すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

単位換算定規

じゃんぷの学習支援で使っている道具の中に「単位換算定規」があります。これは面積・長さ・液量・重さ・体積の各単位を方眼上に表記されています。中央には数字の1と0が書かれた帯が備えられ、左右にスライドできるようになっています。例えば「1」を「km」の位置で止めると、長さならば「1キロ=1000メートル=10万センチ」と読むことができ、液量ならば「1キロリットル=1000リットル=1万デシリットル」だと分かります。4年生の算数で出てくる「ヘクタール」や「アール」など、普段子ども達が日常で聞かないような単位も、すぐ平方メートルに換算できる便利な道具です。

単位の換算は学習が苦手な子どもにとっては難関となることが多いです。定型発達の子どもでもややこしくなり、間違うことが多くなる問題なのですが、「単位が変わると数字が変わる、でも量(距離)は同じ」というのがかなりややこしいです。それがいくつも出てき、その時その時で100=1になったり1000=1になったりと混乱することも少なくありません。

この道具はその複数ある単位換算を一目で見てわかるようになっています。同時処理が得意な子どもにとってはぴったりな道具だと言えます。継次処理型の子どもでも一つ一つの単位を説明し、自分で操作して量(距離)が同じとわかると覚えることが出来る子もいます。

少しずつこういった教材が増えてきています。この道具自体もそんなに高くはないのですが学校で配られる算数セットに入っているのは見た事がありません。このような道具をどんどん使って子どもが学習をしやすい環境が増えていくことを願っています。

高学年だから!

タイトルの通り、4年生になったB君が「高学年だから!」と言ってくれました。

今まで一緒に低学年の友達と同じ場所で勉強をすることがありましたが、低学年の友達は勉強が終わるとブランコをしたり遊びに入ることが多いです。そのたびに「え~ブランコやってるやんズルい~」と漏らすB君。調子の悪い時は「ブランコしたいしたいしたい~!」と駄々をこねることもありました。

今じゃんぷに通っている子どもには「新しい学年になったら〇〇なことが始まります。〇〇な力をつけていきます。」と話しています。この4月に4年生になる子ども達には「高学年になります、4年生は難しいことにも挑戦してみようとする気持ちを育てていきます。低学年のリードをすることも増えていきます。初めてのことや難しいことに多く出会う学年です。」と伝えています。先日B君は今まで通り「ブランコしたいしたい~!」となりましたが、低学年の友達にまず順番を譲り、その子が自分よりも長い時間遊べるように自分の時間を少し減らす、と話してきました。理由を聞くと「高学年だからね!」と答えてくれました。

話をしっかり覚えており、それの通りに頑張ろうとしているようです。さすが高学年!かっこいい!

デジタル教科書 国語嫌いの味方

先日の朝日新聞の記事をY先生に見せてもらいました。以下が一部抜粋です。新聞を見ながら打ち込んでいるのでかなり省略します。ご了承ください。

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熊本・山江村立山江中学校 大瀬順子先生

「国語の教科書なんだからデジタルより紙でしょ」大瀬順子先生は、依然そう思っていた。だが、デジタル端末が「1人1台」となり、2021年度からは国語の学習者用デジタル教科書を使っている。今は「国語嫌いの子から嫌なイメージを払拭してくれる道具だ」と実感している。

文部科学省の昨年の調査では、公立小中学校の通常学級の児童生徒の3,5%が「『読む』または『書く』に著しい困難を示す」とされた。つまり40人学級に1,4人程度。しかし現場の実態としてはもっと多く、近年は増えていると感じている。「読み書きが苦手なため中学入学段階で国語嫌いで授業に集中できない生徒が一定数いるんです。」

中1国語『不便益」の授業では「便利のよい面」「便利の悪い面」「不便のよい面」「不便の悪い面」の4分割に整理し、授業を進めていく。これをデジタル端末上で行い、読み書きが苦手な児童生徒も取り組めるようにした。「紙の教科書だと、読んで見つけて、抜き出してという一連の作業が嫌で、作業をしない子が必ず出ます。思考以前に拒否してしまう。」と大瀬先生。そうした子も簡単に教科書の文章を切り貼りでき、何度も修正できて負担感がないため「生き生きとした表情になる」という

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今、全国的に「1人1台」の端末が学校から支給されています。読み書きの苦手な子ども達が自分の弱点を補いながら、学習を受けることができるようにタブレット等もツールがあります。実際にデジタル端末の先行導入をしていた学校で勤めていた筆者からすると、子ども達の考えや意見を全員のタブレットに送って共有できたり、植物の成長や観察を写真に残してそれを記録していくことが出来る等、授業する側としてもやるやすい部分がありました。(植物の観察を絵に描くのは根、くき、葉に注目する、発芽後の子葉の特徴を捉える等の目的がありますが、それもリアルな写真の方が子ども達にとってもわかりやすいでしょう。何よりもどうしても絵の上手さを気にする子どもも出てくるため、本来の授業の目的から外れてしまうことが多々あります。)

子ども達が自分にあった方法で学習に取り組むことが一番大事です。まだこういった新しいことに抵抗のある教員もいるようですが、時代と共に淘汰されていくでしょう。ICTを使った授業はこれからも発展していきます。子ども達が自分にあった方法を見つけ、それぞれのスタイルで学習に臨んでいけるようになってほしいですね。

新レギュレーション発表!

新年度になり、じゃんぷの放デイのシステムも一新しました。

子ども達が勉強した後に筆箱やノートを机の上に置きっぱなしにしてしまったり、他の子の物と混ざってしまうことがありました。なので片付ける場所として使っていたカゴの使い方を一新し、そのカゴに必要な物を入れ、それを持って移動したらよい、というルールを作りました。

ただじゃんぷに通う子ども達にとって突然新しい決まりやルールが増えると混乱することがあります。なので下記の画像のようにじゃんぷに到着したら必ず読むように「読んだ人は進めます」というホワイトボードを書き、子ども達が必ず新しいルールを読んでから次のことに進めるようにしました。

子どもによってはすぐに理解できるわけではないのでその後に職員が手伝うことはもちろんありますが、一度子どもの目に入ることが大切です。新しいルールを作ったらそれを一つ一つ説明するのではなくまず全員に周知する、そしてその後の定着は子どもによって支援するようにしています。環境がガラリと変わる時は子ども達は混乱しやすいです。できるだけその負担を減らしてあげることが必要ですね。

新しい仲間

 出会いの季節と言えば春。ですが、まだ肌寒かった2月に、すてっぷへ新しい仲間がやってきました。小学生のAくんは活発な子で、年上の友だちにも物怖じせず、元気に話しかけます。声が大きくなりがちで、職員が声のレベルを提示することで、小さな声で話せるように練習をしています。

 もう一つ職員が気になったのは、友だちへの誘い掛けの言葉。「○○くんはこっち、△△くんはあっちをして」と、誘うというよりも、なかば指示のような声掛けになってしまいます。年上の友だちにも同じように声をかけてしまい、「なんで決められな、あかんねん」と反発の声が返ってきます。そこで職員から、「~しよう?」や「~はどう?」といった、相手が受け入れやすい誘いの言葉に言い換えられるように練習してきました。

 先日は年上の友だちたちといっしょにボードゲームで遊びました。人数が多かったので2グループに分かれることに。Aくんははじめ違うグループだったのですが、他方がしていた『スライドクエスト』というゲームに興味を持ちました。『スライドクエスト』は箱の四方にレバーがあり、そのレバーを動かすことで箱の中のステージを傾け、駒をゴールへ動かしていくというゲームです。レバーは4つですから、当然一人ではできません。2~4人が協力してレバーを動かすのです。

 「『スライドクエスト』したい!」と伝えたAくん。グループみんなもしたいとなり、他方のグループと交代して『スライドクエスト』をすることになりました。早速Aくんは「○○くんはそっち、△△くんはこっちのレバーね。僕は2つする!」と宣言します。そこで職員が「他の子が2つしたかったらどうする?」と聞くと、Aくんは「あっ、そうか! どうする?」と自分から2人に聞くことができました。Aくんすごい!と内心驚きの職員。日々の成長が現れた場面でしたが、Aくんがやりたい!と思える遊びだったからこそ、発揮できたのだとも思います。毎日の取り組みが面白いと思えるよう工夫して、支援の機会を作っていきたいと思います。

お出かけの計画

じゃんぷに通う中学生の中に、お出かけをするのが好きな子どもがいます。先日は友達と淀川河川公園にある「さくらであい館」に自転車で行ったそうです。

その子は読み書き計算にかなり強い苦手意識があります。計算機を使うこと等はルール違反と思っているのか使おうとはしませんが、本来は使うべきでしょう。なので学習の中ではなく、本人の興味のあることの中で使うことにしました。

知的好奇心の強い子なので、いろんな場所に行きたいと思っています。歴史に興味があるので本来は海外にも行きたいそうですが、現実的に行ける場所に絞って、「ここに電車で行くとしたら往復いくら必要かなぁ」というと、計算機を使います。それで計画を立てる練習もしつつ、学習に計算機を使うハードルを下げたい、と考えています。

次は8月にある山科のお祭りに行きたいそうです。山科は乙訓からだと電車を使わないといけないので、また練習をする良い機会になりそうです。

春!

子ども達から「桜見た~」という話をよく聞きます。筆者も先日京都伏見で行われている「桜まつり」を見てきました。

興味がない子もいるかな~と思いつつ桜の話をしますが、意外とみんな反応をしてきます。「僕も花見行ったで~!」「いいなぁ~けど花粉症やから~」とそれぞれの反応を見せてくれます。

じゃんぷで通う子ども達は学習に苦手感を持っています。ただ「詩は好き」「〇〇には興味あるよ!」と子ども達には好きなことがそれぞれあります。桜はみんな好きなようです。国語の教科書には最初大体詩が載っており、合わせて詩を書くことを国語の最初の授業にすることもあり、それが楽しみな子もいるようです。

こういった季節感を味わったりすることも大切です。駅から通所する子ども達は西向日駅の桜並木を見ながら「春だな~」と話しています。こういったほんわかした時間も必要ですね。

今年度もよろしくお願い致します。

R5年度が始まりました。今年度もどうぞよろしくお願い致します。

すてっぷでは4月1日の土曜日に子ども達が来ており、じゃんぷでは明日から子ども達が通所してきます。新しい学年になった子ども達はどんな表情を見せてくれるのでしょうか。春休みの宿題を終わらせて一息ついている子もいるでしょう。宿題が中々進まず、「手伝って~」と助けを求める子もいるかもしれません。中には春休みの宿題がそもそもなく、「〇〇行ってきたよ~」という話をしてくれる子もいるでしょう。まずは何よりも元気な姿を見せてくれることを願っています。

環境がガラリと変わります。それで少し不安定になってしまう子どももいるかもしれません。それは仕方のないことです。私たちはいつもと変わらず、子ども達を受け入れようと考えています。変わった環境の中で頑張っている子ども達を褒めつつ適切な支援をしていきたいと思います。改めて今年度もどうぞよろしくお願い致します。

成長!

R4年度が終わります。すてっぷでは支援学校に通う子ども達が卒業します。

先日筆者が入り用ですてっぷに向かった時、卒業する中の一人の子どもが書いた手紙がありました。そこには、とても丁寧に「ありがとう」と書かれていました。「これ〇〇君が書いたんですか!?」と驚きました。筆者が知っている時も困ったことを中々言い出せなかったりしたのが言えるようになったりと凄い成長を見せてくれていましたが、これまた凄い姿を見せてくれました。

また、作業課題中にお喋りが止まらない子どもがいましたが、その子が黙々と課題に集中して取り組んでいました。筆者の声が聴こえると「T先生?来てるん?」と気づいてくれましたが「〇〇さん課題頑張ってるな~先生もう外いかなあかんしお話出来んねん。ごめんな~」と返すと「そっか~またお話しましょう」と言ってそのまま課題に戻りました。一度話し出すと止まらなかったのがすぐに切り替えて課題に向かっていることに驚きました。

他にも卒業する子ども達がいるのですがタイミングが悪くその姿を見ることは出来なかったのが残念でした。しかしすてっぷの職員から話を聞くとそれぞれ成長した姿を見せてくれているようです。その子ども達からも職員一同たくさん学ぶことがありました。卒業したみんなはまたそれぞれの道に向かって歩みます。そこで一層活躍してくれるでしょう。お元気で!また会いましょう!

言葉のシャワー

「周りの評価を気にしてしまう」人に伝えたい秘策

「発達障害と自己肯定感」についての記事があったので少し気になりました。元記事について興味のある方は上記のリンクから飛べるので読んでみてください。

教員時代、筆者が2年目の時に支援の必要な子どもが教室の中に何人かいたのですがその中でも多動傾向があり、悪目立ちのする子がいました。その学校は生徒数が少なく、単級だったので学年主任もおらず、正直どのようにすればわからない状態でした。その時教務主任と教頭先生に教えてもらったことが「とにかく普段はずっと褒めてあげて」でした。

「他の子よりも怒られることが多いし、担任じゃない先生からも怒られることもあるから普段はたくさん褒めて、よしよしするだけでもいいから」

お二人共、筆者が持ったクラスを低学年の時に担任していた先生方だったので子どもたちのことをよくわかってくださっていたようで、どうすればよいかわからなかった筆者にそのように教えてくださりました。学校現場を離れた後、すてっぷ、じゃんぷでも普段はとにかく子どもの話を聞き、褒めまくることを意識しています。

学校の中で出来ない、わからないことが多い子ども達はそれだけで自己肯定感が低くなっていきます。ただそういった子ども達は褒めにくい部分もあります。実際に「どこを褒めたらいいかわからない」という声も聞きます。どの子ども達にも良いところが必ずあります。それを見つけ、褒めて関係性を作っていくことが授業でも療育でも必要だと考えています。もちろん技術や知識があることが一番大事ですが、大切なのはそういったことなのではないでしょうか。