すてっぷ・じゃんぷ日記

タグ:忖度

折り合い

L君は言葉のないM君が自分によって来るので、いつも「あっち行ってよ。俺は○○と遊んでるの!」と怒鳴っていました。そのたびに「自分がそんな風に言われたらどんな気持ちになる?」とスタッフにたしなめられるのですが、「だったら、俺の気持ちはM君に分かってもらえるの?」「俺だって気持ちよく遊びたい!」と反撃します。

様々な特性を持つ子どもたちが一緒に遊ぶのは、なかなか難しいものです。スタッフに忖度ができる子どもなら黙っていることを、L君は喋ったにすぎません。どうしたらうまく付き合えるかは、一緒に暮らす中で少しづつ学んでいくものです。

公園で遊んでいるとき、M君がボールを追いかけてL君たちのエリアに入ってきました。「M君!ボール向こうに転がすよー」とM君のボールをエリア外に転がしました。M君はそのボールを追いかけてエリア外に行きました。出て行けと怒鳴るのではなく、L君なりに折り合いをつけた行動だと思います。

車いす介助

E君が車いすを押したいとかって出てくれるのですが、体の動きがぎこちなく危なっかしいです。危ないので、E君の手の上にスタッフの手を添えてブレーキをかけながら下り坂を下りました。するとE君「なんでそんな痛いことするねん?」とスタッフに抗議。あれこれ説明しますが、E君の車いす操作がぎこちなくて危ないという事と、彼の善意の大きさのバランスが本人とスタッフで折り合えません。

E君にしてみれば、いいことをしようとしているのに、僕を信用しないでいるスタッフがけしからんとなります。そこで、スタッフからは「車いす介助は命を守るスタッフの仕事です。命を守る仕事は、まだ責任のとれない子どもにはできません。」と断ることにしました。

ASDの人の善意を受け止めようと、スタッフは言葉を選びすぎて苦しむのですが、忖度の必要はありません。論理を尽くしてビジネスライクに話すのが一番理解してもらえます。

届かない気持ち

E君、友達のことについて「文句ばっかり言っていて暗いし、周りへの影響考えてないなあれは」と語り始めます。「ふーん、なんでなんだろうね」との問いに、「空気が読めてないんだよ。もっと、謙虚にならないとね」と言います。この発言のE君「もうおれなんかあかんし」「おらんほうがええし」とネガティブ発信の王者です。「うーん。人のことは良くわかるんだね」と返すと、「そうやで、いつも気を使ってるからね」と返事。そうか、君なりに気を使っているんだね。私たちに君の気持ちが届かないだけなんです。