24日、すべての教員が採用後10年程度の間に、特別支援学級の担任などの経験を2年以上積むことが望ましいとする報告書案を大筋で了承した。専門性を持つ教員を育てるとともに、特別支援教育の経験を通常学級での実践に生かしてもらう狙いもある。

文科省は報告書案に基づき、全国の教育委員会に人事制度の改善などを促す。

通常の小中学校で特別支援教育を受ける児童・生徒は急増している。特別支援学級に所属したり、通常学級に籍を置きながら一部の授業を別室で行う「通級指導」を受けたりする子どもは、2011年度は約22万人だったが、21年度は約46万人と2倍以上になった。

こうした子どもは今後も増加が見込まれ、特別支援教育の担い手の育成が求められている。しかし、小中学校の校長は実践経験が乏しく、校内の一部の教員に頼るケースが多いとされる。また、特別支援学級の担任は、年度ごとに契約が更新される不安定な臨時教員の比率が高い。

報告書案はこうした現状を改善するため、「特別支援教育の経験がある教師を増やしていくことが必要」と指摘。採用から早い段階で実務経験を積むことに加え、普通学校と特別支援学校の人事交流を一層促進したり、教育委員会の幹部を登用する際に特別支援教育の経験を考慮したりすることを提案した。【大久保昂】

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昔は、と言うと「また昭和の古の話か」と思われそうですがその通りです。指導力がありリーダー格の教員が、特別支援学級の担任か教務主任かどちらかを担当するというのが、良い学校の典型でした。つまり、校長教頭は除きトップレベルの教員を支援学級担当者に充てたのです。悪い学校の典型は、支援学級の担任が経験の浅い講師であったり、通常学級で指導力不足の教員であったり、体力が持たない定年前の教員を充てる学校です。

トップレベルの教員が支援学級の担任をすることによって、学校全体の特別支援教育や多様性教育が自ずと進むのです。逆に指導力がないと職員全体から見られている教員が支援学級を担当すると、特別支援教育や人権教育が進まずいじめや生徒指導案件が噴出する傾向があったように感じました。

全ての教員が特別支援学級を担当するのは良いことですが、大事なのは適材適所だと思います。機械的に特別支援学級や通級担当者を命じられても、教科書のない特別支援学級や通級指導教室は何をどうしていいのか分からないまま1年が過ぎていきます。特に通級指導教室担当者はアセスメント力量と知的遅れのない3障害(ASD・ADHD・LD)への多くの知見が求められます。

複数で担当するなら特別支援の新米教員を数年おきに入れ替えることもできるかもしれませんが、一人担任なら子どもが迷惑です。毎年力量の低い担当者では困るのです。そもそも、通級担当者は、小さな学校では育成が困難ですから自治体の教育委員会籍で少人数のチームを作った方が良いかもしれません。教員でも指導技術は集団で学び合うという視点がないと、せっかくのアイデアも絵にかいた餅にならないように合理的なシステムを考えて欲しいと思います。

幼い日に発達障害と診断、そして... 親子で目指すピアニストへの道

幼い日に発達障害と診断、そして... 親子で目指すピアニストへの道

3/1(火)【朝日新聞】

幼いころに発達障害と診断され、その後数々のピアノコンテストで優秀な成績を収める高校生がいる。札幌市の高校1年土田裕利(ゆうり)さん(16)。年初の「ショパン国際ピアノコンクール in Asia(アジア大会)」の高校生部門で金賞を獲得。プロのピアニストを目指して練習に打ち込んでいる。

1月12日のコンクールで土田さんは、ショパンの「スケルツォ第4番作品54」と「練習曲作品25―6」を演奏。高校生部門(ホール審査)の最高賞金賞2人のうち1人と、同部門ソリスト賞に選ばれた。「ミスしたところがあったので驚いた。うれしかった」と話す。

2、3歳ごろから、空気清浄機をピアノに見立てて遊ぶ「演奏会ごっこ」に熱中した。5歳のときから、きょうだいの影響でピアノ教室に通い始めた。

しかし教室ではじっと座っていられず、黒板に落書きを始めたり外の物音を気にしたり。幼稚園でもぼんやり立っていることが多かった。心配した母智美さん(47)と診察を受けたところ、発達障害の注意欠陥障害とアスペルガー症候群と診断された。

小学4年生までは特別支援学級に通った。ピアノを弾くのは得意だったが、楽譜がうまく読めず、智美さんが五線譜を指でたどって導いた。先生に「テンポが速い」「音が強いよ」と言われるとどうしていいか分からなくなってしまう。付き添った智美さんが「ゆっくり弾いて」「弱くして」と言い換えると、どんどん上達していった。

周囲の支援も受け、5年生から普通学級に。中学校では勉強のコツも覚え、成績も上がり札幌東高へ進学した。

7歳のときから指導する札幌市中央区のピアノ教師、永井礼子さん(68)は「発達障害のお子さんに教えるのは初めてだったが、しっかり話も聞けるし困ることは一つもない」。練習曲でも情感を込めて「歌う」ように弾くのが裕利さんの特徴だという。

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ピアニストで発達障害を思い出すのは漫画『のだめカンタービレ』です。TVドラマでは野田恵(のだ めぐみ)を上野樹里がASD(であろう)のピアニストをコメディータッチに描きます。原作漫画のモデルは実在しますが、テレビドラマで上野樹里が演じる「のだめ」モデルはASDピアニストの「野田あすか」ではないかと(のだめカンタービレ: 2020/11/13) で以前掲載しました。

行動問題があると、特別支援学級に入級と言うパターンが少なくないですが、ASD児の場合小学校高学年から中学生くらいで「霧がはれる」ように社会適応できるようになる人もいますから、特支級から通常級にリリースする場合もあるはずです。でも、才能の片りんはもっと小さな時期から見せていることが多いです。それを見抜くのは芸術や音楽、科学の世界の楽しさを知っている人たちです。

発達障害だから才能があると言うわけではありませんが、好きなことをとことん追求する強い癖がある人は、その世界の人たちがそばにいると音叉のように共鳴しやすいのだと思います。天才と言われる人たちの中にASD者が多いのはそのためだと言われています。

パラリンピック ウクライナ出身選手“ハートの国旗”つけ練習

パラリンピック ウクライナ出身選手「ハートの国旗」つけ練習

2022年3月1日(火) 【NHK】

ロシアのウクライナへの軍事侵攻が続く中、3日後に開幕が迫った北京パラリンピックの会場では、ノルディックスキーのアメリカ代表選手が出身地のウクライナの国旗をハートにかたどったマークをつけて練習に臨みました。

アメリカのオクサナ・マスターズ選手は北京大会が冬と夏通じて7回目のパラリンピック出場で、1日は河北省の張家口にある国家バイアスロンセンターで練習を行いました。

1989年にウクライナで生まれたマスターズ選手は、生まれたときから両足の長さが異なる障害があり、7歳の時にアメリカ人の養女となりました。

2012年の夏のロンドン大会以降、冬と夏合わせて6大会に連続で出場していて、冬はクロスカントリースキーとバイアスロン、夏はボートと自転車の競技に出場し、去年の東京大会でも自転車で2つの金メダルを獲得するなど、これまでのパラリンピックで10個のメダルを獲得しています。

座って滑るクラスのマスターズ選手は1日、本番の会場で行われた練習で、ビブスの左胸にウクライナの国旗をハートにかたどったマークをつけて練習に臨んでいました。

マスターズ選手は、ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めた先月24日、自身のSNSで「私の心と魂はウクライナとアメリカの両方にある。今夜、ウクライナの人々と生まれ故郷のことで胸が張り裂けそう。私はいつもいつまでもウクライナの味方です」とつづっていました。

3日後に開幕する北京パラリンピックには、ウクライナの選手20人がクロスカントリースキーなどに出場する予定で、開幕前に中国入りする見通しです。

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北京冬季オリンピックと冬季パラリンピックの間隙をついて始まったロシアのウクライナ侵攻。世界中がプーチンの「旧ソ連邦・大ロシア帝国領地復活」の狂気に非難を寄せています。この蛮行について一定の「理解」を示しているのが中国です。中国はウクライナ問題には独自の複雑で特殊な歴史的背景があるとして、自国の台湾侵攻を正当化しようと躍起です。

そんな中、アメリカ選手でありながらウクライナ出身の彼女が胸に貼ったハートのウクライナ国旗を、中国とIPC(国際パラ委員会)は正当に扱ってほしいと思います。オリパラでは政治的ムーブメントを避ける事がオリンピック憲章の第50条で規定されています。競技会場や表彰式の会場などで政治、宗教、人種に関する宣伝活動を禁止しメキシコ大会では黒人差別への抗議として表彰台で拳をあげたアメリカ選手が大会から追放された例があります。

しかし、今回のロシアのウクライナ侵攻はオリパラ精神をも踏みにじっています。競技中は休戦した五輪の歴史からも、戦争が大量の障害者を作り出すことから考えても、オリパラ期間に戦争を始めるプーチンの判断は狂気としか言いようがありません。そのオリパラ中の狂気を「理解する」中国も同罪です。どのような顔をしてパラリンピックを開催するのでしょう。ウィグルやチベット、内モンゴルの民族弾圧も知らぬ存ぜずですから平気な顔ができるのかもしれません。

それでも、ロシアの中では反戦デモが全土で一斉に始まっているだけましかもしれません。中国共産党の下ではロシアの蛮行に「理解」を示した党中央は間違いだと言うSNSすら見受けられません。世界の選手は、「ロシアの蛮行は許せない。私たちの精神はウクライナ国民と共にある」と言うでしょう。中国のパラリンピック主催者はウクライナ選手にどんな声掛けをするのでしょう。中国共産党員はニコニコ笑う仮面をつけて手を振るだけでしょうか。

ワクチン 時間経過で小児は感染予防効果低下か 米調査結果

ワクチン 時間経過で小児は感染予防効果低下か 米調査結果

2022年3月2日 【NHK】

アメリカ・ニューヨーク州の保健当局などは、新型コロナウイルスワクチンの接種から時間がたつと、5歳から11歳の子どもでは感染を防ぐ効果が大幅に低下するとした調査結果を公開しました。

ニューヨーク州の保健当局などの研究チームは28日、製薬大手ファイザーの新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した5歳から17歳の子どもに対する感染や入院を防ぐ効果を調べた結果を公開しました。

それによりますと、感染を防ぐ効果は12歳から17歳はオミクロン株が主流となった去年12月中旬の時点で66%、ことし1月下旬では51%と比較的小幅な低下にとどまった一方、5歳から11歳では同じ期間に68%から12%と大幅に低下したということです。

研究チームは、5歳から11歳で感染を防ぐ効果が大幅に低下した理由について、接種するワクチンの成分の量が12歳以上の場合の3分の1と少ないことが影響している可能性があるとしています。

また、入院を防ぐ効果は1月下旬の時点で12歳から17歳で73%、5歳から11歳で48%だったということですが、重症化する子どもの数が少ないため、正確な分析をするためにはデータが不足しているとしています。

調査結果は第三者による検証を受ける前の段階のものですが、複数の専門家は今後、この年代の子どもに対し接種の成分の量を変更したり、追加の接種をしたりすることを検討すべきだとしています。

CDC「入院防ぐ効果高い」引き続き接種を推奨
アメリカCDC=疾病対策センターは1日、5歳から17歳の子どもについてファイザーの新型コロナウイルスワクチンの効果を調べた結果を発表しました。

調査は去年4月上旬からことし1月下旬までにアメリカ各地の医療機関で新型コロナウイルスに感染して救急窓口で治療を受けたり入院したりしたおよそ4万人を対象に行われました。

それによりますと2回の接種を完了した子どもでは、入院を防ぐ効果が、5歳から11歳で74%、12歳以上では接種の時期により73%から94%でした。

CDCは「時間とともに効果が低下する傾向が見られるものの、入院を防ぐ効果は高い」として引き続きこの年代への接種を推奨しています。

中山特任教授 効果減っても重症化防ぐ意義ある
アメリカ・ニューヨーク州で、オミクロン株が広がった時期に5歳から11歳を対象にした新型コロナウイルスワクチンの効果が下がっていたという結果が出されたことについて、小児科の医師でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は「ファイザーのワクチンは、11歳以下では12歳以上と比べて接種する量を3分の1にしている。11歳と12歳前後で体格はそれほど変わらないが、量を減らすと効果は下がり、免疫が持続する期間が短くなるのは想定されることだ」と述べました。

その一方で、中山特任教授は「ワクチンの本来の目的は重症化を防ぐことで、入院を抑える効果は低くても50%程度と、それなりの効果が出ている。自然に感染してしまうよりもワクチンで免疫の記憶をつけたほうがいい」と述べ、接種の意義はあるとしています。

そのうえで、子どもに接種する量をどう決めるのかは課題が残るとしていて「大人に接種する量と比べて、何を基準にどのくらい減らせばよいか検討することが必要だ。年齢だけでなく体格なども含めて考えるのか、量を減らすのはより低い年齢にするのかといったことを慎重に検討する必要がある」と話しています。

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NHKの新型コロナ感染症報道は少し偏向しているように感じます。今回新たに11歳から5歳児までのワクチン接種が我が国で始まりました。米ニューヨーク州保健局発表のグラフでは(下図)、1か月を越えると予防効果はなくなり、さらに日数経過すると逆に感染しやすくなってしまうと読めます。この報告は米国児童の場合で、重症化率の低い日本人の場合、データはありませんが更に予防効果が低くなる可能性も否定できません。

なぜ、NHKは査読前とはいえ誰もが閲覧できる報告を示さないのか不可解ですし、予防効果率を重症化率に置き換えて専門家に説明させるのも意味不明で、報道の偏りを感じます。米ニューヨーク州保健局の調査では小学校1~2年生の場合1か月たてば接種での予防効果は5%になることが分かったと言えば済む話です。そして、「量を減らしたのだから免疫の持続期間は短くなるのは想定内」という医師の考えを紹介するなら、僅か1か月しか免疫機能が持続しないワクチンを接種するのは意味がないと言う医師の考え方もNHKは紹介するべきです。

子どもへのワクチン接種は重症化の可能性がある基礎疾患のある児童だけで十分で、老齢者への感染拡大を言うならそれは老齢者のワクチン接種を徹底すればよいとするべきです。5歳児までの全ての子どもに接種券を配布して同調圧力をわざわざ作り出す必要はないと思います。少なくともメディアは米ニューヨーク州保健局のグラフを説明したうえで児童の接種の是非を多様な識者に論じさせるべきです。

障害者雇用、東京は17年連続全国最下位 大企業に集中し、雇えぬ中小企業にペナルティーのいびつさ

障害者雇用、東京は17年連続全国最下位 大企業に集中し、雇えぬ中小企業にペナルティーのいびつさ

2022年3月4日 【東京新聞】

企業に義務付けられた障害者雇用の割合「法定雇用率」を上回った企業は東京都が30.9%で全国最下位だったことが、厚生労働省の昨年調査で分かった。全国平均47%を大きく下回った。法定雇用率が2.3%(従来2.2%)に引き上げられてから3月で1年。企業の本社が多い東京の障害者雇用は大企業に集中し、中小企業では雇えていない。(山田晃史)

政府は雇用を増やすために数年に1度、法定雇用率を引き上げている。昨年3月は引き上げに伴い、障害者を1人以上雇わなければならない対象企業の規模を従業員45.5人以上から43.5人以上に広げた。

東京労働局によると、東京の最下位は少なくとも17年連続。東京の企業に雇われる障害者は全国で最も多い約21万9500人。企業数では6.8%しかない従業員1000人以上の大企業がこのうち75%を雇う。担当者は「東京は大企業の従業員規模も圧倒的に大きいため、数少ない会社が大量に雇っている。中小の採用は厳しい」と説明する。

東京の企業全体の雇用率は2.09%で、同じく全国最下位。企業規模別で大企業のみ法定雇用率を上回った。都内の中小企業団体幹部は「比較的障害の軽い人を大企業が優先して採用し、本当に配慮が必要な人が取り残される傾向がある。中小で雇うのは設備や人員的に難しい」と明かす。

横浜市立大の影山摩子弥まこや教授は「不規則・長時間勤務の情報通信業の中小企業が東京は多く、障害者の雇用が難しい」と指摘する。

◆経営体力の格差…制度の限界
障害者雇用制度は、結果の出ない企業名の公表など「ムチ」をちらつかせて雇用を促す手法に限界が指摘され始めた。経営体力の劣る中小企業でも雇いやすいよう、専門家は短時間勤務者の雇用率への算入を認めるなど制度を柔軟化するように提案している。

「技術者の求人を出しても待遇や設備面で大手にかなわないので、なかなか来てもらえない」。東京都内のIT企業の人事担当者は現状を語る。従業員300人ほどで、障害者4人を雇う。法定雇用率の達成には、数人増やす必要があるが、採用競争は厳しく3~4年ほど不足が続く。

法定雇用率に満たない従業員100人超の企業は、不足分1人当たり月5万円の納付金が徴収される。さらに雇用状況の改善が遅れている企業には、労働局から勧告や指導があり、最終的に企業名が公表される。

担当者は「社名公表は恐ろしい。採用競争が厳しいので求職者に悪印象を持たれたくない」とおびえる。「中小向けの支援はあっても、原則、雇用後に助成金が出る。でも社内の環境が整っていないと求職者が来ない」と悩みは尽きない。

大企業はグループ内の単純事務作業などを集約し、障害者を専門に雇う「特例子会社」を設けることで雇用率を伸ばしてきた。ただ、障害者雇用に詳しい慶応大の中島隆信教授は「事務作業をまとめられるのは大企業だけで、中小では活用できない」と指摘する。

現状でも職を求める障害者の多くが就職できているわけではない。東京で求職者のうち就職できているのは3割程度で、中小での雇用拡大は急務だ。

法定雇用率は、直接雇用で週20時間以上働く人のみ算入の対象になる。中島教授は、在宅勤務などの障害者に仕事を発注した際に一定割合を雇用率に算入する「みなし雇用」や、就職が難しい精神障害者らの20時間未満の勤務も算入対象にすることを提案する。「今の制度は限界が来ている。多様な働き方も雇用率に算入して中小の雇用を増やすべきだ」と話す。

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一番の問題は、障害者の法定雇用人数分の1名当たりのペナルティー額が5万円と安すぎる問題と、そもそもペナルティーで雇用を伸ばそうとする貧困な発想です。1か月の最低賃金にも満たない罰金ですし、環境改善や担当職員を準備して障害者を雇う総経費と月5万円のペナルティーを比べればペナルティーがはるかに安いです。これは、最賃の高い東京都に限ったことではなく、全国の少なくない経営者はそう考えて普通です。東京が3割だと騒ぐよりこの期に及んで全国で半分程度しか達成していないことを記事にすべきです。

資金面で体力のある大企業だからこそ、コンプライアンスの順守ができるのであって、下請けで1円2円の発注価格にしのぎを削っている中小には、自分が生き残らなければ雇用も何もありません。障害者を雇えばその雇用に必要な費用を今のように期間限定ではなく永年補助してくれるなら話は別です。現存するペナルティーも補助もどっちつかずの中途半端な政策だから障害者雇用が進まないのだと思います。障害者雇用政策は昨日今日の政策ではなく、もう何十年も続けている政策です。

長きにわたって役所が立てた目標が達成できないのは政策の問題です。政策を見直し、ペナルティーから報奨制度に変えていく逆の発想が必要です。障害者の雇用は納税者を増やす政策です。つまり福祉に税を回すか雇用に税を回すかの違いです。雇用のハードルが高ければ福祉がその肩代わりをすると言うトレードオフの関係です。だったら、働くチャンスをみんなで作ろうとするほうが前向きです。多様性社会の実現にも寄与します。微々たる罰金とケチな助成金ではなく、抜本的な政策変更が求められていると思います。

【北京パラ】IPCパーソンズ会長、拳握り叫んだ「ピース!」開会式でロシアの侵攻を断罪

【北京パラ】IPCパーソンズ会長、拳握り叫んだ「ピース!」開会式でロシアの侵攻を断罪

2022年3月4日【日刊スポーツ】

ロシアのウクライナ侵攻を受け、国際パラリンピック委員会(IPC)がロシアと支援したベラルーシを前日に一転除外した混乱の中、北京パラリンピックが開幕した。4日、国家体育場(通称・鳥の巣)で開会式が行われ、IPCアンドリュー・パーソンズ会長(45)が強く平和を訴えた。雪と氷の障がい者スポーツの祭典には46の国と地域から約560人が参加。5日に競技が始まり、アルペンスキーの滑降座位で金メダル候補の村岡桃佳(25)と森井大輝(41=ともにトヨタ自動車)の男女エースが登場。13日まで6競技78種目でメダルを争う。
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「ピーーース!」
IPCパーソンズ会長が両手拳を強く握り、最後に叫んだ平和の願いが、鳥の巣に響き渡った。演説の第一声ではロシアのウクライナ侵攻に触れた。「今夜はまず平和のメッセージから始めないといけない」と言い、「21世紀は対話と外交の時代のはずだ。戦争と憎しみの時代ではない」と、ロシアの侵攻を断罪した。

五輪、パラリンピック期間中の休戦決議が国連で採択されていることに「尊重し、守られるべきものであって、違反があってはいけない」と強調。46の国と地域が集まる今大会でパラアスリートがスポーツを通じて試合をするが「戦うのではない。競い合うのだ」と訴えた。

IPCはロシアとその同盟関係にあるベラルーシの選手について条件付きで一時、大会出場を認めた。しかし、各国からの反対を受け、両国を除外せざるを得なかった経緯がある。開幕ギリギリまで苦渋の決断を迫られたパーソンズ氏は思いがこみ上げた。

「パラリンピアンは知っている。対戦相手が敵である必要がないことを」とした上で、「世界各国の当局者に呼びかける。アスリートたち同様、ひとつになり平和、理解、共生を促してほしい。世界は共に生きる場であるべきだ。分断されてはならない」と力強く言った。

さらに「変化はスポーツから生まれる。それは調和をもたらし、人々の生き方、町、そして国をも変えることができる」とも熱弁。中国の観覧客からは拍手が起きた。【三須一紀、木下淳】

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ウクライナを進行しているロシアとベラルーシの選手の参加問題でIPC内でもめていたパラリンピックでしたが、結果的には受入れないことで落ち着きました。それまでの、混乱を打ち消すかのように、IPC会長の演説は感動的なものでした。演説の冒頭に国名こそ明らかにしないもののロシアの蛮行がオリパラ精神を冒涜するものだと厳しく断罪し、締めくくりの「平和を!」のシャウトは世界の人々の声を代表しているかのようでした。

案の定ですが、中国の国営放送では、パーソンズ会長がロシアのウクライナ侵攻を念頭に平和を訴えた発言をした際、中国語への翻訳が行われず、通訳が一時的に無言となる一幕があったそうです。ロシアとの友好関係を重視する中国にとって不都合な内容と判断され、意図的に中断したとみられます。

「差別、憎しみ、争いのない、よりインクルーシブな世界を目指す」と述べたところが翻訳されなかったそうです。中国共産党の正直な気持ちと言えばそれまでですが、テレビ局が習近平に恐れ慄いている様子がよくわかります。まさに愚民思想の骨頂、独裁国家たる所以です。

ロシアでも、ウクライナ侵攻を批判する言動は15年の懲役刑に処す法改正の報道もあります。結局、侵略国家は自国民の思想信条の自由すら脅かすことに結びついていくということです。ロシア軍はウクライナ最大の原発にまで砲撃を始めました。風向きによっては国境付近のロシア国民の健康まで脅かすこの戦術は、狂気の沙汰としか思えません。ウクライナ選手団は開会式の入場でこぶしを高々と上げ戦争に抗議をしました。さすがに中共もIPCもこの行動を政治的とみて介入することはできなかったようです。

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パラリンピック メダル授与のウクライナ選手「戦争をやめて」

パラリンピック メダル授与のウクライナ選手「戦争をやめて」

2022年3月7日 【NHK】

ロシアによる軍事侵攻が続く中、北京パラリンピックのバイアスロンで7つのメダルを獲得したウクライナの選手たちが6日夜のメダル授与式で祖国や国民への思いを語りました。

5日に行われた北京パラリンピックのバイアスロンにはウクライナの選手20人が出場し、男子6キロの視覚障害のクラスではメダルを独占するなど金メダル3つ、銀メダル3つ、銅メダル1つの合わせて7つのメダルを獲得しました。

6日夜のメダル授与式で選手たちは表彰台でメダルを受け取ったあとインタビューに応じました。

このうち、男子6キロの立って滑るクラスで金メダルを獲得したグリゴリー・ボブチンスキー選手は「この金メダルはウクライナの人たちのものだ。私はウクライナ国民、そして祖国のことを考えている。多くの人たちが戦い亡くなっている」と話しました。

また、男子6キロの視覚障害のクラスで金メダルを獲得したビタリー・ルキヤネンコ選手は「国のために金メダルを獲得できたのはうれしいはずだが今のウクライナの状況を考えると素直に喜べない。家族は空爆を受けた地域に住んでいる。私の町を攻撃しないでほしい。戦争をやめてほしい」と話しました。

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大義のない戦争で多くの人が傷つき新たな障害者が作られている中では、パラリンピックを楽しむことはできません。先月24日ロシアのウクライナ侵攻から今週木曜で2週間が経とうとしています。国際大会は政治とは無縁と言いながらナショナリズムを高揚させるし、武力攻撃があればさらにその傾向は強まりスポーツを通じて双方の国民が憎しみ合うことになります。だから、オリパラから前後1週間を含め59日間は戦争は止めようと国連で決めたのです。ロシアはこの約束を3度も裏切りました。ジョージア、クリミア、今回のウクライナです。

クリミア半島への侵略などは150年も前にオスマン帝国にクリミア戦争で敗れて失った領土を取り返すというのがプーチンの本音です。ウクライナでロシアとプーチンに批判的な大統領が当選すると、クリミア半島のロシア人を守るためだとしてクリミアを「併合」したのです。たとえ話ですが、日本に親中国政権ができたからと沖縄を50年ぶりに米国に復帰併合するのを武力威嚇して併合しても良いという理屈です。

中国も南沙諸島や尖閣諸島、台湾で同じような昔話をして、元々我が領地だと言って国際ルールを守りません。共産主義国も元共産主義国も自己正当化して全て周囲が悪いと自国に都合の良い話を作ります。今度は、ウクライナが核兵器を密かに製造しているから原発を攻撃して占領したのだと誰が聞いてもわかる嘘を大真面目にプーチンは語ります。そもそも原発攻撃はジュネーブ協定で禁止されていますが、国際法など無法国家にはないに等しいのです。

ソ連邦崩壊後、ロシア・米国・英国はウクライナの安全を保障すると言って、ソ連時代からウクライナが保有していた核兵器を放棄させたのが「ブダペスト覚書」です。もちろん、ロシアがこんな国際ルールを守るわけがないことは、2014年のロシアのクリミア併合で分かっていたことです。こんな無法なロシアからの攻撃に祖国を守ろうとする人々に自衛隊の防弾チョッキを送るとした日本政府を、武器輸出に当たると非難した日本共産党は誰の敵か明らかで、プーチンと同じ穴の狢です。ルキヤネンコ選手の「国のために金メダルを獲得できたのはうれしいはずだが」と言った言葉が心に刺さります。

ドライブ・マイ・カー アカデミー賞4部門ノミネート 作品賞は初

ドライブ・マイ・カー アカデミー賞4部門ノミネート 作品賞は初

2022/2/8 【毎日新聞】

米映画界最高の栄誉とされる第94回アカデミー賞(映画芸術科学アカデミー主催)の候補が8日に発表された。濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が最高峰の作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞(旧外国語映画賞)の4部門にノミネートされた。日本作品が作品賞にノミネートされたのは初めて。受賞すれば、英語以外の作品としては韓国映画「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)以来2年ぶり2回目の快挙となる。

また、日本作品の監督賞ノミネートは黒沢明監督の「乱」以来36年ぶり、脚色賞は初めてで、受賞すればいずれも初。国際長編映画賞でのノミネートは「万引き家族」(是枝裕和監督)以来3年ぶりで、受賞すれば「おくりびと」(滝田洋二郎監督)以来13年ぶりとなる。

ドライブ・マイ・カーは村上春樹さんの短編小説が原作。妻を亡くした演出家(西島秀俊さん)が、専属運転手となった女性(三浦透子さん)らとの対話を重ね、妻の死と向き合っていく姿を描いた。脚本は濱口監督と大江崇允さんが手がけた。今年1月の第79回ゴールデン・グローブ賞で日本作品として62年ぶりに非英語映画賞に選ばれるなど、米国内外で受賞ラッシュが続いている。

受賞発表と授賞式は3月27日(日本時間3月28日)にある。【ロサンゼルス福永方人】

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まだノミネートだけですが筆者も興味のあった映画です。昨年、カンヌ受賞の後京都シネマに来ていたのですが、タイミングが合わずに観ることができませんでした。アカデミー賞ノミネートのおかげでアマゾンプライムでも配信が始まり先日観たところですが、アカデミー賞の発表が待ち遠しい作品です。

この映画は、村上春樹の短編小説に、チェーホフの『ワーニャ伯父さん』を劇中劇として取りこんだ作品です。この点で、チェーホフの村上春樹的解釈であるだけでなく、村上の原作を超える解釈をした映画かもしれません。パク・ユリム(ソーニャ役)は、聴覚障害者で韓国手話を使う女優役として舞台へ参加します。

ポリティカルコレクトネスとダイバーシティを狙ったと最初に観客は思うかもしれません。しかし、終盤での劇中劇でパク・ユリムは圧倒的な存在となり、そんなことは快く忘れてしまいます。また、パク・ユリムが、エレーナ役のソニア・ユアンと、屋外で立ち稽古するシーンの素晴らしさも圧巻です。

妻を喪失した失意の中で西島秀俊がワーニャ伯父さん役で本番の舞台を立ち、そのクライマックスで、ソーニャ役パク・ユリムの手話の語りは、ただただ美しく、静まり返った中での彼女の手話はスクリーンを超えて観客の心を温めます。
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生きていきましょう。長い長い日々を、長い夜を生き抜きましょう。
運命が送ってよこす試練にじっと耐えるの。
ほかの人のために、今も、年を取ってからも働きましょう。
そしてあたしたちの最期がきたら、おとなしく死んでゆきましょう。
そしてあの世で申し上げるの、あたしたちは苦しみましたって、涙を流しましたって、つらかったって。

すると神様はあたしたちのことを憐れんでくださるわ、
そして、ワーニャ伯父さんとあたしは、明るい、素晴らしい、夢のような生活を目にするのよ。
そうしてようやく、あたしたち、ほっと息がつけるんだわ。
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村上春樹がモチーフとした、ビートルズの"Drive My Car"(1965, アルバム"Rubber Soul"収録)が、この原作タイトルです。ジョンとポールは、ジョークに満ちたこの曲で
「あなた、私の車を運転しなさいよ。そうよ、私はスターになるわ。そしたら、あなたの事好きになるかも。」
と歌います。「Drive My Car / 車を運転すること」とは、「愛すること」「生きること」だと、西島と霧島・三浦・朴の3女優が演じていきます。3時間は長すぎましたが、たぶんアカデミー受賞だろうなと思わせる映画でした。パク・ユリムの美しい韓国手話(日本手話とよく似ている)を観るだけでも値打ちがあると思います。