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みんなちがってみんないい

片付けられない

片付けられない状態が悪化すると、家がゴミ屋敷化するだけでなく、精神的にも不安定になり約束を忘れたり締め切りが守れないなど社会生活も乱れてきます。それは原因と結果が逆じゃないかと言う考えもありますが、環境状況が精神に与える影響は絶大です。まずは環境に原因を求め、それでも効果がなければ病的な原因も考えます。要らない物やゴミを処分するには分別したり、ゴミ捨て場までゴミを運んだりしなければなりません。ゴミが大きければ簡単には捨てられませんし、高齢になるほど『捨てる』ハードルは高くなるでしょう。捨てられなくなっているのは、高齢者ばかりではありません。子育て中の若い世代にも片付けられない人は増えています。

『子育てに専念しているから』『忙しくて時間がないから』など理由はそれぞれですが、特に深刻なのが何らかのストレスでうつ病を発症した人です。婦人のうつ病は、産後のホルモンバランスの乱れから発症する場合が多く、発症すると何も手につかなくなります。片付けをする気力もわいてこないので、部屋が散らかっても対処できないのです。うつ病は、気力の喪失・判断力の低下が顕著です。様子を見ておかしいと感じたら、なるべく早く専門医に相談するように勧めることが大事です。

『AD/HD(注意欠如・多動症)』の人も片付けが苦手です。注意力に欠けていたり、落ち着きのない行動が目立ったり、頻繁に忘れものをするなどが症状です。発達障害は、脳の神経伝達物質が十分に機能しないために起こります。当人の意思とは関係ない不具合なので、この症状が出ているなら、片付け下手を責めても意味がありません。服薬などで解決しなければ『片付けが苦手』という個性として理解します。ただ、AD/HDとうつ病は併発しやすいので、医療のサポートが重要です。

家の中が片付いていない子は、物を大切にできない、忘れ物が多い、段取りが悪い事が多いです。片付けをしない家では物が散乱しており、何が大切で何がいらないものかわかりません。結果として子どもは物を大切にできなくなります。また、整理整頓とは程遠い暮らしのため、片付けられない親を持つ子は、段取りをつけて物事に当たることが苦手で、無駄な動きが多く、忘れ物の多さも目立ちます。また、掃除がされない家では、ダニやカビ、害虫が繁殖します。ホコリで気管支炎を患ったり、ダニや害虫でアトピー症状が出たりする子もいます。汚すぎる家での子育ては、一種のネグレクト(育児放棄)ともいわれます。気になる子を見つけたら、役所等に相談するとよいかもしれません。しかし、家の中をかたずけたいという気持ちが親になければ問題は解決しません。

サポートするのは、行政だけでなく協力者やサポートチームが必要です。近親者や友人、ご近所でも、その親が信頼できる方ならだれでもいいと思います。片付けを行う時に重要なのは、不要な物を捨てることです。しかし、物を捨てるなら、持ち主の承諾が必要になります。『捨てる、邪魔』などマイナスな言葉は使わず「不要な物を減らして、快適な暮らしをして欲しい」など暮らしをサポートしたいという気持ちを示すことです。それでも手に追えなかったり、片付けに時間が取れなかったりする場合は、片付けのプロに発注することも視野に入れます。例えば、イオングループで家事支援事業を展開する『株式会社カジタク』には、『片付け名人プレミアム』というコンサルティング型片付け整理収納サービスがあります。このサービスは、オリジナルな片付け方を提案してくれるのが特徴です。ライフオーガナイザーは、生活動線や生活パターンまで配慮してプランを提案してくれるので、自分たちでは難しい理想の片付けを実現できます。片付け終了後に渡されるアドバイスシートがあれば、その後もリバウンドなく綺麗な家を保てます。

片付けがうまくいったとしても、これまでと同じ生活パターンを送っていては、すぐに元の状態に戻ります。居心地のよい部屋をキープするには、部屋を散らかさないように努力しなければなりません。部屋を散らかさないために最も重要なのは、むやみに物を買ったりもらったりしないことです。物が増えてきたら収納を増やすのではなく、物を減らすのです。たとえそれが生活に必要な消耗品でも、大量に所持する必要はありません。物の保管スペースを決めて、そこに収まる分だけに所有すれば綺麗な部屋を長くキープできます。

こまめに掃除する習慣を身に着ければ、ゴミや汚れを溜め込むことはありません。掃除道具を身近な場所に置く、毎日決まった時間だけ掃除するなど、小さな事から習慣にします。それでもついつい忘れてしまうという人は、掃除スケジュールを管理できる掃除アプリなどを活用します。なかなか片付けに取り掛かれない人は、ブログやSNSで『#掃除宣言』するのも効果的です。他人に宣言すると、モチベーションが上がります。結果や成果も逐一SNSに上げていけば、同じような境遇の人からアドバイスや共感の声をもらえるかもしれません。片付け作業が孤独に感じる人は、他人と共有することで孤独感からも解放されます。

ADHDと遺伝

親がADHDの場合、その子どももADHDである可能性は非ADHDの親の場合と比べると5〜10倍高いといわれています。これを確率に直すと、親がADHDの場合、50〜80%(平均70%)の確率で遺伝するという研究結果が出ています。このようにADHDと遺伝の関係は有力視されていますが、ADHDの発症にかかわる特異的な遺伝子はまだ発見されていません。なぜなら、ADHDは遺伝要因単体では発症せず、そこに経済的問題、家族背景、虐待などの環境要因が組み合わさることで発症するためです。しかし、ADHDの発症に関与している可能性のある遺伝子がいくつか指摘されています。

家族や近親者の病歴がADHDの発症に影響している可能性が指摘されています。保護者の方が、過去に自分がADHDと診断された経験があったり、現在ADHDの症状があり困っていたりする場合、子どものADHD診断や対処法の手がかりとなることもありますので、まずはかかりつけの小児科医など身近な医師に相談してみましょう。実際、ADHDの症状を持つ保護者がADHDの子どもの様子をみていると「自分の子どものころとそっくりだ」と思うこともあるようです。その場合、保護者は「自分が感じてきた生きづらさを子どもにさせたくない」という一心で厳しく育てようとしてしまうことがあります。一方で、「ADHDの症状を知っている理解者であり、経験者」として子どもをサポートできる可能性を持っています。

ADHDは、昔はわかりませんでしたが、早期に専門的な介入を行い、適切にケアをしていけば、日常生活における困難さを低減することが可能です。これは学習障害や自閉スペクトラム症にも言えることです。充実した学校生活を送り、社会で自立できるよう、気になることがあれば医療機関の受診や地域の発達障害支援センターなどへ相談することが大事です。一人で解決しようとしないで、他者の力を借りて行けばいいのです。自分の信用できる関係者を思い出してください。困ったことを放置しないで「助けて」と言ってみましょう。誰だって苦しい時はあります。一人で乗り越える必要はありません。助けてもらっていいいのです。そして、誰でも助けでくれるわけでもありません。助けてくれるまで発信し続けるのです。下手な鉄砲も数うてばあたります。まずは「助けて」ということです。

日本ラグビーを育てたダイバーシティー

ラグビーW杯の日本と南アフリカの試合は、残念ながら日本は敗退してしまいました。しかし日本代表の躍進は海外からも予想だにしないほどの活躍ぶりとなりました。何より、日本国内の注目を一気に集めた1カ月間でした。このブログでも、以前に「ラグビー・ワールドカップ9/25」に書きましたが、外国人選手が半分いることで、日本人のラグビー力量が引き上げられているのです。日本が強くなったのは、外国人選手のおかげと言うよりも、生まれた国が異なる人がいるというダイバーシティーな環境が世界水準に日本ラグビーを育てたということです。

そして、海外から来た選手は日本のことを本当に好きになって日本も、日本のファンのこともリスペクトしています。試合相手の南アフリカ出身のピーター・ラブスカフニは、「南アフリカ出身であることが誇りであるのと同じくらい、日本代表であることが誇り」「第二のベースホーム=祖国」だと言います。日本に帰化し長く日本で貢献してきたトンプソン・ルークはこてこての関西訛りで「南アフリカめっちゃ強い」と言いながら、引退声明を翻して4回目のW杯に最後まで関わりました。みんなちがってみんないいの原理を今回のラグビーW杯は見せてくれたような気がします。

これでベスト4が決まりました。準決勝は10/26イングランド対ニュージーランド、10/27ウェールズ対南アフリカです。11/2横浜国際球技場で優勝はどこのチームでしょう。最後まで目が離せません。

デイジー教科書

「マルチメディアデイジー教科書」は、学習障害やADHD・アスペルガー症候群など発達障害の子どもや、弱視などの障害のある子どものために作成されている教科書のことです。通常の教科書に、音声読み上げ機能と、テキストのハイライト機能がついており、音声を聞きながらハイライトされたテキストを読むことができます。デイジー教科書は、小学1年生から中学3年生まで、全国で使われている主要科目の教科書が提供されています。簡単な申請をするだけで、希望の教科書を無料で利用できます。デイジー教科書は学校での利用だけに限らず、家庭での音読の補助や授業の予習復習に活用できるのでとてもおすすめです。学習障害の傾向のある子供、または文字を読むことや音読が苦手なお子さんをお持ちの方は、ぜひ利用してみてください。

「マルチメディアデイジー教科書」とは、学習障害(読字障害)など発達障害、弱視など視覚障害やその他の障害で、通常の教科書を読むことが難しい児童のために、制作されているデジタル教科書です。2008年から文科省の委託事業として(公財)日本障害者リハビリテーション協会とボランティア団体によって制作・提供されています。デイジー教科書は、音声のナレーションに合わせて、文字がハイライトされます。また、子供に合わせて、音声のスピードや文字の大きさ、文字色や背景色などが細かく調整できます。デイジー教科書には、文字を読むことが苦手な学習障害の子供にとって様々なメリットがあります。
1どこを読んでいるか分かりやすい
2文節の区切りが分かり、どう読めばいいのか理解できる
3漢字や単語の読み方、イントネーションが分かる
4デイジー教科書で下読みをして予習をしておくことで、授業の理解度が深まる
5教科書にルビをふるなど、保護者の負担が軽減される

デイジー教科書を利用したい場合は、利用申請をします。医学的診断や学校の許可などは必要ありませんが、年度ごとに申請する必要があります。デイジー教科書のサイトのフォームから、メールアドレス・パスワード・保護者氏名を入力します。 デイジー教科書申請フォーム確認メールに記載してあるページにログインし、デイジー教科書の申請を行います。住所や、利用する児童の学年や学校名を入力します。利用を希望する教科書を選択して申請します。申請が承認されると、 約1週間以内に【SchoolBook】よりメールが届きます。以上で申請が完了し、デイジー教科書のデータがダウンロードできるようになります。

 

言い訳への対処法

言い訳をする人は傷つきやすいので、言い訳をしたからといって頭ごなしに怒るのは逆効果です。言い訳をする人は怒られることが怖いので、表面上謝っていても心の中では言い訳をして責任逃れをしています。ただ怒っても心の底から反省することはありません。とても臆病なので自分のせいだと素直に認めることができないのです。相手に事の重大さを気付かせたい、同じ過ちを繰り返してほしくないと思うのならまずは怒らないで話をしなければなりません。言い訳を始めたら、ひとまずその主張を聞いてあげるのです。怒られないで言い分を聞いてもらえることで、相手は少し冷静になれるでしょう。大きな問題を起こしてしまった時などは、ついカッとなって怒ってしまいがちですが言い訳をする人を相手にする時はこちらが堪えなければならないのです。

言い訳をされても怒らず、ある程度相手の話を認めてあげることが大切です。すべてを否定されると逃げ道がなくなってしまうので、言い訳をする人は精神的につらい状況になってしまうのです。本来なら、悪いことをしてしまったのなら怒られるし謝るのが普通なのですが、言い訳をする人は心が弱い人なのでそれに耐えらえません。なので言い訳を少し認めてあげる必要があるのです。嘘でもいいので、君の意見も一理あるけれどなどと付け加えて話をしてあげましょう。そして優しくなにが悪かったのかを説明してあげるのです。そうすることで、自分の言うことも少しは正しいのだと思うことができます。全面的に自分が悪いわけではないと思うことでほっとして、こちらの話もすんなり聞き入れてくれるようになります。言い訳をする人というのは繊細な生き物です。面倒ですが、相手をする時はこちらが大人になってあげなければなりません。

自分が悪いことに気が付きつつも認めるのが怖いだけの人ならまだ扱いやすいのですが、言い訳をする人の中には本気で自分は悪くないと思っている人もいます。このタイプは厄介で、こちらが一生懸命説明したところで自分が悪くないという考えは変わりません。何故なら、自分の立場からしか物事を考えていないからです。言い訳をする人は自己中心的な人とよく似ているのです。こういうタイプにわかってもらうには、実際に相手が嫌がるようなことをして同じ言い訳をするのが一番です。自分で言い訳をしている時は自分のことしか考えていないので、言い訳をしていることにすら気が付いていない可能性があります。しかしこうして自分がやられてみて、その時初めて言い訳をされる方の気持ちがわかるわけです。君がやっているのはこういうことなんだと教えてあげれば、言い訳は恥ずかしいことなのだと理解できるかもしれません。

言い訳をする人の中には、なにを言ってもちっとも効果がない人もいます。残念ですがこういう人はもう変わりません。できるだけのことをやって、それでも言い訳をしてくるようなら言い訳を始めた直後に席を立つようにします。言い訳を聞くのもストレスになりますし、尽くしても変わらない相手にわざわざ付き合い続ける必要はありません。それに、席を立つことで不快に思っていることをアピールできます。黙ってその場を離れてしまえば、話をするわけではないので言い訳はできません。それを繰り返していれば、言い訳をすると話を聞いてくれなくなってしまうということを覚えるでしょう。人から無視をされるのは痛いですから、次第に言い訳も減っていきます。荒療治ですが言い訳を聞かなくてすみますし、言い訳をする人も自分の発言についてよく考えるようになるかもしれません。

恐怖を感じることによる言い訳など、多くのケースは「自分は悪くない!」ということを伝えたいために生じる場合がほとんどです。少し悪い表現で表すのなら彼らは「臆病」なのです。言い訳が悪いという考えはいったん捨てて、自分の考えを伝える、相手の思いを受け止めるという意識をすると、無駄なエネルギーを使わずに済むかもしれません。

 

不登校児の学校リリース

ASD不登校児者に再登校・教室復帰を目標とした指導を行うことは、ASDの特性から必ずしも適切とはいえないです。 ASD児者にとって安全で安心できる学校にするためには、そのための環境づくりが必要であり、できるだけ小規模の学校で少人数学級であり、教師が多様性を受け入れられる子どもたちを育てる能力があることが重要だと考えます。しかし、現状では 学校をASD児者の特性に合わせた環境にすることは難しく、その特性から不登校になるASD児者が少なくありません。

本人の特性や不登校に至った原因やその時の本人の状態等を充分にアセスメントしたうえで、再登校・教室復帰を目標にしない指導や、本人が安心して学習できる場所や制度を用意すべきだと考えます。 ASD当事者の体験から、小中学校でいじめを受け、学校に行くことが苦痛 にもなったが、不登校にはならなかった理由に、小学校から高校まで通った教会の日曜学校が居場所になっていたという報告があります。そこには、重度の知的障害や肢体不自由のある子どもたちも通っていて、その子たちと親しくなり手助けをすることで、自分にも誰かの役に立つことができると実感でき、学校とは違って自分が無条件に受け入れられる喜びも感じたと言います。 重度の知的障害や肢体不自由のある子どもたちは、めまぐるしい動きをすることが少なくて安心でき、通常学級の中ではできないことの多い自分が誰かの役に立てることで自尊感情も高められたというのです。

例えば、地域活動支援センターや就労支援施設 (喫茶)な どの福祉施設が、社会とつながるために定期的に通う居場所になると思います。そこで、個別指導の形で学習をしたり、施設の利用者と交流したりすることも大事かもしれません。ASDの特性は幅広く多様ですから、一人一人に合った居場所が必要で、幅広 く多様な選択肢があることが望ましいと考えます。学校にこだわらず、地域にある公民館、図書館、福祉施設、NPO等による子どもの居場所など、不登校になったASD児者が通えるところをその子の学校にするということができるなら彼らの発達保障の可能性は大きく広がります。その際、学校や教師や保護者が安全安心だと考える場所ではなく、本人が安全で 安心だと思える場所で学習できるようにすることが重要だと思います。

現在、公の適応指導教室等に馴染まないASD不登校児者については、民間のASD児者を受入れているフリースクールや学習支援等をする形でのホームスクールなどが受け皿となっていますが、経済的負担も大きく、数も少なく、本人に合ったところを見つけるのも難しいため、引きこもりになってしまうことが少なくありません。学校に限りませんが、 周囲と違う者を排除しようとする風潮は簡単にはコントロールできないし、教師は多忙で余裕がありません。学校 (社会)をASDにも優しいものにしていくためには、学校関係者だけではなく、地域の専門家や住民も含めた地域全体で特別支援教育に取り組んでいく必要があります。その中で、教育と福祉の連携について、制度的にクリアしなければならない点も含め、具体的にどのようにすればよいかを、大きな行政の動きを待つのではなく、最小限の自治体レベルでの工夫と実行が急務だと思います。発達障害と不登校問題は、いわば現代教育の制度疲労であり、従来の学校だけをあてにしていても、学校だけで解決できる問題ではないと思います。

 

Snoezelen

スヌーズレンは、オランダ語の造語です。オランダのエーデという町にある知的障害を持つ人々が住むハルテンベルグセンターで生まれた活動とその理念です。創始者は、アド・フェルフール。1970年代の半ばからアドさんや近隣の施設でのアイデアや活動から始まりました。スヌーズレンの語源は2つのオランダ語、スニッフレン<クンクンとあたりを探索する>、ドゥースレン<ウトウトくつろぐ>から造られた造語であり、「自由に探索したり、くつろぐ」様子を表しています。どんなに障害が重い人たちでも楽しめるように、光、音、におい、振動、温度、触覚の素材、こんなものを組み合わせた感覚を重視した部屋が生まれました。出来上がった部屋は、障害を持つ人のみならず、その傍らにいる、介助者にとっても心地いい空間となりました。

スヌーズレンは、治療法でも、教育法でもありません。支援者は、治療効果や発達支援を一方的に求めることはせず、障害を持つ人のオープンな楽しみ方をありのままに受け入れ、一緒に楽しみます。スヌーズレンは、障害を持つ人が、自分で選択し、自分のペースで楽しむための、人生の大切な時間だという考え方です。そして共に過ごす人との相互作用により、社会的な存在を表す時間なのです。スヌーズレンを実践する上で、大切なことは、障害を持つ人と支援者が、同じ人間として同じ場で同じ感覚を経験し、互いの感じ方や喜びを共有すること、それを通して人と人との関係をより深めることだと言います。

今では、重い知的障害を持つ人々の分野だけではなく、様々な分野へと広がっています。そしてヨーロッパ本土、イギリス、アジア各国、アメリカ、カナダ、世界中の国々にも広く理念と活動が浸透していきました。特にヨーロッパでは、認知症を持つ老人、精神障害を持つ人々、小児病院、普通幼稚園、町のコミュニティセンターなどにも広がり、あらゆる人が利用し、心地よい時間を過ごす場と認知されるようになってきているのです。ここ日本でも急速な広がりを見せています。大事なことは、くつろぐ空間を多様な人で共有するという目的です。共有・共存の場、そのために、様々なスヌーズレングッズやスヌーズレンスペースが開発されてきたのです。ウォーターベッドやバブルチューブなど高価なアイテムと空間と言うイメージが強いですが頭だけ突っ込むようなスヌーズレンボックスなども開発されています。人工的な空間と思いがちですが、秋の黄昏時のベランダのハンモックと落ち葉とか、みんながうっとりできればそれは自然の中でもいいわけです。

 

余暇支援

自閉症や発達障害の人は、時間を持て余してしまったり、空いた時間に何をして良いのかわからない事があります。待ち時間などでも自分から時間をつぶすことが出来ず、手持ち無沙汰から悪戯をしたり、ふらふらと立ち歩いたり、常同行動を取ってしまうこともあります。また、時間を持て余すあまり、イライラして不機嫌になり、場合によっては怒り出すこともあります。大人になって社会に出てからも、平日は働いたり施設に通って時間を過ごすものの、休日には何もやることが無く、一日中家でテレビやアニメを眺めたりゲームをしているだけという事も多いようです。自分からやりたい事がないと、せっかくの休日も何もせずに終ってしまい、リフレッシュや気分転換もできなくなってしまいます。

自閉症などの発達障害の人は目に見えない時間の概念の認識が難しく、時間の感覚や流れへの理解が乏しいということがあります。そのため、休み時間が10分あるとわかっていても10分とはどれ位なのか、10分間で何が出来るのかがわからないということがあります。また時間の開始と終わりが明確でないと、何処から何処までの時間が自由に過ごしてよい時間かわからず、気が付いたら自由時間が終わってしまったということもあります。時間の間隔や配分などが難しい子どもの場合には、自由時間の開始と終了を明確にすることで時間への理解を促します。自由時間は開始の時間と終了の時間をタイマーや時計の針を具体的に示すことで理解できるようにします。終了時間前には「あと何分で終わりだよ」と何度か声をかけたり、残り時間がわかりやすいようなタイマーを使用することで終わりの時間が意識しやすくなり、行動の切り替えもスムーズになります。

自由時間の前後だけでなく、1日の流れやスケジュールを説明する際にも、何時から何時までが自由時間かわかるようにしておくと、見通しを付けやすくスムーズに行動できるようになります。本人がやりたいことや好きな事を事前に把握しておくのは何より大事です。やりたい事を把握しておくことで、本人が時間を持て余している場合には、好きな事を提示してあげることが出来ます。あらかじめ好きな事リストを作っておき、本人が暇そうにしていたらリストを見せて、自分でやりたいことを選んでもらうという方法も取ることができます。この方法を用いることで、空いている時間を過ごす方法としても使うことが出来ます。

やりたい事や好きな事の把握が難しい場合には、周囲の大人が本人の取り組める課題を与える方法もあります。時間を持て余してしまうと不安などからイライラするような子どもでも、出来る範囲の課題を与えると集中して取り組める事が出来る事も多いです。課題だけでなく本人の好きそうな活動を提示したり、お手伝いを頼んだりするのでも効果があります。


自分でやりたい事を選択できる場合には、いくつかの課題や活動内容を提示し、本人に選んでもらうのが一番ですし、選択できないなら選択できるように取り組むことはとても大事です。人から言われて行動できることは大事ですが、やりたくもないことを続けるのは誰でも苦痛です。余暇支援と自発の伝達手段や選択行動は裏表です。自分で選ぶから余暇は楽しく安心できるのです。

時間を持て余している際には自分から親や先生などに「暇である」「やることが無い」という事を伝えられるようにするのも重要です。発達に遅れのある子どもは自分の意見や気持ちを人に伝えるのが苦手であったり、伝え方自体が分からないという子どもも多いです。そのため、暇で時間を持て余している際には、その事を他人に伝える事を教える方法を教えましょう。「やることが無い」「何をして良いのか分からない」という事を他人に伝えて指示を受けることは、社会人として働きに出た際にも必要な報告と相談になるので、子どもの頃からこれらの報告が出来ると社会に出てからも役に立つことでしょう。

発達に遅れのある子どもはその特性などから、暇を持て余した際に何をやれば良いのか分からないということがあります。自分で決めることが難しい場合には選択できる方法を取ったり、周囲の人が声をかけます。好きな事や興味の幅を広げるのも重要な事の一つです。新しい物事に取り組むのにも抵抗を示したり時間がかかったりする事がありますが、新しい物事に触れさせてみたり、色々な場所へ外出する機会を作ることが必要です。また、発達障害の人は様々な外部の刺激などから、疲れやすいという特徴もあります。時間を持て余している場合には活動を行わせるだけでなく、休息やリフレッシュなど、のんびりする方法の開発や提案も重要です。

ワールドカップ・ベスト8

10月13日、ワールドカップ予選プール最終戦。ワールドカップでは3度対戦して、一度も勝利したことがなかったスコットランドに、28-21で見事に日本は勝利しました。「今週は多くの人に感動や勇気を与えるチャンスだったので、常に準備することを意識してやってきた。ピッチ立っていた23人だけじゃなく、『ONE TEAM』で勇気を持ってプレーできた」と主将リーチ・マイケルは語りました。「台風19号で被害に遭われた方がたくさんいる。ラグビーを通して、日本中に感動・勇気を与えられるようなプレーをしよう」日本代表を率いるジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は試合前のホテルで、選手に伝えたそうです。

スコットランド戦の勝因を、リーチは「我慢。最後まで走って、立ち上がって、タックルに行ったこと」と答え、フォワードを引っ張った堀江は「めちゃくちゃ強かったが、練習の成果が出た。フィジカルで圧倒してこようという気迫がすごかった。(後半は)流れが向こうにいくと思っていたので我慢した。ベスト8に入れて、めちゃくちゃうれしいです」と表情を崩しました。試合後、ジョセフHCは、「今週は万端の準備ができた。まぐれではない。いろいろな人たちが懸命に努力した結果だ。(中略)なにより、選手たちの『勝ちたい』という気持ちがスコットランドを上回った。ベテランも若手も150%の力を出し切った。それが勝利につながり、こうした景色をつくり出した」と語りました。

日本代表は「ワールドカップ・ベスト8」を目標に掲げてきました。ただ、戦いはまだ続きます。監督頼みの受身のチームではなく、リーダーグループがチームを引っ張り選手主体で行動できるチームに、選手たち自らが考えてチームを引っ張る集団にと、ジョセフHCは4年間かけて育ててきました。それが、今のジェイミー・ジャパンの強さです。10月20日、日本代表は準々決勝で、W杯優勝2回を誇る南アフリカ代表と対戦します。前回大会で逆転勝利を飾った「ブライトンの奇跡」を彼らは必ずリベンジしようと待ち構えているはずです。4連勝の勢いと『ONE TEAM』のジャパンプライドを、ラグビー強国南アフリカにぶつける大勝負が楽しみです。

スクラップアンドビルド

あれがいい、これがいいと教育現場場はこれまでの行事を削ることなく新しい内容を増やしてきました。英語、プログラミング、土曜授業復活、学力テスト対策。これらは昔はなかったのに、新たに増えた学習です。新たに荷を積むのに古い荷を降ろさなければ、船は沈みます。教員の時間外勤務が増えるのは至極当然です。また、時代に合わない行事はカットすべきです。子どもだってその量の多さと時代遅れの行事に負担を感じています。

市町によっては4年生から実施される宿泊行事。実施前は旅行代理店の如く行き先との折衝や宿泊先・保護者とのアレルギー対応のやり取り、保護者説明会や子どもたちの部屋決めなど、実施中は夜尿の可能性のある子を夜中に起こしたりの24時間勤務です。思い切ってやめてしまえば、下見と本番に使っていた出張費を新しい教育に対応する研修に使え、他にかかっていた予算も削減できます。共同生活からの学びは多いですが、寝るのはシングルかツイン部屋で、食事も好きなものを選択する時代に、大集団で寝泊りすればギャップの大きさに苦しむ子が出て当然です。クラスには1人か2人でも、毎年3%を切り捨てるほどのメリットは見当たりません。

運動会のそもそもの目的は、日頃の成果を発表することが表向きで、裏向きは地域共同体としての祭りの一環というのが慣しでした。実態は見てもらうための運動会を目指して普段はほとんどやらないダンスやら組体操をひたすら練習しています。もちろん良い面もありますが、時間コストと照らし合わせるとコスパはかなり低いです。応援団・全体練習等の指導、うちわやプログラムの作成、当日のテント・機器の準備。基礎学力の底上げ教科内容の充実を片方で強調しながら費やす時間は莫大です。地域社会への還元といっても、校門には「部外者入場お断り」の不審者防止の貼り紙で地域からの決別を宣言しています。日頃の成果の発表なら、体育の授業+授業参観で充分です。

学芸会も運動会同様、これも見せるためのイベントです。もちろん脚光を浴びる体験は大事です。しかし、一方で学校生活12年間、脚光も浴びずに、木の役やら石の役をいやいや協力してきた人もいます。脚本選び、配役、演出、衣装作り、照明、進行、会場準備と演劇には多くの学びがあります。ただ、子どものためにと費やす時間が多い割には、残念な思いをしている子どもと保護者がかなり多いのです。劇発表は国語・英語の授業+学級活動+授業参観でOKです。

こうした主張をすると、学習は集団活動で得た仲間意識の向上の中で効果が上がるものだという反論があがります。学級集団活動は宿泊や運動会や学芸会がないとできないものでしょうか。教科学習の中ではできないのでしょうか。或いは、仲間意識が学力向上と本当に相関しているのでしょうか。ただ、大事な言葉を並べているだけのようにも思います。教科指導技術の低さを生徒指導で挽回しようとしているようにも見えます。この二つは悪循環を起こしています。生徒指導で忙しいから教科指導技術が向上しない。教科指導技術が向上しないから学力不振で子どもが満足せず、ますます生徒指導にのめり込むのです。

学校をよく見ていると教科指導の優れた先生は学級指導も上手な先生であることが多いです。教科指導の下手な先生は学級指導も下手なことが多いです。どちらかだけ上手という先生は少なく、あまりいません。自費参加の研修会に行かれる多くの先生は良い授業をしています。公費研修会にしか行かない方の授業は残念な指導が多いと感じるのは偏見でしょうか。ただこれは、研修会の主催や中身とは全く関係がないと思います。要は、一流の講師の研修は自腹を切ってでも受けたいという、プロフェッショナルとしての仕事への向かい方の違いだろうと思います。学校は勉強する場所という基本に立ち返り、これまでの集団活動を優先すべきか新たな学習課題を優先すべきか考えてスクラップアンドビルドを実行してほしいものです。一番疲れているのは子どもです。