すてっぷ・じゃんぷ日記

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切り替え時の混乱

ちょっとしたことで怒り出すOさんが今日は静かです。実は意図的に移動の切り替え場面を少なくして同じ場所で活動するようにしたのです。移動時の切り替えで混乱する人が少なからずいます。ASDの子どもたちの場合はスケジュールなど視覚的支援で予告をすれば混乱はなくなっていくのですが、短期記憶のとても弱い人や、自分のつもりが切り替えにくく混乱すると興奮する人の場合、スケジュール指導が入りません。

この場合、「そうじゃないでしょ!」とやってしまうと、猛烈にもつれてしまいます。そして、抵抗が強いので結局本人の思い通りにするなら、大声を出せば要求が実現することを教えることになります。このやり取りを繰り返せばどんどん不適切な行動がバースト(爆発)してしまいます。

そういう危険性が高い場合は、切り替え(場所移動)の少ない生活を提供するしかありません。そして、穏やかな生活を作る中で、小さな切り替え(どちらでも良いスケジュールの変更等)の成功体験を積み上げていきます。ただし、あまりに興奮が激しく本人も辛そうな場合は服薬も提案する必要があると思います。

 

バースト現象とギャンブル理論

Gちゃんが、最近大声や奇声をあげて拒否したり要求したりするのけどなぜだろうという報告がありました。GちゃんはASDで、入学当初、機能的コミュニケーションがうまくいかず、要求が叶わないと大声をあげたりしていました。そこでPECSや機能的コミュニケーションに取り組み始め夏ころにはとても穏やかに要求や拒否ができるようになっていたのです。

学校が始まり、新しい事業所にも通い始め環境に変化があったのは当然ですが、この落ち込みぶりは激しいなぁと感じています。以前は、だんだん声が大きくなる感じでしたが、最近はいきなり奇声で「ぎゃー」と叫びます。これはABA理論ではバースト現象といって、不適切行動で相手が反応しないのでさらに大きな声や不適切な行動を修飾して要求を実現しようとする現象です。つまり、かなり日常的に不適切行動が無視されていることが推測されます。

大事なことは、不適切行動をスルーして無視することではなく正しい要求の仕方をエラー修正して教えることです。「そんなことで要求をかなえるとずっと大声を出すから反応しちゃだめ」という人がいますが、泣く子と地頭には勝てないのが世の常です。結局、激しい不適切行動の後要求がたまに実現したりするのです。

この「たまに」というのはもっと良くないのです。「ギャンブル理論」といって、たまに要求が実現するほうが行動は強化されてしまうのです。だからかけ事がやめられない人が多いのです。エラー修正で行動を修正して正しい要求実現の方法を教えることと、もう一方で、まってね・今はダメを、大暴れするような修羅場ではなく、我慢できそうな訓練場面で少しづつ教えていくことが大事なのです。