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みんなちがってみんないい

読み書き障害向けデジタル教材

Switch『読むトレGO!』1980円の月額レンタル版がスタート。ゲーム形式で学習ができるトレーニングアプリ

2020.12.02 17:30【ファミ通.com】

サムシンググッドは、2020年12月2日より、医学博士平岩幹男監修のトレーニングアプリ『読むトレGO!』の月額レンタル版の展開を1980円でスタートした。本作は、ゲーム形式でトレーニングができるため、勉強に抵抗がある子どもも苦手意識なく取り組めるとのこと。
以下、リリースを引用

ディスレクシア(読み書き障害)、学習障害向け【読むトレGO! for Nintendo Switch】1,980円の月額レンタル版を開始
Edtech企業のサムシンググッド(東京都港区、代表取締役 脇坂龍治)は、2020年12月2日に、ディスレクシア、学習障害向けトレーニングアプリ【医学博士平岩幹男監修 読むトレGO!】の月額レンタル版を1,980円で発売開始致します。

文字を読み書きするのが困難な「ディスレクシア」。日本で小1の段階で100人に2人、小2以上では100人に7〜8人の確率で発覚している、身近な学習障害(LD)のひとつです。

月額レンタルの仕組み
読むトレGO!公式ページからお申し込み頂くだけで、ソフト、チケット、マイクがご家庭に到着。家にいながら平岩先生の「読み」トレーニングメソッドを気軽に受ける事ができます。月額料金は1,980円(税込)。解約はいつでも自由。解約に伴う手数料などもありません。

読み書きトレーニングのベストセラー著者が監修
ディスレクシア向け書籍のカテゴリーでベストラセラーの「ディスレクシア 発達性読み書き障害トレーニングブック」の著者である医学博士・平岩幹男先生がNintendo Switchで行えるゲームタイプのトレーニングを開発したのが「読むトレGO!」です。

理論に沿ったトレーニング
平岩幹男先生が実際の治療でも行っている、1:文字を見て声に出して読む、2:文字を音のまとまりとして認識、3:音を聞いて文字を選ぶという3つのトレーニングの理念がベースとなっています。

すべてのトレーニングを平岩先生が監修。病院の診断を受けるのを迷っている方でも、購入した日からトレーニングが始められます。

音声認識エンジンでゲームのように取り組めます。
テレビに接続し出題される文字を音声で答えます。机に向かうのが苦手なお子様や、教科書やトレーニングブックが苦手なお子様でも、Nintendo Switchで音声クイズのように取り組めるので、苦手意識なく取り組んでいただけます。

実際のユーザーの声を元に開発
普段から平岩先生からアドバイスをもらい文字を読む練習をしているお子様方に、テストユーザーとなっていただき開発。テストは実証実験として行われ論文として発表されました。参加した67%のお子様が1.25倍も読みの速度が向上した結果が出ました。

トレーニングアプリ
トレーニングはゲーム形式なので、勉強っぽくなくスタートできます。Nintendo Swithcなので、寝転びながらや、テレビの前で立ちながらなど、自由なスタイルでトレーニングできるのも特徴です。

教科書やトレーニングブックなどに抵抗があるお子様でも積極的に取り組んでいただけています。

学び直しもしっかり行えます。
ひらがなの読みから漢字まで学びの度合いに沿ってトレーニングができます。

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学習は自学自習が一番効果が上がります。人についてもらって学習が進んでいるように見えますが、違う見方をすれば人がいなければ学習ができない姿です。学習に興味があるというより、人に励ましてもらうことが利得となって学習をしているのです。自学自習が成立するのは学習内容そのものに利得があるからです。デジタル教材のいいところは自学自習です。もしも、自学自習ができないデジタル教材を大人が励ましてやらせているなら、その教材自身は少なくともその子にとってはあっていないのです。

はやぶさ2カプセル帰還

カプセル 7日夜にも日本へ出発

12月07日 07時43分

日本の探査機「はやぶさ2」の、小惑星の砂が入っているとみられるカプセルが地球に帰還し、オーストラリアで回収されました。JAXA=宇宙航空研究開発機構によりますと、カプセルは早ければ7日夜遅くに飛行機でオーストラリアを出発して日本に向かうことになっています。

探査機「はやぶさ2」のカプセルは、日本時間の6日未明、オーストラリアの上空で流れ星のような火球として観測され、地球に帰還しました。カプセルはパラシュートを開いてオーストラリア南部の砂漠地帯に着地し、現地に入っていたチームが回収しました。

カプセル回収を受けて、JAXAは記者会見を開き、「はやぶさ2」の津田雄一プロジェクトマネージャは「ただいま帰ってきました。カプセルは完全な状態でパーフェクトだった。100点満点で1万点だ」と喜びを語りました。カプセルには小惑星の砂が入っているとみられ、JAXAは7日、カプセルの中のガスを現地の本部に設置した装置で分析することにしています。

そして、早ければ7日夜遅くに、カプセルは飛行機でオーストラリアを出発し日本に向かうということです。オーストラリアから日本まで10時間以上かかると見込まれていて、到着後は神奈川県相模原市のJAXA宇宙科学研究所に運び込まれることになっています。

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6年の歳月をかけて帰ってきたはやぶさ2カプセル。オーストラリアの夜空にその一筋の閃光が流れる動画に胸が熱くなりました。先日のスペースX の感動とはまた違うものでした。別に日本びいきと言うわけではないのですが、あの巨体70mの一段目ブースターロケットが帰還した時よりも、直径40㎝のカプセル帰還のほうがはるかに感動したのは、宇宙ファンとしてはやぶさ2スタッフのチームワークをスペースXよりはよく知っていたからかもしれません。

スペースXは15トン=バス一台分を宇宙に荷揚げしますが、はやぶさ2のカプセルは16㎏。この56万キロかなたの玉手箱と言われるカプセルの中に何が詰まっているのか楽しみです。

ユニセフ 各国に学校再開求める

ユニセフ 各国に学校再開求める「感染拡大証拠ほとんどなし」

2020年12月8日 12時08分【NHK】

ユニセフ=国連児童基金は8日、学校が新型コロナウイルスの感染の拡大を招いているという証拠はほとんどないとして、学校の再開を優先させるよう各国政府に求める声明を出しました。

声明では、今月1日時点で児童や生徒の5人に1人、3億2000万人が休校措置の影響を受けていて、先月1日時点に比べておよそ9000万人増えたとしています。

一方で、各国のデータを用いた最新の研究では、学校の状況と地域の感染率には何の関連性も示されておらず、学校が感染の拡大を招いているという証拠はほとんどないとしています。

そのうえで、あまりにも多くの学校が不必要に休校になっている懸念があるとして、各国政府に学校の再開を優先させ、安全を確保するための措置を可能なかぎりとるよう求めています。

また、学校の再開計画にはリモート学習を利用できるようにすることなども盛り込むよう求めています。

ユニセフのジェンキンス本部教育グローバルチーフは「最後の手段ではなく、最初の手段として休校措置をとるという、憂慮すべき傾向が再び見られるようになってきている。子どもたちは学習、心身の健康と安全に深刻な影響を受け続けている」としています。

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武漢風邪第3波襲来と、またメディアが賑やかになってきました。冬に風邪が増えるのは当たり前で、夏前には必ず冬に第三波が来ると誰もが言っていたのに、予算があったのに何も準備もせずに数兆円の予備費を余らせて、今になって医療崩壊だと大騒ぎしています。そして、感染が増えたのはGOTOのせいだと根拠もなく責任転嫁しています。

そもそも、人口100万人当たりの死者数は、欧米では500~700人であり、日本は12人です。日本は欧米に比べて死者は五十分の一なのです。その理由が何かはいまだにはっきりは分かりませんが事実であることは確かです。そして、解決策は、症状のない人は自宅で安静にして、症状のある人を病院で治療しましょうという極めてまっとうな考えです。ところが、これが気に食わない識者が少なくないのです。社会全体の往来を止めるべきだと言いますが、学校を閉鎖し東京や大阪を封じ込めよとでもいうのでしょうか。

武漢ウィルスが猛威を振るう欧米ですら、根拠のない学校閉鎖をやめよとユニセフが警鐘を鳴らしているのに、メディアが煽るポピュリズムと、役人や政治家のパフォーマンスに付き合わされているとしか言いようがありません。ほとんどの子どもに症状もないのに、同調圧力に負けて根拠もなく学校を休校にしないでほしいと思います。

 

おちょやん

家族近況聞いた千代は。。。/おちょやん10日あらすじ

2020年12月9日8時16分【日刊スポーツ】

11月30日にスタートしたNHK連続テレビ小説「おちょやん」(月~土曜午前8時)。前作「エール」も評判でしたが、それに劣らず、話題となっているようです。女優の道を生き抜き「大阪のお母さん」と呼ばれた、女優浪花千栄子さんをモデルにした女性の物語で、主演は杉咲花(23)。3週目から本格登場する杉咲に代わって主人公を演じる子役の毎田暖乃(まいだ・のの=9歳)の芝居を見てると、自然と顔がほころんできます。まさに天才子役といってもいいのではないでしょうか。次回のあらすじを紹介します。

 女優・高城百合子(井川遥)の美しさと情熱的な演技に、魅了された千代(毎田暖乃)は、手に入れた台本で、文字の勉強を少しずつ始める。そんなとき、一平の父、天海が突然、亡くなってしまう。劇場では盛大な葬儀が行われた。鶴亀株式会社の社長、大山鶴蔵(中村鴈治郎)は、一平に2代目を継がせるよう一座の面々に伝える。一方、千代は隣近所だった小林と道頓堀で遭遇。父テルヲ(トータス松本)たち家族の近況を聞かされる…。
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子役の毎田暖乃の芝居はまさに天才子役と言われる通り感心します。毎田暖乃演じる千代ちゃんが、大阪に奉公に出るため小学校を辞めると先生に告げるシーンがあります。千代ちゃんが「自分は普通の子みたいになられへん」と言ったことに対して、先生は最高の言葉をかけます。

 「それで、ええと思いますよ。むしろ、普通の子なんていません。いろんな子がいて、みんなそれぞれ頑張っているんです。しいていえば、それが普通です。竹井さんは学校に行くことができなくても、それが普通ですよ」と言葉をかけます。大正時代の話ですが、今こんな気の利いたことを子どもに言う先生いるやろかと思いました。

 

ICT導入で学び広がる発達障害児の学習支援

ICT導入で学び広がる発達障害児の学習支援

2020年12月10日 05時00分 【中日新聞】

小中学生に一人一台ずつタブレット端末などを整備する「GIGAスクール構想」が加速する中、発達障害のある児童生徒らの学習支援に、情報通信技術(ICT)を活用する動きも少しずつ進んでいる。機器に少し頼るだけで、見違えるように学びを進める子も。障害のある子もない子も共に学ぶ「インクルーシブ教育」の一助になると期待されている。(北村希)

十一月下旬、愛知県常滑市大野小の特別支援学級。一年の男子児童はタブレット端末のアプリで黙々と漢字や九九の問題を解き、満点を取るとガッツポーズを見せた。別の五年男児は、慣れた手つきで「音声ペン」を国語の教科書にタッチ。紙に特殊な加工がされており、ペンが文章を情感豊かに読み上げた。

この五年男児は文字を目で追うことが苦手。教員と一緒に音読をしても文章の理解が難しかったが、昨年、音声ペンを使い始めると、みるみる正しく読めるようになった。物語に入り込み「もっと読みたい」と本が大好きに。国語のテストで八十点以上を取るようになった。特別支援教育士で担任の公文(くもん)美貴教諭(57)は「自分で読みたい所を自分のペースで読めるのが大きい。音声ペンは『自分の意思で』がかなう」と話す。

大野小の特別支援学級には自閉症や学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などの十三人が在籍。紙とICT機器を併用し、それぞれに合った方法で学ぶ。タブレット端末は現在、学校のパソコン室に配備された端末の一部を使っている。公文教諭は「アプリ学習はすぐに正誤が分かり、点数も出るから、子どものやる気や集中力が持続する」と効果を語る。

音声ペンとそれに対応した教科書は茨城大が国の委託を受けて製作し、全国の申請者に提供している。一昨年に学会で知った公文教諭は学校から申請して導入。ペンの費用五千円が各家庭の負担となるが、現在特別支援学級で八人、通常学級で三人が活用し効果があるという。

自治体を挙げて取り組む京都市では、音声ペンや専用教科書、ノートと連動するアプリなど支援機器・グッズ四十四種類を市で所有し、試したい児童生徒に貸与。本年度は、延べ九十四の小中学校に貸し出している。

同市教育委員会によると、読み書きなどが困難な子の通常学級での使用も進む。特に音声ペンはイヤホンでつなげば音も漏れず見た目が自然で、周りの目を気にせず使う子が多い。「今後全員がタブレット端末を使う風景が普通になれば、より気にせず機器に頼れる子が増えるのでは。ほんの一歩だが、インクルーシブ教育につながる」と話す。

通級指導、20年で5倍に
障害のある子どもの学び場として、文部科学省は「特別支援学校」、一般の学校に設置される「特別支援学級」、一般の学校で通常学級に在籍しながら一部特別な指導を受ける「通級指導」、「通常学級」の四種類を挙げている。

二〇一三年の制度改正で、それまで「一定程度障害のある子は原則特別支援学校に就学」としていたのを、「本人・保護者の意見を最大限尊重し、総合的に決定する」ことになり、幅が広がった。

一九年度の特別支援学校の在学者は約十四万人。特別支援学級に在籍する児童生徒は約二十八万人、通級指導を受ける児童生徒は約十三万人。少子化の中、それぞれ二十年前と比べると一・六倍、三・九倍、五・一倍に増えている。

増え幅が大きい通級指導を受ける児童生徒のうち、言語障害が29%と一番多く、自閉症が19%、注意欠陥多動性障害(ADHD)が18%、学習障害(LD)が16%。

インクルーシブ教育障害のある子とない子が多様性を尊重し合い、共に学ぶ教育。2006年の国連総会で採択された障害者権利条約で示された考え方。日本では12年、中央教育審議会で推進がうたわれた。インクルーシブは「包括的」の意味。欧米などでは主流となっている。

音声教材の普及状況文科省は2014年度から大学やNPO法人に委託し、音声ペンなど教科書の理解を促す「音声教材」を製作し、一部を除き無償で希望者に提供。本年度は関連経費約1億700万円を計上し、茨城大を含む6団体が参加する。音声教材の全国の利用者は19年度で約1万3500人で、15年度(約4000人)の3倍超。ただ、通級指導を受けるLDの児童生徒だけでも約2万2000人。文科省の担当者は「必要な子に行き渡っていない。学校では教員の裁量が大きく、自治体単位でも温度差がある。普及に力を入れたい」と話す。

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インクルーシブ教育を進めるには工夫が必要です。ICT機器はその代表的なものです。人手だけでなんとかしようとしても、何ともならなかったわけですから、とりあえずは導入すればいいのです。しかし、学校は教師が良くわかってないとか、他の子どもと平等性が担保できないとか言ってサボタージュしてきました。

いくら共生を声高に主張しても、モノ・カネ・ヒトが投入されなければ絵にかいたもちです。このブログでは何度も主張しているように、自学自習がもっとも学習効果が上がるのです。ICT機器の導入に力を入れてほしいものです。

 

LGBT 学校のトイレ問題

米最高裁、「学校のトイレ問題」で反LGBT団体の訴えを棄却

2020/12/09 14:30【Forbes JAPAN】

米国の最高裁は12月7日、オレゴン州の学区が定めたLGBTの生徒が男女どちらのトイレを使用するべきかという規則に対して起こされた訴えを退けた。学区は、「トランスジェンダーの生徒が、自らの性的アイデンティティに応じたトイレを使用する権利を認める」との規則を定めたが、反対派はこれに異議を唱えていた。

最高裁の判断は、LGBTの権利を主張するグループにとって勝利と言える。
この訴訟は2017年にオレゴン州の親たちによって起こされたものだ。親たちは、性的マイノリティに対してインクルーシブなトイレの使用規則は違法で、タイトル・ナイン(教育改正法第9編)に違反するものであり、「子育てに関する親の権利」や「身体的プライバシーの権利」、宗教の自由を妨害すると述べていた。

この訴訟では下級裁判所が、「オレゴンの学区の規則は差別を回避し、トランスジェンダーの学生の安全と幸福を守るものだ」として、訴えを棄却していた。最高裁は下級裁判所の判決を支持した。

下級裁判所は、学区のトイレポリシーは宗教的行為を対象としておらず、性別に基づく差別ではないと述べた。さらに、「トランスジェンダーの人々との関わりから生じる可能性がある、全てのリスクを避けるための基本的なプライバシー上の権利は存在しない」と結論づけていた。

LGBTグループや人権団体は最高裁の判断を歓迎した。トランプ政権が保守派のエイミー・コーニー・バレットを最高裁判事に任命した結果、現在の最高裁は6対3で保守派が多数を占めており、LGBTに対して敵対的になると考えられていたからだ。

バレットは2016年のコメントで、トランスジェンダーの女性を「生理的な男性」と表現し、公教育における性差別の撤廃を定めたタイトル・ナインの適用範囲に、トランスジェンダーが含まれることに疑問を呈していた。

「今回の訴訟は酷いものだったが、今後も類似した訴訟は増えるだろう。さらに、もっと危険な反トランス法を通過させるための準備を進めている州もある」と、ACLUのトランスジェンダー担当ディレクターの、チェイス・ストランジオはツイートした。

共和党は2016年と2017年に反トランス的なトイレの使用に関わる法案を可決させようとしたが、反対運動やボイコット、裁判所の判決などを受けて、その努力は失敗に終わっていた。

学校のトランスジェンダーの生徒の扱いをめぐる論争で、次の争点となるのはスポーツ選手の扱いだ。ルール上、トランスジェンダーの女子生徒は、女子競技に参加が許されるはずだが、トランプが任命したベッツィ・デヴォスの指揮下にある教育省は、トランスジェンダーのスポーツ選手に対し肯定的な立場をとる州への、資金援助を差し止めると脅しをかけている。

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LGBTQについての差別の解消はとても難しいです。カミングアウトしなければ誰が対象かもわからないからです。そして仮にカミングアウトされても、本人の主張の内容、周囲の受け入れ感情はその場その場で違うからです。見えない違いであるLGBTQはその人たちだけの問題ではなくみんなの問題です。特に公共トイレの問題は双方でナーバスになりやすいです。

見かけの性別が異なる人がトイレに入ってきても、その人の自由だからと許容できるかどうかは確かに生徒だけの問題ではないです。文化の問題を法律で白黒つけるのも違うような気がします。性別のトイレが何世紀に始まったかは知らないけれど長く慣習としてきたものを急に変えるのが苦痛な人もいるはずです。

LGBTも利用できると虹のマーク付きの多目的トイレを作ったらブーイングを受けた自治体がありました。専用トイレに入ればカミングアウトしたことになり嫌だという人がいたからです。自分では男だとか女だとか思っていて男子トイレがいいとか女子トイレがいいとか思っている人から、どっちでもないなとか黙っていたいと思っている人までいます。ただ、何もしない自治体よりも、どんなに批判されようが動き出す自治体のほうが100倍素晴らしいとは思います。

LGBTQを理解しないものは差別者だと言うのはたやすいですが、人は誰もが様々だという事を認識することも忘れてはならないのです。有色人種差別の問題でも社会的に差別しないという中身は、公民権が中心でした。しかし、意識の問題から派生する排除や暴力は、BLM(ブラック・ライブズ・マター)の暴動のようにどんどんもつれていきます。同じようにLGBTQの問題に早急に白黒をつけようとすれば、どちらの側も強引にならざるを得ず対立をあおりやすくなります。その結果、市民が距離を置きたいという気持ちになってしまっては逆効果だと思います。

そして、トイレを権力闘争の具にして、この両者を煽って対立させ漁夫の利を得ようとしているものも見抜く必要があります。この両者が手を繋ぐのは簡単です。全ての学校・公共トイレをパウダーコーナも含めて個室にしようというムーブメントを起こせばいいのです。こちらを法制化してまともに取り組めば「トイレニューディール政策」として、各国のGDPを引き上げる大事業になるかもしれません。ユニセックストイレも防犯の観点からはいろいろ意見はありますが、対立点や違いをアピールするよりも手を結べる共通の目標を見つけることが大事だと思います。

 

 

クラウドファンディングで放デイ建設

「放課後デイ」CFで建設 鳥栖で計画 発達障害児童ら向け

2020/12/17 05:00【読売新聞】

インターネット上で資金を募るクラウドファンディング(CF)を活用し、発達障害などの児童・生徒を一時的に預かる「放課後等デイサービス」(放デイ)の施設建設を目指す動きが鳥栖市にある。市によると、放デイは子供たちが社会性を身に付ける場として近年、利用者が増えており、市内では不足しているという。

資金を募っているのは、放デイなどの運営会社「医療福祉ホールディングス」(本社・福岡市、溝口登美子社長)。募集額は6000万円で、鳥栖市元町の約570平方メートルの土地に、木造平屋の施設建設を計画する。受け入れ定員は、未就学児対象の「児童発達支援」と合わせて1日10人を予定。事業が予定通り行われれば出資金を払い戻す「投資型」で、21日まで資金を募っている。

市高齢障害福祉課によると、市内には1日現在、今年新設された4施設を含む19施設が稼働。利用者数は近年急増し、2015年度に158人だったが、19年度は360人になった。

利用希望者の施設探しをサポートする同市の特定非営利活動法人「総合相談支援センター・キャッチ」の高尾一弘理事長(66)は「近場で見つからず、福岡県久留米市や小郡市などの施設を紹介するケースも多い」と話す。毎日通いたくても定員がいっぱいで、限られた日数しか利用ができない人もいるという。

同社執行役員で鳥栖市在住の野々下みどりさん(47)は「多くの人の賛同を得て、障害のある人や家族が暮らしやすいまちづくりに貢献したい」と話している。

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利用者360人を19施設で割ると約19人。1施設1日の利用限度は10人程度、土曜祝日含めて週6日利用で60人分。つまり、全員が週3回を超えて利用するとパンクすると言っているのです。ちなみに、週3回は乙訓の放デイ利用基準です。

つまり、佐賀県鳥栖市(人口7万)では相談事業所が他県まで紹介するのですから週3回という縛りはないということです。「毎日通いたくても定員がいっぱいで、限られた日数しか利用ができない人もいる」と言うのですから、行先さえあれば6日利用OKですよと言う意味です。

そのためにクラウドファンディングまでして資金を集めてすてっぷのある駐車場の半分くらいの土地に施設建設しよういうのですから大したもんです。というか住んでいる場所によって児童福祉を支える行政にこんなに差があっては不公平だなと思います。

近隣でも木津川市や精華町では放デイを毎日利用できるように他県まで放デイを紹介しているようです。誰でも放デイを6日利用できるかどうかを問題にしているわけではありません。学童保育を利用できる子どもや民間の習い事を利用できる子どもはインクルージョンの視点からそれを積極的に利用すればいいと思います。しかし、利用できるサービスが他にないのに3日しか支給されないのであれば、法の下の平等から外れていると言わざるを得ません。

 

 

令和7年度までに小学校は35人学級へ

小学校の1クラスの定員 35人以下で最終調整 令和7年度までに

2020年12月17日 0時02分 【NHK】

少人数学級の実現に向けて、政府は令和7年度までに小学校の1クラスの定員を40人以下から35人以下に引き下げる方向で最終調整に入り、17日の閣僚折衝での合意を目指すことにしています。

小学校と中学校の1クラス当たりの定員は、義務標準法で小学1年生が35人以下、また、小学2年生から中学3年生までは40人以下と定められています。これについて文部科学省は、きめ細かな教育の実施や新型コロナウイルスの感染防止のためには少人数学級の実現が必要だとして、小・中学校ともに1クラスの定員を30人以下に引き下げるよう求めています。

これに対して財務省は、少人数学級の実現が学力の向上に与える効果は限定的であり、財源も示されていないとして否定的な対応を示し、協議が続いていました。その結果、小学校について2年生から段階的に来年度から令和7年度の5年間をかけて、1クラスの定員を40人以下から35人以下に引き下げる方向で最終調整に入りました。

政府は、来年度予算案の閣議決定に向けて、17日、萩生田文部科学大臣と麻生副総理兼財務大臣による閣僚折衝で合意を目指すことにしています。

導入に向けた議論の背景
実現すれば、小学校全体ではおよそ40年ぶりとなる1クラスの児童数の引き下げ。

導入に向けた議論の背景にはコロナ禍での感染対策に加え、学校現場に山積する課題があります。法律で定められている現在の40人学級は、1980年度に導入されてから、2011年度に小学1年生のみ35人学級となったのを除いて、この40年間変わっていません。

しかし、学校現場では、AIなどの技術の進化や国際化の流れの中で、新たな時代を見据えた学びが次々と導入されてきました。新しい学習指導要領では主体的、対話的な深い学びが求められるようになったほか、小学校5年生と6年生で英語が教科化され、プログラミング教育も必修化、今年度中には、全国すべての小中学生に1人1台端末が配られ授業での活用が求められます。

一方で、昨年度、学校が把握したいじめは初めて60万件を超え、不登校の子どもは18万人余り、暴力行為も8万件近くといずれも過去最多となっていて、外国籍の子や障がいのある子なども含めて、個々のニーズに応じた指導が欠かせなくなっています。

こうした中、OECDの調査では日本の教員の1週間の労働時間は参加した48の国と地域の中で最長となるなど、教員の働き方も課題となってきました。こうした従来からの課題に加えて議論を加速させたのが新型コロナウイルスの感染拡大でした。

全国知事会などから現在の40人学級では感染症予防のための十分な距離の確保が難しいと緊急提言が出されたほか、教育研究者などからも少人数学級の実現が強く要望されていました。ただ、公立の教員採用試験の倍率はこの20年で3分の1程度にまで下がっていて、35人学級の導入に向けては、教員の確保とともに質をどう維持するかが課題になりそうです。

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40年ぶりに義務標準法(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律)を変えるのは画期的なのではなく、先進国としては恥ずべきことなのだろうと思います。しかし、これも経済成長に連動するものですから、何が悪かったのかしっかりと経済政策の振り返りが必要です。

30年前にバブルがはじけ、我が国が取った方針はインフレを恐れて金融を引き締めました。先進国は、金利を下げ金融を緩め続けました。その結果、米国の次の生産力を誇っていた日本は中国に抜かれます。欧米各国は国民所得を倍近くに増やし、我が国の所得は実質賃金が下がっていくという憂き目にあいました。

その原因は、「日本は借金大国」「税金を上げて借金を返し、支出を抑えて緊縮財政にする」という財務官僚の誘導にメディアをはじめ国全体がまんまと乗せられてしまったのです。その結果、市場にはお金は回らず、企業はリストラを進め非正規労働者と失業者の山が残されたのです。未だに小学生の子どもたちから「日本は貧乏なんでしょう」という声を聞く時があります。

借金(投資)はその額を超える富を未来に生み出すという視点が必要です。もしも、日本が欧米と同じような金融・財政政策をとっていれば、増えた所得の分だけ税収も増えたはずです。未来のために投資をするのに、今生きている人が貧乏になるほど返すのもおかしな話です。特に教育は、未来の納税者を生み出す国の営みです。教育は100年先の国のあり方を考えて行う先行投資です。今生きている人はもういませんから、強い想像力が必要となる事業です。

中学校の学級分も実現し、先生はどんどん雇えばいいと思います。競争率が低いと有能な人が採用できないという発想は、高学歴の人たちが言い出しそうな台詞です。それなら激しい競争に勝ち抜いた有能な官僚が生み出した「失われた20年」にはどう理由をつけるのでしょう。人口が少なくて競争率の低いフィンランドで教員は何故国民から尊敬されるのでしょう。画一的なテストだけでは人の能力は測れないのです。

 

特別支援学校の教室不足

段ボールで間仕切り特別支援学校の教室不足深刻「設置基準の策定は悲願」

2020年12月16日 19時16分【毎日新聞】

その教室は「壁」で二つに分割されている。壁といっても、既製の間仕切りにプラスチック板や段ボールをつなぎ合わせたもので教職員の手作りだ。教室不足を補うためだが、それぞれの「教室」は横幅3メートル程度。6人分の机や椅子、教材を置くと、残りは大人が1人通れるほどしかない。壁と天井には50~60センチほどの隙間(すきま)もある。「音に敏感な子もいるんですが……」。庄司伸哉校長は顔を曇らせた。

東京都江戸川区の特別支援学校「都立鹿本学園」は、知的障害の小・中学部と肢体不自由の小・中学部、高等部があるが、全106学級のうち18学級が分割教室を使っている。開校は2014年。設計段階で想定していた学級数は知的障害51学級、肢体不自由33学級だった。しかし、現在の児童・生徒数は455人で開校当初から約80人増え、学級数は知的障害61学級、肢体不自由45学級に増えた。教室が足りなくなり、16年度ごろから普通教室に手製の間仕切りを設置したり、図工・美術で使う特別教室や会議室など8室を普通教室に転用したりしてきた。

だが、校内の「過密化」は避けられない。それによってストレスを感じる子どももいるという。今年はコロナ禍が追い打ちをかける。感染すれば重症化しやすいといわれる基礎疾患がある子どももいる。十分なスペースが取れない中、マスクを外す給食の時間は特に細心の注意を払う。庄司校長は「けがや事故が起きやすい状況にあるし、災害など有事の際の誘導も不安が拭えない」と打ち明ける。こうした問題は全国各地で起きている。学校の整備が、児童・生徒数の増加のペースに追いついていないためだ。

19年度の全国の国公私立特別支援学校数は1146校で、この10年で116校増えた(約11%増)。一方、19年度の児童・生徒数は14万4434人で2万7399人増(約23%増)。障害種別に合わせた専門的な教育を求める保護者が増えたことなどが要因とみられる。顕著なのは全体の9割を占める知的障害の子どもの数だ。視覚障害、聴覚障害、肢体不自由などの子どもがほぼ横ばいなのに対し、右肩上がりが続く。

特別支援学校の学級編成標準(上限)は、義務標準法で小・中学部は1学級6人、高校標準法で高等部は8人(重複障害の学級はいずれも3人)。児童・生徒が増えれば学級数は増える。例えば小・中学部の場合、6人なら1学級だが7人になれば学級数は2になる。文部科学省調査では、全国の公立特別支援学校の教室不足数は計3162室(19年5月1日現在)に上り、分割・転用教室などでしのいでいるのが現状だ。

なぜ特別支援学校でこんなことが起きているのか。小中学校や高校には学校教育法の規定に基づき設置基準が定められ、自治体などの学校設置者が新設する場合、児童・生徒数に応じた校舎の面積、普通教室や特別教室など校舎に備えるべき施設などが決まっている。既存校にも「努力義務」が課される。

しかし、特別支援学校には設置基準がない。そのため想定を超える児童・生徒数を受け入れ過密化が進んでも解消するための法令がないのだ。文科省担当者は「小中学校や高校に比べて在籍者の年齢幅が大きく、障害種別も多岐にわたるため一律に作ることが難しかった」と説明する。

これからの教育の在り方について議論している文科相の諮問機関「中央教育審議会」(中教審)は来年1月にも出す答申で、特別支援学校の設置基準の策定を国に求める見通しだ。全国特別支援学校知的障害教育校PTA連合会の茨田一矢会長(47)は「設置基準は歴代会長が求め続けてきた悲願だった。現場の声も取り入れながら、実態に応じた環境づくりにつなげてほしい」と期待を込める。

設置基準できても「努力義務」になる可能性
だが、特別支援学校の設置基準ができても教室不足解消に直結するとは限らない。小中学校や高校と同様、既存校に関しては「努力義務」になる可能性があり、現状の教室不足の解消は各都道府県の取り組みがカギとなる。

文科省の19年調査で教室不足数243、16年調査からの増加数72といずれも全国最多だった熊本県。知的障害の子どもが通う特別支援学校高等部の生徒数が熊本市と周辺地域で特に増えたため、11年に県立特別支援学校整備計画を作って環境改善を進めてきた。しかし、小・中学部や県内全域でも特別支援学校に通う児童・生徒数が増えてきたため19年に計画を改定した。

現在、県内の国公立特別支援学校は22校。計画では、教室の分割や転用をしても5年間で教室不足が解消しない見込みの7校については高等部を丸ごと県立高校の校舎内に移すなどして24年度までに教室不足を「ゼロ」にする目標を立てた。

改修などが必要になるため移転費用は数十億円規模になる見通しで、高等部が移転していった後の校舎で老朽化に伴う改修などが必要になれば、さらに工費がかかる可能性がある。国は20~24年度を教室不足解消の「集中取り組み期間」として、改修費の補助率を3分の1から2分の1に引き上げた。県教委担当者は「設置基準があった方が整備する際の設計の根拠になるが、限られた予算でどこまで反映できるか。既存校に関しては経過措置が必要だ」と話している。

通常学級での「インクルーシブ教育」推進を
中央教育審議会の答申を受け、文部科学省は特別支援学校の設置基準の策定に着手するが、どのような設置基準が望ましいのか。今後の特別支援教育はどうあるべきか。日本大文理学部の高橋智教授(特別支援教育)に聞いた。

高橋教授は設置基準について「子どもの成長や発達を保障する観点から設ける必要がある」と述べ、盛り込むべき項目として、児童生徒数・学級数の上限▽在籍者数・学級数に応じた校舎面積▽最低限備えなければならない特別教室▽必要な多機能トイレや給食施設――などを挙げる。同時に施設改修費などへの国の十分な予算措置も必要と訴える。

一方、特別支援学校で児童生徒数の増加に伴う過密化が問題になっている要因として、子どもが障害の有無にかかわらず一緒に学ぶ「インクルーシブ教育」への対応の遅れを指摘する。比較的軽度の障害の子どもに対しては、小中学校で通常の学級に在籍しながら一部の授業は別の教室で受ける「通級指導」がある。文科省によると、通級指導を受けている児童生徒数は2019年5月現在、約13万人で10年前から約2・5倍に増えたものの、現場では専門性のある教員の不足にあえいでいる。

高橋教授は「国が進めるインクルーシブ教育の体制が学校で整っていないために、発達に課題のある子どもたちが特別支援学校へ行く“玉突き現象”が起きている。設置基準という大枠は必要だが、子どもたちがどこでもきめ細かな教育を受けられる体制を整えなければ、抜本的な解決にはならない」と話している。

<特別支援学校の教育環境の整備に関する答申素案>
・国が特別支援学校に備えるべき施設などを定めた設置基準を策定する
・教室不足の解消のため、国は学校の新築や増築、他校の余裕教室を活用するなどの集中的な施設整備の取り組みを進める
・既存校で設置基準を満たさない施設が使えなくなる事態を避けるため、国が必要な手当てを講じつつ、設置者は可能な限り基準に適合させるための措置を講じるよう努める

教育現場では今、複雑・多様化する社会に対応できる資質・能力の育成や個に応じたきめ細かな指導が求められている。そのためには、どのような教育体制を構築すべきなのか。中央教育審議会(中教審)が来年1月にも出す答申に盛り込まれるとみられる主な項目のうち、特別支援学校の環境整備▽小学校での教科担任制導入▽高校普通科改革▽通信制高校の質の保証――について、関係する現場の実情や課題を4回にわたって報告する。【千脇康平、田中理知】

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政府は17日、公立小学校の学級編成基準(上限)を現在の40人(1年は35人)から35人に引き下げることを決めたことを昨日掲載しました。来年度以降、2年から学年ごとに移行し、5年間をかけて全学年で実現することになるそうです。

その陰で、特別支援学校の1学級の人数や教室の大きさを定める設置基準の法制化が足踏みをしています。記事にもあるように、仮に法制化されても小中学校と同じように既存学校は努力義務となる可能性も高いというのがなんとも情けないです。

ただ、特別支援学校の教室不足は、記事のように専門教育志向の増加やインクルーシブ教育の未整備だけでなく人口の都市集中があります。保育所不足問題も特養不足問題も人口の都市集中が背後にあり家族や就労形態の変化があります。都市の賃金の高さと利便性を求めて人口は集中します。その分都市の税収は地方より多いのですから、便利な分は都市が負担するというのが合理的なのですが、教育等公共サービスには国の法基準に沿うという縛りがあります。

本来、この基準は地方財源に関係なく公的なサービスを公平に行うために作られているものですが、都市が公共サービス改善の遅れの言い訳をするために使われる向きも否定はできません。基準がないから改善の優先順位は低くなるというわけです。都市は公共サービスの不具合を国の責任にして、国は全国の要望が出揃ってからと地方格差を改善の引き延ばし理由に使います。こうした地方と国がもたれ合う仕組みはおかしいという議論の中で出てきたのが道州制です。

道州制とは. 「中央集権型国家」から「真の分権型国家」へ. 都道府県に代わって、より広域の単位で新たな地方自治体(道州)を設置し、国から広範な権限と財源を移管する制度です。こうしても東京一極集中をはじめとする都市集中問題が解消できるかどうかは分からないですが、少なくとも1億2千万人の住むところが同じ環境のはずがないので、もう少し住民に近い場所で政治が動き、状況に応じた分配を素早く行う仕組みは必要です。それにしても支援学校だけが教室を半分に仕切って何年も授業しているのは、障害者差別とも言えますから、基準云々の問題ではなく自治体が応急処置で改善すべきことだと思います。

通学の荷物重すぎる?「置き勉」?タブレット?

通学の荷物重すぎる?「置き勉」、学校ごとにルール部活用具も加われば…

12月20日 16:00【熊本日日新聞】

熊日の調査報道企画「SNSこちら編集局」(S編)などに「通学時の荷物が重すぎる」との声が相次ぎ寄せられている。県内14市の教育委員会を取材すると、学校に教科書などを置いて帰る「置き勉」を、全市教委が「認めている」と回答した。ただ児童生徒や保護者らの実感とは必ずしも一致しないようだ。S編では現在、荷物の重さを量ってもらうなどのアンケートを実施している。

文部科学省は2018年9月、児童生徒の携行品が過重にならないようにする配慮を、全国の教育委員会に要請。これを受け、県内でも家庭学習で使わない教材の「置き勉」を認めるなどの対応が教委や学校に求められるようになった。

実際に荷物の重さを調べた自治体もある。荒尾市では小学校平均が5・3キロ、菊池市では学年別平均で小学校が3・7~4・7キロ、中学校が6・4~7・5キロだった。

菊池市教委は重さ調査後に校長会で「置き勉」の実践例を共有。人吉市教委は「生徒会で自主ルールを決めている中学校もある」とした。県内の学校ごとで“置き勉ルール”の違いがあるようだ。

熊本市教委は今年11月にも過重対策を各学校に再要請したが、「学校によって保管スペースや通学距離などの実態が違う」などとして、ルールづくりは各校に委ねている。部活動用具なども加わり、過重感が増している実態もある。(原大祐)

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ゆとり教育からの脱却を目指し昔に比べ教科書のページ数も増えました。置き勉を禁止されている子どものランドセルは4㎏以上あります。それ以外にも、登下校には体操服入れや水筒・習字セットに絵の具セット、リコーダーや鍵盤ハーモニカ、夏にはプールバック、雨には傘やカッパなどがあります。

しかし、重さの問題よりも何よりも不注意傾向の子には、忘れ物や落としものが多くなるのです。放デイは学校にお迎えに行きますから、子どもの帰り支度の場面に良く出くわします。ランリュックそのものは重くないですが容量が間に合いません。図書室から借りてきた百科事典風の図書を入れるだけでもう他のものがほとんど入りません。普通は大きなものは手提げに入れて小物はランリュックに入れて帰りますが、不注意傾向が強い子は実行機能と言って段取りの力も弱いので、物を整理して収納することができません。大きなものを詰めた結果、カバンの蓋が開いてぽろぽろと物を落とします。

近頃の水筒は大きめのものが多いのですが、持って帰るのを忘れやすいとランリュックに入れる子どもがいます。どうやって学校でなくすのか不明ですが、冬にはジャンパーを紛失する子もいて、これも暑い時はランリュックの中に入れます。親に紛失しないように入れておきなさいと言われるのでしょう。とにかく持ってくるものが多すぎるのです。カバンにデジタル教科書の一切合切が入ったタブレット端末とメモ帳とペン、体操服を入れてくるだけにならないものでしょうか。

 

木土大接近

観覧車が特等席?木星・土星が397年ぶり「超大接近」

2020年12月21日 20時27分【毎日新聞】

397年ぶりの「超大接近」と話題になっている木星と土星が、21日の日没後、南西の空で最も近づいた状態で観測された。両惑星の離角は約0・1度で、月の直径のおよそ4分の1程度しかない。

相模原市緑区では、ライトアップされた「さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト」の観覧車の上に、木星と土星が接近して輝く様子が見られた。双眼鏡で眺めると、同じ視野の中で接近した両惑星の他に、木星の周囲を回るガリレオ衛星もはっきりと確認できた。

木星は現在マイナス2等、土星は0・6等の明るさ。両惑星とも日没から1時間ほど後の南西の低空で、すぐに見つけられるほど目立つ明るさで輝いている。

約12年で太陽を一周する木星と、約29・5年で一周する土星は、地球からの見かけ上、約20年ごとに接近して見える。国立天文台によると、これほど近づくのは1623年7月以来で、次回は60年後だという。両惑星の見かけ上の「最接近」は22日午前3時ごろだが、日本ではその時間には両惑星は地平線下のため、21日夕が最も近づいて見られた。惑星の動きは遅く、22日夕にも、同じように大接近した様子が見られる。

全国の天文台や天文関係者などが、両惑星がどのように見えたかを報告する観測プロジェクト「惑星で星空視力大実験!!!」を実施している。詳細はウェブサイト(https://www.nayoro-star.jp/mokuseidosei/jp/)。【手塚耕一郎】

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家康・秀忠の遺志を継ぎ、武家諸法度・参勤交代の制などを整え、幕政の基礎を築き、キリシタンを弾圧して鎖国体制を強化した徳川家光[1604~1651]江戸幕府第3代将軍も同じ現象を見たでしょうか。世界ではフランスでルイ13世が即位し(~1643)ロシアではロマノフ朝が成立している時期です。そして、1633年「天文学の父」ガリレオ=ガリレイは宗教裁判にかけられ、「それでも地球は動いている」と有名な言葉を残しました。実はこの木星はガリレオをガリレオたらしめた惑星なのです。

1564年、ガリレオ・ガリレイは現在の北イタリアに位置するフィレンツェ公国ピサに生まれます。日本では翌年に足利義昭が上杉謙信に援助を依頼しています。NHKの大河ドラマ「麒麟が来る」で今週放映している織田信長の時代です。

1581年、17歳のときにピサ大学に入学し、ユークリッドやアルキメデスを学び、1586年に最初の科学論文を発表します。ガリレオは25歳で大学教授の地位を得て、1610年まで数学、幾何学、天文学を教えます。そして、木星の衛星ガリレオ衛星を自分で作った天体望遠鏡で発見し論文を発表します。木星の衛星の発見は当時の天動説には不利なもので、彼は世界的な名声を博したのです。

その後、ガリレオは金星が大きさを変えることを発見します。古代ギリシアのアリストテレスらの天動説に従うならば、地球から金星の距離は一定のため、大きさは変化しないはずだと主張します。ガリレオが地動説について言及し始めると、異端であると訴えられます。1616年、52歳のガリレオは宗教裁判にかけられ、地動説を唱えないよう注意を受けます。しかし、1630年に地動説の解説書「天文対話」を執筆します。これにより1633年の2回目の宗教裁判で終身刑を言い渡され、軟禁状態での生活を送ることになります。

ガリレオは経済的に苦境に立たされ病気がちになり、看病してくれていた長女も病気で失い、その後ガリレオは失明します。ガリレオは困難な状況にも屈することなく、口述筆記で研究の成果を残しました。1642年1月8日、彼は77年の生涯を閉じました。天文対話を書く7年前、1623年の木星土星の大接近をガリレオは見ています。

ガリレオが敬虔なカトリック教徒であり、キリスト教が強大な力を持っていた時代に、教会と信者の同調圧力に屈せず、何故地動説を唱え続けたかについては、発達障害説を説く人が多いです。発達障害では通常の生活において困難も多いのですが、1つの事柄に執着する能力が高く、先進の人々に受け入れられその能力が開花すれば、世界を変えるところまで行きつくのだと思います。

 

 

講師の採用

どんなに慕われても・・・1年で代わる先生たち学校で増える非正規教員の実態

2020年12月22日 17時53分【毎日新聞】

学級担任も部活動の指導も任されるが、給与水準は低く、翌年度も教壇に立てる保証はない――。そんな不安定な立場の先生が小中学校で増えている。増加の背景と問題点を探った。【大久保昂/東京社会部】

「4月以降も仕事あるのかな」
年度末が近づくと、携帯電話を手放せなくなる。教員としての任期が年度末で切れるため、4月以降も仕事があるかどうかについて、いつ教育委員会から連絡が来るか分からないからだ。女性は首都圏の公立小学校で先生をしている。仮に仕事が見つかっても、別の学校に移ることは「暗黙の了解」で、渡り鳥のように転々としていく。給与は同い年の正規教員と比べると7割ほどだ。

「本当に子どものことが好きなんですよ」
明るく話す女性の姿からは、教師という仕事にやりがいを感じている様子がひしひしと伝わってくる。大学を卒業したのが5年前。まだ20代の後半に差し掛かったところで、教員としては若手と言える。ただ、世間で一般的にイメージされる教員とは立場が少し違う。「臨時的任用教員」。教育委員会と数カ月~1年の契約を結んで教壇に立つ非正規教員だ。教員採用試験に合格して採用された正規教員と同様にフルタイムで勤務するため、「常勤講師」と呼ばれることもある。

「普段、自分が『非正規』だと感じることはあまりない」と女性は言う。4年続けて学級担任を受け持ってきたし、学年主任の同僚が産休に入った時は、その仕事の一部を引き受けた。退勤時間は、職場内でも後ろから数えた方が早い。それでも、ふとした瞬間に自分の立場を思い知らされる。教育委員会が開く研修の申込書の職種欄には「教諭」ではなく「講師」と記入する。そして契約が切れる年度末になるたびに不安がよぎる。「来年度も仕事あるのかな」

「来年も先生がいい」に本当のことが言えない
保育士だった母親の影響で、子どもと関わる仕事がしたいとの思いは幼少期から漠然とあった。それが「小学校の先生」という具体的な姿に変わったのは、小学5、6年の担任の先生との出会いがきっかけだ。その先生は、良い部分を引き出したり、苦手なものを克服するきっかけを作ったりするのが上手だった。ある日の体育の授業でのこと。倒立や側転をしたら、クラスメートから小さな称賛の声が上がった。先生はそれを聞き逃さなかった。「みんなの前でやってごらんよ」。人前に出るのは苦手だったが、思い切って実演した。

すると、普段はあまり話さない同級生からも「すごい!教えて!」とせがまれた。世界が少し広がった気がした。殻を破る手助けをしてくれた先生。「自分もこんな仕事ができたらいいな」。将来の夢は固まった。中学校の授業で課された職場体験では、迷わず小学校を選んだ。高校の夏休みは近くの児童館で子どもの世話に明け暮れ、大学時代も小学校でボランティアをした。とにかく子どもと触れ合うのが好きだったし、先生になりたかった。

大学4年の時に小学校の教員免許を無事取得し、生まれ育った県の教員採用試験を受けた。ところが、なかなか合格できない。1次の筆記試験は何度かパスできたものの、面接や模擬授業が課される2次試験で落とされた。不合格の通知には「講師」としての勤務を勧める案内が添えられており、複雑な気分になる。

「来年も先生がいいな」
教え子にこう言われた時は返事に困る。信頼関係ができている先生が続けて教えた方が子どもは安心できるし、学習効果も上がるのではないかと思う。ただ、立場上それはかなわない。「クラス替えもあるし、校長先生が決めることだからね。でも、もしそうなったらよろしくね」子どもをがっかりさせないようにごまかしてきた。

背景に教員の育休取得の増加とその質の変化
義務教育の現場で、常勤講師の増加が指摘されて久しい。文部科学省によると、2008年度には5万3530人だったが、20年度は7万3347人と約1・4倍になった。なぜこんなに増えているのか。文科省が背景の一つに挙げるのが、教員の年齢構成の偏りだ。

1990年代に教員採用を抑えていた各地の教員委員会は、「団塊の世代」などの教員の退職分を補充するために00年初頭から採用増にかじを切り、今も高止まりが続く。これによって結婚や出産を迎える人が多くなる30代の教員が大きなウエートを占めるようになり、産休や育休の取得者も増えた。

年度途中などに教員が欠けた場合、教育委員会は授業に穴を開けないように代わりの先生を探さなければいけない。文科省によると、産休や育休の代替教員として配置された常勤講師は、08年度は1万4812人だったが、20年度は2万5968人へと増加している。

こうした事情に加え、産休や育休の「中身」の変化を指摘する研究者もいる。慶応大の佐久間亜紀教授(教育学・教職論)は昨年、ある県と共同で講師の需要が高まっている背景などを調査した。すると、小中学校の正規教員の育休取得率には変化がない一方、近年は育休が長期化している実態が浮かんできた。

分析したのは、県内の特定の教育事務所管内における育休の取得者数と取得期間だ。14年度と18年度で比べたところ、育休を取る教員は140人前後と変化がなかった。ところが、育休の取得期間を見ると、14年度には95%以上を占めていた「3年以内」の教員が、18年度は約63%まで減少。逆に、14年度は一人もいなかった「5年以上」の取得者が18年度は約1割いた。

育休の長期化が進んでいるのは、教員の仕事と子育ての両立が難しいからだというのが佐久間教授の見立てだ。文科省が16年度に実施した調査によると、小学校で約3割、中学校で約6割の教員が「過労死ライン」とされる月80時間以上の残業をしていた。佐久間教授は「待機児童対策などの子育て支援策がもともと不十分な上に、教員の長時間労働の解消も進まない。講師頼みの背景には、正規の先生の勤務条件の問題があるということにも目を向ける必要がある」と訴える。

自治体には正規教員の採用を抑えたい事情がある
ただ、産休や育休による欠員補充は講師需要のごく一部に過ぎない。それ以外の理由による配置も、08年度の3万8718人から20年度は4万7379人と増えている。一時的に穴を埋める「ピンチヒッター」だけではなく、非正規の立場でありながら「レギュラー」として活用されるケースも増えているとみられる。

具体的にどんな事情があって講師を配置しているのだろうか。依存度が高い自治体に直接聞いてみた。教員定数に対して常勤講師(産休・育休の代替は除く)が占める比率が16・4%と全国で最も高い沖縄県。県教委の担当者は「正規教員を増やしたいが、なかなか増やせない」と言う。

沖縄県は教員の需要が特に増えている自治体だ。「団塊の世代」の退職という全国的な事情に加え、合計特殊出生率が1・82人と突出して高く、子どもの数は減っていない。更に県独自の取り組みとして、特別支援教育を充実させたり、小中学校の少人数学級化を進めたりしており、その分の教員も必要となっている。ただ、県教委によると、教員採用数を一気に増やした場合、倍率が下がって質の担保が難しくなる。新人教員に課す研修の受け入れ態勢も足りない。

担当者は「採用を一気に増やすのではなく、ある程度平準化したい。非正規に依存する現状を良いとは思っておらず、将来的には正規の比率を全国並みに引き上げたい」と釈明する。常勤講師の比率が15・4%と2番目に高い奈良県も、退職分を一気に埋めた場合のデメリットを避けるために「採用の平準化」を進めている点は同じだ。ただ、それだけではなく「少子化」も理由に挙げる。

奈良県は沖縄県とは違い、子どもが減っており、これに合わせて必要な教員数も減少傾向にある。県教委の担当者は「取り過ぎると後々しんどくなる」と打ち明ける。いま必要な教員をすべて正規採用した場合、将来的に過剰な教員を抱えることにならないか心配だというわけだ。

需要の高まりによって深刻化する「講師不足」
産休や育休の増加と自治体による正規採用の抑制――。こうした事情から来る講師需要の高まりは、学校現場に「講師不足」という深刻な問題をもたらした。16万人を超える小中学生を抱える大阪市は、常に講師の確保に苦労している自治体の一つだ。年度当初は何とか教員の頭数をそろえているが、年度途中で離脱者が出た場合はすべてを補充するのが難しい。今年度も11月1日時点で小学校で49人、中学校で9人の教員が欠員となっている。教頭などの管理職も含めた他の教員がカバーし、何とかやりくりしているとみられる。市教委の担当者は「現場に負担をかけているのは間違いない」と話す。

公務員を対象外としている「無期転換ルール」
私が非正規教員の問題を初めて取材したのは11年。社会のあちこちに「リーマン・ショック」の爪痕が残り、「派遣切り」や「雇い止め」が大きな問題となっていた。その時に感じたのは、民間企業だけではなく、教育委員会という公の機関までもが、労働者を何年も非正規で働かせ続けることへの疑問だった。

民間企業の雇用契約は、この時の反省から一定の改善が図られた。12年8月に労働契約法が改正され、有期雇用が5年続いた場合、労働者の申し入れがあれば、無条件で無期雇用に切り替わるルールが設けられた。しかし、公立校の非正規教員はいまも変わらず、20年でも30年でも講師の立場に据え置くことが認められている。労働契約法は公務員に適用されないからだ。

日本労働弁護団の常任幹事で、教員の労働問題に詳しい嶋崎量(ちから)弁護士は「教員だけではなく非正規の公務員に共通した問題」と前置きした上で、「いつまでも不安定な有期雇用が続くという点で、民間企業より劣悪な条件に置かれている」と指摘する。その上で「学級担任を受け持つなど正規教員に近い仕事を5年も続ければ、立派な戦力だと考えるべきであり、民間企業と同じように無期転換したり、正規化したりする仕組みが必要ではないか」と訴える。

落ち続けてもあきらめられない魅力的な仕事
「番号、なかったよ」
今年10月上旬。冒頭で紹介した女性教員は、勤務校の校長から校長室で採用試験の結果を伝えられた。6度目の挑戦は2次試験まで進んだものの、またも合格には届かなかった。最初は結果を冷静に受け止めたが、職員室の自席に戻ると悔しくなり、こぼれそうになる涙を必死でこらえた。

学生時代の仲間の中には、先生を目指したものの、その道を諦めていった同級生たちがいる。採用試験で不合格が続くことに耐えられなくなった人。合格したものの職場が合わずに「精神的につらい」と言って教壇を去った人――。女性自身も「別の道を歩んだ方がいいのかな」との考えが脳裏をよぎったことがある。踏みとどまらせてくれたのは、講師として教壇に立ったことで得られた充実感だ。子どもたちのノートやテストの結果を見て、自分の授業を通じて力をつけてくれたことが分かるとやっぱりうれしい。

来年度も契約が更新されれば、講師生活は5年目に突入する。「大変なことも嫌なこともあるけれど、できるところまでやってみよう」。正規教員を目指してチャレンジし続けると心に決めている。

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すてっぷに通う子どもの学級担任も講師がいます。講師かどうかは確認したことがありませんが、宿題の出し方等を見ていて、発達障害のことをあまりよく知らないのではないかと感じる時もあります。講師の先生だから仕方がないかなと思う事もあります。もちろん若手の講師の先生でもバリバリ学んで、素晴らしい指導をしておられる方もいます。問題は、その努力に使った時間だけ採用試験の勉強はできないという矛盾です。

学生時代に努力しなかったのだから仕方ないと言われる向きもありますが、人間には遅咲きや晩熟の人もいます。講師として職場に出て初めて教育の魅力に気が付く人だっています。教員養成系の大学に入り、就職前の1年は各教委が囲い込みのために行うインターンシップや養成セミナーに通って試験のコツを知り、要領よく採用試験に受かる新卒の教員と、産休や育休、病休の便利使いで何年も講師を続けて現場から感謝されている教員の差が、来期も教員が続けられるかどうかの安定感のあるなしでは差が大きすぎます。

民間では何年も同じ職種で正規と同じ働きをしている労働者は正規雇用していく向きがあるのに、本人が採用試験を受け続けているのに5年以上たっても採用されない講師はざらにいます。ただ、5年やって認めてくれないなら、その職には縁がなかったと他の職種を探すのが合理的だとは思いますが、そこまで認められないのはよほどモチベーションの低い講師なのかと思えば、そうではない人が少なくないというのが悩ましいのです。

競争倍率だけで質の良し悪しを考えるのは、相手がどこの誰かわからない場合の競争の時です。講師は何年も何人もの人達が見ているのです。その善し悪しがわからないはずがないのです。試験の得点だけでは人は測れないと言っていますが、いかに嘘っぽい話か教員採用が証明しているようなものです。今回の小学校35人学級の実現がいかほどの講師を正規として採用するのかわかりませんが、努力している人を掬い上げるのが教育の王道というものです。

 

有罪判決 放課後等デイサービス「ホアロハ」

生徒に暴行 元施設長に有罪判決

12月23日 18時47分【NHK】

神戸市の児童福祉施設で、知的障害のある女子中学生の顔をたたくなどして、暴行の罪に問われた元施設長に対し、神戸地方裁判所は執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。

神戸市北区の放課後等デイサービスの事業所「ホアロハ」の元施設長、戸嶋清被告(45)はことし6月と8月、施設に通っていた知的障害のある中学3年生の女子生徒の顔を手のひらでたたくなどしたとして暴行の罪に問われていました。
これまでの裁判で、検察は「暴力的な手段で従わせようと安易に暴行を繰り返し、責任者にあるまじき対応だ」などとして懲役1年を求刑し、弁護側は反省しているとして執行猶予のついた判決を求めていました。
23日の判決で神戸地方裁判所の国分史子裁判官は「障害を理解し、適切な対応をとるべき管理者という立場であるにもかかわらず、指示どおりに行動してくれないことに一方的に腹を立てて暴行した。その発想は安易かつ卑劣で、話すことができない被害者の人権を軽視していて刑事責任は重い」と指摘しました。
犯行を認め、施設の廃業を届け出ていることなどを考慮して懲役1年、執行猶予3年を言い渡しました。
この施設では、元職員の長谷川聡被告(52)も同じ女子生徒の足を蹴ったとして暴行の罪に問われ、裁判で無罪を主張しています。

【市が給付金の返還求める】
神戸市は23日、「ホアロハ」が市から給付金を不正に受給していたとして、返還を求めていると発表しました。
市によりますと「ホアロハ」は去年2月からことし7月にかけて、実際に児童が利用していないのにもかかわらず利用していたかのように装い、市から給付金およそ285万円を不正に受給していたということです。
これを受けて、市は児童福祉法に基づいて、運営をしていた法人に対して、給付金に追徴金を加えたおよそ400万円の返還を求めているということです。
また、「ホアロハ」はことし10月下旬に事業所の廃止届を提出していて、神戸市は先月30日に受理しました。

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どうして、このような放デイを神戸市が認めたかはおとがめなしです。子どもに手を上げて大声で脅し、給付金の詐欺(虚偽報告)をする。こんな経営者の事業所は閉めて当たり前ですが、役人にはこれを見落とした監督責任はないのか首をかしげます。神戸市の福祉の不祥事は今回だけではないからです。福祉だけでなく、学校教育でも、教員いじめの職員が学校支配して管理職が何も言えない状況なども、昨年メディアを賑わせました。神戸市全体の行政が緩んでいると言われてもしかたがないと思います。

 

 

校則なくした中学校

「校則なし」で区立中はどう変わったか校則は誰のためにあるのか

2020/12/25 16:00【共同通信】

「校則なし」を実現した公立中学校がある。東京都世田谷区の区立桜丘中だ。服装や髪形は自由で、遅刻しても、教諭に大声で怒鳴られることはない。定期テストやチャイムもない。全国各地の学校ではいまだ、下着の色指定やツーブロック禁止など理不尽な校則がまかり通る中、桜丘中はどのように校則をなくしていったのか。前校長の西郷孝彦さん(66)に聞いた。

校則はいったい誰のため?
3回にわたって考える3回目です。(共同通信=小川美沙)

―校則をなくしたきっかけは。
赴任した2010年当時、桜丘中は荒れていた。服装や髪形に関する決まりがあり、教諭が声を荒らげて生徒を指導することもあったが、子どもたちを上から押さえつけたってうまくはいかないと感じていた。

学校にはさまざまな子どもがいる。「普通の子」なんて存在しない。こだわりが強い、朝起きられない、制服が着られない、学習障害や発達障害がある…。こうした個性や特性を考えずに、「靴下は白」「中学生らしい髪形」など合理的な理由がない校則を当てはめると、それがストレスになり、不登校になる。

生徒全員に「学校は楽しい」と感じてもらえるにはどうすべきかを考えると、合理的な理由のある校則は一つもなかった。それに、校則で「みんな同じ」を押しつけると、枠からこぼれ落ちた子がいじめの対象になる。

ある男子生徒は、学習障害があるためにタブレットの持ち込みを必要としていたが、別の中学では「一人だけ特例は認められない」と断られたそうだ。桜丘中で受け入れ、これを機に「全員持ち込みOK」にした。その生徒だけでなく、誰にとっても過ごしやすい環境を目指したからだ。

―学校は集団生活を送る場で、ルールは必要だとされているが。
校則ありき、ではない。生徒が自ら考え、判断する力を伸ばすにはどうするか、だ。どんな髪形や服装をするかは自分で決める。帽子をかぶって来る子もいれば、メイクをする子もいた。チャイムがないから、自ら時間を管理する。授業中に居眠りしても、注意することはない。短時間の居眠りで頭はスッキリする。教諭は授業に集中してもらえるよう工夫するようになり、居眠りも減った。

校則をなくしたもう一つの理由に、生徒に「非認知的能力」を身に付けてほしいという願いがあった。社会で活躍するためのコミュニケーション能力や柔軟な発想力など、紙の試験では測れないスキルを指す。そのために生徒に対し6つのことを実践した。①言うことを否定しない②話を聞く③共感する④触れ合いを積極的に行う⑤能力ではなく努力を褒める⑥行動を強制しない―いずれも厳しい校則とは相いれないことだった。

―生徒はどう変わったか。
「管理」されることに慣れた子は最初は戸惑うが、自由に思ったことを言わせた。「授業がつまらない」でも「こんなの将来役に立たない」でも、とがめない。その結果、教諭との信頼関係を作りやすくなったと思う。年に数回「ゆうゆうタイム」といって、生徒と教諭が一対一で自由に話せる時間を作ったが、生徒の表情が豊かになったと感じる。こうして子ども本来の、自分自身に戻していく。自分から進んで勉強しようとする生徒が多くなり、学力も身についた。朝8時から、廊下に設けられたハンモックや椅子に座って、それぞれ勉強していた。

友達に対する考え方も変わったようだ。入学当初は他人の言動を気にしてばかりで、教師に「あの子はルール違反では?」と告げ口しに来た生徒もいた。しかし、桜丘中ではそれが意味の無いことだと気づくと、「私は私、あの人はあの人」だと自分も、相手も尊重できるようになっていく。2、3年生ではいじめは全く無い。

―全国の中学、高校には、理不尽な校則がたくさんある。
中高生が不安定な思春期にあることを忘れてはいけない。合理的な理由がないルールで縛ると最初は反発する。「内申書に響く」などと言われると、生徒は意見を述べるどころか、考えることさえ諦めてしまう。ストレスがたまると、勉強にも集中できないだろう。

学校は厳しい校則を運用する一方、社会で法に触れることが「治外法権」になり、曖昧に対処されがちだ。これでは生徒を混乱させる。体罰は暴行、傷害罪で、学校の内も外も同じ法律を適用すべきだ。桜丘中でも生徒が窓ガラスを割ったら、故意であれ過失であれ必ず弁償してもらった。校則はなくても、社会のルールである法律を守らなければならないという厳しさは、生徒も実感していた。

日本は1994年に「子どもの権利条約」を批准した。12条に意見表明権を定めており、生徒がルールや学校のことについて自由に意見を述べる機会は保障されなければならないはずだ。数年前、桜丘中でも生徒手帳に一部を抜粋して載せた。子どもたちに、君たちの権利は認められ、大切にされているんだということを伝え、安心してほしかったからだ。信頼とは、そうやってつくられていくと思う。

×××
さいごう・たかひこ1954年生まれ。今年3月まで東京都世田谷区立桜丘中校長。著書に「校則なくした中学校たったひとつの校長ルール

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「学校は校則を運用する一方、社会で法に触れることを曖昧に対処する。これでは生徒を混乱させる。」と言う考え方は理にかなっていると思います。学校は公共の場、社会そのものだという方が生徒は理解しやすいです。同じように、教員も学校を公共の場としてわきまえれば、生徒へのパワハラもセクハラもモラハラも犯罪として認知され、無法者は許されない土壌が作れるはずです。まだ、子どもだから、善悪が分からないから、という触法のラインが一体どこにあるのかわからないようなシステムこそ改めるべきだと思うのです。大人がしゃんとすれば子どもはまねるものです。

手続きの遅れで長期の通所待ち

療育施設に通えず、空白の4カ月 福岡市で長期手続き常態化

2020/12/27 06:00【西日本新聞】

「長男が4カ月間、幼稚園にも療育施設にも通えず自宅で過ごしている」。転勤で福岡県外から福岡市に転居した男性(30)が西日本新聞「あなたの特命取材班」に声を寄せた。長男(4)は発達障害があり、転居前は認定こども園と並行して、治療と教育を行う療育施設に通っていた。ところが転居後は福岡市が求める療育施設の利用手続きが進まず、それを理由に幼稚園にも通えない状態に。取材すると、福岡市独自の療育システムの課題が見えてきた。

男性の長男が療育を受け始めたのは2歳11カ月。転居前の自治体で認定こども園に通いながら、定期健診で言葉の遅れを指摘され、発達検査などを経て、療育施設に週3日通所した。言語聴覚士による言語療法や集団療育を受け「発語も少しずつ増えた」という。

転勤が決まると、転居後の療育が円滑に進むよう施設側が引き継ぎ書を作成。成育歴や検査結果、発達状態などが詳細に記された。

9月初めに転居。すぐに福岡市に療育施設の利用を申請すると「指定医の診断が必要」で、受診日は2カ月後の11月と告げられた。予約の空きが出て9月末に受診が早まり「自閉スペクトラム症」と診断されたが、その後の手続きがなかなか進まない。並行して幼稚園や保育所にも利用を打診したが「療育センターに相談を」と全て断られた。年末にようやく手続きが終わり、年明けから施設に週5日通えることになった。

「子どもの発達にとって大事な時期なのに4カ月間も待たされ、ずっと自宅で過ごさせるしかなかった。福岡市は『子育てしやすい街』じゃなかったの?」。男性は憤る。

*    *

福岡市にある未就学児向けの療育施設は26カ所。市こども発達支援課によると、利用には市内3カ所の「児童発達支援センター(療育センター)」に常駐する医師の診断が必須だ。他の医師の診断や療育手帳があっても、指定医の診断は免除されない。利用計画の作成や利用施設の決定も市が一括して行う。いずれも福岡市独自の仕組みだ。同課はその利点を「未就学児の発達障害の診断や判定は難しく、指定医が一括して診断すれば支援の公平性を担保できる」と話す。

近年、全国的に未就学児の療育施設の利用申請が急増。福岡市では10年間で倍増し、申請から診断まで平均1〜3カ月の待機が常態化している。市は2024年度をめどに新たな療育センターを開設予定だが、申請数の増加に体制整備が追い付かない状態だ。

他の自治体も医師の診断などを基に利用の可否を判断するが、多くは医師を指定せず、臨床心理士などの意見書でも可能だ。利用計画も民間の相談支援事業所が作成し、利用施設も保護者が選ぶなど柔軟に対応する。北九州市は「個人差はあるが申請から利用開始まで1週間程度」という。

さらに福岡市は施設数も他都市に比べて少ない。北九州市は67カ所、熊本市は79カ所。利用料の全額を公費で負担する鹿児島市は125カ所に上る。

国は発達障害の「早期発見、早期療育」を掲げる。厚生労働省障害福祉課は早期療育の利点を「子どもの発達に良い影響を与える上、保護者の不安や孤立感を取り除くことができる」と指摘する。

野口幸弘・西南学院大元教授(特別支援教育)は「福岡市は管理を重視しすぎだ。今回の事例も含め子どもの療育を優先しながら本人や家族の様子を見ることが大切だ。子どもの成長と家族の幸せを何より重視する支援を基本とすべきだ」と話した。 (本田彩子)

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京都府も5年前に、こども発達支援センターの初診が3か月以上の待ちがあると批判を浴びた事があります。しかし、今回の場合は診療ではなく手続きです。管理に縛られすぎだという意見ももっともですが、他地域では制度の趣旨(人為的な無支援状態を作らない)をふまえて手続きは利用と並行しながら間に合わせていくというふうに柔軟に運用しているわけです。人が少ないとか、申し込みが多いからなどと言っても、就学前児を1か月以上待たせる理由にはならないと思います。

もちろん、受け止める施設がどこも空きがないというならわかりますが、手続きの段階でこんなに待たせるというのは人権侵害だという感覚が担当者にないからできる事なのかもしれません。かつては役所仕事だった事を、利用計画として民間の相談支援事業所が作成できるようになったのは、手続きを早めてサービスを迅速に届けようという趣旨もあったからです。

ただ、民間だからサービスが早くなる訳ではありません。現在、相談支援事業はパンク状態です。仕事が混んできたからと言って簡単には増員できないことや、採算が合いにくい仕組みだからです。一つには、障害や福祉に関する豊富な知識、その地域でのキャリアがものをいう仕事なので個人の力量が問われます。二つには、個人の力量が大きく問われる割には相談利用者一人にいくらという歩合制だという事です。

のべ200人(回ではなく人)を相談支援してやっと一人分の人件費が賄えるのです。年間稼働が250日で、午前午後に分けて500枠とすれば、一人につき2.5回分の相談量です。家庭訪問をし、学校や園の様子を見学に行き、作った利用計画を説明するだけでもう足りません。もちろんこの中には、計画文書を作り予定を合わせキャンセルに応えて再調整する時間を含んでいます。

もちろん一人につき時間を長く取ればもう少し丁寧な相談活動ができますが、歩合制なので収入は減ります。個人的な感覚では、相談員一人につき年間のべ120人くらいが限界だと感じていますが、収入は4割減を覚悟しなければなりません。これでは小さな事業所は維持ができません。

相談事業は時間と質の両方のバランスをとる仕事です。時間が極端に少なければ相談の質は悪くなるけれど、極端に多いからと言って質の高い相談支援ができる訳でもないです。相手によっても全く違います。だからこそ、この仕組みの見直し(相談員一人当たりの担当数制限)に併せて、収入の一部固定制(新規増額部分)を取り入れるなどの改革を行うならば、新た事業所の立ち上げも期待できると思います。

 

人を励ます言葉

日テレ・森アナの箱根実況が話題2位の創価大へ向けた言葉にネット涙「胸に刺さりました」

2021年1月3日 14:51【スポニチ】

日本テレビが3日に放送した「第97回東京箱根間往復大学駅伝・復路」(前7・50)で、フィニッシュ地点の実況を担当した同局・森圭介アナウンサー(42)のコメントがネット上で話題になっている。

往路で優勝を飾っていた創価大は10区・小野寺勇樹(3年)が3分19秒のリードを持って栄光のゴールを目指したが、21キロ手前で駒大の石川拓慎(3年)にかわされた。創価大は9区までトップを守っていたが、ゴールが目前に迫った10区で駒大に抜かれ、初の総合優勝を惜しくも逃した。

終盤、小野寺は最後の力を振り絞って2位でフィニッシュ。小野寺の力走を見ながら森アナは「初めての往路優勝がありました。初めての総合優勝には届かなかった。目標は総合3位でした。目標達成とみれば、うれしい準優勝。ただ、悔しい準優勝となったか」と伝えた。

そして「“2位で悔しい”と思えるチームになった」。

最後は「創価大学、準優勝!この悔しさを来年につなげます!」と結んで、小野寺のゴールを称えた。

この実況にネット上では反響が続々。「綿密な取材と寄り添う心があって出てくる言葉だと思う」「胸に刺さりました」「日テレ森アナの実況の言葉がどの立場の選手にも寄り添ってくれるのがまた泣ける、、!」「森アナの一言で涙腺崩壊」「ゴール地点の森アナの実況だけで泣けた」「感動しました!」「素敵」などと相次いでいた。

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2冠の駒大・大八木監督、指導転換も変わらぬ選手愛

2021年1月3日20時18分【日刊スポーツ】

<第97回箱根駅伝>◇3日◇復路◇箱根-東京(5区間109・6キロ)

駒大の大八木弘明監督(62)が、チームを今季の大学駅伝2冠に導いた。

平成だけで21回も「大学3大駅伝」を制した名監督だが、08年の箱根を最後に勝てない時代が続き、09、18年には箱根のシード権を逃すなど、指導方針に悩んでいた。時代の流れに苦しみながら、選手との接し方を変えて、また新しい黄金時代を築こうとしている。

   ◇   ◇   ◇

時代の流れか-。昔のように、愛情を持ちながら、怒鳴っても、選手はついてこなくなった。大八木監督は「今は、昔のやり方ではやめてしまうから」と笑う。代名詞である「男だろ!」の喝で有名な闘将だが、コミュニケーションの取り方を変えてきた。

昔は「怒る」と「褒める」の割合が「8・2ぐらい。今は5・5ぐらいになったかな」。焼けた肌に鋭い視線と迫力の声だが、最近は表情が柔らかくなった。緊張感は保ちながら、過度に萎縮をしないように心掛ける。黄金時代を築いた頃は選手から声をかけるのを待っていたが、それも違う。自ら積極的に「何があった?」「いい練習だったな」「元気がないな?」などと声をかける。

年齢の壁にも立ち向かった。若い時は朝練習に自転車で毎日、選手の走りについていったが、低迷した時はできてなかった。これでは熱意が伝わらないのでは-。そう深く反省した。最近は朝練習では自転車で選手の伴走をする大八木監督の姿がある。

選手からは「第2の父」と慕われ、選手のことは「息子たち」と呼ぶ。監督業は「子どもを育てているようなもの」と話す。LINEもアカウントは持っているが、「文字だけで状況が分からないから、そういうの好きな方じゃない。電話とか直接会って話をしたい。声のトーンとか話し方で察するものもある」。時代の変化とともに変わる姿勢もあるが、“息子”に対する愛情はずっと変わらない。62歳。「個人で日の丸を付ける選手を育てる」ことも目標。指導の意欲は衰えていない。【上田悠太】

◆大八木弘明(おおやぎ・ひろあき)1958年(昭33)7月30日、福島県生まれ。会津工卒後、川崎市役所などを経て83年に24歳で駒大夜間部に入学。1年で5区区間賞、2年は2区5位、3年で2区区間賞を獲得。4年は年齢制限で出場できず。卒業後はヤクルトで活躍。95年に母校のコーチとなり、助監督を経て04年から監督に就任。主な教え子はマラソンの元日本記録保持者の藤田敦史、東京五輪代表の中村匠吾ら。

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今年も熱いレースでした。逆転劇は「男だろ!」声援名物の大八木監督の檄から始まりました。最近の選手に合わせて質問を待つことから声をかける監督に変わった。怒鳴らなくなった優しくなった。などとメディアは勝因を邪推しますが、朝練で自転車伴走を再開したことが「男だろ!」檄と結びつくのだと思います。檄を飛ばされたとき、監督と練習したあの日を選手は思い出し、勇気を振り絞って走るのだと思います。

森アナウンサーの実況に皆が共感を寄せたのは、それほどこのレースがすばらしい逆転レースだからです。しかし、実況では負けたチームも引き立てるワードが必要です。無冠のチームがコロナ禍で練習に練習を重ね、トップに躍り出たがゴール直前で力尽きたことを、「“2位で悔しい”と思えるチームになった」と表現したのです。森アナウンサーの言葉は誰の心にも強く届きました。

人を強く励ます言葉は、その言葉が過去を振り返るきっかけとなり、その過去の事実が重ければ重いほど、勇気と感動を与えてくれるのだと思います。

もっと知って「場面緘黙」

学校でだけ声出せず「なぜ沈黙」もっと知って「場面緘黙」

2020/12/30 12:00【神戸新聞NEXT】

「私の生きづらさ、『場面緘黙(ばめんかんもく)』を知っていただきたい」-。漫画家細川貂々(てんてん)さん(兵庫県宝塚市在住)とのコラボ企画「生きるのヘタ会?てんてん×神戸新聞」宛てに、神戸市の会社員みほさん(50)から手紙が届いた。場面緘黙とは不安障害の一つで、自宅では普通に会話できるのに、学校など特定の状況では声を出せない症状。世界保健機関(WHO)が定めた疾病分類にも登録されている。周囲の理解がなかなか得られず、みほさんは「非常に苦しい子ども時代を過ごしました」とつづっていた。(中島摩子)

12月半ば、記者はみほさんと神戸市内で会った。事務の仕事をし、大学生と高校生の子どもの母親という。

中学生の頃まで、家庭では普通に話せるのに、学校でほぼ声を出せなかった。「みんなと同じように話したいのに、『話さなきゃ』と思うと喉が詰まったようになる」。吃音(きつおん)とも異なるという。例えば国語の授業中、本読みで指名されると「緊張して心臓がドキドキ、頭がクラクラして声を出せなかった」と振り返る。

さらにつらかったのが、周囲の理解のなさだった。「あいさつをしなさい。おはようの『お』だけでも言って」「どうして言わないの」。そう先生に責められた。声を発せずにいると、「ずっと立っているように」と言われたことも。「わざとだ」「甘えている」と誤解され追い詰められた。

「自分でもなぜこうなるのか分からない。こんな苦しみを抱えているのは、世界で1人だけと思っていました」。高校進学で大きく環境が変わり、少しずつ声が出せるようになった。ただ「今も、最初に声を発するときは勇気が要る」と話す。

生きづらさの原因が、場面緘黙と知ったのはわずか6年前だ。テレビ番組で同じ症状の少女が紹介されているのを見て、「私やん!」と驚いた。長年苦しんできたみほさん自身も知らなかったほどに、まだまだ認知されていない。

一方で今、この時も悩んでいる子どもたちがいる。「学校などで場面緘黙をもっと知ってもらい、気付いて、支援につなげて」とみほさん。周りのクラスメートらも「しゃべらない子」と決めつけて仲間外れにするのではなく、気軽に話し掛け、輪に入れてあげてほしい、と願う。

■「気持ち表す手伝いを」専門家500人に1人同様の症状
「話さない」のではなく、「話せない」のが場面緘黙だ。普通に話せるときがあるのに、ある特定の状況では一貫して話せないことなどが診断基準とされる。多くが子ども時代に発症するが、はっきりとした原因は分かっていないという。

全国的な調査はないが、関西国際大(本部・三木市)教育学部の梶正義教授(62)が2015~17年、神戸、尼崎、西宮、姫路市の公立小学校の児童約14万7千人を対象に調べたところ、約500人に1人の割合で場面緘黙の症状が見られたという。

神戸市出身の落語家、桂あやめさんも、幼稚園から小学2年まで場面緘黙の症状があったことを明かしている。

不安が強くなると、体が動かなくなったり、倒れたりする子もいるといい、自己肯定感が低くなる傾向がある。「単純に話させようとするのはマイナス。話し言葉にこだわらず、文字で伝えたり、指さしをしたり、とにかく気持ちを外に出す手伝いをすることが大事」と梶教授。環境の変化で改善することもあるというが、「そのうち治る、というのは誤解。早期の適切な支援が必要」と話す。

周囲が理解して自信を育てることが大切とされ、カウンセラーや専門医のほか、当事者団体もある。(中島摩子)

◇◇

【みほさんの手紙の全文】
私の生きづらさ、「場面緘黙」という症状をご存知でしょうか。自宅で、家族とは普通に話せるのに、学校や幼稚園、または自宅外で他人と話そうとすると全く声が出なくて会話ができない、というものです。

私はこの場面緘黙のため、中学校を終わる頃まで「学校」という枠の中で、ほぼ声を発することが出来ませんでした。自分はみんなと同じように話したいのに、どうしてもどうしても声が出ないのです。自分でもなぜなのか分かりません。

しかし、家族とは普通に話しているのを親はもちろん、先生も親から聞いて知っているので、周りの大人は皆、私が何らかの理由があって自分の意思で話さない、あるいは精神的に幼くて話さないといけないことが分からなくて話さないのだ、と思い込んでいて、「なぜお話しようとしないの?」「ちゃんとお口でお話しないと分からないよ」などと叱られ(時には罰を与えられ)、話したくても話せないだけで十分苦しいのに、周囲はそれを理解してくれなくて怒られる、という精神的に非常に苦しい子供時代を過ごしました。

幸い高校からは少しずつ声が出せるようになりましたが、子供時代に他人との「会話の練習」が出来なかったために今でも会話が苦手です。理解してもらえないのは、決して知的に考える能力がなくて話せないのではなく、普通に自分の考えや伝えたいことがあるのですが、それを最終的に「声に出して話す」という部分だけが苦手、ということです。

自分のこの症状が「場面緘黙」というちゃんと名前の付いた症状として存在するのだ、と知ったのは6年前でした。たまたま観ていたテレビ番組で、家では話せるが学校では会話ができない場面緘黙の少女が紹介されていて、「これ…私やん!」と心底びっくりしました。それまでは、家では話せるが学校では声が出ないなんておかしな人間は世界中に私1人くらいだろう、と思っていたのですから。

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場面緘黙の子どもと出会ったのは1度だけです。もう30年以上前の話です。小学校3年生の女子でした。おかあさんはとても社交的な人で、親子は似るものと思っていた筆者には驚きでした。まぁ、家で喋るならいいやと、そう気にもせず長い間忘れていました。その子は、全く喋らなかったのではなく、付き合い始めて2年目に、か細い聞き取れないほどの声で音読したり話したりすることがありました。あれは、大奮発のサービスだったんだと悔やまれます。本人はいかほどに苦しかったかと思います。

以前に「場面緘黙2019/06/28」でも掲載しました。支援関係の仕事についてから、思っていたより少なくないと感じていたからです。当事者団体もでき、早期治療が必要だとわかったのもここ10年です。気になったのは、本人が自尊感情が低く、なんでもあきらめがちで、能力はあるのに学力の低い子が少なくないことです。適切な自発性の表出コミュニケーションは生きていくうちで何よりも大事です。それは、自分の発信で周囲を変え得るという経験です。例え周囲が理解して意図をくみ取ってくれたにしても、自分から発信ができないというのはつらいものです。だからと言って、喋ることは当たり前だと何の配慮もなく押し付けてくるのは文字通り言語道断です。

 

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子どもの性被害どう防ぐ?

学校や保育の現場での子どもの性被害どう防ぐ?法改正に高いハードル

2021年1月5日 17時14分【毎日新聞】

子どもへの性犯罪で処分を受けた教員や保育士の免許や資格に制限をかけるための制度改正を巡る議論が政府・与党で本格化している。子どもへの性犯罪は再犯率が高いとされるが、自分の犯歴や処分歴を隠し、職に復帰することも可能だからだ。しかし、法改正には高いハードルがある。

「法制上、乗り越えられない課題があり、法案として提出できる状況には至らなかった」。萩生田光一文部科学相は昨年12月25日、わいせつ行為で懲戒免職となり、免許を失効した教員が再取得できないようにする法改正を断念する方針を明らかにした。

教員の子どもへのわいせつ行為について文科省は原則懲戒免職とするよう求めてきた。しかし、教育職員免許法(教免法)では懲戒免職処分を受けると免許は失効するが、最短3年で再取得できる。これを無制限に延ばすことが検討されてきた。

背景には、子どもへのわいせつ行為が「高止まり」していることがある。同省は昨年12月、2019年度にわいせつ行為やセクハラを理由に懲戒処分や訓告を受けた公立小中高校などの教員は273人で過去2番目の多さだったことを明らかにした。勤務校の児童生徒や卒業生ら18歳未満の子どもに対する行為での処分者は126人に達した。

保育でも同じ課題を抱える。昨年4月以降、ベビーシッターマッチングサイト「キッズライン」の登録シッター2人が相次ぎ性犯罪の容疑で逮捕された。うち1人は保育士。同7月には被害児童の母親や保育事業者が記者会見して「性犯罪者を保育・教育現場から排除する方法がない」と訴え、犯歴照会のデータベース整備と、保育・教育現場で働く人が事業者に「無犯罪証明書」を提出するよう義務付けるよう求めた。英国で運用されている犯罪歴確認制度「DBS(Disclosure and Barring Service)」の日本版にあたる。

子どもへの性犯罪は再犯率が高いとのデータがある。16年の法務省法務総合研究所の性犯罪研究によると、性犯罪者の約3割には性犯罪の前科があった。2回以上、性犯罪の前科がある人のうち、同じ「小児わいせつ型」の犯歴を持つ人の割合は約85%だった。

こうした犯歴のある保育士や教員を現場から追放するのは難しい。保育士は児童福祉法上、児童買春・児童ポルノ禁止法違反罪による罰金刑や、その他の罪で禁錮刑以上を受け、保育士登録が取り消されても、2年後に自分から手続きを取れば再登録が可能となる。

厚生労働省は18年、逮捕段階で勤務先の保育所が都道府県に報告を徹底するよう通知。都道府県にも、犯歴照会と登録取り消しの徹底を求めた。ただ保育士は登録や犯歴に関する情報が自治体間で共有されなければ、別の自治体で登録して働ける余地がある。自治体間の情報共有や再登録状況について厚労省は「把握できていない」としている。

そもそも犯歴は、個人情報保護法で「特に配慮を要する個人情報」に位置づけられている。同法は、自身の個人情報であっても、刑罰に関するものはアクセスできない、と定める。

与党内では議員立法で制度改正を目指す動きもある。自民党の野田聖子幹事長代行ら与党有志による検討チームは、学校や保育所などの施設の設置者に被害防止の努力義務を課す(児童買春・ポルノ禁止法改正)▽教免法について「児童買春・児童ポルノ法違反罪などで罰金刑を受けた者」を免許を取得できない「欠格事由」として追加する法改正――を柱とする政策骨子案をまとめた。医師、看護師、保健師などについても、子どもに対する性犯罪で罰金刑以上を受けた場合、免許を取ることを一律に不可能とする「絶対的欠格事由」に定める関連法改正案を秋の臨時国会に提出することも視野に入れていた。

しかし、各省庁は調整段階で難色を示した。理由の一つは「刑の均衡」。性犯罪だけを取り出して他の犯罪よりも厳しい扱いにするのは困難、という理屈だ。

萩生田文科相も法改正の断念理由に挙げたのが「刑の消滅」だ。刑法では、懲役刑や禁錮刑だと刑を終えてから10年、罰金刑なら5年の間に、再び刑を科されなければ刑の言い渡しは効力を失い、前科に伴う資格制限がなくなる。DBSも、刑法や、憲法が定める「職業選択の自由」との兼ね合いが課題となる。

与党の検討チームでは、児童買春・ポルノ禁止法違反罪の法定刑を引き上げる案も浮上。昨年12月には、上川陽子法相に「日本版DBS」を創設するよう申し入れた。メンバーの一人は「子どもへの性犯罪は露見しづらく、教育・保育の場から逃げることも難しい。幅広く検討している段階だ」と話す。自民党・性暴力のない社会の実現を目指す議員連盟も「教員免許の再取得を禁止する方向で検討すべきだ。保育士なども同様の対応を検討すべきだ」との提言案をまとめた。

教員の場合、懲戒免職で免許を失効すると名前は官報に掲載されるが、記載漏れの事例も相次ぐ。閲覧期間は従来3年(昨年11月からは5年に延長)で、処分歴を隠して採用されたケースもあったため、この情報を検索できる期間を2月から40年に延ばす。失効理由が「わいせつ行為」であることが分かる記載とするよう省令も改正する。

厚労省も保育士の性犯罪に関する実態調査や法改正の検討を始めた。しかし、厚労省幹部は「人権の制約につながるため政府として提案できる法改正には限界がある。ただ、子どもを守るため永久追放すべきだという世論が根強いことも理解できる。立法府の議論を注視したい」と話す。【中川聡子、大久保昂】

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必要なことがすぐに決定できない、決めたことがなかなか変えられないのは民主主義社会だからと言う人もいますが、それにしても我が国の役人の動きは遅すぎるように思います。武漢風邪についても最初は感染症の実態がよくわからないからペストなどにあたる二類感染症相当の決定は仕方がなかったかもしれません。しかし、夏が過ぎた段階で感染症の実態がほぼ明らかになり、欧米と比べてもほとんどの人は極めて軽症で済むことがわかってきました。そして、二類感染症相当指定のままで冬に突入すると、無症状や軽症の人まで隔離しなければならないことになり、結果医療崩壊を起こしかねないと誰もが警告していたのです。結局政府は10兆円の予備費を医療支援にも使わず、かといって感染症指定を変えるわけでもなく漫然と成り行きに任せていたと言われても仕方がありません。

子どもの性被害の多くが公的な機関で生じているのに、これまた法律の整合性が合わないからなかなか変えられないと役人は重い腰を上げません。票に結びつかないのか政治家もこの問題を取り上げません。保育士登録も教員免許も性犯罪で失効してから最短2~3年で再取得できるという制度のほうがおかしいのです。おかしな制度は変えればいいのに人権の制約につながると二の足を踏むのです。性犯罪者の人権と子どもの人権を考えればどちらを守るべきか優先すべきものが見えてくるはずですが、武漢風邪の対応を見ているとなんとなく政府の言い訳が理解できてしまうのが悲しいです。

 

自主休校

「子供を自主休校させた」ツイート続々対応は?問題なし?文科省に聞いた

1/6(水) 20:34配信【J-CASTニュース】

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、子供を「自主休校」させたと告白する投稿が、ツイッター上で相次いでいる。

家庭によって様々な事情があるようだが、学校の成績のほか、社会性の育成などへの影響を心配する声もある。文科省に対応について聞いた。

■妊娠中の母親を気遣って、息子が望んだケースも
小学校低学年の息子が、友達とオンラインゲームを楽しんでいたときだ。コロナ禍にあっても、友達の多くがショッピングモールや遊興施設、県外の祖父母宅に行っていることに気づいた。

すると、息子が急に「学校に行かなくてもいい?」と言い出したという。これは、母親が2021年1月6日、J-CASTニュースの取材に話したものだ。

「ママにうつしたら、お腹の赤ちゃんも、ママの病院の患者さんも心配」

母親が妊娠中で、医療関係の仕事をしていることも、息子は気にしていた。この訴えを受けて、母親は、7日の始業式からの自主休校を決めた。

実は、息子は、夏休み明けも計20日間、学校を休んでいる。このときも、お盆に外出した友達がいることを知ったのがきっかけだった。その後、登校したときに「ズル休み」「お母さんが病院で働いてるからコロナになった」などと学校で言われたといい、自主休校への理解が進んでいないのが実情だという。

母親は、低学年では黙って給食を食べるのが難しいと担任から聞いたといい、今後登校するとしても、給食を止めて時差登校などにしてほしいと訴えていた。

一方、小学校2年の息子がいる別の母親は1月6日、6月末に息子が発熱し体調を崩したことが自主休校に踏み切った理由だと取材に説明した。コロナではなかったそうだが、感染への不安が募り、家族と話し合って決めたという。それ以来、休校を続けており、冬休み中の感染拡大で「とても登校出来る状況にない」と話す。

文科省「家族の疾患などでは認めるが、基本的には学校に行っていただく」
ただ、「通常であれば自分の考え方とは違うお友達の意見を知ったり、話し合いから導かれる発見があったりすると思いますが、自宅学習ではそれらが行えない」とも明かす。

オンライン授業を希望したが、現状厳しいと言われたといい、担任の教師の好意で、週1回ほどオンライン会議「ZOOM」で学習サポートをしてもらっているそうだ。

年末年始に急速な感染拡大が報じられた影響か、冬休みが明けてから、ツイッター上では、「#自主休校」とハッシュタグを付けた投稿が相次いでいる。

この母親2人のように、登校したときのために時差登校や休校が長引く場合のオンライン授業などを求める声も多い。「全国で『登校選択制』・『オンライン授業』実施を要望します!」とするネット署名活動も始まり、1月6日夕現在で2000人以上が賛同している。

自主休校について、文科省の健康教育・食育課では同日、衛生管理マニュアルを通じて、学校長が判断すれば欠席扱いにはならないと各都道府県教委に通知していると取材に答えた。

「家族に基礎疾患などがあったり、学校の対策に不安があったり、地域で感染が増えていたりするなど、様々な状況が背景にあると思います。そうした場合には、指導要録にある出席停止や忌引きなどの日数に数えることも校長判断でできます」

その場合、学校の成績をどうつけるかについて、同省の教育課程企画室は、取材にこう説明した。
「生徒や児童が学校に来ない場合、宿題のプリントを配ったり、オンラインで授業を配信したり、フォローアップの必要があります。そうすれば、定期テストなどを受けなくても、学校の5段階評価などにこれらを加味することができます」

ただ、同室では、次のように強調した。
「クラスメイトと話し合ったりするなど、学校で学びを体験してほしいので、基本的には学校に行っていただくことになります。在宅を認めるのは、家族の疾患があったり、地域で感染が広がっていたり、やむを得ない場合になります」

オンライン授業については、各自治体で末端整備が順次進められているが、登校選択制は、検討しておらず導入する予定はないとしている。(J-CASTニュース編集部野口博之)

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武漢風邪に恐怖を感じ、子どもなりに家族に気遣いをしているという記事ですが、釈然としません。日本はアメリカCDC(疾病対策予防センター)も感染力の限界という35回以上のCT(増幅回数)値でPCR陽性反応が出たとして、無症状の人を感染者として扱います。感染判断には科学として疑義のある値と指摘があるに、「王様の耳はロバの耳」の逸話のように誰も聞こうとはしません。それどころか、無症状者を3割以上含む「感染者数」が増えたと毎日大騒ぎしているわけです。しかし、深刻そうにテレビに中で語る大人を見れば、子どもが自分も何かできないかと心悩ませるのは当然です。症状がなければこれまでは感染者と言わなかったことをどのメディアも言いません。どの大人も教えてくれません。

そうした中で起こっている、子どもの自主休校話は痛々しくしか見えないのです。家族が医療関係者だから、母親が妊娠しているから、祖父母と一緒に住んでいるから、自分は学校に行くべきではないと考える子がいます。それに対して大人は、感染メカニズムのことは避けて、プリント学習やリモート学習で勉強できるとしか情報を与えません。そして、政府は、緊急事態宣言はするけど、できるだけ学校は休校するな共通テストも実施するという、筋の通らないアナウンスをするのですから子どもが混乱しないわけがありません。

せめて、専門家や教育者は子どもには予防の事だけ伝えればいいとは考えずに、今回の武漢風邪や感染症の科学的知見を子どもに分かるような言葉で語ってくれることを切に望みます。

一斉休校は要請せず

政府、一斉休校は要請せず 部活動に中止・縮小の動き―緊急事態宣言

2021年01月07日20時59分【時事通信】

新型コロナウイルス感染急拡大を受けた4都県に対する7日の緊急事態宣言で、政府は小中高校に対し、昨春のような一斉休校は要請しない。学校で感染者が発生しても、校内で広がっていなければ休校せずに教育活動を継続するよう求めた。部活動は身体接触がある運動など感染リスクが高い活動を制限し、警戒を強化するよう呼び掛けており、学校現場では中止や縮小を決める動きが出ている。

都立や県立高校などへの対応では、東京都が全ての部活動の中止を要請。感染状況に応じて、対面指導と家庭でのオンライン学習を組み合わせた分散登校を実施する。埼玉県も部活動を原則中止し、電車・バス通学の生徒の感染リスクを下げるため、始業時刻の繰り下げや短縮授業を行う。

千葉県は部活動のうちリスクの高い活動を中止し、実施時間も放課後の90分以内に制限。神奈川県は部活動を週3日、1回90分程度に縮小する。千葉、神奈川両県は今後の感染状況次第で分散登校などにも取り組む。

政府は16日から始まる大学入学共通テストについては予定通り実施する。各大学や高校などの入試も感染対策を講じた上で行うよう求めた。

一方、全国の保育所や認定こども園、学童保育(放課後児童クラブ)は、医療従事者をはじめ、社会機能を維持するために就業が必要な親の子どもを確実に預かるため、原則として開所するよう各都県と市区町村に通知。昨年4月からの前回宣言時には、全国で一時約200カ所の保育所が休園するなどしていた。
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東京埼玉千葉神奈川の緊急事態宣言でも関西に影響は与えてきます。明日は我が身と自治体の長や役人は考えるからです。せめて、学校は休校にしないでと政府は宣言発出前からアナウンスしますが、東京ではすでに大学がリモート授業に戻すように動き出しています。学校は陽性者が判明しても休校は必要ないと政府は言うけれど、様々なクレーム圧力に学校が耐えきれるのか心配です。

緊急事態宣言とはいうけれど、外国からの入国検疫も気になります。ビジネス目的であれば、中韓はじめ11か国は自国の陰性証明があれば検査なしで入国でき、民間アプリの「LINE」で体調の報告をするのみで良しとする我が国の防疫はザルと言わざるを得ません。空港検疫で少なくない感染者が外国籍(中韓11か国除く)であることを考えれば、緊急事態宣言は頭隠して尻隠さず宣言です。

さらに、昨年のGOTOトラベルは、これで移動した人数は総人口の1%以下で、感染増加に影響を与えた根拠もないのに休止しました。今回は、感染の原因が家庭と施設で6割、会食と接待は1割にすぎないのに飲食店に時間制限を加えています。家庭や施設に制限を加えるわけにいかないが、何もしないのはまずいのでGOTOと同じく飲食店をスケープゴートにあげたのではないかと思います。エビデンスのない制限は効果が上がらないばかりか、信頼感を喪失していくだけなので、これまた感染予防には効果がなかったと総括されている休校措置は、自治体の長や役人の見栄だけ実施しないでほしいものです。

息子たちに働く選択肢を

自閉症の息子たちに働く選択肢を山添利也さん

2021年1月10日 10時00分【朝日新聞】西岡矩毅

レモンやミカンなど和歌山産の食材を使った菓子をプロデュースする山添利也さん(46)。県内の生産者、パティシエ、デザイナー、福祉事業所メンバーらと一緒にスイーツブランド「KANOWA」を2014年に立ち上げた。「それぞれの得意を持ち寄って、お菓子でつながる輪を広げたい」

昨年12月に販売したのは、ミカンのパウダーをまぶしたクッキーなど。パウダーは、えぐみを抑えた果汁を濃縮して作った。障害者福祉施設の利用者がミカンの外皮と薄皮を一つずつ丁寧に取り除いた果肉を搾ってできたもの。利用者の集中力のたまものだ。

和歌山市出身で、関西大学卒業後、大手経営コンサルタント会社に就職。2001年に高校時代の友人に誘われ、和歌山市内にパスタとケーキが自慢のカフェをオープンさせた。

障害者福祉施設を自分事として考えるようになったのは09年。当時3歳だった長男が自閉症と診断されたことだった。市立幼稚園に通っていたが、知的障害などがある子どもたちがそれぞれのペースで過ごす児童発達支援センターに移った。

父親たちが集まれば、決まって話すのは10年以上先のこと。特別支援学校に入れば、小中高等部までは過ごすことができるが、卒業後の進路は決められていない。「息子を受け入れてくれる所はあるのだろうか」と心配になった。

「将来、自分の長男も通うことになるだろう障害者福祉施設の価値を高められたら」。カフェの運営から退き、菓子の企画開発などをする会社を経営。そこの事業の一つとして、福祉施設などと一緒に菓子を作る「KANOWA」を立ち上げた。注文が1カ月以上先まで埋まっている「生レモンケーキ」など人気商品を生み出してきた。

現在、14歳になった長男は、言葉を話すことが難しい。それでもタブレット端末で画像編集をしたり、地図を使って行きたいところを素早く探して見せてくれたりする。

「息子はできないこともあるが、できることだってある。息子と同じ境遇の人たちが、仕事をして楽しく暮らせる環境を作りたい」。得意の菓子プロデュースで輪を広げている。(西岡矩毅)
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施設商品の販売ネックは、販路です。ご近所と知り合いの善意だけでは販路もなかなか拡大しません。また、善意の購入は商品の良しあしが現場で把握しにくいので商品開発の足かせになります。最近は、ネット販売が容易になってきたので商品さえヒットすれば売上も期待できるようになってきました。おいしければ売り上げが増え飽きられれば売り上げが減るという売り上げと商品の人気が連動しているところもよいと思います。

昭和の頃も、10年先20年先を見越して共同作業所作りが保護者の手で展開されました。ただ、その頃は資金を集めて我が子の卒業後の居場所を確保するだけで精一杯でした。先にも述べたように「善意で買ってもらう」「安かろう悪かろう」の商品も少なくなかったし、施設側も商品販売で勝ち残ろうとは考えていませんでした。その結果、商品の質が良くならない、販路が少なくて撤退する現象があちこちの福祉現場で起こりました。

今は、記事のように一般企業とも共同で行う仕事の中身を考えていくという時代に変わってきたのかもしれません。そのためにも付加価値の高いもの、持続性が長いものをどう開発していくのが問われているのだと思います。福祉だから市場競争が免除されるわけではありません。福祉だろうとなんだろうと、そこで商品を作り販売する人たちのプライドを持続するには、様々な経営のノウハウが必要なのだと思います。

BY KANOWA ONLINE STORE

校医が高齢化、感染不安

学校の健康診断、相次ぐ簡略化校医が高齢化、感染不安

2021年1月12日 20時18分【朝日新聞】

小学校や中学校などでの健康診断が、新型コロナウイルスの影響で一部地域で簡略化されている。問診票で所見がない場合は医師による対面での検診をなくしたり、対象学年を絞ったりしている。学校医に高齢の医師が多く、感染を懸念する声があるという。

学校保健安全法や同法施行規則によると、健康診断は公立や私立学校の毎学年が6月末までに受けることになっている。昨年、新型コロナの感染拡大を受け、文部科学省の通達で実施時期が「今年度中」に延期されていた。

健康診断では栄養状態のほか、視力や聴力、眼、耳鼻咽頭(いんとう)、歯、心臓の疾患の有無など11項目を検査する。文科省によると、疾患の有無については、医師による検診を受けることが前提となっているという。

福岡市は昨年7月下旬、健康診断を11月末までに例年通り実施するよう全学校に通知した。しかし、市医師会が8月、今年度の健康診断の延期や縮小を求める要望書を市に提出。「感染のリスクを減らすことにつながる」とし、必要性が高い学年や問診票で判断した選抜者などに対象を限定することや、感染防止策として口腔(こうくう)内の検診はせず、耳・鼻のみの検診とすることなどを要望した。

これを受け市教委は9月、今年度に限っては「学校医が認めた場合、問診票などの確認によって検診を行ったものとして差し支えない」と通知。市教委によると11月末時点で、225校の市立学校のうち、約3割の学校で内科、耳鼻科、眼科のいずれかで保健調査票で所見がある児童・生徒だけを抽出。抽出された児童・生徒が医師による検診を受けたという。うち16校は、どの科目でも対面による検診をしなかった。

抽出の方法をとった市立小学校と、通常通りの健康診断を行った中学校それぞれに息子を通わせる市内の男性(42)は「感染リスクを考えれば、今年度に限っては致し方ないかもしれないが、これが続くと不安もある」と話す。

市医師会によると市内の学校医の平均年齢は60・5歳。耳鼻科の学校医は66人いるが、うち60~80代が30人と約半数を占める。高齢の学校医から、健康診断によって自身が新型コロナに感染するリスクを不安視する声が出ているという。市医師会の担当者は「本来は全員の対面での健康診断が望ましいが、やむをえない対応だった」と話す。

市教委は「苦渋の決断で、ベストな方法だとは思っていない。でもそれだけコロナ感染への不安が大きいということ。医師による検診が必要な子どもはちゃんと診てもらうようにしている」と説明する。

新潟市でも耳鼻科に関して、学校医からの要望で、保健調査票をもとに対面での検診の対象者を抽出する方法をとっているという。

福岡県糸島市では耳鼻科について、小学1年と5年、中学1年に絞ることを決めた。元々全学年が対象ではなかったが、耳鼻科の学校医から「対象者を半分以下に減らしたい」という意向があったという。通常なら対象は約5700人のところ、今年度は約2900人になった。

大阪市教委には複数の学校医から学校を通じて「問診票で所見がある子どもだけを診るようにできないか」と相談があったという。市教委はこれに対し、今年度中に全員を診ればいいということを伝え、通常通りの健康診断を要望した。このほかにも札幌や仙台、川崎、名古屋、神戸市教委にも同様の相談が学校医などから寄せられたという。

東京都教委は、眼科について検診の方法を変えた。通常なら医師が目の周りや粘膜を触ることがあるが、なるべく触れないで診るようにしたという。

文科省の担当者は疾患の有無について「医師による対面の検診があることが前提」とし、各地域で事情があることを踏まえても「感染対策をした上でなるべく法律に基づいて健康診断を実施してほしい」と話す。

一方、耳鼻咽喉科の医師らでつくる「一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会」は、健康診断の実施方法に地域差が出ることについて「各地域の感染状況や感染予防対策の違いがあるため、当然想定される」とする。例年以上に健康相談や保健指導を充実させて補っていく必要があるとしている。(島崎周)

専門家「地域差出ないよう診断実施を」
東京大の衞藤隆名誉教授(小児科学・学校保健)は、健康診断で簡略化された事例があることについて「あくまで例外的な対応で、認めていいことではない」と指摘する。心臓の音で異常を発見したり、体を見ることで虐待に気づいたりする可能性があるという。

「子どもたちを1年に1回直接診る機会をつくるという意味で、健康診断は地域によって大きな差が出ないよう、感染対策をした上で実施するべきだ」とする。学校医の確保については「都道府県レベルの医師会の力を借り、環境整備をしていく必要がある」と話す。

学校における健康診断の検査項目
※基本的に小中高のほぼ全ての学年で実施。聴力などについては一部の学年で省略可(学校保健安全法施行規則や健康診断マニュアルから)
①身長、体重②栄養状態③脊柱(せきちゅう)、胸郭の疾病及び異常の有無、並びに四肢の状態④視力、聴力⑤眼の疾病及び異常の有無⑥耳鼻咽頭(いんとう)、皮膚の疾患の有無⑦歯、口腔(こうくう)の疾病及び異常の有無⑧結核の有無⑨心臓の疾病及び異常の有無⑩尿⑪その他の疾病及び異常の有無

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医師の高齢化で思い出したのは、「もりかけ」の加計学園問題でした。獣医を増やすと獣医の収入減につながるという獣医師会の鉄板規制を改革しようと50年ぶりに獣医学部を作ろうとしたことに、反対派が横槍を入れたという構図でした。医学部の新規開設にも医師会からの規制要望が強く、思うように医学部は作れないと言います。

世界第3位の生産力を誇る日本の医師数は、人口千人当たり2.30人、OECD先進国35か国中30位です。(2017年WHO統計)武漢風邪で医療パニックを起こしたイタリアの約半分です。診療所の医師の平均年齢は60歳で、60歳以上が半数を占めます。学校医のほとんどが地域の診療所の医師で複数校の掛け持ちも少なくないので、高齢医が武漢風邪を敬遠しているというより、そもそもの校医業務が負担になってきた医師が増えてきたのかもしれません。

従って、医師の絶対数を増やさない限りは高齢医の負担を減らすことはできません。小児科医や産婦人科医も負担やリスクが高いわりに収益が少ないという理由で医師が少ないと言いますが、これもOECD諸国平均くらいに絶対数が増えれば少なくない課題が解決されるのではないかと思います。

この際に懸念されるのが医師数の増加が医師の収入減につながると言う理由で、医学部新設の障壁になることです。ただ、サービスの提供側と利用側の利益が相反するのは、我が福祉業界でも起こっていることです。いつの時代もどんな所でも既得権益が改革のブレーキになるのは世の常ですが、OECD30位はさすがにいただけません。

過剰な反応が招く「検査拒否」

子供が発熱、親は「検査は困る」…新型コロナ周囲の過剰な反応が招く「検査拒否」

2021年1月14日【読売新聞】

家族が検査…即、連絡網
30歳代後半のTさんが、小学校低学年のお子さんを連れて来院された。お子さんは2日前に38度の発熱があり、喉の痛みと鼻汁があるという。来院時はすでに36.8度で解熱していたが、喉は赤く鼻汁もつらそうだった。そのせいで少しせきもある。元気に話はできるし、食事も食べられるとのことでお薬を処方することになった。

Tさんと家族の体調を伺うと、他に風邪の症状、体調を崩している人はいないという。それでも現在のコロナ感染拡大を考えると、コロナ検査は必要だと考えた。そのことをTさんに告げると、コロナ検査を受けるのは困るのでやらないでほしいと言われた。

Tさんの会社では、従業員本人はもちろんであるが、家族がコロナ検査を受けた場合も、24時間対応で電話とメールによる連絡網を回さなければいけないのだという。仕事上も周囲に甚大な迷惑をかけるため検査は拒否するとのことだった。Tさんのお子さんは、元気があるので、いずれにしても自宅で様子を見ましょうということになった。

歴史は繰り返す
最近、医療現場で困っている問題の一つが、このようなコロナ検査拒否だ。検査を拒否するには、たいがい社会的理由がある。周囲の過剰な反応ゆえだ。

会社などの組織としては、できる限り厳重な態勢をとらねばと考えるのは理解できるが、こうした対応に感染拡大を抑える効果がどれほどあるだろうか。弊害の方が大きかったり、Tさんのケースのように、感染症対策としてはむしろ逆効果になる場合もあるのではないか。

この事態は2009年の新型インフルエンザ(A/H1N1型)の流行期の反応を思い起こす。A/H1N1型インフルエンザは今や通常のインフル予防接種にも組み込まれ、治療薬もある弱毒型インフルエンザだ。しかし当時は今と同じように、過剰な反応や感染者を 誹謗ひぼう 中傷するような行為が横行した。

今は必要な検査を円滑に
コロナは世界で感染力の強い変異型が報告されている。ワクチンは軽症化させる期待が持てるが、最終的には薬が開発され、インフルエンザのような日常的な感染症となるまでに数年はかかるだろう。

誰でも感染しうる今は、適宜検査を受け、拡大を避けていくことが大切だ。まずは、感染した可能性があることを隠さずに済むようにする必要があるだろう。社会に大きな影響を及ぼす会社組織においては、産業医と十分相談しながら過剰な対応は避け、マスクの着用やテレワーク活用・スタンバイ配置など、実効性の高い対策を日常化することで、コロナ検査・診療を円滑にできるようご協力願いたい。(常喜眞理医師)

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このケースは氷山の一角です。子どもに症状がなくても子どもが濃厚接触者ならその家族に疑いがかかり、家族全員がいらぬ心配をしなければならないのが今の日本の現状です。しかし、子どもに症状があるのに検査はやめてくれと言うのは同調圧力への強い恐怖反応と言えます。同調圧力というのは、目に見えるものではないので厄介です。

「そんなのお互い様なんだから」とほとんどの人が思っていても、思っているだけでは当事者によってはわからない場合もあります。職場の責任者や組織の長が「社員やその家族の感染や検査はお互い様なので、隠さないで知らせてください。家族の陰性がわかるまで社員は安心して休んでください」と明示してくれれば少しは楽になるかもしれません。

「家族がコロナ検査を受けた場合も、24時間対応で電話とメールによる連絡網を回さなければいけない」ことが負担だと書かれていますが、接触関係のない人や深夜でも連絡しろというなら異常ですが、常識の範囲の時間帯なら接触した人にできるだけ早く連絡するのは大切なことです。接触した方が連絡前に感染判明した場合は、「お互い様」の信頼が崩れるからです。本来、家族の風邪ひきの「疑い」の業務連絡などは無用だと思います。しかし、メディアがこれだけ煽って人心がコロナ脳に感染している今は、速やかな連絡は社会生活の潤滑油だと割り切ればいいと思います。

 

 

 

熱海市、全小中学校に端末配備

タブレット授業、慣れてみよう熱海市が全小中学校に端末配備児童「一気に分かり勉強になる」

2021年1月15日 07時12分【東京新聞】

小中学生に1人1台の情報端末を用意する国の「GIGA(ギガ)スクール構想」に基づき、熱海市内の学校ではすべての児童生徒にタブレット端末が配備された。今月から準備の整った学校から順次、授業での活用が始まっている。現場の様子を取材した。(山中正義)

十四日、桃山小三年生の教室。算数の授業を受ける児童たちの机には筆記用具とタブレット端末が置かれていた。児童たちは筆算の問題をノートで解き、端末で撮影。送信すると、教室の大型モニターに全員の解答が映し出された。
互いの解答を見比べたり、先生の説明を受けたり。端末に入った学習ソフトで計算問題にも取り組んだ。

「答えが(モニターに)出るから説明しやすく、いろんなことが一気に分かって勉強になる。操作は分からないこともあるけど慣れてきた」。高須瑚子(ここ)さん(8つ)はうれしそうに話した。
担任の植松仁教諭も「児童の答えを比較するなど、今までできなかったことができる。時間の節約にもなり、児童への個別対応や子どもの考える時間も増える」と可能性に期待した。

市教育委員会によると、端末は市内の小中学校十二校に計千四百六十四台を配備。活用に向けては、全校の教職員を対象に研修会を開くなどして準備してきた。
端末は現在、学校で保管しているが、携帯電話のように場所を選ばず使えるため、将来的には持ち帰りできるようにする方針。休校時などでも学習を継続できるためだ。市教委の担当者は「今後も情報を現場から吸い上げたり、他市町の取り組みや民間の知見をもらったりしながら活用を進めたい」と話す。

ギガスクール構想では文部科学省は当初、二〇二三年度までの配備完了を計画していたが、新型コロナウイルスの感染拡大でオンライン学習への対応が急務となり、前倒しして本年度中の実現を目指している。
県内では東伊豆町のように一部の学年で配備を先行し、活用している自治体もある。

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十二校に計千四百六十四台を配備ということは1校あたり122台。学校配備という事は、家庭には持って帰らないので、この100台ほどの充電はどうするのか、アップデートはどうするのか、外部へのアクセス制限や外部からの侵入のセキュリティーは誰が監視するのか、学年に応じた教材のインストールは自動化されているのか、児童が自由に使える時間は与えるのか、ゲーム制限はどの程度どんな方法でかけるのか?知りたいことがいっぱいです。(上記のことはルールさえ決めればほとんど自動化できるシステムが販売されています)

教育委員会が言うように家に持ち帰らせるのがいいと思います。小学生に6年間、中学生には高校までの6年間を貸与してしまうのです。6年も経てばほとんどの端末は新しいソフトウェアに対しての機器の性能が追いつかなくなるのでそれで廃棄します。要は、担任に端末の管理義務を負わさせないことが重要です。

端末の管理は充電だけではなく、細々としたことが端末ごとに必要になります。放デイの事業所は10台程度の端末ですから一人でもなんとかなりますが、これが20台30台となるとメンテナンスが大変です。

メンテナンス責任の基本(充電・アップデート・家庭WIFI設定)は保護者責任とし、その他のメンテナンスを業者に任せるならGIGAスクールはスムースに開始できると思います。これまで学校が躊躇しICT教育が遅れた主要な原因は端末の管理です。どんなことでも新しいことができない理由はいくらでも並べられるので、ある程度の見切り発車は必要ですが、メンテナンスの外注とその予算獲得は必須です。

就労継続支援B パラeスポーツ

パラeスポーツに夢追う秩父の男性ら、技術磨き群馬・太田、就労支援事業所/埼玉
2021年1月16日【毎日新聞】

コンピューターゲームの腕前を競う「eスポーツ」に特化した障害者向け福祉作業所が群馬県太田市に開設された。選手の育成、ゲーム動画の配信や、関連イベントでの活躍を目指す上で必要な技術を習得する機会を提供。拡大するeスポーツ市場で夢をつかみたいという利用者を後押しする。

太田市の就労継続支援B型事業所「ワンゲーム」で2020年10月下旬、動画配信イベントが開かれた。ゲーム大手セガのプロデューサーをオンラインで招き、利用者がパズルゲーム「ぷよぷよ」で勝負。「おっと、この場面はつらい」「圧巻の勝利です!」。別の利用者が実況で盛り上げ、白熱した雰囲気に包まれた。

イベントの司会を務めたしんじさん(24)=秩父市=は難病で手足の筋力低下と感覚障害があり、14歳から車いすに乗っている。指が動かないため、手のひらでコントローラーを操作し、ゲームを楽しむ。「趣味を仕事につなげたい」と20年8月、ワンゲームに通い始めた。目標は技術を高めて動画を配信し、プロの大会に出ること。「早く実力を上げたい」と熱っぽく語る。

eスポーツは全国で競技大会が開かれ、選手や観客が増えて市場規模が拡大。ワンゲームは20年6月に開設し、選手を養成するほか、実況や解説、映像・音響などeスポーツ関連で求められる技術を磨くコースが用意されている。

同じく選手を目指す太田市の男性(25)は約5年前、発達障害と診断された。当時通っていた専門学校で、一部の課題に向き合えずに苦しんだが、ゲームや小説には夢中で取り組めた。「できないことを欠点と捉えるのではなく、視点を変えて長所を伸ばしたい」。男性は集中して物事に向き合う特性を仕事に生かしたいと考える。

ワンゲームを運営する「ワンライフ」(前橋市)最高経営責任者(CEO)の市村均弥さん(33)は「何かに挑戦して成功体験を得ることで自信につなげてほしい。100人いれば100通りの選択肢がある社会にしたい」と話した。
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なるほど、目からうろこでした。障害者就労支援制度にゲーマー養成とは、時代は変わるものです。確かにパラスポーツの選手養成があるのですから、パラeスポーツの選手養成は不思議ではないです。プロ選手なのですから就労という枠組みに入るのも頭ではわかります。しかし、そんな理屈で就労支援のB型をと開設した運営者には脱帽です。就労Bと言えば、施設内で生産作業をしている障害者を思い浮かべていた既存イメージを彼らは軽々と乗り越えていったのです。

実際にここからどんな選手や、イベンター、解説者が出てくるのか楽しみです。子どもたちともう少し詳しくeスポーツを調査してみたいと思います。

 

療育システムの記事に反響

「子に寄り添っていない」療育システムの記事に反響初診待ち常態化

2021/1/15 15:30 【西日本新聞】

福岡市の未就学児の療育システムについて取り上げた本紙記事(昨年12月27日付朝刊:療育施設に通えず、空白の4カ月福岡市で長期手続き常態化)に反響が寄せられた。当事者家族の声も複数あり「子どもに寄り添う制度ではない」と不満がつづられていた。現場を担う施設の一つ、市立心身障がい福祉センター「あいあいセンター」(中央区)の中満達郎・療育課長に改めて市の意図を尋ねた上で、早期療育の在り方について全国発達支援通園事業連絡協議会会長の近藤直子さんに聞いた。(本田彩子)

他の機関と連携、柔軟対応を
未就学児に療育を行う国の「児童発達支援事業」は各自治体が療育の必要性を判断して受給者証を発行する仕組みだ。厚生労働省の見解では医師の診断は不可欠ではなく、乳幼児健診などを担う保健師の意見書でも可能とされる。地方には専門医が少なく診察を受けられない地域もあるため、全国どこでも支援が受けられるようにするためだ。

一方で福岡市などの大都市は専門医が一定数いることから、指定医の診断を必須とする自治体が多い。地域拠点である療育センターに専門医を配置することは発達障害に限らず医療的ケア児や重度心身障害児を支える上で大事だ。だが、医師の診断を受給者証発行の「踏み絵」にしてはならない。

全国的にも、指定医の診断を求める自治体のほとんどで2カ月~半年の初診待ちが常態化し、問題となっている。そのため名古屋市では本年度、医師の診断を待たずに療育を始める取り組みを試験的に始めた。

発達障害の子と親が求めているのは医療だけでなく、子どもの行動や気持ちをきちんと理解してくれる人を周りに増やすこと。そこで重要なのは療育センターと保健所、幼稚園や保育所の3者の連携だ。それぞれが互いに子どもの状況を把握しながら、子どもが楽しく過ごせて、親の不安も取り除く仕組みを築く。縦割り行政の垣根を越え、情報を共有して議論できる場を作るべきだ。

今回の事例では、福岡市はもっと柔軟に対応すべきだったのではないか。診断や手続きに時間がかかるなら、それまでに子どもが通える場所を別につくる。療育センターだけで対応できないなら、地域の子育て支援センターなどで診断待ちの子に対応する曜日を設けてもいい。システムが硬直化してはいけない。

全国的に未就学児の療育のニーズは急増している。福岡市の現在の仕組みと施設数では対応しきれないだろう。民間事業者の参入が増えれば療育の質の問題などが生じる恐れはあるが、だからといって封じるのではなく、全体を底上げするための研修や連携の仕組み、施策を市が責任をもって考えるべきだ。これまでの知見を生かし、関係機関が皆で知恵を絞って、全体として親と子の求めに応える体制を築いてほしい。(談)

近藤直子(こんどう・なおこ)日本福祉大名誉教授。専門は発達心理学。大阪府や名古屋市などの保健所で40年以上、乳幼児の発達相談を担当。NPO法人あいち障害者センター理事長。

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前回このコラムでも「受け止める施設がどこも空きがないというならわかりますが、手続きの段階でこんなに待たせるというのは人権侵害だという感覚が担当者にない」のではないかと書きましたが、全国でも同じように感じている人が少なくないという事です。

この記事は、医師の診断が必須だからと手続きが硬直化していると書いていますが、福岡の件は「予約の空きが出て9月末に受診が早まり「自閉スペクトラム症」と診断されたが、その後の手続きがなかなか進まない」まま年末にやっと行先が決まったというもので、診断待ちの問題ではないです。医師の診断を終えているのに療育が3か月も受けられない原因は担当者の怠慢だという記事でした。

そのため、相談にかかわる担当者は襟を正してほしいという主張をしました。ただ、民間の相談事業所も相談者利用者が満員で、利用者に負担をかけていることを書きました。解決方法は相談事業の収入の一部固定制(新規増額部分)を取り入れるなどの改革を提案しています。しかし、何よりも大事なのは事業を運用する関係者がチャイルドファーストの視点に立てるかどうかという事だと思います。

iPad届いたのに制限だらけ

iPad届いたのに制限だらけ学校間で広がるIT格差

2021年1月18日 22時07分【朝日新聞デジタル】

各地で新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が出され、一部の学校でオンライン授業をするところも出てきた。さらなる感染拡大に備え、文部科学省は小中学生に1人1台の端末を配る「GIGAスクール構想」の前倒しを急ぐ。だが、整備はなかなか進まず、端末が届いた現場からも「制限が多すぎて使いにくい」という声があがっている。

東京都世田谷区では昨年11月、小6と中3全員に、先行で約1万台のキーボードつきiPadを配布した。もし、休校になった場合、優先して授業を進める必要がある学年だ。今月から中2、中1への配布も始めている。ただ校内の通信環境などの整備が追いつかず、学校での活用は限られているのが現状だ。

マイクロソフトの文書ソフトなどはあるが、アカウントが配布されておらず、使えない。一方、家庭で動画は見られるため、夜中にこっそり自分のスマホより大きな画面でユーチューブを見る生徒もいる。中3生の母親(51)は「iPadを買ってあげられない家庭にとっては、キーボードを打つ姿を見るだけでうれしい。ただ、なぜこの受験前に……とも思う」と複雑な心境を明かす。

ある小6生は学校で「履歴はチェックできる」と言われたため、怖くて、家では指示された学習アプリしか使わない。小6生の母親(50)は「なんだかちぐはぐ。制限を厳しくかける必要はないけれど、配布と同時に勉強も含めいろんな形で使えるように教えてほしい」。

同区教委は「最低限の制限はかけた上で、学校でも家庭でも使わせることが学びへの近道と考えている。業者も手いっぱいで端末も通信も整備がなかなか進まないが、もし休校になっても、配布された端末は、学校と家庭との連絡手段としては使える」と説明する。

東京都足立区でも昨年末、中3生にクロームブックの配布が始まった。だが、区内の男子生徒は月1回土曜に「Zoom」のリモート授業で使うだけで、それ以外は家にしまったままだ。会社員の父親(46)は「本来は文書共有やクラウドなど様々な機能が使えるのに。何のための1人1台か」と嘆く。

文部科学省は一斉休校を受けた昨年3月、GIGAスクール構想の目標達成の時期を2023年度から今年度中に前倒しすると決定。昨年8月末の同省の調査では、納品済みは36自治体(2%)にとどまり、昨年末に489自治体(27%)が、年度内に1280自治体(70・6%)が納入予定と回答した。だが、遅れている自治体も少なくない。

萩生田光一文科相は7日、首都圏4都県の緊急事態宣言に先立ち、端末やネットワーク通信の業者約40社に対し、学校への納品前倒しや端末の貸し出しなどを要請。13日には要請する地域を拡大する通知も出した。

端末が届いた学校からは、制限が多すぎて「使いにくい」との声もあがる。

千葉県の公立中に勤務する20代の男性教諭は昨年11月、全生徒に配られたノートパソコンの仕様にがっかりした。「無いよりいいけど、これじゃ不便」。Gメールや表計算ソフトなどほとんどのアプリが使えず、USBメモリーも認識しない。文書の共同編集も、生徒とのチャット機能も教育委員会の方針で無効化されていた。男性教諭は「(車が)公道を走れても時速20キロしか出せない感じ。ゼロリスクは不可能なのだから、子どもの学びのため縛りなしで使わせてほしい」。

「メールの送受信は一切できないよう教育委員会で設定しております」。高知県の私立土佐塾中学・高校の野崎浩平教諭(40)は昨年末、地元の公立小が出した通知文に驚いた。県内でグーグルの教育者グループを立ち上げており、端末の機能制限で先生が混乱している話をよく聞くという。全国20校余りの教員らに独自調査したところ、半数程度でメールやチャットの機能が制限されていた。「学校と家庭の連絡や情報管理にも便利なツールなので、あまり制限をかけないでほしい」

保管も課題だ。関西地方の男性教諭(48)が勤める公立中では、9月に1人1台配備され、グーグルのアカウントも全生徒に配布された。だが、盗難や破損への懸念から、全端末は空き教室の保管庫に入れて施錠され、管理職が鍵を管理。通信環境も整っていないため、10分の休み時間に鍵を借りて出し、全員でログインすると授業までにつながらない。「授業の妨げになるので賢い教員は使おうとしない。改善するには一つひとつ折衝しなければならず疲弊する」と嘆く。

首都圏の特別支援学校の40代の教諭も、授業で使う端末を保管庫から取り出すのに使用目的の記入と鍵が必要で、夕方までに返却していないと責任を問われることに、疑問を感じている。「これでは教員側も萎縮して授業準備もできない」

愛知県の公立小に勤める60代の男性教諭は機材環境を不安がる。遅い回線速度、電気容量が足りず時々落ちるブレーカー……。保管庫近くに電源がなく換気扇から取っている教室も。「モノは来たけど整備が追いついていない感じ」という。端末も児童にはiPadが配布されたが、教師に割り当てはなく使い回しのウィンドウズ機だ。「端末が違えば教材研究にも支障が出る。システム全体を考えて通信環境や電源など必要な整備をしないと、このままでは宝の持ち腐れになる」と危惧する。

一方、先進校はどうか。千葉県印西市立原山小学校は市の情報教育推進校で、昨春には5~6年生全員にクロームブックを配布。一斉休校中にオンライン授業をした。GIGA導入も先行しており、昨年10月には全学年に端末を配り終え、大半のソフトや機能は自由に使えるようにしている。手渡す時に「デジタル空間にもう一人の自分ができるんだよ」と伝え、ネット上の言動や振る舞いに注意するよう教えた。家庭にも持ち帰らせている。松本博幸校長は「最初からきつい制限や枠はかけない方が、学びの幅や可能性は広がる。『善きデジタル市民』になるための指導をしながら、子ども自身が学ぶ自主性を大事にしたい」と言う。

国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの豊福晋平准教授は、気負わず普段使いするところと、しまい込んだまま全く活用できないところの差が広がることを懸念する。混乱の原因について、「学校も教育委員会も、ビジョンがないまま端末を配備したところも多いことだ」と指摘。「何のための道具かを第一に考えてほしい。どんな時も子どもと学校をつなぐツールであり、家でも学校でも子ども自身が使いこなせる学びの道具にしていく必要がある。リスクを恐れすぎれば『文鎮化』してしまう」と話す。

今が、日本の子どもたちが世界のデジタル時代にふさわしい教育に追いつくラストチャンスともみる。「今回は多額の国費が投入されたが、更新時には各自で端末を買うBYOD(Bring Your Own Device)に変わる可能性もある。学びに不可欠なものだと親子に納得してもらえるような使い方ができるか。教育委員会も学校もこの数カ月が正念場と思い、頑張ってほしい」(西村悠輔、宮坂麻子)

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予想通り導入時は様々な問題が各地で沸き起こっているようです。先日も01/15 熱海市、全小中学校に端末配備の件で書きましたが、教材として使う前の端末管理のところで大混乱を起こしているようです。管理する側は、できるだけ勉強以外に使えないように制限をかけようとします。しかし、記事を見ているとそれ以前の問題として、生徒にアカウント(端末を使う権限ID)を与えていないとか、逆に生徒に与えているアカウントがIT国際独占大企業のものだったりして手を抜きすぎだと感じます。

せめて、各県単位の教育委員会で管理サーバは置くべきだし、アカウントはそこで一括管理されるべきです。少なくとも教員の端末は建前上そうなっています。もちろん、教員のメールサーバーやクラウドサーバーもIT国際独占大企業のものを契約している教育委員会が多いので偉そうなことは言えませんが、少なくともドメイン名(どこの組織化の表記)は各組織名で発行されていますし、各組織の職員か委託業者が管理しています。

日本の教育制度のややこしいところは建前上、各自治体の教育委員会の権限で地方教育は成立することになっているので、小さな自治体はお金がないが小回りは効く、大きな自治体はお金はあるが気が利かない、両者の特徴をそのまま学校に持ち込むことになります。端末の導入もそんな教育制度の建付けの問題で格差が生じているように感じます。ただ、教科書検定等では、細々とした統一性を求められるのですから、端末も全国同じような仕様規則で運用すればこれほどの混乱は生じなかったかもしれません。

しかし、発展途上のデジタル教材の可能性は無限ですから、統一的な細々した規則は馴染まないというのが正しいのだと思います。結局、ICT教育に熱のある自治体は良いシステムを導入でき、右になれの自治体ではICT教育を端末無料配布の事業程度にしか考えられず結果現場は大混乱します。そうして、制限の多いシステムや頓珍漢なICT教育は自然に淘汰され、良いものが広がっていくには時間がかかるのかもしれませんが、つまらない規制や制限でICT教育発展の芽を摘むよりはましかもしれません。それにしても、アカウントくらいは教育委員会発行のものを最低限与えてほしいと思います。日本の教育が国外の勢力に乗っ取られたり盗まれたりする隙を与えないことは安全保障上重要だと思います。何度も書きますが、端末管理の人件費や委託費は絶対必須です。

同じ問題を繰り返しても意味がない

最新科学が出した正しい学習法とは
「同じ問題を繰り返しても意味がない」子どもたちをダメにする間違った学習習慣3つ

2021.01.19【プレジデントオンライン】

独自のカリキュラムと最新の科学に裏付けられた学習法で、オンラインの学校でありながら、全米トップレベルの進学実績を誇る学校がある。スタンフォード大学・オンラインハイスクールだ。校長を務める星 友啓さんは、「誰もが良かれと思ってやっている学習法の中には逆効果のものも多い」と指摘。間違った学習の常識とは――。
星 友啓『スタンフォードが中高生に教えていること』(SB新書)の一部を抜粋

間違った学習習慣1 「ストレスをさける」
(略)
間違った学習習慣2 「テストで理解度や能力を測る」
(略)

間違った学習習慣3 「同じ問題を反復練習させる」
多くの子どもにとってテスト同様身近なのが、学習ドリルによる反復練習です。

足し算、引き算、図形、文字の練習。世界中でさまざまな学習ドリルが存在し、教育者や保護者、子どもたちが手に取ります。各ページに似たような問題が並び、繰り返し解いていく。特定のスキルや知識を身につけるのが目的で、特に幼児や小学校などの教育で用いられ、さまざまな学習効果が確認されています。

しかし、この「似たような問題を何度も繰り返し解く」という当たり前の学習方法が近年見直されつつあります。なんらかの反復練習は学びに欠かせないプロセスであることは間違いありません。しかし多くの学習ドリルは、反復の回数や速度を強調しすぎています。

正しいだけではなく、速くできないといけない。
10回ではなく、20回、さらにそれ以上やることで、その問題に「慣れて」素早く解けるようになる。同じような問題を解くことで、パターンに慣れて、より速く答えを出せるようになるのは疑う余地のない事実です。しかし、単純な計算や記憶問題を素早く答えていけるような能力だけでは、理解力や思考力は高まりません。

むしろ、同じような問題を同じような考え方で解いていく癖がついてしまい、柔軟な考え方や、違った視点で物事を見る力が未発達になってしまいかねません。早くできることとじっくり深く考えることは、脳科学的にも違う活動なのです。

スタンフォード大学の教育学ジョー・ボーラー教授はこの点を指摘するのに、何人かの大数学者の例を挙げています。数学の「ノーベル賞」といわれる「フィールズ賞」受賞者の中にも、子どもの頃計算が遅く、学習障害や数学苦手のレッテルを貼られた学者たちがいるというのです。

考える力をつける計算問題の解き方
それでは、どうすればじっくり考える力がつくのでしょうか?ボーラー教授が勧める学習方法で、それぞれの問題を違う方法や考え方で解いていくやり方がおすすめです。アメリカの教育現場でもだいぶ浸透してきています。

例えば、算数でいうと、ドリルから20問同じような問題を解くのではなく、5問だけを選んで、それぞれの問題を4つずつ違う解き方で解いていくようなイメージです。違った考え方で同じものを理解しようとするこのやり方で、学習の効率が上がることが脳科学的にも実証されてきました。

また、一つのことを違うやり方でできるようにしておくことで、柔軟な考え方をすることができるようになり、あるやり方で行き詰まっても他のやり方を試そうとする癖がつくのです。それから、常に違ったやり方を模索しながら考える心の習慣も養うことができます。

「はかどってる感」の恐ろしさ
20問ずつガンガン解いて、進んでいくことで、はかばかしい。ページをめくって、進んでいる気がして、やる気につながる。親も子どもも、量が多い問題をすいすいと進めていくと、「はかどってる感」が得られるので、ついついドリルに頼りがちです。

しかし、問題を解いた数とか、めくったページの数が多ければ、良い学びに繋がりやすいというわけではないのです。何事もバランスです。考える力や深い理解は、反復練習を素早くこなしていくことだけでは身につきません。多様性のある学び方を取り込んでいくことを心がけましょう。

星 友啓(ほし・ともひろ)
スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長
哲学博士、EdTechコンサルタント。1977年東京生まれ。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。その後渡米し、Texas A&M大学哲学修士、スタンフォード大学哲学博士を修了。同大学哲学部の講師として教鞭をとりながらオンラインハイスクールのスタートアップに参加。2016年より校長に就任。現職の傍ら、哲学、論理学、リーダーシップの講義活動や、米国、アジアにむけて教育及び教育関連テクノロジー(EdTech)のコンサルティングにも取り組む。全米や世界各地で教育に関する講演を多数行う。著書に『スタンフォード式生き抜く力』(ダイヤモンド社)がある。

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学習ドリルによる反復練習は宿題の定番です。ルーティンワークでできるから、その子が理解している課題なら自学自習が成立します。こなす分だけ「やった」感もあり自尊感情も高まるかもしれません。ただ、当コラムで何度も書いているように、内容が十分理解できていないのは論外ですが、理解できていても当事者にとって量が多すぎたり、課題の狙いと違うところ(読み・書き)でエネルギーを使い果たして目標が達成ができない等の宿題は時間がかかるだけでなく、当事者の自立心や自尊感情を削ぐことになり自学自習にはなりにくいということです。

そして、今回の記事では、反復トレーニングは速さや流暢さの獲得が目的だが、思考力は育てないので出題のバランスが大事だという事でした。他には、間違った学習習慣1 「ストレスをさける」は、ストレスは避けるのではなく、ストレスをポジティブに解釈していくことで子どもの学習能力を最大限に引き出せると説明されていました。また、間違った学習習慣2 「テストで理解度や能力を測る」は、テストの点数は、どれだけテストに慣れているかの指標でしかないが、長期的な記憶や学習効果の向上にはつながるので、ショートテストや思い出し練習は有効だという事です。

 

クラスター確認の佐賀工高生に誹謗

<新型コロナ>登校中に「なぜ学校に行くのか」クラスター確認の佐賀工高生に誹謗、専門家「批判筋違い」

1/21 8:45 【佐賀新聞】

佐賀県内の小中高校で初めて新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が確認された佐賀市の佐賀工業高で、学校や生徒に対して「なんで学校に行けるの」「どんな指導をしてきたのか」などの誹謗(ひぼう)中傷が寄せられている。専門家は「感染した人を敵視したり、批判したりするのは筋違い」と話している。

佐賀工業高には19日午前中から、数十件の電話が寄せられたという。学校が生徒に行った聞き取りでは「通学する列車の中で避けられた」「制服で佐賀工業高の生徒だとすぐに分かる。周囲からの目線が気になった」などの声が上がった。保護者から「職場にしばらく来ないでくれと言われた」という連絡もあったという。

同校は19日から、感染が確認された1、2年生をオンライン授業にしたが、20日からは3年生でも実施するように切り替えた。生徒たちには、会員制交流サイト(SNS)で誤解を招く内容を書かないことなどを指導していくとしている。副島政史校長は、これまで以上に感染対策を徹底していくとした上で「安全で安心した生活を早く取り戻せるようにしていきたい」と話した。

■「自分事として捉えて」

人権問題を研究する佐賀大教育学部の吉岡剛彦教授(法哲学)は「感染した人をウイルスと同一視する傾向がなかなか改まらない」と指摘し、「誰が感染してもおかしくない状況で、自分が攻撃対象になる可能性もある。自分事として捉えてほしい」と警鐘を鳴らす。(小部亮介)


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<こちら報道部>学校名、報じる理由感染拡大防止へ正確な情報

1/21 9:29 【佐賀新聞】

新型コロナウイルスに関し、佐賀市の佐賀工業高でクラスター(感染者集団)が発生したことを伝える記事(19日付20面)で、複数の読者から「なぜ学校名を出したのか」「大きく報道されたことで、生徒たちが変な目で見られる」といった意見が寄せられました。

新型コロナは県内でも感染が拡大傾向にあり、1月に入ってからは学校や保育所などでもクラスターが発生しています。コロナ報道に関しては当初から「正しく恐れ、防ぐ」というスタンスで、感染拡大を防止するための正確な情報を出すように努めています。

学校名を報じた今回を含め、感染確認の情報については佐賀県の発表に基づいて記事化しています。特にクラスターに関しては関係者が多くなるため、学校名などの情報を伝えることで、気になっている人が外出を控えたり自ら検査を受けたりして感染拡大の抑止につながると考えています。正確な情報を示すことで、誤った情報の拡散やデマを防ぐことにもつながります。

興味本位で個人を特定する動きや当事者らに対する誹謗(ひぼう)中傷は、あってはならないことは当然です。一方で、情報を社会で共有しておくことも重要です。

報道部では人権に配慮しつつ、常に当事者がいることに想像を巡らせながら、今後もさまざまな視点で感染抑止に向けた情報を伝えていきます。(報道部デスク・林大介)

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関西地方は武漢風邪のテレビ報道について、煽りすぎではないかという自重ムードがまだあるのですが、地方局は全国ネットで東京からの放送がそのまま流れてくることで、東京ほど深刻ではないのに東京と同じように視聴者が考えてしまう傾向があるそうです。それにしても感染はお互いさまだというように考えられないところが不思議ですが、自宅で高齢者と生活していて心配のあまりの言動かもしれません。

でも、専門家でなくても筋違いなことはわかるので、生徒や学校をバッシングする原因を作ったのは、新聞社の学校クラスター実名報道のせいだと、佐賀新聞にもクレームがあったのです。それに対し新聞社は「感染拡大を防止するための正確な情報を出すように努力している。県が公開しているものを報道しただけで、実名を隠せばかえって誤った情報が流れる可能性がある。」と言います。

後者の事実を報道するメリットについては正しいと思います。しかし、感染の仕組みや事実について正しい情報を報道しているとは思えません。都会の満員電車の中ですら感染していない事実や、休校すれば解決するような感染状況ではなく休校のデメリットが大きいとしているWHOやユネスコ、政府発表の事実を学校クラスタ報道で同時に取り上げてはいません。日本は欧米の4パーセント弱の感染状況であることもあまり報道は触れません。実名報道が悪いのではなく、実名報道するなら今回のような誤解が生じないように徹底的に報道するメディアの責任を感じていると書くべきだったと思います。メディアが開き直ると民主社会は腐っていきます。

 

再任用教員ツイッターに差別投稿

「障害者の子、いない方がまし」特別支援学校教員が投稿

2021年1月21日 18時53分【朝日新聞】

群馬県西部の特別支援学校に勤務する60代の女性教員が、ツイッターに障害者を差別する内容の投稿をしていたことがわかった。県教育委員会も事実を把握し、女性教員の処分も含めて検討している。

県教委によると、女性教員は昨年10月中旬にツイッターのアカウントを開設。「障害者や犯罪者が子供でいたらいない方がまし」「労災にならないように気をつけます。いきなり強くつかんだり殴ったりする障害のある人」などと投稿。校内の取り組みにも触れ、上司や同僚の実名を挙げて批判していた。

問題の投稿が発覚したのは今月中旬。女性教員の同僚が、知人からの指摘で投稿を知ったという。学校側は勤務記録や投稿内容などから女性教員を特定した。学校や県教委の調査に対し、女性教員は投稿の事実を認め、県教委の指導で問題の投稿を19日に削除した。「個人的な記録として投稿していた」「誰でも読める認識がなかった」と話しているという。

女性教員は定年退職後に再任用され、2019年からこの特別支援学校で勤務しているという。県教委学校人事課の鈴木佳子課長は「指導する教員の立場にある者が差別的な内容の投稿をしたことは非常に不適切であり、あってはならないことだ」と述べた。県教委は今後、SNSでの投稿について注意喚起をするとしている。(中村瞬)

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この再任用教員が特別支援学校経験者なら論外ですが、経験がないなら採用に無理があったのかもしれません。支援学校には行動障害のある子どももいますし、言葉が通じない子どももいますから、通常学校の指導方法では通用しない場合もあります。それなのに、通常学校でクラス指導がうまくできない教員が支援学校に異動してくることも少なくないですから、再任用でも同じことがあるのかもしれません。現場での指導能力がなく毎日の仕事が不安な人なら、障害者を要らないものとする思いが生じるのかもしれません。

モラルの問題としてはあってはならないことですが、行動問題のあるの子どもを見てこんな認識になる教員でも支援学校に再任用されていることの方が深刻です。おそらく周りの職員も管理職も気が付いていたと思われます。再任用は年金制度支給年齢の改定とあわせ、無年金期間を補完する役割で民間会社をまねて作られたものです。

でも、この採用制度は競争がなく希望すれば採用しなければならないのです。採用競争にも耐えられない教員でも再び学校に戻す可能性を残している制度といわれても仕方がありません。わいせつ教員に対する教員免許の再交付を、実質無期限にしようとする教員免許法改正ですら断念・見送りとなるくらいの国ですから、この程度はどうしようもないという事かもしれません。

外出自粛でゲーム依存の相談急増

外出自粛でゲーム依存の相談急増「成績下がり、学校に行けなくなった」

2021/01/26 10:43【読売新聞】

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛の影響で、パソコンなどのゲームにのめり込む子供らが増えてゲーム依存症が拡大する懸念が高まっている。依存症患者の支援組織には親からの相談も相次ぐ。

大阪市の主婦(43)は、昨春の一斉休校を機に小学1年の次男(6)がゲームをする時間が増えたと心配する。兄が使わなくなった携帯ゲーム機で遊ぶようになり、学校再開後も毎日1~3時間ほど必ず手にとる。

外で遊ばせるのが心配な上、現在は学校や習い事に行く前にゲームをやめ、宿題も真面目にこなすため、静かに見守るが、「将来スマートフォンを持ち始めると親のコントロールができなくなるかも、と考えてしまう」と不安を漏らす。

ゲーム依存症からの回復支援などに取り組む「MIRA―i(ミライ)」(東京都)ではコロナ禍の影響で昨夏以降、子供のゲーム依存に悩む親の相談が2倍ほどに急増した。「ゲームから離れられず、生活リズムが戻らない」「成績が下がり、学校に行けなくなった」などの声が寄せられる。

国民生活センターによると、オンラインゲームの課金絡みのトラブルも増加。2020年4~12月の関連相談は4544件と前年同期比で1・3倍に増えた。

ゲームやネット依存の専門外来がある国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県)が昨年5~6月、通院患者80人(12~44歳)を対象に実施した調査によると、感染拡大前の昨年2月に3・9時間だった1日平均のゲーム時間(オンライン)が5・4時間になり、半数前後は「ひきこもり」や「睡眠障害」などが悪化したという。

厚生労働省研究班の17年度の調査では、ゲームやネットに依存しているとみられる中高生は93万人と推計される。センターの樋口進院長は「依存症患者の実態は不明だが、外出自粛で在宅時間の増加が続けば、患者数はさらに増える可能性がある」と指摘する。

世界保健機関(WHO)は19年5月、ゲームにのめり込んで生活や健康に深刻な影響が出た状態を「ゲーム障害」と名付け、ゲーム依存を、アルコールやギャンブルなどの依存症と同じ精神疾患と位置づけた。▽時間や頻度を制御できない▽他の生活上の関心事よりゲームを優先する――などが主な症状の特徴だ。

「MIRA―i」でカウンセラーを務める臨床心理士の森山沙耶さんは「子供の頑張りに目を向け、コミュニケーションをとりながらゲームの時間を決めるなど、一緒にルールを作ることが大切」と助言する。

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ここ数年PCゲームをあまり見ていなかったので`久々に見てみました。とてもおもしろいです。描画や動きも超リアルになっています。大人でもなかなかやめることは難しいなぁと感じるゲームも多いです。親の言い分はいろいろあるかもしれませんが、オンラインゲームの無料提供で一度体験してみると子どもがはまってしまうわけも分かると思います。

オンラインゲームに火をつけたのは、2017年リリースのフォートナイトです。世界で3億5000万のユーザーがいると言われる世界規模の巨大ゲームです。スイッチにもプレステにも移植されダウンロードさえすれば基本プレイは無料なので子どもたちが群がるわけです。

子どもの外遊びは誰も自粛せよなどとは言っていません。むしろ外に出て外気に触れましょうと文科省も学校も進めています。今回の自粛ではさすがに公園の大型遊具を禁止する自治体もなくなりました。家籠りをあおっているとすればテレビをはじめとするマスメディアです。

また、ほとんどのオンラインゲームはWiFi環境が必要なので家庭用Wifiルーターを保護者がコントロールすることは可能です。子ども用の端末にはWiFiが通じないようにもできます。こういうことを全く知らずに子どもにネットワーク環境を提供してしまっている保護者は少なくありません。

子どもネット環境の管理は保護者の責任だという前提のもとに、大人向けのWiFi管理講座などを無料で学校や自治体が主催してゲーム管理は大人の責任であることをリードして伝えていくべきだと思います。デジタルネットワーク社会に対応する保護者や大人の課題であるのに、子どもの成績や生活態度が乱れる原因までもがデジタルゲームの責任にすり替えられているように思えます。

不正請求の2業者を指定取り消し 京都市

放課後デイサービス、不正請求の2業者を指定取り消し 京都市、自治体の指導追い付かぬ実態

2021/01/26 16:51【京都新聞社】

京都市は25日、市内の放課後等デイサービス2カ所で給付費の不正請求などがあったとして、運営する2事業者に対し、指定取り消し処分を行った。市は両事業者に対し、給付費の返還を求め、利用児童計32人の受け入れ先を調整するよう指導している。

処分を受けたのは、放課後等デイサービス「ChauChau」(東山区)を運営する株式会社SEIBU観光企画(同区)と、「なちゅらるはうす」(伏見区)を運営する株式会社トゥルー・セルフ(京田辺市)。ともに通報を受けた市が昨年から監査を行っており、指定取り消しは4月1日付。

「ChauChau」は、指定申請時に常勤が不可能な職員を管理責任者として届け出たほか、職員の配置基準を満たしていなかった。また個別支援計画などの不備に伴う減算を適用せず、給付費を不正請求していた。加算金を含めた返還請求額は約636万円。

「なちゅらるはうす」では、退職した管理責任者の印鑑を用いて個別支援計画が適切に作成されたかのように偽装し、給付費を不正請求していた。返還請求額は約1874万円。

市によると、両事業者とも不正の事実を認め、給付費を返還する意向を示しているという。

放課後等デイサービスを巡っては、開設が相次ぐ一方で自治体の指導が追い付いていない。国は新規事業所は開設から1年、その他は3年に1度程度の実地指導を自治体に求めているが、今回処分を受けた2事業者は開設から2年以上たつが、1度も実地指導は行われていなかった。市は「通報が先にあり監査を行う結果となったが、本年度中には指導予定だった」と説明している。

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京都市は相談事業所が少なく保護者の作成したセルフプランを行政が直接受けて支給量が決定します。支給量は保護者が正当に必要とする申請がほぼ認められますから、月27日という支給量の方も少なくありません。京都市は所得の制限がありますが、ほとんど人は1割負担上限額の月4600円のうち2300円以上の補助があることから利用者も多いのです。支給量が多いという事はサービス提供量も多いので放デイ事業所もたくさん必要です。需要があるかぎり供給側は増えますから、中には不届き者も出てくるという図です。

今回の不正は、相変わらずの職員配置基準を満たさないままの運営と、支援計画を形式的に作成して存在しない責任者の認印を押印して偽造文書を作るという悪質なものでした。放デイの事業検査の仕組みは2年目と以降3年に1回の保健所の実地指導ですが、これは半日ほどの書類検査と面談なので、悪意のある不正文書は見抜くことが難しいです。結局、ほとんどの不正は内部告発で発覚しているそうです。

福祉の世界に会社法人が参入してくるから儲け主義になり不正の温床となるという方もいますが、どんな法人形態で経営しているかは関係ないと思います。むしろ、社会福祉団体の既得権益を改革していく90年代の福祉の構造改革があったから、様々なサービスが生まれてきたのも事実です。現在、保護者や従業員アンケートから自己評価を行っているように、利用者の意見公開を義務付けることで運営の透明性を担保しようとしています。しかし、収益の9割を税金で賄う制度ですからもう少し公的オンブズマン制度のような査定を行う第三者機関を制度として位置づけることが必要だと思います。

教育再生へ大きな宿題 東須磨小暴行

「学校組織改革を」神戸の教育再生へ大きな宿題東須磨小暴行

2021/1/27 21:55【神戸新聞NEXT】

どこの学校でも起こりうる-。神戸市立東須磨小学校の教員間暴力の再発防止策として、専門家委員会が27日発表した報告書。教員の気質や職場の風土に踏み込み、「学校組織を変えていくべき」と迫った。社会に衝撃を与えた問題から1年余。神戸の教育再生に向け、学校現場や教育委員会に大きな宿題が課せられた。

■「まさか先生が」
「教員間のハラスメントは起こるという前提に立ち、システムで抑止するという『フェイルセーフ』の考え方に立つ必要がある」報告書に記された「フェイルセーフ」という言葉は、鉄道や航空機などの設計で使われる。万一のトラブルがあっても、安全を保つ考え方だ。

「『まさか先生がそんなことしないだろう』というように、間違えない『無謬性』にとらわれていたのが学校という組織。フェイルセーフの考え方は妥当」組織論が専門の同志社大の太田肇教授は感想を述べた。「教員が積極的に市民の中に入っていくことも必要。他地域や私立学校との人事交流や専門家の招聘など、流動性が高い組織に変えていくべきだ」

■管理職への期待
報告書では「管理職のマネジメント力不足」も指摘された。一般社団法人「職場のハラスメント研究所」の金子雅臣代表は「管理職が校長と教頭だけであとは横並び。権限や責任が一部に集中している組織はマネジメントが機能しづらく、問題も起きやすい」とする。「主幹教諭など中間管理職的なポジションを増やすなど、学校組織を内側から変えていく視点もいる」と話す。

神戸市内の小学校長(60)は「今でも管理職は山ほど仕事がある。働き方改革を後回しにしないと、求められることは到底できない」と漏らす。「校長や教頭がやりがいのある仕事と思えるかどうかが鍵」と説く。

■特効薬はない
一方、家庭訪問や生徒指導など手厚く行ってきた神戸の教育については、「一定の効果を上げたが、教員同士の関係性を濃くし、公私の領域を混在させてきた」と指摘された。元市教委参与で、神戸親和女子大の洲脇一郎教授(72)は「神戸の学校が誇ってきた長所が時代や環境の変化に適応できず問題になっている。信頼回復に全力を挙げてほしい」と期待を込めた。

数々の再発防止策について、市教委の担当者は「どうすれば実効性の高い取り組みにできるのか、正直難しい。すぐに改善できるという特効薬もないし、優先順位を付けるのも難しい」と頭を悩ませる。外部講師による研修の実施などすでに取り組む内容も多い。「さらに改善するよう求められているということ。地道に積み重ねていくしかない」と話した。

(斉藤絵美、井上駿、長谷部崇)

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どこの学校でも起こりうる???読んでいて、頭がクラクラします。人の目に異物を入れるのは傷害罪。人の車の上を飛び跳ね車体をへこませたら器物損壊罪。上司に訴えたことを脅して止めさせるのは脅迫罪。義務のない行為を無理矢理に行わせたら強要罪です。しかし、悪質性の高い行為を行っていた元教諭については、警察としても刑事裁判への立件を視野に入れていたのに、すでに懲戒免職処分となり、社会的制裁を受けていることから立件を見送ったといいます。学校の中で教職員の犯罪が見て見ぬふりをされ、隠蔽されてきたのであり、ハラスメントがどうのこうのと言う話ではないと思うのです。

その犯罪が、校内で長く生じていたことについて、「神戸の学校が誇ってきた長所が時代や環境の変化に適応できなかった」等と「良いところもあるのだから頑張ればなんとかなる」というような感覚でこの事件を見るべきではないだろうと思います。そういう感覚でいるから、時間がないからできないなどと平気で言う管理職が出てくるのです。犯罪は告発して処罰すべきだし隠蔽も犯罪なのです。学校は治外法権ではないのです。

感染情報、身内にも秘密に 鹿児島市教委が口止め

コロナ感染情報、身内にも秘密に鹿児島市教委が口止め文書児童生徒や保護者対象に学校へ連絡

2021/01/29 08:20【南日本新聞】

新型コロナウイルスを巡り、鹿児島市教育委員会が、感染者が確認された学校に対し、その事実やPCR検査受診を「身内にも口外しない」旨を児童生徒や保護者に伝えるよう文書で連絡していたことが28日、南日本新聞の取材で分かった。学校現場からは「過度な情報統制は不安の増大につながる」と対応を疑問視する声が上がっており、市教委は「誤解を招いたのなら改める」として文書見直しを検討する考えを示した。

市教委によると、文書は、市保健所の助言を受けて送付。市保健所の吉住嘉代子参事は「不要な不安をあおるのを防ぐために適切な対応。身内の範囲は人それぞれ」との考えを示し保育所や企業などにも身内へ他言を控えるよう助言したと認めた。

市以外の県内13保健所を管轄する県は、親族に事実関係の口外を控えるよう指導はしていないとしている。

市教委などによると、遅くとも昨年秋ごろから感染者が出た学校に文書を送付。「身内をはじめ、地域住民や他の保護者らへ他言しない」との内容。市教委保健体育課の池田隆課長は「誹謗(ひぼう)中傷を防ぐためで、身内としては同居しない親族を想定」とした上で「保健所と協議し、改めて学校側に連絡する」と話した。

市内の学校では、PCR検査を受ける児童の保護者に対し、祖母ら親族にも伝えないよう連絡した教員もいた。感染者が確認された学校には、保護者から「会社に伝えていいのか」などの問い合わせもあった。市教委の文書に従った学校長の一人は「検査結果が出ないまま、あいまいな情報が広がることを懸念した。配慮に欠けていた」と釈明した。

感染症による社会的影響に詳しい関西福祉大学の勝田吉彰教授=渡航医学=は「身内と情報を共有しなければ、さまざまな情報が出回り、逆に不安や臆測が広がる」として中傷防止につながらないとの見解を示した。

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鹿児島の1/27の陽性者数は10名で、100万人当たりの陽性者数では日本は3000人、鹿児島県は約3分の1の979名です。それでもテレビ中継は東京から全国ネットで配信される番組がほとんどですから、地方の視聴者でも東京の事態を自分のことのように受け止めるのかもしれません。また、お年寄りと同居される家族が多い地方では感染には皆がナーバスになるのも分かります。だから祖父母にも知らせるなと言う教員もいたのでしょう。以前にも書きましたが、武漢風邪の症状や感染分類、感染防止策についてはいろいろな意見がありますが、これだけマスメディアに恐怖感をあおられてしまえば、知らせないことが集団パニックの引き金になります。

まだ検査結果も出ていないから知らせないという配慮のつもりが、学校は感染を隠しているという中傷につながります。SNSが誰にでも使える現在、情報漏れだけでなく、情報が捻じ曲げられたり、捏造されてばらまかれることも少なくありません。そこに煽って大騒ぎしてくれることを楽しむ愉快犯も便乗してきます。こういう時は、トップが正確な情報を発信して、その都度、感染に関わる人権侵害が生じている事態も伝えながら、感染はお互いさまで個人を責める問題ではないとアナウンスし、冷静に事態の対処をしている態度を見せ続け、市民に信頼を得ることが大事なのだと思います。

消えた「はだ色」、聖徳太子の名称変更

消えた「はだ色」、聖徳太子の名称変更小学校の「新常識」

1/29(金) 17:00【週刊朝日】

昭和・平成・令和と三つも元号が変われば、世の「常識」もガラリと変わり、気づけば浦島太郎状態に──。なかでも教育現場は、そんな「新常識」のオンパレードだ。たまには、子や孫の教科書をめくり、学校の話を聞いてみてはどうだろう。

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「はだ色のクレヨン、取ってちょうだい」
東京都内在住の女性は、小学1年生の娘が学校で使うクレヨンに一本一本、「お名前シール」を貼っていた。すると、娘からは思わぬ言葉が返ってきた。
「はだ色は、ないよ」
不思議に思って「はだ色」を手に取ると、クレヨンに巻かれた紙には「うすだいだい」と印字があった。

総合文具メーカーのサクラクレパスの広報担当者が説明する。「20年ほど前に、『多様な国籍の人が暮らす時代において、差別的だと感じる人もいる』との問題提起があり、業界全体で『はだ色』の名称は使わなくなりました」

教育現場でも、国籍や男女の垣根は消えつつある。クラス名簿は、男女混合の50音順が主流に。「蒼」や「葵」で「あおい」と読む男の子の名前も一般的で、名簿で男女の区別はつかない。運動会も変わった。受験を控える小学6年や中学3年の保護者は、ケガで勉強に支障が出るのを嫌がる。「名物だった組み体操のピラミッドやタワーをやめる学校は、年々増えています」(都内小学校の女性教員)

安全性への配慮は手厚くなった。理科の実験でおなじみだったアルコールランプも、カセットコンロに移りつつある。アルコールランプに使われる液体のメタノールは、気化しやすく爆発の危険があるためだ。「マッチを触ったことがなく、火をつけられない子どもが増えたという背景もあります」(大手科学教室のスタッフ)というから、将来がちょっと心配になる。

校庭の白い「ライン引き」に使うライン材も、中身が変わった。2007年、文部科学省は全国の教育委員会などに、強アルカリ性の消石灰系のライン材は目に入ると視力障害を残す危険性があると指摘した。それを受けて、弱アルカリ性の炭酸カルシウム系のライン材に移った。

みさき眼科クリニック(東京都渋谷区)の石岡みさき院長が警告する。
「消石灰系のライン材は、漂白剤の『ハイター』が目に入るのと同じくらい危ない。目の角膜が再生できないほどの視力障害を負ったケースもあります。炭酸カルシウムも、弱いとはいえアルカリ性。風で舞った際に目に入らないよう、気をつけて」

消えた「昭和のアイテム」といえば、プールの腰洗い槽と目の洗浄用蛇口もある。腰洗い槽は肌寒い日、“苦行”の代名詞だった。塩素入りの腰洗い槽は時代とともに、大腸菌で汚染される可能性が知られていった。数十秒のシャワーで同じような殺菌効果が得られ、濾過(ろか)装置付きのプールが各地で増えるようになり、退場を余儀なくされた。

小さい穴つきの蛇口が上を向いた、洗眼用の水道蛇口もいまは昔。
変化の背景には、日本眼科医会の、塩素や排尿やふん便、鳥が泳ぐなどして汚染されたプールの水が角膜に悪影響を与えるとの指摘も大きい。

前出の石岡院長は、研究グループのメンバーとしてこの問題に取り組んでいた。洗眼は戦後の日本でたくさんの失明者を出した眼感染症、トラコーマ予防策の名残だとしたうえで、次のように説明する。「ゴーグルを装着すれば洗眼の必要はありません。プールや水道水の消毒に欠かせない塩素が、角膜を傷つけることもある」小学校の学習指導要領には、「水にもぐって目を開ける」という指導例があるが、水泳時には小学生でもゴーグルを着用してほしい。

教科書も変わった。
改めて読むと、昭和世代には驚くことばかりだ。その象徴的なものは、死後の呼称である「聖徳太子」から、「厩戸王(うまやとおう)」への変更だろう。10人の言葉を一度に聞き分け、十七条憲法を制定したり、巨大帝国だった隋を相手に“対等外交”を主導したりしたスーパーヒーローだ。

『逆転した日本史』などの著書がある歴史研究家、河合敦氏が話す。
「小中学校の教科書は、学習指導要領の関係から聖徳太子の名称とともにヒーローのままですが、近年の高校の教科書は、政治の主役は推古天皇で、厩戸王(聖徳太子)はその協力者に変わっていた」

歴史上の人物の肖像画の「別人説」も次々に浮上している。
旧1万円札の肖像でおなじみだった聖徳太子像。原画となった宮内庁所蔵の「唐本御影」肖像画もその一つだ。「高校の教科書から件(くだん)の肖像画は消え、中学の歴史教科書では、『聖徳太子と伝えられる肖像画』と、自信なさそうな表現に変わりました」(河合氏)

国宝「伝源頼朝像」は、足利尊氏の弟、直義だとの研究もなされている。足利尊氏像と覚えた「騎馬武者像」も、別人だった疑いが強まった。ここまで教科書が変わった背景には、学習指導要領の影響もある。「政治史の王道、『江戸の三大改革』を実行した徳川吉宗、松平定信、水野忠邦の名前が小学校の教科書から消えたことでもわかりますが、いまの教科書は政治史から文化史や外交史に重点が置かれています。また、新しい研究の成果がより反映されている印象です。新説はまず本文外の脚注に載り、それが定説になると、本文に“昇格”していきます」(同)

かつては「士農工商」で教えられた江戸時代の身分制度の記載も、歴史教科書からなくなった。武士(士)・百姓(農)・職人(工)・商人(商)という固定的身分が存在するのではなく、武士が支配階級として君臨し、その下に百姓や職人、町人がゆるやかに並列して連なっていたイメージだったようだ。養子縁組で町人が武士になるなど、それなりの“自由”もあったという。

江戸幕府の「鎖国」も、実際は長崎や対馬、薩摩を窓口にオランダや中国などと交易していたとされるから悩ましい。「誤解を生みやすい『鎖国』の用語について、文科省は改訂を試みましたが反対が強く、いまだに使われています」(同)

機会があれば、子や孫の教科書をめくってみると、世相の変化や新たな発見に出会えそうだ。(本誌・永井貴子)

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昭和生まれの知識では子どもたちに「古ぅ~」と言われそうです。「肌色の何が悪い、ちびくろサンボの廃止は焚書や文化大革命と同じだ」とポリティカルコレクトネスには意見がありますが、教えられなくなった言葉を使う事で、子どもたちに「おっちゃんは昭和やから…」ともいわれたくないです。ただ、運動会でひたすらピラミッドの底辺を支えてきた者にとってはよくぞ廃止してくれたと思うところもあります。カセットコンロと言えばすき焼き・水炊きと相場が決まっており、理科室とは相性が合わないです。マッチが擦れないと、アウトドアで山ガールに鼻で笑われそうです。けれども、その一方で火おこし動画が花盛りなので人力着火はすたれることはないと思います。

消石灰系のライン材で毎日コートを引いてきた者にとっては怒り心頭に発します。消石灰の強アルカリ性は昭和から分かっていたはずなのになんで子どもに使わせたのか疑問ですが、塩素消毒したプールの中で「目を開けて!」と指導されたことから考えると、先生たちも知らなかったようです。でもラグビーと水泳部の顧問は化学の先生だったので、知っていたけど長いものに巻かれていたのかもしれません。

「聖徳太子」と「厩戸王(うまやとおう)」は昭和の1万円札を知るものにとってはさみしい限りですが、聖徳太子の逸話は作り話に決まっているような話でしたからやっぱりねとは思います。徳川吉宗の話も盛りに盛った歴史話とすれば暴れん坊将軍のドラマはどうなるんでしょうと心配したりしていますが、子どもたちは「は?それ何?」と知らないのです。実にジェネレーションギャップを感じる今日この頃です。

学校苦慮・・・緊急事態延長で見通し立たず

<新型コロナ>校外学習や修学旅行はどうなるの?学校苦慮・・・緊急事態延長で見通し立たず

2021年2月2日 06時00分【東京新聞】

新型コロナウイルス対策で緊急事態宣言が3月上旬まで延長される見通しとなったことで、学校現場では校外学習や修学旅行が実施できない可能性が高まり、頭を悩ませている。宣言解除を一つの目安と考えている学校もあり、コロナ禍での感染防止対策と学びの保障との両立に苦慮している。(奥野斐)

「宣言の期間が延びると校外行事は難しい。対応をどうするか悩む」。東京都江東区の区立小学校に勤務する男性教諭(46)はため息を漏らす。同校では毎年、近隣企業の協力を得て、校外で英語を学んだり職業体験をしたりする機会を設けてきたが、今年はコロナ禍で延期になった。

江東区教委は、区立学校向けガイドラインで、遠足や社会科見学などは原則中止とし、修学旅行の代替として行う「想い出に残る行事」は宣言解除後にするよう明記している。男性教諭は「今年はコロナで何もできなかっただけに、6年生だけはなんとか実施させてあげたい」と話した。

緊急事態宣言に伴い、1月から分散時差登下校をしている豊島区立仰高小では、宣言延長でこの態勢をしばらく続ける予定。各クラスを2グループに分け、それぞれの登校時間を決めており、新井裕校長は「仲の良い友達と自由に登校したい子もいると思うが、もう少し我慢」と理解を求める。

今月に行う「6年生を送る会」は、感染防止対策から他学年の出し物などは離れた教室から同時中継したり、事前収録したりする。新井校長は「宣言が解除になれば多少やり方を緩めることも考えたが、できる範囲でやりたい」と話す。

修学旅行の中止を決めている地域も多い中、対応に苦慮するのは墨田区。区立中10校の約半数は昨秋に修学旅行を実施したが、残る学校は2月下旬から3月上旬に予定している。区教委の担当者は「教育的な意義と安全性をふまえて再度検討する」と話した。

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今回の宣言や延長は世論に押された政権のリスク回避の判断ともいわれます。すでに1月緊急宣言前に陽性者のピークアウトは過ぎていたという事実や、結果論だが緊急宣言を出した自治体だけでなくすべての自治体で同じような減少カーブを描いていることからも、宣言発出の根拠が薄いという見解もあります。その結果、飲食業に関わる流通業や生産者も含めて店を閉める事態になり、そこに関わる就労者も失業して行き場を失っています。失業者の増加は自殺者を増やし、明確な統計値で死亡数が示されています。

政府は様々な失業防止策を講じているとは言われますが、GDP予測はすでに前年度にはるかに届かないというのですから、需要そのものが落ち込んでおり、品物を減らす生産調整をしないと値崩れが起こります。生産調整とは簡単に言えば人手を減らすことで失業者が増えるというわけです。武漢肺炎の日本の死亡者は10万人あたりで5人で、ほぼ高齢者ですが、完全失業率が1%上昇すると、10万人あたり約25人の自殺者増加につながり、多くは働き盛りの方が自殺するのです。

子どもが困るのは、大人の事情で行われる学校の感染防止策です。先日も鹿児島の学校で、感染情報から差別が生じないようにと気遣いをして、身内にも知らせないように担任が保護者に要請した報道がありました。昨年は、感染予防と称してクレーム回避を意識したような運動会や修学旅行が報道されました。風評被害対策に学校と子どもが巻き込まれていると言う図です。

該当地域や校内に感染者がでて対策を講じる状態があるなら様々な自粛や予防策が講じられるのはわかります。しかし、感染者もいないのに転ばぬ先の杖として行事や校外活動を中止するのは、今の政権と同じように、感染者が出たとき学校側の責任が問われるリスクを回避をしているように見えます。子どもには風邪程度の実害しかない感染症なのに、お年寄りのためだと言って過剰な自粛を強いるのは教育的にも良いこととは思えません。こうなっては、早い時期に繰り上げ解除が実現するように願うばかりです。

授業の詰め込み

内田樹「コロナによる授業の詰め込みで、学校が“荒れている”のではないか」

2021.2.3 07:00【AERA】

高校生の自殺者が増えている。厚生労働省は進路の悩みや学業不振が要因だと説明しているが、主因はコロナによる学校生活の変化だと私は思う。高校生たちはこの1年間修学旅行も運動会も文化祭も部活も、学業以外のほとんどの活動の自粛を余儀なくされてきた。そして、全国一斉休校の余波で遅れた授業時間数を取り戻すために、学校によっては6限を超えて7限まで授業を行っていると聞いた。

学習指導要領に定められた内容を教え切るために、詰め込めるだけ詰め込むタイプの授業をしていると子どもたちは壊れてゆく。「ゆとり」以前の、学習内容が最多であった時期にどれほど学校が荒廃したかを多くの日本人はまだ記憶しているはずである。教えることが多すぎて、教師は生徒たちが授業内容を理解するまで時間をかけることができなかった。授業についてゆけない生徒たちは自分が教室にいることの意味がわからなくなった。周りからはまるで「存在しない人間」のように扱われた。自尊感情を深く傷つけられた生徒たちは「私はここにいる」と訴えるように「荒れた」。

今それと似たことが起きているのではないか。短期間に学習指導要領どおりの内容を教え切ろうと無理をしているせいで、教員たちには生徒一人ひとりをケアするだけの余力がない。授業が理解できず脱落する生徒たちを支援する手立てがない。先日友人が「何年ぶりかに暴走族を見た」と驚いていた。「荒れる」高校生と「自殺する」高校生は同じ教育環境の産物であるように私には思われる。

大学ではオンライン授業で、教師と学生との個人的なメールのやりとりが制度的に担保され、対面授業のときよりもむしろていねいな個別指導ができるようになったそうである。これまでだったら早い時期に授業から脱落したはずの学生が学期最後まで受講して、きちんと課題を出し、試験に通るようになったと聞いた。

ことは子どもたちの命にかかわることである。一斉休校と詰め込み授業のせいで中高の生徒たちがいま味わっている苦しみについて、教育行政の担当者はもう少し本気で想像力を働かせて欲しい。

内田樹(うちだ・たつる)/1950年、東京都生まれ。思想家・武道家。東京大学文学部仏文科卒業。専門はフランス現代思想。神戸女学院大学名誉教授、京都精華大学客員教授、合気道凱風館館長。近著に『街場の天皇論』、主な著書は『直感は割と正しい内田樹の大市民講座』『アジア辺境論これが日本の生きる道』など多数

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大人の都合で、ゆとりで学習内容が少ないと言われたり、多いから想像力が育たないと言われたり、挙句感染症で休校だからと内容は減らさず行事を減らして詰め込んだりおおよそ児童中心とは言い難いです。人間性の育ちに大事なものは人との良い関係性です。多様な人から教えてもらったり教えたりの関係はゆとりがなければできないことです。

知識はこの関係性を通して伝わるのです。確かにAIなら一定の教え方で授業者に合わせて教えてくれるでしょう。それは様々な学習者の情報から解析されて最もマッチするものを提供するのですから、そこらの駆け出しの教員にはできないことでしょう。しかし、それでも生活の中にAIは存在することはできません。

悲しみや迷い困惑や恥じらいなど微妙な学習者の感情や理由を解析するAIが今後開発されたにしても、バーチャルな関係性と生身の関係性は違います。学びの場所は従来の学校に固定する必要はないにしても、学び合う関係性はそう簡単に置き換えられるものではないと思います。学び合う関係にはゆとりが必要だと思います。追い立てても良い結果にはなりません。何しろ日本中の事なのですから、文科省が休校の分だけ後学年に回す判断をすれば済む話です。良いものを創り出すには余裕と「遊び」が必要です。

EdTech導入実証事業の事例共有会

「すららドリル」 EdTech導入実証事業の事例共有会を開催 一人一台端末未整備校やコロナ休校時における家庭学習の工夫を共有

2021年2月4日 10時00分【すららネット】

株式会社すららネット(本社:東京都千代田区 代表取締役社長:湯野川孝彦)は、EdTech導入補助金活用校を対象に、AI×アダプティブ教材「すららドリル」の事例共有会を実施し、一人一台端末未整備校やコロナ休校時における家庭学習の工夫など、EdTech導入実証事業における活用校の事例を共有しました。

すららネットは、「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を企業理念とし、AI×アダプティブ 教材「すらら」を、国内では 約 2,100校の塾、学校等に提供しています。全国の有名私立中高、大手塾での活用が広がる一方で、発達障がいや学習障がい、不登校、経済的困窮世帯を含む生徒に学習の機会を提供するなど日本の教育課題の解決を図ることで成長を続け代表的な EdTech スタートアップ企業として2017年に東証マザーズに上場しました。

AI×アダプティブラーニング教材「すらら」は小学校から高校までの国語、算数/数学、英語、理科、社会 5教科の学習を、先生役のアニメーションキャラクターと一緒に、一人一人の理解度に合わせて進めることができるアダプティブな e-ラーニング教材です。レクチャー機能、ドリル機能、テスト機能により、一人一人の習熟度に応じて理解→定着→活用のサイクルを繰り返し、学習内容の定着をワンストップで実現できます。初めて学習する分野でも一人で学習を進めることができる特長を生かし、小・中・高校、学習塾をはじめ、放課後等デイサービス等においても活用が広がっています。すららドリルは、アダプティブなドリルと自動作問・採点機能を有するテストにより、学びの個別最適化を実現する「すらら」の姉妹版という位置づけで、主に公立小中学校で活用されることを想定し提供を開始しています。

2020年8月に経済産業省の令和元年度補正 先端的教育ソフトウェア導入実証事業(以下、EdTech導入実証事業)の補助金交付が決定し、672校、約25万人の生徒が「すらら」または「すららドリル」での学習を開始しています。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う休校を経て、GIGAスクール構想*による全国小中学校への一人一台端末整備の計画が加速し、2020年度内には配布が完了する見込みです。一方、学校現場においては、急な休校に伴う学習継続手段確保やオンライン授業の準備、また、再度登校が始まってからの感染防止対策や行事の見直しなど、これまでにも増して対応すべき課題が山積し、教員の負担が増大しています。「すららドリル」の導入により、児童生徒の学習の効率化とともに、教員の働き方改革が期待されています。このたびの事例共有会は、「すららドリル」活用が始まった学校間で事例を共有することにより、全国の教育委員会や学校間でさまざまな体験を共有し、ともに効果を高めあい、学校間の横のつながりを強化することを目的として開催しました。

オンラインで開催した事例共有会には80名以上が参加し、全国の4校から現状や課題、これからの展望について紹介がありました。

茨城県つくばみらい市立小張小学校 田上 和久校長は「市内の学校と連携した進め方」と題し、導入に至るまでの教育委員会や市内他校との連携や、一人一台環境の整備が完了していない中で時間割を工夫して取り組んだ様子を発表しました。使い方を先に学んだ上級生が下級生に操作方法を教えるといった学びあいの工夫についても紹介しました。

大分県玖珠町立くす星翔中学校 ICT支援員 江藤舞氏は「ICT支援員より事前研修での気づきの共有」と題し、教員が「すらら」をよく知り、生徒の取り組みを促す軌跡について発表しました。生徒の活用を促すには、教員が特性をよく知ることが重要であること、まずは恐れずやってみるという姿勢で臨むことといったポイントについても紹介しました。

神奈川県鎌倉市立小坂小学校 波多野 芳宏先生は「1人1台端末の管理と活用の工夫」と題し、導入当初からメディアリテラシーのルールを共有し、端末利用に慣れるに従い開放時間を増やしたことによりトラブルなく利用できるようになった経緯について発表しました。その結果、朝時間などの一斉利用にとどまらず、休み時間や隙間時間に自分に合った学習に取り組めている様子も紹介しました。

滋賀県守山市立守山北中学校は「中学3年生の受験に向けた使い方」と題し、「すららドリル」のテスト機能を利用し、生徒一人ひとりに個別最適化された学習を実現した点について発表しました(すららネットスタッフによる事例紹介)。一方で、現状の授業前5分学習のみでは学習時間が不足しており、今後は学校のカリキュラムに合わせ生徒の学習意欲向上に向けた取り組みが求められるといった課題についても紹介しました。

まとめとして、経済産業省 商務・サービスグループ サービス政策課長(兼)教育産業室長浅野大介氏より、「OECD Education 2030**」で謳われている1.新しい価値の創造 2.ジレンマの克服 3.責任ある行動 を実現するための、教育の再デザインの第一歩として一人一台端末とインターネット環境が必須である、というGIGAスクール構想の着想と実現に向けた経緯について紹介がありました。また「すららドリル」が「自律調整型の学びへの変換」のきっかけとなる点を指摘し、「すららドリル」での学習をきっかけに自ら学ぶ子どもたちと、子どもたちをサポートする先生たちに激励の言葉を贈りました。

受講した教員からは、今後の活用について「自習の時間や家庭での課題に活用するのが有効的だと感じました。また、自分の苦手な課題を繰り返し学習できることや、前の学年の復習を行えると、学習が積み重なっていくので使っていきたいと思います。」といったコメントや、「一人一台端末が3月に可能になるようなので、すぐに使えるように環境を整えていきたいと考えます。また、OECD Education 2030もしっかり解釈し,子供たちに返していきたいと考えます。」といった今後への意気込みが寄せられました。

すららネットは今後も、新しい学習体験を届ける事業活動を通じ、学習者に「大人になっても役に立つ真の学力」と「努力をすれば結果が出るという自信」を提供していきます。

*GIGAスクール構想
文部科学省が主導する、1人1台端末とクラウド活用、それらに必要な高速通信ネットワーク環境の実現を目指す5年間の計画
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm

**OECD Education 2030
OECD(経済協力開発機構)が推進する、新時代の教育のための事業計画
https://www.oecd.org/education/2030-project/about/documents/OECD-Education-2030-Position-Paper_Japanese.pdf

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GIGAスクール構想に武漢風邪による学校休校が追い風になって我が国ではものすごい速さでICT教育導入が進み始めています。すでに、小さな自治体からタブレット端末やPCノートの全児童生徒配布が始まっています。ところが、以前にも述べたようにiPad届いたのに制限だらけ 01/19 それを使う教師や大人の頭と、使う環境が全く追い付いていません。日本人は同調圧力の文化なので様子を見るのが長すぎます。様子をうかがっているうちに我が国よりはるかに生産力の低い国にも追い越されて、トップの欧米とは20年の差がついてしまいました。

横一列にならないと新しいことに手が出せなかった結果、GOOGLE等他国の一民間企業のプラットフォームを公教育が選ばざるを得ないという情けない事態も招いています。その中で国内で順調に利用者を伸ばしているのが「すらら」です。スタンダードがまだ定まってない業界は早い者勝ちの世界です。ぜひとも、国産のICT教育産業が海外資本を打ち破るよう応援したいと思います。教育は未来の安全保障と大きく結びついていると思うからです。

また、学習障害とICT教育は親和性が高いですから、療育にも役立つものですが、これを支援に使う人たちの頭が追い付いてきていません。また、発達障害に特化するということから需要が少ないのでいくつものアプリが生まれては消えてきました。他国の発達障害支援ICTの動向を見ていると、発達障害一本で成り立たせようというのに無理があり、関連企業が支えたり、クラウドファンディングで支えたりするようです。「すらら」にも小学校低学年までの発達障害バージョンがありますが、カスタマイズ機能がないので誰にもというわけにはいかないようです。こちらも、関連企業や関係者が関わりながら開発が進められるような「なんでもあり」の取組が求められます。

健康状態集約アプリ

集団感染の兆候つかめ企業や学校で健康状態集約アプリ

2021年2月4日 16時30分【朝日新聞】

新型コロナウイルスの集団感染の兆候をいち早くつかむためのスマホのアプリ普及を、長崎県が進めている。コロナにみられる症状の有無を毎日一人ひとり入力し、集団全体の健康状態を「見える化」する仕組みだ。介護施設をはじめ県内の1千超の企業や団体、学校が、無償提供を受けたアプリを活用。異変の兆しがないか注視を続ける。

昨年末、県内のデイサービス施設で、利用者1人の陽性が判明し、職員の間に緊張が走った。接触した可能性がある職員や利用者計約120人の陰性をひとまず確認した。だが、隠れた感染者が本当にいないのか、不安はぬぐえない。

そこで職員が頼りにしたのが、県が提供するアプリ「N―CHAT」だ。体温だけでなく、全身のだるさや頭痛など18項目に及ぶ症状がある人の増減をパソコン上でグラフ化できる。敷地内の別の施設も含め職員110人分の症状を毎日アプリを通じて集約し、観察し続けた。その後、異変はなかった。

職員の女性は「以前は検温でその日に異常がないかだけしか分からなかった。アプリで変化に注意できるようになった」と言う。

県提供のアプリは昨春、長崎港に停泊中の大型クルーズ船であった計149人の集団感染をきっかけに誕生した。チャット式で症状を入力するアプリを富士通(東京)の協力で開発。船内の乗員の健康状態をアプリを通じて毎日集約した。

厚生労働省クラスター対策班として対応に当たった山藤栄一郎・前長崎大熱帯医学研究所助教(40)=現福島県立医科大教授=は「発熱を訴えた人は初めの頃だけ。症状全般が減っていくのを見て、感染の広がりが収まったと確信できた。コロナは無症状の人がいる以上、ウイルスの侵入を完全には防げない。集団内の異変の早期発見に生かせると思った」と話す。

このアプリの効果を目の当たりにした長崎県は、県内での普及を決定。富士通と契約し、昨年8月末から無償提供を始めた。

地域医療の崩壊を防ぐには、高齢者施設でのクラスター(感染者集団)発生を抑えることが鍵だ。導入先の7割近くが介護施設。先のデイサービスを含む3カ所で感染者が出たものの、いずれもクラスターには発展しなかったという。

活用の幅は広がっている。長崎市の長崎歯科衛生士専門学校は昨秋、学生約100人の健康状態の把握のために導入。手書きと転記の手間が消えた。日本水泳連盟学生委員会九州支部(熊本市)や長崎県バスケットボール協会は、試合2週間前から選手らに健康状態を入力してもらい、開催可否の判断材料にした。他県から県に問い合わせも来ているという。

県はさらに普及を進めるため、無償提供を当面続ける予定だ。県福祉保健課は「『長崎モデル』が全国にも広がっていってほしい」としている。(小川直樹)
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一方で、感染拡大を防ぐ政府の「切り札」として導入された接触確認アプリ「COCOA」。利用者の約3割を占めるアンドロイド版が昨年9月末から4カ月以上、機能していないことが分かって大騒ぎになっています。原因はあまりにプライバシーの保護を厳密にした結果、不具合までがわからなくなったといいます。接触者情報が濃厚接触者でなくても反応してしまう不具合を直しているうちに、アンドロイド携帯用は濃厚接触にも反応しなくなったといいます。

海外の政府が提供する感染監視アプリではGPSで個人の追跡まで行うものがあります。プライバシーの保護が大事かクラスター感染で死者を出さないことが大事かという選択で、日本政府はプライバシー保護を選んだのです。これには憲法に国民の権利を一時抑制する国家非常事態宣言の条項がないからだそうです。ならば、仕方がないです。この憲法下ではプライバシーを守るために、結果的にはポンコツアプリしか提供ができなかったわけです。

ところが長崎ではこのプライバシーの垣根をやすやすと越えてしまうアプリが導入されていたのです。結局、自治体の長やその下で働く職員の本気次第だということかもしれません。役人が本気なら県民も本気で応えてくれるということだと思います。

香港政府が国安法の学校指導要領

香港政府が国安法の学校指導要領、6歳から法規定を勉強

2021年2月5日 午後3:58【香港ロイター】

香港政府は、昨年施行した国家安全維持法(国安法)について学校向けのガイドラインを出した。国安法で禁じる外国勢力の介入や政権転覆について6歳から教えることなどが盛り込まれている。

4日夜に公表された教育局のガイドラインは、民主化運動が盛んな香港を中国共産党の路線に沿うよう社会変革を目指す内容。

「国家の安全は非常に重要である。教師はこれを議論の余地のある問題として扱うべきでない」とし、教師は「国家の安全を守ることは全国民の責務であり、国家の安全について議論や妥協の余地がないと明確に指摘」すべきだとしている。

初等学校では、国歌の斉唱や「敬意をもって聴く」方法を教えるほか、警察や人民解放軍を香港を防衛してくれる機関として教える。国家分裂、テロリズムなど国安法で定める4つの処罰対象も教える。

中等学校では、中国が国際社会で直面する課題や機会、国安法の4つの罪について教育する。

インターナショナル・スクールや私立学校には異なるカリキュラムを認めるが、国家の安全の概念を正しく理解させる責任を負うとした。

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盗人猛々しいとはこのことです。自分たちは国際法も国際慣習も従わぬとして、東シナ海も南シナ海も占有して、武漢風邪でWHOが調査に入るというとWHO加盟の最大国にもかかわらず1年間も調査を遅らせて証拠を隠滅しました。チベットやウィグル、内モンゴル自治区での民族弾圧は人権意識などみじんもありません。そして、中国は香港特別行政区基本法で「1国2制度」を定めたのにそれも反故にしてしまいます。子どもに法は守るべきものだと言っても中国共産党の無法ぶりが際立つだけです。

そればかりか、中国共産党は自分の国以外での中国政府への批判も、今回の香港国安法で「外国の国家、機関、組織もしくは個人から直接的あるいは間接的に指示や統制を受けたり、資金やその他の援助を得る者」について、特定の活動を遂行することで国家安全保障に敵対しているとみなされた場合、当事者も支援者も有罪とするとしました。中国共産党が国家安全に敵対すると指定すれば何でもかんでも違法扱いするぞと言うのです。自分は国際法にも従わないが、自分の国の悪口を言うやつは国外でも処罰するという法に世界中が従えというのです。こんな法律を子どもに守れという国は、終わりが近いか世界を呑み込むかどちらかだと思います。

消える公立高願書の性別欄

消える公立高願書の性別欄男女の見た目統一に懸念も

2021.2.8 10:45 【産経新聞】

公立高校の入試の入学願書から男女を問う性別欄を廃止する動きが近年、全国で加速している。体と心の性が一致しないトランスジェンダーの生徒への配慮を背景に、「願書に性別を記載する必要性はない」という判断からだ。大阪府や京都府などが以前から廃止しているほか、兵庫県など今年度から撤廃するところもある。一方で、「性別による統計自体は必要」との指摘もあり、制服などで形式的に男女の見た目を統一化する「ジェンダーレス化」を懸念する声も上がっている。(藤井沙織、地主明世)

大阪府教育庁は平成30年、全庁的に行政文書での「不必要な性別記載欄」を見直した際に願書の性別欄を廃止。担当者は「自認する性別とは異なる戸籍上の性別を書くことは、生徒にとって苦痛。高校に男女別の定員もなく、必要ないと判断した」と話す。

性別欄の廃止は、学校におけるトランスジェンダーの児童生徒への配慮を求めた27年4月の文部科学省の通知をきっかけに広まった。兵庫県教委も「県全体で行った不必要な性別欄の見直しの一環」として今年度から廃止。同じく今年度からの富山県教委と、昨年度に廃止した京都府教委は「精神的な負担の軽減。全国的な動きを踏まえた」とする。ただし、いずれの教委も「体調不良の際の対応など入試運営に必要」(大阪府教育庁)などとして、中学校が作成して願書と一緒に高校に提出する調査書には男女の記載がある。

■「性別による統計自体は必要」
願書に限らず文書の性別欄の必要性を見直す自治体は多いが、本当に不要なのか。奈良女子大の三成美保教授(ジェンダー法学)によると、「事案の調査や分析のため、性別による統計自体は何事においても必要」という。こうした統計がなければ、例えば性別を理由にした不当な扱いにも気づけない。しかし、入試の調査書のように別の書類で統計がとれる場合は必要最低限にすべきだとし、「必要な場合も、『答えない』など男女以外の選択肢を」と訴える。

トランスジェンダーの当事者で講演などの啓発活動をしている山崎あおいさん(50)は「当事者は性別欄にどちらの性別を書けばいいかと悩み、現実を突きつけられて苦しむ。年を重ねれば割り切れるようにもなるが、未成年には難しい」と、不要な性別欄の廃止を歓迎する。

一方、願書の性別欄を残す自治体もある。千葉県教委の担当者は「なくしてほしいという要望を受けていないので廃止していないが、書きたくなければ空欄でいいと学校を通じて説明している」。東京都教委の担当者は「各校で男女別の定員があり、願書に基づいて男性か女性かを判別した上で合否判定を行っているため、性別は必要な項目だ」と話している。

■性差なくす「ジェンダーレス化」に懸念
トランスジェンダーへの配慮は入学願書の性別欄だけでなく、更衣室やトイレの個室化など社会全体に広まりつつある。そんな中、学校現場で導入が進んでいるのが、女子生徒もズボンをはけるなど、男女でデザインに性差のない「ジェンダーレス制服」だ。出生時の性別に違和感のある生徒が、そのことを意識せずに過ごせるようにという意図がある。しかし当事者の山崎あおいさんは、トランスジェンダーへの配慮を理由に男女の見た目を統一化することには懸念を抱く。

近年は、子供の名前を男女どちらでも通用するものにしたり、男性も化粧をしたりするなど、性別にとらわれない「ジェンダーレス」の考え方が広まっている。また、性的マイノリティーを表す言葉として「LGBT」という言葉も定着し、多様な性の存在が認識されるようになった。

しかし山崎さんは「男女で同じ見た目を求めるジェンダーレス化は、『性別にとらわれない』ではなく、性の統一化。多様性とは逆行する」と指摘。その上で「かっこいい服、かわいい服を着たいという気持ちは、私たち当事者も同じ」と話す。

三成美保教授も「大切なのは性差をなくすことではなく、誰もが自由に服装や振る舞い、言葉遣いで自分の性を表現できる社会にすることだ」と強調する。性認識は男性か女性かの両極ではなく、グラデーションのように多彩だからだ。

学校によっては、性別を問わず制服のスカートとズボンを選べる例もある。しかし、実際に男子が周囲の目を気にせずスカートをはくのは難しい。そんな現状を変えるために、三成教授は「学校でトランスジェンダーの当事者の話を聞かせるなど、子供の頃から多様な性があると教えることが大事だ」と話している。

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東京都教委の性別が必要な理由として・各校で男女別の定員・男女を判別し合否判定というのには驚きました。性差で合格ラインの差別をしているわけです。こう言えばきっと「女子の方が成績が高い」から「男子が少なくなる」と言うのでしょうか。だから男には下駄をはかせて合格させてやろうというわけです。時代錯誤も甚だしいです。高校に男女の人数差があってもかまわないと思います。試験結果が男女不平等の方がはるかにおかしいと思います。

今回はこの発言に驚いて他の情報が入ってこない感じですが、多様性社会は統一化社会ではないという論調に賛成です。結局、男女以外が書き込めないことへの配慮といいつつ厄介なことから逃げたい役人根性が見え隠れします。そして、性別を書かないことで子どもたちはどのようにこれを理解するか教育論議はなされたのでしょうか。確かに、男女のどちらかを聞かれたときにどちらでもないと感じる人はいるでしょう。

だからと言って、「その他」の項目を設けないのは、それはそれで少数者のカミングアウトを強制していると言われかねないからです。しかし、教室ではこのことを議論してほしいのです。多様性社会を目指すと言っても、子どもたちの中では性差をネタにした遊びやいじめが蔓延しています。このことに立ち向かっていかなければ、結局、面倒なことは書かさなければいい、表に出さなければいいとネガティブに理解されてしまうのではないかと思います。

発達障害児童向けオンライン指導

国内外の発達障害児童教育の格差を無くす! 株式会社AXTが「発達障害児童向けオンライン指導」を海外展開

2021.02.09 11:00【プレスリリース配信 @Press】

株式会社AXT(所在地:東京都新宿区、代表取締役:津嘉山 晋弥、以下 当社)が運営する発達障害・グレーゾーン専門の学習塾「個別指導のコーチング1」は2021年2月より、「発達障害児童向けオンライン指導」の対象を海外在住の日本人へ拡大し、海外展開を開始しました。
これにより国内外の発達障害児童教育における格差を解消する一翼を担うことができます。
詳細は以下の通りです。

■1. オンライン指導を海外展開する理由
海外の日本人学校における発達障害児童教育は日本国内に比べて不十分であり、特別支援教室が設置されている日本人学校は世界で10校ほどしかなく、教室での学習を助ける学習支援員がいる学校もほとんどありません。

また、民間の学習支援についても、海外進出している一般的な学習塾が一部あるとはいえ発達障害の特性に配慮した指導は難しく、隠れた教育格差が存在しています。
このような現実を踏まえ、当社は「発達障害児童向けオンライン指導」を海外在住の日本人へ提供することによって、国内外の教育格差を解消したいという考えに至りました。

■2. オンライン指導の特徴
◎海外在住の発達障害児童に対して完全マンツーマン学習指導を提供
これまで国内で行ってきたオンライン指導を海外在住の発達障害・グレーゾーン児童に対して提供可能となります。
また、オンライン指導は全て完全マンツーマン指導で、新型コロナウイルスの感染リスクが低い自宅で学習することができます。

◎創業10年で5,920件の相談・指導実績に基づいた受験対策・進学支援
当社は受験対策・進学支援を行う学習指導に特化した発達障害専門の学習塾です。
創業10年で5,920件の相談・指導実績があり、この実績に基づいたノウハウを以って生徒の特性の分析や具体的な指導方針、志望校対策などを提案し、帰国後の受験や進学の選択における教育格差の解消を目指します。

◎専門知識が必要な発達検査の解釈および活用
発達検査を受けたにも関わらず、検査を行った臨床心理士や医師から教育における具体的・実践的な助言を貰えることは少ないです。
臨床心理士や医師が、職域を超える教育的助言を控えるのは仕方がないことですが、多くの生徒・保護者は検査結果の活用方法が分からずに困っています。

当社には検査結果を解釈する専門知識がありますので、検査結果を学習指導に反映するだけでなく、家庭での保護者の関わり方や学校の先生との連携方法も提案し、総合的な教育格差の解消を目指します。

■3. 今後の業績見通し

本件に伴う業績への影響等につきましては、必要に応じて速やかにお知らせします。

【会社概要】
商号  : 個別指導のコーチング1(株式会社AXT)
所在地 : 東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワーN30階
代表者 : 代表取締役 津嘉山 晋弥
事業概要: 発達障害・グレーゾーン専門の学習塾・家庭教師の運営
URL   : https://www.juku-coaching01.com/

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検査をしてアセスメントをしてから支援しようというのは当たり前のことですが、発達障害児の学習やSSTをやってるよという放デイでもあまり前面に打ち出しません。というかやみくもにプログラムを展開している感じもあります。当法人のじゃんぷではアセスメントを大事にすることを打ち出していますが、これは放デイ事業のサービス内容ではないので実費で請求しています。

しかし、大阪東京の個別指導塾とはいえ、アセスメントも指導料も結構な値段です。検査料金は14,000~15,000円となり、提携している心理士がおり、塾には検査結果を支援に読み込めるスタッフが揃っているそうです。じゃんぷは心理士がスタッフにいますのでアセスメントと指導はダイレクトにつながりますし、料金も半額以下です。指導料は週1回で月18000円ほどだそうですが、放デイなら週1回90分来ておやつ代込みで月3000円くらいです。塾か放デイかの区別はあまり関係なく、発達障害の生活や学習の困難さを軽減するエビデンスに基づいたプログラムは同じです。

これをリモート学習で、海外在住の日本人子弟まで広げるというのですから需要が見込めるのでしょう。考えてみればリモートなら国内も海外も関係がありません。ネット環境さえ整っていれば地球の裏側でも時差はあるにせよ指導は同じです。いいところに目を付けていると思います。

 

教科担任制

小学校の教科担任制

2021年2月10日【宮崎日日新聞】

◆優秀な人材確保へ支援を◆
これからの小中高校教育の在り方について、中教審が答申をまとめた。小学校は学級担任がほぼ全教科を教えてきたが、中学のように各教科を専門の教員が教える教科担任制を5、6年生に本格導入することが柱だ。ほかにも高校普通科の再編や、情報通信技術(ICT)への対応、いじめ対策、特別支援教育の充実などさまざまな課題の処方箋を並べた。

鍵は、学校が多忙な「ブラック職場」とされて志望者が減る中で、優秀な教員をより多く集め子どもの能力を引き出せる環境をつくれるかどうかだ。日本の将来を支えるため、国は人材確保に全力を尽くすべきだ。

答申は、2022年度をめどに教科担任制の本格導入を求め、英語と理科、算数を例示した。きめ細かな指導による授業の質の向上が狙いだが、実は、より本質的な面でも効果が期待できる。

担任が一日中、一緒の小学校は「学級王国」とも呼ばれる。担任が指導力を発揮できる半面、学級外からの干渉を認めずに絶対的な存在になる恐れがある。複数の目で評価すれば公平性が保たれ、児童の小さな変化にも気づける。担任が一人で問題を抱え込む危険も減る。

ただ、小学校には英語、理科、算数に精通する教員は少ない。小規模で教員が少ない学校での実現も容易ではない。地域内の他の小中学校と専門の教員を融通し合うような工夫が求められる。

さらに21年度からは小学校の1クラスの上限を5年かけて35人とすることが決まった。既に35人の1年生を除けば、現在、2~6年生は40人で、上限の一律引き下げは約40年ぶりだ。少人数化は教育現場の悲願で、財政難を理由に財務省が拒んできた。だが、新型コロナウイルス禍で教室の「密」を避けて感染防止を求める声が自治体や与野党から上がり、実現した。

小中で30人学級を求める文部科学省が財務省と折衝して今回の形に落ち着いた。よりきめ細かな指導を考えれば、さらなる少人数化を進めたい。

学級数が増える分、新たに5年で約1万4千人の教員が必要だ。公立小の教員採用試験の競争率は年々下がっている。受験者が減り、大量採用世代の退職で採用増が続いたためだ。根本的な解決策は、学校をいかにやりがいのある職場にできるかにかかっている。

精神的に病み、休職する教員は19年度に過去最多を更新した。労働環境を改善し、子どもに向き合う時間を増やせれば、人を育てる仕事の魅力が増し、志望者も増えるのではないか。そのために国は最大限の支援をする必要がある。

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優秀な人材とは何が優秀なのでしょう。学級指導も教科教育も保護者対応も向かうところ敵なしの教師はいません。むしろ問題は、時代はどんどん進んで変化しいるのに何から何まで昔と同じように現場の仕事としてきた教職と言う仕事が制度疲労を起こしているのでしょう。

国算理社体図音習道9教科に、新しく増えた英語にプログラミング、40人の学習進度を見極め生徒指導を行い保護者対応して学校イベントの準備をする。併せて発達障害の子どもの合理的配慮まで法的に課せられています。こんなに忙しくては全教科の勉強ができるわけがないと思います。

でも、昔から教科の教え方の勉強をしている先生は、研究授業の前の先生か新人以外見たことがありません。学年会や様々な打ち合わせと、学級通信を書きテストや宿題の丸付けで8時間の勤務時間は昔から足りていません。

それでも、昔はそこそこ学校は成り立っていました。居残りで勉強した子どももその家族も先生をあてにしてくれました。今は、勉強は学校に期待されていないのです。お金を払って塾に行きます。大阪などは塾費用に月1万円補助してくれる自治体も出てきました。

これほど学校があてにされなくなった今、我こそはとオールマイティーの優秀な人材が集まるとは思えません。学校の仕組みを変え、従来の学校観をかえるしか道はないように思います。制度が現実に合わなくなっているのに個人の責任にするのは改革を遠ざけるトップがよくやることです。そして、制度を変えようとすると既得権益を守ろうとして反対する勢力も、結局改革を遠ざけている人たちと同じです。

 

年上の先生のチョコの思い出

「ほかの子には内緒だよ」年上の先生のチョコの思い出 佐藤仙務

2021年2月11日 10時00分【朝日新聞デジタル】

もうすぐバレンタイン。私には、忘れられない思い出がある。
小学6年生のころ、気になる人がいた。「クラスの女の子?」と聞かれそうだが、そうではない。学校のある先生がとても気になっていた。
その先生は当時、20代半ば。まだ12歳だった私の一回り近く年上だったが、廊下ですれ違うと、必ず声をかけてくれる優しい人柄にひかれた。

バレンタインが近づくと
ふだんの私は、クラスメートや先生たちから「おしゃべり好きのひさむくん」と言われていたが、その先生が話しかけてくれるときは決まって口数が減った。
2月になり、バレンタインが近づくにつれ、先生からどうしてもチョコレートがもらいたくなった。すると、学校でそわそわしている私を見て、別の先生が声をかけてくれた。その女性の先生は、私が気になっている先生と同い年ぐらいで姉御肌な性格なこともあり、私はよく悩みを相談していた。友だちに話せないことも、その先生には話すことができた。

私が「あの先生からチョコがほしい」と打ち明けると、その先生は「なんだ。そんなことか。じゃあ自分からチョコがほしいって言えばいいじゃないの」と言った。
私はアドバイスをもらっておきながら、「先生、わかってないね。自分からチョコがほしいって言うのはだめなんだよ」と小生意気に返した。

すると、その先生がくすっと笑い、「きみも男としてのプライドがあるんだね」とちゃかし、こう続けた。「好きって言わないと、その思いは相手のなかでは存在しないの」
私がクラスメートに相談せず、その先生に相談していた理由はこの快活さにあった。クラスメートに相談しても、きっと「大人は子どもなんて相手にしないよ」などという答えが返ってくると思ったからだ。

背中を押してもらった私は意を決し、気になる先生に「バレンタインに先生のチョコがほしいです」と言った。たまたま給食の時間で一緒になったときだった。ドギマギする私を見た先生はひと呼吸おいて、「うん、いいよ。でも、ほかの子には内緒にしてね」と言ってくれた。

チョコにも先生の優しさが
約束通り、先生はバレンタインデーにチョコを手渡してくれた。包みを開けると、ディズニーの棒付きのチョコが入っていた。
当時はまだ、私は手を動かすことができた。棒がついていれば、自分の力で食べることができるのではないかと先生は考えてくれたのだった。チョコはもちろん、先生のその優しさや気づかいが本当にうれしかった。

もったいなくて食べるかどうか、数日悩んだ。
相談に乗ってくれた先生に報告すると、「よかったね。ホワイトデーでお返しをしないとね」と自分のことのように喜んでくれた。だが、少し元気のない声で「でも卒業したら、あんまり会えなくなるね」とも言った。

そのとき、私は初めて気付いた。卒業したら、気になる先生とも相談に乗ってくれた先生ともあまり会えなくなるのだ、と。小中高一貫の養護学校とはいえ、教室の階は違うし、先生たちが転勤する可能性もある。
私は少し考え、相談に乗ってくれた先生にこう言った。「ぼく、卒業する前に手紙書く。思いはきちんと言葉にしないと、相手には伝わらないんでしょ?」

先生はにやりと笑った。
「じゃあ、ひさむくんが話した言葉を先生が手紙に書いてあげる」
そういうと先生は、かわいい便箋(びんせん)を用意してくれた。ペンで字を書くことが難しい私の代筆をしてくれたのだ。ペンを走らせ、私の思いを文字として紡いでくれた。

ホワイトデー当日。私はバレンタインのお返しと一緒に、用意した手紙を気になる先生に渡すことができた。後日もらった先生からの手紙の返事は「好きって言ってくれてうれしいけど、ごめんね」というものだった。
正直落ち込んだし、気持ちを伝えないほうがよかったのかなとも考えた。でも、相談に乗ってくれた先生が言うように「好きって言わないと、その思いは相手のなかでは存在しないの」という言葉を信じた行動だった。

今、当時気になっていた先生は結婚され、子育てに奮闘されていると聞いた。ただ、数年前、母校の文化祭で会ったときに思いがけない言葉をかけてくれた。

「今でも、ひさむの手紙を取ってあるの」
私はなんだか恥ずかしくなった。「何年前の話ですか。もう勘弁してくださいよ」と大人ぶりながら返したが、心の中でこう思った。「やっぱり、伝えておいてよかったかな」

佐藤仙務(さとう・ひさむ)
1991年愛知県生まれ。ウェブ制作会社「仙拓」社長。生まれつき難病の脊髄性筋萎縮症で体の自由が利かない。特別支援学校高等部を卒業した後、19歳で仙拓を設立。講演や執筆などにも注力。著書に「寝たきりだけど社長やってます ―十九歳で社長になった重度障がい者の物語―」(彩図社)など。ユーチューブチャンネル「ひさむちゃん寝る」では動画配信も手がける。

http://sen-taku.co.jp/

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佐藤さんの「障害は個性」とは思わないとというエッセー(「障害は個性」、それ本当? 2020/09/10)についてコメントを載せました。彼の下で働く障害者のスタッフに「障害は個性だと思うか?」と尋ねたところ、「障害は障害です」と悲壮感なく答えたという話です。そして、何か壁にぶち当たったときに「障がい者だから仕方ない」ということは決して言わないと言います。障害は個性だという言葉で自分を美化しなくても、彼らは障がい者以前に、自分自身の役割と価値を信じ、懸命に生きているからだという主張でした。

今回は、そんな佐藤さんの思春期直前の思い出です。まだ、手が動くだろうからと棒付きのチョコをお店で買う大好きな先生の姿を、佐藤さんは何度も思い描いたに違いありません。背中を押してくれた先生も粋です。「好きって言わないと、その思いは相手のなかでは存在しないの」と恋の指南をして、ラブレターの口頭筆記を引き受けた先生はどんな思いで彼の横でペンを走らせたのでしょう。なんだかぽかぽかと温かいものがこみ上げてきます。障害は障害でしかないけど、障害があるから恋ができないわけじゃないと、佐藤さんはバレンタインデーのあの日に、失恋したホワイトデーのあの日に二人の先生から学んだのかもしれません。

育て未来のAI人材

育て未来のAI人材徳島大が塾開校徳島

2021年2月12日 9時00分【朝日新聞デジタル】

徳島大学が今年、小中学生や高校生を対象にした「AI(人工知能)塾」を新たに開講した。高い情報技術を身につけ、徳島の産業に活力を生み出せる人材を育てるのがねらいだ。初めての塾生として約60人の児童生徒が学び始めた。

開講したのは「とくぽんAI塾」。徳島大のマスコットキャラクターであるタヌキ・とくぽんを名前に冠した。2~6月にかけて土曜の午前中などに開講し、大学教員や企業の社員らが講師を務める。新型コロナウイルス対策として動画コンテンツの配信やオンライン開催、サテライト教室を活用する。

今月6日に開塾式があり、ほとんどの塾生はオンラインで参加した。

徳島大の会場で式にのぞんだ徳島市の中学1年、鈴江康平さんは学校の授業でウェブページの作成などを学んでいるという。「技術を高めたくて参加しました。データ処理にも興味があります。今の社会に役立つプログラムをつくってみたい」と意欲を話した。

塾長を務める徳島大デザイン型AI教育研究センター講師の谷岡広樹さんは「どういうふうに世の中を見て問題を解決していくか、プログラミングをして何を実現したいのかが大切。受け身ではなく、知識の使い方を身につけてほしい」と語った。

学校ではプログラミング教育の導入が進んでいる。2020年度から小学校、22年度は高校でプログラミングが必修となるなか、AI塾は実践に役立つ経験を積める場にするという。

塾生は「仮想空間デザイン入門」「AIデザイン入門」など6コースから各自の習熟度に応じて選択できる。身の回りのコンビニやスーパーなどにある課題を解決するプロジェクトという形をとり、企画を実現するためのホームページ作りやプログラミング、データの分析活用、といった技術を身につける。

今年はケーキ屋に焦点をあて、顧客を増やすための消費者ニーズの把握や新メニュー開発などに取り組む計画で、実店舗との連携もすすめる方針という。

徳島大ではこの講座を来年以降も具体的なテーマを設定して続けるという。受講生の対象を社会人に広げることも検討している。(斉藤智子)
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地方大学の地域開放プログラムは様々なものがありますが、AI研究を先頭とするコンピューター教育が今の流行でしょうか?昨日も教材室で「おっちゃんこれプログラム教材やな」とスタッフ研究用に置いてあったプログラム教材を引き出してきました。「う~ん。それまだ勉強してないからわからんわ」というと、彼は「触らんことにはわからんで」とつぶやきながらいじり始めました。

ごもっとも、触ればそのうち分かるものです。発達障害の子どもたちの中には、デジタル物や電気、電波、化学、宇宙に生物、と科学大好きっ子が少なくありません。大人は、彼らの手の届くところに興味のありそうなものを置いておき、興味を持ち始めたら、一緒に勉強して、もう降参と大人がなったら、このような大学公開講座にお任せするのがいいなと思います。予算の許す限り、子どもの興味を引き出しそうなプログラムや教材を用意したいなと思います。もちろん、科学や歴史の物知り大人=カリスマティックアダルトも必要です。

ウレタンや布のマスクの遮断性能が劣る≠感染

ウレタンマスクはNG?着用批判に専門家くぎ―「洗い過ぎ」には注意を

2021年02月04日13時31分【時事通信】

新型コロナウイルスへの警戒心から、ウレタン製など不織布以外のマスクを認めず、着用を批判する人がいる。「性能の差」を強調する意見が目立つが、専門家は「場所や注意点を守れば使用に問題はない」とくぎを刺す。

「自粛警察」なぜ消えた?専門家、罰則導入で再燃懸念―緊急事態宣言
東京都新宿区のネイルサロンは「客と従業員の安全を担保できない」として、ウレタンマスクで来店した客には不織布マスクを渡し、付け替えを求めている。

不織布マスク以外は一切認めず、着用しないと入店を断る美容院もある。インターネット上には「効果皆無」「近寄るな」などと過激な意見が並び、「ウレタンマスク警察」とも呼ばれる。

こうした人々が根拠とするのは理化学研究所などの研究チームが行ったスーパーコンピューター「富岳」のシミュレーションだ。不織布に比べウレタンや布のマスクは飛沫(ひまつ)の遮断性能が劣るとされた。ただ、フェースシールドやマウスガードほどではなく、理研の担当者は「特徴の差で、使うなという意味ではない」と強調する。

不織布マスクは密閉性が高く、息苦しさを感じる傾向も強い。呼吸器や皮膚が弱く不織布を使えない人や、運動用などで通気性の良いウレタンマスクを選ぶ人もいる。

マスクの効果的な着用法を研究する「環境管理センター」(東京)の飯田裕貴子技術部長は「どれも一般的な使用なら問題はない」とした上で「密な場所や病院など、より注意が必要な場所では不織布、換気の良い場所で長時間使う場合はウレタン」と使い分けを提案する。むしろ鼻を覆わないなど「誤った着用で性能は大幅に低下する。材質より正しく使う方が大切」と強調した。

ただ、ウレタンマスクは繰り返し力が加わったりすると劣化するため、多くの製品で洗濯回数に制限を設けている。メーカー担当者は「何度も洗うと、フィルターの能力が落ちる。見た目がきれいでも説明書きの回数を守って交換してほしい」と話している。

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二重マスクと適切な着用、コロナ防止で効果米CDCが実験

2021/02/11 05:24【ロイター】

米疾病対策センター(CDC)の実験から、マスクの2枚重ねと適切な着用によって、新型コロナウイルス感染リスクを著しく低下させる公算が大きいことが分かった。

CDCは1月、布のマスクを3層式サージカルマスクの上に重ねた場合とサージカルマスクを顔に密着させた場合に、空気中を漂う微粒子「エアロゾル」を介した新型コロナ感染防止にどの程度効果があるかを実験。両方のケースで、エアロゾルへのエクスポージャーは90%超抑えられ、マスクの二重着用ではエアロゾルを92.5%遮断した。

密着していないサージカルマスクのみの着用では42%、布マスクのみの着用では44.3%それぞれ抑えられた。

また、感染者と非感染者両方がマスクを二重着用した場合、非感染者のエアロゾルへのエクスポージャーは96.4%、サージカルマスクを密着させた場合では95.9%抑えれた。

感染者のみがマスクを着用した実験では、エアロゾルへのエクスポージャーはマスクの二重着用で82.2%、密着型サージカルマスクで62.9%低下した。

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布製やウレタン製は不織布マスクに比べて、吸気排気とも感染防止には確実な効果がないことは今わかったことではありません。そもそもウィルスの大きさとマスクの繊維間の大きさは1:50なのですから、スカスカの網目状態で、唾液くらいは引っかかるかもしれないけど、まぁ効果はないというのがビフォーコロナ(武漢風邪流行前)の定説でした。

それが、エアロゾル感染というウィルスを含んだ空気中に漂う微細な粒子水滴(?)から感染するかもしれないという新しい飛沫感染説が仮説されたのです。これはウィルスよりサイズが大きいのでマスクの繊維に引っかかって予防効果がある(かも)と言われはじめたのです。

結局、理化学研究所らの研究ではエアロゾルの吸気で粒子吸込が防止できる割合は不織布が7割で布もウレタンも4割程度だということです。排気では不織布は8割でウレタンは5割カットするとの結果でした。

これはウィルスが鼻腔や気管支に侵入するカット率ではありません。飛沫粒子がカットできるというだけで、感染可能性のあるウィルス量がこの率でカットできるかどうかは研究されていないのです。

また、ロイターの邦訳記事はわざわざ「エクスポージャー」=「暴露」という翻訳しない言葉を選びあたかも感染確率ような印象を与えます。さらには、排気する人・吸気する人という言葉を使わず感染者・非感染者という直訳を選んでであたかも感染暴露の実験をしているかのような誤った印象を与えています。

二重マスクからどれだけ飛沫が漏れるか吸い込めるかという、実験はそれだけの結果です。それでも、ウレタンマスク警察だ、二重マスク推奨だとメディアは大騒ぎで煽ります。大事なことは、息切れして低酸素症か二酸化炭素中毒になりそうな二重マスクの推奨より、なぜ高齢化率の最も高い日本人の死亡率が白人の2%未満なのかを発表する人はいないのでしょうか。日本人の武漢風邪免疫仮説がメディアから無視されたように、科学的な根拠を示し安心できる研究結果や仮説はメディアが取り上げてくれないのだと思います。

ベトナムの小学校が新型コロナ対策

たしかに合理的!ベトナムの小学校が新型コロナ対策で導入したランチタイムのシフト制

2021.02.16 ライフスタイル 【@DIME by 小学館】

5分~10分おきに昼食をスタート!手洗い場所の混雑緩和
ホーチミン市内の学校では、COVID-19感染予防対策として、3密を避けるためにランチの時間にシフト制が導入された。

従来はすべての学年が同じ時間に昼食をとっていたが、子ども同士の接触を減らす工夫がされている。また、下校時間なども多くの子どもが集まらないように時間差で行動するようになった。

昼食時間は、各クラス5分から10分間隔でスタートする。開始時間をずらすことで食前、食後の手洗いの場所の混雑を避けることにもつながっている。食器やトレイも同じものを使用しないように管理されている。

学校としては現在の方法は運用が少し大変だが、子どもや教師の健康を守ることができるとして評判が良く、保護者からも子どもの健康が考えられていて安心と好評だ。

ベトナムのCOVID-19対策は「5K」
COVID-19の発生で、旧正月明けから約3か月間ベトナム国内のすべての学校は閉鎖された。5月上旬より順次学校が再開。学校内の消毒や清掃が行なわれ、登校時の検温、マスクの着用(着用がない場合は目や鼻、口を触らないように指導)など様々な対策が取られた。

ベトナムでは、COVID-19対策として3密のほかに、「5K」が用いられる。

KHẨU TRANG(マスク)、KHỬ KHUẨN (消毒)、KHOẢNG CÁCH (間隔)、KHÔNG TỤ TẬP (密集を避ける)、KHAI BÁO Y TẾ (健康宣言)の頭文字をとったものだ。

教育現場での取り組みは、子どもや保護者などに広がり、国民全体の衛生意識向上に繋がることが予想される。

参考記事:http://tnc-trend.jp/vietnam64/

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ベトナムでの感染者数は減少傾向にあり、平均で1日28人の新規感染者が報告されています。パンデミック(世界的大流行)開始以降、同国では感染者2271人、死者35人が報告されています。ベトナムの人口は1億人弱、桁違いに少ない死者数とも言えます。65歳以上の老齢人口は800万人程で8%、3600万人で3割に迫る我が国の死者数7000人を比べるのは公平と言えないにしても、我が国の200分の一ですから桁違いに少ないのです。

ベトナムの国全体の海外からの渡航者ストップが共産主義国らしく手際よかったからと言う見立てもありますが、それだけでは説明が成り立ちそうもありません。やはり、東南アジアの人々の抗体形成過程や遺伝子DNAレベルで解明されるべきことがあるのかもしれません。

この時間差学校給食はグッドアイデアです。しかし、写真は完全に密な状態で並んで給食食べているけど、それって日本では感染原因とされて緊急事態宣言まで出して、そういう食べ方はいけないのでお店はお休みとなっています。今回のタイムシフト性がグッドアイデアだけに頭隠して尻隠さずに見えてしまいます。

ICT化を加速 コロナ禍、幼稚園でも

学校現場のICT化を加速コロナ禍、幼稚園でも環境整備

2021/2/18 07:00【神戸新聞NEXT】

兵庫県教育委員会は2021年度、学校現場でのICT(情報通信技術)化を加速させる。新型コロナウイルスの緊急事態宣言を受けた長期休校を経験し、遠隔地と結ぶオンライン授業の充実も期待されており、教職員が使いこなせるよう指導力向上に力を入れる。(斉藤絵美)

県内の全小中学校では、国の事業を活用し、3月末までに児童生徒に1人1台の端末が行き渡る見通し。県立高校でも昨年9月から各学年に1クラス分のタブレット端末を配備し、授業で活用している。

県立高校や特別支援学校でも21年度、「1人1台」の実現に向けて、低所得世帯の生徒にタブレットやパソコン(計1万2千台を想定)を無償で貸与。自宅にネット環境がない生徒らの家庭学習を支援するため、持ち運びできる通信機器「モバイルルーター」の貸し出しも行う。

学校現場では、これまで整備してきた大型プロジェクターや生徒用タブレットを引き続き活用するため、リース料などとして5億4400万円を予算案に計上。県教委内にICT機器の取り扱いをサポートする技術者1人を配置する。

希望する公立幼稚園・幼稚園型認定こども園には、1園当たり100万円(私立は75万円)を補助。保育参観や小学校との交流事業などでオンライン化を推進する。

一方、環境整備とともに教員の技能向上は欠かせない。教員ごとに到達目標を定めて研修を強化し、ICTの活用にたけた教員「HYOGO(ひょうご)スクールエバンジェリスト」の授業を参考にしながら、指導力の底上げを図る。

西上三鶴教育長は「機械に慣れ、現場で使ってもらうことが重要。授業の場面ごとで最適な使用方法を探りながら、教育に浸透させていきたい」としている。

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兵庫県は年度末までに小中学校への端末配布が終了とのことですが、京都府はまだ情報がありません。近隣市町では4月から端末配布と言う噂もありますが、詳しいことはわかりません。何しろ、記事からも分かるように詳しい技術者1名配置なのですから、機器配布は政府がするが自治体が準備する環境整備にほとんどお金がないようです。

一方で手を上げた幼稚園や保育所にも資金をつぎ込んで、小さな子どものいる家庭からリモート環境を整えようという戦術なのでしょう。この種の報道のコメントにはしつこく書いているのですが、端末が教育に使える環境は国産で整えないと、今は無料で手を差し伸べてくれている海外資本のICTシステムに日本の教育が事実上支配されてしまいます。

グーグル採用自治体は半数以上に

グーグルが学校向けに新機能 採用自治体は半数以上に

2021年2月18日【教育新聞】

グーグルは2月18日、クラウド型教育プラットホーム「G Suite for Education」の名称を「Google Workspace for Education」に変更し、今年4月から有料エディションも追加すると発表した。現行の無料版G Suite for Educationに名称以外の機能変更はないが、Google Classroomで児童生徒の使用状況を把握しやすくするなどの機能を今年中に追加する。同社によればG Suite for Educationは、すでに全国の自治体の半数以上で採用されており、今後も「日本のニーズに見合うプログラムの調整をしていく」という。

教育現場で利用できる
今年4月に新たに追加される有料オプションは、オンライン学習のセキュリティーを高める「Education Standard」と、ビデオ機能や独自性レポート機能を強化した教員向け「Teaching and Learning Upgrade」の2つ。

合わせて今年中に、無料版のGoogle Workspace for Educationの機能も拡充する。Google Classroomでは▽それぞれの児童生徒の使用状況を把握しやすくする▽アンドロイドスマートフォンから紙の課題の写真をスキャン・編集・アップロードしやすくする▽アンドロイドスマートフォン上でのアプリをオフラインで動作できる――などの新機能が追加される。

Google Meetでも教員が全員の会議を終了する、全員を一度に素早くミュートするなどのオプションが追加され、オンライン授業などをより細かく制御できるようにする。さらに2022年7月までに、各ドメインに100テラバイトのクラウドストレージ容量を提供。同社は「1億を超えるドキュメントの保存に十分」な容量としている。

同社によるとGoogle Classroomのユーザーは現状、全世界で約1億5000万人に達し、1年前の4000万人から大きく増加した。Google for Educationグローバルディレクターのジョン・ヴァンヴァキティス氏は記者会見で「その中で最も大きな成功例は日本。GIGAスクール構想により大きな変革が起きつつあり、これから先も日本のニーズに見合うような形でプログラムの調整をしていく」と意気込んだ。

アジア太平洋地域のマーケティングを統括するスチュアート・ミラー氏は記者会見で、G Suite for Educationがすでに全国の自治体の半数以上で採用されていることや、日本の学校現場からは画面の録画と、ネットワークが不十分な場所でも活用できるオフラインモードなどへの要望がとりわけ多かったということを明かした。

ミラー氏はまた「グーグルの研修プログラムに参加した日本の教員からは、『最初はデバイスを使いこなせるかと心配していたが、研修を受けてみると簡単だった』という声が多かった。今後も、オンラインの動画など多くの研修プログラムを提供していく」と話した。

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GOOGLEが日本の教育ICTシステムを支配しそうな勢いです。無料使用でもほぼ必要なシステムは揃っているので向かう所敵なしです。このPCシステムの無料戦略で思いだすのは、80年代のMS(マイクロソフト)社がパソコンのOS(基本ソフト)を世界に拡散させたやり方です。

MS社はコピーフリーとのアナウンスをしてはいませんが、コピーで拡散しているのはシェアを広げるための暗黙の了解だったようです。パソコンを持ち始めたユーザーはまずコピーしたOSを友達から譲り受け、またその友達が他の友達にコピーを提供してということが世界中で繰り返されてPCのOSシェアはMS社が世界中で一人勝ちしたわけです。

それから後継OSのWindowsになりMS社はコピーできないOSを販売し巨額の富を得る企業になっていたのです。実は1980年代、日本でもWindowsの機能を凌駕するトロンOSが開発され無料配布を始めようとしていたのです。しかし、時すでに遅く、MS社は米政府と結託して当時の日米貿易摩擦に便乗して、この優れた国産OSの配布に待ったをかけました。

OSがなければパソコンはただの箱ですし、メジャーなOSで動くソフトウェアだから資本を注ぎ開発しても売れるのです。マイナーが確定したトロンOSからは蜘蛛の子を散らすように関連企業は撤退し、日本はOSで世界制覇の千歳一遇のチャンスを失ったのです。

日本にもう少しICTの未来に目利きできる政治家や経営者がいればと悔やまれますが、年寄りの政治家や経営者は国産車の輸出にばかり目が向きICTの基本ソフトの価値がわからなかったのかもしれません。逆に言えば、必死に日本の進出を食い止めた米国には価値を理解する若い政治家がたくさんいたということです。イノベーションには必ず志の高い若手集団とそれを粘り強く支援するモノとカネが必要です。

公共サービスにおけるデジタル基本システムの採用は、目的は何であれ、その国の未来に富を生み出すだけでなく国の安全保障や暮らしにまでかかわる重要な政策といえます。今回はトロンOSのように国産のシステムがあるわけではないので簡単に比較はできませんが、GOOGLEの一人勝ちは見えています。GOOGLEシステムがなければ授業が始まらない時代が来るでしょう。

そして、このシステムで育った子どもたちは、好き嫌いに関係なくGOOGLEに暮らしや仕事の大部分を委ねることになります。願わくば、教育の中身くらいは、海外資本の進出を跳ね除け国産ソフトで制圧して欲しいものです。とはいうものの、すてっぷのiPadには米国産のiPecsがしっかりインストールされていますし、子ども用のPCにはMS社が世界に拡げたマインクラフトが入っており、それで小学生たちは毎日遊んでいます。

「校長がブレーキになってはいけない」 文科相

学校ICT「校長がブレーキになってはいけない」 文科相

2021年2月19日【教育新聞】

国立教育政策研究所(国研)の調査報告で、校長らトップのリーダーシップの有無が学校間や自治体間のICT格差に大きな影響を与えている実態が明らかになったことについて、萩生田光一文科相は2月19日の閣議後会見で、「間違っても校長先生たちがブレーキになってはいけない」と述べ、学校のICT活用に向けて自治体の教育長や校長ら学校管理職がリーダーシップを発揮するよう要請した。また、1人1台端末の整備を受けた学校のICT活用について「ミニマムスタンダードを全国で共有してほしい」として、文科省が指針を示す考えを改めて表明した。

萩生田文科相は「学校においてICTを積極的に活用していくためには、まさに校長先生、あるいは自治体の教育長が、その有効性を理解し、教職員と認識を共有するとともに、ICT環境の整備や教職員を支援する外部人材の確保などに努める必要がある。その果たすべき役割は大きい」と指摘。文科省として、これまでさまざまな会議などを通じて自治体の教育長にICT活用の必要性を伝え、校長ら学校管理職に対しても教職員支援機構を通じて研修を実施している現状を説明した。

校長が従来の伝統的な授業にこだわる傾向が強いとICT活用が遅れるとの報告内容について、「校長先生が定年まであと数年で、今まで積み上げてきた指導方法や、自分の価値観をしっかり持っていればいるほど、4月から始まるICT教育に違和感を持つ先生もいると思う。ただ、間違いなく時代が変わってきている。間違っても校長先生たちがブレーキになってはいけない」と述べ、ICT活用に慎重な学校管理職に意識変革を促した。

ICT活用を全国の小中学校に浸透させるアプローチとして、萩生田文科相は「(文科省が)ガイドラインをしっかり出し、その中でミニマムスタンダードとして『ここまではちゃんと使いましょうね』という内容を全国で共有してほしい。このことは教育長や校長会にも徹底をしていきたい」と述べ、1人1台端末の整備を受けた学校のICT活用について文科省が指針を示す考えを改めて表明した。

続いて「設置者である自治体や、学校の責任者である校長先生の判断で、(端末の)『持ち帰りはダメ』という学校が出てくる可能性も否定できない。そんなときに、われわれ(文科省)は『いや、持ち帰らせてやってくれ』と指導助言はできるけれども、最終的にルールは学校や自治体が決めなければならない」と、1人1台端末の具体的な運用ルールは学校や自治体に権限があることを確認。「4月から初めて全国で同じ条件が整うので、グッドプラクティスは横展開をどんどんしていきたいし、問題が発生すれば『それは気を付けましょうね』というのも共有していきたい」と話した。

こうした流れを説明した上で、校長や教育長らリーダー層に対し、「せっかく環境が変わってきたので、その時代の変化をしっかり受け止めていただき、いいリーダーシップを発揮していただきたい」と述べ、学校のICT活用に率先して取り組むよう求めた。

萩生田文科相は2月16日の会見で、1人1台端末の家庭への持ち帰りについて3月末までにチェックリストを示す考えを表明している。文科省では、端末の家庭への持ち帰りのほか、端末の使用による視力など健康への影響や、保護者に伝えるべき事項などを整理して、一定の指針をまとめる方針。

国研の調査報告は、コロナ禍の学校におけるオンライン授業やICT活用の実態を調べ、促進要因と阻害要因を分析したもの。露口健司・愛媛大学大学院教授が2月16日に行われた教育改革国際シンポジウムで報告した。

それによると、教育長や校長がアクティブ・ラーニングなど新しい授業形態に積極的な場合にはICT活用が進み、逆に学校管理職である校長が従来の伝統的な授業や平等分配にこだわる傾向が強いと、ICT活用が遅れていることが判明。教育長や校長らトップのリーダーシップの有無が、学校間や自治体間のICT格差に大きな影響を与えていることが分かった。

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この間、ICT教育がらみのネタが続いていますが、新春から生徒全員タブレット導入の自治体もあることから、放デイのサポートの仕方も変わり柔軟な対応が求められるので必要な情報を発信していきます。記事にもあるように例え文科省や自治体の教育長が指導助言したにせよ、最終判断は校長が決めるのです。システムがよくわからず職員に丸投げする管理職はまだましですが、タブレットはポータビリティが大事なのに紛失しては責任問題と金庫の中にタブレットを厳重に保管しようとする管理職は必ず出てきます。

かつて各学校にPCが配備されるとき同じような現象がありました。パソコン室がなければ高価なPCが保管できないと思った管理職や教育委員会事務局が大勢いました。パソコン室作るくらいならそのお金でLANを構内に配備して各教室で使えるようにすればよかったのに、パソコン室に絨毯引いて裸足で上がらせる学校もあったりしました。

結局、ネットワークが大事だと知っている教職員やPTA役員でたまたまシステムエンジニアのお父さんがいて、このままじゃ子どもが学べないと職員とお父さんが協力して校内中にLANケーブルを張り巡らした学校は少なくありません。確かにケーブルが壁にむき出しで見栄えは悪かったですが、目の前に操作できるPCがあることは子どもにとってとても大事な環境でした。

考えてみると、ICT教育だけでなく様々な教育課題で管理職や事務局が無知だと、何でも進まないのです。特別支援教育や発達障害教育も未だにそうです、学校間に自治体間にかなりの格差があります。当然、その下で働く職員も同じです。優れた指揮と環境の下では優れたスタッフが育ちます。