すてっぷ・じゃんぷ日記

マッチングの力

X君は言葉のないASDの利用者です。新しい環境では要求がなかなかでないので職員もあれこれ働きかけるのですが振り向きもしてくれません。ところが、他の子のために台の上に積んでおいた自立課題のかごをみてきらりと目の奥が光ったように見えたので、試しにマッチング課題を取り組んでみると、どんどん取り組んでいたという報告がありました。

X君は昔から発達障害のある子どもへの民間療育に通っています。そこで長く「概念学習プログラム」を取り組んでいるそうです。これは、簡単に言えばすてっぷや自閉症の専門療育では良く取り組まれるプットイン教材やマッチング教材、組み立て教材のことです。30年以上前からあるプログラムで主に認知レベルを引き上げ言語に結びつけていくことを目的にしていると聞きます。

すてっぷでは、認知面を引き上げることよりも「一人で取組み完成させる」自立性を大事にしています。これは、就労場面での作業などを意識したものです。もちろん、最初は職員と対面で新しいものに取り組むところは他のプログラムと同じですが、概念形成や言語獲得を狙ってはいません。そして、一人で準備し一人で完成し一人で片づけて「よくできたね」と褒めてもらって自尊感情を高めることを狙いとしているので、つねに職員が付かないとできないような課題はしないことが原則です。

さて、マッチング課題でX君は色マッチングが得意のようで、すぐに仕上げてもっとやりたいという感じです。それならと職員も夜なべしてたくさんのカラーマッチングの教材を作りました。ASDの子どもは目で見てわかるものが好きですから自立課題にはまりやすいです。X君のような子が大勢いると職員も教材開発に俄然力が入るので、ありがたい存在ともいえます。さて来週はどんな新教材ができるでしょうか楽しみ楽しみ。