すてっぷ・じゃんぷ日記

体重移動の学び方

 すてっぷでは、支援学校の中学部生や高等部生の作業課題として、アルミ缶やペットボトルの分解・つぶし作業に取り組んでいます。つぶす本数を始めに確認し、自分で準備片付けをして、終わったら報告するまでを自立して行えるように練習しています。協力作業が課題となる子らが複数で取り組むこともあります。

 中学部のPくんも、アルミ缶つぶしの作業課題に取り組んでいます。ただ、アルミ缶をつぶす際に、すてっぷではプレス器に足を乗せて、ぐっと体重をかけてつぶすのですが、Pくんはこの体重移動がなかなかうまくできず、缶をきれいにつぶせませんでした。しばらくは自立的に行うことや、協力作業の際のコミュニケーション課題と並行して行ってきましたが、プレス器の使い方はなかなか上達しませんでした。

 ある日のこと、この日もPくんはアルミ缶つぶしの作業課題に取り組んでいました。やはり、アルミ缶は上手につぶせず、職員が見本を見せていました。すると、Pくんは近くにあった「てつだって」の絵カードを手に取り、職員に渡してきたのです。職員が「わかったよ。じゃあいっしょにつぶそう」とPくんの手を取り、プレス器を踏むのを待ちました。そしてPくんがプレス器を踏むと、ぐっと手を引き寄せ、Pくんの体重がプレス器にぐっとかかるようにしました。そして、それを何回か繰り返しました。

 するとPくんは、体重移動のコツをつかみ、次の日から自分だけでプレス器を上手に使えるようになったのです。上からの指導や指示ではなく、本人のアクションに合わせて本人本位の形で伝えられたことが、功を奏したのかもしれません。今ではPくんにとってアルミ缶つぶしの作業は、自信をもってやり切れる課題の一つになり、協力作業でも友だちをリードすることが増えてきました。自立してできるようになったことが本人にとってとてもよい影響があったことをうれしく思うと同時に、これからもどんどん増やしていけるように支援していきたいと思った出来事でした。