すてっぷ・じゃんぷ日記

タグ:学習障害

垂直と平行

4年生の子ども達は算数で「垂直・平行」を習っているところです。

そもそも「垂直」「平行」という言葉自体子ども達にとって身近な言葉ではなく、頭の中に入りにくいものです。読み書きが苦手な子どもにとってはさらに難しいのかもしれません。

今回は図に示し、「垂直」と「平行」のヒントカードを出して問題を解きました。それを続けて定着が出来る子もいますが、それだけでは中々定着が難しい子もいます。

じゃんぷに通うO君が中々覚えれず、どうしようか、と悩んでいる最中です。Y先生とも相談し、「O君は昆虫が大好きだから垂直と平行を昆虫に例えてみてはどうか」となりました。

カブトムシの角を垂直、クワガタのハサミを平行と例えて、それをヒントカードにしようかと考えています。

さて、これが有効かどうか!O君にとってわかりやすかったら、と願っています。

 

がんばりすぎに注意!

新年度になり、子ども達は張り切っています。特に普段「宿題はやりたくない~!」と話している子が今じゃんぷに来ると「宿題するわ!」と言って黙々と宿題と向き合っています。

ただ去年の4月も同じような姿を見ました。筆者は去年じゃんぷに来たばかりだったので、「話に聞いてたより全然勉強するやん」と思っていたのですが、ある日突然宿題から逃げるようになったのを今でも覚えています。つまり、新年度は新しい環境の先生に良いところを見せようと張り切っているようです。

それ自体はとても良いことです。きっかけがなんであれ、苦手なことに対して向き合って努力することは素晴らしいです。ただ恐らく多動なことも相まって「頑張る」のコントロールも難しいようです。

学習障害の子ども達は私たちが思っている以上に学習に対しての苦手感が強いです。「やっぱり限界だ~」と感じてプツンと力が切れ、さらに出来ない自分に対してのネガティブイメージもあり、自己肯定感が下がっていきます。

子ども達が頑張っていることを止めることは出来ません。努力認めつつ、「休憩してもいいんだよ」と伝え続けていこうと思っています。「いつでも休憩してOK」と最初に伝え、休憩する場所を決めてしんどくなったらそこに行っても良い、というルールを伝えています。がんばるのもOK、休憩するのもOK、とある程度枠組みを作った上でそれを伝え、それぞれ自分のペースを掴んでほしいと思っています。ホップ、ステップ、ジャンプ!

「読むだけなら」

(活躍できる場 2022/12/15)で少し紹介した子どもですが、今は「宿題決め」→「タイピング練習」→「お話作り」→「お話読み練習」の学習の流れが定着しています。

かなり学習障害が重い子どもなので、何度も書いていますが文章を読むなんてことは本来相当エネルギーを使い、しんどいはずなのです。こちらとしても最初は一日に一回、長くても5分程度集中して学習に取り組むことが出来ればそれで充分だと思っていました。それは今でも変わっていないです。

そんな子が30分以上、個別の時間をはみ出しても「今日作ったお話の読み練習は絶対今日中にする!遊びは後回しでいいから自由時間(本来は自立学習の時間)にしたい!」と言ってきます。それだけ彼にとって重要なことなのでしょう。また、「学習をした」という実感にも繋がっているようです。「読むだけなら」と言っていましたが、それがよかったのでしょう。

学習障害のある子にとって、さらにそれが重たい子にとって教科書の学習はしんどいことだらけです。だからまずは「その子の興味のあること(好きな事)を題材にする。」「無理なことはさせない。」「パターン化する。」とよく言われていますがそれがまさに効果的だったと言えるでしょう。学校でも活躍の場が出来、ノートも少しずつですが書くようになってきているみたいです。「書くこと」も苦手ですが自分が「出来るな」と思った範囲で書いているようですね。

支援が必要な子にはいろいろと支援をしたくなりますが、まずは出来ることを取り組み、その子の自信に繋がることが何よりも大事です。

↓学習障害の子どもへの支援がわかりやすくまとめられた動画です。興味があればぜひご覧ください。

算数障害スクリーニング検査

今年の1月に発売された『算数障害スクリーニング検査 ~適切な学習指導は正確なアセスメントから~』(熊谷恵子・山本ゆう 著)を購入し、読みました。

本書は算数障害の背景、具体的事例、そして算数障害のスクリーニング検査用紙がついています。算数の困難がある子ども達の中には知的能力は低くないものの、認知能力のアンバランスがあり、学習障害の中の算数障害である場合があります。これらの認知能力のアンバランスさについてはWISC-VやK-ABCⅡ等の知能検査の中で明らかになることが多いですが、本書の検査でも同様に知ることが出来ると感じています。

本書の検査では子どもの算数に関する認知のアンバランスの傾向をおおまかに捉えることが出来ます。数処理が苦手なのか、数概念なのか、計算なのか…等々。それぞれの苦手への具体的な支援のポイントも書いてありました。

家庭での子どもの苦手の把握だけでなく、学校の教室で取り組み、グレーゾーンだと思われる子どもの苦手を教員が捉えるために使用してもよいかもしれないですね。

「わり算の筆算」は手順が多い!

わり算の筆算に対して「苦手だ!」と感じる子どもは多いです。

わり算の筆算は手順が複雑です。

①たてる

②かける

③ひく

④おろす

という4つの手順が必要となります。数をこなすだけでは解決することが難しいです。できるまで繰り返書いて覚えるだけでなく,体を動かすことで手順を覚えていく方法があります。

①たてる②かける③ひく④おろすという手順をラジオ体操のように大きな動作で覚えていきます。①たてるのときは大きく上に手を上げ、②かけるのときは腕でXを作ります。③ひくのときはひき算のマイナスを表すように腕を横に伸ばし、④おろすときは下に向けておろします。
動作の際には必ずそれぞれの動きの言葉を「たてる!かける! ひく! おろす!」というように唱えます。

手順が複雑になればなるほど学習が苦手な子どもは問題を解くまでの途中でパワーを使ってしまい,疲弊ばかりしてきます。上記のように机上の学習だけでなく,少し体も動かしながら取り組んでみてもよいかもしれません。

(参考・引用 「子どものつまづきからわかる算数の教え方」 監修:平岩幹男 著:澳塩渚(合同出版) 「小学4年生までのつまずき総ざらえ算数レスキュー隊」(岩崎書店)