すてっぷ・じゃんぷ日記

2022年7月の記事一覧

お互いに助け合おう!

じゃんぷでは七夕祭りということで短冊に願い事を書いたり,笹飾りを作ったりしています。

子ども達からは「世界的に有名なゲームを作りたい!」という将来の夢や「習い事の大会(コンクール)をがんばりたい!」という身近な夢,更には「世界が平和になりますように」という最近のニュースを知ってか知らずか,壮大な夢を書く子もいたりと,様々な願い事が見れます。

さて,願い事を書いている時にある子どもが「これってどういう字やったっけー?」と悩んでいると隣の子が「こう書くんやで」と優しく教えてくれる場面がありました。また,短冊を結ぶときに「ここやったら結びやすいで!」とアドバイスした子どもが今度は「こう結んだらいいんやで」とアドバイスを受けている場面も見られました。

また,折り紙手裏剣を作っている時に1年生の子が「こういう風に折ったらいいよ!先生綺麗に折れるからここまでやってくれたあとは僕が作っとくわ!」と言ってくれたこともありました。

それぞれの強みを生かしながら,お互いに助け合う姿が多く見られました。今回はこちらが何か仕掛けた訳ではなく,自然と生まれた子ども同士の関わり合いですが,ほっこりしたので紹介します。

 

漢字の「仕組み」を教える

漢字を覚える時,それぞれの漢字を一つずつ,漢字そのものを覚えようとするのは難しいです。以前も書いたように特に読み書きが苦手な子どもにとって,繰り返し練習は作業感が出てしまい苦手意識が強くなってしまうことがあります。

ただでさえ漢字は膨大な量があります。我々にとっても大変だったはずですが,しかしなんとか覚えることが出来ているのは何故でしょう?

それは無意識のうちに「漢字の仕組み」を使っているからです。例えば,「泳」という漢字についてです。「さんずい」がついているから水に関係すること,そして「永」という部分があるから「エイ」という読みがありそうだ…というように,「へん」と「つくり」,あるいは意符と音符といった仕組みから漢字を理解し,覚えることが出来ます。

このように漢字の「仕組み」を教えると,漢字の「意味」を理解し,そこから読み,書きに繋がります。

「レストランに行ったよ!」

 「なんで歩かなあかんの?」(2022/6/28)で紹介したAさん。梅雨で天気がぐずつく中、雨の降らない間をねらって歩行練習に精を出しました。外食の目標にしているファミリーレストランにも、練習で入口まで行ってみました。白杖でさくさく歩きますが、広い歩道では左に傾く癖があります。すぐそばで見守る職員が、癖が出たら指摘するようにして、歩行練習を重ねました。

 さあ、いよいよ外食の日。当日は幸いなことに、雨の心配はなさそうな曇り空です。Aさんも出発する前から、「カルボナーラ食べたい」「シーフードピザ食べたい」と楽しみな様子。事前にメニューを職員が読んでいっしょに確認してから出発しました。歩行練習の甲斐があって、スムーズに歩くAさん。そばで見守る職員が手助けすることなく、ファミリーレストランに到着しました。

 レストランに到着すると、店員さんもやさしく対応してくれました。まずAさんのために、点字のメニューを出してくれました。Aさんは点字を読んで、料理名と値段も一緒に確認していきます。シーフードピザがないことがわかると、すぐに「じゃあソーセージピザにする」と決定。店員さんを呼んで、注文します。「ジュースもありますか?」とAさんが聞くと、店員さんは「ドリンクバーがあります」と答えます。Aさんはすぐに「(ドリンクバーに)マスカットジュースはありますか?」と尋ねます。すると店員さんもすぐに「Qooって知っていますか?そのマスカットジュースがあります」と丁寧に答えてくれました。

注文の料理が届くまで、ドリンクバーにジュースを取りに行ったり、点字のメニューを見たりして過ごしたAさん。

「これ(点字メニュー)があるので、何があるのかよくわかって嬉しいです。良い思い出になりました。ありがとうございました。」

と料理を運んできてくれた店員さんにお礼を言ってメニューを返していました。楽しみだったソーセージピザも、せっかくの機会だからと職員に続いて、Aさんも自分でピザカッターを使って切ってみます。外食を満喫できた帰りもまた、白杖を使って自分で歩いて帰りました。

 今年は異例な速さでの梅雨明けになりましたね。梅雨が明けて1週間は、夏を思わせるほどの暑さが続き、すてっぷでも屋根のない場所への外出は控えました。今は戻り梅雨のようで、すこし暑さがましになったので、曇り空の下、公園へ。外出の楽しみがあると、やはりモチベーションは上がります。夏休みも、もうすぐ。また外出の計画を立てて、お知らせしていきます。

「漢字の宿題は…」

じゃんぷに通っている子ども達の中で,「漢字の宿題苦手やなぁ」とつぶやく子どもは多いです。筆者が小学校の担任だった時に同じようなことを言っている子どもも少なくありませんでした。

一般的に漢字を覚えるためには「繰り返し書いて練習し,覚える」といった方法が使われています。(筆者自身教員時代そのようにしていました…)丁寧に漢字を書けるようになるため,一回ずつ丁寧に書いていくと効果はあると思います。しかしよくよく思い出してみるとそのように漢字の宿題をしていた子どもはいなかったな…と思っています。

基本的には子ども達は「早く終わらせたい!」という一心で取り組んでいたように思います。「先生漢字の宿題なくして~笑」と冗談交じりではありますが,そう伝えてきた子どももいました。

特に書くことが苦手な子どもにとってはしんどい思いが強くなり,先に「へん」だけ書いて後から「つくり」を書くなど,効率化を図ろうとしたりすることもあります。こうなっては意味がありません。

やはり「漢字の仕組み」等,覚える意味がある教え方が子ども達も有用性を感じやすいです。水曜日に,その話を書こうと思っています。

なんでイヤなの?

 支援学校高等部のIくんは、最近スケジュール支援が功を奏し、自立的に次の活動に向かえるようになっています。先日は、自立課題のあと、公園へのお出かけの予定になっていました。Iくんは自分でスケジュールに向かい、「お出かけ」カードを次にやることの枠内に貼って、玄関に行こうとしました。すると、「じーっ」という機械音が。Iくんは大の機械好き。そこに他の子のおやつを準備しようと、職員がトーストを焼き始めたのです。Iくんはもうオーブントースターに釘付け。遠巻きにじっと眺め、玄関へ向かいません。担当の職員がIくんといっしょにスケジュールに戻り、次の予定の「お出かけ」カードをもう一度示します。ところがIくんは納得せず、好きなことができる時間のシンボルの「?」カードを取り出そうとします。職員がまた外出を示すと、Iくんは怒ったように、「外出」カードをおしのけ、自分を叩こうとします。

 そこで職員から、「トーストが焼けるまで、オーブントースターを見ますか? 見たら、お出かけします」と伝えました。すると、Iくんはうなずきます。すかさず職員は「じゃあオーブントースターを見ていいよ。ただし、この椅子に座って見てください」と、オーブントースターに手が届かない位置に椅子を置いて、Iくんを誘導しました。Iくんは椅子に座ってじっとオーブントースターを眺めます。「チン」と音が鳴って、職員がトーストを取り出すまで、Iくんは座ったまま。「焼き終わったね。じゃあ、お出かけに行こうね」と職員が伝え、オーブントースターが片づけられて目の前からなくなると、Iくんは切り替えて、職員と一緒に玄関に向かいました。

 Iくんは言葉が出ません。最近になってようやく、やさしく手を払いのけるようにすることで、穏やかに拒否を伝えられるようになってきました。ですが、一度怒りだすと、拒否が激しい動作になり、ときには自分を叩いてアピールしようとします。言葉もないので、慣れていない職員だと、どういうことか訳が分からなくなってしまうでしょう。しかし、その理由を考えると、次の対応が見えてくるかもしれません。今回の場合は、オーブントースターがきっかけの1つでした。それに気づいた職員が、オーブントースターを見てから、お出かけにしようと交渉したのです。

 交渉に応じることができ、落ち着いて切り替えられたIくん。玄関でも職員に、ピアノ本を持って行きたいと交渉します。職員は「持って行っていいけれど、車の中で見てね」と伝えると、Iくんは少し怒ったようでしたが、職員に「さあ、どっちの足から履く?」と言われ、すっと右足を差し出しながら、靴下を手に取ります。職員がすかさずほめると、Iくんは自分で靴を履いて、気分良く公園に出かけていきました。