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みんなちがってみんないい

ワーキングメモリトレーニング

コグメドジャパンのHPに、ADHD等のワーキングメモリーは、彼らが開発したトレーニングによって改善される旨を書いた文章があったので少し読みやすくして掲載します。-----------------------------------

ワーキングメモリは、情報を数秒間くらいまでの短い時間保ち、処理する能力で、多くの高次の認知機能の鍵となる、誰もがいつも使っている重要な能力です。読んで理解する、計算をする、相手や文脈に即して会話する、作業に集中する、衝動に対して状況を見て抑制する、いくつもの料理を同時に作ることや電話にでながらメールに目を通すなどの同時作業や、最後までの段取りを考えながらひとつひとつの作業をしたり、多くの諸条件の中で最適な答えを見つけるのにワーキングメモリは不可欠です。

知能の中心である一般知能のなかでも、記憶に頼らない問題解決能力または流動性知能や、学校の成績とワーキングメモリについてこれまで多くの研究がなされ、強い関係が明らかになっています。特に注意や集中力とワーキングメモリの関係について従来から多くの研究報告がありました。認知心理学においては、ワーキングメモリの容量をみると、通常群とADHD群でおよそ標準偏差1つ分の差があることが報告されています(Westerberg et al. (2004) Child Neuropsychology)。これは、脳科学的に活動部位が重なっていることや、ドーパミンシステムの関与が示されています。

しかし、従来は、ワーキングメモリは個人の固定した能力として、自然成長以外の方法で改善したり、個人差を解消することはできないと思われてきました。

ところが、スウェーデン、カロリンスカ大学のクリングバーグ教授をはじめとするコグメド(WISC等の版権を持つ英国ピアソン社の子会社)とその創業者メンバーは、ワーキングメモリは伸ばすことが出来るか、そして能力を増したワーキングメモリはそれによって、知能、問題解決力や集中力など関係する能力や行動・症状に影響を及ぼすか(汎化)という研究課題に取り組みました。

このチームは、1999年から2001年まで、脳科学と心理学の知見と、ゲームの芸術を結集してワーキングメモリトレーニングを開発し、ワーキングメモリの改善と脳のネットワークに起きる変化(可塑的変化)を科学的に証明し、結果はNature Neuroscienceに掲載されました。さらに、このトレーニングがワーキングメモリの改善とともに、知能など他の認知機能の改善や、不注意や多動など行動・症状面の改善効果があることを科学的・臨床的に証明し、結果はJournal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatryに発表されました。こうして、クリングバーグ教授らは、ワーキングメモリは伸ばすことができ、知能(一般知能、流動性知能)、問題解決能力や集中力・不注意・多動などへの効果があるという答えをだしました。

体力低下

2019年度の全国体力テストでは、小学5年と中学2年の「体力合計点」が低下に転じたことが明らかになった。スポーツ庁はスマートフォンなどに時間を取られ、運動不足の傾向が強まる可能性を指摘し、「さらに体力が落ちるのではないか」と危機感を募らせている。

スポーツ庁はスマホやゲーム機、パソコンなどの画面を見ている時間を調査。平日に1時間以上使っている子どもの割合は、小5は男子83.3%、女子73.1%、中2は男子90.3%、女子87.6%に上った。いずれも16年度より多く、中2女子は6.3ポイント増加していた。同庁では、子どもが運動していた時間が、スマホなどに費やされている可能性を指摘。「小さいうちから使用時間が長くなり、幼児期からの累積の運動時間が減ってきたのではないか」と話し、長期的な影響が及んでいるとの見方を示した。

運動やスポーツの好き嫌いと、スマホ使用時間の相関関係も浮き彫りとなった。小5男子では「嫌い」と答えた児童のスマホ使用時間は「5時間以上」が33.7%で最も多かったが、運動好きな児童で5時間以上は13.7%にとどまった。中2男子もそれぞれ31.4%、9.1%で、女子も同様の傾向が見られた。同庁は運動の楽しさを味わってもらうよう体育の授業を改善する必要性を強調する。授業以外でも「仮想現実(VR)技術で疑似体験しながら体を動かす」といった例を挙げ、運動時間の増加につながるスマホなどの活用を模索すべきだとした。【時事】

運動の楽しさとは、小学生の場合は友達と遊びで身体を動かすことです。大人みたいに、マシーンで筋力アップとか、ランニングして健康度アップして楽しいという子はいません。放課後や休日のわずかな時間、みんなで走り回るから楽しいのです。だから本事業所では、お天気さえよければ、外に出かけます。部屋の中にいてはPCやらタブレットやらの誘惑が強すぎるからです。

本事業所でも山は嫌だ公園は飽きたという子どもは少なくありません。本当は落ちている枝だって楽しい工作物になるし、穴掘りだって遊びになります。水の流れは冬でも惹きつけられるし、堰止めしたりものを流したりして関わりたくなります。そこに仲間がいれば外はなんだって楽しいのですが、そのことを伝えるのは簡単そうで難しいです。

記憶障害

発達障害の記憶の問題をあれこれ書いてきましたが、老化していく人にも個人差はあるけど記憶の問題が横たわっています。名前が思い出せず、事物の現象を概念化した言葉がなかなか思い浮かばず、「あれこれそれ」と指示代名詞が多くなってきます。厄介なのは、物忘れによる思い違いです。これは周囲の人も巻き込むので影響が大きいです。記憶が衰えないという人は数少なく、多くの人は記憶の問題が年齢とともに進行します。

これを予防するのは難しいですが、記憶障害の被害を最小限に抑える方法はあります。IT機器が記憶の代行をしてくれるように自分の生活や作業パターンを変えることです。自分の記憶を信用せずデジタルデバイスに記録されたものを頼りに生きていくのです。こう書くと味気ないですが、若年層で記憶の課題を抱える高次機能障害の方等で、うまく生きている方はこの方法を多用して生きています。ただ、老化によって思考の柔軟性も落ちてきているので、これまでのやり方が変えられない方がいますが、それは周囲の方の構造化支援によってIT機器を使わざるを得ない環境に仕向ける協力が大事です。

一般的に、「記憶障害=物忘れ」だと思われがちですが、記憶障害には物忘れ以外にもたくさんの種類があります。記憶とは、外からの刺激(経験)を情報として脳にインプットし、脳内に残しておいて、必要に応じて思い出すことです。記憶には、短時間だけ覚えておく記憶、長期間保持される記憶、出来事に関する記憶、知識に関する記憶、運動や技術に関する記憶など、様々な種類があります。

記憶は、主に記憶のプロセス、記憶する期間、記憶の内容によって分類されます。
記憶のプロセスによる分類:記銘、保持、想起
記憶する期間による分類:感覚記憶、短期記憶、長期記憶
既往の内容による分類:陳述記憶(エピソード記憶、意味記憶)、非陳述記憶

記憶は、記銘、保持、想起という3つのプロセスに分類され、それぞれの段階で記憶障害が起こります。記銘とは、外からの刺激(経験)を感覚器官で知覚し、情報として脳に送ってインプットする段階です。記銘が障害されると、情報が脳へインプットされないため、脳内に記憶が残らず、思い出すこともできません。つまり、「経験そのものを覚えていない」という状態です。認知症を発症すると、新しいことを記銘することが困難になり、経験そのものを忘れてしまう(そもそも情報を脳にインプットしない)ようになります。保持とは、送られてきた情報を脳内に保存しておく段階です。記憶は、想起されないままだと時間の経過によって薄れていき、思い出しにくくなります。また、他の記憶とごちゃ混ぜになって保持している記憶が変容し、元の刺激とは異なる情報が想起されることもあります。想起とは、脳内に保存された情報にアクセスし、その情報を思い出す段階です。想起が障害されると、脳内に保存された情報にうまくアクセスできず、思い出すことができなくなります。一般的な物忘れは、覚えていたことを思い出せなくなるという現象で、想起の段階がうまくいかないことで起こります。加齢による物忘れで多いのが想起の障害です。

記憶は、記憶する期間によって感覚記憶、短期記憶、長期記憶の3つに分類されています。
また、長期記憶については、記憶の内容によってさらに陳述記憶(エピソード記憶、意味記憶)と非陳述記憶(手続き記憶)に分類されます。いずれの段階でも記憶障害が起こります。

感覚記憶とは、目、鼻、耳などの感覚器官に刺激が入力された時に一瞬だけ保持される記憶です。感覚記憶のうち、注意が向けられた情報だけが短期記憶に保持され、他の記憶は意識すらされないまま消失します。感覚記憶が障害されると、そもそも周囲の刺激に気づかず、注意を向けることがなくなります。

短期記憶とは、感覚器官に刺激が入力された後、数秒から数十秒間だけ保持される記憶です。最近は、作業に必要な間だけ覚えておく記憶という意味で、ワーキングメモリー(作業記憶)と呼ばれる記憶も含めていうようです。短期記憶は、短時間だけ記憶されるという時間的な制限に加え、短期記憶として一度に保持できる容量にも制限があることが分かっています。例えば、計算途中の数字を記憶しておいたり、電話番号を確認してダイヤルするまで番号を覚えておいたりして、必要なくなったら忘れるのが短期記憶です。短期記憶が障害されると、計算や料理など複数のことを頭の中に留めながら作業することも困難になります。

長期記憶とは、数分間から一生まで長期間にわたって保持される記憶です。短期記憶と違い、容量制限がないことが特徴です。なお、神経学上は、記憶を保持する期間が数分から数日程度の近時記憶と、それ以上の遠隔記憶に分類されることもあります。長期記憶は、記憶の内容によって、エピソード記憶、意味記憶、手続記憶に分類されます。

エピソード記憶とは、経験した出来事に関する記憶です。エピソード記憶は、経験した出来事そのものに加え、時間、空間的文脈、身体や心の状態も記憶しているという特徴があります。例えば、「昨日、○○のことで、△△の、メモをした」、「普段は○○だけど、今回は△△に変えた」などの記憶が、エピソード記憶です。エピソード記憶が障害されると、経験したこと(エピソード)を忘れて行動してしまいます。ひどくなると自分の家族との思い出などをエピソードに付随する情報と一緒に忘れてしまい、話がかみ合わなくなります。

意味記憶とは、物や言葉の意味、対象同士の関係性、社会のルールなどに関する記憶です。意味記憶は、同じ経験を繰り返し積み重ねることでできあがり、エピソード記憶のように記憶した時間や場所などの情報は残りません。例えば、キュウリという単語の意味に関する記憶(大きさ、色、形、味、野菜に分類されるという知識など)が、意味記憶です。意味記憶が障害されると、人や物の名前や意味などを忘れてしまうため、「これ」、「それ」、「あれ」などの指示代名詞が多くなり、会話による意思疎通も難しくなります。

手続記憶とは、学習や練習を繰り返して身につける技術などの記憶です。手続記憶は、一旦記憶ができると無意識のうちに機能するようになる上、長期間にわたって保持されるという特徴があります。例えば、サッカーをする、泳ぐ、ギターを弾く、絵を描く、自動車を運転するなどの記憶が、手続き記憶です。認知症による記憶障害では、手続記憶が失わることはあまりなく、失われたとしても軽度に留まる傾向があります。

認知症による記憶障害は、まず、近い時期の出来事に関する記憶から障害されていきます。新しいことを記銘できなくなって、つい先ほどの経験したことを「まるで経験していないかのように」忘れるようになり、症状が進行するにつれて、過去にさかのぼってエピソード記憶や意味記憶が障害されていきます。手続記憶については比較的維持されますが、加齢による運動機能の低下により、「覚えていても実行できない」ことが増えていきます。

認知症による記憶障害への対応は、薬物療法による治療と、家族や周囲の人の関わりが重要です。認知症の記憶障害は進行性であり、症状を完全に治療する方法は見つかっていませんが、薬物療法によって症状の進行を遅らせることはできます。医師が処方した薬を用法用量を守って正しく使用できるように周囲の人が協力します。

認知症の人は、記憶障害の自覚はありません。周囲と話がかみ合わなくなるにつれて「何となく変だ。」という感覚を抱くようになりますが、自分の認識している世界が周囲の人と違うことには気づかないため、周囲の人が客観的な事実を伝えても受け入れようとしません。それどころか、「周囲の人が嘘をついている」、「自分をだまそうとしている」、「自分のことを否定された。」などと感じ、被害感や不満を募らせていきます。そのため、一旦は客観的事実を置いておいて、本人の意見や気持ちを受け止めてあげることが大切です。また、毎日のスケジュールを紙に書いて目立つ場所に貼っておく、新しいことを覚えてもらうときは何度も繰り返し伝える、身振り手振り、図示など、本人が記憶障害によって日常生活に支障を感じずに済むよう配慮することも欠かせません。

ワンダー 君は太陽(映画)

「ワンダー 君は太陽」という映画が2017年に上映されました。先天性の疾患で顔立ちが人と異なるオギーは、生まれた時から何度も顔の手術を繰り返してきました。10歳になって学校へ通い始めたオギーは、勇気を出して同年代の子どもたちの中へ入っていきますが、オギーの顔をじろじろ見たり、避けたりするクラスメートばかりです。ある日、勉強が得意なオギーは、理科の授業でクラスメートのジャックに自ら話しかけ、二人は仲良くなる。オギーは持ち前の強さと家族の温かい支援によって、学校を楽しみ、居場所を作りつつありました。しかし、ハロウィンの日、オギーとジャックの仲を裂く出来事が起きます。

オギーの姉・ヴィアは、オギーにかかりっきりの両親が自分を見てくれないことに、ずっと寂しさを感じていました。さらに親友ミランダとも上手くいかず、孤独な日々を感じています。「オギーは太陽。私たちは皆、その周りを回る惑星」と、ヴィアは自らを形容します。オギーの友達・ジャックや、ヴィアの親友・ミランダの思いや悩みついても、語られます。この映画は障害を持つ人だけでなく、周囲の人々にもスポットを当てた映画の構成になっています。

本作は評価が高い一方で、一部「障害者を利用した感動の押し付け」といった批判もあるようですが、群像劇という形で、多角的な見方を提示する映画です。邦題の「君は太陽」は、オギーだけを指すのではなく、周囲の人たち一人一人も、それぞれの人生においては太陽である…という意味のような気がします。

この作品は、障害者が障害を持っているというだけで、あるいは持っていることを含みにして、「感動をもらった、励まされた」と言われる場面を描いているという批評があります。そこでは、障害を負った経緯やその負担、障害者本人の思いではなく、積極的・前向きに努力する(=障害があってもそれに耐えて・負けずに頑張る)姿がクローズアップされているというのです。「清く正しい障害者」が懸命に何かを達成しようとする場面を取り上げることを「感動ポルノ」というそうです。

日本においては、2016年8月28日にNHK Eテレが『バリバラ 障害者情報バラエティー』「検証!『障害者×感動』の方程式で感動ポルノを取り上げ、裏番組に当たる24時間テレビを批判しました。英国BBCは1996年、障害者の「困難に耐えて頑張る」姿ばかりが描写されがちなことに対する抗議運動を受けて「障害者を“勇敢なヒーロー”や“哀れむべき犠牲者”として描くことは侮辱につながる」というガイドラインを制定しています。日本社会においても一般にもこの「困難に耐えて頑張る」ことで納得するような、隠された安易な差別意識があり、これは「覗き見」への興味であり「人の不幸」見たさのことであるというのですが、それはあまりにもひねくれた見方ではないかと思います。良いものは感動できるし、そうでないものは感動できない。表現の受止めはそれだけでいいと思うのです。

大晦日

「大晦日(おおみそか)」は12月31日を指す言葉ですが、もとは「晦日(みそか)」からきています。晦日は旧暦の月の動きと大きく関係しています。「晦」は月の満ち欠けの様子を表わす言葉の一つで、月が隠れることを意味しています。また、晦日は別名「つごもり」とも呼ばれ、同じく「月が隠れる」という意味の「月隠り(つきごもり)」が転じた読みです。旧暦は月の満ち欠けで暦が決まっていました。新月を1日とし、月が隠れる「晦」の頃がおおよそ30日であったことから、30日を晦日と呼ぶようになりました。今でも30歳を「みそじ」ということがあるように、「みそ」がもともと30の読みです。ところが新暦に変わると、ひと月が30日(または29日)で終わらず、31日まである月も出てきて、晦日は、「月の最終日」という意味に変化しました。

実際の日付が30日でなくとも毎月の末日を「晦日」と呼び、晦日の中でも1年を締めくくる12月には大をつけて「大晦日」と呼んでいるのです。大晦日は歳神様(としがみさま)を迎え入れる準備をし、来訪を待つ日でした。大晦日の歴史はかなり古く、平安時代まで遡ります。歳神様とは、稲の豊作をもたらすとされている神様のことで、農作物が豊かに実り、食べるものに不自由することなく暮らせるようにと、昔から大切に扱われてきた神様です。また、歳神様は各家庭にやってくることから、家を守ってくれる祖先の霊とも考えられていたようです。

昔は1日が夜から始まって朝に続くとされており、大晦日の日暮れからすでに新年の始まりでした。そのため、大晦日の夜は歳神様を待ち、一晩中寝ずに起きておくという習わしです。うっかり早く寝てしまうと、白髪になる、シワが寄るなどという女性にとっては恐ろしい言い伝えもあったそうです。新年を気持ちよく迎えるため、大切なお客様である歳神様を迎えるにあたって、家の掃除は不可欠です。大掃除は、地域によって異なりますが、12月13日から始め大晦日までに終わらせるのが本来です。ただし12月29日は9という数字が苦に繋がることから縁起が悪いとされていて、掃除をしません。また、その年最後の掃き掃除のことを「掃き納め」と呼びますが、元日に掃除をしてしまうとせっかく招いた歳神様を掃き出してしまうことになるため、新年に掃除は行いません。

昔は新年を迎えると、数え年で一つ歳をとります。そのため新年に変わる大晦日の夜から、お頭付きの魚や雑煮などの縁起のいい食事を囲んで、一年の無事を感謝し、共に祝いながら家族団欒の時間を過ごしていました。昔の大晦日は家族全員が集まることが当たり前でしたが、今はカウントダウンなどのイベントが行われるようになり、友人や恋人と過ごすという人も増えています。でも、一年の節目となる日だからこそ、大晦日は家族でゆっくりと過ごし、家族揃って一年を振り返り、新年の抱負などを語り合うのも、家族の絆を深める良い機会だと思います。

米津玄師

米津玄師作詞作曲のパプリカは2018年にリリースされてから、老いも若きも幼児までこの歌を口ずさんでいます。Foorin team Eの「Paprika」はこの1月22日にリリースされます。世界中にこの歌は広がっていく兆しです。この大ヒットは、NHKのプロデュース力にもありますが、やはり楽曲がずば抜けて素晴らしいからだと思います。

スーパーヒットを飛ばし続ける米津玄師さん。彼は自分が自閉症であることをカミングアウトしています。米津玄師さんが自身が高機能自閉症(HFASD)だと知ったのは20歳のときでした。自分が高機能自閉症だとわかってから、かえって気持ちが楽になったそうです。人と違う自分に、何か常に感じる違和感の原因にとても腑に落ちたと言います。同時に鬱病も抱えていたこともあり、そのときの感覚を以下のように語っています。「時間のながれるスピードが死ぬほど早くなって、気がついたら半袖じゃ暮らせない気候になってたり、近所のスーパーに行く決心をしてから帰ってくるまで1時間くらいかかったり、1日20時間くらい寝てたり。」と言います。

また、彼は、父親とほとんど会話することがなかったそうです。感覚としては、親戚のおじさんとか、そこまで近くない知り合い程度だったそうです。彼は絵が好きだった母親の影響で、自分も絵をかくようになったのだ、と語っていました。しかし、そんなお母さんとも、あるきっかけで会話をほとんどかわすことがなくなったそうです。そのきっかけというのは、母と姉が小競り合いするようになって、違和感を感じて孤独な感覚に陥って無口になってしまったと言います。高機能自閉症の影響で、家族にも違和感を感じて、バリアーを張ったのかもしれません。彼の場合、自閉症がわかったのが20歳のときということですから、周りの両親や家族も、本人の辛さを理解できないことや、育てにくさを感じていたのかもしれないし、彼と同じような傾向を持っていたのかもしれません。巷では「親子の断絶」という表現もありますが、私たちが想像している「断絶感」とは違うのかもしれません。現在は年末に実家の徳島に帰って過ごすなど、両親との関係は改善しているといいます。

米津玄師さんの名前は、「よねづ けんし」と読みます。一見芸名のようですが本名です。1991年生まれ徳島出身。小学5年生の時、Web上で流行っていたFLASHアニメーションを視聴したことからDTM(デスクトップミュージック=PCでの曲作り)に興味を持ったそうです。中学3年の時、MTR(マルチトラックレコーダー)を使用してオリジナル曲を制作したそうです。MTRの一人で1パートづつ録音して音楽が作れるところにはまったと言います。高校では「ハチ」というアカウント名で30曲ほどのオリジナル曲をニコニコ動画に投稿していました。高校卒業後は大阪の美術専門学校に通学する傍ら、バンド活動を行っていましたが、自身が個人主義的な人間の為、人とものを作ることができなかったとバンド活動が低調だった旨を語っています。

彼は、メディアに出ない為、なかなかその姿を目にしないかもしれません。時々、テレビ番組でインタビューされることはあっても、ミュージックステーションのような音楽番組で楽曲を披露することは控えているようです。彼自身、インタビューの中で、メディアに出ることが苦手で、出来る事なら出ない方がいいと言っています。彼のキャラクターには合っているように感じます。

Paprika

米津玄師さんのことを書いたので、パプリカの歌詞と、チームEで唄われるPaprikaの英語歌詞を調べてみました。パプリカの英訳をしたのは、ネルソン・バビンコさんです。ネルソンさんは、日本語が上手で、米津玄師さんの曲をいくつも英訳しています。英語の訳と日本語の詩を並べてみると、英訳の素晴らしさがよく分かります。なるべく曲や元の詩の意味を損ねないように訳してあります。この歌は米津さんが小さい頃野山で遊び転げた体験が原形だと言います。「あなた」と言うのは母親だという意見と、友達だという意見に分かれています。どちらにも読めると思いますが、本当に無駄な言葉がなくて良くできた歌詞だと思います。

Paprika
パプリカ

Twisting and turning down this road we go
まがり くねり はしゃいだ  みち
Running to the forest where we can play all day
あおばの もりで かけまわる
The sun shines so brightly on our country town
あそび まわり ひざしの まち
Someone`s always calling out your name
だれかが よんでいる
And when summer comes , see our shadows grow
なつがくる          かげがたつ
Always know I will miss you so
あなたに   あいたい
Come on , look up , find the first star in the sky
みつけたのは いちばんぼし
I hope tomorrow will be sunny , too
あしたも はれるかな

Paprika , when our flowers start to bloom
ぱぷりか はなが さいたら
Put the seeds into your hands and throw them in the sky
はれたそらに たねを まこう
Paprika we can make our dreams come alive
はれるや ゆめを えがいたなら
Rain or shine , we`ll find a way to play again another day
こころ あそばせ あなたに とどけ

it`s raining and pouring , the moon`s hiding away
あめに くゆり つきは かげり
I think I can hear someone crying in the shade
こかげで ないていたのは だれ
Don`t worry I promise , there`s no need to be afraid
ひとり ひとり なぐさめるように
Someones always calling out your name
だれかが よんでる
Come and count with me all the happy things
よろこびを かぞえたら あなたで いっぱい
So much joy you always bring
かえりみちを
Now it`s time to go
てらしたのは
Memories will light the way back home
おもいでの かげぼうし

Paprika , when our flowers start to bloom
ぱぷりか はなが さいたら
Put the seeds into your hands and throw them in the sky
はれたそらに たねを まこう
Paprika we can make our dreams come alive
はれるや ゆめを えがいたなら
Rain or shine , we`ll find a way to play again another day
こころ あそばせ あなたに とどけ

I will run to you
あいに いくよ
Through the forest where we played
なみきを ぬけて
Singing songs we made
うたを うたって
And I will fill both hands with flowers along the way
てには いっぱいの はなを かかえて
La-di la-di-da
らるらりら
I will run to you
あいに いくよ
Through the forest where we played
なみきを ぬけて
Singing songs we made
うたを うたって
And I will fill both hands with flowers along the way
てには いっぱいの はなを かかえて
La-di la-di-da
らるらりら

Paprika , when our flowers start to bloom
ぱぷりか はなが さいたら
Put the seeds into your hands and throw them in the sky
はれたそらに たねを まこう
Paprika we can make our dreams come alive
はれるや ゆめを えがいたなら
Rain or shine , we`ll find a way to play again another day
こころ あそばせ あなたに とどけ
Let`s all come together now , point our fingers to the sky
かかと はずませ このゆびとまれ

ブロークンレコードテクニック

一度指示を出して無視(適切な行動を起こすまで子どもに注目しない)を開始したにもかかわらず、どうにもならないときがあります。そんなときはブロークンレコードというテクニック方法があります。これは、子どもが好ましくない行動をしたとき、親が「壊れたレコードプレーヤー」のように同じ指示を繰り返す方法です。CCQ=『Calm(カーム/穏やかに)、Close(クロース/近くで)、Quiet(クワイエット/静かに)の略で、親自身が穏やかに、子どもに近づいて、静かな声で指示を出すこと』で、指示を同じ言葉で正確に繰り返し伝えます。決して感情的にならず、表情をかえず、淡々と指示を出します。そんな毅然で冷静に指示を出す親の態度に子どもは「これはいくら逆らっても無理そうだ・・・」と思い、その好ましくない行動をやめます。

子どもが直ちにやめれれば、そこですぐに褒めます。このようにけして褒めることを忘れてはいけません。ブロークンレコードテクニックは親がいかに感情をもちこまず、せかさず、指示が出せるかです。指示は3分間隔で、15分から20分くらい様子を見てみましょう。子どもは親のいつもと違う行動に戸惑い、びっくりしますが、確実にインパクトを与え、いつもと違う変化を読み取ります。これはいい手ごたえです。

そんな親の変化を読み取った子どもはなかば、諦め状態で、「分かった分かったもういいよ~」と言いたくなってしまうでしょう。それが狙いです。そこできちんとやめられたら、すぐに褒めて終了です。ここでも褒めることが根本にあります。決して褒めることを忘れてはいけません。指示に従えたら必ず褒めて終了にしましょう。

平成生まれは クラブに行った人以外はレコード知らないけどね

ペアレント・トレーニングその2

以前にもペアトレの有効性について掲載しました。

発達障害のある子どもに限らず、保護者の子どもへの接し方や養育態度は、 子どもの心身の発育成長にとって、大きな影響を及ぼすことが知られています。 ペアレント・トレーニングとは、保護者や養育者の方を対象に、行動理論の技法の学習、ロールプレイ、ホームワークといったプログラムを通して、保護者や養育者のかかわり方や心理的なストレスの改善、子どもの発達促進や不適切な行動の改善を目ざす家族支援のアプローチの一つです。日本に普及しているものは三つほどの流派があります。取組効果は就学前か遅くとも小学校中学年までの親子に大きな効果が得られると言われています。

精研式・奈良式ペアレントトレーニング
このペアトレーニングは最初、ADHDの子ども向けに開発されましたが 広凡性発達障害とADHDの併用診断が主になったので、自閉症スペクトラム障がいの子どもにも適用できるプログラムに改良されました。開発当初の問題点としては、無視とほめる組み合わせをしていたのですが、子どもの情緒が不安定になったり、親子関係で悪化する事例が認められたため修正を加えました。
子どもの好ましい行動→ほめる
好ましくない行動→指示の工夫
許しがたい行動→ルールを作って一貫する
この3つに分けて対応を学んでいきます。 ほめ方などそれぞれに対する対応を、学んでいくことが特徴になります。この学びは、子どもの問題行動の改善も勿論ですが、親自身の育児に対して自信回復をすることが目的でもあります。

鳥取式ペアレントトレーニング
兵庫教育大学から生まれたトレーンングで、自閉症スペクトラムの子どもを対象としたトレーニング法です。今は、鳥取県だけではなく島根県、岡山県、兵庫県、埼玉県。沖縄県などの連携している、支援センターなどで受けることが出来ます。効果としては、子どもの特性や発達の状態の認知を知る。親子のコミュニケーションを楽しめるようになる。子どもが目標を達成しやすくするための、視覚支援や環境環境の方法を知る。子どもの支援法を他の人に伝える方法を知る。このような効果を目的にしています。グループワークでは
褒め上手・観察上手・整え上手・伝え上手・教え上手
などに分けて、説明していきます。子どもの問題行動を抑えるのではなく、適応行動を開発していくという発想です。環境調整と代替行動を中心に学び、最終は子どものサポートブックを作成し、家庭でも使える療育プログラムを一緒に作成して、家庭内療育をすすめていきます。このプログラムも、親の育児への不安の解消や憂鬱な気分の改善を目的としています。

肥前式ペアレントトレーニング
国立肥前療養所(現在の独立行政法人肥前精神医療センター)で開発された我が国初のプログラムです。もともとは、知的障害のある子ども向けに開発されたプログラムでしたが、現在は知的障害のない子どもにも提供されているプログラムです。親が子供に対して出来るようになってほしい行動を決めて、プログラムを通してそこへ向かうようにしていき、家庭内で取り組んだ行動を観察記録を行っていきます。効果としては発達障害をある子どもの問題行動の改善や、生活でのお困りごとの改善を行うと同時に、親が子どもの行動を理解することや、育児の自信の回復、親のストレス軽減がねらいです。

京都府では、何年も前から保健所などが提唱していますが、なかなか広がりません。小さな子の保護者の場合、保健所から声がかかる事イコール障害の宣告という誤解が多く、保健士さんたちも手をこまねいているのです。さらに、民間でやるには財政的な裏付けが弱く、指導者が少なすぎることも課題です。発達障害は知的遅れのない子どもも含めれば1割ほど存在します。グレーゾーンの子どもも含めれば3割が幼少期に行動の問題を抱えています。三人に一人なら決して珍しいことではありませんし、できれば全ての親に学んでほしいのです。ペアトレは親の変容をねらうもので、その変容が幼少期からの行動問題の予防に大きな効果をあげ、結果、子どもの自尊感情を育てることなのです。

このトレーニングは育児に対する自信もつき、発達障害の子どもを持つ保護者の方にはぜひ受けてほしいプログラムです。確かに、グループワークや家庭での実施など、大変そうに感じられるようですが、育児の考え方がかわると毎日がとても楽になります。療育とペアレントトレーニングは車の両輪です。育児で大変な保護者のかたの考えかたをほぐして、一緒に考えていき子どもの成長とともに、保護者のかたのストレス軽減にもなるので、必ず育児が楽しくなると思います。本事業所でも3人そろえば実施できますのでお声掛けください。

褒め上手

子どもを褒めるという事は、子どもとの信頼関係を築くのに必要不可欠です。子どもは褒められたり、認められたりすることで人を信頼し、自分に対しても「自分は自分でいいんだ」という自己肯定感を抱くことができます。この自己肯定感が高い子どもは、気持ちが安定し、何かにつまずいて凹むことがあっても復元力が強いです。逆に、怒られたり、否定ばかりされた子どもというのは、この自己肯定感が育ちにくく、気持ちが不安定で、問題行動を起こしやすくなってしまいます。上手に褒めるためには、まず褒めるべき行動を分ける必要があります。

ペアレントトレーニング理論では、子どもの行動を「好ましい行動」「減らしたい行動」「無くしたい行動」の3つに分けて考えます。そして次に「減らしたい行動」や「無くしたい行動」をしたときの「代わりにとって欲しい行動」を考えます。例えば、家の中を運動場の様にして走り回ったりしているのを改善するには
好ましい行動  =「家ではおとなしく遊ぶ」 
減らしたい行動 =「家を運動場のようにして遊ぶ」
多動の子の動きを激しく制限するのは難しいので、体をいっぱい動かせる部屋でトランポリンと鉄棒とバランスボールをおいて、いつでもそこで遊べるようにします。体をいっぱい動かしたい時は、その部屋で遊ぶように声掛けをするようにします。代わりにとって欲しい行動 = 「運動遊びは運動遊び用の部屋でする」のです。ただ大人しく遊びなさいと怒るだけでは何も解決しませんし、何度も激しく怒っって行動を変えようとする事は子どもの自己肯定感を低くしてしまい、他の問題行動につながってしまう可能性があります。なーんだと思われた方が多いと思います。うちは家が狭いから無理と思われた方も少なくないと思います。でも、親の思い通りに子どもを従わせるなんて不可能とあきらめた方がいいのです。譲り合いの精神が大事であって、どっちが偉いかなんてマウンティングしなくてもいいのです。要は環境を作り変えて、お互いに新しいルールを作ってウィンウィンの関係を作るのです。

代わりにとって欲しい行動を上手に促すためには、親子の信頼関係がとても重要です。だから、子どもの「良いところ探し」と「褒めること」をまずはしっかりとする必要があるのですが、褒めるポイントが少なすぎてどうすれば褒められるんだろうと困る方も少なくありません。褒めるのは、子どもが100%出来た時じゃなくてもいいいのです。理想の25%を達成できていれば、その25パーセントを褒めてあげてください。例えば子どもにお風呂の掃除を頼んだ時、子どもは言われた通りに洗ったのですが泡がまだ落ち切っていませんでした。この場合、多くの親は「洗えてないじゃないか」「もっとちゃんと綺麗に洗いなさい」と言うのですが、子どもは「洗った」のです。25点くらいはあげられるのです。つまり、25パーセントを褒めるという事は、「洗った」「洗ってくれた」という出来ている行動に注目してそこを褒めることが重要なのです。怒られてばかりいる子は、褒めるハードルをもっともっと下げてあげればいいのです。

例えば、鉛筆さえ持とうとしない宿題嫌いの子どもには「宿題しなさい」ではなく、ちょっとでも宿題に取り組もうとしたら「やる気を出せたね」と、すぐに褒めればいいのです。食事中に食べ歩く子どもなら、座って食べられている時にすぐ褒めてあげます。この25パーセントルール、最初はうまくできないのですが、出来ていることに注目すればだんだんできるようになってきます。自分にも25%ルールで褒めれば、誰でも褒め上手になれるのです。

ビリー・アイリッシュ

全米高校生のアイドルでもあるミュージシャンのビリー・アイリッシュトゥレット障害・症候群(音声と運動のチックを併せ持ち、発達障害も併発していることが少なくない)を抱えた暮らしについて語り、ファンと繋がることで「より心が休まる」ようになったと話しています。

現在18歳の彼女は、2019年の米ビルボード・アルバム・年間チャートで、デビュー・アルバム『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』が1位に輝きました。ビリーは「エレンの部屋」(アメリカ版 徹子の部屋?)に出演して自身の抱えている障害について語っています。この症状は日本ではビートたけしさんや石原元都知事のチック症状で知られています。

「『トゥレット症候群のアーティストのビリー・アイリッシュが“エレンの部屋“に登場』みたいなことは言われたくないのよ」「(チックを)抑える方法は身に付いているしね。大抵、事前収録のインタヴューでは(適切に発言を)カットしてくれるわけでしょ。だけど、ある時、(発言を)カットしないっていうことを知らされずにインタヴューを受けたの」と、インタヴューが事前収録のものではないことを知らされずに、ビリーのチック症状が出た状態で放送されてしまったことを明かしています。「いろいろな形に編集されて、たくさんの人たちから『ビリーのこの(わざとの)表情はすごく笑える(イカしてる)』っていうことを言われたわ。本当は単なるチックの症状に過ぎないのにね」と彼女は語ります。

ビリーは「それから、ファンの中にもそれを抱えている人たちがたくさんいるっていうことが分かって、より心が休まるようになったわ。繋がりを感じられたの。こういうことを話すと、ファンたちが『嘘でしょ。私もずっとそうだったの。それが分かって、彼女は私の憧れになったわ』っていうことを言ってくれるの」と語っています。

映画界のトム・クルーズやスティーヴン・スピルバーグ、IT業界のビル・ゲイツやスティーブ”・ジョブズなど有名な人が発達障害をカミングアウトすることは、欧米では青少年にとてもいい影響を与えると言われています。彼女もまた、その希有の才能と特性は個性の中で共存するものだとティーンエイジャーに発信しています。

ゲーム障害

ゲームのやり過ぎで日常生活に支障を来す「ゲーム障害」が、世界保健機関(WHO)ICFによって新たな依存症に認定されました。実態把握はまだあまり進んでいないですが、依存状態に陥ると抜け出すのは容易でないとされ、世界各地で睡眠障害をはじめとした健康被害も報告されています。主にインターネットを通じたオンラインゲームに自制できないほどのめり込み、学校や会社に行けなくなるなど日常生活が困難になった状態が続くことを指します。通常は12カ月以上続く場合に当てはまるが、深刻ならより短い期間でも診断が下されます。オンラインゲームは生活スタイルの異なる人たちが同時にプレイするため、昼型の人が夜型の人とグループを組めば、どちらかの生活リズムが狂ってしまう。そのままゲームにのめり込めばリズムの狂いは深刻さを増し、さらに解決しにくくなります。

ゲーム障害は一般的に男性の方が多いといわれる。自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)といった発達障害の特性のある人もリスクが高い傾向にあるとされます。親の保護下にある子どもの場合は状態が顕在化しやすい一方、一定年齢を過ぎても引きこもりなどで社会との距離が広がっている場合は外部から見えにくいという側面があり、決して子どもだけに限った問題ではありません。

オンラインゲームの多くは明確な終わりがなく、延々とプレイできる特徴があります。ゲームを続けていれば、プレーヤーたちが集まるコミュニティーで目立つ存在になったり、攻略ランキングで上位に入ったりして、さらにやめるタイミングを逃してしまいます。こうした状況が続くうち、ゲームの優先度が次第にほかのさまざまな活動を上回るようになり、自分の意志ではやめることができない依存症に至ってしまいます。

家族がゲームを取り上げたとしても状況が改善するとは限らず、逆に本人との緊張関係が高まるだけというケースが多いです。医師ら家族以外の第三者が間に入り、フラットな目線で問題を整理することが望ましいのです。その際もプレイした時間や、学校や会社に遅刻した回数など、あくまで客観的なデータを示しながら状況が良くなる方向を目指すべきです。本人が殻に閉じこもらないような働き掛けができるよう、家族を支援する体制も求められます。

保護者の子どもの障害受容

早期の気付きと、早期からの支援が後の子どもの成長発達に効果的なことは言うまでもありません。子どもに何らかのつまずきがあるのではないかと気付いた場合は、早いうちに専門機関等に相談し、場合によっては診断を受けておくことが望まれます。LD、ADHD、高機能自閉症は、全般にわたり発達に遅れがあるわけではないので、気付くことが難しいと言われることがあります。しかし、その一方で、親の会の調査によれば、言葉の遅れ、特定のものへのこだわり、動作がぎこちない、集団行動が取れない等の特性から、大半の保護者は3歳位までに子どもに何らかの障害があるのではないかと気付いています。LD、ADHD、高機能自閉症の子どもたちは、幼児期には診断が難しい場合や、その状態が成長に従って変わってくる場合もありますが、保護者は子どもが得意なこと、苦手なこと等、子どもの特性をきちんと把握し理解した上で、それに合わせた援助や療育に将来を見据えて取り組んでいくことが大切です。

一般に、保護者が子どもの障害に気付き、受容に至るまでには、下記に示すようなプロセスを経ていく傾向があるとされています。多くの保護者から、もっと早く対応しておけばよかったという声があがっています。障害を受容していくことは難しいことですが、結果として子どもにもよい影響を与えることにつながります。
1 疑念・混乱
LD、ADHD、高機能自閉症の子どもたちは、乳幼児期には育てにくかったり、逆に手間がかからなかったりする場合もありますが、通常の発達とずれを示すことがあります。幼児期には、何か気になるという思いを多くの保護者が感じるようです。落ち着きがなかったり、集団行動が取れなかったりする場合には、育て方の問題として責められる場合もあります。原因が分からないために、子どもの様子に心配を抱きつつも否認したり、混乱に陥ったりしてしまいます。
2 ショックと安堵
こうした葛藤の時期を経て診断を受け、LD、ADHD、高機能自閉症といった診断名が付いた時には大きなショックを受けます。一方で、育て方の問題ではなかったことが明確になったことで、多くの保護者が一瞬ほっとした気持ちになります。
3 努力・挑戦
そして何とか発達の遅れを取り返そうという取組が始まります。親子ともに目の前にある課題や行動等に対して一所懸命取り組みます。
4 障害の受容
以上のような段階を経て、子どもの状態を正面から受け入れられるようになります。目の前の課題に背伸びして取り組むのではなく、将来を見通して現実的な対処への取組を始めます。適切に支援・療育を重ねていくと、苦手な部分を克服したり、得意な分野で補うことにより問題を克服したりして、目立たなくなるケースもあります。しかし、各種の支援や療育を重ねても、どうしても克服できない苦手な部分が残り、生涯にわたり何らかの困難を伴うケースもあります。

LD、ADHD、高機能自閉症の子どもたちは、一所懸命やっているのに勉強がうまくいかない、周囲から仲間はずれにされ、忘れ物をして先生から叱られる等、成功体験が少なくストレスを貯め込んで、自信を失ってしまったりする場合があります。こうしたことの積み重ねで意欲を失ってしまったり、いわゆる二次的な障害に陥ったりする場合もあります。家庭内では、小さな成功体験の場を作ったり、よいところを誉めたり、好きな遊びの時間を作ったり、自信を付けさせたり、精神的に解放される場面を作ったりすることが大切です。

また、本人が自分は他の人とはどこか変わっていると気付き、思い悩む時が来ます。子どもがそのようなサインを出して来た時には、子どもの不安を解消するために、子ども自身の自分への気付きに添って説明することが必要です。子どものよい点を話題にし、人はそれぞれ個性や違いがあり、得意なことや苦手なことがあること、障害や困難は子ども自身のほんの一部に過ぎないこと、苦手な部分を補うためには努力が必要なことなどを、子どもの自尊心を尊重しながら、理解できるように説明することが大切です。さらに、保護者は親として子どもの養育に取り組むだけでなく、よき支援者であることが求められます。時として叱ったり、厳しく教えたりすることも必要となりますが、そうした中にも子どもが常に保護者の愛情を感じ取れるよう心がけ、子どもの心を支え続けるよき理解者として、共に歩んでいくことが大切です。

LD、ADHD、高機能自閉症の子どもたちは「中枢神経系に何らかの機能不全がある」と推定されていますが、原因は完全に解明されているわけではありません。また、医学的に根本的な治療をする方法もないというのが現状です。これらの子どもたちには、医学的な診断が必要な場合がありますし、医療からの支援が有効な場合もあります。特にADHDについては、子どもによっては症状の抑制に高い効果を示す薬があり、薬物療法が用いられることがあります。

ADHDの薬物療法はあくまでも症状を一時的に抑制するものであり、根本的に治療するものではありません。しかし、注意集中困難などの主症状を一時的に抑制することにより、療育に効果が出てきたり、本来もっている能力を発揮したりすることが期待できます。

子どもに自信をもたせ、自己の存在感、生きがい等を育てていくことが、二次的な障害を未然に防ぎ障害を克服する力となっていきます。保護者は、時には叱ったり、厳しく接したりすることが必要ですが、その場合でも「私は貴方が可愛くて、好きで、誰よりも愛している!」というメッセージを絶えず送り続けることがとても大切です。子どもの困難を克服していくためには、子どもと保護者が信頼関係を築き上げ、一緒になって取り組んでいくことが必要です。そのためには上述の愛情のメッセージとともに子どもを認め信頼している姿勢を示すことなどから、家庭の中で子どもとの信頼関係を築き上げていくことが、人間として人生を豊かに送るための土台づくりになっていきます。特に知的に高い子どもほどLD、ADHD、高機能自閉症かどうかの見極めが困難な場合があります。性格の偏りなのか見極めが難しい場合もありますが、発達のアンバランスを生活全般にわたって観察することにより見分けることができます。早期に発見し、適切にかかわっていくことが、将来の社会生活をスムーズに送れるようにするために何より大切です。

勉強面や生活面など不得意な部分の改善に一所懸命取り組んでいると、いつも注意をしているような状況に陥ってしまいがちです。こうなると、かえって逆効果になり、子どもと保護者がともに精神的にまいってしまいます。これだけはというポイントに絞り、細かいことはあまり注意しないことが時には必要です。LD、ADHD、高機能自閉症の子どもたちの中には、学校の勉強は何とかこなすものの、基本的な生活習慣が身に付かないまま、成人期を迎えてしまう場合が多く見受けられます。整理整頓、金銭管理、身だしなみ、忘れ物をしない等は自立に欠かせないスキルであり、将来を見据えて幼少期から日常生活の中で計画的に取り組んでいくことが大切です。また、家事などの手伝いに取り組ませることも大切です。洗濯物たたみ、食器洗い、部屋の掃除、風呂の掃除など、子どもが一人で行うのが難しいことは、最初は一緒に取り組み、徐々に援助を減らして、一人でこなせるようにしていきます。やり方を覚えた時や、手伝いができた時は必ず誉めるなど、意欲を高め、楽しく取り組めるように心がけます。

こだわり、自分勝手、強迫観念、対人関係の形成の困難さ等、子どもたちがもつ特性は、周囲の理解を得ることが難しく、学校生活だけでなく将来自立し社会生活を送って行く際にも問題になってきます。この子どもたちは、経験のないことについて頭では判っていても実際の場面でうまく対応できないことがあります。本人の特性を生かしながら、社会に適応していくためには、人間関係をスムーズにしていくための対応の仕方を身に付けていくことが大切です。様々な経験や体験学習をする中で考えさせながら、対処方法を身に付けさせたり、行動の自己調節、自己制御の心を育てたりすることも必要です。子どもが自己制御を身に付け、多動、パニック等の行動面の問題を克服していくことは簡単ではありません。無理じいや周囲の焦りは、かえって逆効果になることもありますので、じっくりと取り組むことが必要です。本人がストレスを少しずつ発散でき、親子ともに精神的に解放できる場を作ることも忘れてはならない大切なことです。

LD、ADHD、高機能自閉症の子どもたちは、全般的には知的発達に遅れがなく、周囲から学習面の遅れを本人のやる気のなさや努力不足と思われがちです。しかし、視覚・聴覚等の認知特性や注意集中等に困難があるために、子どもそれぞれに、得意な分野、不得意な分野があります。学校の先生とも相談しながらその特性に合わせた取組が必要です。家庭で勉強に取り組む時にも、学校の先生に相談しましょう。また、専門機関を利用している場合は、担当の先生とも相談して、役割分担をしながら、一貫性のある指導となるよう心がける必要があります。

不得意な分野については、子どものつまずきを把握し、スモール・ステップで取り組みます。不得意な分野で追いつめたり、無理に努力を強要したりすると逆効果になりかねません。小さな成功や努力を誉め、自信や意欲を高めるように心がけます。例えば計算については、電卓を使うなどの補助具を活用することにより、その問題を克服していく方法もあります。机上の勉強では理解が難しいことでも、身近なことや実体験に結び付けると理解しやすくなります。例えば、今日学校であったことを話す、旅行に行く場所を一緒に地図で調べる、アルバムの写真を見ながらその時の話をする、買い物の計画を立てて金額を計算してみる等、実体験と結び付け、楽しみながら取り組めるようにすると効果的です。不得意な分野にばかり目を向けるのではなく、得意な分野を伸ばすように心がけることが大切です。得意な分野が伸びてくると、やればできるという気持ちが育ち、本人の自信にもなります。また、このことによって不得意な分野をカバーすることや、自立に生かすことにつながりますので、うまく支援していくことが大切です。

児童養護施設

児童福祉施設に入所する理由のNo.1は「虐待」です。児童養護施設に入所している子の約6割が、虐待を受けたことがあると答えています。また、障害などのある児童も近年増加していて、平成25年では28.5%の児童が障害ありとなっています。もし何らかの事情により児童養護施設に子供を預けたいと思ったときは、お近くの児童養護施設、もしくは児童相談所、民生委員・児童委員、福祉事務所、保健所、市町村保健センターへご連絡ください。秘密を守りながら、相談を受けることができます。

まずは各都道府県が運営している「児童相談所」や市町村の「福祉課」に連絡をすることが必要です。専門の職員が相談内容を聞いて、心理的検査や医師の診断・家庭環境の調査などを行います。その結果に応じて生活指導をし、必要と判断したら児童養護施設に入所という流れです。

入所理由で一番割合が多いのが虐待で、「父または母の虐待・酷使」が18.1%です。それに次いで多いのが「父または母の放任・怠惰」、つまりご飯を作らなかったり子供に無関心で世話をしないネグレクト(育児放棄)で14.7%です。特にネグレクトは、父1.8%なのに対して母12.9%と、母の方が割合が多いことが表からわかります。特に虐待を受ける児童の数については、近年急激に増加しています。児童相談所に報告される児童虐待の数は、1990年から2010年の20年で50倍以上に拡大しています。児童虐待の背景には、母親の育児ストレスが挙げられます。実際、虐待行為の6割は実の母親によって行われているというデータがあります。つまり、母親だけの理由で言えば1位ネグレクト、2位精神疾患となります。この母子への社会的セフティーネットが日本は大変弱いといます。

近年社会情勢が大きく変化しているのに、未だに母親が育児の大半を担うのが日本の社会です。自己責任論で育児の責任全部を背負ってストレスを溜め、その矛先が子供に向いてしまうこともあるのでしょう。虐待の場合は通報等により発覚し、親の意思に関係なく養護施設に預けられることが多いのですが「今のままでは虐待をしてしまう!」と苦しんでいる親が福祉施設に相談をし、一時的に児童養護施設に預けるといったケースもあります。

精神疾患は全体の12.3%です。育児ストレスやその他の原因により、親が精神疾患になり治療をしながら子を預ける方もいます。子供が病気になったら休むのも、PTA会議に出るのも母親が未だに多いので、ママ友づきあいや仕事のストレスで精神を病んでしまい、子供を施設に預ける判断をする親御さんもいます。こちらも母親が精神疾患になってしまった例が父親よりも多く、父0.6%に対して母は11.7%です。ひとり親ではない場合、父親が精神を病んでも傷病手当等を利用し、母親が仕事と育児を担当することができますが、父親が仕事をしながら育児家事をすることが社会的にまだ難しいです。

仕事や入院などで、物理的に子供と離れなければならなくなった場合も、児童養護施設の入所対象となります。仕事や入院の他には父や母が警察に捕まった(拘禁)などの理由で、養護施設に預けられるパターンもあります。経済的に子供を養育できないというのも、養護施設に子供を預ける理由の一つです。

これらの一番の問題は、障害のある子もない子も一時預かりを含めて入所できる余裕がほとんどないことです。これは虐待が増えだしてからというより、慢性的にキャパが少ないのです。特に障害のある子は児童相談所では人手の問題で預かれない事が多いので児童養護施設に一時保護になるケースがほとんどですが、私の知る限り簡単に2カ月までの一時保護が実現したケースは見たことがありません。行政も児相も他にもケースがあるからと言う理由をつけて、速やか(訴えから1週間以内)に措置されたケースを見たことがありません。お任せされる施設にしてみれば空きのスタッフをいつも複数名用意するには財政負担があるので、できるだけ絞り込んで経営しようとしますから無理もないのです。財政的制度の面から見直さないとこの問題は解決できません。障害者をできるだけ地域に戻すというインクルージョンの流れから入所施設への資金の流れがさらに弱くなったことも原因の一つかもしれません。

福祉事業所の働き方改革

事業体が生き残る戦略の一つとして、働き方改革を進めていかなければなりません。ポイントは、3つあります。
1)長時間労働をなくす
2)休暇取得に向けた環境づくり
3)誰もが働きやすい雰囲気づくり
長時間労働をなくしていくためには、管理職の意識改革や、非効率な業務プロセスの見直し、従来慣行(利用者や関連事業所に対する非効率な業務)の改善が必要です。これは、結果的には生産性向上というメリットをもたらします。意識改革や業務設計・役割分担といったソフト面からのアプローチと、ITツールの活用・ペーパーレスといったハード面からのアプローチが「両輪」となります。

厚生労働省のヒアリングによると、年休取得が進んでいる法人では、一週間ごとのミーティングにて業務の進捗状況を所属長や同僚と共有し、仕事を個人ではなくチームで行うことによって労働者が休暇で不在となっても業務が回るよう、取り組んでいる事例がありました。労働者一人ひとりが責任感をもってしっかり仕事をすることは勿論重要ですが、仕事をチームで行い、チームの中で仕事の進行状況について情報共有することで、休みやすい職場環境へと変わってゆくのです。
トップが主導となり、休暇の取りやすい雰囲気や働きやすい環境づくりを行っていくことが大事です。

福祉現場での働き方改革の視点
離職率の低下、採用難の解消、労働生産性の向上、長時間労働の是正は、介護業界全体の共通の課題です。福祉現場における離職防止に向けた取り組み 5つのポイント
(1)「心身の不調」へのケア…腰痛予防、メンタルヘルスケア
(2)「支援観の違い」への対策…理念・指針の浸透
(3)「働き方」への固定概念の払拭…短時間勤務、時間単位年休、時間帯の固定
(4)「就労後ギャップ」の防止…入社前に誠実な情報の開示
(5)「持ち味の理解」と「承認」…多様性を許容し良い所に着目。事実+意味づけ
離職につながる長時間労働の是正については、昨今の働き方改革の流れもあり、一定の改善がみられている事業者もあるようです。単なる業務の削減はサービスの低下に直結する懸念があり、見直しを行う業務は慎重に検討するべきです。特に利用者に接する部分は、過剰と思われるサービスを除き、施設の「魅力」や「付加価値」になりますので、そこの見直しは必要最小限にとどめ、申し送りや会議・書類の作成といった、利用者に接遇しない業務や運営管理に関する部分について、手順を踏んで着実に業務効率化を推進していくことが大切です。

福祉現場における長時間労働の是正 5つのポイント
(1)「過剰サービス」の削減…「したい」と「できる」の見極め
(2)スタッフの意識改革…奉仕の心による「自主的な残業」の功罪
(3)デジタル化、ペーパーレス…効果絶大!
(4)申し送り、会議の短縮化…重要事項のみとし、残りは各自で確認
(5)定時退社の為の工夫…「仕事の再分配」と「職員間の連携」
中でも、デジタル化、ペーパーレス化による業務効率化は、介護福祉業界においては特に効果が大きいものと思われます。有給休暇の消化や、勤務間インターバル制度の施行などによって、従業員の勤怠の管理が複雑になります。デジタル化による管理の効率化は、今後多様なスタッフが納得して働いていく環境をつくっていくにあたり、従来以上に有力な切り札になります。働き方改革は、福祉業界にとっても待ったなしの経営課題です。全職員で改善状況の進捗を共有しながら、粘り強い取り組みが必要です。

スマホ・ゲーム利用と不登校

不登校・・・スマホ・ゲーム利用「条例、ルール化を」 大阪市の松井市長

小中学生がスマートフォンやオンラインゲームに依存するのを防ごうと、大阪市の松井一郎市長は15日、スマホの使用時間を条例でルール化することも視野に、実効性ある対策を検討するよう市教委に指示した。
松井氏は同日市役所で開かれた会議で、不登校の要因の一つがスマホやゲーム依存であるとの実態が紹介されたことを受け、「夜は何時までとか、条例でルール化したらどうか」との考えを示した。
市内では旭区が平成26(2014)年に、スマホやゲーム機を午後9時以降は使用しないなどのルールを決定。校長判断で各校で適用されているが、市教委として統一したルールは定めていない。松井氏は、使用制限に強制力を持たせたり罰則をつけたりすることは難しいとの認識を示した上で「理念的なものにはなるが、(大阪市として)ルールを作ったよというのが(不登校を減らすのに)大事なのかもしれない」と述べた。
スマホやオンラインゲームの使用制限をめぐっては、香川県が子供がインターネットやゲーム依存になるのを防ぐ全国初の条例制定を目指している。今月10日の検討委員会ではスマホやゲームは「平日は1日60分まで」などとする条例素案が示されたが、ネット上でも賛否が分かれるなど物議をかもしている。
2020.1.15産経新聞--------------------------

この記事は、松井市長の言ったことがすぐさま条例化されるように見出しに書いていますが、市長の言ったこととはかなり異なり産経新聞の勇み足に読めます。ただ、前回も掲載したように(1/13ゲーム障害)オンラインゲーム依存が深刻であることは事実です。ただ、不登校の一因がゲーム依存なのか、不登校になる子がゲーム依存になりやすいのかよくわかっていないのも事実であり、ゲームだけを悪者にしても解決はできないと言われます。

重要なことは家庭での対応であることは間違いがなく、この支援を公の子どもが守るべきルールだよと言うだけでなく、ペアトレなど実質的な子育て支援を強め、学校でゲーム障害や睡眠障害の健康教育に力を入れるべきことは、大阪市や香川県だけでなく国民的に差し迫った課題であることは間違いがありません。

 

ICDー11

昨年、WHOの国際疾病分類は、ICD-10から30年ぶりに改訂されICDー11になりました。厚生労働省は、WHO承認後、国内への適用作業を進め、1〜2年で施行するという予定を案として公表しています。今回の改訂では、心理的発達の障害を神経発達症群とカテゴリー名を変えました。区分は米国精神医学会のDSMー5に沿った「神経発達症」の概念が採用されています。また、我が国ではDSMー5の翻訳の時からdisorderとdisabilityのどちらも「障害」と翻訳するのではなく、特に小児の場合は症状が変わるし治療で軽快する例も少なくないので「症」を使う方向性が示されています。

知的障害の名称は「知的発達症」で、軽度、中等度、重度、最重度の区分分けはそのままで、IQが相対的に高くても社会的適応能力が低ければ相対的に重い判定となるのも変わりません。

会話及び言語の特異的発達障害は「発達性発話または言語症群」となりました。詳細区分として、発達性語音症・発達性発話流暢症・発達性言語症に名称が変更になります。あとに出てくるLDの読字不全やASDを除外した発達性言語症の判別が整理されていないように感じます。

広汎性発達障害は、自閉スペクトラム症で小児自閉症やアスペルガー症候群などの下位分類が改訂され知的発達症や機能的コミュニケーションのレベルで分類されます。

学習障害は発達性学習症になり、読字不全・書字表出の不全・算数不全と詳細区分もDSM-5に揃えました。運動機能の特異的発達障害も、発達性協調運動症となりました。全て「発達性」で統一しました。

情緒障害の分類だったチック症は、神経発達症の分類へと移動しました。詳細区分に、トゥレット症候群・運動のチック症・音声のチック症が入ります。

AD/HD多動性障害は、注意欠如多動症で「欠陥」が「欠如」に変更されます。不注意優勢型・多動衝動性優勢型・混合型の分類はそのままです。

話は変わりますが、障害は理解できるが発達がわからない(?)という放デイ業界の方が少なくないと聞きましたICDやDSMの神経発達のカテゴリーは発達の問題を扱った症状カテゴリーです。知的発達症は全般的な発達の遅れです。これに対して、ASDは社会性の発達、AD/HDは衝動性や注意の調整力の発達、LDは音韻・書字・数量処理の発達、つまり全般ではなく部分的な発達の遅れや凸凹を原因とした症状をさします。発達の遅れにはいろいろなバリエーションがあるという分類です。

それとも、発達がわからないというのは、子どもの通常の発達の順序性をよく知らないというのが同義でしょうか。例えば、数量認識が通常4歳頃で、まだ序数(数える量)段階なのに、繰り上がりな量の合成分解の操作をさせている間違いです。算数障害で量感覚がイメージできない場合も量の合成分解で躓きます。

「こぶた たぬき きつね ねこ」のしりとりは、単語を音に分解したり構成したりする能力(音韻操作)通常6歳の言語発達で完成することを知らずに取り組む現場。全般的遅れがなくても音韻意識に遅れがあれば就学年齢でも困難は続きます。結局、障害は分かるが発達が分からないというのは肢体不自由など目に見える障害は分かるが、目に見えない発達障害やは理解されてないという事でしょう。

社会性発達の順序性が無視された指導も少なくないです。通常6歳の自己認知の発達は経験を蓄積してだんだんできるようになる自分を認識して自尊感情を育てていく時期ですが、この大事な時期にやってもやってもできない課題を与えたり、逆にすぐにできてしまう課題を与えてしまう誤りなどです。発達には順序性がありその段階に合わせた指導をしたときに発達の伸長が望めるのです。ハイハイしている子どもには歩く指導ではなくたっぷり四つ這いできる環境と励ましを与えるのと同じ事です。

ただ、発達の順序性とは言うけれど、あくまでこの順序の子が多いと言うだけの話でしかありません。この平均の物差しで測っているに過ぎない事を忘れて、平均でない多様な子どもを理解したかのように思い込む人もたくさんいます。物理的に歩けない子には車椅子の操作を教えるように、聴覚記憶の弱い子には視覚情報で補う支援をします。車椅子の子に、平均は歩く事だという人はさすがにいませんが、絵カード支援を見て、特別(平均的ではない)事をするから聞く力が伸びないと思い込み、子どもの才能と自尊心を悪意もなく潰し続ける人はまだいます。

大事なことは子どもにはみな凸凹の個性があり、その個性に合わせた支援にはあらかじめ決まったものなどないと、専門家なら心得ているはずです。子どもができない事を障害や発達の遅れに還元してしまわず、指導している自分のせいだという謙虚さがあれば、おのずと良い支援のアイデアは思いつくものですし、そのアイデアに必要な情報は自分で手に入れているものだと思います。

木村泰子さんの言葉

大阪の大空小学校初代校長の木村泰子さんの言葉にはパワーがあります。映画『みんなの学校』の舞台となった大阪の大空小学校は、発達障害と診断された子や不登校だった子など、さまざまな問題を抱えた子どもたちがともに学び合い、元気に卒業していきます。日本の教育システムが変わらない原因は何なのでしょう?社会は、人と違う考えや行動ができる「ふつうじゃない人」を求めるようになっているのに、大人が勝手に決めた「ふつう」の基準に当てはめて判断しようとします。社会が求めるニーズと教育現場が、どんどん乖離しています。本来、子どもの成長度合いを検査する目的は、その子の特性を知ったうえで、周りの子どもたちと安心してつながって、一緒に集団生活を送るためであるべきと木村さんは言います。以下、木村さんのインタビューです。ごく当たり前のことしか言っていないのですが、強烈なパンチ力があると感じるのは私だけでしょうか?

Qーーーー大空小学校に転校してきた子が、前の学校で体操服に着替えるのを嫌がり、「例外は認められない」という理由で、体育の授業を受けさせてもらえなかった話がありました。

Aーーーー体操服に着替えるのが嫌なら、そのままの服で体育の授業を受けさせればいいんです。子どもには学習権があります。憲法二六条は、「すべて国民は、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と定めていますからね。子どもが学校にくる目的は、体操服を着ることじゃない。体育の授業を受けることですから。私がその子の親なら、「この子は自宅以外では着替えられないので、この服装のままで体育の授業を受けさせてください」と学校に言います。それでも「困ります」と言われたら、「憲法にある子どもの学習権についてはどうお考えですか?」と勝負をかける(笑)。体育の授業の目的は、運動をすることにあるのです。本当の公平は、体操服に着替えられない子がいても、「体育ができれば、その服のままでもええよ」と、その子の個性を認めて安心させること。そして、周りの子も安心して授業を受けられるようにすることです。「ふつう」ができない子どもがいても、お互いを認め合って尊重することを、子どもたち自身で学ぶ。その手助けをするのが先生の役割ですし、それこそが本当の公平な関係性なんですよ。例外を認めず、みんなと同じようにさせるのが公平という考え方は100パーセント間違ってます。

Qーーーー大空小学校では、さまざまな子どもたちが一緒に学ぶ環境でありながら、先生は定時退勤できていました。なぜそのような教育環境を作ることが可能だったのでしょうか。

Aーーーー私が9年間校長を務めた大空小は、全校児童260人中、「発達障害」と診断され(障害者)手帳を持っている子どもが50人を超えていました。そう聞くと「先生の負担が多くて大変そう!」と思われるかもしれませんけど、日常は勤務時間が終われば帰っていました。 じゃあ、なんで他の学校の先生たちは、いつ死んでもおかしくないほど長時間労働しないといけないのか?大空小では、一人一人の子どもが自分から学校へ来て、1日学んで、納得して家に帰ります。それは、私たち教師が子ども同士をつなげて、子ども同士で教え合ったり助け合ったりしているからです。大空小学校のルールはただひとつ。「自分がされていやなことは人にしない 言わない」。この約束を守ることだけです。子どもが学校生活を楽しんで納得できると、いじめも不登校もないし、親からクレームがくることもありません。教師は生徒や親の問題解決や相談事に時間をとられる必要がないから、本業だけやっていればいいんですよ。教師の働き方改革より、学び方改革をしないといけないわけです。

 

DSM-5

前回のICD-11の説明でいきなりDSM-5(米国精神医学会:精神障害の診断と統計マニュアル第5版)の名前が出てきたので解説しておきます。発達障害についての世界的に使われる基準は前回示したWHOのICDと、米国のDSMです。2013年にDSM-5は、20年ぶりの改訂がされました。「神経発達症群」はDSM-5から新設され、いわゆる「広義の(知的能力障害群等も含む)発達障害」として捉えられています。前回も書いた通りICD-11は、DSM-5に沿って改訂されています。心理発達から神経発達に変えた考え方や自閉症のレベルを連続体としてとらえる「スペクトラム」の名称で、アスペルガー障害などをこの中に含むものにしたことなどです。
DSM-5「神経発達症群」における分類
1 知的能力障害群
知的能力障害・全般的発達遅延・特定不能の知的能力障害
2 コミュニケーション症群
言語症・語音症・小児期発症流暢症・社会的(語用論的)コミュニケーション症
3 自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症
4 注意欠如・多動症(AD/HD)
注意欠如・多動症・他の特定される注意欠如・多動症・特定不能の注意欠如・多動症
5 限局性学習症(LD)
読字の障害を伴う・書字表出の障害を伴う・算数の障害を伴う
6 運動症群
発達性協調性運動症・常同運動症・
7 チック症群
トゥレット症・持続性(慢性)または音声チック症・暫定的チック症・他の特定されるチック症・特定不能のチック症
8 他の神経発達症群
他の特定される神経発達症・特定不能の神経発達症

 

愛着障害

虐待された子どもにとって世の中は、どこに危険が隠れているかわからない恐ろしい場所であり、彼らには見るものすべてが災いの種に映ると言われます。子ども時代、愛と慰めに満ちた安全な家庭で育つことは、健全な心を持った大人になるために大変重要なのですが、残念ながら現実はそうはいかない場合が多いようです。

自分ではまだ何もできない子ども時代に、基本的欲求を満たしてくれ、呼べば助けてくれ、心が傷ついたら愛を持って気持ちをなだめてくれる大人が、もし周りに一人でもいれば、その子どもは大きくなって、「困難な状況に遭遇してもなんとかなるものだ。人生を思うとおりに変えて、切り開いていく力を、自分は持っている。」という、自己肯定感を抱き、自己コントロール力を持てるようになります。自分の意志や欲求に沿って反応してくれる大人が周りにいるということは、周囲の環境と共鳴して生きるということで、これを経験した子どもは、たいてい、自己認識力や共感力を身につけ、人と調和し、社会に適応して生きていくことができるようになります。

虐待やネグレクトのある環境に育ち、自分の基本的欲求や感情的なニーズが満たされず、親または世話をしてくれる大人が自分に合わせてくれない場合、子どもは周りの大人の「子どもはこうあるべき」という概念に自分を合わせる以外なくなります。つまり、大人のニーズに自分を合わせることになり、これによって、「ありのままの自分ではいけないのだ、自分はどこか間違っているのだ」という観念を抱くようになります。虐待された子どもは、周りの人たちの声や表情にとても敏感ですが、それに共鳴するというより、そのサインを脅威とみなして反応する傾向があります。そのため、虐待された子どもは、防衛的になったり怯えたりしやすいといえます。そういう子どもは、やがて、強いふりをして内心の恐怖感を隠すようになったり、心を閉ざしてコンピューターゲームに一人で没頭するようになったりすることもあります。

回避型愛着(avoidant attachment)と呼ばれるタイプの子どもは、母親がいなくなっても泣かず、戻ってきても無視して、一見、何が起こっても知るもんか、というそぶりを見せます。けれども、実際のところ、子どもの身体の方は過覚醒(神経過敏で緊張が高まっている)状態にあります。このタイプの子どもの親は、子どもを触ったり抱いたりするのを嫌がる傾向が強いようです。回避型愛着タイプの子どもは、学校に行くようになると、しばしばいじめる側にまわり、大人になってからも、自分や相手の気持ちに無頓着である場合が見受けられます。

不安型愛着(anxious attachment)、またはアンビバレント愛着(ambivalent attachment)と呼ばれるタイプの幼児は、泣いたり、わめいたり、しがみついたりして、常に自分に注意を引こうとします。母親の姿が見えなくなると非常に取り乱しますが、かといって母親がそばに戻ってきてもあまり満足しません。不安型愛着タイプの幼児の不安傾向はしばしば大人になっても継続し、学校ではしばしばいじめられる側(=犠牲者)になります。

上記の二つの愛着型に加えて、世話をしてくれる大人自体が自分に苦しみや恐怖をもたらす原因である場合、子どもは混乱型愛着(disorganized attachment)という第三タイプに分類されることがあります。混乱型愛着の子どもは、生きるために依存しなければならない相手が、同時に身を脅かす危険な人物であるというジレンマに置かれます。逃げることもできず、つながることもできない、という手立てのない状態にあるわけです。結果として、誰が安全で誰に愛着を示していいかわからないこのタイプの子どもたちは、知らない人に過度に愛情深く接したり、または誰も信じなかったり、といった極端な愛着のしかたを見せるようになります。混乱型愛着を引き起こす要因はなにも虐待ばかりではありません。親自身が、家庭内暴力やレイプ、深刻な喪失などのトラウマを抱えている場合、自分の感情が不安定なために、親は子どもと向き合って安定した保護や慰めを与える場合ができないことがあります。親が感情的に引きこもってしまい、子どものニーズにこたえられない場合、しばしば役割の逆転が起こり、子どもの方が親のニーズを満たそうと懸命になります。こうして親の世話をせざるを得なかった子どもは、大きくなってからしばしば自分や他者に対して攻撃的になり、自分や人を傷つけるようになることがあります。

ただ、理想通り完璧な子育てができなくても、基本的部分で愛情がありさえすれば、子どもは親と適切なつながりを維持して育つものです。感情にまかせて怒ったり、思い通りに世話をできないことが時々あったとしても、本当は愛するわが子にそんなふうにしたくなかった、という思いがあれば、子どもが親に対する信頼を失うことはありません。そもそも「理想通りの完璧な子育て」というもの自体、存在しないです。誰しも、時折迷ったり後悔したりしながら、子どもを育てています。また、仮に、虐待やネグレクトにあって、辛い子ども時代を送ったとしても、その後社会に出て、愛情を感じる経験をしたり、本人の生まれつきの回復力(レジリエンシー)が強い場合、心の傷を自ら癒やして、健全な心をもった大人へと成長することは十分可能です。 

学級崩壊

行く逃げる去る。3学期はあっという間です。来年こそはクラス替えをと思う子どもや保護者の声が大きくなってきます。その1番の要因は先生です。先生が子どもと性分が合うかどうかのこともありますが、保護者はそんなに深くは付き合わないので、クラスが安定して運営されているかどうかが評価基準です。安定してとは、学級崩壊の兆しがないかどうかが最低限の基準ということです。

学級崩壊が起きるクラスは、「教師が話を聞かせられないから、学級崩壊が起きた」のか、「学級が崩壊気味であるから、教師が話を聞かせられない」のかは、ケースバイケースです。けれども「子どもに話を聞かせられない教師」は、学級を確実に崩壊させてしまいます。学級での指導は、全て「教員の話」から始まります。学級でのルールを決めていくのも、良い行動を評価するのも、悪い行いを正すのも、まずは教師の言葉です。その言葉が子どもに通らない状態では、クラス全体をまとめていくことはできません。

「優しい先生」も「厳しい先生」も、学級崩壊を起こします。なぜなら、ルールが明確ではないからです。「優しい先生」は、優しすぎるあまり子どもの行動を全て認めてしまいます。「厳しい先生」は、厳しすぎるあまり子どもの行動を全て否定してしまいます。どちらも「先生目線」で事に対象しているので、その場限りの対応になってしまいます。結果、どちらの先生も子どもから見たら「気分によってルールが変わる人」と映ります。そうなれば、後は簡単。先生の目を盗んで、自分たちのやりたいことを通すだけです。一人一人の子が気分で事を通し始めていき、気付けば全体がバラバラになっています。

言っている事がその場限りで一貫性が無い場合、クラスは簡単に崩壊します。子どもたちは、自分が関わっている教師に対して、絶えず値踏みをしています。この人は信頼できるのか、この人は甘いのか、この人は自分のことをどこまで見ているのかなどです。その様々な価値規準の中で「この先生の前では嘘をつけない」と思われない限り、学級の安定は成り立ちません。指導に一貫性がない教師には、子ども信頼が集まりません。信頼されない教師は、あっとう間に子どもに見限られます。それは先生一人に限られたことではないです。その学年全体の先生の一貫性、その学校の枠組みの明確化、子どもに関わる全ての大人のチームワークが問われます。

これは別に、学級に限ったことではなく、放課後デイでも学童保育クラブでも、スポーツチームでも子どもが組織されているものならなんでも同じだと思います。まず枠組みをしっかり示して、その中で個性を認めて引き出してくれる指導者の存在が子どもたちの願いです。

コロナウィルス予防

中華人民共和国湖北省武漢市において、昨年12月以降、新型コロナウイルス関連肺炎の発生が複数報告されており、必要な情報の収集を感染症センターでは行っているところですが、800人以上肺炎感染して30名程死亡していること以外はまだ詳しい情報が中国から得られていません。コロナウイルスとは、人や動物の間で広く感染症を引き起こすウイルスです。人に感染症を引き起こすものはこれまで6種類が知られていますが、深刻な呼吸器疾患を引き起こすことがあるSARS-CoV(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)とMERS-CoV(中東呼吸器症候群コロナウイルス)以外は、感染しても通常の風邪などの重度でない症状にとどまると言われています。

地元の保健所からは、コロナウィルス予防には入り口で手のアルコール消毒をと呼びかけてますが、これはインフルエンザなどの予防策と変わりません。当事業所では空気清浄機をフル稼働していますが、接触感染には効果がありませんので明日から入室時にアルコール消毒を実施します。ちなみに乙訓のインフルエンザ流行は昨年と同じような増加傾斜で、あと少しで警報が発令されるレベルに達しています。手洗いの感染予防に努めましょう。

 

南海トラフ地震確率推計結果

政府の地震調査委員会は24日、南海トラフ地震による津波が今後30年以内に起こる確率を推計した結果を発表した。大津波警報の発表基準に相当する3メートル以上の津波は、太平洋側の10都県71市区町村に及ぶ広範囲で26%以上の非常に高い確率で襲来すると予測。5メートル以上は、静岡、三重、高知など7都県29市町村で26%以上の確率で起こるとした。今回の想定で津波の高さが最も大きい10メートル以上は、静岡、三重、和歌山、高知などの6県21市区町で6~26%の確率だが、26%以上の市区町村はなかった。

100~200年間で繰り返し発生しており起きる可能性が高い大地震を中心に想定した。政府が津波の被害想定を「確率」の形で示したのは初めて。調査委は今後、日本海溝・千島海溝周辺や日本海側の地震についても同様の手法で津波想定を行う予定。調査委によると、日本の太平洋沖に延びる海溝「南海トラフ」では、30年以内にマグニチュード(M)8~9の大地震が70~80%の確率で発生する恐れがある。政府の中央防災会議などは2012年、M9・1で最大級の「南海トラフ巨大地震」が起きた場合、津波は高知県黒潮町と土佐清水市で最大34メートルとなるほか、東海から四国の太平洋岸に20~30メートル級が来るとする被害想定を発表した。最悪のケースの死者数は最新のまとめで23万1000人に上るとしている。

しかし今回は、このような最大級の地震は「最近2000年間で起きていないまれな現象で、確率が計算できない」として対象から外した。1361年以降に発生した宝永地震(1707年)などM8~9の地震の記録を基に、起こりやすさを考慮して評価した。

その上で、30年以内に南海トラフ沿いで大地震が発生し、海岸の津波高が▽3メートル以上▽5メートル以上▽10メートル以上――になる確率を算出。それぞれの高さの津波が襲来する可能性について▽26%以上▽6%以上~26%未満▽6%未満――の3段階に分けて、津波が来る可能性が高い24都府県352市区町村について推計した。津波高は地形などの影響を受けるため、市区町村によっては区域で分けたり複数の確率を示したりした。調査委によると、26%は「100年に1回」、6%は「500年に1回」起きる確率に相当し、「26%以上は非常に高い。6%未満でも決して安全ではなく注意する必要がある」という。気象庁によると、津波高3メートルで木造家屋が流失し始め、5~6メートルで全壊の被害が急増するとされる。

平田直(なおし)委員長(東京大教授)は「最大級でなくても大きな被害が出る津波が高い頻度で起きることを認知してほしい」と話している。

1/24(金) 17:00毎日新聞【信田真由美】

今後30年間に7~8割の確率で大地震発生と言われても、「???」ですが、1年間で起きる確率は 5.263%、5年間で起きる確率は 23.687%、10年間で起きる確率は 41.764%、15年間で起きる確率は 55.559%。と確率計算すると、小1の子が成人したころまでに地震発生していなければ、発生確率は五分五分以上になっており流石に無視できなくなります。今後1年以内は5%ですから、人間5%くらいはまぐれにしか感じないのでまじめに考えません。また、内陸部なら津波が3mだろうが10mだろうが関心がなかなか向きません。ただ、海岸部に広がる工業地帯が破壊されるという事は、生産や輸送、送電や配管が大ダメージを受けることになります。その影響が被害の少なかった地域にも及びますから、どうしても長期戦が予想されます。保存のきく備蓄品は事業所でもできるだけ買いそろえようという話になっています。

温度差があった?

障害児がいじめられて転校 学校は当初認めず、後に謝罪 

宮崎市立小学校の特別支援学級に通い、軽い知的障害のある5年生男児(11)が通常学級の複数児童からいじめられて不登校となり、今月転校したことが分かった。2年生の頃からいじめられていたという。学校は当初いじめと認めなかったが、父親の訴えを受けた市教委の指導後、事実関係を認めて謝罪した。
 
市教委や学校によると、男児は理科や社会などの教科を通常学級で学ぶ「交流学級」に参加。2年生の交流学級で複数児童から「キモい」と言われた。3年生では顔をつねられたり上履きを隠されたりし、4年生では上履きを水でぬらされた。5年生では理科の授業中に実験材料のマメを食べるよう迫られたという。
 
2年生時から父親が担任らに対応を求めた。だが、学校は加害児童からのみ聞き取り「児童間のトラブル」として、いじめと認識せず、加害児童への注意にとどめた。昨年4月、父親の訴えを受けた市教委が、いじめが疑われる事案として丁寧に対応するよう学校を指導。学校は5月、男児が2年生時からいじめを受けていたと認め、父親に謝罪した。だが、男児はその後不登校になり、今月、近隣の小学校に転校した。
 
昨年4月に就任した校長は「早い段階で真摯(しんし)に向き合っていじめを解消していれば、ここまでの事態にはならなかった。転校になって申し訳なく、残念だ」と述べた。市教委の押川幸広・学校教育課長は「2年生当時から、いじめを前提とした指導がされていれば長引くことはなかった。いじめ防止基本方針を2014年度に策定した市教委と学校現場の間に、いじめの認識で温度差があった」と述べた。

朝日新聞社 2020/01/26(伊藤秀樹)

教育委員会の認識が「いじめの認識で(学校と)温度差があった」などと平然と言っているから、2017年度の法改正後も訴えがあるのに学校が握りつぶす状況が後を絶たないのです。教育長や自治体の長そのものがこの法改正の趣旨と「温度差」のある認識だったと言うべきなのです。配下の職員が問題を起こしているのはトップの責任だという感覚の欠如こそ一番の問題です。

「いじめの防止等のための基本的な方針」は、いじめ防止対策推進法(2013)に基づいてすべての学校で決められている方針です。これは、2011年に大津市の男子生徒がいじめを受け自殺したことをきっかけに制定されました。いじめ防止対策推進法で定めている主なこの法律は3年後に見直すことになっており、2017年に改訂されました。「いじめの防止等のための基本的な方針」の改定のポイントは、学校のいじめ対策・いじめの情報共有の義務化、いじめの未然防止・早期発見できるよう指導の強化・変更、いじめへの対処の変更、重大事態へ対応できるよう組織の設置でした。

これは法律は初めて「いじめ」の定義を設け、児童等のいじめを明確に禁止しました。行為の対象となった児童が心身の苦痛を感じるものが「いじめ」とされ、被害者の主観によって判断されることが明確にしました。また、いじめが見つかったら、被害者と被害者の保護者のケアをすることが義務になっています。例えば、カウンセラーとの相談機会を設ける・いじめ加害者に別の教室で勉強させる・生命や身体の安全が危ないときは警察に通報するなどです。こうした取り組みによって、被害者や保護者のサポートをする義務を定めています。

いじめ防止対策推進法の第19条・第20条では、SNSなどインターネットを介して行われるいじめに対しても学校・親が指導し、防止に努めるよう定められています。また、実際にいじめに遭ってしまった場合、発信された情報の削除や発信者を特定するための協力を法務局または地方法務局に求めることができることも記載されています。

いじめの相談があったり、いじめが疑われるようなことがあったりした場合は、学校側がいじめの事実を調査することが義務としています。また、一定の重大事態に該当する場合には、教育長や学校長の下に組織を設け、調査を行うことが義務付けられています。実際には、調査の公平性・中立性の観点から、第三者委員会が立ち上がっています。また、調査結果は、いじめを受けた被害者や保護者に対して情報提供されます。ただ、いじめの調査方法が具体的に定められていないという問題点があります。

学校側は、いじめの重大事態があった場合、教育委員会を通じて地方公共団体の長に報告し、地方公共団体の長は、いじめの再調査を行ったり、また、地方公共団体の長や教育委員会は、再発防止のための措置を取ったりすることが決められています。いじめの加害者に対する処分として、停学処分や出席停止などが認められています。しかし、処分をするかどうかについては、第一次的には、校長や教員、教育委員会の判断となるため、加害者が厳重な処罰を受けないことが多いです。

いじめ防止のために、いじめの定義や、「いじめは犯罪である」、「人としていけないことである」ということを教え、「やさしさ」や「思いやり」を育むような道徳教育が義務になっています。弁護士が学校に出張して、いじめ防止授業を行うなどの取り組みも増えています。改正前は、「けんかやふざけ合い」がいじめの対象ではありませんでしたが、被害者がいじめだと感じる「けんかやふざけ合い」をいじめの対象に含めるようになりました。これにより、いじめの定義が以前より広がり、今まで「ただのけんかだった」「ふざけていただけ」と対象外になっていたいじめも対象になり、今まで対応できていなかったいじめについても、対応できるようになりました。

学校の教職員がいじめを発見した場合などは、学校内で情報を共有し、学校全体で対策を取ることが原則になりました。教師全体でいじめ問題の解決に取り組み、複数人による状況判断からの支援が可能になりました。これに伴い、学校では教職員が情報を共有しやすい環境を整えることが重要です。また、報告・情報共有を怠った場合、教育委員会から懲戒処分を受けることもあります。

いじめの未然防止として、未就学児・幼児期においても相手を尊重した行動が取れるよう指導を行うことや、授業においていじめを題材に取り上げ、生徒ひとりひとりが考え、議論できるような取り組みを行うことが定められました。早期発見に関する改定では、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーの配置、いじめに関するアンケートの実施、子どもに周囲に相談することの重要さを理解させる取り組みなどが定められました。

いじめの再発確認期間を延ばしたり、いじめ後の被害者との面談などを実施したりすることも義務化されました。そのほかにも、被害者が、発達障害者や帰国子女・性同一性障害者・避難民などの場合に応じて、個別の対応をすることや、いじめ問題に対応するために、弁護士や教育委員会から派遣されるカウンセラーとの連帯を強めていく方針などが決められました。重大ないじめ問題が発生した場合、調査・判断できるように学校や地方自治体では、専門組織を設置することを推奨しています。また、学校だけではなく、地方自治体や教育委員会が連携できるような体制を整えることが重要です。

いじめ防止対策推進法に関して、2017年の基本方針の改正後も問題点が多いという指摘があります。実際、改正後もいじめはなくなっていません。以下は、いじめ防止対策推進法の主な問題点です。いじめ防止対策推進法では、加害者に対する任意の処分は規定されていますが、教員や学校に対する罰則が定められていません。そのため、いじめへの取り組みが甘くなってしまうというという難点があります。現場の教職員がどこまで責任を負うべきか議論が必要であり、必ずしも一教員だけの問題とは限りませんが、現にいじめを放置されている事案もありますので、改正論議が行われています。

いじめ防止対策推進法では、学校や地方公共団体が連携していじめ問題へ対処することが取り決められていますが、地方公共団体によっては、いじめ問題への取り組みが甘いという指摘があります。そのため、いじめが発生、放置されやすい地域があると言わざるを得ません。いじめ防止対策推進法では、いじめの調査を義務化していても、調査方法を具体的に決めていないので、地域によっていじめの認知数に差が出てしまいます。

いじめとは、特定の子どもが心理的・物理的に攻撃される行為のことです。周囲がいじめと感じないような行為であっても、加害者がいじめと感じたらいじめになります。しかし、前述した通り、加害者への処分が義務化されていなかったり、教員・学校への処分が明確に定められていなかったりするので、いじめが単なるトラブルとして扱われ、十分な対応をしてもらえないこともあります。実際、2019年3月には、広島の学校で重大ないじめがあったにもかかわらず、学校側が重大事態として半年も扱わなかったことが問題とされた事案もあります。

これらは学校や担任の責任ではありません。こうした学校や担任を生み出しているトップの責任です。傷ついた子どもに謝って済むようなことではないと思います。子どもに正義を示すべき大人はどうすればいいのか考えて欲しいものです。法律に罰則がなくとも、自治体の長に責任をとる決意さえあれば、誰も責任を取らないお役所天国は脱却できるものだと思います。

 

 

保護者等向け放課後等デイサービス評価表

保護者の皆さんに、先週「保護者等向け放課後等デイサービス評価表」を配布しました。これは年に一度事業内容を振り返って次年度計画に生かすものです。締め切りは今週末となっています。ご協力よろしくお願いします。以下に、今回の取り組みの意義を示しましたのでお読みください。

「事業者向け放課後等デイサービス自己評価表」及び「保護者等向け放課後等デイサービス評価表」について

厚労省が作成した「放課後等デイサービスガイドライン」は、放課後等デイサービス事業所における自己評価に活用されることを想定して作成されたものです。事業者が自己評価を通してガイドラインに示された各サービスの内容を向上させる仕組みです。さらに、放課後等デイサービスを利用する子どもの保護者等による、ユーザー評価を活用することになっています。上記の2つの評価表は、事業所等でガイドライン項目に適時加筆削減して活用することになっています。2つの評価表の基本的な活用方法としては、以下の手順を想定しています。
ステップ1 保護者等による評価
○事業者から保護者等に対して、「保護者等向け評価表」を配布してアンケート調査を行う。保護者等からの回答は集計し、特記事項欄の記述を含めてとりまとめる。
ステップ2 職員による自己評価
○事業所の職員が「事業者向け放課後等デイサービス自己評価表」を用いて自己評価を行う。その際、「はい」「いいえ」などにチェックするだけでなく、各項目について「課題は何か」「工夫している点は何か」について記入する。
ステップ3 事業所全体による自己評価
○職員から回収した評価表を集計の上、職員全員で討議し、項目ごとに課題や工夫している点について、認識をすり合わせる。
○職員間で認識が共有された課題については、改善目標を立てる。討議の結果は書面に記録し、職員間で共有する。
○討議に際しては、保護者等に対するアンケート調査結果も十分に踏まえ、支援の提供者の認識と保護者等の認識のずれを客観的に分析する。
ステップ4 自己評価結果の公表
○自己評価結果の公表の仕方については、基本的には「改善目標」や「工夫している点」の主なものについて、できるだけ詳細に発信する(「はい」「いいえ」の数の公表を想定しているものではない)。
○保護者等のアンケート調査結果は、保護者等にフィードバックする(対外的に公表することまでは前提としない)。
ステップ5 支援の改善
○立てられた改善目標に沿って、支援を改善していく。
○業務改善に真摯に取り組む事業所ほど、公表される自己評価結果には、改善目標に関する記述が多くなされるものと想定しています。
○また、(地域自立支援)協議会や事業者団体において、これら評価表を使った自己評価結果の事例発表を行う機会を設けるなどにより、自己評価の取組が広がっていくことが期待されています。

放課後等デイサービスガイドライン

自己評価表

 

 

 

第62回グラミー賞

『第62回グラミー賞』の授賞式が、日本時間27日に行われ、米シンガー・ソングライターのビリー・アイリッシュが、主要4部門の「年間最優秀アルバム」「年間最優秀レコード」「年間最優秀楽曲」「最優秀新人賞」を独占する快挙を成し遂げました。同アワードで主要4部門を独占したのは39年ぶりだそうです。前回、「ビリー・アイリッシュ1/11」の記事で、彼女がトゥレット障害でカミングアウトしているシンガーとして紹介したところです。

ティーンを中心に絶大な人気を誇る18歳のビリーは、昨年3月29日に発売したデビューアルバム『WHEN WE FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』が英米を含む11ヶ国で1位を獲得。米シングルチャートでは14曲同時チャートインを果たし、カーディ・B、ビヨンセ、アリアナ・グランデらが持つ女性アーティストの同時チャートイン記録を更新しました。代表曲「Bad guy」は2000年以降に生まれたアーティストとして史上初の全米シングルチャート1位に輝き注目されています。

■主要4部門 受賞作/受賞者&ノミネーション
▽「年間最優秀レコード」部門
★Bad Guy/ビリー・アイリッシュ
▽「年間最優秀アルバム」部門
★WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?/ビリー・アイリッシュ
▽「年間最優秀楽曲」部門
★Bad Guy/ビリー・アイリッシュ
▽「最優秀新人賞」部門
★ビリー・アイリッシュ

生活保護

現在日本では、母子家庭の14%が生活保護世帯と言われています。生活保護受給額は自治体、子どもの人数や年齢、母親の状況にもよりますが、家賃を抜いてだいたい一人あたり7~8万前後が相場になります。母子家庭で子ども一人がいれば家賃抜きの生活保護支給額が、15万前後くらいが相場になると思います。それに合わせて児童手当などが総額月5万円くらい。それらを足すと年間で200万前後の額が支給されていることになります。母子家庭の平均世帯収入は197万円。およそ生活保護世帯とかわりません。

養育費がもらえない、収入がない母子家庭にとって、生活保護はとても重要な制度です。メリットは子どもの病気で仕事を休んだりしても、収入は減りません。働きづめじゃなくても最低限の生活が保障されるので、子どもとの時間がもてます。税金や病気のことを気にしなくても生活が保障されるので、精神的に安定できます。デメリットは、娯楽・ぜいたく品は基本禁止なので辛い場合もあります。子どもが思春期になってくると、働かなくてもお金がもらえることを悪い意味で捉える可能性もあります。留学や習い事等子どもにしたいことができたとき、簡単にさせてあげられない等が考えられます。

子どもが小さい間は、お金がなくても遊ぶ範囲もしれているので、なんとかなりますが、子どもが大きくなる連れ、周りの影響をうけながら娯楽などにも興味を持つようになるので、思春期になる頃くらいに、生活保護世帯だと、少し大変かもしれません。子どもの年齢によって、メリット・デメリットにも変化がでてきます。

生活保護は、最低限の生活保障であり、理由なくずっと受け続けるべきものではありません。ですが、母子家庭で収入が母親の労働収入しかなく、子どもが小さい・多いなどから仕事をどうしても休む日が多くなり、収入が安定しないなどの理由があるなら、生活保護を受けるべきだと思います。子どもが小さいと、就職自体も難しい場合もあります。小さい子どもを抱えた母子家庭が自立して生活するのは難しいです。ただ、子どもの成長に合わせて、母親も職業訓練や技能を身に着けながら、自立できる仕事を探すことも必要です。就労は賃金のことだけでなく、日々の生活のメリハリがつきます。フルタイムだと難しくてもパートで生保をもらいながら就労している保護者も少なくありません。生保を受けるか受けないかという判断ではなく、働ける時間は働いてみるという柔軟な生保の受け方もあります。

WHO公衆衛生上の緊急事態を宣言

新型のコロナウイルスの感染拡大を受けて、WHO=世界保健機関は専門家による緊急の委員会を開き、感染がほかの国でも拡大するおそれがあるとして「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。WHOは医療態勢のぜい弱な国への感染拡大を懸念しているとしたうえで、ワクチンや治療法の開発を促進するとともに、そうした国への支援を行うべきとしています。

スイスのジュネーブにあるWHOの本部で、30日行われた緊急の委員会には各国の専門家や保健当局の担当者が参加し、中国を中心に感染が拡大する新型のコロナウイルスの状況について協議しました。委員会のあと記者会見したテドロス事務局長は、感染がほかの国でも拡大するおそれがあるとして「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」だと宣言しました。

そして貿易や人の移動を制限することは勧告しないとしたうえで、医療態勢がぜい弱な国を支援すること、ワクチンや治療法、それに診断方法の開発の促進、風評や誤った情報が拡散することへの対策、データの共有などを行うべきだとしています。WHOは今月22日と23日にも緊急の委員会を開きましたが、緊急事態にはあたらないと判断していました。

緊急事態の宣言は、2009年の豚インフルエンザや2014年のポリオ、そして去年7月のアフリカ中部でエボラ出血熱の感染が拡大した際などこれまでに5回出されています。日本政府は、国内ではすでに今回のウイルスによる肺炎を感染症法に基づく「指定感染症」などに指定しており、水際対策の強化や、中国・武漢に滞在歴がある人の健康状態の確認などを先行的に実施しているとして、これまで実施している取り組みを徹底するとしています。

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1週間前までは、インフルエンザと変わらない症状で予防法も同じだとたかをくくっていたのが、毎日毎日報道される内容が深刻になっています。わが国も感染者を強制入院できる政令を出したのは良かったのですが、周知徹底を2月7日までにしたことで、こんな緊急事態に1週間も丸腰なのかと大批判を受け、今日、実施を1週間前倒ししました。

また、致死率も2~3%で、インフルエンザB型の致死率0.05%からすれば50倍程です。インフルエンザのようにワクチンも治療薬(タミフル・リレンザ)もないので、感染者の隔離は重要です。症状のない潜伏期間中の2週間もウィルス感染をするので感染を完全に食い止めるのは難しいとWHOは言います。ただ、48歳未満の方の死亡例は今のところないとの情報が子どもにとっては救いです。引き続き手洗い給水、アルコール消毒に励みます。

 

公立高校入学試験の合理的配慮申請

公立高校の入学試験では障害のある志願者への合理的配慮を申請することが出来ます。自治体によって違いがありますが、子どもの特性を踏まえた措置をしてもらうことができます。2016年4月から障害者差別解消法が施行され、公立の学校については受験の際の配慮申請が通りやすくなっています。しかし、現実には入試においてなかなか当事者が望むような配慮は認められていません。私立学校の場合は合理的配慮は「努力義務」なので、各学校の裁量に依るところが大きいですが、公立の高校よりもむしろ私立学校の方が理解があり、別室受験や受験時間の延長などの対応をしているところもあります。そして、入学後の対応なども丁寧に行っているのも私立学校に多いようです。

高校入試のときの合理的配慮の申請に必要な書類の一般的な例ですが、高校入試の場合配慮の申請に必要なことや書類は以下のものです。

・医師の診断書・個別の教育支援計画(各自治体や各学校の様式に沿って作成)受験の際に支援の必要性を証明するために、校内試験でどのような支援を行っていたか記述したもの・中学校と受験先の高校との事前協議=ここで、認められる配慮の範囲について意見のすりあわせを行う。

入試の数か月前には中学校から受験先の高校との話し合いを行う必要があるようです。そのうえで、都道府県教育委員会に許可をとる必要がありますので、詳細については在籍している中学校や各教育委員会に問い合わせてください。学校に合理的配慮をお願いするときに大事なことにも書きましたが、それと同時に中学校での理解と配慮実績も必要になります。それを個別の教育支援計画や中学校での配慮事項などで、中学校での学習の仕方を高校へ伝えていく必要があるからです。

まだ大多数の中学校は、「高校入試の受験方法は特別な配慮がないので、中学校の勉強も皆と同じくする必要がある」と考えています。つまり、高校入試のために、普段の授業から慣れておく必要があるという考え方です。中学3年間などはあっという間に過ぎて行きますから、中学校との話し合いも中学入学時から進めていく必要があります。「学校の先生なら知っているはず」と思っていることでも、経験していなければ結構知らないことが多いです。「こういうことがあるそうですが」と、生徒や保護者の方から学校に伝えていく必要があります。正しい情報を伝えることで先生が動きやすくなることもあります。特別支援教育コーディネーターや進路指導、保健室の先生がよくご存じのはずです。

就労移行支援

子どもに発達障がいを始めとする障害がある場合には、早い時期から自立が気になります。発達障害に限らずその子にとっての人生最初の仕事を選ぶために、大人と子ども自身が把握しておくべきことは、
1 子どもは何に興味があるか?(興味)
2 子どもに元々ある程度備わっている仕事をやる上での特徴とはなにか?(適性)
3 興味と適性の両方がある仕事があったとして、どうやってその仕事をやるか?(実現可能性)
何に興味があるのかを知るためには、世の中にはどんな仕事があるのか知る必要があります。多くの場合、自分の親の仕事とか、学校の先生とか、比較的自分の身近なところにある仕事に対して興味をもつようになります。それはそれで入り口としてはいいことですが、もっと広く仕事を知ることが必要です。手軽に仕事を知るための素材として「13歳のハローワーク 村上龍 幻冬舎 2010-03-25」があります。ドラマ化されたビデオ「13歳のハローワーク DVD-BOX 出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2012/07/25」もあります。30種類くらいの仕事を経験できるアドベンチャーゲーム「13歳のハローワークDS posted with カエレバ デジタルワークスエンターテイメント 2008-05-29 」もあります。このような素材を使いながら、子ども自身が「自分の興味の方向性」を知ることが大事です。
興味があるからと言って、その仕事に向いているかどうかはわかりません。向き不向きを表すのが「適性」です。具体的に適性というのがどのようにして表されるかというと、こんな感じに分類されています。
①知的能力:推測する、数を応用して考えるなどの力
②言語能力:語彙の多さ、前後の内容から推測する力
③数理能力:足す引く掛ける割るの計算力、応用的な算数
④書記的知覚:書いてある文字の意味を理解する正確性&速さ
⑤空間判断力:平面図、立体図を理解する力
⑥形態知覚:形や図柄を区別する力
⑦運動共応:見て手を動かすことの正確性&速さ
⑧指先:指先を細かく動かす器用さ
⑨手腕:腕全体を動かして作業する器用さ
これらが一般職業適性検査(略してGATB:General Aptitude Test Battery)で分かる内容です。この検査は比較的多くの発達障害当事者の方が「けっこう使える」と言う、主にハロワークで実施している適性検査です。これらの能力の組み合わせによって、様々な種類の仕事への適性が分かるようになっています。例えば、「電気設備の保守管理の仕事」には①知的能力、④書記的知覚、⑨手腕の3つが中程度のレベルで必要になる、というようなことが分かるようになっています。このようなやり方で、全部で40の仕事に対する適性が確認できるようになっています。GATBプラスコース(中学・高校生向け)があり、得点や他者との比較にとらわれすぎることなく、自分の強み、能力特徴に注目します。本人自身の各能力を比較してどの能力が優れているかを把握できるようになっており、将来を見据えた進路選択に役立ちます。(1名分420円)。障害の重い人ならTTAPというASD向けの就労移行支援テストが14歳からあります。

「13歳のハローワーク」に紹介されているような仕事だと、なりたいと考える子どもが多いケースが有るでしょう。例えば、パイロットになりたい子は多いでしょうが、実際の雇用の枠は、志望者の数よりもずっと少ないでしょう。性質として似ている仕事、その子の興味の方向性にあっている仕事、その子の適性に合っている仕事について調べてみます。そして、そういったもののなかで比較的仕事につきやすそうなものがないかどうか調べてみるというやり方があります。仕事のやりがいは、仕事を一緒にやる仲間との相性、仕事環境の文化、といったものも大きく影響してきます。まずは具体的に何かやってみることが大切だと思います。仕事選びには、「第一志望に入るためにがんばる」という受験勉強のような考え方はあまり適しません。実際に試行錯誤してみることが大切になります。

大人になってから発達障がいがあることがわかった方は「苦手なことをやった方がいい」と考えて頑張ってこられた方が少なからずおられます。そして結果的に体調を壊してしまうようなことも起こります。仕事をやっていくにあたって大切なのは、ここまでに説明してきた興味と適性がマッチしていることです。苦手なことより得意なことを軸に仕事を選ぶことは「逃げ」ではありません。そのようなことを含めて、子どものうちから教育していくことが大切なのだと思います。

ディスレクシア

ディスレクシアは「字を読むことに困難がある障害」を指す通称で、ギリシャ語で「困難」を意味する「dys(ディス)」と、「読む」を意味する「lexia(レクシア)」が複合した単語です。日本では難読症、識字障害、読字障害など、他にも様々な名称で呼ばれてきました。読むことができないと書くことも難しいことから、読み書き困難、読み書き障害と呼ばれることも多いです。

発達期の特異的な読字障害は先天性のものであり「発達性ディスレクシア」(developmental dyslexia)と言われています。医学的な分類では学習障害(LD)に含まれることが多く、アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5では読字の障害を伴う限局性学習症・限局性学習障害とも呼ばれます。ICD-11では発達性学習症の読字不全の症状です。

日本ではディスレクシアの割合を示す統計は発表されていません。日本におけるディスレクシアの発現率に一番近いものとしては、障害者白書内にある「児童生徒の困難の状況」のうち「知的発達に遅れはないものの学習面で児童生徒の割合」の4.5%だと言われています。日本語にはひらがな・カタカナ・漢字があり、詳細な発現率は分かっていません。また、知的な遅れが伴わないことや、海外に比べると日本はディスレクシアの認知度が低いことから、大人になるまで気づかないままでいた人もいます。

「文字を読む」というのは一見単純に見える行為ですが、まず文字を目で追い、その一文字一文字をまとまりにしてつなげ、音に変換し、それを脳で記憶している意味と結び付けて理解するという複雑なプロセスを経ています。つまり、文字を音と結び付けて読み上げる音韻処理や、文字の形を認識したり語句のまとまりを認識し意味と結び付ける視覚的な処理などが必要になります。ディスレクシアの人の場合、一人一人の偏りや特性は異なりますが、それらの処理をするための脳の部位に何らかの機能障害や偏りがあり、そのために読むことが難しいのではないかと言われています。

音韻機能とは最小の音単位を認識・処理する能力を指しますが、ディスレクシアの人の脳の特性として、音韻の処理に関わる大脳基底核と左前上側頭回という領域の機能異常があるという説が主流となっています。そのため音を聞き分けたり、文字と音を結びつけて「読む」ことが難しいと言われています。
■文字と音の変換が苦手
ひらがなの文字と音を結びつけて読むのが難しいことがあります。また小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」や音を伸ばす「-」などの特殊音節が認識できず読めないこともあります。
■単語のまとまりを理解するのが困難
たとえば「み」「か」「ん」などのひらがなやカタカナの一音ずつは読めてもそれを「みかん」というひとまとまりの言葉として理解するのが難しいことがあります。
■聴覚記憶が苦手
言葉を音として記憶しながら読んだり話したりしますが、ディスレクシアの人の中にはこの音韻認識が弱く聴覚的な記憶が苦手な人がいます。このように処理と記憶を同時に行うことが難しいことから読むことに困難な場合があります。

ディスレクシアの人の中には、視覚認識や眼球運動に偏りがあり、普通の文字の見え方とは違った見え方をしている人もいると言われています。全く読めないのではないけれど、読むスピードが遅いというディスレクシアの人もいます。周りから怠けていると勘違いされることも多くありますが、本人の努力不足などではなく、先天性の障害であるということを理解することが大切と言えます。

学校では板書が必須ですが、文字を読むのも書くのも苦手なディスレクシアの子どもにとっては困難な作業です。作文や漢字の書き取り、音読なども苦手なため、学校の宿題に時間がかかったり、できないことも多々あります。先生や本人、家族も気づいていない場合、注意不足などと叱られる子どももいます。

仕事においても、書類作成など文字を扱う業務が苦手で、何度間違いを指摘されてもミスを繰り返してしまうことがあります。また、素早くメモを取ることができないため、上司の指示を聞いたり、電話を受けた場合に困ることもあります。短期記憶も苦手な傾向にあるため、誰から電話が来たか忘れてしまったり、人の顔と名前を覚えられなかったりします。

小学生高学年の不登校に多い原因

下のグラフを見ても分かるように、不登校の要因で最も多いのは自分に関わる内的な問題です。高学年になると自意識が強くなってきます。不登校の原因にもそれが影響しているケースがあるようです。たとえば、自分のイメージが他人にどのように見えているのかに悩む、期待にこたえることができないなどから、友達や先生、親の前でうまく振る舞えないことがあります。また、成績が落ちることや、勉強についていけないことも不登校の原因のひとつです。これはいわゆる心理的原因です。

自信不足によって子どもは、さまざまな身体症状が出ます。たとえば、子どもの笑顔が減る、イライラしている、食欲がなくなるといったことが前兆やサインです。子どもに、いつもと違う様子が見受けられるようになったら要注意。子どもをきちんと観察し、それらの前兆やサインを見逃さないようにしてください。

前兆やサインに気づいたら、まずは子どもを誉めることばを探します。褒めることばには副作用がありませんので、かけ過ぎても問題ありません。「…お母さんうれしい」という愛情の言葉と、能力や個性を認める承認の言葉を子どもにかけます。そうすることで、子どもは自信をつけていき、身体症状が軽減され、やがて消えていく場合もあります。1日3つ以上褒める内容を探して褒めていきます。

やっかいなのは、病気かもしれないときです。心理的原因との区別がつきにくいからです。多いのは起立性調節障害と診断を受ける子です。起立性調節障害とは、自律神経系の異常で循環器系の調節がうまくいかなくなる疾患のことです。起きることができない、動けない状態のため、登校できないのです。それらの診断を受けると、血圧をあげる薬を処方されることがありますが、薬だけでは回復しません。親の誉め言葉で自信をつけることが必要です。自身がつけば、症状が軽減されて再登校していきます。ただし、診断を口実に登校しない子もいます。そこは、ダメなものはダメと言える親の本気度が必要となってきます。

多動不注意衝動性の特性をもっている子は、その言動から学校や家庭で否定されることが多く、常に自信が不足しています。ですので、これらの子どもにも励まし言葉がたくさん必要です。誉め言葉で自信がつけば、素直に親や先生の話を受け入れ、心の安定を図ることができるようになります。また、どのような言動をとることが大切だったかを繰り返し教えることも大切です。

家庭で勉強をする場合は、「学校タイム」を設定しましょう。「学校タイム」とは、学校のある時間帯に勉強することです。これによって、学校の勉強に慣れるようにします。ここで気をつけたいのは、親が焦って勉強のことばかり誉めることです。勉強のことばかり誉めると、子どもを自分の思い通りにさせようと操作することになってしまいます。それは、子どもにとってマイナスです。親がなぜ勉強しないといけないのかをきちんと説明することが重要です。

勉強は習慣だということを、親が諭す必要があります。勉強の習慣のない子には、まずは親が一緒に勉強についてあげるようにしましょう。子どもは、誉め言葉で自信がつけば、自ら勉強を始めます。学習意欲の低下も、身体症状のひとつです。もし、そのような症状が出ていると感じるのであれば、親は、「学ぶとはどのようなことか」という学校で学ぶ価値を子どもにインプットします。また、具体的にどのような勉強をするのかを示してあげるようにしてください。

楽しく働くためのヒント&セルフアドボガシー

前回、発達障害の子どもたちと就労を考えていく「2/3 就労移行支援」を掲載しました。今実際に働いている人たちはどんな困りごとやその対策があるのでしょうか。

発達障害のある人は、仕事において一般的に「コミュニケーションが苦手」「ミスが多い」などの困りごとがあると言われてきました。しかし、問題はもっと具体的で、人によって違います。『まんがでわかる 発達障害の人のためのお仕事スキル 楽しく働くためのヒント&セルフアドボカシー』(鈴木慶太:監修、株式会社Kaien:編著/合同出版)では、「発達障害応援企業」として当事者の支援を行なっているKaien社によって、実践的な事例がまとめられています。

例えば、「急に頼まれた仕事に対応できない」という困りごとは、「作業がゆっくり」「段取りを決めるのが苦手」といった特性が影響し、この困りごとが発生しているそうだ。解決策は「急に頼まれた仕事にすぐに対応せず、まずは優先順位と段取りを確認する」「急な依頼に対応できるよう、予め余裕を持っておく」などが挙げられています。本書では、困りごとがマンガで描かれていてわかりやすいです。困りごとが生じる場面、原因と分析、対策まで書かれているので、当事者だけでなく、職場の同僚や上司、支援者、さらには発達障害のある子どもを育てる親御さんも共通のビジョンを描けると思います。

他には「求められていることと異なる仕事をやってしまう」という困りごとが挙げられています。「業務指示の認識がズレる」「ニュアンスを読みとるのが難しい」といった特性により、後から「そんな指示していない」と驚いてしまう事態が発生しますだ。この場合、いわゆる「報連相」の中でも、特に「中間報告」が推奨されています。作業計画を立てた段階や最初の工程が終わった時点で報告し、チェックしてもらうことで、ズレを減らしていくことができます。この書籍のタイトルにある「セルフアドボカシー」とは、自分の状態を把握し、必要な支援を要請することを指します。この際、一方的に権利を主張するのではなく、穏やかに交渉する力が必要だと述べられています。

「権利を主張する側(当事者)も、その主張を聞いて受け入れる側(事業者)も、しばらくの間は練習が必要」です。そして「みんながハッピーに働くことは、結果的に、職場のパフォーマンスを上げることにつながります」とまとめにあるように、お互いにそんな簡単に分かり合えるはずがないということを、常識だと認識することです。ひとつづつ、分析し原因を調べ、歩み寄って対策を工夫しながら見つけて積み上げてこそ、みんながハッピーになれると本書は言います。

まんがでわかる 発達障害の人のためのお仕事スキル: 楽しく働くためのヒント&セルフアドボガシー
監修: 鈴木 慶太 著: Kaien 出版社: 合同出版 発売日: 2019/11/30 ISBN: 9784772613989

発達障害の子のためのハローワーク

2/3 就労移行支援」では、「13歳のハローワーク 村上龍 幻冬舎 2010-03-25」を紹介しましたが、これはこれでビデオやゲームがあって楽しいのですが、発達障害向けではないのでそれに特化したものが出版されていたので、紹介します。

東京から全国展開している放デイ事業所グループTEENSの「発達障害の子のためのハローワーク」の本の中では発達障害の特性をもつ5人の子どもたちと、担任の先生、それぞれのお仕事の案内人が登場します。「鉄道のお仕事」や「出版のお仕事」などなど、約25業界、150種類以上の職種をそれぞれの子どもたちの向き不向きと合わせて紹介しています。この5人が各業界の中で自分に向いている職業を教えてもらいながら、今から頑張ったほうがよいことも教えてもらう、というストーリになっています。漫画や写真をおりまぜているので、字を読むのが苦手な子でも楽しめます。

通常の職業紹介と違うところは、「車掌さんってこんな仕事でこんな人に向いてるよ!」と職業内容で紹介されていることが多いですが、本書は職業マッチングの視野を広げるところに力点が置かれます。残念ながら発達障害のある子ども(中でも高確率で鉄道が好きで車掌さんに興味のあるASDの子)とは異なる人物像だったりします。発達障害のある子に限らず、職業の向き・不向きはあります。ただ、発達障害のある子は他の子どもよりも弱みが”見えやすい”ため、向き不向きだけの話になると「自分にはできないな」というあきらめにつながってしまいやすいです。確かに、臨機応変さが求められる車掌さんの仕事は、想定外のことに弱いタイプの子どもには難易度が高いですが、鉄道にかかわる仕事は車掌さんだけではありません。目立たない仕事でも多くの人の支えで日本の鉄道は動いているわけで、その中のどこかの役割で、向いているものがあるはずです。自分の知っている範囲の職業だけで向き不向きを考えないでほしい。たくさんの職業を知って、子どもたちが自分の興味関心と強みを結びつけてほしいという視点が本書のいいところです。

5人のキャラクターは、13歳、中学1~2年生くらいを想定しています。もともとはベストセラー『13歳のハローワーク』の発達障害版として作るという企画だったそうで、そのまま13歳に設定されたのですが、この年齢は発達障害の子どもにとって重要な時期です。定型発達の子の場合、大体9歳ごろから発達の個人差が大きくなり始めて、抽象的思考力の発達とともに自分を客観視する力がつき、他者と自己を比較するようになります。はっきりしたデータがあるわけではないですが、発達障害の子どもたちを見ていると、中2くらいからこれと似た様相を見せることが多いです。小学校の間は特に気にせず通っていた通級に行くことを恥ずかしがるなど、同級生と自分との違いを気にするようになります。テストの点数が露骨に成績に反映されるようになるため、自尊心もより下がりやすい時期でもあります。

もちろん、周囲との差異を感じ始めた子どもに、その子自身がもつ強みを伝えるのは大切です。しかし、青年期にさしかかった発達障害の子どもたちと対話するときに、弱みの部分から目を逸らして強みの部分だけ伝えても、なかなか信じてもらえなくなります。現実問題(誰にとってもそうですが)強みだけを活かして生きていける場所などはなく、苦手なこと・できないことをどう対処していくかというのは大切な能力です。その子の将来を真剣に考えるならば、弱みの部分は認めつつ、それに対処していくための手立て伝えつつ、強みを活かす方法を教えることが重要です。

そのため、この本の中では、それぞれのキャラクターの強みを踏まえて職業の紹介をしていますが、併せて懸念点や努力が必要なことも書かれています。それは工夫によって解決できることかもしれませんし、特性上難しいことかもしれません。ただ、それを隠すのではなく、本当の意味で子どもたちが自分自身と向き合えるように、できるだけフェアに伝えるように心がけられていることも良いところだと思います。

ネットフィルター

【2020年2月8日(土)京都新聞】
インターネットを通じて性犯罪被害に遭う子どもが増えている。被害の予防やネット時代の性教育を考えるため京都新聞社は昨年12月、子どもの性と会員制交流サイト(SNS)などの問題について意見や保護者からの悩みを双方向型報道「読者に応える」の友だち登録者などを対象にアンケートした。SNSなどの利用に大人の目が行き届かないことへの不安や氾濫するゆがんだ性情報との向き合い方に戸惑う声が目立った。

アンケートは子どもの性とネットに関する悩みを5項目から選択する1問(複数回答可)と、意見や疑問を記述する1問。京都府内を中心に345件の回答が寄せられ、内訳は64%が保護者、2%が教員、34%がその他だった。

記述は130件の回答があった。「ネットの法規制をしてほしい」(中1女子生徒らの母親)「過激な性情報に触れなくて済むよう子ども専用の端末を作るべき」(年長女児と小4女児の母親)など規制を求める声がある一方、「臭いものにふたをするのではなく、性情報との向き合い方を教える方が大切」という意見も複数あった。

 性教育に携わっているという回答者は「大人が十分な性教育を受けていない」と指摘。50代教員は「幼児期から年齢に応じた性教育が必要」と記していた。
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すてっぷの利用者もスタッフもネットは毎日利用していますが、Webや動画のフィルタリングシステムが稼働しています。性描写や暴力描写等を自動的にカットしてアクセスできない仕組みです。

フィルタリングシステムは事業所設置のルーターを管理する「i-フィルター for BUFFALO」が稼働しています。2年間で6千円程ですから1日10円もかかりません。他にもアイ・オー・データの「ファミリースマイル」があります。料金はルーター購入後最長5年無料です。これらのシステムはネットの時間制限もできます。外出先での通信キャリアも利用する子どもの端末管理がしたい場合は「i-フィルター 6.0」(端末一台1日12円)等があります。

親や地域施設はこうしてインフラを整備しますが、一方で、プログラミングや道徳の時間を使って、教育を進めるのは学校の役割です。学校職員が良く知らないから教えられませんというのは、もう時代に通用しません。

「だいじょうぶ3組」 (2013配給:東宝)

5年3組の担任としてやってきたのは、生まれつき手足のない先生、赤尾慎之介。「フツーって何?」「1番を目指す意味は?」個性豊かな28人の子どもたちと先生は、様々な出来事を通して生きていくために本当に大切なことに気づいていきます。
「五体不満足」で多くの人の共感を呼んだ乙武洋匡さんの初の小説「だいじょうぶ3組」が映画化されたものです。赤尾先生役は実際に3年間の小学校教員経験もある乙武さん本人です。しかし、決してドキュメンタリー風ではなく、役者になりきって懸命に“演じている”ところがとてもいいです。赤尾先生の補助教員・白石優作にはTOKIOの国分太一さんです。教師の仕事を1度挫折したという役柄ですが、赤尾先生とともに子どもたちの問題に関わりながら、自分自身も成長していきます。

撮影場所が滋賀県にある豊郷小学校の旧校舎、ヴォーリスが設計した「東洋一の小学校」。京都アニメーション制作のアニメ「けいおん!」でも舞台なったモデルです。その美しさと格調の高さには目を見張ります。広い廊下、公園のような前庭、ウサギとカメのいる階段の手すり、教会のような講堂etc。そこで繰り広げられる、オーディションで選ばれた子どもたちの自然体の演技が、何ともほほえましく見る者の心を温めてくれます。

金子みすゞの詩「わたしと小鳥とすずと」の学習で、赤尾先生の配ったプリントにはこう書かれていた。「私は〔  〕だ(できない)けど、〔  〕なん(できるん)だよ。」自分はそれなりの能力とよい面を持った大切な存在なんだという自尊感情の確認。現代の日本の子どもたちはこの自尊感情がとても低い傾向にあるといいます。みんなちがって、みんないい。「感動ポルノ」に気をつかうより、このメッセージのほうが百倍説得力があります。

クラウドファンディング

最近、クラウドファンディングで資金調達をする個人や団体が多くなってきました。ちょっと古い話では、2016年お笑い芸人キングコングの西野さんの絵本展への資金調達が有名です。入館料を無料にして子どもにも見て欲しいと寄付を求めたのです。目標金額180万円に集まった資金は49日間で4600万円でした。他にもカヤックで石垣島まで行くからと投資を求めたり、新しい機器を開発するからとプロジェクトは多種多様です。銀行のような金融業では相手にしてくれない内容は、その目的に賛同してくれる人から資金調達するという個人に開かれたネット時代の発想です。

クラウドファンディングは、インターネットの普及に伴い2000年代の米国で始まります。先駆的なサービスが次々と誕生し、市場は急速に拡大していきました。代表的なサービスには、『Indiegogo』や『Kickstarter』などがあげられます。また、日本で初めてクラウドファンディングサービスが提供されたのは2011年。その年の3月に『Readyfor』がリリースされ、6月には『CAMPFIRE』がリリースされるなど、日本で本格的な展開がスタートしました。

2011年当初は東日本大震災の年だったこともあり、新たな資金調達の手段としてだけでなく寄付をする際の新たなチャネルとして急速に浸透しました。その後、IT企業サイバーエージェントの子会社が運営する『Makuake』が参入、2014年の東京都知事選に『ShootingStar』で約740万円の資金を集めた候補者が出て話題になるなど、サービス事業者も利用用途も多岐に渡り市場拡大は続いています。現在はさらに多くの事業者が存在しており、クラウドファンディングの形式も基本的な「寄付型」、「購入型」、「融資型」、「株式型」、「ファンド型」の5つと最近新たに生まれた「ふるさと納税型」を合わせて6つのタイプが存在しています。(2019年4月現在)

ちなみに、「クラウドファンディング」という言葉自体は比較的新しいですが、不特定多数の人から資金を募り何かを実現させるという手法自体は古くから存在していました。海外では美術品などのアート分野で寄付を募る取り組みや、日本では寺院や仏像などを造営・修復するために個人から寄付を求める「勧進(かんじん)」などがその例です。

クラウドファンディングといえば、購入型や寄付型が広く知られていると思いますが、市場規模という点では融資型クラウドファンディングが大半を占めています。2017年度(2017年4月~2018年3月)の国内クラウドファンディング市場規模は、新しく生まれたプロジェクトの支援額を元に見ると、前年度と比べて127.5%増の1,700億円と推計されます。このように、手軽に参加できる購入型・寄付型の認知の広がりが寄与し、前年度と比べて倍増した延べ137万人の支援者が、合計15,321プロジェクトに支援しました。こういった市場拡大の背景には、元々よく利用されていた融資型がさらに拡大したこと、株式型クラウドファンディングのサービス提供が2017年4月から始まったことなどがあげられます。今後も地方自治体でのクラウドファンディング活用の広がりに加え、大手メディアや運輸業、製造業、物販業などからの新規参入、事業者と金融機関との事業連携などが進むことが想定されています。クラウドファンディングは、様々な団体・個人にとって資金調達の新たな方法として定着しつつあります。

では、このクラウドファンディングは従来の借金や投資とどこが違うのでしょうか。起案者と支援者の立場から考えてみると以下のようなことが言えそうです。

起案者のメリットとしては、従来の手段では資金調達が難しかったものを、クラウドファンディングによる調達可能性が広がったことは大きなメリットと言えます。また、市場に製品が出回る前にユーザーの反応を知ることができるため、テストマーケティングの場として活用することもできます。
デメリットは、クラウドファンディングの実施方式によっては、目標金額に達成せず資金調達できない可能性があります。
クラウドファンディングを始める前に、プロジェクト成立確度はどれくらいか、成立させるためにはどれくらいの人から支援を見込めそうか、それ以外に資金を集める方法はないか、といった情報を事前に調べておくことが重要です。

支援者のメリットは、クラウドファンディングでは、プロジェクトの公開前にクラウドファンディングサービス提供サイトから審査を受けているため、透明性のある仕組みの上でプロジェクトが公開されています。起案者のプロジェクトページや活動報告、SNSの発信を見ることで、一般的な通販サービスなどの取引よりも、作り手の顔が見えることにより双方向のコミュニケーションに繋がることもあります。
デメリットは、プロジェクトが目標金額に達成した際も、予期せぬトラブルでリターンが提供されないという可能性があります。国内の事例においても、商品が届かないといった支援者の声があがるケースもあるそうです。このようなケースに対応するため、「クラウドファンディング保険」というサービスも提供されています。プロジェクト支援時の不安を減らすため、安心してプロジェクトを実行・支援できる環境が整備されていく必要があると言えます。

光明寺の梅が咲きました

先週は寒くて、縮こまった梅のつぼみが昨日の陽気で一気に開花です。梅と言えば天満宮、天満宮と言えば菅原道真、道真公と言えば飛梅伝説とその和歌です。

【和歌】東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ
【よみ】こちふかば においおこせよ うめのはな あるじなしとて はるはわすれそ
【意味】春風が吹いたら、香しい花を咲かせておくれ梅の花よ。主がいなくても、春を忘れてはいけないよ。

菅原道真が大宰府 (だざいふ) に左遷されるとき、大切にしていた庭の梅の木に上の一首をかけて去ったところ、その梅の木が道真を慕って、大宰府にまで飛んで行ったというのが飛梅伝説。また、その故事にちなんだ、太宰府市安楽寺の樹齢1000年の梅を飛梅といいます。

歌の威力を示す内容で、早くから『十訓抄(じっきんしょう)』などの説話集に取り上げられています。悲憤の死後、雷神となって天下を震撼(しんかん)させる道真の威力を、生前のできごとで印象づけるかっこうの材料となった伝説です。この伝説の背景には「飛び神信仰」があるといわれます。元来、神霊は空中を自由に飛び回り、人々の求めに応じて降臨すると考えられていました。その代表的なものが飛び神明(しんめい)です。伊勢(いせ)の神が各地に飛来してはその地の守護神となったという言い伝えがあります。このような飛び神信仰と道真の威光とが結び付いたのが飛梅伝説なのです。

城ガール

空前の大ブームを迎えている日本の城。各自治体が発表した2018年度の統計によると、有料入城者数が200万人を超えた城は、大阪城、名古屋城、二条城。これは統計を取り始めてから初めての数字で、その波に乗り遅れまいと、城を観光資源として観光客誘致を図る自治体も続々と名乗りを上げている模様です。

ここ数年、沸き起こっている世の中のブームをみると、その多くは女性たちが牽引しています。鉄道好きの“鉄子”や、広島カープが好きな“カープ女子”等々、元気があるジャンルには女性の大いなる関心が欠かせません。歴史関連のムーブメントをみると、いわゆる「歴女」、すなわち“歴史好きの女性たち”です。刀剣ブームは「刀剣女子」、神社仏閣の御朱印ブームは「御朱印ガール」と呼ばれますが、ついにこの流れが城にも及び、“城ガール”という呼び名が生まれるに至っています。実際、城でも若い女性の姿を見かけることが当たり前になりました。

昨年末に横浜で開催され、3日間で延べ約2万人が来場した城イベント「お城EXPO」。このイベントでトークショーを行った日本城郭協会理事の加藤理文氏も、「年々、会場に若い女性の姿が増えているような気がします。男性しか来なかった時代を考えると、隔世の感があります」と、女性ファンの増加に驚きを隠せません。

城をテーマにした、携帯アプリ「ニッポン城めぐり」はGPS(位置情報)を使い、訪ねた城を攻略していくソフトです。使用する16万人超が18年に訪れた城をランキング形式で発表しています。これによれば上位7城は、江戸時代までに建てられた天守が現存する城。冒頭の有料入城者数1位の大阪城はこちらでは19位に沈んでしまう。城好きになればなるほど、本物志向なのかもしれません。

戦国時代末期の日本には、およそ2万以上の城があり、柵で囲っただけの砦(とりで)のような城も含めればその数は4万~5万にも及んだともいわれています。なお、これらすべての城に、城の象徴である天守が築かれていたわけではありません。江戸時代には、幕府への遠慮から天守台を築きながらも天守は築かれなかった城も多く、実際に天守が築かれていたのは100城をわずかに超える程度でした。そんな日本の城ですが、現代までに大きくわけて3度の危機に瀕しています。

1度目は、江戸幕府を開いた徳川家康が1615年(慶長20年)に発した「一国一城令」。家康は諸大名に対して居城以外のすべての城の破却を命じました。これにより城の数は約170城に整理され、約60の天守だけが残されました。2度目の危機は、明治維新後の1873年(明治6年)に出された、「廃城令」。これにより、多くの城は天守などの建造物を売却し、城跡は官公庁用地や軍事施設に転用されてしまい、1891年(明治24年)までに40城の天守が破却されました。そして3度目が、太平洋戦争による戦禍です。開戦前には20城の天守が残されていましたが、空襲により水戸城、名古屋城、大垣城、和歌山城、岡山城、福山城、広島城の計7城の天守が焼失。戦後まで現存したのは13城、しかし、1949年(昭和24年)の失火延焼により、北海道の松前城天守が焼失してしまいます。戦後、松前城が焼失したことにより、江戸時代までに建てられた天守が現存するのは、わずか12城だけとなり、そこから、この12城を『現存十二天守』と呼ぶようになったのです。

今ではすべて「天守」とされていますが、江戸時代には弘前城や丸亀城は幕府への遠慮から天守とは呼ばず「御三階櫓」と呼んでいた。現存十二天守のなかで唯一の山城、岡山の備中松山城です。備中松山城は、大松山、天神の丸、小松山、前山、の四つの峰からなる臥牛(がぎゅう)山全域に築かれた城で、標高430メートルの小松山に二重二階の小ぶりな天守が建てられています。近年の城ブームの火付け役となった雲海に浮かぶ天空の城・竹田城と同じように、秋に気象条件(10月下旬~12月上旬の晴れた日の早朝がベスト)さえ整えば、備中松山城も天空の城となります。「日本のマチュピチュ」とも呼ばれる石垣しかない竹田城とは違い、備中松山城は天守が雲海に浮かぶ城となります。

この城ブームの土台を作ったのは、もっと細分化された門オタ垣オタ瓦オタ籠りオタという超マニアの方々です。彼らは、城そのものではなく曲輪と城門の構造や石垣の組み合わせぶりや、城瓦の発掘をしたり、日本中の城の籠城戦術を考えて城模型を組み立ててバーチャル籠城を楽しんでいます。全国各地に飛び回って、その城の構築の歴史的物理的バックボーンを含めて調べつくすなんてとても魅力的な趣味だと思います。

魅力的な声

表情豊かな歌声、深夜ラジオの心に染みる語り口……。ふと耳にした魅力的な声に、思わず耳をそばだてたことがあります。人の声は、私たちの心に思いのほか強く影響を与える。うっとりするような声に心が軽やかになったり、もっと聞いていたいと感じる一方、ゾワッとする声で不快感を覚えることもあります。影響するのは他人の声だけではありません。声は、自分の心とも密接につながっているといいます。

誰でも、その人本来のいい声を持っています。全身を使って深い呼吸をすると、体のゆがみや滞りが取れて、自然にいい声が出ます。そんな声が体の中に響くと、声を出すだけで全身が気持ちいいし、心も心地よさで満たされます。もちろん、いい声を聞いた相手にも心地よさが伝わります。

声は「体」「心」「呼吸」と直結します。いい声が出る体は凝りやゆがみがなく、呼吸も深いです。自分と相手を心地よくするので、人間関係のストレスも解消できます。しかし、実際にそんな声を出している人は少ないです。それは、私たちの体がいろいろなクセを抱えているからです。姿勢のクセ、動作のクセ……。体のどこかが常に緊張し、不自由にゆがんでいます。緊張を手放せない体は、それ自体がストレス源として知らず知らずのうちに気分を落ち込ませ、いらだたせます。
 
そして深く呼吸できない体が発する声は、詰まった感じで通りが悪いです。そんな声は、相手にも不快な感じを与えがち。会話は弾みにくいし、いい関係を築くのに余計な苦労がいります。いつも人間関係で悩むという人は、声の出し方の問題なのです。「声の響き」という実感をバロメーターにすれば、体の変化を自分で感じやすいです。今の声が普通と思っているから気づいていないけれども、滞りが取れて声がスコンと通れば気持ちいい事が実感できます。

いい声が出る体は、ベースに心地よさが宿り、気分が安定します。呼吸が深く、ストレスに強くなり、多少のことでは心が揺らぎにくいです。重要なのは深い呼吸とゆっくり吐く息です。そしてその声が、周りの人にも心地よさを広げます。まさにいいことずくめです。これが、子どもの支援には欠かせないのです。

令和元年度保護者及び自己評価集計結果(公表)

令和元年度保護者及び自己評価集計結果(公表).pdf

今年度の保護者の皆様からの評価アンケートと事業所の自己評価の集計結果を報告します。

環境・体制整備では活動スペースが十分ではないというご意見が保護者から3割、職員から4割ありました。設置基準は満たしているものの、通常学校の利用者が増えて手狭になっているので、新事業所の立ち上げを考えています。また、職員の専門性については資格など保護者に詳しく紹介して周知したいと思います。

業務改善では、評価については第三者評価委員を委嘱していくことを検討していきます。研修については、正規職員が日曜日以外フル稼働しているのでシフト制導入によって週休二日制にしていくことや、当面は第4土曜を休所日にして自己研鑽できるよう検討していきます。

適切な支援の提供では、標準化されたアセスメントツールは知能検査をはじめ読み書き障害検査等を準備していますが、契約時の保護者との合意がなされていないので重要説明事項に加え保護者了解を得たいと思います。また、非常勤職員の方に支援計画などが十分周知されていない件については回議などで情報共有していきます。

関係機関や保護者との連携では、学校との情報共有は現場レベルで常時行っていますが、非常勤職員への周知が不十分なので文書で情報共有したいと思います。就学前や卒業後の連携については相手方からの求めがない限りは連携できていませんが、相談事業所とも協議して連携強化を検討していきます。地域の児童とは公園遊びなどで自然に交流している現状でよいと考えています。ペアトレについては契約内容にするのか希望制にするのかも含めて検討が必要ですが、事業所内相談支援加算月1回35単位では困難だと考えます。

保護者への説明等では、苦情処理の制度が契約時には説明しているが周知されていないようなので連絡帳を見れば制度が分かるようにしておくなどの工夫をします。会報は月刊、ホームページは営業日毎日更新へと改善し、昨年の2割から今年9割の方に評価を得ることができました。
非常時の対応については、昨年同様半数以下の低い評価のままです。今年度中にまずは非常時訓練を実施し、毎年2回の訓練とその報告を欠かさず行いたいと思います。職員レベルでは非常時・虐待・身体拘束・アレルギー・ヒヤリハットについてマニュアルによる周知徹底を図ります。

以上、これらの課題を改善するために職員一同努力していきたいと思います。保護者の皆さんの御理解御協力をよろしくお願いいたします。

令和2年2月15日
育ちの広場すってぷ職員一同

危機管理

新型コロナウィルス騒動で、WHOや政府の初期対応への批判がメディアを賑わせています。WHOの事務局長の母国が中国の経済支援を受けた恩義から、非常事態宣言を遅らせたのではないかという批判、日本政府の渡航制限が他国に比べ緩いのは安全保障より経済を優先する国柄が出たのではないかという批判です。危機管理は決断力、リスク管理は計算力と言われますが、実際にはその両方が必要とされています。

「リスク管理」(Risk Management)の基本は、想定されるリスクが“起こらないように”、そのリスクの原因となる事象の防止策を検討し、実行に移すことです。リスク管理では、想定されるあらゆるリスクを徹底的に洗い出し、そのリスクが発生したらどのような影響があるかを分析します。そして、それぞれのリスクについて発生を抑止するための方策を検討し、影響度の大きさに従ってプライオリティをつけて、リスク防止策を実行します。つまり、究極のリスク管理は、想定されるリスクを予め抑え込んでしまうことと言えます。

一方、「危機管理」(Crisis Management)は、危機が発生した場合に、その負の影響を最小限にするとともに、いち早く危機状態からの脱出・回復を図ること、つまり必ず起きる事を前提とするのが基本となります。もちろん、防げる危機であればその発生を防ぐことが望ましいのですが、自然災害や外部要因による人的災害や事故などの中には、自助努力で防ぎえないものも多くあります。危機管理においても、リスク管理と同様に、起こりうる危機やそれに伴うリスクをリストアップすることが必須となります。しかし、危機管理の大きな特徴は、危機が発生したときに何をすればその災害や影響を最小化できるか(減災)、危機からの早期回復のためには何をすればよいかということが、検討の中心になるということです。

危機は「いつか必ず起きる」という大前提に立って検討を進めることが危機管理の第一歩です。不確定な低い確率で起きることを人は受け止めにくいものです。正常化バイアスと言って危機から目を背けるのは、人間の判断に起こりがちな心理だと言います。事故は自分のところでは起こらない、災害は他の地域で起こることだと思いたいのです。事故は起きる、災害は必ず来るという前提で事を始めるのがリスク管理を含めた危機管理です。そして、事が起これば情報の公開と思い切った早い決断が重要と言えます。

原始反射

赤ちゃんが産まれてすぐ、突然前触れもなくビクッとすることがあります。この動きは「モロー反射」と呼ばれています。
モロー反射とは、赤ちゃんが大きな音などの急な刺激に対して驚き、手足を大きくびくつかせ、何かに抱きつこうとする反射のことをいいます。オーストリアのエルンスト・モロー医師が発見した新生児特有の「原始反射」の一つといわれています。

赤ちゃんの顔を正面にして寝かせ、頭を支えて少し引き起こし、急に支えていた手を緩めると、赤ちゃんは誰かに抱きつき守ってもらおうと手を突っ張ります。本能的な反応なので、無意識のうちに行っているものです。モロー反射は、赤ちゃんの神経が未発達な生後4ヶ月頃まで見られます。この反応がなくなる頃に、首すわりなど首の動きが可能になるといわれています。

神経の発達過程の一つともいわれており、何度も繰り返しビクッと反応する赤ちゃんもいれば、気づかない程度の反応の赤ちゃんもいます。モロー反射は、赤ちゃんの意志とは関係なく反応するので、寝かしつけて布団に降ろしたときのわずかな刺激や、大人が気にしないような音でも反応してしまいます。それがきっかけで急に目を覚まし、大泣きしてしまうケースが多く、何度も繰り返すことに頭を悩ませる方も少なくありません。

モロー反射は、赤ちゃんが母親から離れないように探している仕草ともいわれ、咄嗟に手を伸ばしてもママが見つからないことで泣いてしまうという説もあります。そんなときは、お腹の中にいた頃のような、体を丸めた姿勢で抱きしめてあげます。落ち着きを取り戻して、再び寝てくれることもあります。

また、頻繁にモロー反射を繰り返し、続けて眠ることができないときは、おくるみを使うのがおすすめです。慣れないときは、少し大きめのバスタオルか、専用のおくるみを使うと良いです。モロー反射には個人差があり、手を伸ばしたまま声を出すなど、親が少しびっくりするほどの反応を見せる赤ちゃんも少なくありません。

モロー反射が激しいと、よく点頭てんかんや低血糖、頭蓋内出血を疑うことがありますが、親の手を掴めば治まったり、おくるみを巻いて落ち着いたりする場合はあまり心配がないといわれています。普段の様子が変わりなければ、様子を見ます。心配な場合は、1ヶ月検診などのときに医師に聞いてみると良いです。

点頭てんかんの場合、足を伸ばして手を上にあげ、体を曲げるという特徴的な症状が出ます。思い当たる反応がある場合や、それ以外で普段と異なる反応があったり、抱っこをしても治まらなかったりする場合は、小児科に一度相談します。
また稀ですが、モロー反射がなさ過ぎる場合は、新生児黄疸のひとつである核黄疸や、まったくない場合は鎖骨骨折をしていることもあるといわれています。

モロー反射をはじめとする原始反射は発達状態のバロメーターです。この点から、原始反射が強く残存している場合、脳機能への問題が考えられます。そしてそれが発達障害の兆候である可能性もあるといわれます。モロー反射が長く続くということは、外からの刺激に毎回反応してしまう、つまり刺激に対して敏感な状態が続くと解釈できます。そのため、以下の発達障害のような傾向が見られることがあります。
・音や光をはじめとする刺激に対する感覚過敏
・ADHDの症状がみられる(多動、不注意、衝動性)
・社会的未熟さ(新しい状況・環境への参加対応が難しい)
必ずしもモロー反射が長く続く=発達障害である、というわけではありません。しかし、モロー反射をはじめとする原始反射が長く続けば続くほど何らかの問題がある可能性が高まります。いざというときのために、日頃から子どもの動作をよく観察したり、場合によっては記録したりすることが大切です。

モロー反射とは0~4ヶ月で見られる原始反射の一種です。大きな刺激を受けた時に身体をびくっとさせ、両手を広げてしがみつくようにする動作は赤ちゃんならではのとても可愛らしい動作です。また、ただかわいい動作であるだけでなく、モロー反射をはじめとした原始反射は子どもの発達状態の一つの重要な指標となります。原始反射の始まりと終わりの時期や動作の特徴などで子どもの発達状態に問題がないか気づくきっかけになることがあります。

またこの原始反射を統合する運動を促すことで発達障害の症状の軽減を図ろうという民間療法もありますが、エビデンスは確立していません。ただ、この考え方は昔からよく似た発想での治療法がいくつもありますので、あながち無視はできません。要は運動によって正しい動きを作っていくことは身体の発達に良いことですし、不器用と言われる子どもたちが楽しみながら運動を学ぶはとてもいいことだとは思います。

神経性やせ症

拒食症(神経性やせ症)は、異常な食行動を来す摂食障害の1つです。食べ物を極端に制限する摂食制限型と、たくさん食べてしまったあとに吐いたり下剤を使ったりする過食・排出型に分けられます。思春期の女性に多く見られるのは摂食制限型で、最近は低年齢化が進んでいます。

拒食症では、体重が少しでも増えることに極端な恐怖があり、十分な栄養がとれなくなってしまいます。そのため低栄養につながり、貧血、無月経、低身長などのほか、不整脈や低血糖によって死に至ることもあります。睡眠障害やうつ、自殺の危険もあります。

拒食症になりやすいのは、「努力家で優等生タイプ」「自己主張が苦手で不安や不満をため込みやすい」といったタイプです。進級や進学などの環境の変化、いじめや受験の失敗、失恋といった挫折などが発症のきっかけになります。食事の量が極端に減るほかに、「家族と食事をしない」「食べ物を細かく分ける」「食べていないのに活発に活動・運動する」「極端に体重が減ってきた、または体重の増え方が悪い」などが拒食症のサインです。サインを見逃さず早期に発見して、適切な治療を受けることが大切です。拒食症が疑われる場合は、15歳以下なら小児科を、それより上なら心療内科や精神科を受診します。

治療の柱となるのは、栄養療法と心理療法です。栄養療法は、栄養状態を改善して、健康的な体重に戻すのが目的です。低栄養で生命の危険がある場合は入院が必要になります。心理療法では、拒食という手段に頼らなくても人生とうまくつきあっていけるような考え方やノウハウを身につけさせます。

子どもの拒食症に対する心理療法では、極端な考え方や捉え方を修正する認知行動療法と、家族に子どもへの接し方を学んでもらい一緒によくなる方法を考えていく家族療法が広く行われています。子どもが拒食症になると、母親は自分の育て方が悪いと考えがちですが、それは間違いです。無理やり食べさせたり、不安をぶつけたり、食事や体型のことで注意したりせず、温かく寄り添うように見守ってあげます。家族だけで不安を抱え込まずに、医療機関を上手に利用し、医療者と一緒に解決策を考えていきます。

指標該当

放課後等デイサービス「指標該当」 10/10 で、この指標は「強度行動障害の判定基準で放デイ該当児童を決める」に等しいと述べてきました。放デイは発達期の児童を対象にしており、療育や教育の内容によっては行動障害を予防する効果も上がるので、児童の現在の状態が手がかかるかどうかで、つまり老人や成人のものをそのまま持ってきて判断すべきではないということです。また行動障害は前思春期頃から徐々に生活が困難になって顕在化していくことが少なくないので早期の介入が重要であるということからもこの基準は適切とは言えません。

もちろん、厚労省は夫々の自治体で判断基準を設ければいいとして一律にこの基準を押し付けてはいないとしますが、表を出せば安易に表に引きずられてしまいます。ICFは障害だけに着目するのではなく、障害を「参加の状態」として見ていくべきだと障害観を変え厚労省もその見方に変わってきているのに、こういう得点表になるとあっという間に障害だけを切り取る視点になってしまいます。重要なことは、一人でお店で買い物ができるコミュニケーションや移動能力を持っていなくてもどういう環境なら実現できるかとか、映画館やミュージアムで鑑賞したり公共交通機関はそのままでは使えないけれどこういう支援があったら使っていけるよという事をチェックしなければ意味がないのです。不適切な行為と言っても、家ではそれにあたらなくても百貨店では不適切な場合もあるからどう支援すればうまく行くとか、そううつ状態も場面場面で違う様相を見せるから何を注意すればうまく行くかという内容こそが得点化されなければならないのです。

社会参加の場面でどうなのか、同世代と同じように参加するにはどういう支援がいるのかということです。そういう意味では、行政が親だけに聞き取りをするのもおかしな話で、それこそ支援者も参加するケアマネ会議を持つべきです。相談事業はこうした本人の参加をどう支援していくかを当事者や関係者とともに考えていく事業だったはずです。行政が当事者の参加状況の可能性も考慮して考える余裕や、ありきたりのサービスプランを書くだけで相談員がせいいっぱいにならない施策が必要なのです。基準というのは平等ではあるけれど、条件がそれぞれ違う個人には全く公平ではないのです。それを言えるのは今の制度では保護者の皆さんだけとういうのが、不公平を再生産しないか危惧しています。

そして、現状では余裕のない判定環境はすぐには変わらないのも事実です。従って、学童期の当事者支援については、教育支援委員会で切れ目のない支援をめざしてそれなりに相談時間をかけて親とともに支援環境や校種※を選択しているのですから、行政の縦割りを乗り越えて、これを一つの公的な相談の結論として福祉行政も共有すれば良いと思います。 

※学校教育法施行令第22条の3の特別支援学校の知的障害の就学基準は、「1、知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度のもの 」「2、知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもののうち、社会生活への適応が著しく困難なもの 」とその全般的な支援の必要性を認めている。

NHK連ドラ「スカーレット」

NHK連ドラ「スカーレット」今日は不覚にも泣いてしまいました。

陶芸を導いた大好きな夫の助言を振り切って穴窯に没頭する妻の我儘とその才能への嫉妬心から夫は家を離れます。一人息子の子育てを終え実母を見送った妻は、名声をあげた陶芸では埋められない空虚を、元夫に再会してもうまく伝えられません。

(工房で電気窯を見ている八郎)

喜美子) おう。

八郎) えっ…。

喜美子) おう。

八郎) えっ…?

喜美子) ハチさん呼んでええ?

八郎) えっ?

喜美子) 喜美子呼んで。

八郎) はっ?

喜美子) 喜美子ぉ呼べ。

八郎) あの…。

喜美子) ええやん、もう喜美子呼んで。

八郎) いや…あっ、えっ、あ…あの…。

喜美子) もう普通にいこうや。

八郎) 普通?

喜美子) ハチさん。喜美子。なっ?普通にいこう。

八郎) 何やねんいきなり。

喜美子) せやからな、何やこう…ここ? ここ? よどんでる感じあるやん。

八郎) よどんでる?

喜美子) よどんでるいうか、う~ん…重々しい。

八郎) 重々しい…。

喜美子) ちゃうか、ちゃうな。こう…これ、な…何て言う?え~ほやから…。

八郎) 意識…。

喜美子) えっ?

八郎) 意識し合うてる。

喜美子) そや。意識し合うてるんやな。えっ、うちのこと意識してる?

八郎) そら。

喜美子) 意識してるん?

八郎) いやまあしてへん方がおかしいやろ。

喜美子) うちもしてる。

八郎) おおっ、してるやん。

喜美子) ほななくせ。

八郎) えっ。

喜美子) なっ? 意識し合うてる感じ、はい、なくして。はいはいはいはい。

八郎) いやいや「はいはいはい」いうてそんないきなり…ちょちょちょ…ちょっと、待ってえや。あのな、座る? もう座りましょう。

喜美子) ええ。

八郎) ちょ…もう、ほなもう…えっ何をそんないきなり…。怒ってはるんですか?

喜美子) もう堅苦しいのやめようや。そらいろいろ思うこともあるやろ、うちかてあるわ。いやあるか? ないわ。もう分からん。もう分からんけど、もう何年も前のことやで? いつまでも引きずる年でもないやん。周りに気ぃ遣わせてやで? この前の…この前のあれかてそうや。照子に信作にほんで小池ちゃんもな、もううちらに気ぃ遣てたん分かったやろ?

八郎) 分かった…。

喜美子) そんなん悪いなあ思わんかった?

八郎) 思た…。

喜美子) 武志かてそうやで。気まずいんちゃうんかって聞いてきよった。

八郎) そうなん?

喜美子) ほやからな、普通にしよ。

八郎) ふ…ほな普通てどういうのいう。

喜美子) せやから何回も言うてるやん、ハチさん。喜美子やん。

八郎) 名前?

喜美子) ハチさんはそっからやろ?そっから変えていかんと。

八郎) あ~。

喜美子) 「あ~」やないで? 言うてみ。「喜美子」言うてみ。

八郎) 喜美子。

喜美子) ちゃうなあ。

八郎) もう分からへん…。

喜美子) 何もないねん、もう何もないねん。さっぱりとな? お互い、さばさばいこうや、なっ、分かる? うちできるで。もう手ぇ触っても何ともない。ほら、こんなんもできるで、ほらほら。お~ハチさん久しぶり、おうおうおう、おうおうおう。

(八郎に抱きついた喜美子の顔が真顔になってしまう)

 ・・・あかん・・・・・歳とった〜。

 

親子の関係性の悪循環を理解する

通常、親子の関係性に問題がある場合、親子の関わりや行動に悪循環が生じているものです。子どもが問題行動を起こす→親が頭ごなしに叱る→子どもは、「どうせダメな子なんだ。」と思い、反抗したり、反省する意欲を持てなかったりする→親は、子どもの態度にガッカリし、態度に出してしまう→子どもは、ますます意欲をなくして反抗する(最初に戻る)。ペアレントトレーニングを受ける親は、子どもへの関わり方や関係性に悩みや不安があり、改善意欲を持っていますが、目の前の出来事への対応に手いっぱいで、悪循環に気づいていないことが少なくありません。そのため、まずは、親子の関係性の悪循環に目を向けるところから始めます。

日常生活における子どもの行動について、以下の3つに分類します。
1.好ましい(増やしたい)行動:家事を手伝う、学校の準備をする、兄弟の面倒を見るなど
2.好ましくない(減らしたい)行動:宿題をしない、好き嫌いをする、言うことを聞かないなど
3.許しがたい(絶対に止めさせたい)行動:他人に対する暴力、自傷行為、物を壊すなど
子どもが好ましくない行動や止めさせたい行動について、状況や頻度、親の対応、子どもの反応を思い出し、言語化もしくは文章化して、冷静かつ客観的に振り返ります。そして、親の関わり方のポイントを学習するとともに、実際に子どもが問題行動を起こした場面をロールプレイで再現し、学習したことを実践してみます。一方で、好ましい行動についても、状況、親の対応、子どもの反応を書きだします。その上で、子どもの心に響く褒め方や、子どもの良いところを見つけるコツを学習します。

例えば、嫌がる子どもに宿題をさせる時や、おもちゃを片付けさせる時などは、親子げんかになったり、子どもが言うことを聞かなかったりしやすいものです。こうした場面で、子どもが自発的に好ましい行動(親がさせたい行動)を取れるような、上手な指示の出し方や、子どもが指示を聞かなかった時の対応について学習します。

ペアレントトレーニングが発達障害の子どもを持つ親のトレーニングとして注目され、たくさんの親が興味関心を持つようになるにつれて、いくつかの誤解も生じています。ペアレント(親)トレーニング(訓練)という名前から、問題のある親を指導するものだと誤解している人がいます。しかし、ペアレントトレーニングは、「悩みや不安が強くてうまく発揮できていないけれど、親が元々持っている「子どもを育てる力」」を引き出すためのトレーニングで、親を問題視して指導するためのものではありません。また、ペアレントトレーニングのカリキュラムには、「無視をする」という内容が含まれています。しかし、ペアレントトレーニングにおける無視は、子どもが自分の行動が好ましくないことだと気づかせるための行動で、いじめや児童虐待で問題となる無視とは意味合いが異なります。また、子どもが好ましくない行動を止めるとすぐ褒めるなど、子どもの心をケアするためのテクニックも同時に学習します。

興味のある方はスタッフまで。

パラサイト

キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていました。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことになりました。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れます。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していきます。

前半は、コミカルに富裕層に取り付いて行く半地下家族のキム一家。家族ぐるみで詐欺まがいな行動を面白おかしく描いてるのですが、後半は一気に雰囲気が変わります。

そして前後半を大きく分ける「 突然変異 」と言える点は、騙してクビにしたパク一家の元家政婦が現れたところです。キャッチホンの画面に映った瞬間、留守になってるパク豪邸で好き勝手していたキム一家全員が「 やばい 」と言わんばかりの真っ青な表情に変化します。

豪邸には住人のパク一家も知らない地下が存在し、そこに元家政婦の旦那が潜んでいたのです。最初は「 なんとか食事を与えて 」と懇願する元家政婦ですが、自分がクビにされたことの真実を知ります。そしてそこから始まる、キム一家 vs 元家政婦夫婦。最終的に夫婦2人を地下に閉じ込め、しかも、元家政婦は頭を打って脳震盪で亡くなってしまいます。

「 どうしよう、どうしよう 」と困惑するキム一家。このコミカルな前半、ダークな後半のギャップに本当に衝撃を受けます。日本はカンヌどまり韓国はアカデミーまでという本質が垣間見えます。

 

障害者医療

障害者医療では医ケア問題はクローズアップされてきましたが、知的障害者や自閉症者の医療問題はまだまだ認知されていません。医療機関を受診した際に、十分な診療を受けられないことは障害者本人や家族にとって辛い経験となります。当事者らは医療機関の受診に際し、多くの負担を感じているのです。また、不快体験や失敗体験が医療機関受診への困難感を強めていることもあります。さらにそれらは受診に対する自信喪失や無力感につながっていたことから、知的障害者や保護者が受診の成功体験を積み重ねられるような支援が必要です。

知的障害のある子どもが“成功経験が少ない”のは、周囲の状況が整っていないことの裏返しであり、今の力で活動できるよう工夫されていない結果でもあります。知的障害者の医療機関受診に関しても同様であり、知的障害者がスムーズに受診できていない状況は、医療従事者の支援が不十分であると自覚してもらうことも必要です。医療従事者の態度や言動は知的障害者や保護者の医療機関受診困難感に影響を与えています。医療従事者は専門職として受診環境を含む改善の余地について検討し、支援の必要性を捉えられる視点が重要ではないかと思います。

知的障害者や保護者は自分たちの努力だけではスムーズな受診への限界を感じ、学校や医療機関、ひいては制度やシステムなど周囲に支援を希望しつつも求めることができていない現状があります。しかし、歯科の領域においては知的障害者が受診する際の個別的な支援が見られます。恐怖や不快刺激を生じさせずリラックスできるように設定する刺激統制法や視覚的支援ツールを用いて情報を伝えることで、治療への適応行動を図っています。これは他の診療科においても有用性が期待されます。医療従事者は知的障害という特性から“できない”“無理だ”と判断するのではなく、選択肢として提示できる支援方法のバリエーションを習得していくことが重要だと思います。

またスウェーデンでは、高齢者ケア・障害者ケアで法律体系やサービス、利用手続きが分かれているわけではなく、社会サービス法に基づく普遍サービスとして一元化されています。そのため高齢者と障害者の政策に差異がなく、誰にとっても理解や利用が容易です。加えて、知的障害者の特性や個々人の障害の程度に合わせたきめ細やかな対応も行われています。しかし、「駆け込める病院がない」「緊急時の受診では行ったことのない医療機関の受診となるので難しい」という意見があります。知的障害者が緊急に受診する場合、生命の危機的状況であるにも関わらず“専門の医師がいない”という理由で、診療を拒否されることもあり、日本においては知的障害者の急性期医療自体が十分ではありません。

そこで、まずは知的障害者の一次医療の充実を図ることが急務です。次に、二次医療圏を中心とした受け入れ医療機関の整備や受診に対するサポート体制の強化が必です。我が国では診察や治療は医療機関においてなされるのが一般的ですが、慣れていない場所での受診が困難である知的障害者においては訪問診療を可能とする医療サービスの適応拡大も必要です。

当事者側としては、スウェーデンやイギリス、アメリカなど多くの国で発展している知的障害者によるセルフアドボカシー(権利主張)グループにおいて受診環境改善の取り組みが始まっています。セルフアドボカシー活動については日本でも1990年代より浸透し、展開されてきましたが、知的障害者の受診においては更なる役割が求められています。日本では知的障害者の余暇活動や仲間づくりを中心として進展・拡大してきた経緯があり、セルフアドボカシーを目的としての活動を行っているグループはまだ少ないからです。セルフアドボカシーグループ活動を通じ、知的障害者の健康や医療に関する当事者の意見やニーズを多くの場で発信できれば、知的障害者の医療受診の現状を知ってもらう機会となり、医療機関での不快体験や失敗体験による受診負担の増加や、受診負担解決への無力感、受診への自信喪失の改善につなげることができると思います。

本人や保護者が医療機関に自信を持って受診できるよう、看護者は事前練習できるための受診に関する詳細な情報提供やスキル獲得のための支援が必要です。待ち時間に対する配慮や受診環境の調整については、本人や家族の申し出で対応するのではなく、看護者から働きかけ当事者の思いに寄り添うことが大事で、うまく受診できなかった場合には、医療機関に訪れることに挫折しないように気持ちを支え、フォローすることで次回の受診へとつなげる役割が求められます。このようにして、知的障害者と保護者が少しずつ自信を持って医療機関の受診ができるようになれば、現在抱えている医療機関受診に対する困難さも徐々に軽減されていくと思います。

キャリア・パスポート

2020年4月より各学校で「キャリア・パスポート」が始まります。「キャリア・パスポート」とは、児童生徒が、小学校から高等学校までのキャリア教育に関わる諸活動について、特別活動の学級活動及びホームルーム活動を中心として、各教科等と往還し、自らの学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりしながら、自身の変容や成長を自己評価できるよう工夫されたポートフォリオのことです。なお、その記述や自己評価の指導にあたっては、教師が対話的に関わり、児童生徒一人一人の目標修正などの改善を支援し、個性を伸ばす指導へとつなげながら、学校、家庭及び地域における学びを自己のキャリア形成に生かそうとする態度を養うよう努めます。

また、目的(ねらい)として以下のように書かれています。小学校から高等学校を通じて、児童生徒にとっては、自らの学習状況やキャリア形成を見通りしたり、振り返ったりして、自己評価を行うとともに、主体的に学びに向かう力を育み、自己実現につなぐもの。教師にとっては、その記述をもとに対話的にかかわることによって、学校内における様々な経験を一つにして、自らの学習状況やキャリア形成と照らし合わせたり、振り返ったりしながら成長を自己評価する(=ポートフォリオ)ということです。また、教師は児童生徒の記述などを参考にしながら生徒が自らの学びをキャリア形成に生かせるように関わっていくことが必要となるようです。「アンケートやポートフォリオ等」の実施を全体計画に盛り込んでいる学校は盛り込んでいない学校に比べて「児童・生徒は自己の生き方や進路を真剣に考えている」という結果が良いことも全国アンケートの結果も判明しており、キャリア教育の方法として効果が高いことが示されています。同資料の中にはキャリアは「ある年齢に達すると自然に獲得されるものではなく発達を促すには外部からの組織的・体系的な働きかけが不可欠」であると言われていることや働きかけを支える教材もまた不可欠であることも書かれています。