すてっぷ・じゃんぷ日記

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やり直しは最後までフォロー

6年生のE君が帰り際車に乗せてもらう時に、F職員を呼び捨てにして声をかけたと言います。それを聞いていたG職員が「E君、やりなおし」と適切な声掛けをするように注意したそうです。「で、そのあとE君はどうなったの?」と聞かれると、忙しかったからどうなったか見てないというのです。それでは、やり直し支援になっているとは言えないという話になりました。

E君は、以前に忘れ物が多いのでチェックリストをつけるように指示されていたのですが、めんどくさいのでチェックしない日が続いたのです。そのことを以前も他の職員から指摘されていて、帰り際のE君の心は少しざらついているのです。そんなこんなで帰りにのせてもらう職員を呼び捨てにして自分の気持ちを表現したのかもしれません。話の文脈としてはそういうことです。

呼び捨てはいけないのでG職員のやり直し指示は正しいです。しかし、横から口をはさんだのは否めませんから、高学年としては気持ちのやり場がなくなります。せめて、最後までE君の行動を見納めて「聞いてくれてありがとう、よく言えたね」と評価するところまでで指導のワンセットです。口だけはさんで、見届けないというのはアウトです。E君の心はさらにざらついたことかと思います。子どもの行動は、大人の鏡です。ざらついた気持ちを癒すのは大人の丁寧な支援にかかっています。

 

 

 

やりなおし??

S君が自立課題を床にぶちまけたので「やりなおし」でぶちまけたパーツを片づけさせて、やり直しをさせたという報告がありました。「それは、私たちが大事にしている『やり直し』ではありません」というとスタッフは「??」でした。S君は何故自立課題をぶちまけたのかを、私たちをおちょくっているからという意見もありましたが、本当かどうかは言葉のないS君からは聞く術が私たちにはありません。

他者をおちょくっていると考えるのは自由ですが、そこから建設的な方向性は見えてきません。せいぜい、そんなことをしてもやるべきことはやってもらうと強権的に振舞うか、いやならやめとくかと不適切な行動を認めてしまうかのどちらかです。私たちがS君に教えなければならないのは、床にパーツをぶちまけなくてもこうすれば伝わるよ交渉できるよという機能的コミュニケーションです。

やり直しと言うのは、ぶちまけたパーツを片づけてやり直すことではありません。やりたくないなら「嫌です」絵カードを示せば、適切に交渉に入れることを教えることです。ぶちまけたものを一緒に片づけるのは場合によっては必要ですが、一番大事なことは行動の修正です。「嫌です」とか「~したい」カードを出すことを教えてでてきたなら、まずは「よく言えたね」と褒めて、交渉に入ります。「この課題をしたら、君のしたいことができます」と課題の次のスケジュールカードにしたいことカードを張りつけて交渉します。これが「やりなおし」行動です。

機能的コミュニケーションの弱い人の不適切な行動は、他者の感情を弄んだりするために起こるものではありません。やり方がわからなかったり、前はできていたけど忘れたりして生じるものです。そして、言い分を受け止めればまず交渉は成立します。その交渉が成立してから、課題を拒んだ理由をゆっくり考えればいいと思います。その多くは課題に飽きているというのが理由です・・・。