すてっぷ・じゃんぷ日記

2021年8月の記事一覧

カームダウンエリアは世界の常識

V君が顔を真っ赤にしてプンプン怒って職員に訴えてきました。パソコンのUSBマウスが反応しないと言います。「そうか,使えないマウスもあるから全部試してみてね」と職員が言うと,余計に大きな声で「全部試した!」と叫びます。仕方がないので,V君のパソコンをみると,そもそもUSBのプラグをパソコンのLANジャックに突っ込んでいました。『そら動かんわ・・・』と職員。

「V君。ちょっと頭冷やしてきた方がいいね」と職員は今説明しても理解できないだろうからと,カームダウンを勧めました。「わかった」とその場から離れました。少しして落ち着いた様子でV君が帰ってきたので「さっきの自分のこと振り返ることできるかな」と聞くと,「マウスが動かへんから,マイクラできないと興奮してパニクって,他のマウスを試すこともジャックの位置が違う事も調べんかったけど,どうしようもないから嘘ついた」と言います。

「よく自分の事が振り返れてすごいなぁ。V君良くわかっているんだね。でも学校でもこんなことあるよね。どうしてるの?」と職員が聞くと,「俺,パニクりそうになったら,教室から出て頭冷やそうとするねん」「おお,すばらしやん」「でもな,先生がどこ行くねんって止められるから,余計にごちゃごちゃになるねん」とのことでした。

「そら,先生に事情を説明しなあかんわな。『頭冷やすからどこどこに行くけどいいですか』って言わなあかんわな」と話しながら職員は,『今時,カームダウン支援を知らない先生がいるのだろうか』と思ったそうです。カームダウンすれば,大人が何も示唆しなくてもこんなにクリアに振り返りができるのですから,カームダウンエリアを用意してあげて欲しいものです。東京五輪のような大それた部屋でなくていいのです。廊下の物陰でも教室の片隅でも人の視線を感じない工夫がしてあるだけでいいのです。よろしくお願いします。

東京五輪・パラリンピックピクトグラム(絵文字)の「カームダウン・クールダウン」

オリンピック興味なし

小学生らに聞いてみました。「オリンピックみんなかっこいいよね」と聞くと「えー俺興味ないし~」と水泳教室に長年通うR君のつれない反応です。「私はスポーツと聞くだけでいやな気持になる」とSさん。「そうかなぁ、スケボなんかめっちゃかっこいいと思わん?」と聞く職員に、みんな「別に~」と言う反応。

筆者が子どもの頃にはメキシコ五輪で塚原光男が「月面宙返り(ムーンサルト)」を決めては心躍り、ミュンヘンでの男女バレーボールの金銀メダルアベック獲得で涙し、札幌五輪の笠谷幸生の大ジャンプを真似て机から飛び降りて怪我をする男子が続出する等、思い出がたくさんあります。

でも、この子たちは興味がないのです。R君などは「お気に入りのアニメが延期になって腹が立つ」くらい嫌いだそうです。T君などは体操クラブで練習しているのに、体操男子で橋本大輝が個人で金2つを受賞したことすら知らないのです。筆者も決して運動全般が得意だったわけではありませんが、この興味の落差は何だろうと首をかしげています。まぁ、子どもたちは、「おっちゃんら何興奮してんの?」と思っているでしょうが…。

将棋楽しかったよ

P君とQ君で将棋対局です。P君は最近家で将棋のテレビを見て勉強をしています。Q君は祖父とよく将棋をするので経験豊富です。勝負はQ君が勝ちました。やはりQ君の方が何枚も上手で,後半P君は逃げることしか出来ない状況でした。P君に感想を聞いてみると,「楽しかった!」と元気よく言います。「でも勝負は負けたよね。その時の気持ちはどうだった?」と聞きました。P君は「次は勝ちたい,でも楽しかった!」としきりに「楽しかった!」と言い続けました。P君は聞かれていることよりも、自分の関心を言うことが多いです。この時は「楽しかった!」という気持ちが強かったのだと思います。

「次は勝ちたい?」と聞くと,「それはいいからまたあの子(Q君)と将棋したい。」と答えました。彼は以前マイクラで遊んでいる時に他の子が作っているものを壊して遊んだり,設定遊び中に違うことをして「今は違うことしないで!」と他の子に言われることで他者の注目を浴びようとしていました。その結果「P君と遊びたくない~」と訴えてくる子もいました。

今日は対局中「いい勝負してるね!」「前よりも上達したね!」と声をかけられて嬉しそうにしていました。Q君とも「それここに動かすと次取られるで」「でもその後にこれで攻めようと思ってるから」とやり取りをしている姿も見られました。今日は人が嫌がることをして注目を集めるのではなく,ずっと楽しく将棋をしていました。だから彼の口からは勝ち負けよりも「楽しかった!」のだと思います。遊びで不適切な行動をするのは、それが一番注目を集める方法でしたが、適切な方法で注目を集めることが出来たP君は今週も将棋のテレビを見て勉強してくるのだと思います。