すてっぷ・じゃんぷ日記

タグ:高学年

「ちょっと待とうや」

先日のじゃんぷの休憩時間は「ぶたのしっぽ」をしました。低学年~高学年まで入り乱れてのゲームです。

そのグループは半年以上前に同じゲームをしているのですが、それぞれの発達段階の違いもあり、ルールも覚えている子、名前は覚えているけどルールを忘れた子、名前もルールも忘れた子、と様々です。ルールを覚えている子が率先してみんなに説明をしてくれてました。

ただその子は他の子どもが迷ったり悩んだりしている時についつい「早くしてよ」「長い」と言ってしまいます。本人に悪気は全くないのですが、乱暴な口調で言ってしまい時に言い合いになりそうな場面もあります。

その子は今年度4年生になりました。いつかのブログでも書いたかもしれませんが、4年生になった子には「チャレンジする学年だよ」と伝え続けています。その子には「高学年になったら低学年を引っ張っていきます。その口調や態度は通用しなくなります。」と伝えています。その子の乱暴な口調や態度は無意識なもので、なんの悪気もないので「なぜ直さなければいけないのか」と思っているでしょう。ただ、そのままだと損をすることが多くなってしまい、その子の良さより悪いところが目立ってしまうようになります。そういった理由も含めて伝えています。

休憩時間の時の話に戻りますが、ぶたのしっぽの最中、低学年の子がルールがまだあやふやで職員と一緒に確認しながらゲームをしようとしている時、別の子が「まだかな~」と漏らしたときに「ちょっと待とうや」と言ってくれました。上手に理由を説明できない様子でしたが、「待とう」と思い、それが言葉に出てきたことが大きな成長のように感じます。

高学年だから!

タイトルの通り、4年生になったB君が「高学年だから!」と言ってくれました。

今まで一緒に低学年の友達と同じ場所で勉強をすることがありましたが、低学年の友達は勉強が終わるとブランコをしたり遊びに入ることが多いです。そのたびに「え~ブランコやってるやんズルい~」と漏らすB君。調子の悪い時は「ブランコしたいしたいしたい~!」と駄々をこねることもありました。

今じゃんぷに通っている子どもには「新しい学年になったら〇〇なことが始まります。〇〇な力をつけていきます。」と話しています。この4月に4年生になる子ども達には「高学年になります、4年生は難しいことにも挑戦してみようとする気持ちを育てていきます。低学年のリードをすることも増えていきます。初めてのことや難しいことに多く出会う学年です。」と伝えています。先日B君は今まで通り「ブランコしたいしたい~!」となりましたが、低学年の友達にまず順番を譲り、その子が自分よりも長い時間遊べるように自分の時間を少し減らす、と話してきました。理由を聞くと「高学年だからね!」と答えてくれました。

話をしっかり覚えており、それの通りに頑張ろうとしているようです。さすが高学年!かっこいい!

本人参加の支援会議

子どもの支援計画を議論する中で、高学年児は目標やその手立てについて本人も懇談会に参加してもらい、なぜこの目標を設けているのか、どのようにして目標を達成しようとしているのか話し合う場を設けることが必要だと話しあいました。

高学年ともなれば、自分はどうなりたいのかを考え始める時期です、対人関係や学習など様々な困難を抱えている子どもたちも、自分は何者か考える時期です。自分は何のために通級指導や支援学級に在籍して学んでいるのか、何のために放デイに来ているのか薄々子どもらも考えてはいるのです。

子どもにこっそり聞いてみると、たいがいはネガティブな理由です。通常学級ではしんどいから、勉強がわからないから、みんなとうまく遊べないからと、できない理由をたくさん並べてくれます。けれども、通級指導を受けたり支援学級に在籍したり放デイに来たらどんなメリットがあるのかは、どの子も答えられないのです。せいぜい、気兼ねなく生活できるという答えでした。

半年に一回懇談会があって保護者とスタッフが自分の話をしているのは子どもらは知っています。それならば、高学年からは本人も交えて支援会議を持てばいいと思うのです。中学からは3者面談を行いますが、ほとんどは成績と生活態度の反省会のような形になっています。そうではなく、どうすればうまくいくのかを話し合う必要があります。そして、とても困難な状況になっても3者で協力して乗り越えていく会議のスタイルを小学生の時期から持つことはとても重要です。とても困難になってから本人を無理やりに引っ張り出すのではなく、穏やかな時期から一緒に話し合いを積み重ねていく支援会議を大事にしたいものです。それが、自分のことは自分で決めるアプローチになると思います。

「マジックジュース」サイエンス

高学年のD君E君と低学年のF君を読んで「マジックジュース」の実験をしてみました。「マジックジュース」とは、色が変わったり、泡が出てきたり、液体が混ざらずに重なったりする、まるで魔法がかけられたように変化していくジュースの実験のことです。

毎度掲載しているように、高学年児は同じ遊びばかりでは放デイの生活に退屈してしまいます。かといって低学年や重度の障害の子どももいるのでグループ分けはしますが完全に分離してしまうと、多様な人がいる生活の良さを生かせません。この匙加減が大変難しいです。そこで、たまに、高学年の興味関心を引き付ける内容を投げ込むことが大事です。

今回のマジックジュースは、グレープジュース(30ミリリットル)に重曹小さじ4分の1を入れて変化を見ました。「お~色が変わる!!」高学年の二人は大興奮。(ん?理科の実験って最近しないのか?)グレープジュースには「アントシアニン」が入っています。色は紫で、ほぼ「中性」です。アントシアニンにアルカリ性のものを混ぜると青くなり(グレープジュースでは黒っぽく見えます)、酸性のものを混ぜると赤くなります。重曹はアルカリ性です。グレープジュースが黒っぽく変わったのは、重曹を入れたことでアルカリに変わったからです。

D君は「リトマス試験紙と同じか」と推測。E君も「もっといろいろ混ぜてみよう」と乗り気です。ところが低学年のF君は「高学年の勉強やしおもろない」と逃げていきました。見えないものの変化に法則性を見出すのは9~10歳ころと言われているので無理ないとは思いますが、興味なさすぎでスタッフはがっくりしていました。

あとは、酸性のクエン酸(柑橘類の汁)では赤くなり、クエン酸と重曹では泡が出るなど楽しいミックスジュース遊びに、高学年は沸いていました。

高学年ゲーム教材の工夫

放デイは日常生活や遊び活動で社会性の伸長を図っていきます。ただ、放デイに来ている子どもは低学年から高学年まで6年という年齢の開き、重度知的発達症(知的障害)から知的には遅れがないけどASD等の発達障害を持つ子や知的発達症も併せ持つ子など様々な特性を持つ子どもが通所しています。毎日、ある程度グループ分けはしていますが、どうしても低学年や知的発達症の子どもに合わせた内容になりやすいので、高学年や遅れのない子どもにとっては物足りなさがあります。

昨日も高学年のC君がボーリングゲームから逃げ出してきました。「D君が邪魔するからもうゲームやりたくない」と言いますが、高学年の彼にしてみれば幼稚なゲームから逃げる理由を探していた節があります。以前も単なる的当て(ストラックアウト)ゲームではなく、ポケットモンスターをみんなで仕上げるゲームしたら取り組み方が変わったことがあったことから、工夫が足りないんじゃないかということになりました。

そこでスタッフで話し合いました。「やることは繰り返しの幼稚なものでも、D君が好きな戦国武将倒しゲームならボーリングを楽しめないだろうか」「お城好きなので、ただの磁石魚釣りではなく、騎馬隊を釣ったり足軽を釣ったりする城攻めの釣り合戦ではどうだろうか」「時代物はD君は嫌いだけどスターウォーズシリーズでキャラ釣りすればどうだろうか」などアイデアが出されました。同じゲームでも高学年の子どもたちの興味関心をつかんでゲームを提供していけば、必ず気に入ってもらえるあそび教材が開発できると思います。ヒットしたものができたらここでまた掲載しようとおもいます。

優しい気持ちは伝染する

以前、高学年のE君が仲立ちして、低学年に関心がないと言われていたRさんとP君をマイクラで仲良しにしてくれました。P君はRさんと遊びたくて仕方がありません。RさんもまんざらでもなくP君を目にかけてくれています。P君は今日初めての公園デビューです。Rさんを頼りにしていて遊びたくて仕方がありません。

同級生のO君が、Rさんを追いかけてきたので、P君はO君がRさんに危害を加えているかのように思っています。帰りの振り返りの時間に、Rさんが「あれは鬼ごっこだよ、誘えば一緒に遊べたのにね」。P君にやさしく説明するRさんの姿に感心しました。

やさしさは、伝染するものです。P君がぽつりと言いました。「O君、帰りに車の前席に僕が乗っていたからしょげていて、かわいそう」と言うのです。この優しさの伝染の始まりはE君でした。ミルクボーイ風に言うと、こうした伝染なら、「こんなん なんぼあっても良いですからね」。

 

優しい気配り

B君の身体にたまたまトイレから出てきたC君の手が触れて、「大丈夫かな!C君トイレの壁とかにべたべた触ってなかったかな!触ってたら俺は発狂するぞー!」B君も武漢ウィルス報道に汚染されてしまったようです。

案の定、自宅へ送って行った時、スタッフの横にいたら喋るスタッフの唾が手に飛んできて、「アワワワ・・・。」となってしまいました。それを見ていた同乗者のD君が「これ使い」とティッシュを差し出してくれました。低学年のB君へのやさしい気配りです。最近、年上の子が低学年の子に気配りする様子にとんとご無沙汰で、いたく感動しました。D君は6年生。この月末にすてっぷを去っていきます。成長したなぁ。

高学年らしさ

通常学校の利用者に感じていることは、低学年と同じレベルで諍い合うなど高学年が幼いことです。これは障害とは関係がないように思うのです。人は、年齢に応じて社会から「らしさ」を求められます。ところが高学年の彼らは「らしく」扱われていないのではないかと思い当たる節があります。高学年は低学年の面倒をみてやったり、年長者として譲ってやる、見過ごしてやるという度量が試されます。障害があろうがなかろうが年長者や大きいものは年下の者や弱い者を擁護するということを、簡単には分からなくても「求めているよ」ということは示す必要があると思います。

指示しない

高学年のM君が怒って文句を言いに来ました。「スタッフは僕には時間を守れとか細々と甲高い声で注意するのに、Nさんが時間を守らなくても何も言わないってどういうこと!」。Nさんが、話し言葉でのコミュニケーションは十分できないことを彼はよく知っています。「君それ本気で言っているの?」「とても残念やわ」と返しました。彼はうなだれてみんなのもとへ帰っていきました。要するにM君はスタッフの自分のへの指示の仕方が気にくわなかったのだと思います。でも、Nさんと自分を比較して不公平と言ったことは自分でも残念だったのでしょう。

小学校高学年に接する場合、叱り方や注意の仕方も重要です。小学校高学年の場合、これまでと同じような叱り方をしていても、言うことを聞かなくなってしまうこともあります。

まず重要なのは、「指示しない」ということ。子どもに叱る場合、小さな頃には「こうしなさい」といって叱ることが多いものですが、小学校高学年になると、命令口調の叱り方は反発につながることがあります。そのため、「こうしなさい」ではなく、自分で解決策を引き出すことができるようなメッセージを伝えるとよいです。たとえば何か失敗したとき「なぜ失敗したの?」ではなく「どうすればよかったと思う?」という問いかけの形でメッセージを伝えることで正直な気持ちを引き出すことができます。また、単に叱るのではなく、「それに対して大人である私はどう思ったか」と、「私」を主体にしてメッセージを伝えると子供にも伝わりやすくなります。

高学年の役割

山登りで、高学年の利用者に光が当たらないと議論になりました。低学年や障害の重い人と同じように歩いているだけでは達成感がないのではなど意見が出ました。高学年には高学年としての役割、みんなの役に立つような演出がいるということになりました。どこの生活型の放デイでも抱えている高学年の支援ギャップについて丁寧に考えていこうと思います。