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みんなちがってみんないい

発達障害のある大人

発達障害のある大人は、「相手の気持ちを読めない」「注意のコントロールが苦手」などの特性のため、子どもの頃から集団に馴染めないということが起こりがちです。そのため、いじめを受けたり、なんとかして周囲に合わせようと無理をして、苦しい思いをしてきたという人も少なくありません。それなのに、なぜ大人になるまで発達障害があると分からなかったのでしょうか?

考えられるのは、周囲の環境や人間関係によってカバーされていた場合です。学校では、決められた日課に沿って生活し、与えられた課題をこなしていれば、人付き合いが苦手であってもあまり問題にはなりません。勉強ができれば、多少場違いな行動があっても、先生や親がフォローしてくれるでしょう。家族や先生、仲のいい友達といった限られた人間関係の中では、発達障害の特性も「個性的」ということで認めてもらえていたかもしれません。しかし社会人になると人間関係は複雑になり、いろいろな人とやりとりをしなければならなくなります。相手の表情や空気を読み取ったり、周囲に合わせて行動するなど、高度なコミュニケーション能力や社会性を要求されるようになります。また仕事や学習においても、人から与えられるものだけでなく、自ら計画を立て、主体的にアプローチしていくことが求められます。そうした周囲からの要求によって、それまで潜在的にあった特性が一気に浮かび上がってきて、社会生活に支障をきたすということが考えられます。

また、発達障害という概念が知られるようになってきたのはごく最近であり、以前はその特性からもたらされる失敗や困難さを、本人の努力不足や親の育て方のせい、とされることはよくありました。いまでもそうした傾向は残っています。そんな誤解の中で自らの特性や対処法を学ぶことなく育ち、社会に出てから頑張って働こうとしてもやはりうまくいかず、深く傷つく中でようやく「発達障害」という言葉と出会い、診断を受けた、というケースも少なくないのが現実です。さらに、せっかく医療機関を訪ねても、成人を診る精神科医の中で発達障害のことがよく理解されておらず、統合失調症など、他の疾患と誤診されることもありました。そのため、誤った治療を受けて苦しんだという人もいます。

自分の「生きづらさ」の原因がわからず、周囲からも理解されず、マイナスの経験が積み重なっていくことは、「自分は周囲に受け入れられていない」という感覚を抱いたり、“普通”になろうと無理な努力を重ねたりすることにつながり、その結果として社会的な不適応を起こしやすいといえます。ある研究によれば、ひきこもりの人たちの3割に発達障害があったことがわかりました。しかもそのほとんどは本人も家族も気づかず、診断されていない人たちです。現在も発達障害に気づかないまま、社会適応がうまくいかず、苦しんでいる人たちは数多くいると考えられます。しかし、大人になってからわかった場合でも、悪化を防ぎ、治療を進めることはできます。発達障害の特性を踏まえた環境の調整、生活の工夫、ソーシャルスキル・トレーニングなどと組み合わせていけば、状況を改善していくことは可能です。

 

人手不足

福祉と介護業界においては、人手不足が年々深刻化してきています。ハローワークなどの公的な就職機関や民間の就職サイトなどを見ても、介護や福祉に関わる求人件数は他の業界を圧倒するほどの数になっています。しかし、一方でそれら求人に応募した人材の多くがすぐに退職をしてしまうという例も多く、せっかく採用をしても長く定着してくれるスタッフがいないことがまた次の人手不足を生むという悪循環を生み出しています。

人手不足と言われ続けている福祉・介護業界ですが、2013年の調査では、介護の現場で業務に従事している人数は約100万人とされているところ、実際に必要であると計算されている従事者数はなんと約140~160万人と言われています。少なく見積もっても約40万人が不足しているという計算ですから、いかにその負担が大きいかということがうかがえます。

人手不足の理由はいくつかありますが、それは主に職場内の待遇が他業種に比べてあまりにも悪いということが挙げられます。力仕事を伴う長時間労働にもかかわらず給与水準が非常に低く、また決定的にスタッフ人数が足りないために一人あたりの仕事負担が多いということがそんな職場の不満を生み出してしまっています。問題点は多方面から言われているものの、これまでのところ決定的な解決方法はまだ見つけられていません。

そして、児童福祉でも同じような現象が想定されます。保母が足りないだけでなく、指導員も正規は足りません。福祉は低賃金で人手不足でよけいに休暇が少ない。障害や子どものことをよく知らない事業主が経営して、預かればいい集めればいいという本音が見え隠れする。個人経営も多くブラックだという印象があるのも否めません。風評が悪循環を起こしている感も否めません。私たちにできることは、こういう風評を駆逐すべく発信をし続けることくらいですが地道に頑張りたいと思います。

模倣と発達

支援者は良かれと思ってスポーツやゲームの様々な模倣を子どもにさせようとしますが、子どもにとっては時として意味不明なリクエストを支援者から求められていることになる場合があります。子どもに模倣で獲得させようとする時、子どもの発達段階を良く見極めておく必要があります。

模倣には、大きく分けて2種類の模倣があります。音や声を聞いてその通りに発声する「音声模倣」、人の動きを見てその通りに身体を動かす「身体模倣」と整理することができます。身体模倣は、発達の初期には、他者が楽器やおもちゃを操作するのをみて真似る(例:太鼓をバチでたたくなど)ことから始まります。まねっこ遊びが難しい子どもの場合は、いきなり身体の動きを真似させようとするよりも、道具の操作模倣から始めるようにします。

発達において、模倣が未形成な段階だった子どもが、次第に模倣の能力を高めていくことはとても重要な意義をもちます。
(1) 人の動きをもっとよく見ようとする認知が育つ
(2) 動きや音の細かな違いを見分けよう、聞き分けようとする弁別の力が育つ
(3) 動きの速度や強さ、身体部位の位置関係などをコントロールする運動調整力が育つ
(4) 他者を意識し、他者に合わせようとする社会性が育つ
(5) 日々のできごとをあとになって模倣表現したり、生活場面のみたてあそびをしたりするようなイメージする力の基礎的条件が培われる

テレビ番組の参加などで出て来る子どもは、モデルとなる動きを見て、その場ですぐに新しい形を真似をしていますが、あれはオーディションがあります。できる子やまぁまぁの子、できないけど場の共有ができる子を選んでいます。全く関心のない子は選んでいません。予備選考ではテレビの前で一緒に模倣したり体を揺らすなどして興味深く見ているかで選考しています。従って、そこまで対応の力が育っていない子にとっては、あの模倣は難しすぎる課題になります。療育現場などで模倣を学習させる場合には、模倣の内容の難易度をおさえて指導を行うことが大切です。
(1) 身体接触型から非接触型へ
「頭、肩、膝、ポン」の歌遊び、拍手、ちょうだいのサインなどは、身体部位に直接触れる動作を模倣します。これは、運動の終わりを伝えやすく、姿勢も保持しやすいため、非接触型の動作(両手を「前へならえ」の姿勢に保つなど)よりも早くから真似しやすい動作であると考えられています。
(2)座位模倣から立位模倣へ
いすに着席した姿勢で模倣をさせたほうが、立位で模倣させるよりも簡単です。これは、姿勢保持の面で安定しやすいということと、モデルとなる人の動きを目で追うときに視線が安定しやすいということが関係しています。
(3) 左右対称模倣から非対称模倣へ
両手を同時に挙げる、両足を同時にひらくなどといった左右の手足を同側的に動かす模倣は、左右が別々の動きをする模倣よりもやさしくできます。左右で別々の動作を行う非対称型の模倣は、運動の方向性を調節するという身体機能の発達だけでなく、2つことを同時に考え続けるだけの記憶や注意といった認知機能の発達が必要になります。
(4) 正中線を越えない肢位から越える肢位の模倣へ
右手で左耳をさわるなどのように、正中線(身体の中央を頭から縦にとおる線)を越えるような動きが入ると模倣は一気に難しくなります。まずは、正中線を越えない動きの模倣から始め、つぎに片手だけが正中線を越えるような動き、そのあと、両手が正中線を越える動きや交叉がある動きなどのように難易度を上げます。
(5) 静止姿勢の模倣から連続動作の模倣へ
静止する姿勢の模倣のほうが、連続動作の模倣よりも早く獲得され始めます。ただし、ジッとしていることが苦手で多動傾向が見られる子どもの場合は、静止姿勢のほうが困難であるということもあります。連続動作が全般的に苦手な子どもであっても、大好きなヒーローの変身シーンのような意味をもつ動きの模倣は得意という子どもがいます。音楽や映像などを用いるとイメージが浮かびやすくなりますので、支援の手立てのヒントにします。
(6) 左右の広がりから前後の奥行を用いた模倣へ
前後、左右、上下などの空間・位置関係を模倣に用いる場合は、いすを用い、自分といすとの位置関係を模倣させることから始めると理解がすすみます。特に前後の奥行を教える場合は、左右よりも見分ける力が必要になるため、いすを基準にすることで自分の立ち位置、姿勢、動きが伝わりやすくなります。
(7)記憶した動作を再生する模倣へ
モデルの動作を一度記憶し、モデルがない状態でも再現ができるようになると、より高度な模倣が可能な段階に入ったということになります。

身体の動きの不器用さがみられる子どもたちの中には、まねっこあそびを嫌がる子どもがいます。嫌がり方もさまざまです。うまくできないことを隠すかのように、わざとふざけることもありますし、他児のじゃまをするような行動をとることもあります。みんなの前で失敗することを恥ずかしいと思う気持ちが強い場合、子どもがモデル動作を示す役になり、大人が失敗してみせるなど、上手に笑いのタネに変えていきながら、楽しんで取り組める雰囲気が必要です。でも一番大事なことは子どもがわかる段階の模倣を選ぶことです。

発達性協調運動障害

全身運動や手先の操作においてぎこちなさのある子どもは、不器用とみなされてきました。ところが、不器用を障害の一つとして位置づけて「発達性協調運動障害」と呼ぶようになり、医師や作業療法士がアプローチを行うようになりました。英語ではDevelopmentalCoordinationDisorderといい、DCDと略記されます。単独で診断名がつくケースもありますが、自閉スペクトラム症(ASD)・注意欠陥多動性障害(AD/HD)・限局性学習障害(SLD)などを併発する例が多いです。

発達性協調運動障害は国内外で関心を集めており、日本でも2016年に日本DCD研究会が開催され、その後は日本DCD学会として正式に発足しました。ここには医療・福祉・教育など多様な分野の人が集まっています。世界的にも小児・発達障害領域では高い関心が寄せられています。

発達性協調運動障害の子どもは、全身を使った粗大運動と、手先を使った微細運動の両方に困難感があります。●なわとびを跳べない●自転車に乗れない●ボールをキャッチできない●ジャンプのときに足がばらばらになる●スキップができない。このように、手足を協調的に動かす場合をはじめとして、視覚的なターゲットやリズムなどに協調して体を動かすときにうまく遂行できないケースが多いです。乳幼児期の運動発達は個人差も大きいですが、ハイハイなどの運動の獲得に遅れが生じているとDCDのリスクが高いと考える人もいます。

また、手先を使った微細運動では、学齢期に図工、音楽などの授業でつまずきが認められ、顕在化する例も少なくありません。●リコーダーや鍵盤ハーモニカを吹けない●コンパス・定規・消しゴム・はさみの操作が苦手●ノートのマス目に文字をかけない●筆圧のコントロールが難しい●エプロンや靴のひもを結べない●服のボタンをとめることができない●箸の操作がうまくできない。このように、「不器用」によって生活や学習に影響が及ぶ場面が多いです。体育・図工・音楽などの教科学習が苦手な子どもを「ただの不器用」として軽視しないで本人の困り感を把握する必要があります。不器用によるニーズを抱えた子どもには、幼児期など早期からできるトレーニングを行うことが望ましいです。

療育場面で子どもの状態を評価するときは、運動機能だけに着目するのではなく、多角的に分析していくことが大事です。発達障害領域の療育場面では、保護者からの聞きとりが非常に重要です。生活上のニーズや達成したい目標などを丁寧に聴取します。指示が理解できる子どもでは、評価スケールを使って運動機能を分析します。観察評価から得られる手がかりも多いですが、こうした記録を残しておくと、あとで比較する際にも役立ちます。

運動だけでなく、認知面・行動面を併せて評価することが大切です。運動の不器用だけでなく、マス目や図形などの視覚情報をうまく処理できず、書字や描画でつまずいている可能性もあります。また、不器用の原因が注意集中に課題があるために、手先を使った活動が大ざっぱになっているという場合もあるので、多角的に状態を分析していくことが重要です。

運動が不器用であっても、繰り返しさまざまなトレーニングを行っていくと成果は上がります。作業療法などでトレーニングを長く行ってきた子どもと、なにもしてこなかった子どもでは、非常に大きな開きがあると言われます。運動のスキルは経験的な影響も受けるので、ちょっとした遊びの工夫が大事です。

発達性協調運動障害の子どもでは、筋肉の緊張が低いために体をうまく操作できないとか、運動経験が乏しいためにパフォーマンスが低いなど、さまざまな背景要因があります。筋肉が柔らかく、体がくたっとしている子どもには、丸太型のブランコにしがみついて、全身に力を入れる運動などを準備として行っておくと、そのあとに行う運動学習に役に立つかもしれません。

協調運動と一言でいっても、そのバリエーションはさまざまです。粗大運動であれば、マス目に合わせてジャンプする運動をしたり、ブランコに乗りながら輪投げをする活動をしたり、さまざまなトレーニングをすることができます。リズムに協調した運動が苦手であれば、手拍子に合わせて運動するような練習も効果的です。微細運動の場合は、机上で線引き課題を行ったり、ジェンガなどで力加減のコントロールを行ったりといった活動をしてみると良いです。

「体育でなわとびができなくて困っている」「中学校で上靴が指定されるので、靴ひもを結べるようになりたい」など、具体的なニーズがあがってくることも多いです。なわとびの場合は、まずフラフープを回しながら輪の中をくぐる練習から始めたり、タオルを両手に持って縄を回す運動だけやってみるなど、工程を細分化します。靴ひもの場合は、色の違う2本のひもを使って手順を学習していくなど、その子どもが理解しやすい手がかりを見つけて練習していきます。

発達性協調運動障害の子どもは、単に不器用であるだけでなく、幼稚園や学校の活動で困っていることがある例が大半です。もちろん運動ができれば良いというわけではありませんが、子どもたちが自信を持って活動や学習に取り組めるよう、療育でフォローしていくことはとても大切です。また、工作や調理等では作る楽しさがすぐに味わえる、逆言うとどうせできないなどと自尊感情を下げない教材の工夫が求められます。

前思春期

「思春期」と聞くと、ティーンエージャーの時期と思いがちですが、実は、小学校の中学年あたりから、助走は始まっています。「今までは学校や友達のことをよく話してくれたのに、最近はなんだか無口。こちらから聞くと、なんだかめんどくさそうで無愛想になった」「きちんと整理整頓するタイプだったのに、最近では部屋や机の上が物置状態!」「最近、まわりの目をすごく気にするようになった」……。それまでは純粋で元気な子どもだったのに、小学生4年生あたりから子どものこんな変化を不安に感じる大人は多く見られます。そろそろ思春期の前触れ「前思春期」なのです。

一口に思春期といっても、年齢によってその表れ方に微妙な差があります。個人差はありますが、第二次性徴がはじまるのが9、10歳ごろ。ホルモンの分泌が盛んになり、成長へ体力が取られて、体内バランスが崩れやすくなる時期です。また、心理の面から考えると、自我が芽生えるのも10歳前後です。自我が芽生えると、幼い万能感が薄れて、現実が見えてきます。正式な思春期の一歩手前を「前思春期」と呼びます。

不機嫌だったり、イライラしていたりと思春期特有の態度は、体内の変化に要因があります。性ホルモンや成長ホルモンといったさまざまな脳内物質の分泌が活発になると、体調も不安定になりがちなのです。とくに、11、12歳くらいは体や脳が急激に発達する時期。思春期のはじまりです。感情中枢も刺激を受けて、イライラしたりだるくなったりと、本人もどうしたらいいかわからないくらい不安定な時期です。

さらに、自我の発達により、自分とほかの人との間で大きく感情が揺れ動く体験をするのもこの時期です。友達と自分を比較して、自分の実力を実感することで自信をなくしたり、自尊心がぐっと低下することもあるでしょう。少し先を想像する力もついてくるので、さまざまなことへの不安を感じるようにもなります。だから、小グループをつくって、徒党を組んで行動したがります。小さな集団は形を変えつつもその構成員である子どもは属性を拠り所とします。逆に友達のいない子どもは一気に所在がなくなります。高学年時にはどの集団にも属さず独りぼっちだったというASDの子どもは少なくありません。これはASDの子どもは徒党を組むことに関心が少ないからでもあります。

とにかく、思春期前後の子どもはかなりハードな環境にあるのだということを、大人はまず認識しておきましょう。子どもだって、好きでイライラしているわけではないのです。いろいろしんどくて、大変な時期なんだなと大人が知っておくだけで、対応もずいぶん変えられるはずです。大人が理解していれば、子どもの不愛想な態度にいちいち腹を立てることがありません。よけいな言い争いも回避することができます。この時期の子どもに、大人にぜひやってほしいのは、言葉に頼らず、子どもをよく見て観察することです。表情や部屋の様子など、さりげなく見守ってあげましょう。自尊心がぐっと低下しやすいときなので、なにかひとつでも子どもが得意なこと、頑張っていることに注目してください。子どもが、自分はこれが得意だ好きだと確認することで、励みになります。

体が変化することは自分の意思によるものではないので、子どもは不安で仕方ないのです。この不安をとりのぞくには、「知識」をつけてあげることです。体の変化はなぜおこるのか、なぜ気分が晴れないのか。それが成長の一過程であり、生理的な現象であることがわかれば、子どもの不安はかなり解消されるます。無邪気だった低学年の頃に比べて、なんだか憂うつ。この年代の小学生は、いつもブルーなのです。思春期は、大人ばなれ、子ばなれの時期。それまでの子育てをシフトする機会でもあります。子どもは大人と少しずつ距離をとり、自分の世界を構築していくので、大人と話したくなかったり、話したくないことが出てくるでしょう。大人の干渉がうっとうしいのも、ある意味健全な成長の証拠です。

子どもの群れる意味

昔、子どもの遊びは「群れる」ことが当たり前でした。そしてその群れの多くは異年齢集団です。遊びは年上の子から年下の子へと受け継がれ、遊び方やルールも異年齢ならではのものがありました。ガキ大将は年下の子の面倒を見なくてはつとまらず、勝手な振る舞いをすればトップの座から追いやられました。遊びのルールは、年下の子を同じ遊びに入れ「遊ばせてやる」ための特別措置が必要でした。大人が意図的に仕組まなくても、こうした集団の中で他を思いやったり自分たちだけの「掟」やルールを作ったりする体験を積むことができていました。これは学校の「学年別集団」では経験できない、貴重な「文化」でした。

現代を生きる子どもたちの多くは、残念ながら集団の中での振る舞い方を体験的に身につけてきていません。それは彼らの責任ではなく、社会、とりわけ子どもの周囲にいる大人の責任ともいえます。しかし、だからこそ私たちは集団で遊んだり遊びを創造する経験を持たせたいと強く願っています。「群れて遊ぶ」ことの意味や価値を知らしめなければ、今後そうした経験をしないまま大人社会へと巣立ってしまいます。

以前、ギャングエイジについて書きましたが(11/7「9歳の壁」「10歳の節目」)、同世代で群れるのと異年齢で群れるのではその構成論理は全く違います。同世代で群れの原理は排除と強者の論理ですが、異世代の群れは多様性の享受であり弱者の擁護と公正の追求です。いじめが仮に生じても、長期化しません。必ずトップが介入して、不正を修正するか排除します。だからこそ従う子どもたちの憧れは強固なものになるのです。そしてそれは細部にまで模倣されて群れの存続につながります。異年齢集団は、民主主義や道徳のあれこれの小難しい理屈を並べなくても、人として何が価値ある振る舞いかを体現します。そこに大人も学校も必要なかったのです。私たちは、この子どもの自然を回復するためにだけ役割があると言っても過言ではありません。

 

ハローワーク

ハロワークに求人募集してきました。1月からは自社でのネット登録の仕様が変わるそうで、今回は直接ハロワークに来てくださいとのことで、京都駅の横にある七条職安に行ってきました。来ているのは求人ばっかりでした。ネットで検索できるので、ハローワークに来るのは、失業保険の手続きの方が多いみたいでした。

今回登録した内容は
以下の通りです。

皆さんのお知り合いにもこのURLを示してご協力ください。見に来るだけでも大歓迎です。

求人番号
26020-32103691
求人情報の種類
一般(フルタイム)
事業所名
特定非営利活動法人 ホップすてーしょん
電話番号
075-924-5010
FAX番号
075-924-5020
代表者名
所長 田中 一恵
所在地
〒617-0006  京都府向日市上植野町樋爪6-9
事業内容
障がいのある小学1年生から高校3年生までの児童に、授業の終了後や学校の休業日に生活に必要なプログラムを提供し、遊びや体験を通して健全な育成が図れるよう支援をしていく事業です。
職種
放課後等デイサービス指導員
就業形態 フルタイム
産業 医療,福祉のうち児童福祉事業
定年制 あり 一律 65歳
雇用形態 正社員
再雇用 あり 70歳まで
加入保険等 雇用 労災 健康 厚生  
年齢 44歳以下
年齢制限の理由 長期勤続によるキャリア形成のため若年者等を対象
雇用期間 雇用期間の定めなし
就業時間
(1)10:00~18:00 又は09:00~18:00の間の8時間程度
週所定労働日数

時間外 あり 月平均12時間
休憩時間 60分
賃金 月給
a 基本給(月額平均)又は時間額
180,000円~200,000円
a + b
180,000円~200,000円
b 定額的に支払われる手当
c その他の手当等付記事項 資格手当:5,000円  (教員免許、保育士、福祉士等)
賞与 あり 前年度実績 年2回・計4.50月分

休日 日 他 
入居可能住宅
年間休日数 105日
週休二日 毎週/*年末年始・夏期3日  
利用可能な託児所 なし
育児休業取得実績 あり
就業場所 京都府向日市
沿線 阪急京都線
従業員数 企業全体:7人 うち就業場所:7人 うち女性:5人 うちパート:5人
採用人数 2人
通勤手当 実費支給 上限あり 月額:10,000円 
マイカー通勤 可 /駐車場自己負担 なし
転勤 なし
仕事の内容
・障害のある子どもたちの療育(個々の子どもの課題に応じ た生活や遊びの指導など) ・レクリエーション等の行事の企画、運営  ・文章作成(個別支援計画書等。作成の仕方はレクチャーし ます。スタッフで協力して作成していきます)  ・子どもの車での送迎
学歴 短大卒以上
必要な経験等 不問
必要な免許・資格 普通自動車免許(AT可)  ペーパードライバーでない方
選考方法 面接 書類選考 その他(作文・実習)
選考結果通知 7日後
応募書類等 ハローワーク紹介状 履歴書→写真添付 職務経歴書 その他(運転免許証)
選考日時 随時
求人条件にかかる特記事項
※バイク・自転車通勤:可  ※駐車場自己負担 なし  ※選考結果:7日後  ※昇給制度あり 前年度実績あり    ※賞与制度あり 前年度実績あり
備考 ※教育・福祉関係の有資格者の方は、資格証をご持参お願 いします    〈コメント補足入力あり〉

 受理日 令和元年11月21日
有効期限日 令和2年1月31日
受理安定所 京都七条公共職業安定所 

 

 

てんかん(その1)

人間の体には、神経が張りめぐらされ、その神経の中を弱い電気信号が通ることによっていろいろな情報が伝達されます。脳には神経細胞が集合し、さまざまな情報を処理しています。たとえば、目や耳から入る情報、皮膚で感じる情報、匂いや味などの情報は、神経を通じて脳に伝達されることによって、「きれい」「暑い」などと感じます。逆に、脳からの命令、つまり、「話す」「走る」などのように、意識することによって体を動かすこともします。さらに、意識していない心臓の動きの調節や呼吸なども脳からの命令であり、感情・情緒・理性などの精神活動や記憶も制御しています。このような働きのある脳内の電気信号が何らかの原因で一斉に過剰に発生するとその部位の脳の機能が乱れ、脳は適切に情報を受け取ることや、命令ができなくなり、体の動きをコントロールできなくなります。この電気信号の一斉の過剰発生をてんかんと呼びます。

大脳は、中央の溝を境に大きく左右(右半球と左半球)に分かれています。そして、右半球は左半身を、左半球は右半身の神経を調整し、また脳は各部位ごとにそれぞれの働きを担っているため、電気信号の乱れや興奮が起こる部位によって発作の症状が変わってきます。てんかんの方は、発作の起こる部位が決まっているために、発作ごとに同じ症状が繰り返されます。たとえば、手を動かす神経の部位で過剰な電気的興奮が起こると手のけいれんが起こり、言葉の部位で起こると言葉がしゃべれなくなります。

脳の神経は興奮と抑制がバランスよく働いています。車のアクセルとブレーキのように、興奮が強くなりすぎると抑制側の神経が働いて興奮を抑える、というようにバランスを取ります。しかし発作が起こる時には、興奮系の神経が強く働いたり、抑制系の神経の力が弱まることで、激しい電気的乱れ(過剰興奮)が生じます。

脳は、中央の溝を境に右半球は左半身、左半球は右半身の神経を調整し、大脳、小脳、間脳、脳幹などから構成されています。その中で、人間らしい複雑な行動をコントロールするのが大脳です。大脳は、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉の4つに分けられ、それぞれの部位によって働きが異なります。前頭葉:手足など、体の各部を動かす指令を出す働きの他に思考・推理・理性・学習・選択などの高度な情報処理をつかさどります。頭頂葉:皮膚や耳などから入る感覚情報を分析したり空間を認識します。後頭葉:人の顔や物の形など、目から入った情報を認識します。側頭葉:耳から入った音や言葉の情報や情動に関係します。側頭葉の内側には、記憶に関わる領域である海馬(かいば)があり、てんかんの焦点(発作が起こり始める部位)となることが多い部位です。てんかん発作が起こる部位でどんなダメージを受けるのかこの部位によって推測ができるわけです。次回はてんかん発作のタイプについて書きます。

てんかん(その2)

部分発作は、過剰な電気的興奮が脳の一部に限定されて起こる発作です。意識がはっきりしている単純部分発作と、意識障害が伴う複雑部分発作に分けられます。なお、部分発作の中には、限定された部位の過剰な興奮が大脳全体に広がるものもあり、部分発作に続いて全般発作がみられるものがあります。発作の始まり方から部分発作に含まれますが、次の段階で電気的興奮が広がっていくことから、「二次性全般化発作」と呼ばれます。
(1)単純部分発作
本人は意識があるため、発作の始まりから終わりまで、症状をすべて覚えています。過剰な電気的興奮を起こす部位によって、運動機能の障害(手足や顔がつっぱる、ねじれる、ガクガクとけいれんする、体全体が片方に引かれる、回転する等)、視覚や聴覚の異常(輝く点や光が見える、ピカピカする、音が響く、耳が聞こえにくい、カンカンと音が聞こえる等)、自律神経の異常(頭痛や吐き気を催す等)など多彩な症状を自覚しています。
(2)複雑部分発作
意識が徐々に遠のいていき、周囲の状況がわからなくなるような意識障害がみられる発作で、本人には記憶障害がみられます。しかし、意識障害中に倒れることは少なく、 たとえば、急に動作を止め、顔をボーっとさせるといった発作(意識減損発作)や、辺りをフラフラと歩き回ったり、手をたたく、口をモグモグさせるといった無意味な動作を繰り返す(自動症)などの症状があります。
(3)二次性全般化発作
単純部分発作または複雑部分発作の症状から始まり、ほとんどの場合は強直(きょうちょく)間代(かんたい)発作に進展します。発作が始まる前に「前兆」がみられ、意識が消失します。症状だけでは強直・間代発作との見分けが難しいですが脳波の測定により弁別できます。

全般発作は、大脳の両側にまたがる広い範囲で過剰な興奮が起こることで発生する発作です。発作時には、ほとんどの人は意識がありません。
(1)強直間代発作
突然発症して、強直発作と間代発作を起こします。発作後は、自然睡眠(終末睡眠)と呼ばれる30分から1時間くらいの眠りに移行することがありますが、その後は普段の生活に戻ります。発作直後は意識がもうろうとしていますので、物にぶつかったり、熱い物に触ってやけどをするなど、発作そのものよりも、もうろう状態での事故も少なくないので注意が必要です。強直(きょうちょく)発作:突然意識を失い、口を固く食いしばり、呼吸が止まり、手足を伸ばした格好で全身を硬くしていきます。数秒から数十秒間持続します。強直したまま激しく倒れ、けがをすることもあります。間代(かんたい)発作:膝などを折り曲げる格好をとり、手足をガクガクと一定のリズムで曲げたり伸ばしたりするけいれんが起こります。一般には数十秒で終わりますが時に1分以上続くこともあります。
(2)脱力発作
全身の筋肉の緊張が低下・消失するために、くずれるように倒れてしまう発作です。発作の持続時間は数秒以内と短く、発作と気づかれにくいこともあります。
(3)欠神(けっしん)発作
数十秒間にわたり意識がなくなる発作ですが、けいれんを起こしたり、倒れたりはしません。話をしたり、何かをしているときに、突然意識がなくなるので、急に話が途切れたり動作が止まったりします。注意力がない、集中できない、などと思われて、周囲の人がてんかん発作であることに気が付かないこともあります。学童期や就学前に症状が現れることが多く、女児に多い発作です。
(4)ミオクロニー発作
全身あるいは手足など、どこか一部分の筋肉が一瞬ピクッと収縮する発作です。瞬間的な症状のため、自覚することが少ない発作ですが、連続して数回起こることもあります。また、転倒したり、持っている物を投げ飛ばしてしまうほど症状が強いこともあります。光によって誘発されることもあり、寝起きや寝入りに起こりやすい傾向があります。

てんかん重積状態とは、発作がある程度の長さ以上続く状態、または短い発作の場合でも繰り返し起こってその間の意識がない状態で、生命に危険が及ぶ可能性があります。従来は、発作が「30分間以上続いた場合」に重積状態とされていましたが、最近の考え方では5分から10分間以上発作が続く場合はてんかん重積状態と判断しててんかん治療を開始します。

てんかん(その3)

てんかんは、主に抗てんかん薬により治療します。抗てんかん薬はてんかん発作を起こさないように、大脳の過剰な電気的興奮を抑える働きをもっており、発作を起こす可能性のある間は、続けて飲む必要があります。現在、日本には多くの種類の抗てんかん薬がありますが、抗てんかん薬はどのような発作に効果があるかわかっていますので、医師は発作のタイプを考慮し、また年齢や性別、体重、合併症や服用中の薬との飲み合わせ、過去の副作用の経験なども考えてその人に合った抗てんかん薬を選びます。

どんな薬にも共通しますが、すべての人に効く薬はありません。てんかん発作のタイプによって使用する抗てんかん薬の種類や量が異なります。また、同じてんかんでも、年齢や性別、体重、合併症や現在服用中の薬との飲み合わせ、過去の副作用の経験などによって使われるくすりが異なり、主治医はその人にあった抗てんかん薬を選んでいきます。ですから、同じてんかん発作でもAさんに効いた薬がBさんに効くとは限りません。Bさんのくすりがないからと言ってAさんのくすりをもらって飲むことはできません。

抗てんかん薬以外にも薬を何種類か飲んでいるときは、それぞれの薬がお互いに影響しあって、薬の吸収や代謝に影響があらわれることがあります。薬物相互作用のため、薬の効果が弱くなったり、強くなりすぎたりすることがありますので、抗てんかん薬以外に何か薬を飲んでいる人は主治医や薬剤師に相談してください。また、一部の健康食品(セイヨウオトギリソウ)も抗てんかん薬の作用に影響することがありますので、そのような時には、主治医や薬剤師の先生に相談することが重要です。

てんかん発作は、大脳の神経細胞の過剰な電気的興奮と、その興奮が広がることによって起こりますが、抗てんかん薬はこの「興奮系」を抑えるタイプと、興奮の広がりを抑える「抑制系」の働きを強めるタイプがあります。神経細胞は、ナトリウムイオンやカルシウムイオンが細胞の膜を通過して細胞内に入ることで興奮します。これらのイオンの動きを抑えることにより、過剰な興奮が起こらないようにします。また、脳の中にはGABA(ギャバ)という興奮を抑える働きをもつ物質がありますが、抑制系を強める抗てんかん薬はGABAの働きを強め、てんかんの症状を抑えます。なお、新しい抗てんかん薬には、これまでとは違った働きをする薬もあります。一般的に、抗てんかん薬により発作が消失する割合は、最初に飲んだ抗てんかん薬により50~60%、2番目以降の抗てんかん薬で10~20%で、残りの20~30%は抗てんかん薬が効きにくい難治性のてんかんといわれています。難治性てんかんには、抗てんかん薬を2種類以上併用したり、場合によっては外科手術などが行われます。