掲示板

1. 「牛乳は体にいいのか」150年論争 学校給食での提供を停止した自治体も

投稿日時: 2022/01/18 staff4

「牛乳は体にいいのか」150年論争 学校給食での提供を停止した自治体も

2022年1月17日【週刊ポスト】

昨年末、岸田文雄首相はコロナ禍の影響で消費が落ち込んでいる生乳の大量廃棄を回避するため、「牛乳の消費拡大」を求める異例の呼びかけに踏み切り、話題を呼んだ。牛乳というと、真っ先に思い浮かぶのが「成長や健康にいい」というイメージだ。昭和の時代には、多くの栄養を補えるといった印象が定着し、学校給食でも広く親しまれてきたが、振り返ってその“効果”を疑問視する声もある。

「母親から“背が伸びるから飲みなさい”と言われたけど、全然伸びなかった」(50代男性)
「“骨が強くなる”と言われて中学時代に毎日1リットルの牛乳を飲んでいたが、お腹がいつも緩かった」(40代男性)
「“よく噛んで飲め”と言われていたので牛乳を噛んでいたけれど、意味があったのか、いまだに分からない」(50代男性)

「牛乳は完全栄養食」と位置付けられてきた一方で、昨今は「牛乳を飲むと不健康になる」という話を耳にする機会も出てきた。都内在住の50代男性が語る。

「年末に実家に帰ったら、80代の親に『牛乳を飲むとがんになるから、孫には飲ませるな』と注意されました。コロナで健康に気を遣うようになり、『牛乳不健康説』に感化されたようです」

「骨粗しょう症になる」「がんになるリスクがある」といった牛乳不健康説も出回っている。さらに、3回目のコロナワクチン接種が近づくなかでの岸田首相の消費拡大の呼びかけに対し、「ワクチン接種後に牛乳を飲むと、免疫機能に異常が出る」といった陰謀論めいたインターネット上の書き込みまでみられた。一体、牛乳は体にいいのか、悪いのか。

「ここ15年くらいの間で論争が盛り上がり、繰り返されています」

そう指摘するのは、小田原短期大学食物栄養学科の平井千里准教授。

「近年の論争のきっかけの一つは、2005年頃から度々出版される牛乳有害説を唱える書籍の影響と言えます。それまで体にいいとされてきた牛乳に対して、“牛乳が逆に骨を脆くする”といった論がセンセーショナルに打ち出されるようになった。対する乳製品業界なども黙ってはおらず、多くの異議が唱えられて論争に発展しました」

2015年には、お笑いタレントの松嶋尚美が「牛乳を飲むと体内のカルシウムが尿で排出される」「乳製品を多く摂る欧米人は骨粗しょう症になりやすい」などの説をテレビで語り、炎上する騒ぎもあった。

学校給食でも牛乳の扱いに変化が起きている。15年、新潟県三条市は学校給食での牛乳の提供を停止した(給食時間と別に牛乳を飲む「ドリンクタイム」を設けたが、現在は停止)。

「最近では“米飯や麺類に牛乳が合わない”“そこまでして飲まなければならないものなのか”といった保護者からの意見も少なくありません。1954年に施行された『学校給食法施行規則』では牛乳の提供が定められていますが、三条市独自の判断が優先されたかたちです。論争の影響は学校給食にまで及んでいるのです」(平井氏)

遡ると、乳製品に対する論争は明治期から存在したとの視座もある。梅花女子大学食文化学科の東四柳祥子教授の研究によると、富国強兵策の一環として乳製品の摂取が注目され始めた1870年代の明治初期の段階で、安全性への疑いを持つ声もあったという。150年に及ぶ論争だが、前出の平井氏はこう見る。

「牛乳の栄養価の高さを疑う余地はありません。カルシウムやタンパク質にミネラルといった栄養素を豊富に含みます。ただし、飲み過ぎるとカロリー過多やカルシウムの過剰摂取で結石ができやすいといった不具合が起こることも考えられます。完全栄養食とは言えないが、適量を摂る分には体に悪いものではありません」

※週刊ポスト2022年1月28日号
------------------------------------------
ここでは、牛乳が栄養食かどうかと言う議論と給食でも嗜好が大事にされてもいいのではないかという議論がごちゃ混ぜになっています。日本人の背が伸びたのが給食牛乳の成果だと言う根拠はありません。給食牛乳をしても現代の子どもの方が骨折しやすくなっているわけですからカルシウム云々の根拠にはならないです。日本の子どもの給食で牛乳を提供するという法律のおかげで、日本の畜産業が息をつないでいると言う業界の意向に押されて給食牛乳の法律は70年近く続いているのです。子どもの健康問題ではなくこの既得権益をどう考えていくかが事の本質と言えます。

筆者が給食で一番違和感を感じたのが、米飯メニューに牛乳です。食文化としてどうなのかと同僚に聞くと牛乳で米飯を炊くメニューもあるから気にしないとのことでした。世界では牛乳で米を煮るのは珍しい事ではなく、イギリスではライスプディング、ドイツはミルヒライス、インドではキール等とどれもミルク粥風で、材料は牛乳と米以外に各国様々、作り方にも違いはあれど、共通しているのは「甘い」ということです。

世界では「牛乳+米」という式には「=おやつ」という答えを出している国が多いようなので、つい米を主食にする者として、反射的に非難がましい想いがわいてきます。しかし、我が国も米にあんこをまとわせて食べていますから米に甘い味付けは日本ではありえないとは言えないなと批判はあきらめましたが、米飯メニューに牛乳が出るのと牛乳で調理するのでは意味が違うではないかと密かに思っています。