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みんなちがってみんないい

デイジー教科書

「マルチメディアデイジー教科書」は、学習障害やADHD・アスペルガー症候群など発達障害の子どもや、弱視などの障害のある子どものために作成されている教科書のことです。通常の教科書に、音声読み上げ機能と、テキストのハイライト機能がついており、音声を聞きながらハイライトされたテキストを読むことができます。デイジー教科書は、小学1年生から中学3年生まで、全国で使われている主要科目の教科書が提供されています。簡単な申請をするだけで、希望の教科書を無料で利用できます。デイジー教科書は学校での利用だけに限らず、家庭での音読の補助や授業の予習復習に活用できるのでとてもおすすめです。学習障害の傾向のある子供、または文字を読むことや音読が苦手なお子さんをお持ちの方は、ぜひ利用してみてください。

「マルチメディアデイジー教科書」とは、学習障害(読字障害)など発達障害、弱視など視覚障害やその他の障害で、通常の教科書を読むことが難しい児童のために、制作されているデジタル教科書です。2008年から文科省の委託事業として(公財)日本障害者リハビリテーション協会とボランティア団体によって制作・提供されています。デイジー教科書は、音声のナレーションに合わせて、文字がハイライトされます。また、子供に合わせて、音声のスピードや文字の大きさ、文字色や背景色などが細かく調整できます。デイジー教科書には、文字を読むことが苦手な学習障害の子供にとって様々なメリットがあります。
1どこを読んでいるか分かりやすい
2文節の区切りが分かり、どう読めばいいのか理解できる
3漢字や単語の読み方、イントネーションが分かる
4デイジー教科書で下読みをして予習をしておくことで、授業の理解度が深まる
5教科書にルビをふるなど、保護者の負担が軽減される

デイジー教科書を利用したい場合は、利用申請をします。医学的診断や学校の許可などは必要ありませんが、年度ごとに申請する必要があります。デイジー教科書のサイトのフォームから、メールアドレス・パスワード・保護者氏名を入力します。 デイジー教科書申請フォーム確認メールに記載してあるページにログインし、デイジー教科書の申請を行います。住所や、利用する児童の学年や学校名を入力します。利用を希望する教科書を選択して申請します。申請が承認されると、 約1週間以内に【SchoolBook】よりメールが届きます。以上で申請が完了し、デイジー教科書のデータがダウンロードできるようになります。

 

日本ラグビーを育てたダイバーシティー

ラグビーW杯の日本と南アフリカの試合は、残念ながら日本は敗退してしまいました。しかし日本代表の躍進は海外からも予想だにしないほどの活躍ぶりとなりました。何より、日本国内の注目を一気に集めた1カ月間でした。このブログでも、以前に「ラグビー・ワールドカップ9/25」に書きましたが、外国人選手が半分いることで、日本人のラグビー力量が引き上げられているのです。日本が強くなったのは、外国人選手のおかげと言うよりも、生まれた国が異なる人がいるというダイバーシティーな環境が世界水準に日本ラグビーを育てたということです。

そして、海外から来た選手は日本のことを本当に好きになって日本も、日本のファンのこともリスペクトしています。試合相手の南アフリカ出身のピーター・ラブスカフニは、「南アフリカ出身であることが誇りであるのと同じくらい、日本代表であることが誇り」「第二のベースホーム=祖国」だと言います。日本に帰化し長く日本で貢献してきたトンプソン・ルークはこてこての関西訛りで「南アフリカめっちゃ強い」と言いながら、引退声明を翻して4回目のW杯に最後まで関わりました。みんなちがってみんないいの原理を今回のラグビーW杯は見せてくれたような気がします。

これでベスト4が決まりました。準決勝は10/26イングランド対ニュージーランド、10/27ウェールズ対南アフリカです。11/2横浜国際球技場で優勝はどこのチームでしょう。最後まで目が離せません。

ADHDと遺伝

親がADHDの場合、その子どももADHDである可能性は非ADHDの親の場合と比べると5〜10倍高いといわれています。これを確率に直すと、親がADHDの場合、50〜80%(平均70%)の確率で遺伝するという研究結果が出ています。このようにADHDと遺伝の関係は有力視されていますが、ADHDの発症にかかわる特異的な遺伝子はまだ発見されていません。なぜなら、ADHDは遺伝要因単体では発症せず、そこに経済的問題、家族背景、虐待などの環境要因が組み合わさることで発症するためです。しかし、ADHDの発症に関与している可能性のある遺伝子がいくつか指摘されています。

家族や近親者の病歴がADHDの発症に影響している可能性が指摘されています。保護者の方が、過去に自分がADHDと診断された経験があったり、現在ADHDの症状があり困っていたりする場合、子どものADHD診断や対処法の手がかりとなることもありますので、まずはかかりつけの小児科医など身近な医師に相談してみましょう。実際、ADHDの症状を持つ保護者がADHDの子どもの様子をみていると「自分の子どものころとそっくりだ」と思うこともあるようです。その場合、保護者は「自分が感じてきた生きづらさを子どもにさせたくない」という一心で厳しく育てようとしてしまうことがあります。一方で、「ADHDの症状を知っている理解者であり、経験者」として子どもをサポートできる可能性を持っています。

ADHDは、昔はわかりませんでしたが、早期に専門的な介入を行い、適切にケアをしていけば、日常生活における困難さを低減することが可能です。これは学習障害や自閉スペクトラム症にも言えることです。充実した学校生活を送り、社会で自立できるよう、気になることがあれば医療機関の受診や地域の発達障害支援センターなどへ相談することが大事です。一人で解決しようとしないで、他者の力を借りて行けばいいのです。自分の信用できる関係者を思い出してください。困ったことを放置しないで「助けて」と言ってみましょう。誰だって苦しい時はあります。一人で乗り越える必要はありません。助けてもらっていいいのです。そして、誰でも助けでくれるわけでもありません。助けてくれるまで発信し続けるのです。下手な鉄砲も数うてばあたります。まずは「助けて」ということです。

片付けられない

片付けられない状態が悪化すると、家がゴミ屋敷化するだけでなく、精神的にも不安定になり約束を忘れたり締め切りが守れないなど社会生活も乱れてきます。それは原因と結果が逆じゃないかと言う考えもありますが、環境状況が精神に与える影響は絶大です。まずは環境に原因を求め、それでも効果がなければ病的な原因も考えます。要らない物やゴミを処分するには分別したり、ゴミ捨て場までゴミを運んだりしなければなりません。ゴミが大きければ簡単には捨てられませんし、高齢になるほど『捨てる』ハードルは高くなるでしょう。捨てられなくなっているのは、高齢者ばかりではありません。子育て中の若い世代にも片付けられない人は増えています。

『子育てに専念しているから』『忙しくて時間がないから』など理由はそれぞれですが、特に深刻なのが何らかのストレスでうつ病を発症した人です。婦人のうつ病は、産後のホルモンバランスの乱れから発症する場合が多く、発症すると何も手につかなくなります。片付けをする気力もわいてこないので、部屋が散らかっても対処できないのです。うつ病は、気力の喪失・判断力の低下が顕著です。様子を見ておかしいと感じたら、なるべく早く専門医に相談するように勧めることが大事です。

『AD/HD(注意欠如・多動症)』の人も片付けが苦手です。注意力に欠けていたり、落ち着きのない行動が目立ったり、頻繁に忘れものをするなどが症状です。発達障害は、脳の神経伝達物質が十分に機能しないために起こります。当人の意思とは関係ない不具合なので、この症状が出ているなら、片付け下手を責めても意味がありません。服薬などで解決しなければ『片付けが苦手』という個性として理解します。ただ、AD/HDとうつ病は併発しやすいので、医療のサポートが重要です。

家の中が片付いていない子は、物を大切にできない、忘れ物が多い、段取りが悪い事が多いです。片付けをしない家では物が散乱しており、何が大切で何がいらないものかわかりません。結果として子どもは物を大切にできなくなります。また、整理整頓とは程遠い暮らしのため、片付けられない親を持つ子は、段取りをつけて物事に当たることが苦手で、無駄な動きが多く、忘れ物の多さも目立ちます。また、掃除がされない家では、ダニやカビ、害虫が繁殖します。ホコリで気管支炎を患ったり、ダニや害虫でアトピー症状が出たりする子もいます。汚すぎる家での子育ては、一種のネグレクト(育児放棄)ともいわれます。気になる子を見つけたら、役所等に相談するとよいかもしれません。しかし、家の中をかたずけたいという気持ちが親になければ問題は解決しません。

サポートするのは、行政だけでなく協力者やサポートチームが必要です。近親者や友人、ご近所でも、その親が信頼できる方ならだれでもいいと思います。片付けを行う時に重要なのは、不要な物を捨てることです。しかし、物を捨てるなら、持ち主の承諾が必要になります。『捨てる、邪魔』などマイナスな言葉は使わず「不要な物を減らして、快適な暮らしをして欲しい」など暮らしをサポートしたいという気持ちを示すことです。それでも手に追えなかったり、片付けに時間が取れなかったりする場合は、片付けのプロに発注することも視野に入れます。例えば、イオングループで家事支援事業を展開する『株式会社カジタク』には、『片付け名人プレミアム』というコンサルティング型片付け整理収納サービスがあります。このサービスは、オリジナルな片付け方を提案してくれるのが特徴です。ライフオーガナイザーは、生活動線や生活パターンまで配慮してプランを提案してくれるので、自分たちでは難しい理想の片付けを実現できます。片付け終了後に渡されるアドバイスシートがあれば、その後もリバウンドなく綺麗な家を保てます。

片付けがうまくいったとしても、これまでと同じ生活パターンを送っていては、すぐに元の状態に戻ります。居心地のよい部屋をキープするには、部屋を散らかさないように努力しなければなりません。部屋を散らかさないために最も重要なのは、むやみに物を買ったりもらったりしないことです。物が増えてきたら収納を増やすのではなく、物を減らすのです。たとえそれが生活に必要な消耗品でも、大量に所持する必要はありません。物の保管スペースを決めて、そこに収まる分だけに所有すれば綺麗な部屋を長くキープできます。

こまめに掃除する習慣を身に着ければ、ゴミや汚れを溜め込むことはありません。掃除道具を身近な場所に置く、毎日決まった時間だけ掃除するなど、小さな事から習慣にします。それでもついつい忘れてしまうという人は、掃除スケジュールを管理できる掃除アプリなどを活用します。なかなか片付けに取り掛かれない人は、ブログやSNSで『#掃除宣言』するのも効果的です。他人に宣言すると、モチベーションが上がります。結果や成果も逐一SNSに上げていけば、同じような境遇の人からアドバイスや共感の声をもらえるかもしれません。片付け作業が孤独に感じる人は、他人と共有することで孤独感からも解放されます。

学習障害

学習障害のある子どもは、勉強していく上で必要となる「書く・読む・聞く・話す・計算・推論」のいずれかまたは複数の力が、同年代の子どもに比べて一著しく低いです。中には知的障害やASD・ADHDなど他の発達障害が併発する人もいます。ただ、勉強ができない理由には、知的障害が原因の場合もあります。知的障害と学習障害では原因が違います。原因が違えば支援方法も異なるので注意が必要です。知的障害は読み書きが必要な学習面だけでなく認知の全般的な遅れです。学習障害は、認知能力の凸凹であり、会話をしていると全く遅れを感じないばかりか優れた洞察力や創造性がみられる子どもも少なくありません。近年、学習障害と診断される子どもが増えてきていますが、これは学習障害の認知度があがったためで、昔は学習障害に気づかれず適切なフォローをされないまま大人になっていくケースが多くありました。

学習障害は、脳機能の障害のため、その原因の一つは遺伝です。ただ、学習障害が親から子へと遺伝するメカニズムは未だ解明されていません。親や兄弟で学習障害の人がいると、学習障害の発症率が高くなることから原因の一つとして遺伝が挙げられています。ただ、学習障害でない親から学習障害をもつ子どもが産まれることもあり、単純に遺伝だけで説明がつくものでもありません。学習障害が遺伝するメカニズムが容易に解明されない理由の一つとして、「学習障害はある特定の遺伝子が原因ではない」ということが挙げられます。また、学習障害になりやすい原因となる遺伝子が親から子への遺伝しても、必ず学習障害の症状が出るわけでもありません。。

学習障害は環境要因も原因となります。遺伝は、学習障害の原因の一つでありますが、全てではありません。学習障害は、遺伝的要素の他に環境要因が合わさって発症するとされています。学習障害を含む発達障害の子どもに対して、「親の育て方やしつけがなっていないせいだ」と心無い発言をされることがありますが、様々な研究により学習障害を含む発達障害は、先天的な脳機能の障害のため、親の育て方が原因でないことは明らかになっています。現在は、学習障害に対しての世間の認知度も高くなってきているので、親を責める発言は減ってきていますが、学習障害児に対して学校や社会で適切なフォローがされず、親の責任とされているケースは今でもあります。以前は学習障害そのものが見過ごされていた事例も珍しくありません。ただ、先にも述べたように環境因も合わさって発症する場合があるので、通常の子どもの環境と比べて劣悪な場合(睡眠・食事・運動など日常生活のリズムが小さな頃から家族全体で崩れている等)は、保護者の責任がないとは言えません。

学習障害の子どもを持つ親にとって大切なことは、原因を知ることよりも、子どもが学校や社会で困難が少なくなるようにサポートしてあげることです。学習障害は、本格的に勉強を始める小学校入学以前はなかなか親も気づきにくいですが、子どもの様子に他の子どもと違う点が多いように感じたらできるだけ早く専門家に相談してみましょう。より早く学習障害と診断されることで、早期に療育を開始できるため、より高い効果を期待することができます。学習障害の原因は、遺伝だけでなく、様々な環境要因が合わさってています。環境要因の中には、親の力ではどうすることもできないものが多いので、学習障害を予防することはできません。学習障害の子どもに対しては、子どもの症状にあった学習法を見つけてあげ、子どもがより意欲的に学習に取り組めるようにサポートしてあげることが大切です。

渋々でも納得する練習

子どもが何か希望通りに行かず機嫌が悪くなった時などに、納得させようとして言葉で色々説明したり、子どもの希望が通るように(要求が通るように)動いてあげることがあります。また、事前にそのような状況にならないように工夫し、機嫌を損ねないように環境を整えるかもしれません。

思った通りにいかない場面や、要求が通らない場面があまりにも多ければ、ストレスが大きすぎるので配慮してあげる必要はあります。しかし、子どもの機嫌を損ねないように配慮するだけではなく、思い通りに行かないことがあることを知り、渋々でも納得するという経験を積むことも大切です。

日常生活を送っていると、物が壊れて直せなかったり無くしてしまったり、決まった時間に家を出ないといけなかったり、家族に急な用事が入って楽しみにしていた予定をキャンセルするなど、実際にどうすることもできない場面があると思います。そのような場面で、機嫌を大きく損ね、長く引きずるようであれば日常生活に困難をきたします。また、少し思い通りに行かない些細なことで、機嫌を損ねるようになるかもしれません。集団生活にも支障をきたします。上手くいかなくても渋々納得する力をつけるためには、渋々納得する経験を積んでいく必要があります。

状況を理解する力や知識をつけるため、なぜ我慢しないといけないかを分かりやすく説明してあげることは大切です。例えば、「壊れてしまったからもう動かない、お母さんも直すことができないから、あきらめるしかないです」など。子どもの言語スキルによっては、絵にかいて説明してあげても良いです。しかし、説明しても子どもが納得せず、怒ったり、駄々をこねたりしたとき、それ以上言葉や絵で説明して納得させる必要はありません。もうその状況を受け入れるしかないことを経験させてあげてください。「もう仕方ないです」とだけ言って取り合わないようにし、子どもから離れます。

子どもは泣いたり怒ったりすると思いますが、時間が経つと諦めます。子どもが諦めて落ち着いたら、何もなかったように普通に接してあげてください。「よく我慢したね」と軽く声をかけてあげても良いです。子どもが思い通りに行かず混乱したり、怒ったりした時に、機嫌を直すために何とかしてあげようと働きかけるのではなく、学習の機会と考えて渋々納得させる、諦めさせるということも大切です。そういった経験を積むことで、思い通りに行かない時に怒っても仕方がないことを知り、我慢できるようになってきます。このような対応に合わせて、状況を理解する力や知識を伸ばしてあげることで、大きく混乱することなく生活できる時間が増えていきます。

ただ、大人の勝手な都合(大人側のミス)だけでなくなったり変更したりする理不尽なトラブルで諦めさせることを経験させると、信頼関係が崩れて本人も約束を破るようになって回復がとても困難になるケースがあるので、大人側のミスであるなら、正直に理由を述べて丁寧に謝る、がっかりさせたことについて詫びる、お詫びのしるしに金品を与えるのではなく子どもの苦情をよく聞いて共感するという行動を大事にする必要があります。

家で子どもが荒れる理由

家で子どもが荒れる理由はいろいろあります。保護者はあれこれ環境の変化を考えて外で何かあったと推測します。学校でなにかあったんだろうか?学童保育所や放デイで嫌なことがあったのだろうか?いじめられているんだろうか?怒られたのだろうか?あれこれと考えてみます。でも、お世話になっている先生に何かあったかとは聞き辛いものです。また、何かあれば先生から書面や電話で連絡してくるし、先生が何もないと考えていれば、聞いたとしても「いつもとかわらない」という返事が返ってくるのがほとんどです。

次に、傾向や確率で考えてみます。A先生が担当なら荒れることが多いとか、何曜日がよく荒れるとかそれなりに根拠を探します。そこに法則性が見いだせるなら、次に原因を推測します。同じ曜日に荒れるのは、嫌なことがある日と考えて共通する取り組みを考えます。実は、このようにして原因を追究するのは事業所も学校も同じなのです。家で何か変化があったかと考えるのです。そして、少ない情報から多大な憶測を元に原因を探します。保護者と関係がとりにくい場合はなおさらその憶測と思い込みは激しくなります。

結論としては、わずかな情報と憶測で原因がわかるなら、誰も苦労はしないということです。多くの事象の原因は一つではなく複合的で、複雑に絡み合っていることが多いです。ただ、一つだけ言えることは、自分の目の前で起こっている子どもの荒れなのに、他の場所に原因を求める発想では、その荒れはなかなか収まらないことです。原因は自分かもしれないという可能性を捨てず、まず自分の対応を見直すことが大事です。自分の対応を見直す中で子どもの課題がわかってくるし、他の場所での子どもの課題や成長も見えてきます。ただ、この作業は子どもに関わる全員が取り組む必要があります。家庭と支援先で子どもの発達や障害に基づく支援について同じ理解ができていない場合は子どもの混乱は長引きます。つまり、関係者が一同に連携して支援を見直すことができれば、トライアンドエラーの時間はかかっても必ず子どもの混乱は減少していきます。

その連携のために、相談支援という仕事を専門に引き受けている事業所があるのです。親や事業所や学校は相談事業所に動いてもらって連携できるようにするわけですが、これは絵に描いた餅だなと思うことがあります。相談事業所はまず保護者と話し合ってサービス利用の中身を考えサービス利用計画書を作り行政にも会議で示します。次に必要な事業所を保護者と一緒に選びます。運よく一度で決まったなら次は最長でも半年後にモニタリングの文書を保護者聞き取りや複数の事業所から聞き取って作成します。これが定型の仕事です。

少なくとも3回の会議と2回の文書作成がノルマです。継続モニタリングだけでも年2回会議は必要です。年間稼働日が250日とすれば相談事業者が抱えることができる利用者は100人が限界でしょう。相談員はだいたいこの件数を超えて抱えています。新規で最初の基本報酬は年3万円程度、継続のモニタリング2回で年2万6千円程度、一人が稼働して必要収入を得るには新規継続合わせて100人程が経営収支ラインでもあるからです。

基本の会議だけでこんなにパンパンな状態のところに、さらに他の連携会議を入れる余地は少ないし、丁寧に会議を重ねるとなると持ち出しが多くなります。事業所や学校は招集されても会議費すら保障されないものですから善意で来てもらうしかありません。家で子どもが荒れる理由を探して解決する連携会議が合理的に専門的にできるようになるには、まず相談事業の根本から見直さないと難しいという課題が見えてきます。そうはいっても真摯な連携に勝る策はありません。

 

感情を学ぶ

感情は、チャールズ・ダーウィンが提唱した6つの基本的感情である<喜び><驚き><悲しみ><恐怖><嫌悪><怒り>の他に、心理学者のポール・エクマンが加えた10の感情<楽しみ><軽蔑><満足><当惑><興奮><罪悪感><得意><充足><官能的な喜び><羞恥>の16の感情があります。

基本的感情は赤ちゃんも持つ感情で、追加された10感情は成長ともに持つようになる感情です。例えば、軽蔑の感情や罪悪感に苛まされる赤ちゃんはいませんが、成長過程で軽蔑や罪悪感などの感情を持つようになるからです。

なぜ人は感情を持つのかは多くの議論があり、大きく分けると「遺伝」「身体的反応」「思考」「文化」の4つ仮説があります。どれか一つではなく複合的な要素が絡みあっていると考えられていますが、ネガティブ感情をコントロールできるようになるのも成長の証です。

ネガティブ感情を持った時に感情をコントロールできるようなれば、※人前であがらなくなる。※怒りにまかせて酷いことを言ってしまうことがなくなる。※失敗しても消沈せず、平静な気持ちでいられる。※自分の欠点を恥ずかしいと思ったりしなくなる。※恋に盲目的になり、感情に突き動かされて大失敗しなくなる。その為には、それぞれの感情がどんな時に、そしてなぜ沸き起こるのかを理解する必要があります。

最近、怒りのコントロール方法が紹介されるようになりましたが、文化的遺伝的側面で考えるのであれば欧米人のように怒りを抑えずに自分が怒っていることを表す傾向がある民族もいれば、日本人のように怒りを抑えてしまい鬱積した感情としてストレス化してしまう民族も存在します。「怒り」の感情ひとつをとっても生活ベースによって対処方法が違う場合もあるでしょう。

「恥ずかしい!」と思った瞬間や嫌な気持ちになった時、それがなぜ起こっているのかを冷静に判断し対応することができる人を社会性が高い人と言います。感情の揺れは、自己肯定感に大きく影響します。自分の失敗に関する感情(怒り、悲しみ、罪悪感など)を処理しきれない状態が続くと、自分のことを認めることは難しくなってきます。レジリエンス(逆境から離脱する力)は、「自己肯定感」の影の力で「感情力」とも言えますが、自己肯定感というベースを固めるために「感情コントロール」は避けて通ることができません。

「怒り」「羨望」という感情のコントロールは「自分との関係」(自己肯定感や自己評価)を改善することができます。自分との関係が良好になると、次に変化するの家庭や職場など、身近な人との人間関係が変化します。感情を学ぶと相手の感情を理解し、共感することができるようになるからです。感情の学習は集団活動の中でしか行えません。しかし、自然に身につく人とそうでない人がいます。そして現代社会は、後者の人たちが増えています。感情を学ぶことが必要な社会になっているのかもしれません。

「お節介な人」と「気が利く人」

同じことをしていても、「お節介な人」と言われる場合と、「気が利く人」と言われる場合があります。人それぞれ、考え方や感じ方が違うので、お節介になったり、気が利く人になったりします。電車に乗っていて、年配の方に席を譲る行為も、席を譲られた方によっては、「お節介だな」と思って断る人もいれば、「気の利く人だな」と思って、ありがたく席を譲ってもらう人もいます。受け取り方は人それぞれです。

同じことをしても、全員から「気が利く人」と受け取られる訳ではありません。逆に、全員から「お節介だな」と受け取られるということもないでしょう。でも「お節介」と「気が利く人」の受け取りは相手次第と言うわけでもありません。お節介な人と称されることが多い人と、気が利く人と称されることが多い人の違いは自分優先か他者優先かです。

自分の意見を押し付けたり、相手が拒否しているにも関わらず何かをしようとする人は、お節介と称されることが多くなります。それは、相手の内面を見ているというより、自分を見ているからです。「何かをしてあげることができる自分」に意識が向いているのです。だから、相手がそのことに対して、「お断り」の意思表示をしたときに、落ち込んだり、傷ついたりもするのです。相手の気持ちや意志、状況に、あまり関心がなく、自分に関心があると、お節介な人として称されることが多くなってしまいます。一概には言えませんが、お節介と称されることが多い人は、自信がない人が多いかもしれません。自信がないので、「何かをしてあげること」で、自己有能感を得たくなるのでしょう。また、意識が自分に向いていますから、相手が明確なお断りをしないで、困った顔をするだけでは、相手が困っていることに気づくことができません。

気が利く人と称されることが多い人は、相手の気持ちや意志、状況に関心をもっています。「何かしてあげることができる自分」ではなく、「相手」に意識が向いているのです。だから、相手が明確なお断りの意思表示をしなかったとしても、相手が困っていることに気づくことができます。そして気付いたら、「必要なかったのだな」と、サッと手を引くことができます。また、「余計なことをしてしまって、ごめんなさい」と謝ることもできます。自分ではなく、相手を尊重することができていると、気が利く人と称されることが多くなります。気が利く人と称されることが多い人は、相手の態度に左右されないですし、自分の気持ちと相手の気持ちの両方を見ることができますので、自信がある人が多いのかもしれません。人と自分の意見や気持ちが違っていても、それで自己価値が左右されることがないのです。

相手が、「お断り」の意思表示をしたときに、それを快く受け入れることができるかどうかは、「お節介」と「気が利く人」の違いなのかもしれません。「お断り」を「拒絶」と受け取ってしまうと、快く受け入れることができないので、相手への押し付けということになってしまい「お節介」になってしまうのです。自分に意識が向いているか、相手に意識が向いているかの違いなのかもしれません。

喜怒哀楽の感情表現が難しい

ASDを持つ人は、「喜怒哀楽」の表現をすることに、人一倍苦労します。ASDを持たない方の場合、辛い時は「辛い!」という表情や表現をしますが、表現に労力を要する人が辛い時、表現そのものができなくなります。辛いことで「無表情」「無反応」になっているのですが、客観的には「全く堪えていない」「受け止める気がない」ように見えてしまいます。受け手はASDの方を反応をさせようと、語気を強めるなど「力」を使ってくることがあります。そして、さらに思考が停止して相手の語気が強まる…という悪循環が生じます。また、苦しくて困っているのに「嬉しそうな表情」をしてしまうことすらあります。こうなると双方のコミュニケーションは取りようがありません。

ASDを持たない人は動揺している時ほど感情表現が激しくなります。しかしASDを持つ人は一つ一つの感情表現にエネルギーを使うため、急激な驚きや不安はフリーズ(思考停止)してしまいます。怒られて反省しているのに、それが伝わらず「反省の色がないな!」と言われてしまう方も多いです。ASDを持つ人は、怒られるなどの激しい感情を受けた場合、激しく動揺します。これを真正面から受け止め表現しようとすると、精神が壊れてしまうので、感情に「フィルター」をかけて「何も感じない」ようにすることで身を守ろうとしているのかもしれません。

ASDを持つ人は、対人緊張を持ち合わせているケースが多くあります。そのため、人と対面しているときは常に張り詰めた状態でいることがあるのです。緊張していれば、当然表情は硬くなります。表情が乏しいと、相手にはどのように受け止めているかが分かりにくくなります。また、表情が乏しいことで相手には「余裕を見せている」「微笑すらしている」ように見えることがあります。「挑発されているのではないか」と誤解されることで、相手はさらに感情が高まります。そうしてどんどん、コミュニケーションが難しくなってしまいます。

ASDを持つ人は反応がなくても、心のダメージは残っています。また過去の情報をうまく消化することが苦手です。そのため、フラッシュバックが生じ、いつまでも悪い記憶がよみがえってしまうのです。そして今回の「傷」がもとで、フラッシュバックされた分もまとめて感情を爆発させることがあります。「あの時も分かってもらえなかった!!」と過去の分の怒りまでその時の相手にぶつけてしまうこともあるのです。このようなヒステリック状態になるとお互いの関係に溝ができるほか、何より本人にさらに深い傷がついてしまいます。

このような事態を未然に防ぐには、事前に辛い時にどうなるかを伝え周囲が理解しておくことです。「辛い時には無表情もしくは微笑しているようになります」と事前に伝えておく、ということです。相手の中で「辛い=無表情」ということが分からないからこそ、語気を強めたり感情的になったりするわけです。『無表情』は障害を持たない方にとっての「堪えていない」反応だからこそ、最悪の形で誤解されてしまいます。

また、辛い時の対応も大切ですが、そもそもは辛くなる前に対処することが前提です。定期的にキーパーソン等と相談をもち、辛いことや悩み、問題を早めに解消させるように心がけます。相談の機会が多ければ、その中でどういう感情表現をするのか相手に理解してもらえるからです。対面でのやり取りだと、表情や雰囲気など「ASDにとって誤解されやすい状況」が多いです。大切な報告や指示などは書面などの対面以外の方法を双方が使えるようにすることも大事です。