すてっぷ・じゃんぷ日記

タグ:トイレ

紙おむつトイレ

外出中の便漏らしは本人もつらいものです。周囲の人も何とかできないかといろいろ解決策を考えるのですが、回数が少ないのでトライする機会に恵まれません。できそうなことは便意を伝えるルールを訓練する事くらいです。そして、急に便意が起こる緊急の場合に限って外出時であったり、周囲にトイレは存在しないというのが緊急時あるあるです。

幼少期に紙おむつに便をすることからトイレで排便することにうまく移行できない人が少なからずいて、強固にこだわって青年期まで引きずってしまう人がいます。これには二つの課題があります。一つは、便は紙おむつにすると言う誤解です。もう一つは、便器の空間の中に排泄するという感覚の問題です。紙おむつではなく、便器にという認知の誤りは視覚的にも示すことができるので理解は得やすいのですが、便器で座っておなかに力を入れるという感覚は伝えられません。しかもおしっこのように視覚で確認ができないので、排泄場面の認識が困難です。

筆者が関わった成功例はたったひとつですが紹介します。シャワートイレでのシャワー刺激による便意引き出し支援です。高校3年生のASDで療育手帳は程度Aの方で、排泄は紙おむつの中でするという方でした。毎日昼食後に少し運動や作業をしてからシャワートイレで温水シャワーを出しながらタイマーで3分間座ってもらうスケジュール設定を担当者にお願いしました。今では便意を引き出すマッサージ機能のついたシャワートイレは当たり前ですが、当時はまだそんな機能はなかったので、ただ温水を当てるだけでした。

1か月もしないうちに担当の方が「成功です!」と教えてくれました。温水シャワーで気持ちよくトイレには3分間座ってくれたそうです。その時に後処理は紙で拭くことも教えられました。ある日、思わず便が出たそうです。トイレの中に浮かぶ排泄物を見て、彼は一度に全てのことを理解したみたいですと担当の方は報告してくれました。出すものを出せば紙おむつに排泄する必要はなくなり、毎日トイレに座る中で便器での排泄の経験も増え卒業時には完全に自立されたと聞きます。

20年程前の話ですが参考になればと思います。トイレ問題は結構困っている方がおられるのですが問題が問題なだけに話にあげにくいこともあるようです。他にも様々な方法や工夫があると思いますので、よろしければこのHPでトイレアイデアを集約させていただきますので下記アドレスまでご一報ください。

宛先: sodachi.step17@nifty.com

 

トイレ問題

帰宅準備をするなど、行動を大きく切り替える際にASDの人たちの中にはトイレなど静かな場所で行動を切り替える準備をする場合があることを以前書きました。「席をはずすのはいけない事か?07/03」や「トランジションカード 07/16」  で話題となった彼は、帰りの促しをすると声掛けだろうが、スケジュール(ワークシステム)だろうがトイレに入ってしまうというのです。

そこでスタッフから、トイレにタイマーを持ち込むのはどうか?5分前くらいからトイレに行かせてはどうか?と提案がされました。「家でも出かける前には長くトイレに入っている」という家族からの聞き取りも示されました。トイレは公共の場所だから独占させるのは良くないと言うのは当たり前です。ただ、当たり前だからといってタイマーをトイレに持ち込むだけで本当にいいのかということです。もしタイマーが通用しないならあとは実力行使しかありません。

その前に、いくつか工夫をして、彼との間で平和的に折り合いをつけるチャレンジがあってもいいのではないかというところで落ち着きました。さてどうなるやら、また報告します。

絵カードスケジュールは何のために貼るのか

V君が久々に通所してきました。V君はトイレの個室が苦手です。原因は分からないのですがドアを開け放っておくか、人が付いていく必要があります。今日も、声掛けなしには行けなかったので、どうすればひとりで行けるんだろうと話し合いました。

考えられることは、トイレへの拒否感もあるが、その繰り返しから大人が促してトイレに行くと言う行動ルーティンが形成されおり、自分で尿意を感じて一人で行ったり、外出の前に自発的に行く行動は形成されていないのではいかという話になりました。それなら、まずはスケジュールにトイレタイムを設定して通所時に示して意識してもらい、忘れているようならトランジッションカードを渡してトイレタイムにまず自ら気づいてもらうことが大事だと話し合いました。

トイレに一人で行くかどうかの前に、まず自分でトイレの時間に気づくことが必要で、大人が必要ならついてきて欲しいと言ってもいいということにしました。ついでに、話はそれたのですが、スケジュールはASDの方のためだけではなく、記憶できない子だからと大人に頼るのではなく、一人で日課を過ごす自立性と自尊感情を育てたいと言う目的から使っているという話もしました。