すてっぷ・じゃんぷ日記

2019年11月の記事一覧

挑発行動の見極め

前回K君の不適切な行動を紹介しましたが、高学年の行動は低学年には憧れとなり、不適切な行動の真似は集団のモラルの低下を招くというお話をしました。案の定、前回K君の行動を見ていたM君が「僕は公園なんか行きたくない」と挑発行動に出てきました。どうしようとスタッフから相談がありました。挑発行動の対応は、理を尽くして説明してもあまり効果がないです。理由なき憧れの不適切行動はスルーするのが原則です。そしてブロークンレコード「今日のみんなの予定は公園です」の繰り返しです。公園に行ったら、M君は声を上げて楽しそうにみんなと遊んでいたそうです。人の心情を理解していない場合の行動と、人の心情を試す挑発行動の見極めは支援者にはとても大事です。

 

モラル支援

高学年のK君がみんなを待たせているのに、待たせたことを謝罪もしないで下級生に横柄にあたることがあったという報告がありました。スタッフにしてみれば、在宅がちのK君がみんなと遊ぶことができる機会の出鼻をくじきたくなかったという思いがあります。しかし、反省会ではそれは支援だろうかと議論になりました。

まず、不適切な言動をスタッフはあれこれの理由があってもスルーしてはいけないことです。なぜ皆を待たせて謝罪がないのか正面から聞くことです。高学年の存在は、低学年にとってあこがれの存在です。しかしそれは下級生に横柄にしたり謝らなくていい存在ではありません。スタッフがその言動をスルーすれば集団モラルは劣化してしまいます。スタッフは、どんなに急いでいても、相手の気持ちがわかりにくい子どもたちだからこそ、なぜ謝罪が必要か丁寧に説明することが支援です。その場でできないなら後で話そうと保留して、その言動を許してはいないことを全体に示す必要があるという話をしました。

 

できるできない

ストラックアウトでG君とH君が遊びました。G君は投げて当たったエリアに自分で「当たり」シートを貼りつけて、次の順番のH君に球を渡せるようになったという報告の一方で、H君は何処に当たったかも見てないし、順番を意識して球を渡すこともできないという報告でした。

G君は「~したら~する」がわかる認知発達の段階、H君は「人と同じようにしたいけどうまくはできない」段階。この二人を比べるのではなく、先の認知発達の段階と照らし合わせて活躍できているかを見ることが実践者の目です。G君は視覚支援の成果もあって大人の介入なく「~して~する」が見事にできているし、H君もG君のように的に向かって投げようとしています。どちらもOKです。

ロールプレイ

キックベースをしていた時のことです。D君はルールもよくわかりどうすれば勝てるかも良くわかっています。一方、E子さんはキック力(打撃力)はあるけど走るのは遅い。F君は最近やっとチームプレーに馴染めるようになってきたところです。

この3人がチームを組んでプレーしていました。D君はE子さんが遅いので「もっと速く走って!」と檄を飛ばし、F君には「守備はもっと前で!」とアドバイスをします。二人とも気分が悪いとそそくさとプレーから離脱してしましました。スタッフが二人の会話に耳を傾けると「何様やねん」「言い方が腹立つ」とD君をディスります。

D君は良かれと思い勝ちたい一心で檄を飛ばしただけですが、それが二人は気にくわないのです。この場合はどちらも指導が必要です。友達の頑張ったプレーは「セーノ」で声をそろえて「ナイスプレー」と褒める、失敗したら声をそろえて「ドンマイ!」と言う。一人に10回声かけるまでは決してディスらないこと。では両者ともプレーの前に、一回ロールプレーで練習しよう。チームメイトの頑張りをよく見ましょう。

さて来週はどうなるか?楽しみ楽しみ。

 

お疲れ様です

みなさん学校祭で調子の悪い人が多いと書きましたが、出番が終わった人は徐々に回復しております。今日は放デイのスタッフもたくさん見に来られていました。「~君がかわいかった」とか「~さんは気合が入ってた」とか口々に御贔屓の子どもたちの話題を交わしておられました。

ちなみに、読者の皆さんが中学高校の時はいかがだったでしょうか?中学を境目に自分たちで自主的に作る学校祭は楽しかったでしょうし、つじつまを合わせたやらされ感の多かったものは嫌だったのではないでしょうか。大事なことは子どもたちが主体的に取り組んでいることです。けれども主体的とは大変むつかしい言葉です。みんなに表現したい見てほしいという動機は何もないところからは生まれてこないし、何らかの表現のチャンスも必要です。そのチャンスは、他者の誘導であっても最終的に本人が選んだものかどうかというのは本人しかわからないものです。最初は嫌だったけどやってみて好きになる場合もあるからです。

そういう意味では小学校時代はチャンスを「合理的」に試す時期かもしれません、思春期に入ったらまずは本人の選択が重要です。一律平等に参加させようとするのは個性の無視です。参加を拒否することも表現をしないこともOKだという柔軟性が大人に求められています。それでも出番が終わった人たちは晴れ晴れとしています。みなさんお疲れさまでした。