すてっぷ・じゃんぷ日記

2020年2月の記事一覧

愛着形成

低学年のZさんを学校から事業所に迎えました。送迎の車の中で楽しそうにお話していたZさんが事業所の玄関の前で突然泣き出しました。「おかあさんが参観に来たのにさよならも言わずに家に帰った」から悲しいというのです。

「え?今悲しくなった?」とスタッフ戸惑います。ASDの子どもの感情表現は時としてかなりタイムラグがあったりします。それから「参観では、さよなら言わずに帰る母親の方が多いよね?」Zさんだけではないはずと言います。しかもZさん幼稚園ではそんなことで泣いたりしなかったと言います。Zさん、ようやく愛着形成の時機に入ったかもしれません。

お母さんがいなくてさみしいと思うのは乳児期後半からです。その後愛着形成は幼児期前半で一応完成されるとイギリスの精神科医ボウルビィは言います。でも、ASDの子どもは愛着が遅れる人が少なくないのです。小学校に入ってから急に母親にべたべたするようになったりするのがそれです。子どもによって表現の仕方は違いますが、ASD児の愛着行動は遅れるので奇妙に見えるが変ではないと押さえておきたいものです。

 

第2鉄塔

本日は西山の第2鉄塔まで足をのばしました。少し寒さが戻ってきているものの、ジャケットを着こんでいると汗が乾きません。光明寺から方丈池を越えて京都タワーが見える展望台まで15分。お茶を飲んで一服したら分岐点を通り過ぎて真ん中の道を緩やかに上って最高点232mを通過して梅林まで15分そこから横道に入って第2鉄塔まで10分。光明寺から小一時間で第2鉄塔に到達します。春になると蕨やゼンマイが出てきそうな斜面もあります。往復90分くらいでよい有酸素運動になります。

高学年らしさ

通常学校の利用者に感じていることは、低学年と同じレベルで諍い合うなど高学年が幼いことです。これは障害とは関係がないように思うのです。人は、年齢に応じて社会から「らしさ」を求められます。ところが高学年の彼らは「らしく」扱われていないのではないかと思い当たる節があります。高学年は低学年の面倒をみてやったり、年長者として譲ってやる、見過ごしてやるという度量が試されます。障害があろうがなかろうが年長者や大きいものは年下の者や弱い者を擁護するということを、簡単には分からなくても「求めているよ」ということは示す必要があると思います。

温い

暖かいことを表す「ぬくい」という言葉。「(聞いたことはあるが)使ったことはない」「聞いたことすらない」と答えた層の割合は、東京の19.9%に対し大阪は4.9%で、くっきりと結果が分かれます。ぬくいは関西スタンダードということです。今日は気持ち悪いくらい温い日でした。16時の今も卓上温度計は21度です。こんなときは、ぶらぶらと河原でも歩いてぼんやり小畑川の川面や西山を眺めるなんていうプログラムでもいいと思います。

 

 

負けるが勝ち

このブログでは何度か勝ち負けについて述べてきました。「負けと癇癪 01/17」 では「負けるが勝ちゲーム」を紹介しましたが、「そんなにうまくいかないよ」とのご意見もあるので、今回は負けの感情コントロール療育の王道をご紹介します。

突然のショックに耐えられなくて不適切な行動を起こしてしまうことが課題なので、ショックに耐える練習から始めます。ゲームの前に、「負けても泣かないゲームをします。1回我慢出来たら大好きな動画が1つ見られます。何が見たいですか?」と最初に交渉します。で、実際に負けてもらって我慢してもらい、御褒美を繰り返します。トークンの中身は速攻その場から、一日の最後にトークンを積み上げていきます。つまりトレーニングをしてもらいます。最初はダメージが強くないゲームから始めます。ご褒美もケチらないでグレードアップします。1か月たてばかなり感情コントロールが定着しているはずです。「負けるが勝ちゲーム」とどこが違うのか?とお怒りの方、すみません。結局中身は同じですね。

 

 

感覚刺激

今まで日本での特別支援教育では「余計な刺激は除去すること」が重要だとされてきました。しかしアメリカでは適切な刺激は学習に必要な支援だとして実践しているのです。2015年に行われたセントラルフロリダ大学の研究で「*ADHD(注意欠如多動症)の子どもたちは学習時に体を動かす必要があり、それによって学習成果が伸びる」ということが科学的に証明されたそうです。その研究によりなにかの感覚刺激を教育に取り入れることは、集中力を保つ有効な手段であるということがわかってきました。

*ADHD(注意欠如多動症)とは、「集中力が続かない」「忘れっぽい」などの不注意・「落ち着きがない」「じっとしていられない」などの多動性・「思いついたら周りに関係なく行動してしまう」などの衝動性を特徴とする発達障がいのひとつです。一昔前までよくない行動とされてきた「貧乏ゆすり」も感覚刺激の一つで、最近では「貧乏ゆすりによってセロトニン分泌が増加して気持ちの安定が得られる可能性があること、気持ちが落ち着かないときに気を紛らわせ、ストレスからの回避行動になっている」という研究報告もされています。

しかし「感覚刺激入力による学習支援」のためのツールが、日本ではまだまだ開発されていません。そもそも学校教育の現場でそういったものを必要とする意識が低かったため、広がっていないのが現状です。低学年だと鉛筆をかじる子も多いですが、そういった子は噛むことからの感覚刺激で心の安定を図っているのです。アメリカには噛むことを想定した鉛筆キャップなども存在します。外部刺激が苦手な子どもには、机に取りつける仕切りも必要です。

そのほかにも、触ることによって気持ちが落ち着いたり集中できたりするクーシュなどいろんなものが医療や福祉の分野では開発されています。Harklaの着圧(重みのある)ベストは深部感覚を刺激し、自閉症やADHD、感覚障害を持つ子どもに落ち着きを与える効果があったり、同社のブランケットは睡眠障害を軽減する効果もあるとされます。子どもの感覚に注目してみると新しい可能性が見えてきます。

待つこと

「待つこと」とは、スタッフに求められていることです。集団指導の時、子どもが何らかの理由で予定に従えなかったり向かうのが遅かったりすることが良くあります。ほとんどは同じ子であることが多いです。そんなとき、大人は「またか」と思ってしまいます。でもそれはきっと従えない子どもの方も「マタカ」と思っているのです。

コミュニケーションが苦手だったり、リーディングマインドが弱いと日課の切り替え場面で混乱する人がいます。理由としては、一つは次に何をするのか分からない場合。二つ目は、やる事は分かっているけど「やらされるかもしれない」という大人の強制力に不安を感じてしまう場合です。三つ目は、その不安を解消する質問や援助や交渉のコミュニケーションができない場合です。

実は一つ目と二つ目は裏表なのです。やる事がわかっていれば自発的に行動を起こしたことで大人に褒められるので、それが動機となって良い循環ができて習慣になります。やる事がわからないと、大人にいつも依存して行動することになり自発行動を行う機会がありません。ややゆっくり行動を始めていても「早く」とか「行くよ」など、現在の行動へのやや否定的な評価が多くなり褒める機会が作りにくいのです。

また、ゆっくりの行動する理由には、見通しがないまま行動をする不安感情があり、促しの指示には「いや」「まだ」「やめて」という拒否が起こり易い心理状態にあります。ここで、「行くよ」「はやく」などと指示しようものなら不安が強ければ強いほど過剰に反応して、表出コミュニケーションの弱い人は拒否するしか方法がありません。子どもの「いや」「まだ」には、切り替え時に見通しが「わからない」不安と「やらされる」不安に満ち溢れています。

「次はこれをするよ。終わったらこれがあるよ」という見通し情報を本人が理解できるモードで示し、気長に待てば、行動を起こした時に褒めることができます。人は行動に自分の利得がある場合にのみその行動が強化されます。同じ行動をしても利得がなければ弱化・消去します。子どもの利得の多くは大人に承認されたり褒められる事ですが、人によっては「お気に入り」の獲得からアプローチする場合もある事を理解しておく必要があります。

「待つこと」で自発行動を重視するのは良い行動を強化(持続)したいからです。そして、その人の理解し易い方法で情報提供できていれば、自発行動は起こりやすくなり、理解しにくい情報提供なら拒否行動は増えるという大原則にいつも立ち戻る事が大事です。

梅林まで

本日も西山へ行きました。先週が寒かったためか、梅のつぼみは固くなってしまったようです。今日は分岐点から梅林と河陽が丘の分かれ道まで光明寺から40分ほどかけて歩きました。梅林の入り口は竹に侵食されていて跡形もありませんでした。今度はもう少し奥まで(縦貫道が地下を走っている上を超えて)歩いてみようと思います。ちょっと北風がひんやりして、今日は上着が必要でした。

見えない約束

A君がB君に「今日の自由遊びいっしょにマインクラフトしような」「OK!」とB君引き受けます。C君が帰ってきてB君に「後で遊ぼうな」「OK!」とB君はさっきの約束は忘れて安請け合い。さて、自由時間A君とC君がバトルになります。「B君は僕と約束した」と主張を譲りません。

この人たちは見えていないことを想像するのがとても苦手なのです。「・・・なるほど僕の知らないところで約束したのだな、B君の浮気者め」と想像できないのです。
心の理論課題の「サリーとアン課題」を下図に掲載しました。
1 サリーとアンが、部屋で一緒に遊んでいる。
2 サリーはボールを、かごの中に入れて部屋を出て行く。
3 サリーがいない間に、アンがボールを別の箱の中に移す。
4 サリーが部屋に戻ってくる。
上記の場面を被験者に示し、「サリーはボールを取り出そうと、最初にどこを探すか?」と被験者に質問します。正解は「かごの中」ですが、心の理論の発達が遅れている場合は、サリーは「知らない」ことが想像できず「箱」と答えるのです。 通常5歳を超えると直感で「知らないこと」がわかると言います。ASDの人たちは高学年にになって理屈で理解すると言います。

相手の心を読むのが苦手なので、それがいじめの原因になったり、就労のつまづきになったり、社会生活上の対人関係の誤解・こじれにつながります。

 

 

初雪

朝方降雪が続きました。この冬初めてではないでしょうか。明日も寒いと予報は伝えていますが、雪は今日で最後かもしれません。さすがに寒いので部屋の中でおもちゃのボーガンで筒倒しをしました。うるさくないように紙製の筒(チップスター)を的にして積んで倒します。