すてっぷ・じゃんぷ日記

タグ:プロンプト

移動カード

移動カードはトランジションカードと言ってスケジュールに戻るときに言葉のわからない生徒に渡すカードのことです。トランジションカードとこのブログ内で検索してもらえばわかるように今年度に入ってほぼ2か月に1回触れています。最近はトランジションカード 2020/11/06で書きました。すてっぷではトランジションカードをやめたのです。U君たち言葉をうまく理解できない人たちに身体プロンプトでスケジュールに戻ったり行先にいくようにしています。確かに誤解はなくなり、自分で考えようとしている姿が2か月過ぎからみられるようになっています。

スケジュールを自分で見てもらうようにするには最初は支援があったにしてもその後その支援をどう減らすかを考えておく必要があります。声掛けで「スケジュールを見なさい」と言おうが、トランジションカードを渡してスケジュールを見に行かせようが、やっていることは同じです。人的介入で行動のきっかけ(プロンプト)を作っているのです。

大事なことは、この介入をどうやってフェードアウトしていくかなのです。カードよりヴォリュームがだんだん落とせて発音数を減らせる声の方がまだましかもしれません。カードをだんだん小さくしても視覚的プロンプトは最後まで残ります。それに引き換え身体プロンプトは後ろから触るだけですし、自分で行動ができるようになればそれでプロンプトしなくていいのです。どう考えても、身体プロンプトの方がフェードアウトはしやすく誤解も少ないです。

ではなぜ、トランジションカードが我が国で20年以上続いたかなのですが、結局、スタッフ側の支援「満足感」なのだろうと思います。カード渡すことによって子どもがスケジュールに戻る姿はスタッフにはいい気分なのです。スケジュールを子どもが自分で理解するにはどうしたらいいのかということも、エビデンスをもとに説明したものはPECSのマニュアル以外に見当たりません。

結局、2005年初版のPECSをよく読んだら書いてあったということなのですが、本がぶ厚すぎて286ぺーにまでたどり着いていない人が私も含めて多いという事です。それと、改めて応用行動分析理論については、対人サービスに関わる人すべてが学ぶようにカリキュラムに入れるべきだと思います。

届かないカード

PECSのフェーズ2は、コミュニケーターが子どもから距離をとってすぐにはカードが渡せない設定で、カードを渡しきるトレーニングです。Lさんは、今まで渡していた机の幅が広くなって、スタッフまで手が届かなくてあと30cmを要求カードを指で飛ばして渡そうとしました。

ASDの対人関係障害に関するスタッフの理解は、こういうときに試されます。「Lさん、うまいこと考えたね~!」なのか「う~ん、表出コミュニケーションは簡単じゃないね」にわかれます。

この場合は、プロンプター(子どもの後ろからハンドリングする人)が身体を押して立たせて腕をもってあげて渡す行為を手伝います。ただ、机が障害になって立つことが分かりにくいので、机の角を使って立って渡しやすくします。徐々にプロンプターは身体や腕を支える力を抜いていき最後は肩を人差し指で触るくらいまでフェードアウトして、自立させていきます。マニュアルにはちゃんと書いてありますが、隅々まで見る人は少ないです。