すてっぷ・じゃんぷ日記

2020年5月の記事一覧

宿題

武漢ウィルス感染症緊急事態宣言の解除の動きもあり、そろそろ学校はじまるから宿題しなきゃなと子どもも思い始める今日この頃です。Z君も「今日は宿題するわー」と電卓を事務室に借りに来ました。発達性読み書き障害の子どもにももれなく、計算ドリルと漢字ドリルが休校用の宿題として出されています。

発達性読み書き障害の子ども、特に高学年の児童にあけても暮れてもドリルをやらせることは百害あって一利なしです。読み書き障害が原因で書きと計算に躓いていると認定されている子どもには電卓を使っていいことにしています。「俺、アホやから」と言う高学年のZ君に「能力が凸凹なだけだ」と何度も繰り返していますが、彼の才能を引き出して花開かせない限りは、気休めの言葉にしかなりません。

ソースが舐めたい!

焼きそばづくりをしている子どもたちの評価をしました。「Y君は嫌いな野菜を除いたり、ソースをなめたりして待てません。」と残念だという報告がありました。Y君は言葉がありませんから直接行動に出てしまったということです。「でも、自分の嫌いなものがあり、好きな調味料があるんだから、これは嫌と絵カードで言ったり、ソース舐めたいと絵カードで言えるようになればいいと思いませんか」と提案しました。

良く、「なんでもかんでも好きな事を絵カードで言わせたら対応できないです」と真剣に言う人がいます。「だったら、口で言う子にはどう対応していますか?」「絵カードを取り上げて言わせなくするということは、喋る子には口を閉じよと言う事ですね」と聞くようにしています。絵カードで要求できるようになれば、「~までまってね」「これをしたらあげるね」と我慢する事も同時に教えられるのです。

でも言葉に代わるものがなければ、いつまでたっても、大人と子どもの間で折り合いをつける話はできません。残ったものは、双方の力ずくです。力ずくは、自尊心と信頼を破壊していきます。だから、野菜が嫌いと言え、ソースが舐めたいと言えるスキルを身につけることが大事なのです。

 

焼きそばづくり

焼きそば、たこ焼き、お好み焼きと言えばソース味御三家、食い倒れのチャンピオンです。この香りさえふりまけば、子どもは寄って来るものと相場は決まっていました。ところが、最近の子はソース味はそれほど魅力的ではないようです。やれキャベツは嫌いだ生姜の赤いのはキモイと文句をつけて食べない子が増えています。なので、おやつ作りと称してソース系調理を提案しても、ちっとも作る気をそそられないのです。もはやソース味は平成・昭和のかなたのレトロテイストなのだと私たちが考えを改めるべきなのかもしれません。

障害特性に合わせたワードバスケット

ワードバスケットとは、バスケット(箱)に入っている文字で始まって、自分の持っているカードで終わる言葉を考えます。思いついたらその単語(3語以上)をいいながらカードをバスケットに投げ込みます。たとえばバスケットに「す」のカードが入っていて「か」のカードを持っていたら、「すいか!」 といいながらカードを投げ込みます。出てるカードは「か」になりました。こんどは「か」で始まる言葉です。「う」があれば、「かとりせんこう!」です。ワイルドカードはどの音でも使えます。(音数を規定する様々な種類のワイルドカードがあります)

手持ちカードをなくすゲームですが、順番はありません。思いついた人が出していく早い者勝ちです。一人で続けてどんどん出していいのです。でも、これは音韻障がいを原因とする発達性読み書き障害の人にはすごく難しいゲームです。言葉の力には言葉を思い出す「語想起」と滑らかに思い出す速さの「流暢性」があります。従って、読み書き障害の多い放デイ事業所等では、思いつくのが遅い人のために、あえて順番を導入して時間をある程度与えてあげないと、参加しても思いつく速度が遅いので面白くないのです。

しかし、使いようによっては読み書きの障害の良いトレーニングになります。ワードバスケットルーにも年少ルールで2文字にするとか、強い人は4文字以上で参加するなどのハンディキャップ制度を導入すると楽しく遊べると思います。また、手元にホワイトボードの升目を置いて「す」「★」「か」と書いておくと視覚で苦手な音記憶の補助ができるので、取り組みやすくなると思います。ボードゲームも障害特性に合わせた工夫次第で楽しく有意義に取り組めるということです。

生演奏

音楽遊びでは、口三味線やらカラオケに頼ってきましたが、近頃はVさんがピアノ伴奏をしてくれるようになりました。アナと雪の女王、輪になって踊ろう(V6)、さんぽ(トトロ)と弾き語りで演奏してくれます。すると、これまでは、合奏しようとジングル(鈴)を渡してもポイっと投げてしまうWちゃんが、ピアノの生演奏ではしばらくジングルを振り続けるのです。恐るべし、生演奏の力!でした。