すてっぷ・じゃんぷ日記

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「サーカスを見に行ったよ」

 すてっぷの小学生グループの外出で、サーカスの観覧に行ってきました! 会場は大阪と少し遠い場所で、電車で片道約1時間。いつもより長い時間ですが、行くメンバーがすてっぷでお出かけを何回も経験してきた子ども達だったので、その時間で計画を立てました。
朝は少し余裕をもって出発。この間、小学生グループはICOCAで電車に乗る練習をしています。券売機でのチャージもスムーズにできるようになってきました。 乗車駅と降車駅、それぞれの時間をスケジュールで確認します。1つ終わったら職員が赤字でチェックし、次の確認。「次に乗る電車のホームはこっちかな」「〇〇行に乗るよ!」と、子ども同士でも会話が飛び交います。


 昼前に無事最寄り駅に到着。やよい軒で昼食を食べてから、徒歩でサーカス会場へ。待ち時間が長いのもサーカスを見るため、仕方ないとばかりに、子ども達はいつも以上に我慢強く待ってから、会場内に入りました。


 会場内に入ると薄暗い中、照明がたかれ、音楽も静かながら響いています。一人の子どもはボソッと「思ってたのと違った」と言いました。職員が声をかけると、その子は「大丈夫」と答えましたが、隣りの子は「音がしんどそう」と答えました。そんなときに役立つのがイヤーマフ! 事前にサーカスに行ったことのある職員に聞き、イヤーマフが必要だろうと準備していました。イヤーマフを付けると、その子も「大丈夫」と答え、いざ開演! 10分ほどの休憩を挟んで、合計2時間。途中「あと何分?」と確認する子に時間の見通しを持たせながらでしたが、全員がしっかりと上演を見終わることが出来ました!


 帰り客の多さや電車の送りで少しバタバタしての帰路にはなりましたが、「サーカス、楽しかった」「何が楽しかった?」「僕は――」とみんなで感想を言い合いながら帰りました。楽しみのために我慢して待ち、2時間ほどの上演を楽しみ、「~だったけど、楽しかった」で無事終われたことに、子ども達の成長を強く感じた職員でした。

バスはいつ来る?

 冬の外出計画を立案し始めました。今回のお出かけでは、小学生は公共交通機関を使うことを目標の1つにしています。すてっぷから駅まではバスを使って行くのが便利です。さっそく事前学習として、先日最寄りのバス停まで行ってきました。小学生のみんなは時刻表がどこにあるか見つけ、帰ってからでも確認できるよう、時刻表の写真を撮ってきてきました。時刻表はインターネットで検索してダウンロードすることもできますが、実際にバス停まで行くことで、当日にバスに乗るときの見通しも持てるようになります。

 去年も公共交通機関を使って清水寺などの観光地までお出かけしましたが、ほとんどの子は3月に卒業。今年のメンバーの大半は、公共交通機関での外出は未経験です。中には、バスに乗ったことがないという子も。経験のある年長者のAくんも、バスに対しては苦手意識があります。「財布落としてしまってん」とぼやくAくん。ただ去年のバスでのお出かけでは失敗しておらず、その前のお出かけで財布を落としてしまった記憶が混ざってしまっているようです。実際は1dayパスポートを購入し、そのパスポートで京都市内のバスを乗りついで出かけていきました。去年も事前に調べ学習をし、購入するには「どこで?」「いくらするの?」と調べています。そうして財布は出さずに、カバンなどに留めた定期入れに購入したパスポートを入れて、落とさずに帰ってこれました。

 他にも便利なのがICOCAなどの交通系ICカード。こちらも同様に、定期入れなどに入れて支払うことで、落とす心配が減ります。すてっぷで公共交通機関を使ってのお出かけは、年に1回ほど。成功体験に繋がるよう支援方法を職員一同で考えています。パスポートやICカードなどのアイディアもその一つ。また外出計画案が纏まりましたら、本人や家族に提案したいと思います。

外出用のスケジュール

 夏休みに計画していたものの、新型コロナの影響で延期にしていた外出に、ようやく行くことができました。外出についての詳しい紹介はまた別の記事で行うかもしれませんが、この記事では外出用のスケジュールを紹介したいと思います。

 すてっぷでは、小学生もスケジュールに取り組んでいます。活動の見通しを持ち、自立的に次の行動に移れることを狙っています。普段の日であれば、ボードにカードを貼って提示していますが、外出時は紙に印刷して提示することが多いです。外出なら1日の予定がその日に変わることはそうそうなく、また外出で持ち運ぶため紛失する可能性があるので手間のかからない紙への印刷のみにしています。雨天の場合は、まるまる違う紙を用意しておき、出発前や外出中に差し替えるようにしています。

 さて今日の外出では、今日が初めての外出の子も何人かいました。この紙のスケジュールを使うのも初めてです。他の子もあまり使ったことがなく、5年生のRくんでも久しぶりに使うこととなりました。ですがRくんはさすがです。出発前のトイレが終わるとすかさず紙を確認。今日は初めての子もいるということで、終わった活動は職員にペンでチェックしてもらうことにしていたので、他の子もそれに倣って紙を職員に見せて確認してもらいます。出発後も到着したときやお昼ご飯を食べ終わったあとなど活動が終わるたびに確認し、次の活動に向かうことができました。

 今回は職員が紙に印刷してスケジュールを提示し、終わった活動のチェックは職員がすることにしましたが、彼らの成長に合わせて、自分でチェックするようにするとともに、自分で使えるメモ帳などに切り替えることも考えています。スケジュールを使うことで、見通しを持てるようになり、また見落とすことがなく過ごせたら、その利便性を感じて、自分で使おうとする意欲が生まれます。将来は自分で予定をメモ帳に書き込み、それを自分で確認することで1日の行動が適切にできたらいいなと思っています。

「レストランに行ったよ!」

 「なんで歩かなあかんの?」(2022/6/28)で紹介したAさん。梅雨で天気がぐずつく中、雨の降らない間をねらって歩行練習に精を出しました。外食の目標にしているファミリーレストランにも、練習で入口まで行ってみました。白杖でさくさく歩きますが、広い歩道では左に傾く癖があります。すぐそばで見守る職員が、癖が出たら指摘するようにして、歩行練習を重ねました。

 さあ、いよいよ外食の日。当日は幸いなことに、雨の心配はなさそうな曇り空です。Aさんも出発する前から、「カルボナーラ食べたい」「シーフードピザ食べたい」と楽しみな様子。事前にメニューを職員が読んでいっしょに確認してから出発しました。歩行練習の甲斐があって、スムーズに歩くAさん。そばで見守る職員が手助けすることなく、ファミリーレストランに到着しました。

 レストランに到着すると、店員さんもやさしく対応してくれました。まずAさんのために、点字のメニューを出してくれました。Aさんは点字を読んで、料理名と値段も一緒に確認していきます。シーフードピザがないことがわかると、すぐに「じゃあソーセージピザにする」と決定。店員さんを呼んで、注文します。「ジュースもありますか?」とAさんが聞くと、店員さんは「ドリンクバーがあります」と答えます。Aさんはすぐに「(ドリンクバーに)マスカットジュースはありますか?」と尋ねます。すると店員さんもすぐに「Qooって知っていますか?そのマスカットジュースがあります」と丁寧に答えてくれました。

注文の料理が届くまで、ドリンクバーにジュースを取りに行ったり、点字のメニューを見たりして過ごしたAさん。

「これ(点字メニュー)があるので、何があるのかよくわかって嬉しいです。良い思い出になりました。ありがとうございました。」

と料理を運んできてくれた店員さんにお礼を言ってメニューを返していました。楽しみだったソーセージピザも、せっかくの機会だからと職員に続いて、Aさんも自分でピザカッターを使って切ってみます。外食を満喫できた帰りもまた、白杖を使って自分で歩いて帰りました。

 今年は異例な速さでの梅雨明けになりましたね。梅雨が明けて1週間は、夏を思わせるほどの暑さが続き、すてっぷでも屋根のない場所への外出は控えました。今は戻り梅雨のようで、すこし暑さがましになったので、曇り空の下、公園へ。外出の楽しみがあると、やはりモチベーションは上がります。夏休みも、もうすぐ。また外出の計画を立てて、お知らせしていきます。

「なんで、歩かなあかんの?」

 子どもの頃の思い出を尋ねられると、旅行やお出かけしたことをあげる人は少なくありません。それだけ刺激的で、やりがいのあることなのでしょう。多くの人は余暇に外出することを選びます。しかし一口に外出と言っても、必要なスキルは多岐にわたります。公共交通機関を使うこと、買い物をすること、安全に気を付けて歩くこと。これらのことを身に着けて、外出できるようになっていきます。

 盲学校高等部のAさんは、白杖を使って外を歩きます。これまでもすてっぷで、職員が安全確保しながら、近所を歩く練習をしてきました。ですがAさん自身は、「なんで、歩かなあかんの?」と、逃げ腰でした。職員は「卒業後に向けて、外を歩けるようになっていた方がいいからだよ」と理由を伝えます。が、Aさんは、「大丈夫です。卒業したら作業所が送迎してくれるから一人で歩かなくても大丈夫です」と、あっさり答えました。聞くと、ヘルパーさんとの外出の経験も少ないとのことです。

 卒業後の余暇の過ごし方がイメージできていないのでは、と思った職員は、事前にお母さんと個別支援計画で打ち合わせしてから、もう一度Aさんと話しました。ヘルパーさんと外出したら買い物したり、外食したりできることの話題になると、Aさんは「行きたい!それなら練習します」と乗り気です。それなら白杖を使って歩く練習をした方がいいね、でもせっかくだから、ヘルパーさんと行くような場所に行ってみようか、と話がまとまりました。さっそく、1か月後に近所のファミリーレストランで食事をすることに。それまではすてっぷに来たら、そのファミリーレストランまで白杖を使って歩く練習をすることになりました。

 この頃は、まだ梅雨入り前後で、天気が安定しなかった時期です。Aさんはすてっぷに到着すると、「今日は雨降ってないよ!」と報告してくれたり、「今日はこれから雨降りますか?」と確認したりと、外歩きのトレーニングにとても前向きになりました。さて、直近の目標のファミリーレストランへの外出はどうなるでしょうか。また近いうちに報告します。