すてっぷ・じゃんぷ日記

タグ:読み書き

七夕

筆者がまた夏風邪にかかってしまい更新が滞ってしまいました。どれだけ医者にかかっても「重い夏風邪ですかね」としか言われず、薬を飲んでも一向に回復しないのは怖いですね。

さて、夏と言えば七夕です。じゃんぷでは毎年短冊に願いを書いて笹に飾っています。じゃんぷの職員の知り合いに笹をくれる方がいるので、本物の笹を使って七夕飾りが出来るのは雰囲気が出、子ども達も喜んでくれます。

読み書きが苦手な子が多いので、願いを書く時もあまりくどくどと長く説明はせず、来所したときに笹と短冊、筆ペンを置いておき「短冊に願いを書いてね」の一言メモだけ書いておきます。

その場ですぐに書けるように仕掛けをしているわけですね。形式ばった形だと「書かなきゃ!」と少し構え、しんどい気持ちが出てきてしまいますがラフな形にし、すぐに書いて飾って終わり!という形にした方がよいのでしょう。

今年もたくさんのお願いを書いてくれました。なんと児童発達で来た未就学の子どもも興味を持って書いてくれました!みんな、叶うといいね!

マインドマップ

前回書いたアイデアいっぱい!マインドマップで整理しよう! ( 07/28 )で登場した「マインドマップ」について少し詳しく紹介をします。

「じゃんぷ」ではマインドマップという方法を使って読書感想文を書いたり,夏休みの思い出の作文を書いたりしています。マインドマップというのは頭の中で行っている思考プロセスを「見える化」して,思考の整理や今からしようとしていることを整理するのに役立つ方法です。一緒にホワイトボードに思いついたことを「話すだけ」,順番に話したことを「図にするだけ」,整理された内容を「書くだけ」と作業を一つにしぼって実行します。

そうすると,「こっちのことを先に書きたい」とか「ちょっと言い方(表現)を変えて書いといた」等自分なりの工夫やアイデアが浮かんできます。

「読むのがイヤ」「書くのがイヤ」「なんて書いたらいいか分からないからイヤ」と思いがちな宿題も,実は頭の中の思考を整理することの悩みだったといえます。

同音異義語

日本語の特徴の一つとして,「同音異義語」があります。一部のIT技術者の中には,日本語は音声での認識や音声での文字化が困難な言語である,と声をあげている方もいるとかいないとか…

同音異義語の場合,音を聞いただけではどの言葉かわからないので前後の文脈や言葉づかいで意味を理解しています。また,同音異義語にはひらがなも漢字もあります。

例えば「はな」は「花」と「鼻」があります。この場合,「はなをかざる」「はなをかむ」等,文脈を参考にして意味を理解してから読む練習をします。

同音異義語について苦戦している子どもはよくいます。一つ指導の参考として紹介をしました。

京都発達性ディスレクシア学習会 記念講演に宇野彰先生

1/22の土曜日、学習障害の中核ともいわれる「発達性読み書き障害」について発信していこうという「京都発達性ディスレクシア学習会」の設立総会が開かれました(NPO法人ホップすてーしょんはこの事業を後援しています)。乙訓地域近隣の50名程の学校教員や教育委員会関係者、児童通所施設関係者が集まって設立されました。

本事業所では、学びの広場じゃんぷで発達性読み書き障害の児童生徒の療育を1年前から開始しています。発達性読み書き障害はまだ一部の大人にしか知られておらず、特別支援教育に関わる教員や発達障害に関わる福祉関係者でも、読み書き困難の問題を知的障害が原因と考えていたり、学習量が足りないから読み書きが不十分だと考えている人が少なくないことです。

発達性読み書き障害は先天的な脳の障害で、知的障害や当事者の学習努力とは何ら関係がないものです。文字を音に変換したり音を文字に変換することを音韻処理と言いますが、この変換処理が障害を受けていて読み書きの速度が遅くなるのです。

読み書き障害の子どもはいませんかと教員に聞くと、読めない子はいませんという教員が多いです。発達性読み書き障害は全く読めない子だけを指すのではなく、読み書きの速度の遅い子どもも指している事を知らない教員が多いのです。

読み書きが遅いという事は、苦手な読み書きが入るとその処理にものすごくパワーが奪われるということです。慣れない作業をするとすぐに疲れたり集中力が落ちたり、創造的なことが考えられなくなります。同じように、発達性読み書き障害の子どもはいつまでたっても慣れない作業状態が、学校で長い時間続いていると考えるとイメージがしやすいと思います。

この事実をまず、多くの学校関係者、保護者、子どもに関わる全ての人に知って欲しいと言う目的でこの会は設立されました。記念講演には、発達性読み書き障害では我が国で第一人者である宇野彰元筑波大学教授にご講演いただきました。視聴者からは、もっと早く宇野先生の話を聞きたかったという感想が寄せられています。一人でも多くの関係者が「発達性ディスレクシア」を知り、適切な支援方法があることを学んでほしいと思います。この会の事業をホップすてーしょんは長く支えていきたいと思います。

 

視機能(見る力)がかかわる Y先生のじゃんぷ通信9

視機能(見る力)がかかわる Y先生のじゃんぷ通信9

放課後デイに通う子ども達の中には、平仮名や漢字、計算ドリルを書いて作業することに苦労している子が多いことに気づきます。以前にも書いたように手指の操作が難しかったり、筆圧が強かったりして時間がかかってしまい、疲れてしまいます。

もう一つの要因に「見る力」が影響していることがよく指摘されています。ただ書くのが遅いとか、間違いが多いとかだけでなくよく観察してみてください。見本をどこに置いているのか、一度見ただけで書いているのか、書く字をどれぐらいの時間注視しているか等様々な書き方をしています。

書くことと眼球運動が関係していると言われます。京都大学の加藤寿宏先生(作業療法士)によると「文字を書くためには、この『追視』と『注視点移行』が不可欠です。文字を学習するには、まず教科書や黒板の見本を写す必要があります。写すためには、見本の文字と自分が書いている文字を見比べる必要があり、『注視点移行』が必要となります。また、書いている手元を見続け、文字を構成する線の方向が正しいかどうかを目で追い続けなければならないので、『追視』も必要となります。」と説明されています。

それから、見本とノートとの焦点距離をうまく合わせる機能(『輻輳』)も人間の目には備わっています。しかしこの「輻輳」(より目)の力がうまく発揮できないと縦書きと横書きでは微妙に読みやすさも変わり、注目する時間にも影響が出てきます。

ノートを書く様子を見ていると縦に見本を置くのか横に置くのか、右に置くのか左に置くのか、書く字にすぐに目が移せるのか、探している様子なのか違いが見えてきます。一人一人によって見え方があり、その困りにピタッとくる支援をして、「うまく書けるようになった経験」が持てるようにします。

いずれにしても、子どもたちがどんなふうに書いているかを観察することから始まります。じゃんぷでは、見本の置き場所を工夫する、手本にすぐ注視点が行くように定規を当てる等工夫をしながら取り組んでいます。

 引用 京都府総合教育センター発行冊子 「特別支援教育ガイドブック 読める!書ける! ~すべての子どもが楽に読み書きを学ぶために~」)p42~45より