すてっぷ・じゃんぷ日記

タグ:発達段階

我慢するって?

11月に各小学校で就学時健診が行われました。ここで就学前の子ども達の健康診断を行うとともに,保護者の方への説明会や就学相談をする機会もあります。

また,30分ほどの時間を使って就学前の子ども達が教室で絵を描いたりする時間があります。そこで小学校の教員が子ども達の様子を確認します。就学児健診後の話の中でよくあげられるのは「指示通りに絵を描いていなかった」「友達と話すのが止まらなかった」「座っていられなかった」といったことです。

この中でも注目されるのは「座っていられなかった」です。そして「どうやって座らせることが出来るか」等の話から始まります。

しかし発達段階のことをよくよく思い出すと,あることに気が付きます。

「我慢する」というのは概ね4~5歳半の時に形成される社会性です。当然発達というのは子どもによって様々なので就学直前にここまで至っていない子どももいます。

教員の立場からすると学級経営のこともあり,「どうやってルールを理解してもらおうか」という視点になりがちです。(筆者もそうでした…)しかしそこまでの社会性が形成されていない子どもに「ルールだから」と教えてもわからないのは当然のことです。

そうではなく,その子の強みを見極め,それを活かせるような支援が必要です。その子の興味関心,視覚,聴覚…etc その子にとって最大限のパフォーマンスが出来るように関係機関と連携しながら支援が必要でしょう。

話は逸れましたが,「我慢する」がまだ形成されていない子どもにはその子の強みを活かした支援をし,「ルールを守れた」という事実を作ってあげることが大切です。また,「我慢する」ということは「真ん中を意識する」ということです。(「やる」か「やらない」だけの世界なので「やりたくないけどちょっとやってみる」という真ん中です。)

真ん中を意識するような遊びが有効かもしれません。積木を階段状に積む,お盆の上にボールを置いてそれを落とさないように運ぶ等々…発達段階を見極め,それに合った遊びや活動がたくさんあります。今後もそれを紹介していこうと思いますね。

増やしたり減らしたり

「みんなでホットケーキ作りをしたときに、RさんやS君は秤を見ながら増やしたり減らしたりできないです」「T君は微妙な量もきっちり調整しようとするのにどうしてでしょう」という話がありました。通常6歳ころから底の広い入れ物の水を、細長い入れ物に入れて水かさは高く見えてもその量は同じだとわかってきます。この頃から長さや量を測るという意味が分かってくるのです。

その前の段階では「大きい・小さい」「長い・短い」という2元的な判断です。就学前に向かうにつれて「中くらい」「まぁまぁ」が理解でき、7歳の節目では極小から極大までの変化「だんだん」がわかるようになります。重さは見えないので見えないものを把握しようとするのは小学校中学年ころからです。こうした認識を基に量を計るときに慎重に増やしたり減らしたりもできるようになるのです。つまり量の認識には発達段階があるという事です。

子どもたちの遊びや、調理を見ているとその子がどの段階にいるのかよくわかるのです。逆に言うと、そういう量の微調整ができるのに、読み書きが難しかったり文章の意味が取れない場合は知的な遅れより学習障害などを考えて詳しく子どもを見ていきます。

できるできない

ストラックアウトでG君とH君が遊びました。G君は投げて当たったエリアに自分で「当たり」シートを貼りつけて、次の順番のH君に球を渡せるようになったという報告の一方で、H君は何処に当たったかも見てないし、順番を意識して球を渡すこともできないという報告でした。

G君は「~したら~する」がわかる認知発達の段階、H君は「人と同じようにしたいけどうまくはできない」段階。この二人を比べるのではなく、先の認知発達の段階と照らし合わせて活躍できているかを見ることが実践者の目です。G君は視覚支援の成果もあって大人の介入なく「~して~する」が見事にできているし、H君もG君のように的に向かって投げようとしています。どちらもOKです。