すてっぷ・じゃんぷ日記

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自己決定と自立通所

じゃんぷを利用しようかなと考えている高学年や中学生の子どものご家族にお願いしたいことがあります。じゃんぷは発達性読み書き障害を中心とする学習障害のある方の療育をしています。じゃんぷの療育は、すてっぷの遊びや生活の中から題材を見つけて療育するという生活型療育ではありません。検査など詳細なアセスメントをもとに、読み書き計算が困難な障害そのものに焦点を当ててピンポイントで支援する学習型療育です。

つまり、本人の「今より字が読み書きできるようになりたい」「学習がわかるようになりたい」という願いや決意があって成立する療育支援です。もちろん、トレーニングばかりでは息が詰まるし、学習はショートインターバルが適している子もいますから、個に応じて支援の方法は変わりますが、基本はバイパス法を用いた仮名訓練(聴覚法)やT式ひらがな音読支援、ICTを使った読み書きトレーニングを継続して行く必要があります。つまり、「良くなりたい!」という動機なしには学習が成立しないのです。また、療育で学んだことは自宅に戻っても続けていけるようになる、自学自習のマネージメント力もつけていく必要があります。

しかし、最も必要なのは自分の意志で通所することです。自分の力でじゃんぷに時間通りに通う力です。なーんだ、そんなことかと思われるかもしれませんが、学校の通学は近所の友達や集団の力が働いていますが、通所は基本一人です。雨が降ったり、暑さ寒さ、帰り道の心細さ、空腹、通所するには当たり前の出来事ですが、こういう変化に適応しながら毎日ではなく決まった日時に通所しなくてはなりません。

私たちは、通所の場合、自宅から療育は開始されていると考えています。人に言われてするのでなく、自分で選んで、選んだことを物理的には自分だけの力で続けていくこと、こうした行動はこれまであまり求められなかった行動です。通所の最中は、いろんなことを考えます。学校での事、成績の事、親の事、自分の未来、好きな人の事。良いこともあれば悪いこともあります。往復の時間、子どもたちは様々なことを考えます。その時間が大事だと私たちは思います。思春期は自分とは何者かを考える時期です。親がいうから通う道のりではなく、親は勧めたが自分が選んだ道のりであることを自問自答する経過が、しんどい時こそ大事だと思います。

じゃんぷの療育は、こうした自己選択の道のりを文字通り通い続ける中でしか成立しません。もしも、お子様にじゃんぷの療育をお勧めになるなら、「自分で決めて通い続ける」最初の決意はとても大事だということをお子様にお伝えください。そうした「お約束」がじゃんぷの職員ともできるなら、君が挫けそうになってもみんなで支えていくから、心配しなくていいとお伝えください。

「教えるとは、希望を語ること 学ぶとは誠実を胸に刻むこと」

 

 

 

 

支援と自立

放課後デイサービスでは事業所が遠くて自力通所できない利用者に、送迎をするサービスがあります。近所に居住し自力で通える方は原則このサービスは使えません。ただ、どんなものでもグレーゾーンがあります。片道20分なら自力通所エリアだが21分なら送迎可能エリアかどうかなどという話です。

これには基準はありません。むしろ、その子どもにとって自力で通所することが自立のために良いという支援方針を持つなら少々遠くても自力通所にすべきだということです。時間を守って、自分の力で移動することは自立の第一歩だからです。もちろん、安全性の問題など自力通所の検討は総合的に行う必要があります。ただ、支援のつもりが、その子の自立の芽を摘んでしまうケースはしばしばあります。対象者への配慮のつもりが、行き過ぎた支援につながってしまう場合がある事を、福祉関係者は日常的な課題である事を自覚する必要があります。