すてっぷ・じゃんぷ日記

タグ:自己認知

落ち着くために、離れる事

Q君がみんなから離れてカームダウンをしています。他の子は活動中なので「なんでQ君みんなと離れてるの?俺ら活動してるのに」とR君がちょっかいを出しました。するとQ君は更に怒りが爆発してしまいました。

R君は「???」といった様子です。そんなR君に他の子が「あれはな,距離を取って落ち着こうとしているんやで。そっとしといてあげて。」と教えていました。R君は「そうなんや…」といった様子です。

また,Q君は落ち着くと最初に「先生,俺が暴れた事なんで怒らんの?」と聞いてきました。「怒っても解決しないしなぁ…それよりなんで怒ったかと,どうやったら暴れずに気持ちを伝えれるか考えた方が有意義じゃない?」と返すと「確かに…」と答えました。

Q君やR君のようにカームダウンについて教えてもらっていない子が多い事に驚きました。学校では通常学級でも個別の指導計画や個別の教育支援計画がある子どもには「カームダウンエリア」を設置し,「怒った時とかむしゃくしゃした時はここに来るんだよ。」と教えたりするものです。しかし実際事が起こった時にはどうしても「その場を鎮めなければならない!」となるのでしょう。興奮している子どもが落ち着いたら「はい,解決」としていることもあるようです。

大事なのは子どもに代替方法を教えることです。子どもは「またやってしまった…」と自己イメージを落としてしまいます。それよりも「俺(私),暴れずに先生に伝えられた!」と成功体験を積むことが重要です。

いいところを応援する服薬

最近、小学生のH君やらI君が支援学校から来ている利用者の障害について気になってよくスタッフに質問してきます。裏返せば、自分にも同じような障害があるだろうかという気づきです。質問されたスタッフはできない事だけを述べるのではなく、できることも得意な事もあるということを説明するようにしています。

コンサータ等の服薬機会も気づきのきっかけになります。服薬をしている利用者は少なくありませんが、その服薬がなんのために必要で、いつまで必要なのか、どうなれば必要なくなるのか、その年齢に応じて正しく理解している子どもは多くないと思います。最近の医師の中には保護者にだけでなく子どもにも理解が得られるように説明する医師もいますが多くはありません。保護者ですら、「お医者さんが早口で説明されたけどよくわからない」という人も多いです。発達障害対応の服薬については、まず保護者と当事者が服薬の目的を正しく理解をすることが大事です。

服薬は、生活がしやすくなったという実感を子どもが持てるようにします。その実感を掴んだ上で、生活や勉強がしやすくなるには、お薬だけの力ではなく自分の力でもだんだん解決できる方法を学ぶことなのです。発達障害のお薬は「飲んだらおしまい」ではないのです。むしろ、「飲むことから始まる」のです。

落ち着きがないと、自分を振り返ることも一苦労する子どもたちだからこそ、服薬してじっくり振り返る機会を作る事も服薬のねらいです。やがて自分のことが自分で分かるようになってくれば、「今は集中のコツをつかんだので服薬は必要ないけど、試験の前は必要かも」などと医師と相談できるようになることが大事です。周囲の大人がすべきことは子どもの状態を見て服薬量が多い少ないという事だけでなく、子どもが自分で自分の状態がモニタリングできるようになることを支援することなのです。

学校や事業所の関係者が適切な協力ができるようにするには、保護者の服薬への理解と見通しが何より必要です。子どもは服薬することで「僕は病気だ」と誤解したり、「障害をなくすために服薬している」と誤解していることもあります。そんな子どもには「君のいいところを応援するために服薬は大事なんだ」と説明していくことも重要となります。

 

自分のことは分かっている

W君が、新一年生のサポートシートを見て「何々?落ち着きがない?あー俺と一緒や、すぐに立ち歩く、そうやねん俺もじっとしてられへんねん」 なるほど、こういうふうに第3者的に記述してあると、他者のことであっても、自分との共通点はすぐに分かります。でも、人に言われると頑として認められなかったりするのですが、実は良くわかっているのです。※サポートシート=子どもの特徴や支援方法を示したシート。

また、友達と自分の違いも良くわかっていて、「X君、もう2年たつけど俺の名前覚えてへんで、俺も相当物覚え悪いけどX君はすごいなぁと思うわ」と言ってると向こうでX君が「石好きのあいつなぁ」とW君のことを噂している声が聞こえてきました。「なっ。俺のこと『石好き』と呼んでるやろ」人のことも良く観察し、いつも自分と比べているわけです。てことは、私たちスタッフもしっかり観察されているわけです。今度はスタッフの特徴をこっそり聞いてみます。