すてっぷ・じゃんぷ日記

合理的配慮のある試験

視知覚(視力ではありません)や読み書きに課題のあるQ君の数学の特支級のテストを見せてもらいました。答案用紙2枚に50問の計算式が並んでいます。負の数を含んだ、小数、分数の加減乗除の計算問題です。通常学級であっても、視知覚や読み書きに障害が認められる場合は、合理的配慮として出題数を減らすか時間延長するのはもちろんのこと、見間違いが生じないように大きな文字で出題したり、記号を太字にしたり色を付けて強調したりと様々な工夫が求められます。

50問何も工夫なしに縦用紙に1列15問で2列に問題が並んでいます。私はこの答案を見て、Q君の苦労を労いたいとともに、出題者は学習障害の事をもっと勉強してほしいと願わずにはいられませんでした。通常学級でなら、「公平性」があるからと答案用紙に工夫のないテストを出す出題者がいても、軽蔑はするけどまだ許容はできます。しかし、特別支援学級は、そういう「公平性」は考える必要ないのです。そもそも、公平と平等は意味が違い、その人の能力に応じてハンディーをつけて勝負することを公平な勝負というのです。

さらに、特支級のテストは障害に応じて工夫して教えたことが、子どもにどれくらい定着したかを確認するものであり(通常級も同じはずであってほしいですが)工夫なしで障害のままの「丸腰」の子どもの「実力」を試すものではありません。「工夫」は「眼鏡」に置き換えればわかりやすいと思います。視力が弱いのに眼鏡なしのテストの結果は実力とは言わないのと同じです。眼鏡をするなという教員がいないように合理的配慮はその子の障害に応じた「学校財政上合理的な範囲での配慮」を行いなさいというのが新しい法律「障害者差別禁止法」なのです。公共機関は学習障害者に合理的配慮をしないという差別をしてはいけないのです。