すてっぷ・じゃんぷ日記

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なんで離れるの?

S君がT君に「僕のこと嫌いになったの?なんで?なんで?」と聞いています。2人共2年生で,S君は同じ学年の友達がたくさん入ってきて大喜びしていました。

公園から歩いて帰る中,S君がT君に対してしきりに「僕のこと嫌いになったの?」と聞き続けています。

あまり人の気持ちに関心がなかったS君が「僕友達に嫌われた!?」と心配になっていたのです。T君は自分の気持ちを話すのが苦手な子なので答えてもらえず,余計に不安になったのでしょう。それで「僕のこと嫌いになったの?なんで?なんで?」と聞いていた,ということです。

T君に「S君心配になって聞いているから答えてあげて」と言うと,「遊んでいる時に手で強く押してくるのが嫌」と正直に話してくれました。S君は安心したようで「そうだったんだ。気を付けるね。ごめんね」と言って,また2人で遊び始めました。

支援の中で「人の気持ちをわかろうね」と,子どもに様々な手法を使って教えることが多いですが,何よりも子ども同士の関わり合いの中で学ぶことが一番子どもに落ちやすいのだな,と感じた場面でした。

 

そのタメ口どうします?

低学年のT君がカードゲームの際に、高学年のV君に対してカードを「早よ(早く)配れや!」とため口をたたいたので、指導したという職員の報告がありました。T君は最近仲間とのやり取りの楽しさがわかってきた子どもです。そこで、ASDのT君に今高学年とのやり取りのルールを入れるのは彼のやりとりの自発性を抑制してしまわないか話し合いました。

友達同士で遊んでいる時にため口なのはむしろ自然です。ただ、事業所は年齢の違う子どもたちで遊ぶことが多いので、高学年に対する言葉の配慮が必要となります。しかし、T君にとってはこのルールは結構難しいハードルです。今はT君に「ため口でなく、言葉の最後に「~ね」をつけましょうと教えなくてもいいのではないかと話し合いました。ルールに従順なT君に微妙な対応を教えることで遊びのやり取りの際に混乱して自発性が失われるのを危惧したのです。

ここは、低学年児からため口叩かれても受け流したV君を褒めようということになりました。そして、高学年に憧れる低学年児は言葉まで真似するけど、高学年の人が手本を見せれば、きっとそれも真似をするから長い目でT君らを見守ってやって欲しいとお願いすることにしました。学校では「ちくちく言葉ふわふわ言葉」として通常級でも扱うコミュニケーションルールですが、機械的に教えようとするのではなく、その子によって、所属する集団によって教えるタイミングがあると思います。