すてっぷ・じゃんぷ日記

タグ:自立的行動

がんばるます!

じゃんぷに通うT君が一人で帰れるよう練習を始めます。T君のお家はじゃんぷから少し離れたところにあるので電車で来る必要があります。なので行きは最初保護者に送ってもらっていたのですが、去年の9月頃から一人で来れるようにと練習を始め、今は家から一人で西向日駅まで来れるようになりました。

さて、先日保護者の方と面談をし、「帰りも一人で来れるのではないか」と話になり、帰りも自立的に来れるよう練習を始める、ということになりました。T君は行きが一人で来れるようになったことが嬉しいようで、家から一人で来れるようになった頃は「今日も一人で来れたで!」と報告をしてくれていました。それだけ彼の自信になっています。

本来忘れ物が多く、ワーキングメモリーも弱いため様々な場面で大人からの声掛けをされてきた彼です。「出来るかなぁ…」と不安がっていたことが練習を積み重ねたことで一人で出来た結果に繋がったのだと思います。今回は不安な言葉ではなく、「がんばるます!」と言ってくれました。

子どもが一人で、自分の力で出来たという経験は何よりも自尊心になります。T君は今年度そんな経験をたくさんしてきました。不安なことは不安だと大人に相談し、一人で出来そうなことは「やってみる!」と判断も出来るようになってきています。がんばえ~、T君~!

時間の見通し

 支援学校高等部のDくんはこれまでの療育で、スケジュールやiPecsを使えるようになっています。学校の行事や放課後等デイサービスの利用日で休みたい日があると、前日にお母さんに上手に伝えられます。すてっぷでもスケジュールに楽しみがないと、「すてっぷ、おやすみ、ください」と利用前日にお母さんに伝えることがありました。そこで、その日のスケジュールに楽しみにできることを入れようと相談し、本人が大好きなおやつ作りの活動を入れることになりました。また夏休みに入り、生活リズムが変わった中、本人が見通しを持てるようにスケジュールをある程度固定化しました。基本のスケジュールは【自立課題⇒作業(設定遊び)⇒買い物学習(昼食をコンビニへ階に行く)ご飯⇒休憩⇒自立課題⇒作業⇒おやつ作り⇒休憩⇒帰る用意⇒帰宅】にしました。

 夏休みも中盤に入り、毎日の過ごしに慣れてくると、自立課題や作業への切り替えもOK、おやつ作りへの切り替えもOKと、スムーズに切り替えることができるようになってきました。新しく入った職員は「スケジュールに楽しみなことを入れることが大切と研修で習ったけれど本当ですね。改めて学びました」と話してくれました。

 ただおやつ作りをスケジュールに入れると、昼食後の休憩をいつもより短くして、作業もすぐに終わらせて「おやつ作り 下さい」と要求するようになりました。時計を見ると1時過ぎです。スケジュール通りの順番でてきぱきとこなしているのですが、彼のスケジュールには時間が入っていませんでしたので、楽しみにできることを早くしたいとスケジュールを進めるのはあって当たり前です。そこで、「デジタル時計をつかってみたらどうか」と試してみることにしました。

 デジタル時計とリマインダーで、「2:00作業、2:20おやつ作り」と提示するようにすると、時間通りに切り替えできるようになってきたDくん。おやつ作りだけの切り替えが良くなったのではなく、作業の準備などほかの活動でも、時間の見通しが持てて自立的に始める姿も見られます。スケジュールに楽しみなことを入れ始めてからは休みなく通ってきてくれていて、安定して活動を積み上げられています。

スケジュールとタイマー

F君が家からタイマーを持ってきているというので、どんな使い方をしているのか聞くと、机の横にセットもせずにおいているだけと言います。では休憩時間はどうやって終わるのか聞くと、そろそろ片づけてほしいタイミングでタイマーセットしてタイマーが鳴ったら声をかけて終わらせていると言います。この使い方では「終わりやで」と声をかけているのと変わらないです。でもこれは支援「現場あるある」事象です。なんのためにツールを使うか良くわからないまま支援の中にツールが入りこむ悪い例です。またF君自身も何のためにタイマーがあるかわからないけど、机の上にこれがないと不安なので家から持ってきているのだと思います。

タイマーは小学生から障害の重い高等部生までよくタイマーを使いますが、どんな目的で使っているのか聞くと、大人の都合で使っているだけだと言うことが少なくないです。タイマーを使うのは子どもが自発的に次の行動に移るために使うのですが、それを理解させるにはスケジュール操作を丁寧に教える必要があります。

タイマーは休憩時間や遊び時間に使うことが多いですが、これをタイマー理解の導入に使うのは間違いです。楽しいことが終わる行動が強化されるはずがないからです。重度の人には楽しいことが来る時間にタイマーを設定します。小学生には、自立的にタイマーで行動ができたらポイントをあげるという形でタイマーを教えます。

こういうことが定着したうえで、休憩時間にタイマーを使ったり、作業を途中でやめるためにタイマーを使い、自立的にスケジュールを操作できるように支援すればうまくいくはずです。