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 小学生のOさんはすてっぷに来始めてもうすぐ1年。少しずつですが、友だちと談笑するなど、笑顔を見せることが増えてきました。遊びのこだわりがあり、来た当初はしないことは絶対にしないと固いところもありましたが、最近は苦手な遊びでも参加するようになっています。  そんなOさんの課題の一つがコミュニケーション表出、つまり自分の思いや気持ちを他人(職員や友だち)に伝えようとすることがまだまだ少ないことです。上記の通り、「しない」ことは伝えられますが、どうしてしないのかという理由や、では代わりに何をするかという代案を、自分から伝えることはまだできません。他にも感想を聞かれても「楽しかった」と答えるのみで、他の感想、特に自分の気持ちを他の言葉で表現することはなかなか見られませんでした。  そこで活動選択からコミュニケーションの表出に少しずつ取り組み始めました。Oさんは好きな活動は「する」、したくない活動は「しない」と答えるので、好きな活動を保障しながら、「しない」と答えた活動を一部だったりルールを変えたり(おにごっこをふえおににするなど)といった交渉をしました。そして少しずつ見えてきたOさんが「し...
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12/02
パブリック
 「○○くんたちと遊びたい!」(2023/11/4)で紹介したJさん。週間スケジュールで見通しが持てることで、落ち着いて過ごせることが増えてきましたが、自分の要求が伝わらないと泣き叫ぶような大きな声を出すことがまだ見られます。  そういうときは感情カードで、落ち着いて他人(はじめは職員から)に伝えていくことに替えていきます。ただ感情カードを見せるだけでは、なかなか自分から伝えることにはつながりません。実際にJさんも、感情カードを見て絵の意味は分かっても、使う(伝える)ことの意味はなかなか分かりませんでした。  そこで職員がJさんの気持ちを受け止めることからはじめました。先日「公園に行きたくなーい!」と叫びながら帰ってきたJさん。まずは職員が「お話しよう」と向き合っていっしょに座ります。職員が「どうしたの?」と聞くと、「公園行きたくない!」とJさんは答えます。すかさず職員は「行きたくないんだね」とJさんの気持ちを受け止めます。次第に落ち着いてくるJさん。職員が「どうして?」と聞くと、「寒いから」とJさんは答えました。職員が「そうだね。寒いね」と共感し、「ジャンパー着ていこううか」と言うと、Jさんはジャンパ...
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11/24
パブリック
 すてっぷの小学生グループのみんなはブランコが大好き。公園に着くと一番にブランコに走っていきます。ただ公園に設置されているブランコは2連のものがほとんど。地域の子がいなくて空いていても、すてっぷのグループの人数では足りません。早い者勝ちとばかりに走っていく子どももいますが、最近では職員が声をかけずとも、子ども同士で「譲って」と交渉する姿が見られるようになってきました。  先日、4人ほどのグループと職員とで、2連ブランコのある公園に出かけた時のことです。先に着いたKくんとLくんがブランコに乗って遊んでいました。遅れて到着したMくんとNくんもブランコのところにやってきました。そしてそれぞれ、ブランコで遊んでいる2人に声をかけます。MくんはKくんに「代わって」とお願いしました。まだ遊びたいKくんは「60秒したらいいよ」と答え、Mくんは了承。交渉が成立しました。  一方のNくんも「代わって」とLくんに伝えます。Nくんはすてっぷに来て半年。この2か月ほどでグッと成長を見せ、落ち着いて交渉することが増えてきました。ですが自分の思いが通らないと泣いてしまうことがまだ見られるため、このときも職員がそばで見守っ...
 小学生グループで最近取り組んでいる遊びの一つが「Dixit(ディクシット)」というゲームです。ディクシットは有名な対戦型のボードゲームで、様々な(多くは象徴的な)絵が描かれたカードを使います。プレイヤーは順番に出題者になり、自分の手札からカードを1枚選んで、その絵を言葉で表現します。他の人は全員回答者になり、それぞれがその言葉にふさわしいと思ったカードを出した後、それらのカードが混ざった中から出題者が出したカードを当てるというゲームです。  このとき、回答者が誰もカードを当てられなかったら出題者に得点が入らないのは分かりやすいのですが、このゲームの面白いところは、回答者全員が出題者のカードを当ててしまったときも、出題者に得点が入らないということです。そのため出題者は、全員にはわからないような、でも誰かは分かるような言葉を言うことがポイントになります。  もともと小学生グループの子どもの中には、言葉で表現することが課題の子が少なくありません。そこで、ルールがある中(設定遊びやボードゲームなど)で、言葉で表現することに取り組んできました。「ある/ない」や「本当/うそ」といった0/100の表現...
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11/10
パブリック
 算数と数学の違いでよく聞かれるのが、「算数は実生活で使うものが多い」ことです。その一つが、およその数、『がい数』です。がい数は小学校4年生で習います。新聞やニュースで面積や人口を見る時は、たいていがおよその数で表されています。また買い物に行く前に、買うものの値段と財布に入っている金額を、およその計算で比べる人も少なくないでしょう。  がい数を求めることに必要な作業が四捨五入です。「6400や6700はだいたい何千?」と聞かれた時に、感覚で分かっている人はすぐに答えることができるでしょう。先日じゃんぷで、がい数の予習に取り組んだ子も「6000」「7000」とすぐに分かりました。どうして?と聞かれると、「近いから」と答えました。この『近い』という表現になかなか納得できない子もいるかもしれません。教科書に書かれているように数直線で見ると、「確かに近いな…」と納得できるでしょうか。実のところ、この『がい数』は、ひき算わり算や分数小数などと同様に、子どもにとって混乱しやすい内容です。四捨五入の作業ができ、がい算(がい数の計算)ができるようになっても、がい数の意味を理解したり意味やよさ...